JPS5843014Y2 - グランドピアノ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は高音部特に最高音部における弦の調律をやり
易くしたグランドピアノに関する。

一般にグランドピアノはその側板ａが第１図および第２
図に示すように前方の鍵盤部分ｋａおよび低音部側を除
いて特殊な湾曲形状をなしており、その内部には多数の
弦ｇを張設したフレームｆ、響板Ｃ１ピアノアクション
ｄ、鍵盤になどが収容され、また、側板ａの前方上部両
側には第３図のように本持ちレールｒが取付けられ、そ
こには譜面台ｅを備えた本持ち枠ｌが摺動自在に配設さ
れていて、屋根板すを閉じたときにはすべてのものが隠
れるようになされている。

さらに、本持ち枠ｌの下方に当るフレームｆのチューニ
ングピンの取付部分子ａには多数のピン孔ｆｂ（第４図
では便宜のため１個だけを示した）が設けられ、そこに
チューニングピンｐが挿し込まれてフレームｆの下側に
配設されたピン板ｊにやや前向き斜めにねじ込まれてい
る。

そして、これらのチューニングピンｐには弦ｇの先端が
挿し込まれ、且つチューニングハンマによってピンｐを
時計方向に回転して弦ｇをこれに−１二回巻き付けて弦
ｇの基準周波数よりやや高目になるように弦ｇを張って
おき、出荷や使用に際してチューニングピンｐをそれぞ
れ半回転はど反時計方向に徐々に回転させて弦ｇを弛め
、基準周波数になるように調律するのが普通である。

ところで、この調律するに当っては第５図左側に示すよ
うにチューニングハンマｈを弦ｇの張り方向に直角にな
るようにチューニングピンに嵌合させて弦ｇを弛めるこ
とが好ましい。

というのは、上述のように弦ｇを一旦強く張った状態で
はチュニングピンｐは第４図（図は極端であるが）のよ
うに弦ｇの張力でく字状に曲げられた状態にあるので、
チューニングハンマｈを上記の横になった位置からほぼ
半回転させれば、チューニングピンｐの曲り方向は前と
は逆になるが弦ｇの張力方向とは一致しているので、弦
ｇの張り具合は乱れることなく安定している。

これに対し、第５図の右側のようにチューニングハンマ
ｈを弦ｇの張力方向に近い姿勢にセットしてチューニン
グピンｐを逆回転させたときには、チューニングピンｐ
の曲がり状態が弦ｇの張力方向と一致せず、横向きとな
ってしまい弦ｇの張り具合が乱れると共にピンｐがさら
に弦ｇの張力方向に曲がり易い状態になり、強張力が安
定しないことになる。

これを前述のピアノについて云えば、低音域から中音域
にかけての弦ｇの調律に当ってはチューニングハンマｈ
を弦ｇの張力方向に対して上記のように横向きにセット
することができるが、高音域特に最高音部においては側
板ａがあるためにチューニングハンマｈを横向きにでき
ず弦ｇの張力方向にほは゛一致した位置にしかセットで
きず、上述のように弦ｇの張り具合が乱れ張力すなわち
音が安定しないという欠点がある。

そこで、この考案は上記の欠点を解消すべくなされたも
ので、調律に当って最高音部でもチューニングハンマを
横向きにできるようにした点に特徴を有するものである
。

第６図ないし第８図はこの考案の実施例を示すものであ
り、側板１の少くとも高音側の前方部分には上面からフ
レームｆのチューニングピンｐの取付部分子ａの表面に
至る高さで且つその奥行より若干大きな幅の切取り部２
が設けられ、その底面には案内用のレールみぞ３が穿設
されている。

これに対し、譜面台６を有する本持ち枠４も少くとも高
音部側の端部板５には外端に上記の切取り部２と同じ高
さの脚部５ａが設けられ、その下端にはほぞ状の突条５
ｂが設けられている。

なお、切取り部２のレールみぞ３と上記脚部５ａの突条
５ｂとの関係はこれを逆にしてもよい。

そして、側板１に切取り部２を左右対称に設け、また本
持ち枠４の端部板５を左右対称となし、側板１の切取り
部２に端部板５の脚部５ａを嵌め込むようにして本持ち
枠４を取付ければ第８図のようになる。

しかし、低音側の側板１に切取り部２を設けない場合に
は低音側の側板１の構造および本持ち枠４の低音側の端
部板５の構造ならびに両者の嵌合状態は第３図の従来の
ものと変りがない。

そこで、弦ｇの調律に当って本持ち枠４を前方に引抜け
ば、側板１の高音部側が第６図のように開放されるので
、最高音部においてもチューニングハンマを弦ｇの張力
方向に対し、横向きにしてチューニングピンｐの頭部に
嵌合させ、これを反時計方向に回転させることができる
ので、弦ｇの張り方に乱れを生ずることなく張力も安定
し、音色を狂わすことなく調律することができる。

この調律作業が終れば、本持ち枠４を元の状態に需すこ
とはないうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はグランドピアノを上方からみた斜視図、第２図
はピアノの内部の状態を示す一部の断面図、第３図は側
板の片側前方を示す斜視図、第４図はチューニングピン
の取付は状態を示す断面図、第５図は従来の弦の調律状
態を示す平面図、第６図はこの考案に係る側板の高音部
側を示す斜視図、第７図は本持ち枠の高音部側を示す斜
視図、第８図はこの考案の一実施例の正面図。 図中、１は、側板、２は切取り部、３はレールみぞ、４
は本持ち枠、５は端部板、５ａは脚部、５ｂはほぞ状突
起、ｆはフレーム、ｆａはチューニングピン取付部、ｇ
は弦。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側板１の少なくとも高音部側の前方部分に上面からフレ
   ームｆのチューニングピンｐの取付部分子ａの表面に至
   る高さで且つその奥行より若干大きな幅の切取り部２を
   設け、本持ち枠４の少くとも高音部側の端部板５の外端
   には上記切取り部２とほぼ同じ高さの脚部５ａを設け、
   該脚部５ａを上記切取り部２に摺動自在に嵌合させて側
   板１の前部に本持ち枠４を配設してなるグランドピアノ
   。