JPH1156824A - 生体内の酸塩基平衡測定装置 - Google Patents
生体内の酸塩基平衡測定装置Info
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- JPH1156824A JPH1156824A JP9237678A JP23767897A JPH1156824A JP H1156824 A JPH1156824 A JP H1156824A JP 9237678 A JP9237678 A JP 9237678A JP 23767897 A JP23767897 A JP 23767897A JP H1156824 A JPH1156824 A JP H1156824A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 BEに代わる酸塩基平衡の新しい指標を見つ
けだし、それを求める。 【解決手段】 血液ガス分析装置で血漿中のPCO2と
pHを測定し、[H+]算出部10a,10vでpHから
[H+]を算出し、[H+]*算出部12a,12vでPCO
2から [H+]*=5.15×PCO2 0.545 によりPCO
2に依存する[H+]*を算出する。Δ[H+]算出部14a,
14vでは、算出された[H+]と[H+]*の差としてPC
O2に依存しない水素イオン濃度成分Δ[H+]を算出す
る。さらに、Δ[H+]較差算出部16は、静脈血と動脈
血の両方について求められたΔ[H+]vとΔ[H+]aとの差
としてΔ[H+]較差を求める。Δ[H+]とΔ[H+]較差は
生体内の酸塩基平衡を示す指標として医師により利用さ
れる。
けだし、それを求める。 【解決手段】 血液ガス分析装置で血漿中のPCO2と
pHを測定し、[H+]算出部10a,10vでpHから
[H+]を算出し、[H+]*算出部12a,12vでPCO
2から [H+]*=5.15×PCO2 0.545 によりPCO
2に依存する[H+]*を算出する。Δ[H+]算出部14a,
14vでは、算出された[H+]と[H+]*の差としてPC
O2に依存しない水素イオン濃度成分Δ[H+]を算出す
る。さらに、Δ[H+]較差算出部16は、静脈血と動脈
血の両方について求められたΔ[H+]vとΔ[H+]aとの差
としてΔ[H+]較差を求める。Δ[H+]とΔ[H+]較差は
生体内の酸塩基平衡を示す指標として医師により利用さ
れる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアシドーシス、アル
カローシスなどの生体内酸塩基平衡異常を示す指標とな
る値を、血液ガス分析装置により測定した血漿中の二酸
化炭素分圧PCO2及びpHを用いて算出する酸塩基平
衡測定装置に関するものである。
カローシスなどの生体内酸塩基平衡異常を示す指標とな
る値を、血液ガス分析装置により測定した血漿中の二酸
化炭素分圧PCO2及びpHを用いて算出する酸塩基平
衡測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体内でPCO2が上昇し、CO2の水和
反応が起こると、水素イオンH+、重炭酸イオンHCO3
-の両イオンが同時に生成される。PCO2が下降しHC
O3 -の脱水反応が起こると、H+,HCO3 -の両イオン
が同時に減少する。CO2の反応は主として赤血球内で
起こり、生成されるH+の約85%はヘモグロビンに含
まれるタンパク質イオンと結合して赤血球内に残る。一
方、重炭酸イオン濃度[HCO3 -]の約2/3は塩素イ
オンCl-と交換しながら赤血球から血漿内に移動す
る。血漿にはHCO3 -以外にH+と結合する緩衝イオン
NBB(non-bicarbonate buffer)の量(NBB)は少
なく、緩衝されるH+濃度も血漿では少ない。これに反
し、[HCO3 -]は赤血球内より血漿内の方が有意に高
い。すなわち、緩衝イオン濃度[NBB]と[HCO3 -]の
分布は血球と血漿では不均等となる。しかし、CO2の
反応以外の反応が無視できる場合(基準状態)には、赤
血球と血漿を含めた全血では[NBB]と[HCO3 -]
の変化高の総和は常に一定となる。そのため、密閉容器
内の全血中では[NBB]と[HCO3 -]の和、すなわ
ち緩衝イオン濃度(buffer base)[BB]は、PCO2
に無関係に定値をとる。
反応が起こると、水素イオンH+、重炭酸イオンHCO3
-の両イオンが同時に生成される。PCO2が下降しHC
O3 -の脱水反応が起こると、H+,HCO3 -の両イオン
が同時に減少する。CO2の反応は主として赤血球内で
起こり、生成されるH+の約85%はヘモグロビンに含
まれるタンパク質イオンと結合して赤血球内に残る。一
方、重炭酸イオン濃度[HCO3 -]の約2/3は塩素イ
オンCl-と交換しながら赤血球から血漿内に移動す
る。血漿にはHCO3 -以外にH+と結合する緩衝イオン
NBB(non-bicarbonate buffer)の量(NBB)は少
なく、緩衝されるH+濃度も血漿では少ない。これに反
し、[HCO3 -]は赤血球内より血漿内の方が有意に高
い。すなわち、緩衝イオン濃度[NBB]と[HCO3 -]の
分布は血球と血漿では不均等となる。しかし、CO2の
反応以外の反応が無視できる場合(基準状態)には、赤
血球と血漿を含めた全血では[NBB]と[HCO3 -]
の変化高の総和は常に一定となる。そのため、密閉容器
内の全血中では[NBB]と[HCO3 -]の和、すなわ
ち緩衝イオン濃度(buffer base)[BB]は、PCO2
に無関係に定値をとる。
【0003】しかし、代謝障害に伴って酸又は塩基が混
入すると、[BB]は定値から外れてくる。そのため、
正常な血液での[BB]値を基準にとり、血中に混入し
た酸又は塩基量を推定することが行われたこともあっ
た。全血の[BB]の基準値は代謝障害以外の要因の影
響も受け、誤差も大きくなる。そこで、最近は血液サン
プルの[HCO3 -]をPCO2=40mmHg、pH=
7.4の基準状態の[HCO3 -]値に変換するに要する
滴定酸又は塩基量(base excess:BE)を測定又は推
定し、それをもって酸塩基平衡の異常の指標としてい
る。
入すると、[BB]は定値から外れてくる。そのため、
正常な血液での[BB]値を基準にとり、血中に混入し
た酸又は塩基量を推定することが行われたこともあっ
た。全血の[BB]の基準値は代謝障害以外の要因の影
響も受け、誤差も大きくなる。そこで、最近は血液サン
プルの[HCO3 -]をPCO2=40mmHg、pH=
7.4の基準状態の[HCO3 -]値に変換するに要する
滴定酸又は塩基量(base excess:BE)を測定又は推
定し、それをもって酸塩基平衡の異常の指標としてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、後述す
るように、BEは酸塩基平衡の最適な指標とはいえない
ことがわかった。そこで、本発明は、BEに代わる酸塩
基平衡の新しい指標を見つけだし、それを求める装置を
提供することを目的とするものである。
るように、BEは酸塩基平衡の最適な指標とはいえない
ことがわかった。そこで、本発明は、BEに代わる酸塩
基平衡の新しい指標を見つけだし、それを求める装置を
提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】生体血漿内のH+濃度
[H+]は、PCO2に依存する成分[H+]*と依存しない
成分Δ[H+]より成り立っている。静脈血のPCO2が変
化して動脈血となっても、Δ[H+]は変わらない筈であ
る。すなわち、静脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]vと動脈
血のΔ[H+]であるΔ[H+]aの較差は、PCO2に無関
係に0となる。[H+]*としてPCO2のある関数を代入
し、実測の[H+]からその[H+]*を引いてΔ[H+]を計算
し、さらに、静動脈血間のΔ[H+]較差がPCO2較差に
無関係に0となる時には、その特定のPCO2の関数
は、[H+]のPCO2に依存する成分[H+]*と見做され得
る。
[H+]は、PCO2に依存する成分[H+]*と依存しない
成分Δ[H+]より成り立っている。静脈血のPCO2が変
化して動脈血となっても、Δ[H+]は変わらない筈であ
る。すなわち、静脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]vと動脈
血のΔ[H+]であるΔ[H+]aの較差は、PCO2に無関
係に0となる。[H+]*としてPCO2のある関数を代入
し、実測の[H+]からその[H+]*を引いてΔ[H+]を計算
し、さらに、静動脈血間のΔ[H+]較差がPCO2較差に
無関係に0となる時には、その特定のPCO2の関数
は、[H+]のPCO2に依存する成分[H+]*と見做され得
る。
【0006】老齢患者の静動脈血のPCO2及び[H+]の
関係を解析した結果、[H+]*=5.15×PCO2 0.545
が導かれた。Δ[H+]=0の状態は、従来通り、酸塩基
平衡の保たれている状態と見做され、Δ[H+]の値は酸
塩基平衡障害の程度を定量するのに用いられることが明
らかになった。
関係を解析した結果、[H+]*=5.15×PCO2 0.545
が導かれた。Δ[H+]=0の状態は、従来通り、酸塩基
平衡の保たれている状態と見做され、Δ[H+]の値は酸
塩基平衡障害の程度を定量するのに用いられることが明
らかになった。
【0007】すなわち、本発明は、図1に主要部が示さ
れるように、静脈血と動脈血の少なくとも一方につい
て、血漿中の二酸化炭素分圧PCO2及びpHを測定す
る血液ガス分析装置(ここでは図示略)と、pHから水
素イオン濃度[H+]を算出する[H+]算出部(10a又
は10v)と、PCO2から次の式 [H+]*=5.15×PCO2 0.545 によりPCO2に依存する水素イオン濃度[H+]*を算出
する[H+]*算出部(12a又は12v)と、算出された
[H+]と[H+]*の差としてPCO2に依存しない水素イオ
ン濃度成分Δ[H+]を算出するΔ[H+]算出部(14a又
は14v)と、Δ[H+]算出結果を出力する出力部(図
示略)を備えている。
れるように、静脈血と動脈血の少なくとも一方につい
て、血漿中の二酸化炭素分圧PCO2及びpHを測定す
る血液ガス分析装置(ここでは図示略)と、pHから水
素イオン濃度[H+]を算出する[H+]算出部(10a又
は10v)と、PCO2から次の式 [H+]*=5.15×PCO2 0.545 によりPCO2に依存する水素イオン濃度[H+]*を算出
する[H+]*算出部(12a又は12v)と、算出された
[H+]と[H+]*の差としてPCO2に依存しない水素イオ
ン濃度成分Δ[H+]を算出するΔ[H+]算出部(14a又
は14v)と、Δ[H+]算出結果を出力する出力部(図
示略)を備えている。
【0008】さらに、他の指標も得るための態様では、
本発明は静脈血と動脈血の両方についてそれぞれΔ
[H+]を算出し、静脈血でのΔ[H+]vと動脈血でのΔ[H
+]aとの差であるΔ[H+]較差を次の式 Δ[H+]較差=Δ[H+]v−Δ[H+]a として算出するΔ[H+]較差算出部(16)を更に備
え、出力部はそのΔ[H+]較差算出結果も出力するよう
になっている。
本発明は静脈血と動脈血の両方についてそれぞれΔ
[H+]を算出し、静脈血でのΔ[H+]vと動脈血でのΔ[H
+]aとの差であるΔ[H+]較差を次の式 Δ[H+]較差=Δ[H+]v−Δ[H+]a として算出するΔ[H+]較差算出部(16)を更に備
え、出力部はそのΔ[H+]較差算出結果も出力するよう
になっている。
【0009】70−98才の老齢患者115名の動脈血
のPCO2とHCO3 -イオン濃度[HCO3 -]の平均値を
求めた。図2はPCO2の平均値に対する[HCO3 -]の
平均値の分布である。破線はその分布の回歸曲線を示
す。CO2の水和、脱水反応の平衡後の[H+](nmol/
l)、[HCO3 -](mmol/l)、PCO2(mmHg)の関係は、
K'を解離恒数、sをCO2の溶解度とすると、下記のHe
ndersonの式で表現される。
のPCO2とHCO3 -イオン濃度[HCO3 -]の平均値を
求めた。図2はPCO2の平均値に対する[HCO3 -]の
平均値の分布である。破線はその分布の回歸曲線を示
す。CO2の水和、脱水反応の平衡後の[H+](nmol/
l)、[HCO3 -](mmol/l)、PCO2(mmHg)の関係は、
K'を解離恒数、sをCO2の溶解度とすると、下記のHe
ndersonの式で表現される。
【0010】しかし、[HCO3 -]の平均値とH+濃度
[H+]の平均値とは必ずしもHendersonの式を満足しな
い。そこで、[HCO3 -]の平均値をPCO2の平均値と
ともにHendersonの式に代入して[H+]を算出して、その
値を[H+]の平均値と見做した。図3はその算出された
[H+]平均値のPCO2に対する分布を示したものであ
る。図3の破線の[H+]は、図2の回帰線の[HCO3 -]
とPCO2を同時にHendersonの式に代入し、計算により
求めたものである。
[H+]の平均値とは必ずしもHendersonの式を満足しな
い。そこで、[HCO3 -]の平均値をPCO2の平均値と
ともにHendersonの式に代入して[H+]を算出して、その
値を[H+]の平均値と見做した。図3はその算出された
[H+]平均値のPCO2に対する分布を示したものであ
る。図3の破線の[H+]は、図2の回帰線の[HCO3 -]
とPCO2を同時にHendersonの式に代入し、計算により
求めたものである。
【0011】次に、個々の[HCO3 -]、[H+]につい
て、それぞれの回帰線よりの偏差Δ[HCO3 -]、Δ
[H+]を図2及び図3より求め、その相関を図4に示し
た。Δ[H+]、Δ[HCO3 -]の原点周囲の例数は一部省
略してあるが、Δ[HCO3 -]/Δ[H+]の勾配はほぼ一
定であった。
て、それぞれの回帰線よりの偏差Δ[HCO3 -]、Δ
[H+]を図2及び図3より求め、その相関を図4に示し
た。Δ[H+]、Δ[HCO3 -]の原点周囲の例数は一部省
略してあるが、Δ[HCO3 -]/Δ[H+]の勾配はほぼ一
定であった。
【0012】[H+]−[HCO3 -]面上の、PCO2が一
定となる点の軌跡は双曲線を描く。図5に、異なった3
つのPCO2における[HCO3 -]と[H+]の関係を示
す。同じPCO2の双曲線上にA,Bの2点をとる。A
点の座標を([H+]*,[HCO3 -]*)、B点の座標を
([H+]*+Δ[H+],[HCO3 -]*+Δ[HCO3 -])とす
ると、二つの座標間にはHendersonの式から次の(1)
式の平衡関係が成立する。 [H+]*・[HCO3 -]* =([H+]*+Δ[H+])([HCO3 -]*+Δ[HCO3 -]) (1)
定となる点の軌跡は双曲線を描く。図5に、異なった3
つのPCO2における[HCO3 -]と[H+]の関係を示
す。同じPCO2の双曲線上にA,Bの2点をとる。A
点の座標を([H+]*,[HCO3 -]*)、B点の座標を
([H+]*+Δ[H+],[HCO3 -]*+Δ[HCO3 -])とす
ると、二つの座標間にはHendersonの式から次の(1)
式の平衡関係が成立する。 [H+]*・[HCO3 -]* =([H+]*+Δ[H+])([HCO3 -]*+Δ[HCO3 -]) (1)
【0013】A点とB点が接近して、Δ[H+]が0に近
くなると、[HCO3 -]*/[H+]*の比は、(2)式に示
すように、Δ[HCO3 -]/Δ[H+]の勾配と正負対称的
な値となる。 [HCO3 -]*/[H+]*=−Δ[HCO3 -]/Δ[H+] (2) 図4に示されるように、正常な血液ではΔ[HCO3 -]/
Δ[H+]の勾配はほぼ一定であるので、[HCO3 -]*/
[H+]*も正常な血液では一定になると考得られた。[H
CO3 -]*/[H+]*比が一定となるときには、[H+]*、
[HCO3 -]*、は共にHendersonの式により、PCO2の
平方根に比例する式で与えられる。また、図6に示され
るように、正常静脈血の[H+]*/[HCO3 -]*は、30
−60mmHgのPCO2の範囲で、1.53×10-6を中心
とした狭い範囲に分布していた。
くなると、[HCO3 -]*/[H+]*の比は、(2)式に示
すように、Δ[HCO3 -]/Δ[H+]の勾配と正負対称的
な値となる。 [HCO3 -]*/[H+]*=−Δ[HCO3 -]/Δ[H+] (2) 図4に示されるように、正常な血液ではΔ[HCO3 -]/
Δ[H+]の勾配はほぼ一定であるので、[HCO3 -]*/
[H+]*も正常な血液では一定になると考得られた。[H
CO3 -]*/[H+]*比が一定となるときには、[H+]*、
[HCO3 -]*、は共にHendersonの式により、PCO2の
平方根に比例する式で与えられる。また、図6に示され
るように、正常静脈血の[H+]*/[HCO3 -]*は、30
−60mmHgのPCO2の範囲で、1.53×10-6を中心
とした狭い範囲に分布していた。
【0014】その結果より、 [H+]*=6.11・PCO2 0.5(neq/liter) (3) [HCO3 -]*=4.0・PCO2 0.5(neq/liter) (4) と仮定し、Δ[H+]、Δ[HCO3 -]の解析を始めた。5
7名の老齢患者の動静脈血を同時に採血し、PCO2、
pHを測定して[H+]、[HCO3 -]を計算した。89例
の測定値を用いて、(3),(4)式より[H+]*、[HCO
3 -]*を算出し、それぞれの実測値より[H+]*、[HCO
3 -]*を差し引き、Δ[H+]、Δ[HCO3 -]を求め、動静
脈血間での相関を検討した。[H+]*、[HCO3 -]*に代
入すべきPCO2の関数の指数、及び、回帰線の傾斜等
は有意な変化を示さず、[H+]*の近似度を高めることは
出来なかった。しかし、静脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]
vから動脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]aを差し引き、更
に、PCO2の静動脈血間較差に対して図示したとこ
ろ、回帰線の傾斜は、[H+]*を示すPCO2の関数の指
数、及び、係数の値によって敏感に影響されることが分
かった。
7名の老齢患者の動静脈血を同時に採血し、PCO2、
pHを測定して[H+]、[HCO3 -]を計算した。89例
の測定値を用いて、(3),(4)式より[H+]*、[HCO
3 -]*を算出し、それぞれの実測値より[H+]*、[HCO
3 -]*を差し引き、Δ[H+]、Δ[HCO3 -]を求め、動静
脈血間での相関を検討した。[H+]*、[HCO3 -]*に代
入すべきPCO2の関数の指数、及び、回帰線の傾斜等
は有意な変化を示さず、[H+]*の近似度を高めることは
出来なかった。しかし、静脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]
vから動脈血のΔ[H+]であるΔ[H+]aを差し引き、更
に、PCO2の静動脈血間較差に対して図示したとこ
ろ、回帰線の傾斜は、[H+]*を示すPCO2の関数の指
数、及び、係数の値によって敏感に影響されることが分
かった。
【0015】図7(A)は、図中の[H+]*の式((3)
式)を用いて求めた(Δ[H+]v−Δ[H+]a)の値を
(PvCO2−PaCO2)に対して示したもので、回帰
線の傾斜は右方向に向かって上昇している。図7(B)
は、in vitroで求めた[H+]*の関数を用いて、同様の分
布を示したもので、回帰線の傾斜は逆に下降している。
点線は、回帰線を中心にした偏差SDを示しており、共
に0.57meq/literであった。この結果、(Δ[H+]v
−Δ[H+]a)の回帰線が、(PvCO2−PaCO2)
に無関係に0になる条件は、PCO2の関数の冪数が0.
5と0.637の間にあることと推測される。更に、試
行錯誤の操作を続けた結果、図8(A)に示すように、 [H+]*=5.15・PCO2 0.545 (5) と置いたとき、横軸と一致する回帰線が得られた。次に
この[H+]*をHendersonの式に代入すると、 [HCO3 -]*=4.75・PCO2 0.455 (6) が得られる。この[HCO3 -]*を用いて得られるΔ[H
CO3 -]は、図8(B)の回帰線の示すように、PCO2
の影響を受ける。すなわちΔ[H+]と[HCO3 -]*とは同
時にPCO2に依存しない成分と成ることはできない。
式)を用いて求めた(Δ[H+]v−Δ[H+]a)の値を
(PvCO2−PaCO2)に対して示したもので、回帰
線の傾斜は右方向に向かって上昇している。図7(B)
は、in vitroで求めた[H+]*の関数を用いて、同様の分
布を示したもので、回帰線の傾斜は逆に下降している。
点線は、回帰線を中心にした偏差SDを示しており、共
に0.57meq/literであった。この結果、(Δ[H+]v
−Δ[H+]a)の回帰線が、(PvCO2−PaCO2)
に無関係に0になる条件は、PCO2の関数の冪数が0.
5と0.637の間にあることと推測される。更に、試
行錯誤の操作を続けた結果、図8(A)に示すように、 [H+]*=5.15・PCO2 0.545 (5) と置いたとき、横軸と一致する回帰線が得られた。次に
この[H+]*をHendersonの式に代入すると、 [HCO3 -]*=4.75・PCO2 0.455 (6) が得られる。この[HCO3 -]*を用いて得られるΔ[H
CO3 -]は、図8(B)の回帰線の示すように、PCO2
の影響を受ける。すなわちΔ[H+]と[HCO3 -]*とは同
時にPCO2に依存しない成分と成ることはできない。
【0016】静脈血と動脈血のΔ[H+]が等しい時に
は、実測の[H+]の静動脈血間較差、([H+]v−[H+]
a)は、当然([H+]*v−[H+]*a)と等しく成る筈で
ある。この関係を示したものが図9である。相関係数は
0.978、回帰線の傾斜は0.958で、恒等線(iden
titiy line、実線)の傾斜より低い。各測定点の回帰線
よりの偏差(SD)は0.55neq/literであり、回帰線
と恒等線の間の差異は有意義ではなかった。図10は、
Δ[H+]aをΔ[H+]vに対して図示したもので、相関係
数は0.978、回帰線の傾斜は0.956、又、各分布
点の回帰線よりの偏差(SD)は0.53neq/literで、
Δ[H+]vとΔ[H+]aの間には有意差は認められていな
い。図11は、Δ[HCO3 -]aをΔ[HCO3 -]vに対し
て図示したものである。相関係数は0.993、回帰線
の傾斜は0.981、又、回帰線周囲の分布巾はSDで
0.41meq/literで、静動脈血間のΔ[HCO3 -]にも有
意差は認められていない。
は、実測の[H+]の静動脈血間較差、([H+]v−[H+]
a)は、当然([H+]*v−[H+]*a)と等しく成る筈で
ある。この関係を示したものが図9である。相関係数は
0.978、回帰線の傾斜は0.958で、恒等線(iden
titiy line、実線)の傾斜より低い。各測定点の回帰線
よりの偏差(SD)は0.55neq/literであり、回帰線
と恒等線の間の差異は有意義ではなかった。図10は、
Δ[H+]aをΔ[H+]vに対して図示したもので、相関係
数は0.978、回帰線の傾斜は0.956、又、各分布
点の回帰線よりの偏差(SD)は0.53neq/literで、
Δ[H+]vとΔ[H+]aの間には有意差は認められていな
い。図11は、Δ[HCO3 -]aをΔ[HCO3 -]vに対し
て図示したものである。相関係数は0.993、回帰線
の傾斜は0.981、又、回帰線周囲の分布巾はSDで
0.41meq/literで、静動脈血間のΔ[HCO3 -]にも有
意差は認められていない。
【0017】(分析結果の検討)正常血漿のpHがlog
PCO2に対して直線的な関係にあることは周知の事実
である。[H+]*=5.15・PCO2 0.545の対数を求
め、正負の符号を逆にすると、直ちにpH=8.288
−0.545・logPCO2、が得られる。図12は、こ
の関係に添えて、in vitroに於ける酸素化血、及び、脱
酸素化血のpHとlogPCO2の関係を示している。PC
O2=40mmHg近傍ではin vivoのpHはin vitroの二本
の線の中間に位置し、傾斜は緩くなっている。図8に示
したように[H+]*、[HCO3 -]*共に、PCO2の指数
関数で与えられるので、 [HCO3 -]*/[H+]*=0.922・PCO2 -0.09×106 (7) [H+]*/[HCO3 -]*=1.05PCO2 0.09×10-6 (8) となる。図13はそれらの比のPCO2に対する関係を
示したもので、後者の値は、30mmHg−60mmH
gのPCO2の範囲内では、1.5×10-6の周囲に位置
し、正常静脈血での測定値とよく符号している(Oxygen
Transport to Tissue XVIII, 55-64, 1995参照)。
PCO2に対して直線的な関係にあることは周知の事実
である。[H+]*=5.15・PCO2 0.545の対数を求
め、正負の符号を逆にすると、直ちにpH=8.288
−0.545・logPCO2、が得られる。図12は、こ
の関係に添えて、in vitroに於ける酸素化血、及び、脱
酸素化血のpHとlogPCO2の関係を示している。PC
O2=40mmHg近傍ではin vivoのpHはin vitroの二本
の線の中間に位置し、傾斜は緩くなっている。図8に示
したように[H+]*、[HCO3 -]*共に、PCO2の指数
関数で与えられるので、 [HCO3 -]*/[H+]*=0.922・PCO2 -0.09×106 (7) [H+]*/[HCO3 -]*=1.05PCO2 0.09×10-6 (8) となる。図13はそれらの比のPCO2に対する関係を
示したもので、後者の値は、30mmHg−60mmH
gのPCO2の範囲内では、1.5×10-6の周囲に位置
し、正常静脈血での測定値とよく符号している(Oxygen
Transport to Tissue XVIII, 55-64, 1995参照)。
【0018】[H+]*とPCO2をHendersonの式に代入す
れば、[HCO3 -]*は容易に算出される。図14はin v
ivoの[HCO3 -]*に対する関係(緩衝線)をin vitro
の酸素化血、及び、脱酸素化血の緩衝線と共に図示した
ものである(Jpn. J. Physiol. 33, 601-618, 1983 参
照)。in vivoでの緩衝線の勾配は、in vitro
の緩衝線の勾配の約1.5倍になっている。PCO2の上
昇に伴い、pHが減少すると、in vivoの[HCO3 -]は
in vitroの[HCO3 -]より高くなり、PCO2が降下、
pHが増大すると、in vivoの[HCO3 -]はin vitroの
[HCO3 -]の値より低くなる。緩衝線の傾斜を緩衝価
(buffer value、β)と呼んでいる。計算される緩衝線
は直線ではなく、β値はPCO2の関数となる。図15
は、任意のpHと7.4のpHの間に於ける[HCO3 -]
*の勾配(β)をPCO2に対して図示したもので、in v
ivitroの値は、酸素化血で約30meq/l/pHであるのに、
in vivoでは約50meq/l/pHと大きくなっている。
れば、[HCO3 -]*は容易に算出される。図14はin v
ivoの[HCO3 -]*に対する関係(緩衝線)をin vitro
の酸素化血、及び、脱酸素化血の緩衝線と共に図示した
ものである(Jpn. J. Physiol. 33, 601-618, 1983 参
照)。in vivoでの緩衝線の勾配は、in vitro
の緩衝線の勾配の約1.5倍になっている。PCO2の上
昇に伴い、pHが減少すると、in vivoの[HCO3 -]は
in vitroの[HCO3 -]より高くなり、PCO2が降下、
pHが増大すると、in vivoの[HCO3 -]はin vitroの
[HCO3 -]の値より低くなる。緩衝線の傾斜を緩衝価
(buffer value、β)と呼んでいる。計算される緩衝線
は直線ではなく、β値はPCO2の関数となる。図15
は、任意のpHと7.4のpHの間に於ける[HCO3 -]
*の勾配(β)をPCO2に対して図示したもので、in v
ivitroの値は、酸素化血で約30meq/l/pHであるのに、
in vivoでは約50meq/l/pHと大きくなっている。
【0019】(Base Excess(BE)の評価)[HCO3
-]の実測値よりpH=7.4の時の[HCO3 -]*を引
き、更に、(pH−7.4)にβを掛けた値を差し引い
た値は血漿のBase Excessであり、酸塩基平衡異常の評
価に用いられてきた。pH=7.4の時in vivoの[HC
O3 -]*は26.2meq/literとなるので、BEは、図16
の上部に示した式で計算される。β値の計算式からも推
察されるように、[HCO3 -]が[HCO3 -]*となり、
Δ[HCO3 -]が0となる状態では、BEも0になる。
又、[HCO3 -]の変化とpHの変化は正負逆向きにな
るので、BEの方がΔ[HCO3 -]よりも大きくなる。図
16は、動脈血のBEであるBEaを静脈血のBEであ
るBEaに対して図示したもので、相関係数は0.99
3、回帰線は恒等線と重なっており、回帰線周囲の分布
巾はSDで0.73meq/literであった。
-]の実測値よりpH=7.4の時の[HCO3 -]*を引
き、更に、(pH−7.4)にβを掛けた値を差し引い
た値は血漿のBase Excessであり、酸塩基平衡異常の評
価に用いられてきた。pH=7.4の時in vivoの[HC
O3 -]*は26.2meq/literとなるので、BEは、図16
の上部に示した式で計算される。β値の計算式からも推
察されるように、[HCO3 -]が[HCO3 -]*となり、
Δ[HCO3 -]が0となる状態では、BEも0になる。
又、[HCO3 -]の変化とpHの変化は正負逆向きにな
るので、BEの方がΔ[HCO3 -]よりも大きくなる。図
16は、動脈血のBEであるBEaを静脈血のBEであ
るBEaに対して図示したもので、相関係数は0.99
3、回帰線は恒等線と重なっており、回帰線周囲の分布
巾はSDで0.73meq/literであった。
【0020】酸素化血のin vitroでの[HCO3 -]*は、
pH=7.4の時、25.05meq/literとなり、酸素化
血の緩衝価を用いると、BEは図16と同様に計算され
る。この時のBEは、in vivoの緩衝価を用いたときよ
り平均して0.68meq高く、又、静脈血のBEは動脈血
のBEより平均して、0.55meq高くなっている。静動
脈血間のBEの相関係数は0.991で、緩衝価の差異
による影響は相関係数には殆ど見られない。図17は、
静動脈血のBE較差(BEv−BEa)をPCO2較差
(PvCO2−PaCO2)に対して図示したものであ
る。図17(A)のBEは、in vivoの緩衝価を用いて
計算し、また図17(B)のBEはin vitroでの酸素化
血の緩衝価を用いて計算してある。Aの場合には、回帰
線の勾配はPCO2較差の増大に伴って、減少している
のに、Bの場合には、上昇しており、in vitroの緩衝価
の低すぎることを示唆している。
pH=7.4の時、25.05meq/literとなり、酸素化
血の緩衝価を用いると、BEは図16と同様に計算され
る。この時のBEは、in vivoの緩衝価を用いたときよ
り平均して0.68meq高く、又、静脈血のBEは動脈血
のBEより平均して、0.55meq高くなっている。静動
脈血間のBEの相関係数は0.991で、緩衝価の差異
による影響は相関係数には殆ど見られない。図17は、
静動脈血のBE較差(BEv−BEa)をPCO2較差
(PvCO2−PaCO2)に対して図示したものであ
る。図17(A)のBEは、in vivoの緩衝価を用いて
計算し、また図17(B)のBEはin vitroでの酸素化
血の緩衝価を用いて計算してある。Aの場合には、回帰
線の勾配はPCO2較差の増大に伴って、減少している
のに、Bの場合には、上昇しており、in vitroの緩衝価
の低すぎることを示唆している。
【0021】BEとΔ[HCO3 -]の間には高い相関があ
り、相関係数は0.998、回帰線は図18の双曲線で
示された。一方、図19で示すように、Δ[HCO3 -]は
Δ[H+]に対して双曲線的な関係を持っており、その
上、PCO2に無関係ではない。従って、Δ[HC
O3 -]、又は、BEは、Δ[H+]と比較して考えると、酸
塩基平衡異常の最適の指標とは言えない。
り、相関係数は0.998、回帰線は図18の双曲線で
示された。一方、図19で示すように、Δ[HCO3 -]は
Δ[H+]に対して双曲線的な関係を持っており、その
上、PCO2に無関係ではない。従って、Δ[HC
O3 -]、又は、BEは、Δ[H+]と比較して考えると、酸
塩基平衡異常の最適の指標とは言えない。
【0022】([H+]*の応用)従来、酸塩基平衡状態の
正常範囲は曖昧であった。併し、[H+]*が特定のPCO
2の指数関数で示されるようになった結果、[H+]*周囲
の偏差巾(Δ[H+])を決めれば、正常領域は規定され
る。図20は、Δ[H+]が±1meq/literの範囲内にある
正常血漿での、Strong Ion Difference(SID=[Na
+]+[K+]−[Cl-])と[HCO3 -]のPCO2に対する
関係を図示したものである。SIDの分散はかなり大き
いが、SIDのPCO2に対する分布が[HCO3 -]のそ
れとほぼ平行関係にあることが分かる。以前は、正常被
験者を規定するのに複雑な操作を必要とし、簡単に比較
はできなかった。図21は、SIDから[HCO3 -]*を
差し引いた値、即ち、Anion Gap(AG)に対する関係
を示している。回帰線は、右下の実験式で示すように、
[H+]*に対し減少傾向を示している。右辺括弧内第2項
の分母の値、160nM/literは血漿蛋白のイオン化活性
アミノ酸の解離恒数に相当し、Tanford, C.(1955)によ
って報告されている値とよく一致している。この結果を
勘案すると、[HCO3 -]*がin vivoとin vitroで異な
ること(図12参照)の原因は、in vivoでは毛細管壁
を通してイオンの移動が起こり、血漿内での電解質の平
行過程に関与するからであると思われる。
正常範囲は曖昧であった。併し、[H+]*が特定のPCO
2の指数関数で示されるようになった結果、[H+]*周囲
の偏差巾(Δ[H+])を決めれば、正常領域は規定され
る。図20は、Δ[H+]が±1meq/literの範囲内にある
正常血漿での、Strong Ion Difference(SID=[Na
+]+[K+]−[Cl-])と[HCO3 -]のPCO2に対する
関係を図示したものである。SIDの分散はかなり大き
いが、SIDのPCO2に対する分布が[HCO3 -]のそ
れとほぼ平行関係にあることが分かる。以前は、正常被
験者を規定するのに複雑な操作を必要とし、簡単に比較
はできなかった。図21は、SIDから[HCO3 -]*を
差し引いた値、即ち、Anion Gap(AG)に対する関係
を示している。回帰線は、右下の実験式で示すように、
[H+]*に対し減少傾向を示している。右辺括弧内第2項
の分母の値、160nM/literは血漿蛋白のイオン化活性
アミノ酸の解離恒数に相当し、Tanford, C.(1955)によ
って報告されている値とよく一致している。この結果を
勘案すると、[HCO3 -]*がin vivoとin vitroで異な
ること(図12参照)の原因は、in vivoでは毛細管壁
を通してイオンの移動が起こり、血漿内での電解質の平
行過程に関与するからであると思われる。
【0023】
【実施例】図22に実施例を示す。血液ガス分析装置2
は血漿中の二酸化炭素分圧PCO2とpHを少なくとも
測定できるものであり、例えばコーニング188(チバ
・コーニング・ダイヤグノスチックス社)を用いること
ができる。その血液ガス分析装置は、他にもナトリウム
イオン濃度[Na+]、カリウムイオン濃度[K+]及び塩素
イオン濃度[Cl-]も測定することができる。血液ガス
分析装置2による測定データを処理するためのデータ処
理装置として例えばパーソナルコンピュータ30を利用
することができる。図1における[H+]算出部10a,
10v、[H+]*算出部12a,12v、Δ[H+]算出部
14a,14v及びΔ[H+]較差算出部16、さらには
Δ[H+]やΔ[H+]較差の算出結果を出力する出力部はパ
ーソナルコンピュータ30により実現されたものであ
る。
は血漿中の二酸化炭素分圧PCO2とpHを少なくとも
測定できるものであり、例えばコーニング188(チバ
・コーニング・ダイヤグノスチックス社)を用いること
ができる。その血液ガス分析装置は、他にもナトリウム
イオン濃度[Na+]、カリウムイオン濃度[K+]及び塩素
イオン濃度[Cl-]も測定することができる。血液ガス
分析装置2による測定データを処理するためのデータ処
理装置として例えばパーソナルコンピュータ30を利用
することができる。図1における[H+]算出部10a,
10v、[H+]*算出部12a,12v、Δ[H+]算出部
14a,14v及びΔ[H+]較差算出部16、さらには
Δ[H+]やΔ[H+]較差の算出結果を出力する出力部はパ
ーソナルコンピュータ30により実現されたものであ
る。
【0024】
【発明の効果】本発明では血液ガス分析装置によりpH
とPCO2を測定し、pHから水素イオン濃度[H+]を
算出し、PCO2からPCO2に依存する水素イオン濃度
[H+]*を算出し、算出された[H+]と[H+]*の差として
PCO2に依存しない水素イオン濃度成分Δ[H+]を算出
して出力するようにしたので、医師はその出力されたΔ
[H+]を指標として生体内の酸塩基平衡異常を容易に判
定することができるようになる。本発明でさらに、静脈
血と動脈血の両方についてそれぞれΔ[H+]を算出し、
その差としてΔ[H+]較差を算出して出力するようにす
れば、Δ[H+]較差も指標として生体内の酸塩基平衡異
常を容易に判定することができるようになる。
とPCO2を測定し、pHから水素イオン濃度[H+]を
算出し、PCO2からPCO2に依存する水素イオン濃度
[H+]*を算出し、算出された[H+]と[H+]*の差として
PCO2に依存しない水素イオン濃度成分Δ[H+]を算出
して出力するようにしたので、医師はその出力されたΔ
[H+]を指標として生体内の酸塩基平衡異常を容易に判
定することができるようになる。本発明でさらに、静脈
血と動脈血の両方についてそれぞれΔ[H+]を算出し、
その差としてΔ[H+]較差を算出して出力するようにす
れば、Δ[H+]較差も指標として生体内の酸塩基平衡異
常を容易に判定することができるようになる。
【図1】本発明を示すブロック図である。
【図2】115名の老齢患者の動脈血のPCO2と[H
CO3 -]の各平均値の関係を示す図である。
CO3 -]の各平均値の関係を示す図である。
【図3】図1のPCO2と[HCO3 -]の値をHenderson
の式に代入して求めた[H+]のPCO2に対する分布を示
す図である。
の式に代入して求めた[H+]のPCO2に対する分布を示
す図である。
【図4】PCO2に対する[HCO3 -]と[H+]の分布点
のそれぞれの回帰線よりの偏差Δ[HCO3 -]及びΔ
[H+]の関係を示す図である。
のそれぞれの回帰線よりの偏差Δ[HCO3 -]及びΔ
[H+]の関係を示す図である。
【図5】異なった3つのPCO2における[HCO3 -]と
[H+]の関係を示す図である。
[H+]の関係を示す図である。
【図6】正常静脈血のPCO2に対する[H+]/[HCO
3 -]を示す図である。
3 -]を示す図である。
【図7】(A)は[H+]*=6.11・PCO2 0.5と置い
たときのΔ[H+]の静動脈較差のPCO2較差に対する関
係を示す図、(B)はin vitroの[H+]*を用いて求めた
(Δ[H+]v−Δ[H+]a)と(PvCO2−PaCO2)
の関係を示す図である。
たときのΔ[H+]の静動脈較差のPCO2較差に対する関
係を示す図、(B)はin vitroの[H+]*を用いて求めた
(Δ[H+]v−Δ[H+]a)と(PvCO2−PaCO2)
の関係を示す図である。
【図8】(A)は[H+]*=5.15PCO2 0.545と置い
たときの(Δ[H+]v−Δ[H+]a)と(PvCO2−P
aCO2)の関係を示す図、(B)は[HCO3 -]*=4.
75PCO2 0.455に於ける(Δ[HCO3 -]v−Δ[HC
O3 -]a)とPCO2格差の関係を示す図である。
たときの(Δ[H+]v−Δ[H+]a)と(PvCO2−P
aCO2)の関係を示す図、(B)は[HCO3 -]*=4.
75PCO2 0.455に於ける(Δ[HCO3 -]v−Δ[HC
O3 -]a)とPCO2格差の関係を示す図である。
【図9】[H+]*=5.15PCO2・0.545と置いたとき
の([H+]*v−[H+]*a)と([H+]v−[H+]a)の関
係を示す図である。
の([H+]*v−[H+]*a)と([H+]v−[H+]a)の関
係を示す図である。
【図10】図9と同じ[H+]*を用いたときのΔ[H+]a
のΔ[H+]vに対する分布を示す図である。
のΔ[H+]vに対する分布を示す図である。
【図11】[HCO3 -]*=4.75PCO2 0.455と置い
たときのΔ[HCO3 -]aのΔ[HCO3 -]vに対する分布
を示す図である。
たときのΔ[HCO3 -]aのΔ[HCO3 -]vに対する分布
を示す図である。
【図12】生体内血漿及びin vitroの酸素化血、脱酸素
化血のpH*とlogPCO2の関係を示す図である。
化血のpH*とlogPCO2の関係を示す図である。
【図13】[HCO3 -]*/[H+]*及びその逆数のPCO
2に対する関係を示す図である。
2に対する関係を示す図である。
【図14】生体内血漿、酸素化血、脱酸素化血のpH*
に対する[HCO3 -]*の関係を示す図である。
に対する[HCO3 -]*の関係を示す図である。
【図15】生体内血漿、酸素化血、脱酸素化血の緩衝価
のPCO2に対する関係を示す図である。
のPCO2に対する関係を示す図である。
【図16】動脈血内Base Excess(BEa)の静脈血内B
Evに対する分布を示す図である。
Evに対する分布を示す図である。
【図17】(A)はin vivoの緩衝価を用いて計算した静
動脈血間BE較差のPCO2較差に対する関係を示す
図、(B)は酸素化血の緩衝価を用いて計算した静動脈
血間BE較差のPCO2較差に対する関係を示す図であ
る。
動脈血間BE較差のPCO2較差に対する関係を示す
図、(B)は酸素化血の緩衝価を用いて計算した静動脈
血間BE較差のPCO2較差に対する関係を示す図であ
る。
【図18】生体内血漿の緩衝価を用いて求めたBEのΔ
[HCO3 -]に対する回帰線を示す図である。
[HCO3 -]に対する回帰線を示す図である。
【図19】[H+]*=5.15PCO2 0.545と置いたとき
のΔ[HCO3 -]とΔ[H+]の関係を示す図である。
のΔ[HCO3 -]とΔ[H+]の関係を示す図である。
【図20】正常血漿に於けるSID(=[Na+]+[K+]
−[Cl-])と[HCO3 -]のPCO2に対する分布を示
す図である。
−[Cl-])と[HCO3 -]のPCO2に対する分布を示
す図である。
【図21】図20のSIDから[HCO3 -]*を差し引い
て求めたAnion Gap(AG)の[H+]*に対する分布を示
す図である。
て求めたAnion Gap(AG)の[H+]*に対する分布を示
す図である。
【図22】一実施例を示す概略正面図である。
2 血液ガス分析装置 10a,10v [H+]算出部 12a,12v [H+]*算出部 14a,14v Δ[H+]算出部 16 Δ[H+]較差算出部
Claims (2)
- 【請求項1】 静脈血と動脈血の少なくとも一方につい
て、血漿中の二酸化炭素分圧PCO2及びpHを測定す
る血液ガス分析装置と、 pHから水素イオン濃度[H+]を算出する[H+]算出部
と、 PCO2から次の式 [H+]*=5.15×PCO2 0.545 によりPCO2に依存する水素イオン濃度[H+]*を算出
する[H+]*算出部と、 算出された[H+]と[H+]*の差としてPCO2に依存しな
い水素イオン濃度成分Δ[H+]を算出するΔ[H+]算出部
と、 Δ[H+]算出結果を出力する出力部とを備えたことを特
徴とする生体内の酸塩基平衡測定装置。 - 【請求項2】 静脈血と動脈血の両方についてそれぞれ
Δ[H+]を算出し、静脈血でのΔ[H+]vと動脈血でのΔ
[H+]aとの差であるΔ[H+]較差を次の式 Δ[H+]較差=Δ[H+]v−Δ[H+]a として算出するΔ[H+]較差算出部を更に備え、前記出
力部はΔ[H+]較差算出結果も出力するようにした請求
項1に記載の生体内の酸塩基平衡測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9237678A JPH1156824A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | 生体内の酸塩基平衡測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9237678A JPH1156824A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | 生体内の酸塩基平衡測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1156824A true JPH1156824A (ja) | 1999-03-02 |
Family
ID=17018892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9237678A Pending JPH1156824A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | 生体内の酸塩基平衡測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1156824A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7291502B2 (en) | 2006-03-15 | 2007-11-06 | Franco Wayne P | Method for performing a non-invasive blood gas test |
JP2016194852A (ja) * | 2015-04-01 | 2016-11-17 | 愛郎 梅枝 | 診断支援プログラム |
-
1997
- 1997-08-18 JP JP9237678A patent/JPH1156824A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7291502B2 (en) | 2006-03-15 | 2007-11-06 | Franco Wayne P | Method for performing a non-invasive blood gas test |
US7662632B2 (en) | 2006-03-15 | 2010-02-16 | Franco Wayne P | Method for performing a non-invasive blood gas test |
JP2016194852A (ja) * | 2015-04-01 | 2016-11-17 | 愛郎 梅枝 | 診断支援プログラム |
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