JPS5834378Y2 - 太陽熱集熱器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、外管の内部を真空密閉した真空式太陽熱集
熱器において、外管の下部内面に広範囲にゲッタ膜を形
成し、外管の内部を高真空に保ち、性能の低下を防止す
るとともに、長寿命化を計ることができるようにした太
陽熱集熱器に関する。

一般に、真空式太陽熱集熱器は、透光性外管の内部が高
真空に保たれ、外管に内設された集熱板と外管との間が
真空断熱されるため、集熱板から外気への熱の対流およ
び熱伝導がなく、高い集熱効率が得られ、外管内に同軸
的に配設され集熱板に接合された熱媒体管内の熱媒体に
、高温が得られている。

そして、この種集熱器では、その外管内の真空度が、通
常１０＝Ｔｏｒｒ以上の高真空に保たれ、１Ｏ−４Ｔｏ
ｒｒ以下の真空度になると、集熱器の性能が低下される
ため、製造工程および材質、材料の最大の考慮が必要と
されている。

しかし、前述のように、製造工程および材質、材料を考
慮して得られた集熱器においても、その構成部材から時
間とともに少量のガスが放出されるため、真空度が低下
され、性能が低下される欠点がある。

そこで、この放出ガスを吸着するゲッタを必要とするが
、このゲッタには、フラッシング時において放出ガスの
ゲッタへの衝突により放出ガスを吸着するものと、フラ
ッシングにより外管内面に形成されたゲッタ膜への放出
ガスの衝突により放出ガスを吸着するものとがあり、後
者のものの方が極めて大きな効果を得ることができる。

そして、ゲッタ膜の表面積を大きくすることによりその
効果を大きくすることができるが、外管の径の大きさは
固定であり、さらに、集熱板の受光側の外管内面に形成
することができない欠点があり、また、多数のゲッタを
使用すると、非常に高価になる欠点がある。

さらに、大容量のゲッタを使用した場合、そのゲッタ膜
の面積を多少増加することができるが、そのゲッタ膜が
集中的に形成され、結晶層となるため、放出ガスの吸収
速度が遅くなり、吸着効果が得られず、外管内を高真空
に保つことができなくなる欠点があり、また、高温多量
のゲッタ材のために、ゲッタのフラッシング時に外管を
破損する危険性がある。

この考案は、以上の点に留意してなされ、集熱板の下方
のゲッタと集熱板との間に反射板を備え、外管の下部内
面に広範囲にゲッタ膜を形成したものであり、つぎにこ
の考案を、その１実施例を示した第１図ないし第５図の
図面とともに詳細に説明する。

これらの図面において、１は太陽光を透過できる硝子製
外管、２は外管１の両端にその両端周縁に嵌装されたフ
リットガラス３により取付けられた４２Ｎｉ−６Ｆｅ合
金の封止板であり、封止板２により外管１はその両端が
封止されるとともに、外管１の内部が真空に保持される
。

４は外管１内に同軸的に配設された熱媒体管であり、熱
媒体管４の両端は外管１の両端の封止板２から導出され
、熱媒体管４の一端から熱媒体が注入されるとともに他
端から回収される。

５は熱媒体管４に熱伝的に接合されたフラット状の集熱
板、６は集熱板５の上表面に付着された選択吸収膜、７
は一方の封止板２に設けられ外管１の内部の空気が排気
される排気管、８は集熱板５の下方に設けられたリング
状のゲッタであり、ゲッタ８の周囲に沿って上面が開口
された溝が形成され、この溝内にバリウム等の大容量の
ゲッタ材料９が設けられている。

１０は一端が熱媒体管４の下面に固定され他端がゲッタ
８に接合されたＬ状のステイ、１１は集熱板５とゲッタ
８との間に設けられたステイ１０により接合された上方
に開口状態の断面く字状の硝子製反射板、１２は外管１
外からゲッタ８を加熱する高周波加熱器、１３は外管１
の下部内面にゲッタ８のゲッタ材料９の蒸気により広範
囲に付着、形成されたゲッタ膜である。

つぎに、前記実施例の製造方法を説明する。

一方の封止板２と、集熱板５を接合した熱媒体管４の一
端部とを接合したのち、外管１の一端より外管１内に熱
媒体管４の他端部より集熱板５と熱媒体管４とを入れ、
外管１の一端に一方の封止板２を、炉中において、封止
板２に塗布されたフリットガラス３により接合し、さら
に、他方の封止板２を熱媒体管４の他端部に接合し、炉
中において、他端の封止板２をフリットガラス３により
外管１の他端に接合する。

つぎに、これをベーキング中に入れ、排気管７より外管
１の内部を排気しながら４００℃のもとて数時間、ベー
キングを行なう。

そして、このベーキング中、高周波加熱器１２によりゲ
ッタ８を予熱し、製造工程中にゲッタ８に吸収された水
蒸気等のガスを放出させ、ベーキング終了後、排気管７
をピンチオフしてシールし、外管１の内部を高真空に保
持する。

つぎに、ゲッタ膜１３の形成方法について説明すると、
第５図に示すように、外管１に近接してゲッタ８の下方
に位置された高周波加熱器１２によりゲッタ８を加熱し
、ゲッタ８内のゲッタ材料９の蒸気をフラッシングさせ
る。

フラッシングされたゲッタ材料９の蒸気は、反射板１１
により反射され、外管１の下部内面に広範囲に付着され
、ゲッタ膜１３が形成される。

ところで、従来の太陽熱集熱器は、第６図に示すように
、熱媒体管４の下面にステイ１０を介してゲッタ８がフ
ラッシング面を外管１に向けて取付けられており、集熱
器を反転して外管１の上方の高周波加熱器１２により、
ゲッタ８のゲッタ材料９をフラッシングし、外管１の内
面に直接ゲッタ膜を形成している。

このとき、外管１の内径を９６ｍｍφ、ゲッタ材料９の
量を２００ ｍｇとした場合、外管１に形成されるゲッ
タ膜は２００ ｃｍ２以下になる。

ここで、ゲッタ８を高周波加熱器１２により加熱する際
、加熱器１２とゲッタ８とが離れすぎるとフラッシング
しにくい。

たとえば、外管１とゲッタ８とが３ｃｍ程度離れるとフ
ラッシングしにくくなるため、ゲッタ８を外管１から２
ｃｍ程度離すと、ゲッタ膜の面積は１２００ｍ２程度と
なり、ゲッタ膜の面積が小さくなるとともに、ゲッタ膜
の中央部が厚くなり、放出ガスの吸着効果が低下するこ
とになる。

このように、従来の太陽熱集熱器は、外管１の内面のゲ
ッタ膜の面積が、外管１の内面とゲッタ８との距離に直
接依存し、距離を大きくとると、ゲッタ８のゲッタ材料
９のフラッシングがしにくくなり、距離を小さくすると
、ゲッタ膜の面積が小さくなるとともに、ゲッタ膜が集
中的になり、不都合である。

しかし、前記実施例によると、ゲッタ８を外管１に近づ
けることができ、そのフラッシングを容易にし、集熱板
６とゲッタ８との間に設けられた反射板１１により、ゲ
ッタ８のゲッタ材料９からの蒸気を外管１の下部内面に
反射させ、一様な膜厚で広範囲にゲッタ膜１３を形成す
ることができる。

たとえば、前述と同様に、内径が９６ｍｍφの外管１内
に２００ ｍｇのゲッタ材料９を用いた場合、反射板１
１により反射されて形成されたゲッタ膜１３は２０００
ｃｒｎ２以上の一様なゲッタ膜１３にすることができ
る。

また、この反射板１１は、ゲッタ８からの蒸気が外管１
の集熱板５の受光側にまわることを防止することができ
るとともに、集熱板５の下面への蒸気の付着を防止する
ことができ、ゲッタ材料９の蒸気の拡散によるゲッタ８
の効果の低下を防止することができる。

したがって、集熱器の構成部材から放出される水素、水
蒸気等の放出ガスを、広範囲に形成されたゲッタ膜１３
によりたとえば５×１Ｏ−４ｔ／ＳｅＣ−Ｃｍ２以上の
吸着速度で吸着することができ、外管１内の真空度を容
易に１０ ’Ｔｏｒｒ以上に保つことができ、高い集熱
効率を常に維持することができるとともに、長寿命化を
計脱ことができる。

なお、前記実施例において、反射板１１を硝子により構
成したが、これは、反射板１１に金属板を用いると、高
周波加熱により金属板が高温になり、ゲッタ８からの蒸
気が金属板に付着結合され、効果が得られなくなるため
である。

以上のように、この考案の太陽熱集熱器によると、透光
性の外管内に同軸的に配設された熱媒体管に、フラット
状の集熱板を接合し、集熱板の下方にゲッタを設けると
ともに、集熱板とゲッタとの間に、ゲッタからの蒸気を
外管の下部内面へ広範囲に反射する反射板を備えたこと
により、外管の下部内面に広範囲に一様なゲッタ膜を形
成することができ、外管の内部の真空度を高真空に保つ
ことができるとともに、集熱効率の低下を防ぐことがで
き、かつ、長寿命化を計ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図の図面はこの考案の太陽熱集熱器の
１実施例を示し、第１図は斜視図、第２図は一部切欠下
面斜視図、第３図は要部斜視図、第４図ａは第１図の切
断側面図、同図すは第１図の一部の切断正面図、第５図
はフラッシング時の切断正面図、第６図は従来の太陽熱
集熱器のフラッシング時の一部の切断正面図である。 １・・・・・・外管、４・・・・・・熱媒体管、５・・
・・・・集熱板、８・・・・・・ゲッタ、１１・・・・
・・反射板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透光性の外管内に同軸的に配設された熱媒体管に、フラ
   ット状の集熱板を接合し、前記集熱板の下方にゲッタを
   設けるとともに、前記集熱板と前記ゲッタとの間に、前
   記ゲッタからの蒸気を前記外管の下部内面へ広範囲に反
   射する反射板を備えた太陽熱集熱器。