JPH1165765A - 音響波方式タッチパネル - Google Patents

音響波方式タッチパネル

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JPH1165765A
JPH1165765A JP10796398A JP10796398A JPH1165765A JP H1165765 A JPH1165765 A JP H1165765A JP 10796398 A JP10796398 A JP 10796398A JP 10796398 A JP10796398 A JP 10796398A JP H1165765 A JPH1165765 A JP H1165765A
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JP
Japan
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touch panel
glass
glass substrate
substrate
acoustic
Prior art date
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Application number
JP10796398A
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English (en)
Inventor
Masahiro Tsumura
昌弘 津村
Kent Joel
ジョエル・ケント
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音響波減衰が小さく、伝送信号強度の高いガ
ラス基板を用いて大型の音響波式タッチパネルを得る。 【解決手段】 基板は、約0.25dB/cm以下の減
衰係数を有する強化可能なガラスで構成されている。前
記ガラス基板の組成は、主成分としてSiO2 を含み、
Na2 O、CaO及びMgOの合計含有量が7〜20重
量%である。ガラス基板は、Al23 及びZrO2
を実質的に含まないか、又はAl23及びZrO2
の合計含有量が3〜20重量%である。さらに、ガラス
基板中のB 23 の含有量は0〜10重量%であり、T
iO2 、Y23 、SnO2 、PbO2 、及びIn2
3 の合計含有量は5重量%以上である。このようなガラ
ス基板を用いると、大型の強化された音響波式タッチパ
ネルを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響波方式タッチ
ポジションセンサに関し、より詳しくは、基板(サブス
トレート)内で音響波が発生し、この音響波が伝送信号
からある範囲の特徴的時間遅れを有して基板中を伝搬
し、この時間遅れが基板の一つの軸に沿っての各々の軸
方向変位と関連した異なる経路長を表わす方式のタッチ
パネルに関する。基板への接触(タッチ)の結果、波に
乱れが生じるので、これを検出し、基板への接触の軸方
向変位を求める。この種のタッチパネルは、コンピュー
タイメージディスプレイと関連したコンピュータ入力装
置として使用される。
【0002】
【従来の技術】慣用のタッチパネルは、ブラウン管(C
RT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディス
プレイパネル(PDP)などの表示デバイス又は表示ユ
ニットと組合せて、種々の分野で利用可能な入力−出力
デバイスとして利用されている。現在のところ、抵抗
式、容量式および音響波式タッチパネルが、市場にある
タッチパネルの支配的なタイプである。音響波式タッチ
パネルは、抵抗式および容量式タッチパネルに比べて、
より丈夫なタッチ表面およびより大きい画像の明瞭性を
もたらす。
【0003】抵抗式および容量式タッチパネルは、基板
上に形成された抵抗層を包含する。強度、光学的透明度
および低コストのため、ソーダガラス(ソーダ石灰ガラ
ス)が一般に好ましい基板材料である。前記抵抗層は、
タッチポジションに関する情報の検出に必須である。ま
た、従来の抵抗式タッチパネルには、プラスチック製カ
バーシートがかぶせられている。多くの用途において
は、ガラス基板に付加されたかかる構成部分は、偶発的
なまたは故意による損傷を受けやすい。さらに、これら
の付加的構成部分は、光透過率が低下し、周囲の光の反
射が増加する結果、表示デバイスにおけるデータおよび
像の鮮明度(視認性)を低下させる。
【0004】これに対して、従来の音響波式タッチパネ
ルは、頑丈なタッチ表面および高い表示画像品質を保証
するために、有利に採用できる。インプット位置に関す
る座標データを検出するのに超音波が用いられるので、
ソーダライムガラス基板上に抵抗層を形成する必要がな
く、プラスチックカバーシートも必要としない。ソーダ
ライムガラスはかなり透明であり、超音波周波数での音
響波の伝搬を支持する。ソーダライムガラスは、慣用の
音響波式タッチパネルの基板材料である。エンドユーザ
ーにとっては、かかる音響波式タッチパネルは、光学的
および機械的に見て、せいぜい一片の窓ガラスである。
【0005】代表的には、入射光の4%が各々のガラス
表面で反射され、最大光透過率は約92%となる。周囲
光の反射は画像の鮮明性,コントラストを減少させる。
これらの反射の原因は、空気とガラス基板との間の屈折
率の不整合である。光透過率の低下は画像の明るさを減
少させる。これらは、液晶ディスプレイなどの輝度(明
るさ)が相対的に低い表示デバイスの前面にタッチパネ
ルを配置するときには、重大な影響となりうる。反射を
減少させ、透過率を高めるための既知の方法は、オプテ
ィカルボンディングまたは反射防止コーティングであ
る。これらの方法は、空気とガラスとの間の屈折率の不
整合に対処するものである。これらの方法は、基板材料
自体の固有の透明性を改善することにはならない。
【0006】ソーダライムガラスは、完全に透明なわけ
ではない。これは、主として、鉄イオン不純物により生
じる着色中心のためである。これらのイオン不純物は、
光の透過率を減少させ、表示された像の色を歪曲する。
これらは、例えば、音響波式と抵抗式のタッチパネルの
間の光学的な相違に関しては、深刻な影響とはならな
い。しかし、一般のソーダライムガラスについての透過
率の改善は、音響波式タッチパネルの光学的長所を増進
することになり、有益であろう。
【0007】ディスプレイ技術は急速に発展している。
この発展には、大型ディスプレイ製品の導入および市場
での受入れが含まれる。これが、今度は、より大きいタ
ッチパネルの需要を生み出す。しかし、いずれのタッチ
パネル技術も、より大型とするときには、問題に遭遇す
る。抵抗式および容量式タッチパネルの場合には、パネ
ル寸法の増大とともに、抵抗層の十分な一様性を維持す
るのがますます困難になる。音響波式タッチパネルの場
合には、より大型へのチャレンジは、十分な信号振幅を
確保することである。
【0008】音響波式タッチパネルの場合、パネルの寸
法が増すとともに、音響波信号が減衰する。この信号損
失は、超音波が基板を通って伝搬するときの信号の減衰
のために起こる。そのため、大型音響波式タッチパネル
は、入力位置を確定するのに十分なSN(信号/雑音)
比を与えることができないことがある。それゆえ、音響
波式タッチパネルのSN比を高める手段が必要となる。
信号の振幅を減少させる製品増強を求める市場からのそ
の他の圧力があるがゆえに、そのことがますます当ては
まるのである。それらの圧力とは:より低コストの制御
装置エレクトロニクス;反射アレーの面積減少;信号吸
収シールである。
【0009】商業的に成功している音響波式タッチパネ
ルデザインの音響波経路長は比較的長いため、ガラス基
板の音響波減衰特性は特に重要である。長い音響波経路
長の必要性を理解するために、音響波式タッチパネルに
ついて、第1のもっとも簡単な概念を考察する。
【0010】概念的には、最も簡単な音響波式タッチポ
ジションセンサは、米国特許第3,673,327号明
細書に記載のタイプのものである。かかるタッチパネル
は、平行な音響波ビーム発生のため、基板の一方の縁部
に沿って配置された一列の送波器を包含する。対応する
一列の受信器が、基板の他方の縁部に沿って配置され
る。或る点でパネルに触れることにより、音響波ビーム
の一つの減衰が引き起こされる。対応する送波器/受信
器対を同定・確認することにより、タッチの座標が求ま
る。米国特許第3673327号明細書に開示されてい
る音響波式タッチパネルは、”レイリー”(Rayleigh)
波として知られているタイプの音響波を用いている。こ
れらのレイリー波は、タッチパネルの一方の縁から他方
の縁まで伝搬するだけでよい。しかし、このタイプの音
響波式タッチパネルは、多数のトランスデューサ(変換
器)を、それゆえ関連したケーブル導体およびエレクト
ロニクスチャネル(通信路)を必要とすることに注意さ
れたい。このタイプの音響波式センサは、多数のトラン
スデューサを設ける費用のため、商業化されたことはな
い。
【0011】さて、商業的に成功している音響波式タッ
チパネルを考える。この分野でのパイオニア的な一連の
特許の代表的なものが、アドラー(Adler)の再発行米
国特許第33151号明細書である。音響波トランスデ
ューサはバースト(連発)波を発生し、これらの波はシ
ート状基板中へ結合(カップリング)される。これらの
音響波は、音響波再方向指示格子列(アレー)によっ
て、系の能動領域へと、90°偏向させられる。再方向
指示格子は、トランスデューサからの音響波の伝搬軸に
対して45°の角度で配向している。これらの格子は、
光学系における部分的に銀メッキされたミラーに類似し
ている。能動領域を通過した音響波は、今度は、他の格
子列によって、出力トランスデューサへ向けて方向を再
指示される。タッチ位置の座標は、時間領域における受
信信号の選択的減衰の分析により決定され、各特性遅延
は、表面へのタッチの座標値に対応する。格子列の使用
により、所要トランスデューサの数が大きく減少し、か
くして、商業的に競合可能な価格でのタッチパネルの製
作が可能になる。負の面として、格子列のこの利口な採
用が、音響波が基板を通して透過しなければならない極
大距離をかなり増大させることになる。
【0012】音響波式タッチパネルにおける信号振幅
は、格子列での散乱の過程における低能率により、さら
に減少させられる。かかる低能率は、適切なアレーデザ
インによって極小化できる。格子素子を45°の角度で
配向し、それらの間隔を音響波の波長の整数倍とするこ
とによって、アレーからの効率的なコヒーレント散乱が
達成される。能動領域を「照らす」音響波パワーを等化
するとき、音響波エネルギーがきわめて効率的に活用さ
れる。既知の手法が、信号振幅が遅延時間の関数として
指数関数的に減衰する傾向を補正してくれる。米国特許
第4746914号明細書の第11欄第37−41行に
記載されているように、信号等化は、格子、すなわち反
射素子を波長間隔で一定した配置とし、高さの異なる反
射素子を設けることにより達成できる。これに代わる他
の方法は、格子素子を選択的に省略して、能動域に亘っ
てほぼ一定の音響波パワー密度を生じさせることであ
る。この場合、格子の間隔は、アレー軸に沿ってのトラ
ンスデューサからの距離が増すにつれて、減少する。こ
れらの既知の方法の適用により、音響波再方向指示の際
の不必要な低能率が回避される。しかし、格子アレーを
使用しての音響波の2回の方向再指示は、不可避的に、
信号損失をもたらす。このために、音響波式タッチパネ
ルデザインにおける最小の信号振幅要求の重要性が増す
こととなる。
【0013】商業的に入手できる音響波式タッチパネル
製品のエレクトロニクスは、ブレナー(Brenner)らの
米国特許第4644100号明細書に提示されている基
本概念に基づいている。この特許は、再発行米国特許第
33151号明細書に従った系の改良に関するものであ
って、そこでは、受信信号と記憶された基準信号プロフ
ィールとを比較することによって、受信信号の摂動(乱
れ)を求める。時間遅延および信号摂動の双方を分析す
ることにより、音響波を用いたタッチ感受系は、タッチ
の位置および規模(マグニチュード)の双方に感応す
る。タッチ系の適切な操作のためには、音響波吸収性の
タッチによる信号の摂動とエレクトロニクス系のノイズ
による信号の変動とがあいまいになるのを避けるのに十
分なだけ大きいSN比が必要となる。エレクトロニクス
系のノイズは、回路構成部分からの基本的なノイズによ
るものもあれば、電磁干渉によるものもある。近年、市
場は、軽いタッチからの速やかなタッチ応答をますます
期待しているが、これには、より低いタッチ摂動閾値が
要求され、それゆえ、より高いSN比がますます求めら
れている。
【0014】かかるアドラータイプの音響波式タッチパ
ネルは、さらに、前記各特許ならびに米国特許第464
2423号明細書、4644100号明細書、4545
870号明細書、4700176号明細書、47469
14号明細書および4791416号明細書に見出され
る。検出される各々の座標軸について、音響波は、例え
ば、ガラス基板中で、圧電素子を包含するトランスデュ
ーサによって発生される。すなわち、伝送される波のパ
ケットが伝送反射アレーの軸に沿って分散され、基板を
横切り、別の反射格子によって再結合されて軸方向に伝
搬する波となり、初期の伝送波に対して逆平行の方向
に、受信トランスデューサへと向けられる。波パケット
は、基板を横切る経路に応じて、時間の経過とともに分
散される。受信された波形は、電気信号に変換されて、
処理される。電気信号の摂動の時間遅延が、波の乱され
た成分が進んだ距離に対応する。かくして、この系によ
れば、軸当り2つのトランスデューサが必要なだけであ
る。典型的には、XおよびY座標を測定する;この測定
は、合計で4つのトランスデューサを用いるだけで実施
できる。
【0015】トランスデューサの数をさらに減少させ
て、上記の音響波式タッチパネル系の偏向が可能であ
る。音響波は、伝送反射格子の軸に平行な基板の縁の近
くで、またはその縁で、180°反射され、基板を通っ
て反射アレーへ送り返され、トランスデューサへの経路
を再度たどる。この場合、トランスデューサは、適当な
時間をおいて定期的に送波器および受信器の両方として
動作するように構成される。タッチの両座標を決定でき
るように、直角な軸につき、第2のトランスデューサ、
反射アレーおよび反射縁が設けられる。さらに別の系
は、単一のトランスデューサを準備し、これが、二軸へ
のタッチを検出するための波を発生し、両軸からの波を
受信もする。トランスデューサの数を減じると、所与の
タッチパネル寸法についての対応音響波経路長が増大す
る。これが、基板材料内での音響波減衰による信号損失
を増大させる。
【0016】音響波式タッチパネルを作動させるタッチ
は、手袋をし、又はしていない指あるいは表面を押す尖
筆によるものであってよい。任意に、ガラス基板表面に
被せられたカバーシートを介して、指または尖筆を間接
的に作動させてもよい。
【0017】超音波は、ガラス基板中でいくつかのモー
ドをとりうる。”レイリー”波と呼ばれるモードが、音
響波式タッチパネルにとってとくに関心がもたれる。レ
イリー波は、本質的に、十分な有限厚さの均質な非圧電
媒体からなるシートの単一の表面に拘束される。レイリ
ー卿は、数学的に、半有限媒体につき、このモードに関
する波動関数を計算した。有限厚みの媒体の一表面の近
くを導かれるこのような波は、より正確には、”疑レイ
リー”波と呼ばれるが、かかる波は一般には”レイリー
波”と呼ばれ、本明細書においてもそのように呼ぶ。タ
ッチパネルの設計および製作の上での実経験は、レイリ
ー波長の約4倍以上が、レイリー波を首尾よく伝搬する
のに十分な基板厚みであることを示している。
【0018】他の波モードが、音響波式タッチパネルで
の使用のために検討されている。米国特許第52605
21号明細書、第5234148号明細書、第5177
327号明細書、第5162618号明細書および第5
072427号明細書は、アドラータイプの音響波式タ
ッチパネルにおける水平偏波横波(horizontally polar
ised shear waves)およびラム波(Lamb waves)の使用
を開示している。米国特許第5591945号明細書
は、音響波式タッチパネルにおける音響モードの選択に
関するさらなる選択肢を開示している。しかし、レイリ
ー波は、音響波式タッチパネルにおいてもっとも普通に
使用されている音響モードであったし、今後もそうであ
ると思われる。これは、タッチに対してレイリー波が相
対的に高い感受性をもつことおよび均質な媒体の単純な
表面によって伝搬されうることによる。
【0019】商業的タッチパネルの場合、超音波の振動
数は5MHz程度である。レイリー波を採用している音
響波式タッチパネルの場合、今日までの商業的製品での
ソーダライムガラス基板の厚さは、2mm〜12mmの
範囲内にある。最低次の水平偏波横波を採用した音響波
式タッチパネル製品は、現在、1mmの厚さのソーダラ
イムガラスから作製されている。
【0020】商業的に存続可能であることが証明ずみの
タイプの音響波式タッチパネルは、トランスデューサお
よび電子チャネルの数を減じるために、またタッチ位置
を時間に基づいて信頼可能なように正確にアナログ測定
できるよう、反射アレーをうまく活用している。これ
が、音響波式タッチパネルの商業化に必須であることが
証明されている。しかし、結果としての相対的に長い音
響波経路長が、2回の音響波散乱からの損失とともに、
小さい受信信号振幅へと導く。このような小さい信号振
幅では、超音波をガラス基板の中で伝送するタイプのタ
ッチセンサにおける信頼しうるだけの信号処理に十分な
SN比を保証することは困難である。
【0021】音響波式タッチパネルを記述するのに多く
の用語が用いられてきている。すなわち、「音響波セン
サ」、「音響波式タッチスクリーン」、「超音波タッチ
パネル」などである。本明細書では、特に断らない限
り、これらの用語はすべて同義語であって、超音波によ
りタッチを感知するものであって、トランスデューサ数
の減少を可能ならしめるために反射格子アレーを用いて
いるところの透明なタッチセンサを表わすものであると
考える。音響波式タッチパネルにおいて信号振幅を増す
ための手段が必要である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ガラス基板の音響波減衰が低度であり、伝送信号の
満足すべき強度を保証する音響波式タッチパネルを提供
することにある。本発明の他の目的は、電磁干渉に関し
て、従来のタッチポジション(接触位置)センサよりも
より信頼でき、より頑丈な音響波式タッチパネルを提供
することにある。本発明のさらに他の目的は、低コスト
制御装置により、約10ボルト以下のピーク−ピーク
(peak-to-peak)電圧の伝送バースト振幅で、高い信頼
性で動作できる音響波式タッチパネルを提供することに
ある。
【0023】本発明の別の目的は、信号変換効率の低い
機械的にコンパクトなトランスデューサを包含する音響
波式タッチパネルを提供することにある。本発明のさら
に別の目的は、かなりの音響波信号の吸収を惹起するシ
ールの使用を可能ならしめる音響波式タッチパネルを提
供することにある。本発明の他の目的は、寸法が増大し
た音響波式タッチパネルを提供することにある。本発明
のさらに他の目的は、ユーザーにとって、粗雑に扱って
も信頼でき、頑丈なタッチ表面を有するタッチパネルを
提供することにある。本発明の別の目的は、熱的に強化
又は化学的に硬化でき、それにより大型強化タッチパネ
ルを可能ならしめるところの、強化可能で、低音響損失
のタッチパネル用基板を提供することにある。本発明の
1つの目的は、レイリー波を採用した音響波式タッチパ
ネルにおいてSN比を増大させることにある。本発明の
別の1つの目的は、高い光透過および表示デバイスによ
るデータの明瞭なディスプレイを保証するタッチパネル
を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究の結果、超音波伝搬媒体として
特定のガラス基板又はベースを使用すると、超音波の減
衰を著しく抑制でき、信号が受信、検知されるまで信号
の高い強度を保ちながら、伝送できることを見出すに至
った。本発明は、上記知見に基づくものである。
【0025】これらの目的、およびその他の目的は、本
発明に従えば、音響波(超音波)伝搬媒体としてガラス
基板を有し、タッチ位置の座標データを検出するための
タッチパネル(特に、タッチパネル用のガラス基板)を
提供することにより達成される。前記ガラス基板は、主
成分としてのSiO2 と追加の成分とを含み、5.53
MHzのレイリー波について、基板表面で、レイリー波
の伝搬を支持するのに十分な厚さを有する試験対象ガラ
スサンプルに対向する一対の0.5インチ幅ウェッジト
ランスデューサを装着し、信号について振幅対距離のプ
ロットの傾きによって測定したとき、減衰係数が約0.
25dB/cm以下である。
【0026】この発明は、予期しない実験結果の成果で
あったけれども、以下の概念的理論構成は、発明の本質
を明らかにするのに役立つものである。ガラスは基本的
に二酸化珪素SiO2 であり、そこには、さもなければ
結晶性の石英を形成するであろうSi−O−Si共有結
合からなる規則的格子の生成を妨害するのに十分な量の
他の化合物が添加されている。例えば、Na2 Oの添加
の結果、2つの珪素原子の間の共有結合からなるSi−
O−Si結合が置換されて、この共有結合が切断され、
Si−O- /O- Siプラス2つのNa+ イオンとな
る。同様に、CaOまたはMgOの添加の結果、共有結
合が切断されて、Si−O−/O−Siプラス1個のC
2+またはMg2+イオンとなる。このようにして、十分
量の「ソーダ」または「石灰」の添加により、結晶性石
英よりもむしろ無定形のガラスとなる。
【0027】結晶性材料から無定形材料への転移は、減
衰が増す結果となる。例えば、ロワイェ(Royer)とデ
ィエールセン(Dieulesaint)の音響学教科書(Ondes e
lastiques dan les solides−固体中の弾性波)第1巻
ページXV(出版:マッソン(Masson))からの1節の
下記の翻訳を参照されたい:比較的高い周波数(例え
ば、信号処理の場合、>100MHz)の波を必要とす
る用途に使用する固体は、結晶である。機械的振動が伝
搬する材料がより規定されているためにそれら振動の減
衰がより少ないからである。これは、石英などの結晶性
材料よりもむしろ無定形材料であるガラスを使用するこ
とは、必然的に音響波損失を増大させる結果となること
を意味している。
【0028】本発明者らは、予期しないことに、いずれ
も無定形ガラス状態への転移を惹起するのに十分な種々
の化合物を二酸化珪素に添加するとき、音響波減衰に対
するそれらの影響が大きく相違することを見出した。い
くつかのガラス組成は、ソーダライムガラス中で見られ
るよりも有意に減少した音響波損失に導いた。さらに、
あるパターンが観察されている。
【0029】添加物が、Si−O−Si共有結合を弱い
イオン結合で置き換えるならば、音響波減衰は相対的に
より大きく、添加物が、Si−O−Si共有結合を代替
共有結合、強いイオン結合または立体的に拘束されたイ
オン結合で置き換えるならば、音響波減衰は相対的に小
さい。B2 Oの添加は、B−O−Si結合へと導き、共
有結合網目の破壊、Si−O- /O- Siのごとき破壊
には至らない。これは、代替共有結合成立の一例であ
る。
【0030】3以上の高い電荷状態の正イオン、例え
ば、Al3+およびZr4+に導く添加物は、強いイオン結
合をもたらす。共有結合鎖の末端の酸素イオンSi−O
- は、高い電荷状態のイオンと強いイオン結合を形成す
るであろう。かかる高い電荷状態のイオンとのイオン結
合は、静電結合力が関与イオンの電荷に比例することか
ら、強いものである。強いイオン結合は、Si−O−S
i共有結合が破壊されたところに生じる。
【0031】X23 又はXO2 形の添加物の場合に
は、元素Xが代替共有結合X−O−Siを生成するの
か、または元素Xが高い電荷状態のイオンX3+またはX
4+を形成するのかどうかは、明らかでないこともある。
いずれの場合にも、結果は同じである。分子の結合の網
目は、X2 OまたはXOの形の添加物と比較して、強め
られる。これは、網目をもはや秩序のあるものとはしな
いが、音響波減衰を減少させることが実験的に観察され
る。
【0032】K2 OおよびBaOは、Na2 OやCaO
およびMgOと同じX2 OおよびXO型であるが、相当
するイオン半径は大いに異なっている。K+ のイオン半
径は1.33オングストロームであり、Ba2+のイオン
半径は1.35オングストロームである。対照的に、N
+ 、Ca2+およびMg2+のイオン半径は、それぞれ
0.95オングストローム、0.99オングストローム
および0.65オングストロームである。これらのイオ
ンはすべて、共有網目の末端にある負の酸素原子の負の
電荷に引き寄せられる。しかし、例えば、Na+ 、Ca
2+およびMg2+イオンと比較して、例えば、K+ および
Ba2+イオンは寸法が大きいため、切断された共有結合
Si−O−/O−Siの領域における空間充填による立
体効果をもたらす。本発明者らは、その観察および発見
を、部分的には、イオン半径が約1オングストロームを
越えるとき、かかる立体効果が音響波減衰の抑制をもた
らすものと、解釈している。
【0033】立体効果は、X2 O型の添加物からの単一
電荷、大半径のイオンの場合に、特に顕著である。これ
は、切断された共有結合Si−O- /O- Siごとに2
つのX+ イオンがあるからである。K+ がX+ の最も重
要な例である。ガラス中でのK+ イオンの立体効果は既
知であり、ガラスの化学的硬化の基礎をなすものであ
る。
【0034】半径がより大きい二重荷電イオン、例え
ば、Ba2+およびSr2+は、より小さい二重荷電イオン
Mg2+およびCa2+よりも、より強い立体効果をもつで
あろうが、対になったK+ などの大きい単一荷電イオン
よりも、立体効果は弱いであろう。Ba2+およびSr2+
は、それらの音響学的効果はより中間的である。上記の
概念的枠組みは、以下に特定する本発明の解釈に資する
ものである。
【0035】音響波(超音波)伝搬媒体としての前記ガ
ラス基板の使用は、音響波(超音波)の減衰を抑制し、
高い、満足すべき信号強度の受信を保証する。
【0036】本発明のタッチパネルは、可視光領域にお
いてソーダライムガラスよりも高い光透過率を有してお
り、タッチ位置に関する座標データの検出に使用する音
響波(超音波)伝搬媒体としてのガラス基板によって提
供される。前記目的は、本発明に従えば、さらに、音響
波が伝播可能な基板と、前記音響波を基板中に導入する
ための手段とを含むタッチパネルであって、化学的又は
熱的に強化可能な又は強化されたガラス、好ましくは通
常のソーダライムガラスよりも音響波吸収の実質的に少
ないガラス透明材料で作製された基板を有しており、上
記音響波式タッチポジション(接触位置)センサを提供
することによって達成される。
【0037】「強化可能なガラス」とは、熱強化できる
か、又は実質的に化学的に硬化できるガラスを意味す
る。熱強化は、ガラスを赤熱するまで加熱し、つぎに急
速に冷却し、それによってガラスの両面を、きわめて速
やかに冷却することにより、きわめて高い圧縮下に置く
ときに起こる。十分に強化されたガラスの場合、カラス
は約15000psiになりうる。ガラスを例えば約1
0000psiまで部分的に強化することも可能であ
る。ガラスの内部部分はよりゆっくりと冷却し、張力下
にあり、両表面によりそれらに平行に引っ張られる。ガ
ラスは、それが十分に大きい熱膨張係数、すなわち強化
前に約6×10-6/K以上の熱膨張係数を有するときに
のみ、熱強化可能である。
【0038】ガラスの化学的硬化は、ガラス表面に存在
する低位のアルカリ金属イオンの若干が高位のアルカリ
金属イオンで置換されることによって、例えば、リチウ
ム及び/又はナトリウムイオンがカリウムイオンによっ
て置換されることによって起こる。化学的硬化プロセス
は、米国特許第3954487号明細書に一般的に開示
されており、これを引用により本明細書に導入する。こ
こで、我々にとって関心がもたれるのは、「実質的
に」、すなわち強度が少なくとも約50%増加するま
で、好ましくは少なくとも約100%強度が増加するま
で、化学硬化しうるガラスである。
【0039】全く予期しないことに、レイリー波を採用
した音響波式タッチパネルの基板として強化可能な特定
のガラスを使用するとき、基板としてソーダライムガラ
スを用いた均等な音響波式タッチパネルと比較して、S
N比が10〜30dB増すことが見出された。
【0040】トン基準で見れば、世界で製造されている
ガラスの大部分がソーダライムガラスである。例えば、
「窓ガラス」用ガラスはソーダライムガラスである。車
の窓およびミラーはソーダライムガラスで作製されてい
る。ソーダライムガラスは、最も安価なガラス材料であ
るので、透明な基板材料としては当然に選択されるもの
である。従って、この発明を別にして、今日まで既知の
アドラータイプ音響波式タッチパネルは、全て、ソーダ
ライムガラスで形成されたガラス基板を基礎としてき
た。
【0041】ホウケイ酸ガラスおよびバリウム含有ガラ
スが、ソーダライムガラスよりも音響波損がずっと少な
いという発見が、1996年8月1日に公開されたPC
T国際出願No.WO96/23292の基礎となって
いる。ホウケイ酸ガラスは、もともと、ダウコーニング
社により開発され、コーニング社によって「パイレック
ス」の商品名のもとに市販された。このガラスは、ソー
ダライムガラスよりもやや高価であるが、主として、そ
の熱膨張係数が小さく、大きい温度勾配に耐えて、ひび
割れしないため、大きい市場を見出してきた。現在で
は、ショット(Schott)ガラス社も、ホウケイ酸ガラス
を、「テンパックス」および「ボロフロート」の商品名
で市販している。
【0042】簡単な実験において、ホウケイ酸ガラス
は、レイリー波吸収性が、ソーダライムガラスの約半分
であることが証明された。図3は、ガラス中でのレイリ
ー波の減衰を測定するのに用いた測定方法を図示してい
る。送信トランスデューサ2および受信トランスデュー
サ4の対をガラスに載せ、それらの間隔を2インチ、4
インチおよび6インチと変化させた。ソーダライムガラ
スの2試料およびホウケイ酸ガラスの2試料につき、各
間隔で、測定を行なった。この場合、ホウケイ酸ガラス
はショット社製のテンパックスガラスシートを用いた。
結果は、図4にグラフとして示されている。
【0043】図4に示されるように、ソーダライムガラ
ス中での減衰は、ホウケイ酸ガラスについて測定された
減衰のほぼ2倍であった。ソーダライムガラスは、1.
44dB/インチ(0.57dB/cm)の減衰を示
し、ホウケイ酸ガラスは0.74dB/インチ(0.3
dB/cm)の減衰を示した。
【0044】本発明のガラス基板には、前記ホウケイ酸
ガラスよりも音響波の減衰が小さなガラス(すなわち、
前記測定方法において、減衰係数が約0.25dB/c
m以下のガラス)で構成された基板又はベースが含まれ
る。カラス基板の組成は、主成分としてSiO2 を含
み、Na2 O、CaOおよびMgOの合計含有量が7〜
20重量%である。さらに、ガラス基板には、Al2
3 およびZrO2 を実質的に含まないガラス基板、Al
23 およびZrO2 の合計含有量が3〜20重量%で
あるガラス基板も含まれる。さらには、ガラス基板中の
23 の含有量は0〜10重量%(例えば、0〜1重
量%)程度であってもよく、BaOの含有量は0〜10
重量%(例えば、1〜10重量%好ましくは1〜8重量
%)程度であってもよい。
【0045】前記組成のガラスは、ホウケイ酸ガラスよ
りも低音響波損失という特性を示す。このようなガラス
の一例は、ショット社製の「B−270」ガラスであ
り、このガラスは次の概略組成を有すると報告されてい
る(酸化物基準の重量%):SiO2 :69.5;Na
2 O:8.1;K2 O:8.3;CaO:7.1;Ba
O:2.1;ZnO:4.2;TiO2 :0.5;Sb
23 :0.5。さらに他の例には、旭硝子(株)製,
商品名「PD−200」などが含まれる。
【0046】本発明の音響波式タッチパネルでの低損失
ガラスの使用は、かくして、SN比の増大に基づく余分
の信号「供給」をもたらす。この増大した供給は、少な
くとも表面的には基板材料の選択とは無関係と思われる
多くの目的の達成を可能ならしめる。これらを以下に列
挙する。
【0047】(1)増大したSN比は、タッチパネルに
関連したエレクトロニクス制御装置のコストの低減を可
能ならしめる。とくに、タッチパネルの送信トランスデ
ューサに信号音バーストを送る制御装置のバースト回路
を、バースト振幅の例えばトランジスタトランジスタ論
理(TTL)電圧レベルまで低減させることによって、
単純化することができ、出力段階でのより低コストの回
路の使用を可能ならしめる。バースト振幅の低減には、
制御装置からのEMI放出を減少させるという利点もあ
る。
【0048】(2)再発行米国特許第33151号に開
示されているタイプの音響波式タッチパネルは、トラン
スデューサおよび電子チャネルの数を極小化するため
に、またタッチ位置の時間に基づいた信頼しうる正確な
アナログ測定をするために、反射アレーを用いている。
しかしながら、その結果としての相対的に長い音響波経
路長が、2回の音響波散乱による損失とともに、受信信
号振幅を小さくし、タッチパネルの全体としての寸法を
限定する。本発明のガラスの使用により得られるSN比
の上昇は、このタイプのタッチパネルの全体としての寸
法を増すことを可能とすめ。例えば、長方形のタッチパ
ネルが、少なくとも21インチの対角線寸法をもちう
る。
【0049】(3)タッチパネルの鋭敏な部分と隣接物
体との間の接触を許容する必要がしばしばある。反射ア
レーおよびトランスデューサを保護し、取り囲むよう
に、タッチパネルCRTのハウジングまたは溝ぶちが音
響波式タッチパネルと接触することがある。かかる接触
は、タッチパネル基板と隣接物体との間の、水を漏らさ
ない弾性シール、例えばRTV用シールによって行なう
ことができる。かかるシールは、音響波エネルギーを吸
収するので、シール適用に先立ち、SN比を高めること
がきわめて望まれることとなる。
【0050】(4)多くの用途の場合、タッチパネルの
タッチ/ディスプレイ系への適切な機械的適合の確保に
は、音響波信号の振幅を犠牲にしての機械的デザインを
最適化することが含まれる。機械的にコンパクトなトラ
ンスデューサは、最適音響波性能よりも以下で設計する
ことができる。機械的制約に適応するために、反射アレ
ーは、信号性能にとって最適であるよりも狭く設計され
ことがある。基板材料中での減衰による信号の損失が少
ないほど、設計技師は、信号振幅を犠牲にしての機械的
適合を改善するためのより多く融通性をもつこととな
る。
【0051】耐久性、引っかき抵抗性および工学的透明
性のため、ソーダライムガラスは、音響波式タッチパネ
ル用に選ばれた材料である。前記のように、特定のガラ
スは、これらの機械的および光学的利点をもたらすと同
時に、SN比を高める。
【0052】音響波式タッチパネルにとって最も重要な
音響波モードは、レイリー波である。ソーダライムガラ
スを用いたときと同様に、ラム波や横波などの他の音響
波モードは、本発明のガラス基板中を伝搬させることも
できる。切断された、拘束されないSi−O- /O-
i結合の数を極小化する組成のガラスにおいて、あるパ
ターンの音響波減衰の減少が観測される。この一般的パ
ターンが音響波モードに依存しないと考えられる十分な
理由がある。
【0053】レイリー波におけるエネルギーは、横およ
び縦の双方の応力、ひずみおよび運動の形をとり、それ
ゆえ、レイリー波は、これらの形のエネルギーに対応す
る減衰機構を受ける。横波は、剪断ひずみ、応力および
運動の形のみのエネルギーをもち、それゆえ、横波の場
合の減衰機構は、レイリー波の減衰機構の部分集合であ
る。剪断エネルギーのみを含む屈曲波を除いて、ラム波
は、横および縦の双方の形態のエネルギーを有し、それ
ゆえ、割合は相違するが、レイリー波と同じ減衰機構を
共有する。減衰機構の共有のために、本発明のガラス
は、すべての音響波モードについて、ソーダライムガラ
スに比して減衰が減少している。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明において、音響波(超音波
など)伝搬媒体は、特定のガラス製基板またはベースで
構成されている。前記ガラス基板で構成されたタッチタ
イプのパネルは、タッチ位置の座標データを検出するの
に有用である。音響波の伝搬媒体としての本発明のガラ
ス基板は、主成分としてのSiO2 と追加の成分とを含
んでおり、減衰係数が約0.25dB/cm以下(例え
ば、0.1〜0.23dB/cm程度)、好ましくは
0.22dB/cm以下(例えば、0.1〜0.21d
B/cm程度)である。
【0055】本発明のタッチパネル用ガラス基板の第1
の特徴は、ガラスが、SiO2 を主成分とし、追加の成
分としてのNa2 O、CaOおよびMgO(以下、これ
ら3種の化合物を第1成分と総称する)の合計含有量が
低い点にある。SiO2 の含有量は、前記追加成分の残
余量であり、例えば、約45〜90重量%、好ましくは
約50〜85重量%(例えば55〜85重量%)であ
る。
【0056】第1成分の含有量が増加するにつれて、一
方では音響波(超音波など)の減衰比が増し、他方では
受信信号の強さが減少する。これは、ガラス中に含まれ
ている第1成分がSiO2 共有結合網目中のSi−O−
Si共有結合を切断するが、これらの切断された結合
を、代替共有結合、強いイオン結合または立体的に拘束
されたイオン結合によって置換しないためと推定され
る。それゆえ、第1成分の合計含有量は、低く保つべき
である。慣用の普通ガラスであるソーダライムガラスよ
りも第1成分の合計含有量が低いガラス基板が特に好ま
しい。すなわち、第1成分の合計含有量は、前記減衰係
数を示す範囲で選択でき、例えば、1〜20重量%、好
ましくは7〜20重量%、さらに好ましくは10〜20
重量%(例えば、11〜20重量%)程度である。
【0057】切断され、かつ拘束が不十分なSi−O−
Si共有結合を回避する成分の含有量が増加すると、よ
り低い超音波減衰をもたらす。減衰の増加および受信信
号強度の低下は、Al23 、ZrO2 、TiO2 、B
23 、Y23 、SnO2、PbO2 、In23
よびK2 O(以下、これらの成分を単に第2成分と総称
する)の合計含有量の高いガラス基板を使用することに
よって防止できる。第2成分が、ソーダライムガラスに
比べて高い合計含有量で存在すること、すなわち、第2
成分の合計含有量が5重量%以上、例えば、5〜30重
量%(約5〜20重量%)であるのが好ましい。好まし
いガラス基板は、第2成分を総計で約7〜30重量%
(例えば7〜20重量%)、好ましくは10〜30重量
%、さらに好ましくは15〜30重量%程度含有してい
る。
【0058】第1成分の含有量および第2成分の含有量
が上記範囲にある限り、ガラス基板は、それぞれ第1成
分または第2成分のすべてを含んでいる必要はない。具
体的に言えば、ガラス基板は、第1成分(Na2 O、C
aO、MgO)のうちの少なくとも1種の化合物を含ん
でいればよく、全ての化合物をも含有していなくてもよ
く、第2成分(Al23 、ZrO2 、TiO2 など)
のうちの少なくとも1種の化合物を含んでいればよい。
【0059】前記第2成分に関し、ガラス基板は、
(1)Al23 およびZrO2 を実質的に含まないか
(例えば、0〜1重量%程度の含有量)、又は(2)A
23およびZrO2 の合計含有量が3〜20重量%
(例えば、4〜20重量%)、好ましくは5〜18重量
%(例えば、5〜15重量%)程度である。ガラス基板
は必ずしもB23 を含有する必要はなく、B23
含む場合、その含有量は、0〜10重量%(例えば、0
〜7重量%)、好ましくは1〜5重量%(例えば、1.
5〜4重量%)程度であり、1重量%未満(実質的に含
まない)であってよい。
【0060】ガラスはBaOを含有する必要はなく、B
aOを含有する場合、その含有量は、1重量%以上(1
〜8重量%)程度である。ガラス基板は、種々の成分、
例えば、酸化物(例えば、ZnO、BeO、LiO2
TeO2 、V25 、P25 )、融剤、清澄剤、着色
剤、脱色剤、その他の成分などをさらに含有していても
よい。
【0061】このような組成のガラスは、前記ショット
社製,商品名「B270」、旭硝子(株)製,商品名
「PD−200」(組成:SiO2 58重量%,R2
3 7重量%,RO 22重量%,R2 O 10重量%,そ
の他の成分3重量%)などとして入手できる。
【0062】本発明のタッチパネルのガラス基板は、タ
ッチによりデータを入力するのに有用であり、表示デバ
イス上に配置され、表示デバイスによって表示されたデ
ータはタッチパネルを通して見ることができる。そのた
め、タッチパネルを構成するガラス基板は、可視光領域
(波長約400〜700nm)においてすぐれた光透過
率を有するのが望ましい。雑音防止の見地から、可視光
領域において高い透過率を示すガラス基板は、ソーダラ
イムガラスよりもより大きな受信信号の強さを有するの
が望ましい。高い透過率をもつガラス基板は、SiO2
を主成分とし、第1成分および第2成分を含有するガラ
スまたは他のガラス(例えば非酸化物ガラス)で構成し
てもよい。
【0063】光学的に要求が厳しい用途において、音響
波式タッチパネルを表示デバイスに光学的に結合するこ
とにより、タッチパネル裏面およびディスプレイ前面に
よる反射損および透過損を排除することができる。音響
波式タッチパネルからの散乱性の反射を回避するため
に、シリカまたは化学的エッチングを用いた不均一コー
ティングなどのノングレア処理(防眩処理)を適用する
こともできる。代わりに(指紋が問題とならなけれ
ば)、反射防止コーティングを施してもよい。双方の場
合とも、表面処理は、音響波の波長と比較してきわめて
表面的なものであって、ガラス基板は依然としてパネル
の関連音響学的性質を決定又は支配する。
【0064】表示デバイス上に配置された本発明のタッ
チパネルは、液晶表示デバイス、プラズマ表示パネルデ
バイスなどと組合せて使用できる。図1は、本発明のタ
ッチパネルの一構成を示す概念的平面図である。図示さ
れたタッチパネルは、その表面に形成されたX軸および
Y軸の方向に対称的であるタッチ可能な表示領域(画像
表示領域)2を有する伝搬媒体としてガラス基板1を包
含する。基板中を伝搬する音響波は、表面へのタッチに
より測定可能に減衰させられるべき表面において、十分
な出力密度を有する。
【0065】送信手段3a,3bは、ガラス基板1のX
軸およびY軸の方向に、音響波を送信する。これらの送
信手段は、電気音響変換器、例えば、セラミック圧電素
子を包含し、おそらくはウェッジトランスデューサのプ
ラスチックウェッジなどのモード変換素子をも包含す
る。これらの変換手段は、送信反射格子アレー4a,4
bに向けて音響波ビームを指向するように、ガラス基板
1の所定の位置に配置されている。
【0066】送信手段からのX軸およびY軸方向の音響
波は、Y軸方向の両縁部に形成された第1の反射アレー
(第1の反射手段)4a,4b、およびX軸方向の両縁
部に形成された第2の反射アレー(第2の反射手段)5
a,5bからなる反射手段によって方向を再指示され、
X軸およびY軸の方向に、表示領域2の全面(活性領
域)にわたって伝搬され、それら音響波は、受信手段に
より受信されるべく、X軸およびY軸方向に方向を再指
示され、すなわち収束される。
【0067】受信手段6a,6bは、送信手段と同じ部
材で構成されている。送信手段と受信手段との区別は、
主として、エレクトロニクスへの結合によって定まる。
アイテム6a,6bが励起回路素子に接続され、3aお
よび3bが受信回路素子に接続されれば、6a,6bは
送信手段として、3a,3bは受信手段として働くであ
ろう。
【0068】信号ケーブル7aおよび7bは、送信素子
に接続されており、信号ケーブル8aおよび8bは、受
信素子に接続されている。
【0069】このデバイスにおいて、20〜30サイク
ルの信号音バーストなどの励起信号がケーブル7a(又
は7b)を介して送信手段3a(又は3b)ヘ間欠的に
送られるとき、超音波は反射アレー4a(又は5a)に
よって反射され、ガラス基板1の表面を通って伝搬さ
れ、反射アレー4b(又は5b)により反射されて、受
信手段6a(又は6b)により受信される。合計の音響
波遅延は1ミリセカンドまでであり、そのため、Xおよ
びY座標測定サブシステムを逐次励起するための時間
は、人の応答時間内にある。受信された信号は、信号ケ
ーブル8a(又は8b)を介して、信号処理制御装置へ
送られ、そこで、制御装置は受信信号を認識し、その強
さを検出する。
【0070】図1のタッチパネルは、典型例として、表
示デバイスの前に置かれて、表示デバイスおよび恐らく
はサウンドシステムなどの他の出力デバイスを制御する
同じホストコンピュータに対するコンピュータ周辺装置
として働くことを意図されている。典型的には、タッチ
が検出されたときには、ホストコンピュータの適用ソフ
トウェアがユーザーの人間にフィードバックを与える。
このフィードバックは多くの形をとりうる。その例は、
表示画像中でのアイコンの強調表示、スピーカーからの
耳に聞こえるクリック音またはベル音、または単に所望
のタッチコントロール機能の動作である。当然のことな
がら、この所望の動作はすべてタッチを正確に検出する
音響波式タッチパネルシステムに依存しており、その正
確な検出は十分なSN比の維持に依存する。
【0071】音響波は、タッチパネルのガラス基板を通
って伝搬するとき、強度を失う。この物理的効果、すな
わち基板による音響波エネルギーの減衰は、音響波式タ
ッチパネルのための信号振幅を決定する際の重要な因子
である。本発明のタッチパネルにおいては、選択された
ガラス基板の使用が、超音波の減衰を低減させ、十分な
強度の受信信号の検出を保証する。その結果、タッチポ
ジションを信頼性と精度をもって検出できる。
【0072】前記のように、圧電送信トランスデューサ
および受信トランスデューサを距離を異にして装着し、
音響波減衰を測定する方法において、ホウケイ酸ガラス
(ショットガラス社製、商品名「テンパックス」)の場
合の平均減衰率は0.74dB/インチ(約0.3dB
/cm)であり、ソーダライムガラスでの平均減衰率は
1.44dB/インチ(0.57dB/cm)である。
【0073】一方、本発明のガラス基板のうち、前記シ
ョット社製,商品名「B270」では、平均減衰率0.
56〜0.61dB/インチ(0.22〜0.24dB
/cm)、旭硝子(株)製,商品名「PD−200」で
は、平均減衰率0.53dB/インチ(0.21dB/
cm)である。従って、本発明のガラス基板を用いる
と、ソーダライムガラスに比べて平均減衰率を約60〜
70%も低減でき、ホウケイ酸ガラスに比べて平均減衰
率を約20〜40%も低減できる。
【0074】従って、ソーダライムガラスおよびホウケ
イ酸ガラスよりも音響波吸収が実質的に少ない透明材料
を基板として使用するならば、受信トランスデューサに
より受信可能な信号を実質的に増大させることができ、
ホウケイ酸ガラスに比べて、前記「B−270」,「P
D200」のデータは、最大音響波行路長20〜40イ
ンチの場合、約3〜11Bの追加の信号を意味する。現
在の商業的製品よりも大型のタッチパネルの場合には、
信号利得がさらに大きい。
【0075】音響波減衰は、振動数の増加関数である。
上記の量的測定および計算は、5.53MHzの試験周
波数で実施した。製品をより高い動作周波数のために設
計するならば、音響波減衰はより大きく、音響波損失の
少ないガラスの使用からの利得もより大きいであろう。
製品をより低い周波数のために設計するならば、逆のこ
とが言えるであろう。量的な数字は変化するであろう
が、低音響波損ガラス基板の質的利点は変わらない。
5.53MHzでの音響波減衰の試験測定は、広い範
囲、例えば3〜10MHzの範囲のどこかの動作周波数
の製品に使用するための低音響波損ガラス基板を判定す
るのに適切である。
【0076】明示的に言えば、「低音響波損ガラス」は
次のように定義できる:試験対象ガラス上に対向する一
対の0.5インチ幅ウェッジトランスデューサを装着し
て、信号の振幅対距離プロットの傾きにより測定した
5.53MHzレイリー波の音響波損失が約0.25d
B/cm以下のガラス。
【0077】本発明のガラスを用いて組み立てたタッチ
パネルからのデータは、顕著な信号振幅の増加を示して
いる。このことは、本発明のガラス基板が共に同様の音
響学上の利点を提供することを証明するものである。
【0078】用途によっては、強化ガラス基板を使用す
ることが望ましい。ホウケイ酸ガラスは熱膨張係数が低
いため、熱強化ができない。カリウムイオンで置換でき
るナトリウムイオンの含有率が低いか又はナトリウムイ
オンを含有さえしていないため、普通のホウケイ酸ガラ
スは、きわめて限られた程度まで化学的に硬化できるだ
けである。強化ガラス基板を必要とする用途には、強化
可能な低音響波損ガラスを用いることが好ましい。音響
波式タッチパネル用基板材料として前記特定のガラスを
選択することにより、このことが可能となることが見出
された。
【0079】ショットガラス社製の商品名「B270」
などの前記例示のガラスが、シート形態で容易に、経済
的に購入可能で、任意的に熱強化又は化学的に硬化可能
な低音響波損ガラスの一例である。このようなガラス基
板の使用によりもたらされる追加の信号振幅は、そのま
まではSN比の著しい損失に導く多くの製品の改善を可
能ならしめる。これらの製品改善のいくつかを論じる。
【0080】トランスデューサ、例えば部材3a,3
b,6a及び6bの設計に際し、設計者は、信号振幅と
表示デバイスハウジング内部へのタッチパネルの機械的
適合との間の妥協にしばしば直面する。場合によって
は、設計者は、トランスデューサの幅を例えば0.5イ
ンチから0.25インチに減じることにより、機械的干
渉を回避することができる。幅を減じられたトランスデ
ューサは、より狭いトランスデューサからの音響波ビー
ムの角の開きの増大のためもあって、信号損の原因とな
る。別の場合には、設計者は、例えばウェッジトランス
デューサを装着すべきガラス基板の縁に傾斜面を含める
ことができる。傾斜角が十分に急で、ウェッジ角、例え
ば33°より以上であるならば、ウェッジトランスデュ
ーサは、タッチ面の下方に都合よくしまい込まれるであ
ろう。しかし、タッチ面とかかる急な傾斜面との交差
は、音響波の不連続性の原因となり、顕著な信号損をき
たす。これらおよび他の場合に、低音響波損基板によ
り、設計者がトランスデューサの効率を低下させること
を許容するならば、機械的によりフィットしたタッチパ
ネルが可能となる。
【0081】タッチ面と表示デバイスのハウジングとの
間にシールが必要なときには、設計者は、エレクトロニ
クスと機械的設計との間の別の妥協に直面する。例え
ば、図5参照。これは、タッチパネル100のブラウン
管(CRT)102のフェースプレートへの取付け方を
示している。タッチパネル100とCRT102とが、
CRTハウジング104内に拘束される。タッチパネル
100は、スペーサ/接着剤系106によって適所に保
持されるが、この系の双方はCRTフェースプレートの
湾曲した形状(プロフィール)に従っている。部分的に
タッチパネル100およびCRTハウジング104によ
り規定されている囲いは、ハウジング104とタッチパ
ネル100との間の隙間に、又はその近くに配置された
周辺の弾性シール108によって完成される。シール1
08はタッチパネル100の鋭敏な表面と接触してお
り、音響波エネルギーを吸収する。本発明により生じた
信号供給の増加のため、シール108は、SN比を判定
できないレベルまで低下させることなしに、少なくとも
6dB、さらには12dBまでの音響波エネルギー損失
を惹起しうる。
【0082】設計者は、エレクトロニクスの設計に当っ
て、さらに別の妥協に直面する。音響波式タッチパネル
とともに使用される現在の制御装置製品は、数十のピー
クピーク(peak-to-peak)ボルトもの励起信号を発生す
る。この比較的大きい励起電圧は、電子回路素子のコス
トを増し、さらに許容できないレベルのEMI放出の発
生に寄与するという副作用をもつ可能性がある。励起電
圧を例えば15dBだけ低減することにより、多くを得
ることができる。しかし、励起電圧の15dBの低下
は、受信信号での相当する15dBの損失という結果に
なるであろう。本発明のガラス基板を使用することによ
り、かかる励起電圧の低下を可能ならしめるのに十分な
信号が提供される。
【0083】低音響波損ガラス基板により可能となるも
っとも劇的な製品改良は、おそらく、極大センササイズ
の顕著な増大であろう。最近、エロ(Elo)・タッチ・
システムズ社は、音響波式タッチパネル製品を導入し
た。これらは、対角線寸法21インチの大型タッチパネ
ルである。
【0084】エロ社は、当初、21インチのソーダライ
ムガラス製品を企画したが、信号振幅が信頼しうる品質
性能を保証するのに不十分であった。ソーダライムガラ
スタッチパネルの寸法増大に対する信号の敏感さは、次
の計算からわかる。標準的なビデオディスプレイ横縦比
が3:4であると仮定するとき、対角線寸法の1インチ
の増加は、極大音響波経路長(極大音響波経路長=定数
+Xアレー長の2倍+Xアレー間の内部間隔)を2.2
インチ増大させる。減衰が1.5dB/インチの場合、
付加された対角線1インチ当り、基板中での吸収が3.
3dB増加する。対角線に3インチを付加すると、信号
が10dBだけ低下する。そのため、より大型のソーダ
ライムガラス製音響波式タッチパネルは、急速にますま
す困難となる。エロ・タッチ・システムズ社が、199
6年11月のラスヴェガスでのコムデックス見本市にお
いて、ラミネートされた逆投射スクリーンを有し、投射
ディスプレイにより照らされた機能する31インチ対角
線タッチパネルによって証明したように、本発明のガラ
ス基板を用いれば、ずっと大きいサイズが可能である。
この例は、投射像の構成への大型タッチパネルの使用を
例証するものである(図6参照)。投射器118および
レンズ120が、リアルタイムのビデオ映像を逆投射ス
クリーン110に投射する。このスクリーンは、音響波
式タッチパネル122の基板の裏にラミネートされてい
てもよい。すなわち、音響波式タッチパネルのガラス基
板は、逆投射スクリーン材料にラミネートされていても
よい。なお、符号112は筐体、符号114はシーリン
グ材である。
【0085】AV(視聴覚)用途に用いるべききわめて
大きいタッチパネルへの市場の関心が増しつつある。頻
繁な接触を包含する用途での大型ガラス片の使用は、安
全および強度への懸念を増す可能性がある。この新興の
市場ニッチが成熟するにつれて、極めて大型の音響波式
タッチパネルの強化版が求められる可能性がある。
【0086】ホウケイ酸ガラスは強化できない。ホウケ
イ酸ガラスの熱膨張係数は小さい。例えばショット社の
「ボロフロート」ガラスについてのデータシートは、
3.25×10-6/Kの熱膨張係数を示している。これ
が、ホウケイ酸ガラス、例えば「パイレックス」を熱シ
ョックにより破壊するのを困難にしている。それは、加
熱されたガラスの急速冷却によって強化ガラスの応力パ
ターンをつくりだすことをも困難にしている。
【0087】ホウケイ酸ガラスは強化できないが、本発
明で用いるガラスは強化可能であり、かつ低音響波損で
ある。すなわち、音響波が伝播可能な基板と、前記音響
波を基板中に導入するための手段とを含むタッチパネル
において、前記基板は、減衰係数が約0.25dB/c
m以下であり、かつ化学的又は熱的に強化可能なガラス
で形成されている。ガラス基板は、通常、熱強化され
る。このようなガラスは入手可能であり、このようなガ
ラスを用いると、音響波式タッチパネルの寸法を大きく
できる。
【0088】熱強化可能なガラスの熱膨張係数は、強化
前において、通常、約6×10-6/K以上、好ましくは
約6×10-6/K〜約12×10-6/K、さらに好まし
くは約7×10-6/K〜約10×10-6/K、特に約8
×10-6/K〜約10×10 -6/K程度である。
【0089】このようなガラスが強化できるという事実
は、ガラスの熱膨張係数の結果として解釈できる。前記
「B270」の技術データシートは、9.5×10-6
Kの熱膨張係数(20℃〜300℃)を記載しており、
「PD200」の熱膨張係数は8.3×10-6/K程度
である。これらの値は、ソーダライムガラスの値に類似
しており、熱膨張係数が3.25×10-6/Kである
「ボロフロート」などのホウケイ酸ガラスとは極めて異
なる。強化ガラス基板の使用には、反射アレー材料とガ
ラスを焼きなまししない硬化プロセスの使用が必要であ
る。例えば、ポリマーベースの低温硬化反射材料を使用
できる。ポリマー材料は、より慣用的な反射材料である
ガラスフリットよりもより急速に音響波パワーを減衰さ
せるので、低音響波損基板の必要性が増大する。反射ア
レー材料としては、ガラスフリット、ガラスの焼きなま
し温度より低い温度で硬化可能な反射インキが使用でき
る。熱膨張係数8.8×10-6/Kを有する「ESL4
022C」ガラスフリットは、ソーダライムガラスの典
型的な熱膨張係数に匹敵する値を有しているので、よく
使用される。例えば、商品名「スターファイア」ソーダ
ライムガラスは、特定された9.0×10-6/Kの熱膨
張係数を有している。
【0090】ガラス基板は、複数のガラス層で構成され
た安全ガラスとして利用してもよい。この場合、積層体
の内層および外層は、通常、近似又は実質的に同じ熱膨
張係数を有している。例えば、ガラス基板を、内層およ
び外層を構成する2枚のガラスシートの積層体で構成
し、前記特性のガラスにより外層に0.25dB/cm
以下の減衰係数を付与してもよい。安全ガラスの構成の
一部として、すなわち2枚のガラスシートの積層体(内
層ガラス151と、タッチ表面152aを有する外層ガ
ラス152とが接着剤153を介して積層された積層
体)として大型タッチパネルを構成することも可能であ
る(図7参照)。安全ガラス(積層ガラス)において、
任意的に、ガラスシートの一方又は両方を、熱強化又は
化学的強化(硬化)させることができる。例えば、5.
53MHzで動作するレイリー波音波式タッチパネルの
ための基板を、強化した低音響損失ガラスの層(厚み3
mm)とし、このガラス層を、第2の強化した低音響損
失ガラス層(厚み3mm)にラミネートしてもよい。す
なわち、安全ガラス積層体において、外層(タッチ面を
形成する層)が低減衰係数のガラスで構成されている限
り、内層および外層がともに強化ガラスであってもよ
く、外層は、6×10-6/K以上の熱膨張係数を有する
ガラスで構成してもよい。
【0091】安全ガラス基板の上面に負荷又は衝撃が作
用した場合、下方のガラス層のみが強化されているだけ
でも、強度が著しく付加される。安全ガラス基板が負荷
の作用で撓むとき、上方のガラス層は圧縮下にあり、下
方のガラス層は張力下にある。ガラスは、圧縮状態で
は、引張り状態よりもずっと強い。引っ張り下にあるガ
ラス層を強化することがきわめて重要である。未強化積
層ガラスを用いたプロトタイプのタッチパネルは、上方
タッチ面への重い衝撃により破壊された。割れたのは底
層のガラスであった。しかし、底層のガラスに亀裂が明
瞭に認められたにも拘らず、上方のガラス層は、割れる
ことなく、タッチパネルプロトタイプはなお機能した。
このことは、下方のガラスが強化されるべきより重要な
層であることを実験的に証明するものである。従って、
安全ガラスにおいて、内層は、強化ガラスで構成するの
が有効であり、減衰係数の大きな強化ソーダガラスも使
用できる。
【0092】安全ガラス基板を、下層の強化ソーダライ
ムガラス(例えば、厚さ3mm又はそれ以上)と、この
下層に結合された上層の強化できないホウケイ酸ガラス
(例えば、厚さ3mm)とで構成すると、動作温度範囲
が十分に広い用途には、実際的な設計ではない。ホウケ
イ酸ガラスとソーダライムガラスとは熱膨張係数が非常
に異なり、温度変化により、サーモスタットのバイメタ
ルのように、基板が反り曲るであろう。
【0093】反り曲がり効果が実験的に観察された。ホ
ウケイ酸ガラスサンプルを未強化ソーダライムガラスサ
ンプルに接合した。両サンプルの呼び寸法は、6インチ
×9インチであった。この積層物をオーブンに入れた。
温度が30℃変化した結果、この小さい積層サンプルの
きわめて明白なそり曲がりが生じた。
【0094】しかし、例えば、本発明の強化可能な低音
響波損ガラス(例えば、厚さ3mmの未強化ガラス)と
強化ソーダライムガラスの積層体の場合には、温度変化
による反り曲がりは殆ど問題とならない。強化可能な低
音響波損ガラスを実際には強化していなくても、標準的
ソーダライムガラスと同様の熱膨張係数を、低音響波損
ガラスが有することの利点に注目されたい。
【0095】標準的ソーダライムガラスに似た熱膨張係
数(例えば6×10-6/K〜12×10-6/Kの熱膨張
係数)を有する未強化低音響波損ガラスには、なお利点
がある。現在殆どの市販のタッチパネル製品の反射アレ
イ材料として使用されている普通のガラスフリットと、
ホウケイ酸ガラス基板との間の接合は、ガラスフリット
とソーダライムガラス基板との接合よりも低い。このこ
とは、フリットとホウケイ酸ガラスとの間の熱膨張係数
のミスマッチのためである。ホウケイ酸ガラスの熱膨張
係数により適合したフリット組成が存在するが、硬化温
度が500℃よりも高い。ホウケイ酸ガラスに比べて、
本発明の低音響波損ガラスの利点は、低焼結温度である
標準的ガラスフリット製品によく適合する熱膨張係数で
ある。
【0096】本発明において、ガラス基板は、種々の音
響波、例えば、レイリー波のみならず、水平偏波横波
(horizontally polarized shear waves)、高次の水平
偏波横波(higher order horizontally polarized shea
r waves)、零次の水平偏波横波(zeroth order horizo
ntally polarized shear waves)、またはラブ波(Love
waves)を伝搬するのに適合している。米国特許第55
91945号明細書に記載されているように、レイリー
波が反射アレーに沿って伝搬し、センサ(以下、レイリ
ー−横−レイリーセンサ(Rayleigh-shear-Rayleigh se
nsor)と呼ぶ)の活動領域(又は活性領域)において水
平偏波横波がタッチを感知する、音響波式タッチパネル
を設計することが可能である。このようなセンサは、セ
ンサがシリコーンゴムでシールされていても、タッチを
感知できる(RTV)。このようなセンサは、活動領域
が水で覆われていてもタッチを感知できる。
【0097】低音響波損ガラスを用いて、大型のレイリ
ー−横−レイリーセンサを作製することができる。動作
周波数が5.53MHzの場合、レイリー−横−レイリ
ーセンサの波動力学は、ガラス厚みを約3mmに制限す
る。さらに、レイリー−横−レイリーセンサは、ガラス
の上面および底面の双方でタッチ感受性であるので、そ
れを、標準的な安全ガラス接着剤を用いて、安全ガラス
基板の部分として積層することができない(粘性減衰の
ほとんどないシリコーンゴムなどの接着剤が要求され
る)。レイリー−横−レイリータッチパネルのこれらの
波動力学的要求のために、本発明の強化された低音響波
損ガラスが、大型レイリー−横−レイリータッチパネル
のためにとくに興味あるものとなる。
【0098】
【発明の効果】本発明では、音響波式タッチパネルにお
いて、ガラス基板の音響波減衰を低減でき、伝送信号の
高い強度を保証できる。そのため、電磁干渉に関して、
信頼性が高く、耐久性の高い音響波式タッチパネルを提
供できるとともに、低コスト制御装置により、約10ボ
ルト以下のピーク−ピーク電圧の伝送バースト振幅を用
いても、高い信頼性で動作でき、信号変換効率の低い機
械的にコンパクトなトランスデューサをも使用できる。
また、音響波信号の吸収を生じるシールも使用可能であ
り、タッチパネル寸法を増大できる。さらに、積層ガラ
スとして利用する場合には、粗雑に扱っても信頼でき、
タッチ表面が頑丈である。さらには、熱的に又は化学的
に強化でき、大型強化タッチパネルが可能となる。
【0099】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0100】比較例1 平坦なソーダライムガラス基板(セントラルガラス社
製:488mm(幅)×403mm(長さ)×3.3m
m(厚さ))を用いて、図3に示す超音波式タッチパネ
ルを製作した。この音響波式タッチパネル中で、レイリ
ー波を励起し、伝搬させた。制御装置(タッチパネル・
システムズ社製,5810EI00)を用いて、タッチ
パネルの性能を観測した。ソーダライムガラスの組成
は、SiO2(71重量%)、Na2 O(13重量
%)、K2 O(1重量%)、CaO(11重量%)、M
gO(2重量%)およびAl23 (2重量%)であっ
た。第1成分(Na2 O、CaO、MgO)の合計含有
量は26重量%であり、第2成分(Al2 O3 、ZrO
2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2 、PbO
2、In23 、K2 O)の合計含有量は3重量%であ
った。
【0101】可視光領域でのガラス基板の光透過率は9
1%である(スガ試験装置社製,ヘイズコンピュータH
GM−2Dを使用)。この測定の絶対的校正には若干の
不確かさがある。しかし、この測定は、他のガラスとの
比較には十分に役立つであろう(ガラスの前面および裏
面の双方での反射が4%であるので、92%透過が理論
上の上限である。反射は、空気とガラスとの間の屈折率
の不適合により惹起される。ガラスの屈折率は、典型的
には、約n=1.5であるので、単一面での反射、(n
−1/n+1)2 は約4%となる)。
【0102】さらに、前記方法により減衰係数を測定し
たところ、0.57dB/cmであった。下記の方法に
従って、音響波の伝搬速度を測定した。音響波の伝搬速
度は、反射アレーの素子間のピッチ又は間隔を変え、受
信信号振幅がもっとも大きいときに観測することによっ
て求めた。前記ピッチ又は間隔が、固定された動作周波
数に相当する音の波長の整数倍に等しくなるとき、もっ
とも強くなる。一連のサンプルを作製し、反射アレイの
ピッチを少しずつ変化させた。極大受信振幅を与えるピ
ッチから波長を求め、波長と周波数(5.53MHz)
との積から速度を計算した。
【0103】市販のレイリー波タッチパネル製品の場合
と同様に、音響波信号をウェッジトランスデューサを有
するガラス面へ送信し、該面から受信した。ウェッジト
ランスデューサは、プラスチックウェッジに接合させた
セラミック製圧電素子で構成されており、このウェッジ
はガラス面に接合されている。このウェッジは、圧電素
子からの圧力モードの音響波をガラス基板上のレイリー
波に結合(カップル)する。送信トランスデューサは、
50V振幅の5.53MHzトーンバーストにより励起
した。このようにして、ソーダライムガラス基板の伝搬
速度を測定したところ、125000インチ/秒であっ
た。
【0104】伝搬速度125000インチ/秒で設計し
たタッチパネルの受信信号の強さを受信トランスデュー
サにおいて測定した。タッチパネルのX軸およびY軸サ
ブシステムの双方について測定を行なった。測定された
強度は、それぞれ1.41mVおよび1.69mVであ
った。
【0105】比較例2 比較例1のソーダガラスに代えて、平坦なホウケイ酸ガ
ラス基板(ショット社製,商品名「テンパックス」;4
88mm(幅)x403mm(長さ)x3.3mm(厚
さ))を用いた。このガラス基板は、SiO2 (81重
量%)、Na2O(3重量%)、K2 O(1重量%)、
23 (13重量%)およびAl2 3 (2重量%)
からなっており、第一成分(Na2 O、CaO、Mg
O)の合計含量は3重量%、第二成分(Al23 、Z
rO2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2 、P
bO2 、In23 、K2 O)の合計含量は16重量%
であった。
【0106】比較例1の方法により、可視光領域でのガ
ラス基板の光透過率を測定したところ93.0%であっ
た。さらに、縁から見るとき、このガラスは、普通のソ
ーダガラスの暗緑色よりもむしろ淡い黄緑色を有してい
る。さらに、前記方法により測定したところ、減衰係数
は0.30dB/cm、伝搬速度は122288インチ
/秒であった。伝搬速度122288インチ/秒をもつ
よう設計したタッチパネルについて、比較例1の方法を
用いて、X軸およびY軸の双方につき、受信信号の強度
を測定した。X軸(図1の水平軸)での強度は6.66
V、Y軸(図1の鉛直軸)でのそれは8.39Vであっ
た。これは、受信信号振幅における12デシベル以上の
利得である。
【0107】「テンパックス」および「ボロフロ−ト」
の熱膨脹係数は、約3.3×10-6/Kであり、熱強化
又は化学強化ができない。
【0108】比較例3 PPG製の「スターファイア」ガラスは、実施例1の
「B270」ガラスと同様に、色依存性が極小な高透過
性ガラスを求める市場の要求を満たす「白色」ガラスで
ある。この意味で、「スターファイア」ガラスと「B2
70」ガラスとは光学的均等物である。
【0109】興味あることに、それらは、音響学的均等
物ではない。「スターファイア」ガラスは、実施例1の
「B270」ガラスのように低音響波損の利益をもたら
さない。測定誤差の範囲内で、「スターファイア」ガラ
スは、普通のソーダライムガラスと同じ音響波減衰を有
していることが観測される。
【0110】「スターファイア」ガラスの組成は、Si
2 (73重量%)、Na2 O(15重量%)、CaO
(10重量%)、不明(2重量%)であった。第1成分
(Na2 O、CaO、MgO)の合計含有量は少なくと
も25重量%であり、第2成分(Al23 、ZrO
2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2 、PbO
2 、In23 、K2 O)の合計含有量は多くとも2重
量%である。
【0111】実施例1 比較例1で用いたソーダライムガラスに代えて、平坦な
ガラス基板(ショット社,商品名「B270」またはデ
サグ社,商品名「スーパーワイト」:488mm(幅)
×403mm(長さ)×3.3mm(厚さ))を用い
た。このガラス基板の組成は、SiO2 (69重量
%)、Na2 O(8重量%)、K2 O(8重量%)、C
aO(7重量%)、BaO(2重量%)、ZnO(4重
量%)、TiO 2 (1重量%)、Sb23 (1重量
%)であった。第1成分(Na2 O、CaO、MgO)
の合計含有量は15重量%、第2成分(Al23 、Z
rO2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2 、P
bO2 、In23 、K2 O)の合計含有量は9重量%
であった。
【0112】比較例1に記載の方法により、可視光領域
でのガラス基板の光透過率を測定したところ、92.8
%であった。この測定値は、実施例1のソーダライムガ
ラスの場合より1%高い。縁部から見ると、ソーダライ
ムガラスの深い緑色とは異なって、淡い黄緑色に見え
る。さらに、前記方法により測定したところ、減衰係数
は0.24dB/cm、伝播速度は、121609イン
チ/秒のレイリー波伝搬速度を有していた。12160
9インチ/秒のレイリー波伝搬速度を有するタッチパネ
ルの受信信号強度を、比較例1の方法を用いて、X軸お
よびY軸について測定した。受信信号強度は、X軸にお
いて7.69mV、Y軸において7.50mVであっ
た。これは、標準的ソーダライムガラスに対して、12
デシベル以上の受信信号振幅の増大であった。
【0113】制御装置に接続したタッチパネルを用いて
タッチを検出した。受信信号の明白な下降から、タッチ
ポジションを正確に定めることができた。すなわち、タ
ッチポジションの座標を検出するために、タッチパネル
を制御装置に接続した。図2におけるように、パネルに
触れたときの受信信号は、受信信号の強度Dにおける顕
著な低下Dtを示し、かくして、タッチポジションの明
瞭な認識を可能ならしめた。所望のタッチパネル機能が
十分にもたらされる。前記ガラスの熱膨脹係数は、約
9.5×10-6/Kであり、熱強化又は化学的硬化可能
なガラスである。また、「B270」ガラスの軟化点
(107.6ポイズ)は708℃である。
【0114】実施例2 実施例1のガラスに代えて、ガラス基板[旭硝子(株)
製,商品名「PD−200」]を用いた。比較例1の方
法により測定したところ、可視光領域での光透過率は9
1.1%であり、減衰係数は0.21dB/cm、伝播
速度は118,518インチ/秒のレイリー波伝搬速度
を有していた。118,518インチ/秒のレイリー波
伝搬速度を有するタッチパネルの受信信号強度を、比較
例1の方法を用いて、X軸およびY軸について測定し
た。受信信号強度は、X軸において15mV、Y軸にお
いて17mVであった。これは、標準的ソーダライムガ
ラスに対して、12デシベル以上の受信信号振幅の増大
であった。
【0115】制御装置に接続したタッチパネルを用いて
タッチを検出した。受信信号の明白な下降から、タッチ
ポジションを正確に定めることができた。前記ガラスの
熱膨張係数は、約8.3×10-6/Kであり、熱強化又
は化学的硬化可能なガラスである。また、ガラスの軟化
点(107.6ポイズ)は830℃である。
【0116】実施例および比較例の結果を表に示す。
【0117】
【表1】 上記の実施例において、実施例のタッチパネル基板は、
比較例のタッチパネル基板と比較して、音響波減衰をよ
り有効に防止でき、SN比を増大できる。しかも、熱的
又は化学的に強化可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の音響波式タッチパネルの一実
施態様を示す概念的平面図である。
【図2】図2は実施例1における受信信号の包絡線を示
す波形図である。
【図3】図3は基板中での音響波の減衰を測定する方法
を示す概略図である。
【図4】図4は、ソーダライムガラス基板およびホウケ
イ酸ガラス基板について、図3に示す方法により測定し
た結果を示すグラフである。
【図5】図5はCRTディスプレイモニタに搭載された
一タッチパネルの断面図である。
【図6】図6は、投射像を受けるために採用したタッチ
パネルの断面図である。
【図7】図7は、外側のガラス層がタッチパネル基板と
して機能する安全ガラス積層体の断面図である。
【符号の説明】
1:ガラス基板 3a,3b:送信手段 4a,4b,5a,5b:反射アレー 6a,6b:受信手段 100,122:タッチパネル 102:ブラウン管 151:内層ガラス 152a:タッチ表面 152:外層ガラス 153:接着剤

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響波の伝搬媒体としてのガラス基板を
    備え、接触位置に関する座標データを検知するためのタ
    ッチパネルであって、前記ガラス基板が、主成分として
    のSiO2 と追加の成分とを含み、5.53MHzのレ
    イリー波につき、基板表面で、レイリー波の伝搬を支持
    するのに十分な厚さを有する試験対象ガラスサンプルに
    対向する一対の0.5インチ幅ウェッジトランスデュー
    サを装着し、信号について振幅対距離のプロットの傾き
    によって測定したとき、減衰係数が約0.25dB/c
    m以下であるタッチパネル。
  2. 【請求項2】 音響波の伝搬媒体としてのガラス基板を
    備え、接触位置に関する座標データを検知するためのタ
    ッチパネルであって、前記ガラス基板の組成が、主成分
    としてSiO2 を含み、Na2 O、CaOおよびMgO
    の合計含有量が7〜20重量%であるタッチパネル。
  3. 【請求項3】 ガラス基板中のNa2 O、CaOおよび
    MgOの合計含有量が11〜20重量%である請求項2
    記載のタッチパネル。
  4. 【請求項4】 ガラス基板が、Al23 およびZrO
    2 を実質的に含まない請求項2記載のタッチパネル。
  5. 【請求項5】 ガラス基板中のAl23 およびZrO
    2 の合計含有量が3〜20重量%である請求項2記載の
    タッチパネル。
  6. 【請求項6】 ガラス基板中のB23 の含有量が0〜
    10重量%である請求項2記載のタッチパネル。
  7. 【請求項7】 ガラス基板中のB23 の含有量が1重
    量%以下である請求項2記載のタッチパネル。
  8. 【請求項8】 ガラス基板が少なくとも1.0〜8.0
    重量%のBaOを含むガラスである請求項2記載のタッ
    チパネル。
  9. 【請求項9】 ガラス基板が、Na2 O、CaOおよび
    MgOを合計含有量で7〜20重量%、Al23 、Z
    rO2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2 、P
    bO2 、In23 およびK2 Oを合計含有量5〜30
    重量%で含む請求項2記載のタッチパネル。
  10. 【請求項10】 ガラス基板が、Na2 O、CaOおよ
    びMgOを合計含有量で7〜20重量%、Al23
    ZrO2 、TiO2 、B23 、Y23 、SnO2
    PbO2 、In23 およびK2 Oを合計含有量15〜
    30重量%で含む請求項2記載のタッチパネル。
  11. 【請求項11】 音響波が伝播可能な基板と、前記音響
    波を基板中に導入するための手段とを含むタッチパネル
    であって、基板が、化学的又は熱的に強化可能なガラス
    で形成されている請求項1又は2記載のタッチパネル。
  12. 【請求項12】 ガラスが、強化前に、約6×10-6
    K以上の熱膨張係数を有する請求項11記載のタッチパ
    ネル。
  13. 【請求項13】 ガラス基板が熱強化されており、強化
    前に、約6×10-6/K〜約12×10-6/Kの熱膨張
    係数を有する請求項11記載のタッチパネル。
  14. 【請求項14】 ガラス基板が熱強化されており、強化
    前に、約8×10-6/K〜約10×10-6/Kの熱膨張
    係数を有する請求項11記載のタッチパネル。
  15. 【請求項15】 減衰係数が約0.25dB/cm以下
    である請求項2又は11記載のタッチパネル。
  16. 【請求項16】 ガラス基板が熱強化されており、約
    0.25dB/cm以下の減衰係数を有する請求項2又
    は11記載のタッチパネル。
  17. 【請求項17】 音響波がレイリー波である請求項1,
    2又は11記載のタッチパネル。
  18. 【請求項18】 ガラス基板が、水平偏波横波、高次の
    水平偏波横波、零次の水平偏波横波、またはラブ波を伝
    搬するのに適合している請求項1,2又は11記載のタ
    ッチパネル。
  19. 【請求項19】 タッチセンサが、少なくとも1つのタ
    ッチ表面を有し、音響波を伝搬可能な基板;この基板に
    おいて、前記タッチ表面に平行な第1の軸に沿って音響
    波を発生させるためのトランスデューサ;および前記第
    1の軸に沿って配置され、かつ所定長さを有する第1の
    反射アレーであって、このアレーの前記長さに沿って、
    第1の反射波を反射するため反射アレーであり、前記第
    1の反射波は、前記基板において、前記第1の軸とは異
    なる第2の軸に沿って方向指示されるとともに、前記表
    面に平行な成分を有しており、 前記基板への物体の近接が、前記第1の反射波が有する
    パワーに乱れを生じさせる請求項1,2又は11記載の
    タッチパネル。
  20. 【請求項20】 反射材料としてガラスフリットが存在
    する請求項19記載のタッチパネル。
  21. 【請求項21】 反射材料として、ガラスの焼きなまし
    温度より低い温度で硬化させた反射インキが存在する請
    求項19記載のタッチパネル。
  22. 【請求項22】 ガラス基板が、内層および外層を構成
    するガラスシートの積層体であり、外層が0.25dB
    /cm以下の減衰係数を有する請求項1又は2記載のタ
    ッチパネル。
  23. 【請求項23】 内層が強化ガラスである請求項22記
    載のタッチパネル。
  24. 【請求項24】 安全ガラス積層体において、内層およ
    び外層がともに強化ガラスである請求項22に記載のタ
    ッチパネル。
  25. 【請求項25】 外層が、6×10-6/K以上の熱膨張
    係数を有する請求項22記載のタッチパネル。
  26. 【請求項26】 内層が強化ソーダガラスである請求項
    22記載のタッチパネル。
  27. 【請求項27】 ガラス基板の表面に、防眩コーティン
    グを有する請求項1又は2記載のタッチパネル。
  28. 【請求項28】 ガラス基板が、フラット又は湾曲した
    形状を有する請求項1又は2記載のタッチパネル。
  29. 【請求項29】 接触位置に関する座標データを検知す
    るための音響波式タッチパネルを構成するためのガラス
    基板であって、主成分としてのSiO2 と追加の成分と
    を含み、5.53MHzのレイリー波につき、基板表面
    で、レイリー波の伝搬を支持するのに十分な厚さを有す
    る試験対象ガラスサンプルに対向する一対の0.5イン
    チ幅ウェッジトランスデューサを装着し、信号について
    振幅対距離のプロットの傾きによって測定したとき、減
    衰係数が約0.25dB/cm以下であるガラス基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001040923A1 (en) * 1999-12-03 2001-06-07 Touch Panel Systems K.K. Touch panel and information input device using the same
WO2001057638A1 (en) * 2000-01-31 2001-08-09 Touch Panel Systems K.K. Touch panel and method for using the same

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