JPS581119Y2 - 船舶用推進プロペラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、船舶用推進プロペラの改良に係り、手動及
び自動によるピッチの調整を可能にして、当該プロペラ
の船体への適合を容易に実現せんとするものである。

ところで、船体に装備される推進プロペラは、推進機関
の出力を最も効率よく推力に変換し得るも、のであるこ
とが望１しく、そのためには、装備しようとする船体に
対して、よく適合させておく必要がある。

然して推進プロペラの設計、特にピンチの選定に際して
は、理論計算だけでは不充分であるため、模型試験を併
用するのが通例であるが、それでもなお、船体によく適
合した推進プロペラを得難く、該プロペラを実船に装備
して使用したとき、推進機関に負荷をかけ過ぎたり、或
はまた、予定した航行速度を出し得なかったりすること
がよくある。

本考案は、上記したような従来の問題点に対処して、推
進プロペラの船体への適合、特にピッチの適正化を容易
にするため、翼のピンチ角を変更可能であるようにして
、当該プロペラのピンチを、随時手動的に調整できるよ
うになし、且つまた、その調整後に於ても、荷重度の変
動等に応じて自動的に調整され得るようにしたものであ
る。

以下、これを図面に示す実施例について詳述する。

図に於て１はブラケツト２を介して船体（図示なし）の
下方に支承された推理軸であって、船内の図示しない推
進機関によって回転させられるものとする。

３は上記推進軸１の先端に備えられた内部中空なるボス
であって、これの周囲には、複数枚（図例では３板）の
翼４が、等角度間隔で放射状に配設されている。

然してこれらの各員４は、根元の細首５をもって、ボス
３０周壁に設けられた軸受６から該ボス内へ差し込ｔＸ
その細首５を中心としてピンチ角を変える方向に回動自
在であるよう支持されている。

Ｉはボス３内部の回転中心線上に位置させられた調整軸
であって、一方の軸端部８は、ボス３の前端部内面に設
けた軸受９で、進退及び回転が共に自在なるよう支持さ
れており、他方の軸端部１０は調整ネジ部とされて、ボ
ス３の後端部に設けたネジ受座１１に螺挿され、且つ末
端でボス３の後端部外方へ突出させられて、ロックナツ
ト１２を備える。

またボス３の内部中央における上記の調整軸７上には、
相対向する２板のフランジ状部分１３．１３があって、
その間に、環状の係合溝１４が形成されている。

然して前記した翼４における細首５の先端には、調整軸
Ｉを中心とした円弧状の板バネ１５が、ピン１６等によ
って固定さγ・ている。

この板バネ１５の先端には、該バネの一部を利用するか
或は図示の如く別個の部材をピン１７等で固定して作ら
れた突起体１８が備えられ、該突起体の先端は、前記の
係合溝１４内へ摺動自在に係合されている。

なお、前記した翼４は、上記の突起体１８が係合溝１４
へ係合されている状態に於て、回転中心線と直角の坊向
に対し、ピッチ角αをなすようにされている。

上記した構成に於て、いｔ推進軸１を回転させると、ボ
ス３及びこれに取付けられた翼４も共に回転し、翼４は
、推進軸１を介して伝えられたトルクを推力に変換して
、船体を航行させる。

然して、このようなトルクから推力への変換に強い影響
を与えるピンチは、翼４のピンチ角αによって定會り、
且つこのピンチ角αは、次のようにして変更できる。

ｌず、調整ネジ部１０のロックナツト１２を緩め、次い
で該ネジ部を外部から回転させる。

すると調整軸７の全体は、ネジ部１０のネジ受座１１に
対する移動によって、軸方向に前進もしくは後退する。

このとき、軸上のフランジ状部分１３゜１３も共に軸方
向へ移動するので、係合溝１４に係合されている突起体
１８は、同じくその軸方向へ移動させられようとする。

然るにこの突起体１８は、円弧状の板バネ１５と一体で
あり、且つ該バネは翼４の細首５と一体である。

このため１その突起体１８は、軸方向には移動しないで
、細首５の延長中心線を旋回中心とする如く旋回し、そ
の結果、翼４を細首５の中心線上で回動させて、ピンチ
角αを変化させることになる。

かかるピッチ角αの変更は、必然的にピンチの変化をも
たらす。

従って、宗族された推進プロペラのピンチは、その後に
於ても、調整軸Ｉへの手動的な操作によって、随時に調
整でき、船体との関係に於て最適であるように適正化し
得る。

また、このようにして手動的に調整されたピンチは、次
のような場合、更に自動的に調整される。

即ち、翼４のピンチ角αは、推進機関の出力をできるだ
け大きな推力に変換するため、適当な範囲内に於て最大
限に設定されるのが通例である。

従って推進プロペラにかかる荷重度が、予定した範囲を
越えて増加したとき、例え満載航行時や引船時もしくは
向い風航行時には、翼４の負荷も犬となる。

この負荷は、翼４に対して、これ０）ピッチ角αを減少
させる方向に作用し、練具を、細首５の中心線上で回動
させようとする。

然して、このような翼４０回動は、調整軸７の軸方向移
動を伴なうものでないため、板バネ１５の曲げ変形及び
捩れ変形を起こさせる。

それ故に、上記したような翼４を回動させようとする作
用は、その強さが族バネ１５のバネ弾性を上まわるとき
、練具を回動させてピンチ角αを減少させ、負荷の増加
分を自らによって回避させようとする。

これに対して、荷重度を増加させる原因が除かれたとき
は、翼４の負荷も低下するので、前記の如く変形させら
れていた板バネ１５の復元力によって、翼４は先とは逆
の方向に回動させられ、ピンチ角αを、減少させられた
いた分だけ増加させる。

よって、推進プロペラのピンチは、荷重度の変動に伴な
う上記したようなピンチ角の増減により、自動的にも調
整され、そのときの荷重度に合わせて適正化されること
になる。

以上の如く、本考案は推進プロペラにおける翼のピンチ
角を変更可能となして、該プロペラのピンチを、随時手
動的に調整できるは勿論、自動的にも調整され得るよう
にしたので、このような本考案によれば、推進プロペラ
のピンチを適正化して該プロペラの船体への適合を容易
に実現させ得るのみならず、後における航行条件の変動
、例えば荷重度の変動にもよく適合させることができ、
従って当該プロペラによる機関出力から推力への変換を
最大限に効率よく行なわせ得て、推進機関の過負荷運転
を防止し、且つ予定した航行速度を確実に出させ得る等
の効果を奏する。

なお本考案は、通常のいわゆる可変ピンチプロペラと異
なり、逮癌的に制御操作されるものではないので、構造
簡単であり、従って比較的に小型の船舶用として、安価
に採用させ得る効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す欠截背面図、第２図は第
１図のＡ−Ａ線よりみた要部の断面図、第３図は同Ｂ−
Ｂ線よりみた拡大底面図である。 １・・・・・・推進軸、３・・・・・・ボス、４・・・
・・・翼、５・・・・・・細首、７・・・・・・調整軸
、１４・・・・・・係合溝、１５・・・・・・板バネ、
１８・・・・・・突起体、α・・・・・・ピンチ角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 推進軸端のボスの周囲に配置される複数枚の翼が、夫々
   の細首をもって、ピンチ角を変更する方向に回動自在な
   るよう支持されると共に、上記したボスの内部の回転中
   心線上には、環状の係合溝を有する調整軸が、外部から
   軸方向へ進退させ得る如く収められ、前記細首の内端に
   備えられて上記調整軸を中心に円弧状とされた板バネの
   先端部分が、上記の係合溝に係合されていることを特徴
   とする船舶用推進プロペラ。