JPH1183845A - 粘着異物の測定方法 - Google Patents

粘着異物の測定方法

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JPH1183845A
JPH1183845A JP23708297A JP23708297A JPH1183845A JP H1183845 A JPH1183845 A JP H1183845A JP 23708297 A JP23708297 A JP 23708297A JP 23708297 A JP23708297 A JP 23708297A JP H1183845 A JPH1183845 A JP H1183845A
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泰幸 松下
Mitsuhiro Sugino
光広 杉野
Koichi Tabei
宏一 田部井
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Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロース繊維スラリーまたは紙中に含まれ
る高粘着性粘着異物の個数を簡便に測定する方法を提供
する。 【解決手段】 セルロース繊維スラリーまたは紙中に含
まれる混入異物を分離した後、粘着異物に対する付着性
の低いシート状物上に集め、乾燥する。続いて、粘着異
物に対する付着性が高い別のシート状物を被せ、二枚の
シート状物の間に該混入異物を挟み常温以上の温度で加
圧処理する。冷却後に該シート状物を付着面で二枚に分
離した後、付着性の高いシート状物に付着した高粘着性
粘着異物の個数を計測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース繊維スラ
リーに含まれている粘着異物の測定方法に関するもので
ある。さらに詳しくは紙を製造または利用する際にトラ
ブルの原因となる高粘着性粘着異物の測定方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】各種パルプは、一般的に植物原料や古紙
を機械的および/または化学的に処理してセルロース性
繊維を選択的に繊維状にバラバラに取り出すことによっ
て製造される。
【0003】しかしながら、製造したパルプには望まし
くない色々な異物が混入している。例えば、主に機械的
処理によって製造されるメカニカルパルプにはトリグリ
セライド、アビエチン酸などの抽出成分や樹皮等、古紙
パルプには原料となる古紙に混入している粘着剤、接着
剤、粘着テープ、雑誌の背糊、ビニールテープなどが挙
げられる。
【0004】これら異物のうち粘着性を有しているもの
(本明細書では粘着異物と記す)は製品である紙の外観
を悪化させるだけでなく、抄紙工程やその後の塗工機に
よる塗布工程等において、紙切れを起こし、印刷機で印
刷する場合にはインキ抜け、紙剥け、断紙等の主要因と
なっている。
【0005】特に粘着性の高い粘着異物が各種の紙の製
造、使用工程において有害であり、これを本明細書では
高粘着性粘着異物と記すこととする。
【0006】以上のことから、製紙工場では抄紙機に製
紙原料を送る前に、各種の精選装置で製紙原料のサスペ
ンジョンを処理して予め粘着異物を除去しているが、現
状の精選装置の処理能力では粘着異物を完全に除去する
ことが難しく、上記のごときトラブルの原因となってい
る。
【0007】上記のごときトラブルの対策を講じる上
で、パルプおよび製紙原料中に混入している粘着異物の
数量や性状を把握することは大変重要である。
【0008】これまでの粘着異物を測定する方法として
は、(1)一定量のパルプを溶剤抽出し、抽出成分の重
量から推定する方法、(2)試料パルプを手抄きし、ホ
ットプレスにより熱溶融物の溶融面積を求める方法、ま
た、異物の少ないサンプルに対しては、まず、テスト用
フラットスクリーン処理し、そのリジェクト分を手抄き
シートに抄き込み、ホットプレスにより熱溶融物の溶融
面積を求める方法、(3)一定量のパルプスラリーを円
筒容器中で攪拌し、円筒側面に取り付けられたフェルト
ファブリックなどに粘着異物を付着させ、その重量を求
める方法、(4)テスト用フラットスクリーンで異物を
セルロース繊維から分離し、目視や顕微鏡下で触針して
個々の異物の粘着性の有無を確認しながら粘着異物を数
える方法、などが一般的に知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の方法には次のような欠点がある。(1)の方法に
は測定値に粘着異物以外の溶解している抽出成分を含ん
でいる可能性が常につきまとう。(2)の方法では熱溶
融物は古紙由来の常温では粘着性を持たないホットメル
トや他のプラスチック類が主体であるが、久保田氏が
「紙パルプの技術第45巻 第1号 27ページ」に報
告しているように、粘着異物のうち10〜15%しか熱
溶融しない。したがって、有害である粘着異物全部を測
定していることにはならない。
【0010】(3)の方法は製紙工場の精選工程を経て
来たパルプの粘着異物量は非常に少なくファブリックの
重量変化が僅かとなり、測定誤差が大きく出やすい。
(4)の方法は久保田氏が「紙パルプの技術 第45巻
第1号 27ページ」に報告しているが、粘着異物の
判定を人の目で行うため、作業員に多大な負担をかける
ことになり、また、長時間を要する。
【0011】また、粘着異物には粘着性の低いものから
高いものまで含まれている。実際トラブルの原因となる
粘着異物は粘着性の高い高粘着性粘着異物であるが、上
記(1)から(4)の方法では個々の粘着異物の粘着性
を客観的に評価するのが困難であり、本来、最も必要な
情報である高粘着性粘着異物の個数を求めることは不可
能である。
【0012】この発明は、上記のごとき従来法に付随す
る欠点を解消するべく、最も必要な情報である高粘着性
粘着異物の個数を、簡単かつ短時間の操作で測定できる
測定方法を提供するためになされたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明はパルプ中に含ま
れる粘着異物の測定方法について、鋭意研究を重ねた結
果、粘着異物の付着性を利用すれば、簡単な操作で、か
つ、短時間で測定できることを見いだし、この知見にも
とづいて本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、下記の第一工程から
第五工程よりなることを特徴とする高粘着性粘着異物の
測定方法である。
【0015】(第一工程) セルロース繊維スラリーに
含まれる混入異物を分離する。 (第二工程) 該混入異物を、粘着異物に対する付着性
が異なる二枚のシート状物のうち付着性の低い一方の該
シート状物上に集め、乾燥後、粘着異物に対する付着性
の高い該シート状物を被せ、二枚のシート状物の間に該
混入異物を挟む。 (第三工程) 二枚の該シート状物に挟まれた該混入異
物を、該高粘着性粘着異物が付着性の高い該シート状物
に付着するように常温以上の温度で加圧処理に付す。 (第四工程) 冷却後該シート状物を付着面で二枚に分
離する。 (第五工程) 付着性の高い該シート状物に付着した高
粘着性粘着異物の個数を計測する。
【0016】本測定方法は、粘着異物に対する付着性の
高い物体に付着した高粘着性粘着異物のみを数える方法
であり、実際にトラブルとなる粘着異物の個数を測定す
ることができる。
【0017】また、粘着異物に対する付着性の高い物体
には高粘着性粘着異物のみ付着しているので、触針する
ことなく測定ができ、労力が少なくてすむ。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において測定可能なパルプ
原料としては紙またはパルプを製造できる原料ならば如
何なるものでもよい。また、異物を集める装置はスクリ
ーン、重量クリーナー、軽量クリーナーなど、パルプか
ら異物を分離することができるものならなんでも使用で
きるが、テスト用フラットスクリーンを用いると効率的
にセルロース繊維と異物とを分離する事ができる。また
そのスリット幅は1000分の6インチ程度が望まし
い。処理量は絶乾重量100g以上あれは可能である。
【0019】本発明の第二工程で異物を挟む材料は、粘
着異物に対する付着性の異なる2種類の物体を任意に選
択できるが、2種類の付着性の差はある程度大きい方が
望ましい。したがって、粘着異物に対する付着性の低い
物体としてはテフロン系、シリコーン系、ガラス繊維製
濾紙、ガラス繊維製濾紙にテフロン等をスプレーで塗布
したものなどが良く、粘着異物に対する付着性の高い物
体としてはセルロース繊維濾紙が望ましい。また、粘着
異物に対する付着性の低い物体質の形状がフィルターに
なっていれば、分離した異物を効率的に測定に供するこ
とができる。
【0020】第三工程の加熱と加圧は同時に行っても良
いし、加熱してから加圧しても良いが、詳しい条件は異
物を挟む二枚の物体の性質により異なる。従って、トラ
イアンドエラーをしなければいけないが、数回行えば簡
単に最適な条件を見つけることができる。
【0021】第四工程として冷却後シート状物を付着面
で2枚に分離した後、粘着異物に対する付着性の高い物
質に付着してきたものは、トラブルの原因となる高粘着
性粘着異物のみであり、この数を数えれば、触針するこ
となく直ちに高粘着性粘着異物の個数を測定することが
できる。
【0022】
【発明の効果】本発明方法によりセルロース繊維スラリ
ー中の粘着異物の個数を測定すると、実際にトラブルと
なる高粘着性粘着異物個数を非常に簡単で、かつ、短時
間で行うことができる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、本発明は勿論かかる実施例に限定される
ものではない。
【0024】実施例 製紙工場から入手した10サンプルについて、絶乾重量
1kgの製紙原料を低濃度のスラリーに調製し、それぞ
れ1000分の6インチのスリット幅を持つテスト用フ
ラットスクリーンを用いて製紙原料から異物を分離し
た。それらの異物をテフロンスプレーで表面をテフロン
コートしたガラス繊維製濾紙(以下甲と略記する)を用
いて濾過し、異物を乾燥させた後、セルロース繊維製濾
紙(以下乙と略記する)を、異物を挟むように、上に載
せ、105℃にまで加熱し、直ちに3.5kg/cm2
で5分間加圧した。甲と乙とを異物付着面で剥がし、乙
に付着した粘着異物の個数を計測した。
【0025】比較例 実施例と同じ10サンプルを用い、同様の方法で異物を
分離した後、異物を広葉樹漂白クラフトパルプに混入
し、手抄紙を調製した。この手抄紙シートを顕微鏡下で
触針して粘着異物の個数をを計測した。
【0026】実施例、比較例の結果および製造工程での
トラブルの発生頻度も第1表に示した。
【0027】
【表1】
【0028】乙に付着した粘着異物個数を測定するのに
要する時間は1時間以内であり、従来法の測定時間は約
5時間であった。
【0029】従来法で測定した個数はAよりBのサンプ
ルの方が粘着異物個数が多かった。しかしながら、トラ
ブルの発生頻度はAの方が多く、測定結果とトラブル発
生頻度との相関がとれておらず、トラブルの原因が解明
できなかった。同じことはAとJの間にも言える。しか
しながら、本発明の測定法で測定すると、Aの方がBよ
りも高粘着性粘着物がかなり多く含まれていることがわ
かり、実際のトラブルの発生頻度とは良い相関を示し
た。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙を製造または利用する際にトラブルの
    原因となる高粘着性粘着異物の測定において、下記の第
    一工程から第五工程よりなることを特徴とする高粘着性
    粘着異物の測定方法。 (第一工程)セルロース繊維スラリーに含まれる混入異
    物を分離する。 (第二工程)該混入異物を、粘着異物に対する付着性の
    異なる二枚のシート状物のうち付着性の低い一方の該シ
    ート状物上に集め、乾燥後、粘着異物に対する付着性が
    高い他方の該シート状物を被せ、二枚のシート状物の間
    に該混入異物を挟む。 (第三工程)二枚の該シート状物に挟まれた該混入異物
    を、該高粘着性粘着異物が該付着性の高いシート状物に
    付着するように常温以上の温度で加圧処理に付す。 (第四工程)冷却後に該シート状物を付着面で二枚に分
    離する。 (第五工程)付着性の高い該シート状物に付着した高粘
    着性粘着異物の個数を計測する。
  2. 【請求項2】 付着性の低い該シート状物の少なくとも
    片方の表面がテフロン系および/またはシリコーン系の
    物体である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 付着性の低い該シート状物がガラス繊維
    製の濾紙である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 付着性の高い該シート状物がセルロース
    繊維製の濾紙である請求項1から3のいずれか一項に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 該セルロース繊維の中に再生パルプが含
    まれている請求項1から4のいずれか一項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 該セルロース繊維の中に機械パルプが含
    まれている請求項1から4のいずれか一項に記載の方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006184118A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Marusumi Paper Co Ltd 新聞用紙
JP2008297661A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Asahi Glass Co Ltd 紙の品質管理方法、並びにフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の保管用合紙及び/又は搬送用合紙の製造方法

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