JPS5811464Y2 - 切削工具用クイックチェンジスリ−ブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多軸ボール盤等で使用せられるドリル・リーマ
等の切削工具の交換を容易に行なうためのクイックチェ
ンジスリーブに関する。

通常多軸ボール盤については一台の機械に数十本から戒
る複数個の切削工具が取着せられていて、一度の加工で
数十個の孔を穿孔する。

加工に際しては、切削工具を機械の主軸に挿入せしめた
後、該工具の落下を防止するため主軸に取着せられる止
ネジによって切削工具と主軸を係止せしめて加工を行な
う。

加工によって切削工具が摩耗した場合は、主軸の回転を
停止せしめ該主軸に取着せられた前記止ネジを緩めて切
削工具と主軸の係止を解き該工具を主軸から取り外して
交換を行なう。

しかし主軸の回転停止によって上記止ネジが停止する位
置は一定でなく、例えば停止位置が裏側になったり止ネ
ジを緩めるための工具の操作が困難な位置になったりし
た場合は、更に主軸を回転せしめて止ネジの停止位置を
修正しなければならない。

又止ネジの取着位置は各主軸間において必ずしも同一位
置ではないので、交換する工具が多い場合は主軸の回転
操作を数回行なわなければ摩耗した工具全部の交換を完
了することができないといった不具合が生じる。

こういった不必要な主軸の回転操作は多くの時間損失を
発生せしめるばかりでなく、交換作業の安全性の面から
も決して望ましいものではなかった。

このような問題点を解決するため、例えば図１に示すよ
うなりイックチェンジホルダが一般に知られている。

同図はこのクイックチェンジホルダを機械の主軸に取り
付けた断面図を示すもので、このホルダ１はボディ３が
機械の主軸Ａにボルト締めせられていて該ボディ３の下
方部には複数個のボール７が円周方向に封入しである。

更にボディ３の外周には上下方向の移動を行なうカラー
５が外嵌せられていて、このカラーは通常スプリングに
よって下方向に付勢せられている。

ドリル等の切削工具Ｂを内挿するアダプターＣの下方部
の外周には調整ナツト９が螺着しているので切削工具Ｂ
とアダプターＣ及び調整ナツト９は一体物となっている
。

切削工具Ｂを主軸Ａから取り外すには、調整ナツト９を
一方の手で保持し他方の手でカラー５を上方向に押し上
げる。

カラー５の下縁部がボール７の中心部を通過すると該ボ
ール７の外方への移動が可能となるので、調整ナツト９
は自重でボール７を外方へ押しやり主軸Ａとの保合状態
から解除され切削工具Ｂの取り外しが即座にできる。

切削工具Ｂを主軸Ｂに取り付けるには上記取り外しと逆
の操作を行なえばよい。

公知クイックチェンジホルダは次のような欠点を有する
。

即ち、第１に該ホルダは構造が複雑な上に加工精度が要
求されるので製作費が高価なものになり、経済的に望ま
しいものではない。

その上該ホルダは、全体として形状が大きくなるので、
主軸間のピッチの少ない加工には使用することができず
、適用範囲の面で制限を受ける。

更に該ホルダは、加工中に切粉が切削工具を伝って巻き
上り、カラーに絡まりつきカラーを持ち上げる場合があ
る。

斯る場合当然切削工具が該ホルダとの保合を解かれて調
整ナツトと共に落下する。

このため該ナツトはもとより切削工具・加工部材等が破
損するといった不慮の事故を招来する。

従って作業能率と安全性の面からも好ましいものではな
い。

本考案は上記の事情に鑑みなされたもので、その目的と
するところは、製作費の廉価な極めて経済的なりイック
チェンジスリーブを提供することにある。

本考案の他の目的は、形状をコンパクトにして主軸間ピ
ッチの少ない加工にも使用できる極めて適用範囲の広い
クイックチェンジスリーブを提供することである。

更に本考案の目的は、構造が簡単で操作性の優れた極め
て能率的且つ安全性の高いクイックチェンジスリーブを
得ることである。

本考案の特徴は、切削工具と調整ナツトとを具えたアダ
プターを内挿する穿孔機械の主軸において；前記アダプ
ターに外嵌する調整ナツトを下縁内方に周設する鍔縁部
に収容し、該鍔縁部の中央にアダプターに内挿する切削
工具と該アダプターとを挿通する開口とを有し且つ前記
主軸の下方より外嵌せられる筒体型のスリーブであって
、該スリーブはａ、筒体の上縁より下方に切欠した縦ガ
イド溝と、ｂ、該縦ガイド溝より該筒体の円周方向に屈
曲した横ガイド溝及び該横ガイド溝の延長端に形成した
ピン係合孔と、Ｃ０該係合孔より更に円周方向へ延在し
たスリットを具えることによって、前記主軸の局面の一
部に設けである頭部がＴ形の保合ピンを前記縦及び横ガ
イド溝を通じてピン保合孔へ案内せしめることによって
主軸への着脱を行う切削工具用クイックチェンジスリー
ブでである。

以下添付図面に従って本考案の構成実態を詳述する。

第２図に於いて附号Ａで示される公知の穿孔機械の主軸
には切削工具（ドリル）Ｂを具えたアダプターＣが内挿
せられている。

該アダプター〇の下方部は螺設せられていて調整ナツト
１９が螺合している。

該調整ナツト１９は切削工具Ｂの長さを調整するための
もので附号１９′は該調整ナツト１９を固定するための
止ネジである。

主軸Ａの外周の一面には孔体１６が穿設しである迄は公
知の穿孔機械の構造である。

更に、該孔体１６には後述する筒体・係止用のピン１７
が装着している。

附号りは主軸Ａの回転をアダプターＣに伝達するための
キーである。

第３図乃至第５図を参照して本考案の説明を続けると、
図４には本考案に係るクイックチェンジスリーブが全体
として附号１０で示されている。

機械の主軸Ａに挿嵌せられる附号１５で示される筒体は
上縁部から下方向に向って浅く切欠した縦形のガイド溝
２２を形成する。

この縦ガイド溝２２より筒体１５の円周方向に屈曲した
横ガイド溝２４を設ける。

該縦ガイド溝２２は該筒体１５に対して実質的に垂直方
向に形成せられており、該横ガイド溝２４は該縦ガイド
溝２２に対して左方直角方向に形成せられている。

図４では横ガイド溝２４が縦ガイド溝に対して図示左方
向に形成せられているが、右方向に形成せられても差し
支えない。

更に、該横ガイド溝２４には筒体１５を係止するための
係合ピン１７の挿入をスムーズにするためのテーパ部２
６及び丸味を帯びたコーナー２７が設けられている。

尚縦ガイド溝の雨上縁は後述するピン１７の挿入をスム
ーズにする局面取りをしである。

該横ガイド溝２４の延長端には保合ピン１７のＴ形の頭
部１８と係合するピン係合孔２８が形成せられている。

該係合孔２８は図４では横ガイド溝２４の下縁に沿って
形成せられているが、図６の鎖線で示すように上縁に沿
って形成せられても本考案の目的は達成できる。

該係合孔２８は係合ピンのＴ形に厚みを有した頭部１８
と同径であるが、横ガイド溝２４の径より多少太き目に
形成せられている。

一方縦ガイド溝２２の径は保合ピン１７の挿入をスムー
ズを行なうため該ピン１７の頭部１８と同径と若しくは
稍太き目に形成せしめである。

上記の関係を図６に基づいて本考案のスライド溝につい
て詳述すると、縦ガイド溝の径をｄｌ・横ガイド溝の径
をｄ２・ピン保合孔の径をｄ３・係合ピン頭部の径をｄ
４とすると、ｃ１３＝ｃＬ＞ｄ２であり、一方はｄ１≧
ｄ４であるからこれらの関係式はｄ１≧ｄ３＝ｄ４〉ｄ
２で表わすことができる。

従って、各溝の径を上記関係式に適合した寸法公差で製
作することが本考案にとって好ましいのである。

横ガイド溝２４よりピン係合孔２８を経由して、更に円
周方向へ延在した部分には細長いスリット３０が形成せ
られている。

該スリブ） ３０は、上記の通り、横ガイド溝２４が係
合ピン１７の頭部１８の径より稍小さ目に形成せられて
いて該ピン１７の頭部１８とピン係合孔２８との係合に
際して該ピン１７が該横ガイド溝２４を通過する時該ガ
イド溝２４が上方に押し広げられるので、挿入時抵抗に
対処するためのスプリングとしての作用をなす。

スリット３０の終端部にはスリット３０の割れを防止す
るための小孔３２を設けである。

尚第４図に示すスリブ） ３０は横ガイド溝２４の下縁
の延長線上に形成せられているが、該ガイド溝２４の上
縁の延長線上或はピン係合孔２８の中心の延長線上に形
成せられても一部に差し支えなく、要は横ガイド溝２４
の開設方向に面する同一な円周面上に延在していること
が本考案にとって望ましい。

（図６参照）。従って横ガイド溝２４を右方向円周面に
開溝しても本考案の目的が十分達成できることは前述し
た通りである。

前記筒体１５の下縁内方には全周に亙って鍔縁部３５が
設けられている。

該鍔縁部３５は図３に示す如く、該筒体１５内に収容せ
られる切削工具Ｂと調整ナツト１９を具えたアダプター
〇を保持するために設けられたもので、該アダプターＣ
を収容せしめた際該調整ナツト１９の下縁部を着座せし
め調整ナツト以下の上記部品を保持せしめる。

筒体１５は全体或は部分的に焼入れ処理されていること
が望ましく、焼入硬度としてＨＲＣ４０〜４５程度が本
考案にとって好適である。

加工に際して切削工具Ｂを主軸Ａに取り付ける手順とし
ては、まず調整ナツト１９を具えたアダプターＣに切削
工具Ｂを挿嵌せしめた後該切削工具Ｂと一体になったア
ダプターＣを主軸Ａに内挿せしめて切削工具Ｂの長さを
調整し調整ナツト１９を止ネジ１９′によってアダプタ
ーＣに固定する。

次にこのアダプターＣを主軸Ａから取り外して筒体１５
に該筒体の上方より内挿せしめる。

この状態で筒体１５の鍔縁部３５が調整ナツト１９の下
縁部に着嵌し該鍔縁部３５でアダプターＣ・調整ナツト
１９・切削工具Ｂの一連部品を保持することができるの
で、この一連部品と一体となった筒体１５を主軸Ａに下
方より外嵌せしめる。

主軸Ａには係合ピン１７が取着せられているので該筒体
１５の上縁部が該ピン１７に当接する。

従って該筒体１５を回転せしめると該ピン１７が該筒体
１５に形成せしめた縦ガイド溝２２の開口部と係合する
。

尚この場合切削工具Ｂを具えたアダプターＣはキーＤに
よって主軸Ａに係止せられているので回転しない。

この状態で該筒体１５を上方に持ち上げると該ピン１７
は該縦ガイド溝２２に収容せられる。

筒体１５を更に回転せしめると該ピン１７は横ガイド溝
２４を通過してピン係合孔２８と係合する。

これによって筒体１５の主軸Ａへの取り付けが完了する
。

スリット３０が係合ピン１７の横ガイド溝２４通過に際
してスプリングの作用をなすために設けられていること
は前述した通りである。

以上が切削工具Ｂを機械の主軸Ａに取り付ける場合の手
順であるが、該工具Ｂを取り外す場合は取り付けの場合
の逆手順を行なえばよいので説明は省略する。

上記の説明から明らかなように、本考案に係るスライド
タイプのクイックチェンジスリーブは構造が極めて簡単
で且つ加工精度も要求されないので製作費を大巾に減少
せしめることができる。

因みに一般に市販せられるクイックチェンジホルダと比
較すると１本当り約キー士のコストで製作できるメリッ
トがある。

又本考案に係るクイックチェンジスリーブによる切削工
具の交換時間は該工具１本当り僅か数秒で完了するので
、上記のクイックチェンジホルダｉを使用しないで主軸
に具える止ネジを操作して交換せしめる所謂旧来の装置
と比較すると■本当り：約春の時間短縮が期待できる。

更に本考案に係るクイックチェンジスリーブは構造が至
って簡単で且つ精密加工個所もないので、構造が複雑で
且つ精密加工を要求されるクイックチェンジホルダに比
較して破損する危険性も少ない。

又本考案に係るクイックチェンジスリーブは主軸に取着
せられる止ネジを保合ピンと取り替えるだけで旧来の主
軸・アダプター・調整ナツトをそのまま使用できるので
、極めて経済的であると言えよう。

更に又本考案に係るクイックチェンジスリーブは全体を
コパクトにしであるので主軸間ピッチの少ない加工にも
十分に適用できるメリットがある。

本考案によるクイックチェンジスリーブは操作が極めて
単純であるので、能率的であるばかりでなく、危険性も
少ない優れた考案であると言うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、一般に市販せられる公知のクイックチェンジ
ホルダの断面図。 第２図及び第３図は、本考案に係るクイックチェンジス
リーブの半断面図。 第４図は、本考案に係るクイックチェンジスリーブの筒
体の正面図。 第５図は、本考案に係るクイックチェンジスリーブの正
面図。 第６図は、本考案に係るクイックチェンジスリーブのガ
イド溝と係合ピンの拡大図。 Ａは主軸、Ｂは切削工具、Ｃはアダプター、１はクイッ
クチェンジホルダ、５はカラー、７はボール、１０はク
イックチェンジスリーブ、１５は筒体、１７は係合ピン
、１９は調整ナツト、２２は縦ガイド溝、２４は横ガイ
ド溝、２８はピン係合孔、３０はスリット、３５は鍔縁
部。

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）切削工具と調整ナツトとを具えたアダプターを内
   挿する穿孔機械の主軸において；前記アダプターに外嵌
   する調整ナツトを下縁内方に周設する鍔縁部に収容し、
   該鍔縁部の中央にアダプターに内挿する切削工具と該ア
   ダプターとを挿通する開口とを有し且つ前記主軸の下方
   より外嵌せられる筒体型のスリーブであって、 該スリーブは ａ、筒体の上縁より下方に切欠した縦ガイド溝と、ｂ、
   該縦ガイド溝より該筒体の円周方向に屈曲した横ガイド
   溝及び該横ガイド溝の延長端に形成したピン保合孔と、 Ｃ９該保合孔より更に円周方向へ延在したスリット を具えることにより、前記主軸の局面の一部に設けであ
   る頭部がＴ形の保合ピンを前記縦及び横ガイド溝を通じ
   てピン保合孔へ案内せしめることによって主軸への着脱
   を行うことを特徴とする切削工具用クイックチェンジス
   リーブ。
2. （２）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 縦ガイド溝は、筒体の上縁部から下方向に向って垂直方
   向に浅く形成せられていることを特徴とする切削工具用
   クイックチェンジスリーブ。
3. （３）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 横ガイド溝は、縦ガイド溝に対して実質的に直角方向で
   ピンの挿入を容易にするため適宜なテーパを有している
   ことを特徴とする切削工具用クイックチェンジスリーブ
   。
4. （４）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 ピン係合孔は、実質的に横ガイド溝より大きな円によっ
   て形成せられていることを特徴とする切削工具用クイッ
   クチェンジスリーブ。
5. （５）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 ピン保合孔を経由して形成せられるスリットは、横ガイ
   ド溝の開設方向に面する同一な円周面上に延在している
   ことを特徴とする切削工具用クイックチェンジスリーブ
   。
6. （６）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 スリットの延長端に割れ防止用小孔を形成したことを特
   徴とする切削工具用クイックチェンジスリーブ。
7. （７）実用新案登録請求の範囲第１項に記載せるクイッ
   クチェンジスリーブに於いて、 縦ガイド溝の径ｄ工・横ガイド溝の径ｄ２・ピン係合孔
   の径ｄ３並びに係合ピン頭部の径ｄ４の関係がｄ１≧ｄ
   ３＝＝ｃＬ＞ｄ２になるように寸法決めしたスライド溝
   を形成することを特徴とする切削工具用１クイツクチエ
   ンジスリーブ。