JPH1171196A - 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

単結晶構造物の製造方法及びその製造装置

Info

Publication number
JPH1171196A
JPH1171196A JP9227744A JP22774497A JPH1171196A JP H1171196 A JPH1171196 A JP H1171196A JP 9227744 A JP9227744 A JP 9227744A JP 22774497 A JP22774497 A JP 22774497A JP H1171196 A JPH1171196 A JP H1171196A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
double
single crystal
cylindrical wall
gap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9227744A
Other languages
English (en)
Inventor
Michiyoshi Yamamoto
道好 山本
Takahiko Kato
隆彦 加藤
Shigeo Hattori
成雄 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP9227744A priority Critical patent/JPH1171196A/ja
Publication of JPH1171196A publication Critical patent/JPH1171196A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】筒状の単結晶構造物を容易に製造する。 【解決手段】二重円筒部14及び二重逆円錐部17を有
する鋳型13は、二重円筒部2及び二重逆円錐部5を有
する加熱炉1内に配置される。溶融金属が、加熱炉1で
内側及び外側の側壁が加熱される鋳型13内に注入され
る。注入された金属は、二重逆円錐部5の加熱量の減少
により、二重逆円錐部17の下端部から上方に向かって
放射状に単結晶化される。その後、加熱炉1の二重円筒
部2及び内側逆円錐壁7を上方に移動させて二重円筒部
14を徐々に外気に接触させ、二重円筒部14内の注入
金属を冷却させながら単結晶化する。 【効果】鋳型13の内外の側壁を二重円筒部2及び二重
逆円錐部5で加熱できるので、その内外側壁間での注入
金属の温度勾配を抑制でき、注入金属を筒状に容易に単
結晶化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶構造物の製
造方法及びその製造装置に係り、特に沸騰水型原子炉に
用いる筒状の単結晶の炉心シュラウドを製造するのに好
適な単結晶構造物の製造方法及びその製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼等の金属
材料は、高温水と接触する場合に、その溶接部またはそ
の近傍の熱影響部に粒界応力腐食割れ(以下、IGSC
Cという)を生じる。IGSCCは、材料,応力及び環
境の3因子が重畳したときに発生しやすい。材料因子
は、Cr炭化物が結晶粒界に析出してその周囲に耐食性
の劣るCr欠乏層が形成されることによる鋭敏化であ
る。応力因子は、溶接または加工によって材料内部に残
留する引っ張り残留応力である。環境因子は、高温水中
の溶存酸素量である。IGSCCは、重畳した3因子の
うち1つを取り除くことによって発生を防止できる。
【0003】従来の原子炉の構造物は、多結晶構造のオ
ーステナイト系ステンレス鋼、例えば、SUS304,SUS304
L,SUS316及びSUS316L等を用いる。原子炉容器内に設置
される構造物は、高温水に接触しており、IGSCCが
生じる可能性がある。
【0004】単結晶のオーステナイ系トステンレス鋼に
よる構造物は、中性子の照射による粒界型応力腐食割れ
に強いことが知られている。
【0005】オーステナイト系ステンレス鋼の単結晶製
造方法は、日本金属学会誌の1979年43巻770頁にSU
S304の応力腐食割れの実験に関連して述べられている。
これは、ブリッジマン法によるオーステナイト系ステン
レス鋼の単結晶製造方法について説明する。製造例とし
て、直径3mm長さ160mmの単結晶の丸棒が記載されて
いる。ブリッジマン法は、小型の試験片程度の構造物の
製造に適している。しかし、凝固速度が3mm/hrと非常
に遅く大型の構造物への適用は困難である。
【0006】特開平3−264651 号公報は、凝固速度が1
〜500mm/hrの範囲で一方向凝縮法による単結晶構造
物の製造について記載する。一例として、ボルトの製造
を説明する。加熱炉内にボルトの鋳型を配置し、鋳型を
加熱した状態で鋳型内に溶融金属を注入し、鋳型を加熱
炉から非着ぬきながら溶融金属を冷却して一方向に多結
晶を成長させている。また、特開平8−49042号公報は、
Niが15〜30%,Crが10〜17%,Feが45
%以上の多結晶構造のオーステナイト系ステンレス鋼を
特開平3−264651 号公報と同様に製造することを記載す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−264651 号公
報及び特開平8−49042号公報に記載した一方向凝縮法に
より、原子炉内の円筒構造物である炉心シュラウドの単
結晶体を製造するとき、ボルト等の比較的小型構造物で
は問題にならない、鋳型内の溶融金属の温度勾配が新た
に問題になることが、発明者等の検討によって明らかに
なった。すなわち、炉心シュラウドは内径5m,高さ6
m及び肉厚60mmであり、特開平3− 264651号公報
及び特開平8−49042号公報記載の加熱炉では、鋳型内の
溶融金属の内側部分と外側部分とで温度勾配が生じ、単
結晶にならない。
【0008】本発明の目的は、応力腐食割れが生じない
筒状の単結晶構造物を容易に製造できる単結晶構造物の
製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する第1
の発明の特徴は、第1二重筒状壁を有してこれらの間に
環状空間を有する鋳型を、加熱炉の第2二重筒状壁の間
に挿入し、前記加熱炉によって前記鋳型を加熱し、前記
鋳型を加熱しながら前記鋳型の前記環状空間内に溶融し
た金属を注入し、その後、前記鋳型及び前記加熱炉のい
ずれかを一方向に移動させることによって前記鋳型を外
気と接触させて前記鋳型内の前記溶融金属を冷却させな
がら前記溶融金属を単結晶化することにある。
【0010】加熱炉の第2二重筒状壁の間に、間隙が間
に形成される第1二重筒状壁を有する鋳型を挿入して、
加熱炉により鋳型を加熱するので、環状空間に注入され
た金属の温度勾配が鋳型の内側の筒状壁とその外側の筒
状壁との間で抑制される。このため、鋳型及び加熱炉の
一方を移動させて鋳型を加熱炉外に取り出して冷却する
ことによって、鋳型内に注入された金属を筒状に容易に
単結晶化させることができる。
【0011】上記目的を達成する第2の発明の特徴は、
上方に向かって放射状に広がる第1間隙を間に形成する
二重円錐状壁、及びこの二重円錐壁の上端に下端がつな
がり、かつ前記第1間隙に連絡されて上方に向かって伸
びる環状の第2間隙を間に形成する二重筒壁を有する前
記第1二重筒状壁を備えた前記鋳型を用い、前記第1間
隙の下端部から上方に向かって前記溶融金属を単結晶化
することにある。
【0012】放射状に上方に伸びる第1間隙の下端部か
ら単結晶化するので、単結晶構造体として使用される環
状の第2間隙内に注入された金属の単結晶化を、第2間
隙の下端から上方に向かって第2間隙の全周で進行させ
ることができる。このため、筒状部の単結晶化を円滑に
行うことができる。
【0013】上記目的を達成する第3の発明の特徴は、
Creq=Cr+1.37Mo+1.5Si+2Nb+3T
i+2.48Al及びNieq=Ni+0.31Mn+22
C+14.2N+Cuであるとき、前記溶融金属はCr
eq/Nieqが1.85以上であることにある。
【0014】Creq/Nieqが1.85 以上である溶融
金属を用いることにより、単結晶の筒状構造物を鋳造に
て容易に製造できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好適な一実施例である単
結晶構造物の製造方法を、図1及び図2を用いて以下に
説明する。本実施例では、沸騰水型原子炉に設置される
円筒の単結晶構造である炉心シュラウドを製造する。
【0016】本実施例に用いられる単結晶構造物の製造
装置を図1により具体的に述べる。本製造装置は、加熱
炉1,鋳型13,セレクタ24,スタータ25,水冷チ
ル26,加熱炉移動装置29及び温度制御装置37を備
える。
【0017】加熱炉1は、環状の間隙8を間に形成する
ように同心円状に配置された外側円筒壁3及び内側円筒
壁4を有する二重円筒部2、及び環状の間隙9を間に形
成するように同心円状に配置された外側逆円錐壁6及び
内側逆円錐壁7を有する二重逆円錐部5を備える。
【0018】外側逆円錐壁6は、支柱27及び台座28
によって支持される。外側逆円錐壁6の上端部は、外側
円筒壁3内に挿入されている。外側円筒壁3の下端は、
後述する加熱炉移動装置29の構成要素である油圧シリ
ンダ30のピストンに連結される台座28に取り付けら
れる。外側円筒壁3は上下方向に移動可能である。外側
円筒壁3の上端は、環状板11に取り付けられる。内側
円筒壁4の上端も、環状板11に取り付けられる。内側
円筒壁4の下端は、内側逆円錐壁7の上端に取り付けら
れる。外側逆円錐壁6と内側逆円錐壁7との間に位置す
る間隙9は、上方に向かって放射状に拡がり環状の間隙
8に連絡される。電気ヒーター10Aは外側円筒壁3に
設置される。電気ヒーター10Bは内側円筒壁4に設置
される。外側逆円錐壁6には電気ヒーター10Cが設置
される。内側逆円錐壁7には電気ヒーター10Dが設置
される。電気ヒーター10C及び10Dは、水平に一巻
ずつ外側逆円錐壁6及び内側逆円錐壁7にそれぞれ設置
される。複数の鋳込口3が環状板11に設けられる。
【0019】鋳型13は、環状の間隙20を間に形成す
るように同心円状に配置された外側円筒壁15及び内側
円筒壁16を有する二重円筒部14、及び環状の間隙2
1を間に形成するように同心円状に配置された外側逆円
錐壁18及び内側逆円錐壁19を有する二重逆円錐部1
7を備える。鋳型13は、内部に金属の溶湯を注入する
ときには加熱炉1の間隙8及び9内に配置される。外側
逆円錐壁18の下端部に取り付けられるセレクタ24
は、スタータ25に接合される。スタータ25は水冷チ
ル26の上に設置される。
【0020】外側逆円錐壁18及び内側逆円錐壁19
は、間隙9内に配置される。外側逆円錐壁18は外側逆
円錐壁6を貫通する支柱27上に置かれる。外側円筒壁
15及び内側円筒壁16は、間隙8内に配置される。外
側円筒壁15の下端は、外側逆円錐壁18の上端に設置
される。内側円筒壁16の下端は、内側逆円錐壁19の
上端に設置される。外側逆円錐壁18と内側逆円錐壁1
9との間に形成される間隙21は、上方に向かって放射
状に拡がり環状の間隙20に連絡される。外側円筒壁1
5,内側円筒壁16,外側逆円錐壁18及び内側逆円錐
壁19はアルミナ製である。二重円筒部14の上端部に
上方に向かって拡がる鋳込部23が設けられる。熱電対
等の温度計22が外側円筒壁15,内側円筒壁16,外
側逆円錐壁18及び内側逆円錐壁19に一定間隔で取り
付けられる。
【0021】加熱炉移動装置29は、油圧シリンダ3
0,油圧制御装置32,モータ33及び油圧ポンプ34
を備える。油圧配管31は、油圧制御装置32と各油圧
シリンダ30とを連絡する。油圧ポンプ34はモータ3
3に連結される。
【0022】炭素含有量が0.03重量%以下(好まし
くは0.02重量%以下)の種々のオーステナイト系ス
テンレス鋼を用いて図1の製造装置により円筒状の大型
単結晶構造物を製造した。発明者らはその結果をCreq
及びNieqに基づいて整理した。図3はCreq及びNi
eqに基づいて整理した結果を示す。Creq=Cr+1.
37Mo+1.5Si+2Nb+3Ti+2.48Al及
びNieq=Ni+0.31Mn+22C+14.2N+C
uであるとき、Creq/Nieqが1.85未満では単結
晶オーステナイト系ステンレス鋼の大型構造物が得られ
ず、Creq/Nieqが1.85 以上のとき安定した単結
晶が得られその大型構造物の製造が可能になった。オー
ステナイト系ステンレス鋼の炭素含有量は多結晶での応
力腐食割れを防止するために0.03 重量%以下にする
ことが知られている。このため、単結晶の構造物におい
ても、溶接部に対応するために0.03 重量%以下(好
ましくは0.02 重量%以下)にする。
【0023】図1に示す単結晶構造物の製造装置を用い
た単結晶の炉心シュラウドの製造を図2の製造工程に沿
って説明する。単結晶の炉心シュラウドの製造に用いら
れる鋳型13は、外側円筒壁15と内側円筒壁16との
間の間隔が50mm,外側円筒壁15の間隙20側の表面
の直径が5m強、及び環状の間隙20の高さが6mであ
る。
【0024】Creq/Nieqが1.85以上で炭素含有
量が0.03重量%以下の、溶融したオーステナイト系
ステンレス鋼39は、とりべ38内に充填される。この
溶融したオーステナイト系ステンレス鋼39の温度は、
1500〜1650℃である。加熱炉1内も各ヒーター
により1500〜1650℃に加熱されている。鋳型1
3は加熱炉1の間隙8及び9内に置かれている。
【0025】とりべ38を鋳込口3の真上に移動する。
とりべ38を傾けてその中の溶融したオーステナイト系
ステンレス鋼39を鋳込口3及び鋳込部23を介して鋳
型13内に注入する(ステップ51)。オーステナイト
系ステンレス鋼39の溶湯は、鋳型13の間隙20及び
21内を流下してセレクタ24及びスタータ25内まで
達する。その後、溶湯の液面は、間隙21内を上昇す
る。溶湯の液面が間隙20の上端に達する直前で、溶融
したオーステナイト系ステンレス鋼39の注入を停止す
る。
【0026】オーステナイト系ステンレス鋼39の注入
前に、加熱炉1及び鋳型13内の雰囲気は、不活性ガス
であるアルゴンガスによって置換されている。アルゴン
ガスは、加熱炉1に接続されたアルゴンガス注入管(図
1において図示せず)を用いて加熱炉1及び鋳型13内
に注入される。加熱炉1及び鋳型13内をアルゴンガス
の雰囲気にするのは、不純物(特に空気中の酸素)の混
入が少ない単結晶を得るためである。オーステナイト系
ステンレス鋼39の注入時にも、アルゴンガスが連続し
て加熱炉1内に供給され、鋳込口3を介しての空気の入
り込みを阻止する。加熱炉1内を7×10-4〜3×10
-3Torrの真空雰囲気にすることにより更に不純物の少な
い単結晶を得ることができる。少なくともオーステナイ
ト系ステンレス鋼39の注入までの間、温度制御装置3
7は、各温度計22の測定値を入力して加熱炉1内の温
度を1500〜1650℃に保持するよう各電気ヒータ
ーへの通電量を制御する。電源36がケーブル41によ
って温度制御装置37に接続されている。鋳型13は電
気ヒーターの間に挿入されている。外側円筒壁15は電
気ヒーター10Aによって、内側円筒壁16は電気ヒー
ター10Bによって、外側逆円錐壁18は電気ヒーター
10Cによって、及び内側逆円錐壁19は電気ヒーター
10Dによって、主に加熱される。
【0027】次のステップ52では単結晶のシーズを生
成する。単結晶シーズ生成にあたって、水冷チル26に
よりスタータ25内のオーステナイト系ステンレス鋼3
9を冷却する。水冷チル26の温度制御が水冷チル26
内に供給する冷却水流量を調節することにより行われ
る。スタータ25内のオーステナイト系ステンレス鋼3
9は凝固し多結晶化される。セレクタ24は、スタータ
25内で生成された多結晶から単結晶を選択する。この
ようにして単結晶のシーズが生成される。
【0028】この単結晶のシーズを起点に、上方に向か
って放射状に拡がる間隙21内の溶融したオーステナイ
ト系ステンレス鋼39を単結晶化する(ステップ5
3)。間隙21内の単結晶化は、電気ヒーター10C及
び10Dへの通電量を減少させて二重逆円錐部5による
加熱量を減少させることにより行われる。間隙21内の
オーステナイト系ステンレス鋼39は、冷却する。特
に、ステップ52で生成された単結晶のシーズから間隙
21の上方に向かって徐々に間隙21内のオーステナイ
ト系ステンレス鋼39を冷却するように、電気ヒーター
10C及び10Dへの通電量が一巻ずつ上方に向かって
徐々に減少される。このような温度制御は、外側逆円錐
壁6及び内側逆円錐壁7に設置した温度計22の測定値
を用いて温度制御装置39により行われる。上方への冷
却が進行するに伴って、間隙21内のオーステナイト系
ステンレス鋼39は、下方から上方に向かって徐々に単
結晶化される。二重逆円錐部5による加熱は、間隙21
内のオーステナイト系ステンレス鋼39が単結晶化され
て凝固した後に停止される。
【0029】間隙21の上端まで単結晶化が進行する
と、二重円筒部14内のオーステナイト系ステンレス鋼
39の単結晶化が行われる(ステップ54)。外側円筒
壁15と内側円筒壁16との間に形成される間隙20内
のオーステナイト系ステンレス鋼39の単結晶化は、台
座28を上方に上昇させ、加熱炉1の二重円筒部2及び
内側逆円錐壁7を上方に徐々に移動させることによって
行われる。台座28の上昇速度は、1〜50cm/hr、好
ましくは15cm/hrである。台座28の移動は、加熱炉
移動装置29によって行われる。すなわち、モータ33
の駆動によって油圧ポンプ34が回転する。油圧ポンプ
34から油が油圧制御装置32内に供給される。油圧制
御装置32は、油圧シリンダ30のピストンの上昇速度
が15cm/hrになるように、油圧配管31を介して油圧
シリンダ30に供給する油の量を調節する。
【0030】二重円筒部2及び内側逆円錐壁7が上方に
徐々に移動することによって鋳型13の二重円筒部14
が、下端から徐々に露出して外気との接触により冷却さ
れる。このため、二重円筒部14の間隙20内のオース
テナイト系ステンレス鋼39は、下端部から上方に向か
って一方向に冷却されて単結晶化されながら凝固され
る。二重円筒部14の上端が加熱炉1の外にでたとき、
二重円筒部14の上端までオーステナイト系ステンレス
鋼39の単結晶化が進行する。その後、加熱炉移動装置
29を停止して台座28の上昇を止める。間隙20内の
オーステナイト系ステンレス鋼39の単結晶化は、ステ
ップ53で行われる間隙21内のその単結晶化に連続し
て行われる。
【0031】なお、二重円筒部2及び内側逆円錐壁7を
移動させる替りに、外側逆円錐壁6及び鋳型13を下方
に移動させても、間隙20内のオーステナイト系ステン
レス鋼39を単結晶化することができる。
【0032】ステップ53及び54の処理にて鋳型13
内のオーステナイト系ステンレス鋼39の単結晶化が完
了する。オーステナイト系ステンレス鋼39の温度が室
温まで低下した後、鋳型13を取り外す(ステップ5
5)。鋳型13の外側円筒壁15,内側円筒壁16,外
側逆円錐壁18及び内側逆円錐壁19を取り外し、内部
の凝固したオーステナイト系ステンレス鋼39を取り出
す。取り出されたオーステナイト系ステンレス鋼39の
凝固体は、炉心シュラウドの素材となるもので、上部が
円筒、下部が逆円錐をしたじょうご状の形状をしてい
る。
【0033】ステップ56では、上記炉心シュラウド素
材の粗成形加工を行う。すなわち、オーステナイト系ス
テンレス鋼39の凝固体を円筒部と逆円錐部との境界で
切断する。この円筒部の内外面及び上下端に対して粗成
形加工である一次切削を施す。その後、仕上げ加工を施
し(ステップ57)、直径5m,高さ5m及び肉厚40
mmの炉心シュラウドに仕上げる。このようにして、単結
晶の炉心シュラウドが得られる。
【0034】本実施例の単結晶炉心シュラウドの製造に
おいては、鋳型13を加熱炉1の外側円筒壁3と内側円
筒壁4との間に挿入して筒状の鋳型13の内側及び外側
を電気ヒーター10A,10B,10C及び10Dによ
ってそれぞれ加熱しているので、鋳型13の外側円筒壁
15と内側円筒壁16との間で、間隙21内のオーステ
ナイト系ステンレス鋼39に形成される温度勾配が抑制
される。このため、加熱炉1を移動させて鋳型13を外
気と接触させて冷却することによって、鋳型内に注入さ
れたオーステナイト系ステンレス鋼39を筒状に容易に
単結晶化することができる。本実施例では、特に、炉心
シュラウドのような大型の筒状構造物であっても単結晶
化できる。
【0035】また、逆円錐状の間隙21のセレクタ24
の位置から上方に向かって放射状に、順次、オーステナ
イト系ステンレス鋼39を単結晶化しているので、炉心
シュラウドの素材となる間隙20内のオーステナイト系
ステンレス鋼39を、間隙20の全周にわたり間隙20
の下端で実質的に同時に単結晶化できる。このため、筒
状の間隙20でのオーステナイト系ステンレス鋼39の
単結晶化を上方に向かって実質的に同時に進行させるこ
とができ、間隙20内での単結晶化を円滑に行うことが
できる。更に、Creq/Nieqが1.85 以上である溶
融金属を用いることにより、単結晶の大型の筒状構造物
を鋳造にて容易に製造できる。
【0036】沸騰水型原子炉は、図4に示す構造を有す
る。原子炉圧力容器60の内部に、乾燥器61,気水分
離器62,炉心シュラウド63及び制御棒案内管64が
設置される。炉心シュラウド63は、本実施例により製
造された単結晶の構造物であり、多数の燃料集合体が配
置される炉心を取り囲んでいる。炉心シュラウド63
は、単結晶構造であり、原子炉圧力容器60内に設置さ
れてもIGSCCを生じない。加圧水型原子炉に用いら
れる円筒状の炉心槽の製造に、本実施例を適用すること
ができる。このため、単結晶化された炉心槽を得ること
ができる。
【0037】
【発明の効果】第1の発明によれば、鋳型の内側の筒状
壁とその外側の筒状壁との間でここに存在する金属の温
度勾配が抑制されるので、鋳型内に注入した金属を筒状
に容易に単結晶化することができる。
【0038】第2の発明によれば、単結晶構造体として
使用される筒状の第2間隙内に注入した金属の単結晶化
を、第2間隙の下端から上方に向かって第2間隙の全周
で進行させることができ、筒状部の単結晶化を円滑に行
うことができる。
【0039】第3の発明によれば、Creq/Nieq
1.85 以上である溶融金属を用いることにより、単結
晶の筒状構造物を鋳造にて容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の製造方法に用いられる単結晶構造物製造
装置の構成図である。
【図2】本発明の好適な一実施例である単結晶構造物の
製造方法の製造工程を示す説明図である。
【図3】単結晶化される材料におけるクロム当量とニッ
ケル当量との関係で円筒状構造物の単結晶化の可否を示
す説明図である。
【図4】図2の製造方法で製造された単結晶炉心シュラ
ウドを用いた沸騰水型原子炉の構造図である。
【符号の説明】
1…加熱炉、2,14…二重円筒部、3,15…外側円
筒壁、4,16…内側円筒壁、5,17…二重逆円錐
部、6,18…外側逆円錐壁、7,19…内側逆円錐
壁、8,9,20,21…間隙、10A,10B,10
C,10D…電気ヒーター、13…鋳型、24…セレク
タ、25…スタータ、26…水冷チル、29…加熱炉移
動装置、30…油圧シリンダ、32…油圧制御装置、3
4…油圧ポンプ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1二重筒状壁を有してこれらの間に環状
    空間を有する鋳型を、加熱炉の第2二重筒状壁の間に挿
    入し、前記加熱炉によって前記鋳型を加熱し、前記鋳型
    を加熱しながら前記鋳型の前記環状空間内に溶融した金
    属を注入し、その後、前記鋳型及び前記加熱炉のいずれ
    かを一方向に移動させることによって前記鋳型を外気と
    接触させて前記鋳型内の前記溶融金属を冷却させながら
    前記溶融金属を単結晶化する単結晶構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】上方に向かって放射状に広がる第1間隙を
    間に形成する二重円錐状壁、及びこの二重円錐壁の上端
    に下端がつながり、かつ前記第1間隙に連絡されて上方
    に向かって伸びる環状の第2間隙を間に形成する二重筒
    壁を有する前記第1二重筒状壁を備えた前記鋳型を用
    い、前記第1間隙の下端部から上方に向かって前記溶融
    金属を単結晶化する請求項1の単結晶構造物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記溶融金属は炭素含有量が0.03% 以
    下のオーステナイト系ステンレス鋼である請求項1また
    は請求項2の単結晶構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】Creq=Cr+1.37Mo+1.5Si+
    2Nb+3Ti+2.48Al 及びNieq=Ni+0.
    31Mn+22C+14.2N+Cuであるとき、前記
    溶融金属はCreq/Nieqが1.85 以上である請求項
    3の単結晶構造物の製造方法。
  5. 【請求項5】溶融金属が注入される鋳型と、前記鋳型に
    取り付けられた単結晶シード発生器と、内部に挿入され
    た前記鋳型を加熱する加熱炉と、前記鋳型及び前記加熱
    炉の一方を移動させる手段とを備えた単結晶構造物製造
    装置において、前記鋳型は環状空間を間に形成する第1
    二重筒状壁を有し、前記加熱炉は前記鋳型が挿入される
    空間が間に形成される第2二重筒状壁を有し、前記第2
    二重筒状壁にそれぞれ加熱手段を設置していることを特
    徴とする単結晶構造物製造装置。
  6. 【請求項6】前記第1二重筒状壁は、上方に向かって放
    射状に広がる第1間隙を間に形成する第1二重円錐状壁
    と、この第1二重円錐壁の上端に下端がつながり、かつ
    前記第1間隙に連絡されて上方に向かって伸びる第2間
    隙を間に形成する第1二重筒壁とを備え、前記第2二重
    筒状壁は、前記第1二重円錐状壁に対向して設けられ上
    方に向かって放射状に広がる第2二重円錐状壁と、この
    第2二重円錐壁の上端に下端がつながり上方に向かって
    伸びる第2二重筒壁とを備えた請求項5の単結晶構造物
    製造装置。
JP9227744A 1997-08-25 1997-08-25 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置 Pending JPH1171196A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9227744A JPH1171196A (ja) 1997-08-25 1997-08-25 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9227744A JPH1171196A (ja) 1997-08-25 1997-08-25 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1171196A true JPH1171196A (ja) 1999-03-16

Family

ID=16865699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9227744A Pending JPH1171196A (ja) 1997-08-25 1997-08-25 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1171196A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102698660A (zh) * 2012-05-22 2012-10-03 太原理工大学 一种双筒体气固移动床反应器
WO2020181659A1 (zh) * 2019-03-12 2020-09-17 永大科技集团有限公司 双模壳室的四室定向/单晶真空感应炉设备

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102698660A (zh) * 2012-05-22 2012-10-03 太原理工大学 一种双筒体气固移动床反应器
WO2020181659A1 (zh) * 2019-03-12 2020-09-17 永大科技集团有限公司 双模壳室的四室定向/单晶真空感应炉设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1089624A (en) Process and an apparatus for the molding of shaped parts out of a composite metallic refractory material
CN102927815B (zh) 悬浮式冷坩埚连续熔铸与定向凝固装置
Burkes et al. A US perspective on fast reactor fuel fabrication technology and experience part I: metal fuels and assembly design
JP3919256B2 (ja) 方向性凝固した鋳造物を製作する方法とこの方法を実施するための装置
US4178986A (en) Furnace for directional solidification casting
CN107059133B (zh) 一种精确控制单晶取向的选晶方法
JP5075873B2 (ja) 結晶製造装置
JP3242292B2 (ja) 多結晶半導体の製造方法および製造装置
US3376915A (en) Method for casting high temperature alloys to achieve controlled grain structure and orientation
EP0728546B1 (en) Directionally solidified investment casting with improved filling
EP0447109A1 (en) Austenitic steel having superior characteristics in resistance against stress corrosion cracking, method for producing of same and usage of same
JP2004017158A (ja) 方向性凝固方法および装置
JP5282814B2 (ja) ニッケル基超合金の鋳造における熱収縮割れ軽減の方法、ニッケル基超合金からなる製品を準備する方法、および、高圧スチームタービンケーシングを製造する方法
US20050022959A1 (en) Directional solidification method and apparatus
US4459161A (en) Bars of metallic composite material made by unidirectional solidification
US4202400A (en) Directional solidification furnace
CN112048605A (zh) 一种用于制备金属柱晶的定向退火装置及其方法
JP3209099B2 (ja) 鋳造装置、鋳造方法およびタービン翼
JPS60124452A (ja) 高純度金属スリ−ブの製造方法
US6343641B1 (en) Controlling casting grain spacing
US3598172A (en) Process of casting with downward-unidirectional solidification
US3939895A (en) Method for casting directionally solidified articles
JPH1171196A (ja) 単結晶構造物の製造方法及びその製造装置
US3669180A (en) Production of fine grained ingots for the advanced superalloys
EP0059550B1 (en) Method of casting