JPH117427A - 非同期式ディジタルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式ディジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理方法 - Google Patents
非同期式ディジタルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式ディジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理方法Info
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- JPH117427A JPH117427A JP9173086A JP17308697A JPH117427A JP H117427 A JPH117427 A JP H117427A JP 9173086 A JP9173086 A JP 9173086A JP 17308697 A JP17308697 A JP 17308697A JP H117427 A JPH117427 A JP H117427A
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- G—PHYSICS
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い信頼性を確保しつつ、処理速度を向上す
ること。 【解決手段】 チップの全体を所定面積のブロックに分
割し、各ブロック間の接続部にはDI(Delay Insensit
ive)モデルまたはQDI(Quasi Delay Insensitive)
モデルを適用して形成し、各ブロックはSDI(Scalab
le Delay Insensitive)モデルを適用して形成する。S
DIモデルでは、部分回路7の信号遷移bの方が部分回
路8の信号遷移cよりも先に生じると仕様上定められて
いる場合に、共通の原因となる信号遷移aが発生してか
ら信号遷移bが発生するまでの時間Tabと、信号遷移
aが発生してから信号遷移cが発生するまでの時間Ta
cとの間に、k・Tab<Tacが成立するような設計
時推定遅延を有する回路構成要素によってシステムを構
成する。ここで、kは定数であり、1よりも大きい実数
として定義される。
ること。 【解決手段】 チップの全体を所定面積のブロックに分
割し、各ブロック間の接続部にはDI(Delay Insensit
ive)モデルまたはQDI(Quasi Delay Insensitive)
モデルを適用して形成し、各ブロックはSDI(Scalab
le Delay Insensitive)モデルを適用して形成する。S
DIモデルでは、部分回路7の信号遷移bの方が部分回
路8の信号遷移cよりも先に生じると仕様上定められて
いる場合に、共通の原因となる信号遷移aが発生してか
ら信号遷移bが発生するまでの時間Tabと、信号遷移
aが発生してから信号遷移cが発生するまでの時間Ta
cとの間に、k・Tab<Tacが成立するような設計
時推定遅延を有する回路構成要素によってシステムを構
成する。ここで、kは定数であり、1よりも大きい実数
として定義される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、非同期式
演算処理装置(CPU)、非同期式ディジタル信号処理
プロセッサ(DSP)、非同期式レジスタ等の各種非同
期式ディジタル信号処理に用いて好適な非同期式ディジ
タルシステム及び非同期式ディジタル信号処理回路及び
非同期式ディジタル信号処理方法に関する。
演算処理装置(CPU)、非同期式ディジタル信号処理
プロセッサ(DSP)、非同期式レジスタ等の各種非同
期式ディジタル信号処理に用いて好適な非同期式ディジ
タルシステム及び非同期式ディジタル信号処理回路及び
非同期式ディジタル信号処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、広く普及しているディジタルシス
テムは、クロック信号を用いた同期式システムとして構
成されている。即ち、レジスタ等の記憶素子に外部から
所定周期のクロック信号を与えることにより、データの
読み出しタイミング及び書き込みタイミングを制御して
いる。このような同期式ディジタルシステムでは、信号
変化に伴う過渡現象をクロックの使用によって隠すこと
ができるため、論理設計が簡単であり、自動化も容易と
なる。
テムは、クロック信号を用いた同期式システムとして構
成されている。即ち、レジスタ等の記憶素子に外部から
所定周期のクロック信号を与えることにより、データの
読み出しタイミング及び書き込みタイミングを制御して
いる。このような同期式ディジタルシステムでは、信号
変化に伴う過渡現象をクロックの使用によって隠すこと
ができるため、論理設計が簡単であり、自動化も容易と
なる。
【0003】しかし、システム全体にクロックを分配す
る同期式ディジタルシステムは、以下に述べるような種
々の課題を抱えている。
る同期式ディジタルシステムは、以下に述べるような種
々の課題を抱えている。
【0004】まず、第1に、同期式ディジタルシステム
では、クロックスキューの問題を考慮しなければならな
い。クロックスキューとは、2つの素子にクロックが到
着する時間差の絶対値である。クロックスキューの値が
大きい場合は、正しいデータ転送が行われなくなるた
め、誤動作の原因となる。例えば、転送元ラッチのクロ
ックが、転送先ラッチのクロックよりも速く到着した場
合には、転送先ラッチがデータを取り込む前に、転送元
ラッチの出力データが変更されるため、誤動作を生じ
る。逆に、転送先ラッチのクロックが、転送元ラッチの
クロックよりも速く到着した場合には、転送元ラッチの
出力データが更新される前に転送先ラッチがデータを取
り込むため、該転送先ラッチは、古いデータを続けて取
り込んでしまい、誤動作を生じる。このように、同期式
ディジタルシステムでは、タイミングフォールトを防止
すべく、素子内を伝播する時間、次段の素子に到達する
までの時間、セットアップ時間等を考慮して、十分に長
いクロック周期を採用する必要がある。
では、クロックスキューの問題を考慮しなければならな
い。クロックスキューとは、2つの素子にクロックが到
着する時間差の絶対値である。クロックスキューの値が
大きい場合は、正しいデータ転送が行われなくなるた
め、誤動作の原因となる。例えば、転送元ラッチのクロ
ックが、転送先ラッチのクロックよりも速く到着した場
合には、転送先ラッチがデータを取り込む前に、転送元
ラッチの出力データが変更されるため、誤動作を生じ
る。逆に、転送先ラッチのクロックが、転送元ラッチの
クロックよりも速く到着した場合には、転送元ラッチの
出力データが更新される前に転送先ラッチがデータを取
り込むため、該転送先ラッチは、古いデータを続けて取
り込んでしまい、誤動作を生じる。このように、同期式
ディジタルシステムでは、タイミングフォールトを防止
すべく、素子内を伝播する時間、次段の素子に到達する
までの時間、セットアップ時間等を考慮して、十分に長
いクロック周期を採用する必要がある。
【0005】第2に、同期式ディジタルシステムでは、
素子の処理速度が高速化しても、その高速化の利益を十
分に享受することができない。つまり、近年では、半導
体・集積回路技術の驚異的な進歩により、素子の処理速
度が向上する一方で、全体のシステム規模が大きくなっ
ている。従って、従来問題とされていた素子遅延より
も、配線遅延の方が設計における支配的要因となってき
ている。クロックを用いる同期式ディジタルシステムで
は、配線遅延の短縮が困難であるため、より高速な素子
が将来開発された場合でも、この高速な素子を用いてシ
ステム性能を向上させるのが難しい。
素子の処理速度が高速化しても、その高速化の利益を十
分に享受することができない。つまり、近年では、半導
体・集積回路技術の驚異的な進歩により、素子の処理速
度が向上する一方で、全体のシステム規模が大きくなっ
ている。従って、従来問題とされていた素子遅延より
も、配線遅延の方が設計における支配的要因となってき
ている。クロックを用いる同期式ディジタルシステムで
は、配線遅延の短縮が困難であるため、より高速な素子
が将来開発された場合でも、この高速な素子を用いてシ
ステム性能を向上させるのが難しい。
【0006】第3に、同期式ディジタルシステムでは、
システム全体にクロックを分配して瞬時かつ一斉に状態
を変更させるため、電力消費の低減が難しい。従って、
例えば、携帯情報端末や携帯電話等の各種携帯用ディジ
タルシステムに対する電力消費低減の市場要求に十分対
応することが難しい。
システム全体にクロックを分配して瞬時かつ一斉に状態
を変更させるため、電力消費の低減が難しい。従って、
例えば、携帯情報端末や携帯電話等の各種携帯用ディジ
タルシステムに対する電力消費低減の市場要求に十分対
応することが難しい。
【0007】第4に、同期式ディジタルシステムでは、
電源電圧や周囲温度等の環境変化に比較的弱いという問
題がある。つまり、電圧や温度等の環境変化によって素
子の処理速度等が変動すると、クロックとのタイミング
が合わなくなり、誤動作を招来する可能性がある。従っ
て、同期式ディジタルシステムでは、電圧管理回路やC
PUクーラ等の環境管理コストを必要とする。
電源電圧や周囲温度等の環境変化に比較的弱いという問
題がある。つまり、電圧や温度等の環境変化によって素
子の処理速度等が変動すると、クロックとのタイミング
が合わなくなり、誤動作を招来する可能性がある。従っ
て、同期式ディジタルシステムでは、電圧管理回路やC
PUクーラ等の環境管理コストを必要とする。
【0008】一方、クロックを用いない非同期式のディ
ジタルシステムも知られている。コンピュータの黎明期
である1940年代には、真空管やリレーを用いた非同
期式プロセッサが既に開発されている。非同期式のディ
ジタルシステムは、前処理が終了してから次の処理を行
うという事象駆動型のシステムである。
ジタルシステムも知られている。コンピュータの黎明期
である1940年代には、真空管やリレーを用いた非同
期式プロセッサが既に開発されている。非同期式のディ
ジタルシステムは、前処理が終了してから次の処理を行
うという事象駆動型のシステムである。
【0009】従って、非同期式ディジタルシステムは、
クロック信号の到着を待たずに次処理が可能であるた
め、素子の高速化による利益を享受することができる。
また、非同期式ディジタルシステムでは、必要な時に必
要な場所でのみ信号遷移が生じるため、信号遷移がなけ
れば電力消費を殆ど生じないCMOS・LSIを用いる
ことにより、電力消費を大幅に低減することができる。
さらに、予測不能な遅延変動の影響を受けにくいため、
環境変化に対して強く、環境管理コストを低減したり、
宇宙や深海等の極限状況下で安定した作動を得ることも
できる。
クロック信号の到着を待たずに次処理が可能であるた
め、素子の高速化による利益を享受することができる。
また、非同期式ディジタルシステムでは、必要な時に必
要な場所でのみ信号遷移が生じるため、信号遷移がなけ
れば電力消費を殆ど生じないCMOS・LSIを用いる
ことにより、電力消費を大幅に低減することができる。
さらに、予測不能な遅延変動の影響を受けにくいため、
環境変化に対して強く、環境管理コストを低減したり、
宇宙や深海等の極限状況下で安定した作動を得ることも
できる。
【0010】ここで、信号遷移が仕様で定められた範囲
を越えて生じると、即ち、タイミングフォールトが発生
すると、回路は誤動作する可能性がある。このため、デ
ィジタルシステムの設計に際しては、同期式・非同期式
にかかわらず、使用するデバイス技術、論理設計手法、
レイアウト方法、実装方法、システムの稼働環境等を考
慮して、素子や配線の遅延に対する合理的な仮定を採用
し、その仮定のもとで正しく動作する回路を設計しなけ
ればならない。
を越えて生じると、即ち、タイミングフォールトが発生
すると、回路は誤動作する可能性がある。このため、デ
ィジタルシステムの設計に際しては、同期式・非同期式
にかかわらず、使用するデバイス技術、論理設計手法、
レイアウト方法、実装方法、システムの稼働環境等を考
慮して、素子や配線の遅延に対する合理的な仮定を採用
し、その仮定のもとで正しく動作する回路を設計しなけ
ればならない。
【0011】起こり得る遅延変動に対して悲観的な遅延
仮定を採用すれば、テクノロジマッピングやレイアウト
時の遅延制約が少なくなるが、回路量が増加し、速度が
低下する。逆に、楽観的な遅延仮定を採用すれば、テク
ノロジマッピングやレイアウト時に厳しい制約が課せら
れることになる。もちろん、使用するデバイスの性質と
遅延仮定とが適合していなければ、信頼性、回路量、速
度、設計の容易さのすべての点で無駄ができる。
仮定を採用すれば、テクノロジマッピングやレイアウト
時の遅延制約が少なくなるが、回路量が増加し、速度が
低下する。逆に、楽観的な遅延仮定を採用すれば、テク
ノロジマッピングやレイアウト時に厳しい制約が課せら
れることになる。もちろん、使用するデバイスの性質と
遅延仮定とが適合していなければ、信頼性、回路量、速
度、設計の容易さのすべての点で無駄ができる。
【0012】最も悲観的な遅延仮定は、「配線遅延・素
子遅延は有限であるが、その上限値は未知である」とす
るDI(Delay Insensitive)モデルである。しかし、
このDIモデルのもとでは、分岐と単一出力素子だけを
用いる場合、実用的な回路は構成できないことが知られ
ている。
子遅延は有限であるが、その上限値は未知である」とす
るDI(Delay Insensitive)モデルである。しかし、
このDIモデルのもとでは、分岐と単一出力素子だけを
用いる場合、実用的な回路は構成できないことが知られ
ている。
【0013】上記DIモデルに「配線の分岐があった場
合、各分岐先への信号到達時間差が無視できる」とする
仮定を加えると、任意の実用的な回路を構成できる。こ
れをQDI(Quasi Delay Insensitive)モデルとい
う。
合、各分岐先への信号到達時間差が無視できる」とする
仮定を加えると、任意の実用的な回路を構成できる。こ
れをQDI(Quasi Delay Insensitive)モデルとい
う。
【0014】なお、非同期式ディジタルシステムについ
ては、例えば、(1)南谷 崇,“非同期式プロセッサ
ー超高速VLSIシステムを目指して”情報処理,vol3
4,no.1,pp.72-80,Jan,1993、(2)S.B.Furber,P.Day,
J.D.Garside,N.C.Paver,and J.V.Woods,“AMULET1:A mi
cropipelined ARM,”in Proc.IEEE Computer Conf.,pp.
476-485,March 1994、(3)T.Nanya,Y.Ueno,H.Kagotan
i,M.Kuwako,and A.Takamura,“TITAC:Design of quasi-
delay-insensitivemicroprocessor,”IEEE Design & Te
st of Computers,vol.11,no.2,pp.50-63,1994、(4)
上野洋一郎,高村明裕,小澤邦彦,篭谷裕人,桑子雅
史,南谷崇,“非同期式プロセッサTITACの設計と
評価,”信学技報,FTS94-26,April 1994、(5)上野
洋一郎,高村明裕,南谷崇,“非同期式プロセッサTI
TACの遅延非依存性,”1995年総全大,分冊1,no.D-
140,March 1995等に詳しい。
ては、例えば、(1)南谷 崇,“非同期式プロセッサ
ー超高速VLSIシステムを目指して”情報処理,vol3
4,no.1,pp.72-80,Jan,1993、(2)S.B.Furber,P.Day,
J.D.Garside,N.C.Paver,and J.V.Woods,“AMULET1:A mi
cropipelined ARM,”in Proc.IEEE Computer Conf.,pp.
476-485,March 1994、(3)T.Nanya,Y.Ueno,H.Kagotan
i,M.Kuwako,and A.Takamura,“TITAC:Design of quasi-
delay-insensitivemicroprocessor,”IEEE Design & Te
st of Computers,vol.11,no.2,pp.50-63,1994、(4)
上野洋一郎,高村明裕,小澤邦彦,篭谷裕人,桑子雅
史,南谷崇,“非同期式プロセッサTITACの設計と
評価,”信学技報,FTS94-26,April 1994、(5)上野
洋一郎,高村明裕,南谷崇,“非同期式プロセッサTI
TACの遅延非依存性,”1995年総全大,分冊1,no.D-
140,March 1995等に詳しい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の非同期式ディジタルシステムでは、システム全体に
対して、DIモデルまたはQDIモデルを遅延仮定とし
て採用している。確かに、非常に大きなファンアウトを
有する素子や、チップの隅から隅への配線が発生しうる
のであれば、このような素子や配線の遅延上限値は未知
であると仮定するのが適切である。
来の非同期式ディジタルシステムでは、システム全体に
対して、DIモデルまたはQDIモデルを遅延仮定とし
て採用している。確かに、非常に大きなファンアウトを
有する素子や、チップの隅から隅への配線が発生しうる
のであれば、このような素子や配線の遅延上限値は未知
であると仮定するのが適切である。
【0016】しかし、非常に大きなファンアウトをもつ
素子やチップの隅から隅にわたる配線は、システム全体
の中では非常に少ない。残る殆どの素子や配線に関して
は、テクノロジマッピングやレイアウトに際して適当な
制約を課すことで、遅延変動の範囲を予測することがで
きると考えられる。
素子やチップの隅から隅にわたる配線は、システム全体
の中では非常に少ない。残る殆どの素子や配線に関して
は、テクノロジマッピングやレイアウトに際して適当な
制約を課すことで、遅延変動の範囲を予測することがで
きると考えられる。
【0017】つまり、システム全体にQDIモデルを一
律に適用する従来技術では、常に前処理の完了を確認し
てから次処理を実行するため、温度変化等によって実際
の遅延が大幅に変動した場合でも、安定した作動を行う
ことができ、高い信頼性を実現することができる。しか
し、一方、従来技術による非同期式ディジタルシステム
では、処理完了を確認するための時間を必要とするた
め、同期式ディジタルシステムに比較して処理速度が低
下する可能性もある。
律に適用する従来技術では、常に前処理の完了を確認し
てから次処理を実行するため、温度変化等によって実際
の遅延が大幅に変動した場合でも、安定した作動を行う
ことができ、高い信頼性を実現することができる。しか
し、一方、従来技術による非同期式ディジタルシステム
では、処理完了を確認するための時間を必要とするた
め、同期式ディジタルシステムに比較して処理速度が低
下する可能性もある。
【0018】本発明は、上記のような種々の課題に鑑み
なされたものであり、その目的は、高い信頼性を確保し
つつ処理速度を向上できるようにした非同期式ディジタ
ルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式デ
ィジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理
方法を提供することにある。
なされたものであり、その目的は、高い信頼性を確保し
つつ処理速度を向上できるようにした非同期式ディジタ
ルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式デ
ィジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理
方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明に係る非同期式ディジタルシステムは、
新たな遅延仮定を導入することにより、十分な信頼性を
保持しつつ、処理速度を向上している。
すべく、本発明に係る非同期式ディジタルシステムは、
新たな遅延仮定を導入することにより、十分な信頼性を
保持しつつ、処理速度を向上している。
【0020】即ち、請求項1に係る発明では、システム
全体に分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非
同期式ディジタルシステムであって、前記システムは、
所定の面積を超えない複数のサブシステムに分割し、前
記各サブシステム間は、遅延の上限値は未知であるとす
る第1の遅延モデルを適用して形成し、前記各サブシス
テムは、遅延の上限値は未知であるが任意の2つの遅延
の変動率の比の上限値は既知であるとする第2の遅延モ
デルを適用してそれぞれ形成したことを特徴としてい
る。
全体に分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非
同期式ディジタルシステムであって、前記システムは、
所定の面積を超えない複数のサブシステムに分割し、前
記各サブシステム間は、遅延の上限値は未知であるとす
る第1の遅延モデルを適用して形成し、前記各サブシス
テムは、遅延の上限値は未知であるが任意の2つの遅延
の変動率の比の上限値は既知であるとする第2の遅延モ
デルを適用してそれぞれ形成したことを特徴としてい
る。
【0021】通常の同期式ディジタルシステムでは、シ
ステム全体に同期信号を分配し、この同期信号によって
回路状態を瞬時かつ一斉に変化させているが、通常の非
同期式ディジタルシステムでは、このような同期信号を
用いず、前処理が完了したことを確認してから次処理を
行うようになっている。しかし、前処理からのデータ到
着を確認してから次処理を行うため、確認のための回路
を必要とし、処理速度の向上を図れないおそれもある。
ステム全体に同期信号を分配し、この同期信号によって
回路状態を瞬時かつ一斉に変化させているが、通常の非
同期式ディジタルシステムでは、このような同期信号を
用いず、前処理が完了したことを確認してから次処理を
行うようになっている。しかし、前処理からのデータ到
着を確認してから次処理を行うため、確認のための回路
を必要とし、処理速度の向上を図れないおそれもある。
【0022】ここで、第1の遅延モデルは、配線遅延・
素子遅延は有限であるが、その上限値は未知であるとい
うモデルであり、例えば、DIモデルやQDIモデルが
該当する。この第1の遅延モデルでは、遅延上限値を未
知のものとして扱うため、前処理の完了を確認してから
次処理を行う。各サブシステム間では、第1の遅延モデ
ルが適用されて形成される。つまり、各サブシステム間
の配線等は、その遅延上限値が未知であると仮定した場
合に動作するように設計される。従って、例えば、LS
Iチップの隅から隅にわたる長い配線が存在する場合で
も、安定した作動を保証することができる。
素子遅延は有限であるが、その上限値は未知であるとい
うモデルであり、例えば、DIモデルやQDIモデルが
該当する。この第1の遅延モデルでは、遅延上限値を未
知のものとして扱うため、前処理の完了を確認してから
次処理を行う。各サブシステム間では、第1の遅延モデ
ルが適用されて形成される。つまり、各サブシステム間
の配線等は、その遅延上限値が未知であると仮定した場
合に動作するように設計される。従って、例えば、LS
Iチップの隅から隅にわたる長い配線が存在する場合で
も、安定した作動を保証することができる。
【0023】第2の遅延モデルは、遅延の上限値は未知
であるが、任意の2つの遅延変動率の比の上限値は既知
であるとするモデルであり、比例遅延変動モデル(SD
Iモデル:Scalable Delay Insensitive model)と称さ
れる。比例遅延変動モデルでは、遅延自体は未知である
が、ある2つの遅延に着目すると、これら2つの遅延の
相対的な変動の幅には上限があると仮定するのである。
各サブシステム内は、第2の遅延モデルに従って形成さ
れる。第1の遅延モデルよりも楽観的な第2の遅延モデ
ルに基づいて論理設計を行うことにより、処理速度を向
上させることができる。
であるが、任意の2つの遅延変動率の比の上限値は既知
であるとするモデルであり、比例遅延変動モデル(SD
Iモデル:Scalable Delay Insensitive model)と称さ
れる。比例遅延変動モデルでは、遅延自体は未知である
が、ある2つの遅延に着目すると、これら2つの遅延の
相対的な変動の幅には上限があると仮定するのである。
各サブシステム内は、第2の遅延モデルに従って形成さ
れる。第1の遅延モデルよりも楽観的な第2の遅延モデ
ルに基づいて論理設計を行うことにより、処理速度を向
上させることができる。
【0024】このように、本発明では、各サブシステム
内は楽観的な第2の遅延モデルによりそれぞれ論理設計
を行い、各サブシステム間は悲観的な第1の遅延モデル
により論理設計を行う。これにより、信頼性を確保しつ
つ処理速度を向上させることができる。
内は楽観的な第2の遅延モデルによりそれぞれ論理設計
を行い、各サブシステム間は悲観的な第1の遅延モデル
により論理設計を行う。これにより、信頼性を確保しつ
つ処理速度を向上させることができる。
【0025】請求項2に係る発明では、システム全体に
分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非同期式
ディジタルシステムであって、第1の信号遷移aの発生
によって第2の信号遷移bと第3の信号遷移cとが発生
し、かつ、前記第2の信号遷移bが前記第3の信号遷移
cよりも先に発生することが機能実現に必要である場合
には、前記第1の信号遷移aが発生してから前記第2の
信号遷移bが発生するまでの時間をTab、前記第1の
信号遷移aが発生してから前記第3の信号遷移cが発生
するまでの時間をTac、定数をk(kは1より大きい
実数)とそれぞれしたときに、k・Tab<Tacが成
立する推定遅延を有する回路構成要素によって構成され
たことを特徴としている。
分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非同期式
ディジタルシステムであって、第1の信号遷移aの発生
によって第2の信号遷移bと第3の信号遷移cとが発生
し、かつ、前記第2の信号遷移bが前記第3の信号遷移
cよりも先に発生することが機能実現に必要である場合
には、前記第1の信号遷移aが発生してから前記第2の
信号遷移bが発生するまでの時間をTab、前記第1の
信号遷移aが発生してから前記第3の信号遷移cが発生
するまでの時間をTac、定数をk(kは1より大きい
実数)とそれぞれしたときに、k・Tab<Tacが成
立する推定遅延を有する回路構成要素によって構成され
たことを特徴としている。
【0026】第1の信号遷移aによって第2の信号遷移
b及び第3の信号遷移cが引き起こされ、かつ、第2の
信号遷移bは第3の信号遷移cよりも先に生じることが
機能実現上必要な場合(信号遷移a→信号遷移b→信号
遷移c)は、時間Tacの方が時間Tabのk倍よりも
長くなるような推定遅延を有する回路構成要素によって
システムを構成する。
b及び第3の信号遷移cが引き起こされ、かつ、第2の
信号遷移bは第3の信号遷移cよりも先に生じることが
機能実現上必要な場合(信号遷移a→信号遷移b→信号
遷移c)は、時間Tacの方が時間Tabのk倍よりも
長くなるような推定遅延を有する回路構成要素によって
システムを構成する。
【0027】ここで、推定遅延とは、論理設計時に推定
される遅延である。k・Tab<Tacが成立するとい
うことは、第1の信号遷移aから第2の信号遷移bに至
る信号遷移伝播経路の遅延が、実際の稼働環境で、設計
時の推定値Tabよりもk倍遅くなったとしても、ある
いは、時間Tacが時間Tabの1/k倍に短縮された
としても、機能実現に必要な因果関係(第2の信号遷移
bは第3の信号遷移cよりも先に発生すること)が崩れ
ないことを意味する。
される遅延である。k・Tab<Tacが成立するとい
うことは、第1の信号遷移aから第2の信号遷移bに至
る信号遷移伝播経路の遅延が、実際の稼働環境で、設計
時の推定値Tabよりもk倍遅くなったとしても、ある
いは、時間Tacが時間Tabの1/k倍に短縮された
としても、機能実現に必要な因果関係(第2の信号遷移
bは第3の信号遷移cよりも先に発生すること)が崩れ
ないことを意味する。
【0028】「機能実現に必要である場合」とは、その
信号遷移がシステムに求められる機能を実現するために
必要である場合をいう。例えば、レジスタへのデータ書
き込みが完了したことを示す書き込み完了信号の場合、
この書き込み完了信号は、レジスタへのデータ書き込み
が完了した後に発生しなければ意義がない。この場合、
例えば、レジスタにデータが到着したことを示す信号遷
移が第1の信号遷移aに、到着したデータの書き込みよ
る信号遷移が第2の信号遷移bに、レジスタへの書き込
み完了を示す信号遷移が第3の信号遷移cに、それぞれ
対応する。但し、これに限らず、例えば、転送元レジス
タにおけるデータの出力を示す信号遷移を第1の信号遷
移a、転送先レジスタにおけるデータの出力を示す信号
遷移を第2の信号遷移b、該転送先レジスタへの書き込
み完了を示す信号遷移を第3の信号遷移cとして把握す
ることもできる。
信号遷移がシステムに求められる機能を実現するために
必要である場合をいう。例えば、レジスタへのデータ書
き込みが完了したことを示す書き込み完了信号の場合、
この書き込み完了信号は、レジスタへのデータ書き込み
が完了した後に発生しなければ意義がない。この場合、
例えば、レジスタにデータが到着したことを示す信号遷
移が第1の信号遷移aに、到着したデータの書き込みよ
る信号遷移が第2の信号遷移bに、レジスタへの書き込
み完了を示す信号遷移が第3の信号遷移cに、それぞれ
対応する。但し、これに限らず、例えば、転送元レジス
タにおけるデータの出力を示す信号遷移を第1の信号遷
移a、転送先レジスタにおけるデータの出力を示す信号
遷移を第2の信号遷移b、該転送先レジスタへの書き込
み完了を示す信号遷移を第3の信号遷移cとして把握す
ることもできる。
【0029】論理設計時に推定された遅延時間Tabが
実際にはk倍遅くなった場合でも、あるいは、他方の遅
延時間Tacの方が1/k倍に短縮された場合でも、第
2の信号遷移bの方が第3の信号遷移cよりも先に発生
するため、機能実現に必要な因果関係は維持され、シス
テムの動作は保証される。換言すれば、第1の信号遷移
aが発生したときには、第2の信号遷移bの発生を確認
することなく第3の信号遷移cの生成を開始することが
できる。
実際にはk倍遅くなった場合でも、あるいは、他方の遅
延時間Tacの方が1/k倍に短縮された場合でも、第
2の信号遷移bの方が第3の信号遷移cよりも先に発生
するため、機能実現に必要な因果関係は維持され、シス
テムの動作は保証される。換言すれば、第1の信号遷移
aが発生したときには、第2の信号遷移bの発生を確認
することなく第3の信号遷移cの生成を開始することが
できる。
【0030】ここで、例えば、周囲温度や電源電圧等が
変化した場合には、抵抗値や素子の処理速度等が変化す
るため、この環境変動に応じて、両遅延時間Tab,T
acは変動する。しかし、両遅延時間Tab,Tac
は、ともに増大し、または、ともに減少するため(同一
方向に変化するため)、k・Tab<Tacの関係が崩
れることはない。従って、高い信頼性を確保しつつ、処
理速度を向上させることができる。
変化した場合には、抵抗値や素子の処理速度等が変化す
るため、この環境変動に応じて、両遅延時間Tab,T
acは変動する。しかし、両遅延時間Tab,Tac
は、ともに増大し、または、ともに減少するため(同一
方向に変化するため)、k・Tab<Tacの関係が崩
れることはない。従って、高い信頼性を確保しつつ、処
理速度を向上させることができる。
【0031】定数kは、1より大きい実数として定義さ
れる。k=1の場合は、Tab<Tacとなるが、これ
では、一方の遅延時間Tabと他方の遅延時間Tacと
の間の因果関係を規定するだけであり、両遅延Tab,
Tacの変動を含まない。1より大きい実数である定数
kを導入することにより、Tabがk倍に増大した場合
でも、あるいは、Tacが1/kに減少した場合でも、
安定した作動を保証することができる。
れる。k=1の場合は、Tab<Tacとなるが、これ
では、一方の遅延時間Tabと他方の遅延時間Tacと
の間の因果関係を規定するだけであり、両遅延Tab,
Tacの変動を含まない。1より大きい実数である定数
kを導入することにより、Tabがk倍に増大した場合
でも、あるいは、Tacが1/kに減少した場合でも、
安定した作動を保証することができる。
【0032】請求項3に係る発明では、システム全体に
分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非同期式
ディジタルシステムであって、前記システムは、複数の
サブシステムに分割し、前記各サブシステムは、第1の
信号遷移aの発生によって第2の信号遷移bと第3の信
号遷移cとが発生し、かつ、前記第2の信号遷移bが前
記第3の信号遷移cよりも先に発生することが機能実現
に必要である場合には、前記第1の信号遷移aが発生し
てから前記第2の信号遷移bが発生するまでの時間をT
ab、前記第1の信号遷移aが発生してから前記第3の
信号遷移cが発生するまでの時間をTac、定数をk
(kは1より大きい実数)とそれぞれしたときに、k・
Tab<Tacが成立する推定遅延を有する回路構成要
素によってそれぞれ構成されていることを特徴としてい
る。
分配される同期信号を用いずに信号処理を行う非同期式
ディジタルシステムであって、前記システムは、複数の
サブシステムに分割し、前記各サブシステムは、第1の
信号遷移aの発生によって第2の信号遷移bと第3の信
号遷移cとが発生し、かつ、前記第2の信号遷移bが前
記第3の信号遷移cよりも先に発生することが機能実現
に必要である場合には、前記第1の信号遷移aが発生し
てから前記第2の信号遷移bが発生するまでの時間をT
ab、前記第1の信号遷移aが発生してから前記第3の
信号遷移cが発生するまでの時間をTac、定数をk
(kは1より大きい実数)とそれぞれしたときに、k・
Tab<Tacが成立する推定遅延を有する回路構成要
素によってそれぞれ構成されていることを特徴としてい
る。
【0033】本発明では、システム全体を複数のサブシ
ステムに分割し、各サブシステム内は、前記請求項2に
係る発明と同様に、k・Tab<Tacが成立する推定
遅延を有する回路構成要素によって構成している。つま
り、チップ(システム)を複数のブロック(サブシステ
ム)に分割することにより、各ブロック内での遅延変動
を抑制し、該各ブロック内に上述した第2の遅延モデル
を適用している。なお、各サブシステム間には、遅延の
上限値は未知であるとする従来の遅延モデル(第1の遅
延モデル)を適用することが好ましい。これにより、長
い経路が存在する場合でも、安定した動作を保証するこ
とができる。
ステムに分割し、各サブシステム内は、前記請求項2に
係る発明と同様に、k・Tab<Tacが成立する推定
遅延を有する回路構成要素によって構成している。つま
り、チップ(システム)を複数のブロック(サブシステ
ム)に分割することにより、各ブロック内での遅延変動
を抑制し、該各ブロック内に上述した第2の遅延モデル
を適用している。なお、各サブシステム間には、遅延の
上限値は未知であるとする従来の遅延モデル(第1の遅
延モデル)を適用することが好ましい。これにより、長
い経路が存在する場合でも、安定した動作を保証するこ
とができる。
【0034】請求項4に係る発明では、前記システム内
を流れるデータは、時間情報を備えていることを特徴と
している。
を流れるデータは、時間情報を備えていることを特徴と
している。
【0035】同期信号を用いる同期式ディジタルシステ
ムでは、クロックスキューや伝播時間等を考慮して余裕
のある同期信号周期を採用することにより、確実なデー
タ転送を保証することができる。つまり、素子に同期信
号が到達した場合には、その時点でデータが有効である
ように同期信号の周期が設定されている。しかし、非同
期式ディジタルシステムでは同期信号を使用しないた
め、他の手段によってデータの到着を検出する必要があ
る。そこで、システム内を流れるデータ自体に時間情報
を備えることとしている。時間情報とは、データの発
生、移動、変換、記憶等がいつ生じたかを示すタイミン
グ情報である。
ムでは、クロックスキューや伝播時間等を考慮して余裕
のある同期信号周期を採用することにより、確実なデー
タ転送を保証することができる。つまり、素子に同期信
号が到達した場合には、その時点でデータが有効である
ように同期信号の周期が設定されている。しかし、非同
期式ディジタルシステムでは同期信号を使用しないた
め、他の手段によってデータの到着を検出する必要があ
る。そこで、システム内を流れるデータ自体に時間情報
を備えることとしている。時間情報とは、データの発
生、移動、変換、記憶等がいつ生じたかを示すタイミン
グ情報である。
【0036】具体的には、請求項5に係る発明のよう
に、前記データは、前記時間情報を含むように符号化す
ることができる。
に、前記データは、前記時間情報を含むように符号化す
ることができる。
【0037】即ち、例えば、1ビットに対して2本の信
号線を用い、データが「0」の場合は(0,1)、デー
タが「1」の場合は(1,0)、データが到着していな
い場合を(0,0)としてそれぞれ表現すれば、(0,
0)から(0,1)への信号遷移をデータ「0」の到着
として検出でき、(0,0)から(1,0)への信号遷
移をデータ「1」の到着として検出することができる。
また、nビットのデータに対してlog2nの信号線
(冗長ビット)を付加することにより、符号化すること
もできる。
号線を用い、データが「0」の場合は(0,1)、デー
タが「1」の場合は(1,0)、データが到着していな
い場合を(0,0)としてそれぞれ表現すれば、(0,
0)から(0,1)への信号遷移をデータ「0」の到着
として検出でき、(0,0)から(1,0)への信号遷
移をデータ「1」の到着として検出することができる。
また、nビットのデータに対してlog2nの信号線
(冗長ビット)を付加することにより、符号化すること
もできる。
【0038】なお、データに時間情報を含ませる方法と
しては、請求項5に示すデータの符号化に限らず、任意
のビット数のデータ線に対して時間情報を示す信号線を
1本だけ付加することによっても実現できる。複数のデ
ータ線に時間情報の信号線を1本割り当てる方法は、少
なくとも請求項4に係る発明に内在している。
しては、請求項5に示すデータの符号化に限らず、任意
のビット数のデータ線に対して時間情報を示す信号線を
1本だけ付加することによっても実現できる。複数のデ
ータ線に時間情報の信号線を1本割り当てる方法は、少
なくとも請求項4に係る発明に内在している。
【0039】請求項6に係る非同期式データパス回路で
は、第1の信号遷移aの発生によって第2の信号遷移b
と第3の信号遷移cとが発生し、かつ、前記第2の信号
遷移bが前記第3の信号遷移cよりも先に発生すること
が機能実現に必要である場合には、前記第1の信号遷移
aが発生してから前記第2の信号遷移bが発生するまで
の時間をTab、前記第1の信号遷移aが発生してから
前記第3の信号遷移cが発生するまでの時間をTac、
定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれしたとき
に、k・Tab<Tacが成立する推定遅延を有する回
路構成要素によって構成される非同期式ディジタルシス
テムに用いられる非同期式データパス回路であって、稼
働相と休止相とを交互に実行することによって符号化さ
れたデータを転送すると共に、前記非同期式データパス
回路は、複数の部分回路に分割されており、前記各部分
回路には、前記休止相に移行させるための信号をそれぞ
れ入力することにより、該各部分回路における前記休止
相を並列的に実行させることを特徴としている。
は、第1の信号遷移aの発生によって第2の信号遷移b
と第3の信号遷移cとが発生し、かつ、前記第2の信号
遷移bが前記第3の信号遷移cよりも先に発生すること
が機能実現に必要である場合には、前記第1の信号遷移
aが発生してから前記第2の信号遷移bが発生するまで
の時間をTab、前記第1の信号遷移aが発生してから
前記第3の信号遷移cが発生するまでの時間をTac、
定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれしたとき
に、k・Tab<Tacが成立する推定遅延を有する回
路構成要素によって構成される非同期式ディジタルシス
テムに用いられる非同期式データパス回路であって、稼
働相と休止相とを交互に実行することによって符号化さ
れたデータを転送すると共に、前記非同期式データパス
回路は、複数の部分回路に分割されており、前記各部分
回路には、前記休止相に移行させるための信号をそれぞ
れ入力することにより、該各部分回路における前記休止
相を並列的に実行させることを特徴としている。
【0040】本発明に係る非同期式データパス回路は、
新たに提案された遅延モデルを採用する非同期式ディジ
タルシステムにおいて好適に用いられる。この非同期式
データパス回路は、稼働相と休止相とを交互に実行する
ことで符号化されたデータ転送を行うようになってい
る。
新たに提案された遅延モデルを採用する非同期式ディジ
タルシステムにおいて好適に用いられる。この非同期式
データパス回路は、稼働相と休止相とを交互に実行する
ことで符号化されたデータ転送を行うようになってい
る。
【0041】つまり、例えば、1ビットのデータに2本
の信号線を用い、データが「0」の場合は(0,1)、
データが「1」の場合は(1,0)と、データが到着し
ていない場合を(0,0)とし、(0,0)から(0,
1)への信号遷移によってデータ「0」を転送し、
(0,0)から(1,0)への信号遷移によってデータ
「1」を転送する。ここで、(0,0)をスペーサーと
いい、(0,1)及び(1,0)を有効符号語という。
そして、スペーサーから有効符号語に遷移する期間を稼
働相、有効符号語からスペーサーに期間を休止相と呼
ぶ。この稼働相と休止相とを交互に実行してデータ転送
を行う方法を2線2相方式という。
の信号線を用い、データが「0」の場合は(0,1)、
データが「1」の場合は(1,0)と、データが到着し
ていない場合を(0,0)とし、(0,0)から(0,
1)への信号遷移によってデータ「0」を転送し、
(0,0)から(1,0)への信号遷移によってデータ
「1」を転送する。ここで、(0,0)をスペーサーと
いい、(0,1)及び(1,0)を有効符号語という。
そして、スペーサーから有効符号語に遷移する期間を稼
働相、有効符号語からスペーサーに期間を休止相と呼
ぶ。この稼働相と休止相とを交互に実行してデータ転送
を行う方法を2線2相方式という。
【0042】休止相は、次のデータ転送のために回路を
初期化するものであり、必要不可欠なものであるが、直
接データ転送に寄与しない無駄時間でもある。そこで、
例えば、組み合わせ回路等のデータパス回路を、前半部
の部分回路と後半部の部分回路とに2分割し、各部分回
路に対して休止相に移行させるための信号をそれぞれ入
力する。これにより、分割された各部分回路は、並行し
て休止相を実行するため、休止相の時間を半分に短縮す
ることができる。
初期化するものであり、必要不可欠なものであるが、直
接データ転送に寄与しない無駄時間でもある。そこで、
例えば、組み合わせ回路等のデータパス回路を、前半部
の部分回路と後半部の部分回路とに2分割し、各部分回
路に対して休止相に移行させるための信号をそれぞれ入
力する。これにより、分割された各部分回路は、並行し
て休止相を実行するため、休止相の時間を半分に短縮す
ることができる。
【0043】請求項7に係る非同期式ディジタル信号処
理回路では、入力されたデータd1を処理することによ
り新たなデータd2を生成する非同期式ディジタル信号
処理回路であって、前記新たなデータd2が有効になっ
たことを示す完了信号を生成する完了信号生成回路を設
け、前記完了信号生成回路は、前記入力されたデータd
1が有効となってから前記新たなデータd2が有効にな
るまでの時間をTd、前記入力されたデータd1が有効
となってから前記完了信号が生成されるまでの時間をT
s、定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれした
ときに、k・Td<Tsが成立する推定遅延を有する回
路構成要素によって構成されていることを特徴としてい
る。
理回路では、入力されたデータd1を処理することによ
り新たなデータd2を生成する非同期式ディジタル信号
処理回路であって、前記新たなデータd2が有効になっ
たことを示す完了信号を生成する完了信号生成回路を設
け、前記完了信号生成回路は、前記入力されたデータd
1が有効となってから前記新たなデータd2が有効にな
るまでの時間をTd、前記入力されたデータd1が有効
となってから前記完了信号が生成されるまでの時間をT
s、定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれした
ときに、k・Td<Tsが成立する推定遅延を有する回
路構成要素によって構成されていることを特徴としてい
る。
【0044】例えば、入力データd1について変換、記
憶、転送等の各処理を行うことにより、新たなデータd
2が生成される。ここで、データd1とデータd2とは
結果的に同一である場合もあるが、処理を経たデータで
あるため、新たなデータd2として区別する。同期信号
を用いない非同期式ディジタルシステムでは、前の処理
の完了を確認してから次処理を行う事象駆動型のデータ
処理を行うため、処理の完了を示す完了信号が必要とな
る。従って、非同期式ディジタルシステムに用いられる
非同期式ディジタル信号処理回路は、前記完了信号を生
成するための完了信号生成回路を備えなければならな
い。
憶、転送等の各処理を行うことにより、新たなデータd
2が生成される。ここで、データd1とデータd2とは
結果的に同一である場合もあるが、処理を経たデータで
あるため、新たなデータd2として区別する。同期信号
を用いない非同期式ディジタルシステムでは、前の処理
の完了を確認してから次処理を行う事象駆動型のデータ
処理を行うため、処理の完了を示す完了信号が必要とな
る。従って、非同期式ディジタルシステムに用いられる
非同期式ディジタル信号処理回路は、前記完了信号を生
成するための完了信号生成回路を備えなければならな
い。
【0045】そこで、入力されたデータd1が処理され
て新たなデータd2が生成されるまでの時間Tdをk倍
した場合でも、完了信号が生成されるまでの時間Tsの
方が大きくなるような推定遅延を有する回路構成要素に
よって、完了信号生成回路を形成する。これにより、デ
ータd1が入力された場合には、データd2が有効にな
ったことを確認することなく、完了信号の生成を開始す
ることができる。
て新たなデータd2が生成されるまでの時間Tdをk倍
した場合でも、完了信号が生成されるまでの時間Tsの
方が大きくなるような推定遅延を有する回路構成要素に
よって、完了信号生成回路を形成する。これにより、デ
ータd1が入力された場合には、データd2が有効にな
ったことを確認することなく、完了信号の生成を開始す
ることができる。
【0046】請求項8に係る非同期式ディジタル信号処
理方法では、第1の信号遷移aの発生によって第2の信
号遷移bを生成すると共に、前記第2の信号遷移bが発
生した後に発生すべき第3の信号遷移cを生成する非同
期式ディジタル信号処理方法であって、前記第1の信号
遷移aが発生してから前記第2の信号遷移bが発生する
までの時間をTab、前記第1の信号遷移aが発生して
から前記第3の信号遷移cが発生するまでの時間をTa
c、定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれした
ときに、k・Tab<Tacが成立するときには、前記
第1の信号遷移aの発生を確認したときに前記第3の信
号遷移cの生成を開始することを特徴としている。
理方法では、第1の信号遷移aの発生によって第2の信
号遷移bを生成すると共に、前記第2の信号遷移bが発
生した後に発生すべき第3の信号遷移cを生成する非同
期式ディジタル信号処理方法であって、前記第1の信号
遷移aが発生してから前記第2の信号遷移bが発生する
までの時間をTab、前記第1の信号遷移aが発生して
から前記第3の信号遷移cが発生するまでの時間をTa
c、定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれした
ときに、k・Tab<Tacが成立するときには、前記
第1の信号遷移aの発生を確認したときに前記第3の信
号遷移cの生成を開始することを特徴としている。
【0047】第1の信号遷移aの発生によって第2の信
号遷移b及び第3の信号遷移cが引き起こされる場合で
あって、第2の信号遷移bの方が第3の信号遷移cより
も先に発生しなければならない場合、通常の非同期式デ
ィジタル信号処理方法では、第2の信号遷移bの発生を
確認してから第3の信号遷移cの生成を開始する必要が
ある。
号遷移b及び第3の信号遷移cが引き起こされる場合で
あって、第2の信号遷移bの方が第3の信号遷移cより
も先に発生しなければならない場合、通常の非同期式デ
ィジタル信号処理方法では、第2の信号遷移bの発生を
確認してから第3の信号遷移cの生成を開始する必要が
ある。
【0048】例えば、レジスタへのデータ書き込みを例
に挙げると、レジスタへのデータ到着を第1の信号遷移
a、レジスタのデータ書き込みを第2の信号遷移b、デ
ータ書き込みの完了を知らせる完了信号生成を第3の信
号遷移cとすると、書き込み完了を示す第3の信号遷移
cは、データの書き込みを示す信号遷移bの後に発生し
なければならない。これは機能実現に必要な因果関係で
あり、第3の信号遷移cの方が第2の信号遷移bよりも
先に発生した場合には、古いデータに基づいて次処理が
実行されることになるからである。
に挙げると、レジスタへのデータ到着を第1の信号遷移
a、レジスタのデータ書き込みを第2の信号遷移b、デ
ータ書き込みの完了を知らせる完了信号生成を第3の信
号遷移cとすると、書き込み完了を示す第3の信号遷移
cは、データの書き込みを示す信号遷移bの後に発生し
なければならない。これは機能実現に必要な因果関係で
あり、第3の信号遷移cの方が第2の信号遷移bよりも
先に発生した場合には、古いデータに基づいて次処理が
実行されることになるからである。
【0049】そこで、悲観的な遅延モデルを採用する従
来方法では、第2の信号遷移bの発生を確認してから第
3の信号遷移cを生成している。しかし、第2の信号遷
移b発生に係る遅延と第3の信号遷移c発生に係る遅延
との間に、k・Tab<Tacが成立する場合には、第
2の信号遷移bの発生が設計時の推定遅延よりもk倍遅
くなったとしても、第2の信号遷移bの方が第3の信号
遷移cよりも早く発生することが保証されている。逆に
言えば、第3の信号遷移cの発生までに要する時間が1
/k倍に短縮された場合でも、第2の信号遷移bの方が
第3の信号遷移cよりも早く発生する。従って、この場
合は、第2の信号遷移bの発生を確認することなく第3
の信号遷移cの生成を開始しても、機能実現上の因果関
係が崩れることはない。これにより、第2の信号遷移b
の発生を確認するための回路が不要となる。また、第3
の信号遷移cを速やかに生成することができるため、処
理速度も向上する。
来方法では、第2の信号遷移bの発生を確認してから第
3の信号遷移cを生成している。しかし、第2の信号遷
移b発生に係る遅延と第3の信号遷移c発生に係る遅延
との間に、k・Tab<Tacが成立する場合には、第
2の信号遷移bの発生が設計時の推定遅延よりもk倍遅
くなったとしても、第2の信号遷移bの方が第3の信号
遷移cよりも早く発生することが保証されている。逆に
言えば、第3の信号遷移cの発生までに要する時間が1
/k倍に短縮された場合でも、第2の信号遷移bの方が
第3の信号遷移cよりも早く発生する。従って、この場
合は、第2の信号遷移bの発生を確認することなく第3
の信号遷移cの生成を開始しても、機能実現上の因果関
係が崩れることはない。これにより、第2の信号遷移b
の発生を確認するための回路が不要となる。また、第3
の信号遷移cを速やかに生成することができるため、処
理速度も向上する。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図9に基づき本発明
の実施の形態について詳述する。まず、図1は、本実施
の形態による非同期式ディジタルシステムの全体を模式
的に示す説明図である。
の実施の形態について詳述する。まず、図1は、本実施
の形態による非同期式ディジタルシステムの全体を模式
的に示す説明図である。
【0051】1.大域的な遅延仮定と局所的な遅延仮定 例えば、LSI等のチップ1は、複数のブロック2に分
割されており、各ブロック2は、接続部3によって結合
されている。各ブロック2は、それぞれ所定の面積とな
るように構成されている。この所定の面積は、後述する
ように、遅延変動率の比の上限値kに基づいて定められ
るものである。
割されており、各ブロック2は、接続部3によって結合
されている。各ブロック2は、それぞれ所定の面積とな
るように構成されている。この所定の面積は、後述する
ように、遅延変動率の比の上限値kに基づいて定められ
るものである。
【0052】ここで、各ブロック2内では「第2の遅延
モデル」としてのSDIモデルが適用されており、ブロ
ック間の接続部3では「第1の遅延モデル」としてのD
IモデルまたはQDIモデルが適用されている点に注目
しなければならない。即ち、従来より知られているDI
モデルまたはQDIモデルをチップ1の全体に適用する
従来技術とは異なり、所定の面積で分割した各ブロック
2には、新規に開発されたSDIモデルを採用してい
る。
モデル」としてのSDIモデルが適用されており、ブロ
ック間の接続部3では「第1の遅延モデル」としてのD
IモデルまたはQDIモデルが適用されている点に注目
しなければならない。即ち、従来より知られているDI
モデルまたはQDIモデルをチップ1の全体に適用する
従来技術とは異なり、所定の面積で分割した各ブロック
2には、新規に開発されたSDIモデルを採用してい
る。
【0053】DI(Delay Insensitive)モデルとは、
「配線遅延、素子遅延は有限であるが、その上限値は未
知である」と仮定するモデルである。しかし、このDI
モデルの下では、分岐と単一出力素子だけを用いる場
合、実用的な回路は構成できないことが知られている
(A.J.Martin,“The limitations to delay-insensitiv
ity in asynchronous circuits,”in Sixth MIT Conf.o
n Advanced Research in VLSI,pp.263-278,1990,)。そ
こで、DIモデルに「配線の分岐があった場合、各分岐
先への信号到達時間差が無視できる」とする仮定を加え
ると、任意の実用的な回路を構成することができる。こ
れをQDI(Quasi Delay Insensitive)モデルと呼
ぶ。
「配線遅延、素子遅延は有限であるが、その上限値は未
知である」と仮定するモデルである。しかし、このDI
モデルの下では、分岐と単一出力素子だけを用いる場
合、実用的な回路は構成できないことが知られている
(A.J.Martin,“The limitations to delay-insensitiv
ity in asynchronous circuits,”in Sixth MIT Conf.o
n Advanced Research in VLSI,pp.263-278,1990,)。そ
こで、DIモデルに「配線の分岐があった場合、各分岐
先への信号到達時間差が無視できる」とする仮定を加え
ると、任意の実用的な回路を構成することができる。こ
れをQDI(Quasi Delay Insensitive)モデルと呼
ぶ。
【0054】2.DIモデル,QDIモデル 図2は、従来のDIモデルまたはQDIモデルを示す概
念図である。従来の遅延モデルは、配線遅延及び素子遅
延は有限であるが、未知であると仮定するものである。
従って、この遅延モデルの下では、前処理の完了を確認
してから次処理を行う必要がある。
念図である。従来の遅延モデルは、配線遅延及び素子遅
延は有限であるが、未知であると仮定するものである。
従って、この遅延モデルの下では、前処理の完了を確認
してから次処理を行う必要がある。
【0055】各部分回路5,6は、それぞれ複数の論理
素子4から構成されている。第1の部分回路5は、信号
aの発生によって信号bを生成する。第2の部分回路6
は、信号bが発生した後に信号cを生成する。その機能
を実現するためには、信号cは信号bの後に生成されな
ければならない。そこで、部分回路6は、信号bの生成
を示す完了信号を部分回路5から受信した後に、信号c
を生成する。なお、信号b自体を完了信号として用いて
もよい。
素子4から構成されている。第1の部分回路5は、信号
aの発生によって信号bを生成する。第2の部分回路6
は、信号bが発生した後に信号cを生成する。その機能
を実現するためには、信号cは信号bの後に生成されな
ければならない。そこで、部分回路6は、信号bの生成
を示す完了信号を部分回路5から受信した後に、信号c
を生成する。なお、信号b自体を完了信号として用いて
もよい。
【0056】従って、時刻taに信号aが有効となった
場合、時刻tbに至って信号bが有効となり、さらに時
刻tcに至ってから信号cが形成される。
場合、時刻tbに至って信号bが有効となり、さらに時
刻tcに至ってから信号cが形成される。
【0057】3.SDIモデル 次に、図3は、本発明に特徴的なSDI(Scalable Del
ay Insensitive)モデルを示す概念図である。
ay Insensitive)モデルを示す概念図である。
【0058】図2と同様に、各部分回路7,8は、それ
ぞれ複数の論理素子4から構成されている。第1の部分
回路7は、信号aの発生によって信号bを生成し、第2
の部分回路8は、信号aの発生によって信号cを生成す
る。ここで、信号cは、信号bよりも先に生成されなけ
ればならない。
ぞれ複数の論理素子4から構成されている。第1の部分
回路7は、信号aの発生によって信号bを生成し、第2
の部分回路8は、信号aの発生によって信号cを生成す
る。ここで、信号cは、信号bよりも先に生成されなけ
ればならない。
【0059】SDIモデルは、「遅延の上限値は未知で
あるが、任意の2つの遅延の変動率の比の上限値は既知
である」とするものである。図3中に示す各部分回路
7,8は、時刻taから時刻tbまでの時間をTab、
時刻taから時刻tcまでの時間をTac、定数をk
(kは1より大きい実数)とそれぞれしたときに、k・
Tab<Tacが成立するような設計時推定遅延を有す
るように設計されている。
あるが、任意の2つの遅延の変動率の比の上限値は既知
である」とするものである。図3中に示す各部分回路
7,8は、時刻taから時刻tbまでの時間をTab、
時刻taから時刻tcまでの時間をTac、定数をk
(kは1より大きい実数)とそれぞれしたときに、k・
Tab<Tacが成立するような設計時推定遅延を有す
るように設計されている。
【0060】各部分回路7,8の推定遅延がk・Tab
<Tacを満たすように設計されることにより、論理設
計時に早いと推定された方のパス(信号a→信号b)
が、設計時に遅いと推定された方のパス(信号a→信号
c)よりも、実際にはk倍遅くなったとしても、信号c
は信号bの後に発生するため、図3に示す回路の作動は
保証される。従って、部分回路8は、信号aの発生を確
認したときには、信号bの発生を確認することなく、信
号cの生成を開始することができる。これにより、信号
bの発生を確認するための回路が不要となり、処理速度
も向上する。
<Tacを満たすように設計されることにより、論理設
計時に早いと推定された方のパス(信号a→信号b)
が、設計時に遅いと推定された方のパス(信号a→信号
c)よりも、実際にはk倍遅くなったとしても、信号c
は信号bの後に発生するため、図3に示す回路の作動は
保証される。従って、部分回路8は、信号aの発生を確
認したときには、信号bの発生を確認することなく、信
号cの生成を開始することができる。これにより、信号
bの発生を確認するための回路が不要となり、処理速度
も向上する。
【0061】3−1 遅延変動率 図4(a)には、2つの遅延の推定値と実測値とがそれ
ぞれ示されている。なお、横軸方向は時間を表す。図4
(a)に示すように、ある配線遅延または素子遅延の推
定値(論理設計時の予測値)deと実際の値daとは相
違する。実際の遅延daは有限であるが、その上限値は
未知である。
ぞれ示されている。なお、横軸方向は時間を表す。図4
(a)に示すように、ある配線遅延または素子遅延の推
定値(論理設計時の予測値)deと実際の値daとは相
違する。実際の遅延daは有限であるが、その上限値は
未知である。
【0062】ここで、実際の遅延daを推定値deで除
したものを遅延変動率vという(v=da/de)。こ
のとき、「任意の二つの遅延の変動率v1,v2(v2
>v1)の比v2/v1の上限値は既知である」とする
遅延仮定を比例遅延変動モデル(SDIモデル)とい
う。
したものを遅延変動率vという(v=da/de)。こ
のとき、「任意の二つの遅延の変動率v1,v2(v2
>v1)の比v2/v1の上限値は既知である」とする
遅延仮定を比例遅延変動モデル(SDIモデル)とい
う。
【0063】3−2 タイミング余裕 次に、図4(b)を参照しつつタイミング余裕について
説明する。ここで、タイミング余裕とは、タイミングフ
ォールトの起こりにくさを定量的に評価する尺度であ
る。タイミングフォールトとは、信号遷移が仕様で定め
られた範囲を越えたタイミングで生じることをいう。
説明する。ここで、タイミング余裕とは、タイミングフ
ォールトの起こりにくさを定量的に評価する尺度であ
る。タイミングフォールトとは、信号遷移が仕様で定め
られた範囲を越えたタイミングで生じることをいう。
【0064】タイミング余裕は、図4(b)に示すよう
に、あるゲートの出力遷移によって活性化したゲートを
バッファとして表現した回路において、以下のように定
義される。
に、あるゲートの出力遷移によって活性化したゲートを
バッファとして表現した回路において、以下のように定
義される。
【0065】信号遷移bが起きた後で、信号遷移cが起
きると仕様で定められた回路において、信号遷移bと信
号遷移cの共通の原因となる信号遷移をaとする。各信
号遷移a,b,cが起きると推定される時刻をta,t
b,tcとするとき、(tc−ta)/(tb−ta)
をタイミング余裕と呼ぶ。ta,tb,tcを推定する
ときの根拠となる配線の遅延と素子の遅延とは、実際に
使用するデバイスの特性に合わせて決定する。
きると仕様で定められた回路において、信号遷移bと信
号遷移cの共通の原因となる信号遷移をaとする。各信
号遷移a,b,cが起きると推定される時刻をta,t
b,tcとするとき、(tc−ta)/(tb−ta)
をタイミング余裕と呼ぶ。ta,tb,tcを推定する
ときの根拠となる配線の遅延と素子の遅延とは、実際に
使用するデバイスの特性に合わせて決定する。
【0066】タイミング余裕がmであると言うことは、
直感的には、設計時に小さいと仮定したパスの信号伝搬
遅延が実際にはm倍大きくてもタイミングフォールトは
起きないと言うことである。ここで、遅延変動率の比v
2/v1の上限値をkと仮定した回路のタイミング余裕
は、k以上である。これは、設計時に速いと仮定したパ
スの信号伝搬が、遅いと仮定したパスに比べてk倍遅く
なったときの動作を保証できるように設計されているか
らである。
直感的には、設計時に小さいと仮定したパスの信号伝搬
遅延が実際にはm倍大きくてもタイミングフォールトは
起きないと言うことである。ここで、遅延変動率の比v
2/v1の上限値をkと仮定した回路のタイミング余裕
は、k以上である。これは、設計時に速いと仮定したパ
スの信号伝搬が、遅いと仮定したパスに比べてk倍遅く
なったときの動作を保証できるように設計されているか
らである。
【0067】(tc−ta)をTac、(tb−ta)
をTabとそれぞれ表現すると、タイミング余裕mは、
m=Tac/Tabとして表される。そして、k<mで
あるから、k<Tac/Tabとなり、k・Tab<T
acが導かれる。
をTabとそれぞれ表現すると、タイミング余裕mは、
m=Tac/Tabとして表される。そして、k<mで
あるから、k<Tac/Tabとなり、k・Tab<T
acが導かれる。
【0068】4.SDIモデルが成立する領域の決定 論理設計を行う際に仮定した遅延変動率の比の上限値k
は、テクノロジマッピングやレイアウトに対する制約条
件となる。レイアウトを行う際にこの制約が充足可能と
なるように、遅延仮定(SDIモデル)を適用するブロ
ック2の面積を論理設計時に制限する必要がある。
は、テクノロジマッピングやレイアウトに対する制約条
件となる。レイアウトを行う際にこの制約が充足可能と
なるように、遅延仮定(SDIモデル)を適用するブロ
ック2の面積を論理設計時に制限する必要がある。
【0069】ある遅延仮定のもとで設計された回路のレ
イアウトを行う際に、保証可能なタイミング余裕と面積
との関係は、同一テクノロジに対する十分なレイアウト
データがある場合には予測することができる。しかし、
過去のレイアウトデータが不足している場合には、SD
Iモデルに基づいて設計した回路のタイミング余裕が1
となるときの配線長を計算し、その結果から遅延変動率
の比が設定した上限値kよりも小さくなる面積を算出す
ればよい。
イアウトを行う際に、保証可能なタイミング余裕と面積
との関係は、同一テクノロジに対する十分なレイアウト
データがある場合には予測することができる。しかし、
過去のレイアウトデータが不足している場合には、SD
Iモデルに基づいて設計した回路のタイミング余裕が1
となるときの配線長を計算し、その結果から遅延変動率
の比が設定した上限値kよりも小さくなる面積を算出す
ればよい。
【0070】例えば、遅延変動率の比の上限値kを2と
仮定して論理設計を行う場合(k=2)を考える。ま
ず、論理設計を行う際の標準遅延時間として、一律に、
ゲートの負荷がファンアウト=3、配線長=0.48m
mであるときのゲートの遅延時間を用いる。これらの値
は、テクノロジマッピングに使用するツールでゲートの
標準遅延の計算に通常用いられるものである。配線の遅
延はゲートの遅延に含めて考えている。次に、あるゲー
トの遅延時間が、配線長Lとなると、ファンアウト=1
でも、上記の標準遅延時間の2倍になる場合は、分割す
べき1ブロックの縦の長さと横の長さとの合計値がLと
なるように決定する。ここで、ファンアウト=1とする
のは、配線による遅延が大きくなるならば、テクノロジ
マッピングの段階でファンアウトを1にすることで、タ
イミングフォールトが生じないことを保証できるからで
ある。
仮定して論理設計を行う場合(k=2)を考える。ま
ず、論理設計を行う際の標準遅延時間として、一律に、
ゲートの負荷がファンアウト=3、配線長=0.48m
mであるときのゲートの遅延時間を用いる。これらの値
は、テクノロジマッピングに使用するツールでゲートの
標準遅延の計算に通常用いられるものである。配線の遅
延はゲートの遅延に含めて考えている。次に、あるゲー
トの遅延時間が、配線長Lとなると、ファンアウト=1
でも、上記の標準遅延時間の2倍になる場合は、分割す
べき1ブロックの縦の長さと横の長さとの合計値がLと
なるように決定する。ここで、ファンアウト=1とする
のは、配線による遅延が大きくなるならば、テクノロジ
マッピングの段階でファンアウトを1にすることで、タ
イミングフォールトが生じないことを保証できるからで
ある。
【0071】従って、図1中に示す各ブロック2は、そ
の縦と横の和がLとなるように、面積が決定されてい
る。従って、ブロック2の外周長さは、2Lとなる。
の縦と横の和がLとなるように、面積が決定されてい
る。従って、ブロック2の外周長さは、2Lとなる。
【0072】5.QDIモデルによる回路とSDIモデ
ルによる回路との比較 次に、図5を参照しつつ、従来のQDIモデルを適用し
た回路と本発明のSDIモデルを適用した回路とを比較
して説明する。図5は、レジスタファイルの書き込み完
了信号を生成する回路を示している。
ルによる回路との比較 次に、図5を参照しつつ、従来のQDIモデルを適用し
た回路と本発明のSDIモデルを適用した回路とを比較
して説明する。図5は、レジスタファイルの書き込み完
了信号を生成する回路を示している。
【0073】5−1 QDIモデルによる回路 図5中の上部に示すように、1ビットのレジスタ11
は、一対のアンドゲート12,13と、該各ANDゲー
ト12,13に縦続され、たすき掛けに接続された一対
のNORゲート14,15と、後述の書き込み完了信号
ACKiを生成する回路とから構成されている。
は、一対のアンドゲート12,13と、該各ANDゲー
ト12,13に縦続され、たすき掛けに接続された一対
のNORゲート14,15と、後述の書き込み完了信号
ACKiを生成する回路とから構成されている。
【0074】各ANDゲート12,13には、セレクト
信号ENとデータとがそれぞれ入力されている。ここ
で、本実施の形態では、1ビットのデータに2本の信号
線Di,Diバーを用いて符号化することにより、デー
タにタイミング情報を付加している。なお、タイミング
情報の付加方法については、図6と共に後述する。
信号ENとデータとがそれぞれ入力されている。ここ
で、本実施の形態では、1ビットのデータに2本の信号
線Di,Diバーを用いて符号化することにより、デー
タにタイミング情報を付加している。なお、タイミング
情報の付加方法については、図6と共に後述する。
【0075】次に、1ビットのレジスタ11にデータが
書き込まれたことを示す書き込み完了信号ACKiを生
成する回路を説明する。図5中の上部に示すように、A
NDゲート12の出力とNORゲート15の出力とは、
ANDゲート16に入力されている。同様に、ANDゲ
ート13の出力とNORゲート14の出力とは、AND
ゲート17に入力されている。そして、これら各AND
ゲート16,17の出力は、ORゲート18に入力され
ている。従って、セレクト信号及びデータの到着を確認
し、かつ、ラッチの状態反転を確認することにより、書
き込み完了信号ACKiを得ることができる。
書き込まれたことを示す書き込み完了信号ACKiを生
成する回路を説明する。図5中の上部に示すように、A
NDゲート12の出力とNORゲート15の出力とは、
ANDゲート16に入力されている。同様に、ANDゲ
ート13の出力とNORゲート14の出力とは、AND
ゲート17に入力されている。そして、これら各AND
ゲート16,17の出力は、ORゲート18に入力され
ている。従って、セレクト信号及びデータの到着を確認
し、かつ、ラッチの状態反転を確認することにより、書
き込み完了信号ACKiを得ることができる。
【0076】次に、図5中の中央部には、QDIモデル
によるレジスタファイルの書き込み完了信号生成回路2
1が示されている。レジスタファイルは、複数のレジス
タ22から構成されており、各レジスタ22は複数の1
ビットレジスタ11から構成されている。例えば、各レ
ジスタ22は、32ビットレジスタとして構成でき、レ
ジスタファイルは、40個のレジスタ22から構成する
ことができる。
によるレジスタファイルの書き込み完了信号生成回路2
1が示されている。レジスタファイルは、複数のレジス
タ22から構成されており、各レジスタ22は複数の1
ビットレジスタ11から構成されている。例えば、各レ
ジスタ22は、32ビットレジスタとして構成でき、レ
ジスタファイルは、40個のレジスタ22から構成する
ことができる。
【0077】なお、図中、「C」を丸で囲んだ素子は、
いわゆるMullerのC素子と呼ばれるものであり、全ての
入力が0のときには0を、全ての入力が1のときは1を
出力し、入力に0と1とが混在する場合は出力を保持す
る記憶素子である。各レジスタ22には、C素子23が
それぞれ接続されている。
いわゆるMullerのC素子と呼ばれるものであり、全ての
入力が0のときには0を、全ての入力が1のときは1を
出力し、入力に0と1とが混在する場合は出力を保持す
る記憶素子である。各レジスタ22には、C素子23が
それぞれ接続されている。
【0078】各レジスタ22からの書き込み完了信号
は、C素子23に入力される。即ち、C素子23には、
1ビットレジスタ11の書き込み完了信号が32個入力
されている。各C素子23は、全ての1ビットレジスタ
11への書き込みを確認した後に、レジスタ22の書き
込みが完了したことを示す信号をORゲート24にそれ
ぞれ出力する。これにより、R1〜R40の複数のレジ
スタ22のうち選択されたいずれかのレジスタ22にデ
ータが書き込まれた場合には、ORゲート24からレジ
スタファイル書き込み完了信号QDI−ackが出力さ
れる。
は、C素子23に入力される。即ち、C素子23には、
1ビットレジスタ11の書き込み完了信号が32個入力
されている。各C素子23は、全ての1ビットレジスタ
11への書き込みを確認した後に、レジスタ22の書き
込みが完了したことを示す信号をORゲート24にそれ
ぞれ出力する。これにより、R1〜R40の複数のレジ
スタ22のうち選択されたいずれかのレジスタ22にデ
ータが書き込まれた場合には、ORゲート24からレジ
スタファイル書き込み完了信号QDI−ackが出力さ
れる。
【0079】ここで、データD及びセレクト信号ENの
到着から書き込み完了信号QDI−ackの生成までの
遅延時間を検討する。簡単のため、全ての素子は2入力
であり、その遅延時間は1単位時間であると仮定する。
従って、n入力の素子の遅延時間は、log2nとな
る。
到着から書き込み完了信号QDI−ackの生成までの
遅延時間を検討する。簡単のため、全ての素子は2入力
であり、その遅延時間は1単位時間であると仮定する。
従って、n入力の素子の遅延時間は、log2nとな
る。
【0080】1ビットレジスタ11の書き込み自体は、
データD及びセレクト信号ENが到着してから3単位時
間で終了する。そして、書き込みが完了してから書き込
み完了信号ACKiが生成されるまでに2単位時間を要
する。従って、1ビットレジスタ11にデータD及びセ
レクト信号ENが到着してから書き込み完了信号ACK
iが生成されるまでには、3単位時間+2単位時間の合
計5単位時間を必要とする。
データD及びセレクト信号ENが到着してから3単位時
間で終了する。そして、書き込みが完了してから書き込
み完了信号ACKiが生成されるまでに2単位時間を要
する。従って、1ビットレジスタ11にデータD及びセ
レクト信号ENが到着してから書き込み完了信号ACK
iが生成されるまでには、3単位時間+2単位時間の合
計5単位時間を必要とする。
【0081】次に、各C素子23は、32個の全てのレ
ジスタ11に書き込みが完了したことを確認する。入力
が32であるから、C素子23がORゲート24に信号
を出力するのに5単位時間を必要とする。
ジスタ11に書き込みが完了したことを確認する。入力
が32であるから、C素子23がORゲート24に信号
を出力するのに5単位時間を必要とする。
【0082】最後に、ORゲート24は、全レジスタ2
2のうち選択された一つのレジスタ22にデータが書き
込まれたことを確認する。例えば、レジスタ22が40
個備えたレジスタファイルの場合は、6単位時間を消費
することになる。
2のうち選択された一つのレジスタ22にデータが書き
込まれたことを確認する。例えば、レジスタ22が40
個備えたレジスタファイルの場合は、6単位時間を消費
することになる。
【0083】従って、QDIモデル下で設計されたレジ
スタファイルの書き込み完了信号生成回路21は、1ビ
ットのレジスタ11にデータが書き込まれたことを確認
する回路(所要時間:5単位時間)と、32ビットのレ
ジスタ22に書き込みが完了したことを確認する回路
(所要時間:5単位時間)と、40個のレジスタ22の
うち一つのレジスタ22に書き込まれたことを確認する
回路(所要時間6単位時間)とが必要となり、合計で1
6単位時間を消費する。
スタファイルの書き込み完了信号生成回路21は、1ビ
ットのレジスタ11にデータが書き込まれたことを確認
する回路(所要時間:5単位時間)と、32ビットのレ
ジスタ22に書き込みが完了したことを確認する回路
(所要時間:5単位時間)と、40個のレジスタ22の
うち一つのレジスタ22に書き込まれたことを確認する
回路(所要時間6単位時間)とが必要となり、合計で1
6単位時間を消費する。
【0084】5−2 SDIモデルによる回路 次に、図5中の下部には、本発明に特徴的なSDIモデ
ルによる書き込み完了信号生成回路31が示されてい
る。この回路31は、遅延変動率の比の上限値kが2で
あると仮定して構成されている。
ルによる書き込み完了信号生成回路31が示されてい
る。この回路31は、遅延変動率の比の上限値kが2で
あると仮定して構成されている。
【0085】レジスタファイルに入力される32ビット
のデータDは、各ビットに対応して設けられた2入力O
Rゲート32にそれぞれ入力されている。これら32個
のORゲート32の出力信号は、C素子33にそれぞれ
入力されている。C素子33は、32ビットのデータD
の到着を全て確認すると、信号を出力する。一方、レジ
スタ22を選択するためのセレクト信号ENは、40入
力のORゲート34に入力されている。ORゲート34
は、セレクト信号ENの到着を確認すると、信号を出力
する。そして、C素子33の出力信号とORゲート34
の出力信号とは、他のC素子35に入力される。このC
素子35は、データDの到着及びセレクト信号ENの到
着を確認すると、レジスタファイルの書き込み完了信号
SDI−ackを出力する。
のデータDは、各ビットに対応して設けられた2入力O
Rゲート32にそれぞれ入力されている。これら32個
のORゲート32の出力信号は、C素子33にそれぞれ
入力されている。C素子33は、32ビットのデータD
の到着を全て確認すると、信号を出力する。一方、レジ
スタ22を選択するためのセレクト信号ENは、40入
力のORゲート34に入力されている。ORゲート34
は、セレクト信号ENの到着を確認すると、信号を出力
する。そして、C素子33の出力信号とORゲート34
の出力信号とは、他のC素子35に入力される。このC
素子35は、データDの到着及びセレクト信号ENの到
着を確認すると、レジスタファイルの書き込み完了信号
SDI−ackを出力する。
【0086】SDIモデルを採用した回路31では、デ
ータDの到着とセレクト信号ENの到着とを確認するこ
とにより、書き込み完了信号を生成する。データDの各
ビットの到着を確認するための2入力ORゲート32で
1単位時間、データDの到着を確認するための32入力
C素子33で5単位時間、セレクト信号ENの到着を確
認する40入力ORゲート34で6単位時間、データD
及びセレクト信号の到着を確認する2入力C素子35で
1単位時間、をそれぞれ消費する。従って、合計の遅延
時間は、セレクト信号EN及びデータDそれぞれの確認
に要する6単位時間とデータD及びセレクト信号ENの
両方の到着確認に要する1単位時間との合計7単位時間
となる。
ータDの到着とセレクト信号ENの到着とを確認するこ
とにより、書き込み完了信号を生成する。データDの各
ビットの到着を確認するための2入力ORゲート32で
1単位時間、データDの到着を確認するための32入力
C素子33で5単位時間、セレクト信号ENの到着を確
認する40入力ORゲート34で6単位時間、データD
及びセレクト信号の到着を確認する2入力C素子35で
1単位時間、をそれぞれ消費する。従って、合計の遅延
時間は、セレクト信号EN及びデータDそれぞれの確認
に要する6単位時間とデータD及びセレクト信号ENの
両方の到着確認に要する1単位時間との合計7単位時間
となる。
【0087】つまり、SDIモデルによる書き込み完了
信号生成回路31は、データD及びセレクト信号ENの
到着を確認するだけで書き込み完了信号SDI−ack
を生成しており、QDIモデルによる回路21のように
実際の書き込み動作の完了を確認していない。
信号生成回路31は、データD及びセレクト信号ENの
到着を確認するだけで書き込み完了信号SDI−ack
を生成しており、QDIモデルによる回路21のように
実際の書き込み動作の完了を確認していない。
【0088】しかし、1ビットレジスタ11への書き込
みが完了する時間(3単位時間)と書き込み完了信号S
DI−ackが出力されるまでの時間(7単位時間)と
のタイミング余裕を求めると、7/3となり、設計時に
設定された遅延変動率の比の上限値k(=2)を上回っ
ている(7/3>2)。従って、1ビットレジスタ11
への書き込みが予測以上に遅延した場合でも、書き込み
完了信号SDI−ackが出力されるのは、1ビットレ
ジスタ11の書き込みが完了した後であることが保証さ
れる。
みが完了する時間(3単位時間)と書き込み完了信号S
DI−ackが出力されるまでの時間(7単位時間)と
のタイミング余裕を求めると、7/3となり、設計時に
設定された遅延変動率の比の上限値k(=2)を上回っ
ている(7/3>2)。従って、1ビットレジスタ11
への書き込みが予測以上に遅延した場合でも、書き込み
完了信号SDI−ackが出力されるのは、1ビットレ
ジスタ11の書き込みが完了した後であることが保証さ
れる。
【0089】即ち、2つのパスの間の相対的な遅延変動
の幅をある値、例えば、k=2に仮定して論理設計を行
うことにより、従来確認を必要とした信号の発生を確認
することなく、必要な信号を生成することができる。換
言すれば、因果関係のある2つの遅延間の相対的な変動
幅が所定値に収まるように論理設計を行うことによっ
て、共通の原因となる信号(データD及びセレクト信号
EN)が発生したときには、最初に発生すべき信号(レ
ジスタの書き込み完了信号ACKi)の発生を確認する
前に、後に発生すべき信号(レジスタファイルの書き込
み完了信号SDI−ack)の生成を開始することがで
きる。
の幅をある値、例えば、k=2に仮定して論理設計を行
うことにより、従来確認を必要とした信号の発生を確認
することなく、必要な信号を生成することができる。換
言すれば、因果関係のある2つの遅延間の相対的な変動
幅が所定値に収まるように論理設計を行うことによっ
て、共通の原因となる信号(データD及びセレクト信号
EN)が発生したときには、最初に発生すべき信号(レ
ジスタの書き込み完了信号ACKi)の発生を確認する
前に、後に発生すべき信号(レジスタファイルの書き込
み完了信号SDI−ack)の生成を開始することがで
きる。
【0090】従って、SDIモデルを採用した場合に
は、従来のQDIモデルに比較して、処理速度が向上す
る。また、従来のQDIモデルと同様の高い信頼性を保
持することができる。
は、従来のQDIモデルに比較して、処理速度が向上す
る。また、従来のQDIモデルと同様の高い信頼性を保
持することができる。
【0091】6.タイミング情報の付加 非同期式ディジタルシステムでは、データの到着を知る
ために、データにタイミング情報(時間情報)を付加し
なければならない。そこで、図6を参照しつつデータに
タイミング情報を付加する2つの方法を説明する。
ために、データにタイミング情報(時間情報)を付加し
なければならない。そこで、図6を参照しつつデータに
タイミング情報を付加する2つの方法を説明する。
【0092】6−1 2線2相方式 図6(a)に示すように、1ビットに対して2本の信号
線(x,xバー)を用い、0データを(0,1)、1デ
ータを(1,0)で表現する方法を2線式という。デー
タが到着していない状態を(0,0)で表し、0データ
の到着を(0,0)から(0,1)への遷移、1データ
の到着を(0,0)から(1,0)への遷移で表現する
ことにより、遅延の上限が未知であっても、正しいデー
タ転送を行うことができる。
線(x,xバー)を用い、0データを(0,1)、1デ
ータを(1,0)で表現する方法を2線式という。デー
タが到着していない状態を(0,0)で表し、0データ
の到着を(0,0)から(0,1)への遷移、1データ
の到着を(0,0)から(1,0)への遷移で表現する
ことにより、遅延の上限が未知であっても、正しいデー
タ転送を行うことができる。
【0093】ここで、(0,0)をスペーサー(space
r)、(0,1)及び(1,0)を有効符号語(code wo
rd)という。また、スペーサーから有効符号語に遷移す
るまでの期間を稼働相(working phase)、次のデータ
転送を行うために、有効符号語からスペーサーに遷移す
る期間を休止相(idle phase)という。稼働相と休止相
とを交互に実行することによりデータ転送を行う方式を
2線2相方式という。
r)、(0,1)及び(1,0)を有効符号語(code wo
rd)という。また、スペーサーから有効符号語に遷移す
るまでの期間を稼働相(working phase)、次のデータ
転送を行うために、有効符号語からスペーサーに遷移す
る期間を休止相(idle phase)という。稼働相と休止相
とを交互に実行することによりデータ転送を行う方式を
2線2相方式という。
【0094】このように、データを符号化することによ
り、データの発生、到着、移動、変換、記憶等がいつ生
じたかを示すタイミング符号を、当該データに含ませる
ことができる。
り、データの発生、到着、移動、変換、記憶等がいつ生
じたかを示すタイミング符号を、当該データに含ませる
ことができる。
【0095】6−2 束データ方式 図6(b)に示すように、任意のビット数のデータ線に
対してタイミング情報を表す信号線(ここでは、タイミ
ング信号線と呼ぶ)を1本だけ付加する方式を束データ
(bundled data)方式という。データ線に新しいデータ
を出力した後に、タイミング信号線を変化させることに
より、データ転送を実現する。束データ方式は、素子遅
延と配線遅延とが既知である場合、同期式の組み合わせ
回路をそのまま使用できるという利点がある。束データ
方式の組み合わせ回路は、データ線とタイミング信号線
とからなる。タイミング信号線は、遅延素子を用いて、
組み合わせ回路の入力データが確定したことを示す信号
から出力データが確定したことを示す信号を生成する。
対してタイミング情報を表す信号線(ここでは、タイミ
ング信号線と呼ぶ)を1本だけ付加する方式を束データ
(bundled data)方式という。データ線に新しいデータ
を出力した後に、タイミング信号線を変化させることに
より、データ転送を実現する。束データ方式は、素子遅
延と配線遅延とが既知である場合、同期式の組み合わせ
回路をそのまま使用できるという利点がある。束データ
方式の組み合わせ回路は、データ線とタイミング信号線
とからなる。タイミング信号線は、遅延素子を用いて、
組み合わせ回路の入力データが確定したことを示す信号
から出力データが確定したことを示す信号を生成する。
【0096】遅延変動率の上限値kを2と仮定して設計
を行うと、束データ方式では、タイミング信号の遅延を
データ線の遅延の2倍以上にしなければならない。これ
に対して、2線2相方式の回路は、データの到着を知る
ことができるので、束データ方式より高速である場合が
多い。
を行うと、束データ方式では、タイミング信号の遅延を
データ線の遅延の2倍以上にしなければならない。これ
に対して、2線2相方式の回路は、データの到着を知る
ことができるので、束データ方式より高速である場合が
多い。
【0097】従って、処理速度の点では、2線2相方式
を採用するのが好ましい。しかし、例えば、チップ1の
外部とのインターフェース部やRAM等の既存のものを
使用できる点では、束データ方式の方が好ましい。ここ
で、固定遅延を用いて高速な束データ方式の回路を設計
すると、タイミング余裕が小さくなる。そこで、束デー
タ方式で使用する素子は、外部から制御可能なものを用
いて、組み合わせ回路の遅延時間の最大値に調節するこ
とで、タイミングフォールトが起きないようにするのが
好ましい。
を採用するのが好ましい。しかし、例えば、チップ1の
外部とのインターフェース部やRAM等の既存のものを
使用できる点では、束データ方式の方が好ましい。ここ
で、固定遅延を用いて高速な束データ方式の回路を設計
すると、タイミング余裕が小さくなる。そこで、束デー
タ方式で使用する素子は、外部から制御可能なものを用
いて、組み合わせ回路の遅延時間の最大値に調節するこ
とで、タイミングフォールトが起きないようにするのが
好ましい。
【0098】7.非同期式パイプライン 次に、図7に基づいて、SDIモデルを適用した非同期
式パイプラインの一例を説明する。
式パイプラインの一例を説明する。
【0099】パイプライン方式とは、全体の処理を独立
したいくつかの処理(ステージ)に分割し、それぞれを
並行に実行することによって、高速な処理を達成する方
式である。
したいくつかの処理(ステージ)に分割し、それぞれを
並行に実行することによって、高速な処理を達成する方
式である。
【0100】本実施の形態に係る非同期式パイプライン
は、図7に示すように、転送元ラッチ41及び転送先ラ
ッチ42と、該各ラッチ41,42間に設けられた組み
合わせ回路(combinational circuit)43と、データ
の流れを制御する制御回路44とを備えて構成されてい
る。なお、データは、上述した2線2相方式により、パ
イプラインを流れるようになっている。
は、図7に示すように、転送元ラッチ41及び転送先ラ
ッチ42と、該各ラッチ41,42間に設けられた組み
合わせ回路(combinational circuit)43と、データ
の流れを制御する制御回路44とを備えて構成されてい
る。なお、データは、上述した2線2相方式により、パ
イプラインを流れるようになっている。
【0101】組み合わせ回路43は、転送元ラッチ41
からデータが到着すると、演算を行い、演算結果を転送
先ラッチ42に出力する(このとき、全ての入力が到着
している必要はない)。そして、全ての入力が到着し、
次の入力を受理することが可能になると、組み合わせ回
路の完了信号を制御回路44に出力する。ここで、組み
合わせ回路43の完了信号が演算結果の出力と分離して
いるのは、演算結果を転送先ラッチ42に書き込む動作
とデータの入力待ちとを並行して実行するためである。
このとき、データの読み出し要求を受けていながら実際
の読み出しが行われないラッチがある場合、該ラッチに
対する次のデータ書き込みを行うことはできない。従っ
て、結果的に不要なデータであっても、全ての入力が到
着するまで待たなくてはならない。
からデータが到着すると、演算を行い、演算結果を転送
先ラッチ42に出力する(このとき、全ての入力が到着
している必要はない)。そして、全ての入力が到着し、
次の入力を受理することが可能になると、組み合わせ回
路の完了信号を制御回路44に出力する。ここで、組み
合わせ回路43の完了信号が演算結果の出力と分離して
いるのは、演算結果を転送先ラッチ42に書き込む動作
とデータの入力待ちとを並行して実行するためである。
このとき、データの読み出し要求を受けていながら実際
の読み出しが行われないラッチがある場合、該ラッチに
対する次のデータ書き込みを行うことはできない。従っ
て、結果的に不要なデータであっても、全ての入力が到
着するまで待たなくてはならない。
【0102】各ラッチ41,42は、入力にデータが到
着し、かつ、データの読み出し要求信号が到着した場合
には、出力データを入力されたデータで更新する。更新
が終了した場合には、書き込み完了信号を出力する。
着し、かつ、データの読み出し要求信号が到着した場合
には、出力データを入力されたデータで更新する。更新
が終了した場合には、書き込み完了信号を出力する。
【0103】制御回路44は、転送先ラッチ42からの
書き込み完了信号及び組み合わせ回路43からの完了信
号の双方の発生をC素子44aによって確認し、C素子
44aの出力をインバータ44bで反転させることによ
り、転送元ラッチ41に読み出し要求信号を出力する。
書き込み完了信号及び組み合わせ回路43からの完了信
号の双方の発生をC素子44aによって確認し、C素子
44aの出力をインバータ44bで反転させることによ
り、転送元ラッチ41に読み出し要求信号を出力する。
【0104】なお、図7では、転送元ラッチ41と組み
合わせ回路43と転送先ラッチ42とは一対一の関係で
示されている。しかし、一般的には、転送元ラッチ41
の出力は、複数の組み合わせ回路43及び複数の転送先
ラッチ42で共有されることになる。この場合、転送元
ラッチ41からのデータ読み出しは、出力を共有する組
み合わせ回路43及び転送先ラッチ42の完了信号が出
力された後でなくてはならない。従って、各転送先ラッ
チ42の書き込み完了信号と該各転送先ラッチ42の入
力に接続されている各組み合わせ回路43の完了信号と
を他のC素子で持ち合わせ、このC素子の出力を新たに
書き込み完了信号として用いる。
合わせ回路43と転送先ラッチ42とは一対一の関係で
示されている。しかし、一般的には、転送元ラッチ41
の出力は、複数の組み合わせ回路43及び複数の転送先
ラッチ42で共有されることになる。この場合、転送元
ラッチ41からのデータ読み出しは、出力を共有する組
み合わせ回路43及び転送先ラッチ42の完了信号が出
力された後でなくてはならない。従って、各転送先ラッ
チ42の書き込み完了信号と該各転送先ラッチ42の入
力に接続されている各組み合わせ回路43の完了信号と
を他のC素子で持ち合わせ、このC素子の出力を新たに
書き込み完了信号として用いる。
【0105】図7に示す各ラッチ41,42の書き込み
完了信号を生成する回路と組み合わせ回路43の完了信
号を生成する回路とに、図5に示すようなSDIモデル
を適用することができる。これにより、高い信頼性を確
保しつつ処理速度を向上することができる。
完了信号を生成する回路と組み合わせ回路43の完了信
号を生成する回路とに、図5に示すようなSDIモデル
を適用することができる。これにより、高い信頼性を確
保しつつ処理速度を向上することができる。
【0106】8.組み合わせ回路の休止相時間の短縮 8−1 従来の方法 上述した2相式のデータ転送のうち、休止相は、次のデ
ータ転送を行うために回路を初期化するという、いわば
無駄な時間である。休止相を短縮する一つの方法は、レ
ジスタ間転送の休止相と次に行うレジスタ間転送の稼働
相とを並列に実行することにより、休止相の時間を隠蔽
することである。
ータ転送を行うために回路を初期化するという、いわば
無駄な時間である。休止相を短縮する一つの方法は、レ
ジスタ間転送の休止相と次に行うレジスタ間転送の稼働
相とを並列に実行することにより、休止相の時間を隠蔽
することである。
【0107】しかし、この方法をパイプライン処理に適
用しようとすると、組み合わせ回路を2分割し、パイプ
ラインの段数を2倍にしなければならない。パイプライ
ン段数の増加は、ステージ間ラッチの遅延と制御回路の
遅延時間とを増大させるため、全体の実行時間はあまり
短縮されない。
用しようとすると、組み合わせ回路を2分割し、パイプ
ラインの段数を2倍にしなければならない。パイプライ
ン段数の増加は、ステージ間ラッチの遅延と制御回路の
遅延時間とを増大させるため、全体の実行時間はあまり
短縮されない。
【0108】図8には、従来の組み合わせ回路が示され
ている。図8(b)に示すように、通常の組み合わせ回
路では、稼働相と休止相とが交互に実行される。より正
確には、前半部の組み合わせ回路51fの稼働相f
(W)→後半部の組み合わせ回路51gの稼働相g
(W)→前半部の組み合わせ回路51fの休止相f
(I)→後半部の組み合わせ回路51gの休止相g
(I)の順序で実行されていく。
ている。図8(b)に示すように、通常の組み合わせ回
路では、稼働相と休止相とが交互に実行される。より正
確には、前半部の組み合わせ回路51fの稼働相f
(W)→後半部の組み合わせ回路51gの稼働相g
(W)→前半部の組み合わせ回路51fの休止相f
(I)→後半部の組み合わせ回路51gの休止相g
(I)の順序で実行されていく。
【0109】8−2 新たな方法 図9には、本実施の形態に係る組み合わせ回路の休止相
を短縮した回路が示されている。図9(a)に示すよう
に、組み合わせ回路を、前半部の組み合わせ回路51f
と後半部の組み合わせ回路51gとに前後に分割し、前
半部の回路51fと後半部の回路51gとの間には、各
信号線に対応するANDゲート52が挿入されている。
そして、組み合わせ回路の全入力のうち最先に到着する
信号の1ビット分(図中では、xn,xnバー)をOR
ゲート53に入力し、該ORゲート53の出力を各AN
Dゲート52の他方の入力としている。
を短縮した回路が示されている。図9(a)に示すよう
に、組み合わせ回路を、前半部の組み合わせ回路51f
と後半部の組み合わせ回路51gとに前後に分割し、前
半部の回路51fと後半部の回路51gとの間には、各
信号線に対応するANDゲート52が挿入されている。
そして、組み合わせ回路の全入力のうち最先に到着する
信号の1ビット分(図中では、xn,xnバー)をOR
ゲート53に入力し、該ORゲート53の出力を各AN
Dゲート52の他方の入力としている。
【0110】従って、図8に示す従来の回路では、前半
部の回路51fの休止相f(I)が終了した後に、後半
部の回路51gの休止相g(I)が実行されるが、本実
施の形態によれば、図9(b)に示すように、前半部の
回路51fの休止相f(I)と後半部の回路51gの休
止相g(I)とは、ほぼ同時に実行される。何故なら、
入力(x)がスペーサー(0,0)に変化して前半部の
回路51fの休止相f(I)が始まるときには、ORゲ
ート53の出力iaが0となって各ANDゲート52の
出力が0に変化し、後半部の回路51gの入力がスペー
サーに変化するからである。
部の回路51fの休止相f(I)が終了した後に、後半
部の回路51gの休止相g(I)が実行されるが、本実
施の形態によれば、図9(b)に示すように、前半部の
回路51fの休止相f(I)と後半部の回路51gの休
止相g(I)とは、ほぼ同時に実行される。何故なら、
入力(x)がスペーサー(0,0)に変化して前半部の
回路51fの休止相f(I)が始まるときには、ORゲ
ート53の出力iaが0となって各ANDゲート52の
出力が0に変化し、後半部の回路51gの入力がスペー
サーに変化するからである。
【0111】従って、従来の非同期式パイプラインにお
ける組み合わせ回路よりも、休止相の実行時間を半分に
短縮することができ、処理速度を向上することができ
る。
ける組み合わせ回路よりも、休止相の実行時間を半分に
短縮することができ、処理速度を向上することができ
る。
【0112】このように構成される本実施の形態によれ
ば、以下の効果を奏する。
ば、以下の効果を奏する。
【0113】第1に、チップ1を所定の面積の各ブロッ
ク2に分割し、各ブロック2間は遅延の上限値は未知で
あるとする第1の遅延モデル(DIモデルまたはQDI
モデル)を適用して形成し、各ブロックは遅延の上限値
は未知であるが任意の2つの遅延の変動率の比の上限値
は既知であるとする第2の遅延モデル(SDIモデル)
を適用してそれぞれ形成するため、高い信頼性を保持し
つつ、処理速度を向上することができる。
ク2に分割し、各ブロック2間は遅延の上限値は未知で
あるとする第1の遅延モデル(DIモデルまたはQDI
モデル)を適用して形成し、各ブロックは遅延の上限値
は未知であるが任意の2つの遅延の変動率の比の上限値
は既知であるとする第2の遅延モデル(SDIモデル)
を適用してそれぞれ形成するため、高い信頼性を保持し
つつ、処理速度を向上することができる。
【0114】つまり、従来の非同期式ディジタルシステ
ムでは、遅延の上限値は未知であると仮定するため、常
に前処理の結果を確認してから次処理を行う必要があ
る。従って、確認のための回路を必要とし、次処理の開
始時期が遅れるため処理速度も低下する。しかし、本実
施の形態では、回路の局所性に着目し、所定の範囲内で
は遅延変動率の比の上限値は既知として扱うことができ
るとする新たな遅延仮定(SDIモデル)を各ブロック
2に導入している。
ムでは、遅延の上限値は未知であると仮定するため、常
に前処理の結果を確認してから次処理を行う必要があ
る。従って、確認のための回路を必要とし、次処理の開
始時期が遅れるため処理速度も低下する。しかし、本実
施の形態では、回路の局所性に着目し、所定の範囲内で
は遅延変動率の比の上限値は既知として扱うことができ
るとする新たな遅延仮定(SDIモデル)を各ブロック
2に導入している。
【0115】従って、例えば、図5に示すように確認の
ための回路量を低減することができ、処理速度を向上さ
せることができる。また、著しい配線遅延が生じうるブ
ロック間の接続部には、従来の遅延モデルを採用してい
るため、安定した動作を保証することができる。
ための回路量を低減することができ、処理速度を向上さ
せることができる。また、著しい配線遅延が生じうるブ
ロック間の接続部には、従来の遅延モデルを採用してい
るため、安定した動作を保証することができる。
【0116】第2に、ある素子または配線の遅延が予測
された値から上限値k倍だけ大きくなった場合でも、回
路の安定した作動を保証することができるため、電源電
圧や周囲温度等の変動に対して強いという利点が生じ
る。周囲温度や電源電圧の変動によって各遅延の上限値
は変動するが、SDIモデルが適用される2つの遅延の
間における相対的変動の幅に変動は生じない。従って、
本実施の形態に係る非同期式ディジタルシステムは、例
えば、深海、宇宙、極寒地等の厳しい環境下で安定した
作動を行うことができる。換言すれば、通常の環境下で
は、電圧安定化回路やCPUクーラ等を用いずに安定し
た作動を得ることができ、コスト的にも有利である。
された値から上限値k倍だけ大きくなった場合でも、回
路の安定した作動を保証することができるため、電源電
圧や周囲温度等の変動に対して強いという利点が生じ
る。周囲温度や電源電圧の変動によって各遅延の上限値
は変動するが、SDIモデルが適用される2つの遅延の
間における相対的変動の幅に変動は生じない。従って、
本実施の形態に係る非同期式ディジタルシステムは、例
えば、深海、宇宙、極寒地等の厳しい環境下で安定した
作動を行うことができる。換言すれば、通常の環境下で
は、電圧安定化回路やCPUクーラ等を用いずに安定し
た作動を得ることができ、コスト的にも有利である。
【0117】第3に、2線2相方式によってデータにタ
イミング情報を付加するため、データの発生、移動、変
換、記憶等がいつ生じたかを検出することができる。
イミング情報を付加するため、データの発生、移動、変
換、記憶等がいつ生じたかを検出することができる。
【0118】第4に、組み合わせ回路を前半部51fと
後半部51gとの2つの部分回路に分割し、前半部51
fと後半部51gとの間には前半部51fの休止相f
(I)移行開始を検出する検出手段(各ANDゲート5
2及びORゲート53)を設け、該検出手段が前半部5
1fの休止相f(I)移行を検出した場合には、後半部
51gの休止相g(I)を実行させる構成のため、前半
部51fの休止相f(I)と後半部51gの休止相g
(I)とを並列に実行することができ、処理速度を向上
できる。なお、かかる構成は、SDIモデルを採用した
システムのみならず、従来の非同期式ディジタルシステ
ムでも有用である。
後半部51gとの2つの部分回路に分割し、前半部51
fと後半部51gとの間には前半部51fの休止相f
(I)移行開始を検出する検出手段(各ANDゲート5
2及びORゲート53)を設け、該検出手段が前半部5
1fの休止相f(I)移行を検出した場合には、後半部
51gの休止相g(I)を実行させる構成のため、前半
部51fの休止相f(I)と後半部51gの休止相g
(I)とを並列に実行することができ、処理速度を向上
できる。なお、かかる構成は、SDIモデルを採用した
システムのみならず、従来の非同期式ディジタルシステ
ムでも有用である。
【0119】9.SDIモデルによる論理設計方法 なお、SDIモデルを採用するシステムは、例えば、図
10の概略フローチャートに示すように、以下の方法に
よって設計することができる。
10の概略フローチャートに示すように、以下の方法に
よって設計することができる。
【0120】まず、第1ステップとして、システム全体
(チップ1の全体)をQDIモデルによって設計し、第
2ステップとして、システムを前記Lで規定される各サ
ブシステム(ブロック2)にそれぞれ分割する。
(チップ1の全体)をQDIモデルによって設計し、第
2ステップとして、システムを前記Lで規定される各サ
ブシステム(ブロック2)にそれぞれ分割する。
【0121】次に、第3ステップとして、各サブシステ
ム内でSDIモデルが適用可能な部分を検出する。即
ち、各サブシステム内の各信号遷移について、各信号遷
移の発生順序(機能実現上の因果関係)、タイミング余
裕等を検討し、SDIモデルを適用可能なパスを検出す
る。
ム内でSDIモデルが適用可能な部分を検出する。即
ち、各サブシステム内の各信号遷移について、各信号遷
移の発生順序(機能実現上の因果関係)、タイミング余
裕等を検討し、SDIモデルを適用可能なパスを検出す
る。
【0122】そして、第4ステップとして、SDIモデ
ルが適用可能と判断された部分の設計を、QDIモデル
からSDIモデルに変更する。
ルが適用可能と判断された部分の設計を、QDIモデル
からSDIモデルに変更する。
【0123】なお、当業者であれば、前記実施の形態に
限らず、本発明から逸脱しない範囲で種々の追加や変更
等を行うことが可能である。例えば、各論理回路は、図
示の例に限らず、他のゲートを用いることによっても構
成できる。
限らず、本発明から逸脱しない範囲で種々の追加や変更
等を行うことが可能である。例えば、各論理回路は、図
示の例に限らず、他のゲートを用いることによっても構
成できる。
【0124】また、本実施の形態は、CPU、MPU、
DSP等の各種非同期式ディジタルシステムに適用する
ことができる。そして、好ましくは、宇宙船、衛星、潜
水艦、極限作業ロボット等の過酷な環境下で用いられる
システムに好適に用いることができる。
DSP等の各種非同期式ディジタルシステムに適用する
ことができる。そして、好ましくは、宇宙船、衛星、潜
水艦、極限作業ロボット等の過酷な環境下で用いられる
システムに好適に用いることができる。
【0125】さらに、チップ面積が小さい場合等には、
該チップ全体をSDIモデル支配下におく構成としても
よい。
該チップ全体をSDIモデル支配下におく構成としても
よい。
【0126】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る非同期
式ディジタルシステムによれば、信頼性を保持しつつ処
理速度を向上することができる。
式ディジタルシステムによれば、信頼性を保持しつつ処
理速度を向上することができる。
【図1】本実施の形態に係るチップの構成を示す説明図
である。
である。
【図2】従来のDIモデルまたはQDIモデルの概念を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図3】新たに提案するSDIモデルの概念を示す説明
図である。
図である。
【図4】遅延変動率及びタイミング余裕を示す説明図で
あり、図4(a)は遅延の変動を示す説明図、図4
(b)はタイミング余裕を示すための説明図である。
あり、図4(a)は遅延の変動を示す説明図、図4
(b)はタイミング余裕を示すための説明図である。
【図5】QDIモデルによる書き込み完了信号生成回路
とSDIモデルによる書き込み完了信号生成回路とを比
較して示す回路図である。
とSDIモデルによる書き込み完了信号生成回路とを比
較して示す回路図である。
【図6】非同期式ディジタルシステムを流れるデータに
タイミング情報を付加するための2種類の方法を示す説
明図であり、図6(a)は2線2相方式を示し、図6
(b)は束データ方式を示している。
タイミング情報を付加するための2種類の方法を示す説
明図であり、図6(a)は2線2相方式を示し、図6
(b)は束データ方式を示している。
【図7】非同期式パイプラインを示す説明図である。
【図8】従来の組み合わせ回路を示し、図8(a)は組
み合わせ回路の説明図、図8(b)はタイミングチャー
トである。
み合わせ回路の説明図、図8(b)はタイミングチャー
トである。
【図9】前半部の休止相と後半部の休止相とを並列に実
行できる新たな組み合わせ回路を示し、図9(a)は組
み合わせ回路の説明図、図9(b)はタイミングチャー
トである。
行できる新たな組み合わせ回路を示し、図9(a)は組
み合わせ回路の説明図、図9(b)はタイミングチャー
トである。
【図10】SDIモデルによる論理設計の概略を示すフ
ローチャートである。
ローチャートである。
1 チップ 2 ブロック 3 接続部 4 論理素子 5 第1の部分回路 6 第2の部分回路 7 第1の部分回路 8 第2の部分回路 11 1ビットのレジスタ 21 QDIモデルによる書き込み完了信号生成回路 31 SDIモデルによる書き込み完了信号生成回路 41 転送元ラッチ 42 転送先ラッチ 43 組み合わせ回路 44 制御回路 51f 組み合わせ回路の前半部 51g 組み合わせ回路の後半部
Claims (8)
- 【請求項1】 システム全体に分配される同期信号を用
いずに信号処理を行う非同期式ディジタルシステムであ
って、 前記システムは、所定の面積を超えない複数のサブシス
テムに分割し、 前記各サブシステム間は、遅延の上限値は未知であると
する第1の遅延モデルを適用して形成し、 前記各サブシステムは、遅延の上限値は未知であるが任
意の2つの遅延の変動率の比の上限値は既知であるとす
る第2の遅延モデルを適用してそれぞれ形成したことを
特徴とする非同期式ディジタルシステム。 - 【請求項2】 システム全体に分配される同期信号を用
いずに信号処理を行う非同期式ディジタルシステムであ
って、 第1の信号遷移aの発生によって第2の信号遷移bと第
3の信号遷移cとが発生し、かつ、前記第2の信号遷移
bが前記第3の信号遷移cよりも先に発生することが機
能実現に必要である場合には、前記第1の信号遷移aが
発生してから前記第2の信号遷移bが発生するまでの時
間をTab、前記第1の信号遷移aが発生してから前記
第3の信号遷移cが発生するまでの時間をTac、定数
をk(kは1より大きい実数)とそれぞれしたときに、
k・Tab<Tacが成立する推定遅延を有する回路構
成要素によって構成されたことを特徴とする非同期式デ
ィジタルシステム。 - 【請求項3】 システム全体に分配される同期信号を用
いずに信号処理を行う非同期式ディジタルシステムであ
って、 前記システムは、複数のサブシステムに分割し、 前記各サブシステムは、第1の信号遷移aの発生によっ
て第2の信号遷移bと第3の信号遷移cとが発生し、か
つ、前記第2の信号遷移bが前記第3の信号遷移cより
も先に発生することが機能実現に必要である場合には、
前記第1の信号遷移aが発生してから前記第2の信号遷
移bが発生するまでの時間をTab、前記第1の信号遷
移aが発生してから前記第3の信号遷移cが発生するま
での時間をTac、定数をk(kは1より大きい実数)
とそれぞれしたときに、k・Tab<Tacが成立する
推定遅延を有する回路構成要素によってそれぞれ構成さ
れていることを特徴とする非同期式ディジタルシステ
ム。 - 【請求項4】 前記システム内を流れるデータは、時間
情報を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3
のいずれかに記載の非同期式ディジタルシステム。 - 【請求項5】 前記データは、前記時間情報を含むよう
に符号化されていることを特徴とする請求項4に記載の
非同期式ディジタルシステム。 - 【請求項6】 第1の信号遷移aの発生によって第2の
信号遷移bと第3の信号遷移cとが発生し、かつ、前記
第2の信号遷移bが前記第3の信号遷移cよりも先に発
生することが機能実現に必要である場合には、前記第1
の信号遷移aが発生してから前記第2の信号遷移bが発
生するまでの時間をTab、前記第1の信号遷移aが発
生してから前記第3の信号遷移cが発生するまでの時間
をTac、定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞ
れしたときに、k・Tab<Tacが成立する推定遅延
を有する回路構成要素によって構成される非同期式ディ
ジタルシステムに用いられる非同期式データパス回路で
あって、 稼働相と休止相とを交互に実行することによって符号化
されたデータを転送すると共に、 前記非同期式データパス回路は、複数の部分回路に分割
されており、 前記各部分回路には、前記休止相に移行させるための信
号をそれぞれ入力することにより、該各部分回路におけ
る前記休止相を並列的に実行させることを特徴とする非
同期式データパス回路。 - 【請求項7】 入力されたデータd1を処理することに
より新たなデータd2を生成する非同期式ディジタル信
号処理回路であって、 前記新たなデータd2が有効になったことを示す完了信
号を生成する完了信号生成回路を設け、 前記完了信号生成回路は、前記入力されたデータd1が
有効となってから前記新たなデータd2が有効になるま
での時間をTd、前記入力されたデータd1が有効とな
ってから前記完了信号が生成されるまでの時間をTs、
定数をk(kは1より大きい実数)とそれぞれしたとき
に、k・Td<Tsが成立する推定遅延を有する回路構
成要素によって構成されていることを特徴とする非同期
式ディジタル信号処理回路。 - 【請求項8】 第1の信号遷移aの発生によって第2の
信号遷移bを生成すると共に、前記第2の信号遷移bが
発生した後に発生すべき第3の信号遷移cを生成する非
同期式ディジタル信号処理方法であって、 前記第1の信号遷移aが発生してから前記第2の信号遷
移bが発生するまでの時間をTab、前記第1の信号遷
移aが発生してから前記第3の信号遷移cが発生するま
での時間をTac、定数をk(kは1より大きい実数)
とそれぞれしたときに、k・Tab<Tacが成立する
ときには、前記第1の信号遷移aの発生を確認したとき
に前記第3の信号遷移cの生成を開始することを特徴と
する非同期式ディジタル信号処理方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9173086A JPH117427A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 非同期式ディジタルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式ディジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理方法 |
CA002217471A CA2217471A1 (en) | 1997-06-13 | 1997-10-03 | Asynchronous digital system, asynchronous data path circuit, asynchronous digital signal processing circuit and asynchronous digital signal processing method |
US08/948,483 US6038259A (en) | 1997-06-13 | 1997-10-10 | Asynchronous digital system, asynchronous data path circuit, asynchronous digital signal processing circuit and asynchronous digital signal processing method |
US09/430,130 US6606356B1 (en) | 1997-06-13 | 1999-10-29 | Asynchronous digital system, asynchronous data path circuit, asynchronous digital signal processing circuit and asynchronous digital signal processing method |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9173086A JPH117427A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 非同期式ディジタルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式ディジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH117427A true JPH117427A (ja) | 1999-01-12 |
Family
ID=15953951
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP9173086A Withdrawn JPH117427A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 非同期式ディジタルシステム及び非同期式データパス回路及び非同期式ディジタル信号処理回路及び非同期式ディジタル信号処理方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US6038259A (ja) |
JP (1) | JPH117427A (ja) |
CA (1) | CA2217471A1 (ja) |
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-
1997
- 1997-06-13 JP JP9173086A patent/JPH117427A/ja not_active Withdrawn
- 1997-10-03 CA CA002217471A patent/CA2217471A1/en not_active Abandoned
- 1997-10-10 US US08/948,483 patent/US6038259A/en not_active Expired - Fee Related
-
1999
- 1999-10-29 US US09/430,130 patent/US6606356B1/en not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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US6606356B1 (en) | 2003-08-12 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070306 |