【発明の詳細な説明】
発明の名称
1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン組合わせライブラリー
相互参照
本出願は仮出願第60/000,657号の出願日である1995年6月29日の優先権を主張
するものである。
1995年11月3日に出願の米国特許出願第08/553,056号、"Lawn Assay for C
ompunds That Affect Enzymc Activity or Bind to Target Molecules"
(「酵素活性に影響し、あるいは、目標分子に結合する化合物の菌叢検定」)を
引用して本明細書の記載の一部とする。
本明細書で引用する全ての特許及びその他の参照資料を本明細書の記載の一部
とする。
本発明の背景
種々の潜在的な生理的又はその他の活性を求めてスクリーニングされ得る多数
の多様な化合物を合成する方法に興味が集まっている。化学合成の一部として、
個別の単位を順に付加し、この合成の各順序段階において、可能な全ての異なる
選択肢から生じ得る全ての、又は実質的数の可能な化合物を製造するという技術
が開発されている。例えば、StillらのPCT出願、WO94/08051号を参照。こ
のような技術が成功するためには、数多くの固体状化学
反応が開発されなければならない。
Ellmanらは1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類の固相合成を報告
している("Progress Toward the Synthesis of a Library of 1,4-Benzod
iazcpin-2,5-diones"ACS National Meeting,Anaheim,CA,April2-6,199
5,Abstr.ORGN 264)。Ellmanらの方法はベンゾジアゼピン−2,5−ジオ
ン足場物質の多様性に限りがある。その理由は、合成中に固体支持体への本足場
物質の結合がベンゼン環を通じて行われ、ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンの
固体支持体からの離脱の後に同環に残留物が残るからである。分子内アザーウィ
ティッヒ(aza-Wittig)反応による1,4−ベンゾジアゼピン−5−オン類の
溶液相合成がEgushiらによって開示されている(SYNLETT,295-6,April
1992)。
また、組合わせ合成(combinatorial synsethis)によって製造される化合物
は、そうして造られた化合物の構造を決定し得るような方法に従うことが望まし
い。例えばBrenner及びLerner(PNAS USA 81:5381-83(1992))及びWO
93/20242号には、オリゴヌクレオチド類が、並行して製造され、興味ある化合物
であるオリゴペプチド類に遺伝子標識として化学的に結合されるような合成が記
載されている。WO93/06121号では、合成されたオリゴマー配列の確認を容易に
するために、粒子上の確認標識が用いられるようなランダム・オリゴマーの粒子
基盤合成方法が教示されている。OhlmeyerらのProc.Natl.Acad.Sci.USA
,90,10922-10926,Dec.1993には離脱可能な標識付けシステムが記載されている
。
本発明の要旨
本発明は、アザーウィティッヒ閉環反応によって固体支持体上に、場合によっ
て標識を用いてコード化した、1,4−ベンゾジアゼピン−5−オン類の組合わ
せライブラリーを合成する方法、並びに、このライブラリーを生理活性化合物を
発見するための評価検定に使用すること、並びに、場合によって、1,4−ベン
ゾジアゼピン−2,5−ジオン類をそれから開裂させることに関するものである
。
本発明の詳細な説明
本発明方法によって合成し得る組合わせ化学ライブラリーは、次の式Iによっ
て示される。
この場合、
T’−L−は、アイデンティファイアー残基;
−L’−II’は、リンカー/リガンド残基;
qは、0-30;そして
II’は、
であり、この場合、
R1は、水素原子、低級アルキル、シクロ低級アルキル、又は−(CH2)mR4
であり、あるいは、R1及びR2が、それらが結合する原子と共に5−又は6−員
ヘテロシクロ環を形成し、場合によって、OH、アルコキシ又はアリールアルコ
キシでモノ置換されている。
R2は、水素原子、低級アルキル、アリールR6R7R8、又はヘテロアリールR6
R7R8であり、あるいは、R1及びR2が、それらが結合する原子と共に5−又
は6−員ヘテロシクロ環を形成し、場合によって、OH、アルコキシ又はアリー
ルアルコキシでモノ置換されている。
R3は、水素原子又は低級アルキルである。
R4は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、N
R3R5、CO2R3、CONR3R3、又はOHである。
R5は、水素原子、低級アルキル、−CNHR3R3、又は−C(O)R3である
。
R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル、低級アル
コキシ、ハロゲン原子、アリール、低級アルキルチオ、X−アリール、X−置換
アリール、低級アルキルアリール、C(hal)3、−(CH2)mNR3R5、又
は−X−CH(CO2R3)2であり、あるいは、R6及びR7が、それらが結合す
る原子と
共に5−又は6−員ヘテロシクロ環を形成している。
Xは、 酸素原子又は硫黄原子である。
好ましい式Iのライブラリーは、T’−L−が次の式のものである。
この場合、
nは、 3-12;
Arは、ハロフェニル;
qは、 3-12である。
更に好ましい式Iのライブラリーは、式IIIにおいて、1)n=3-12であり、
Arがペンタクロロフェニルであるようなもの;あるいは、2)n=5-6であ
り、Arが2,4,6−トリクロロフェニルであるようなものである。
L’の選択肢に応じて(第1表を参照)、式IIのリガンドは、光分解的、酸化
的、酸性、塩基性、あるいはその他の技法によって離脱させることができる。例
えば、−L’−が(a)である場合、酸性開裂は次の式で表すことができる。
この場合、L”はL’からの残基であり、II’OHは、互変異性アミド形式の式
IIである。
この場合、記号は前記の式II’で定義したものと同じである。
本発明の一態様は、アザーウィティッヒ閉環反応による1,4−ベンゾジアゼ
ピン−2,5−ジオン類の固相合成である。その方法は、
a) 一連の適宜保護されたα−アミノ酸又はN−アルキル−α−アミ
ノ酸を固体支持体に結合させて樹脂結合N−アルキル−α−アミノ酸を形成させ
、あるいは、
b) 一連の適宜保護されたN−非置換−α−アミノ酸を固体支持体に
結合させて樹脂結合N−非置換−α−アミノ酸を形成させ、この樹脂結合アミノ
酸を、一連のアルデヒドによって還元的にアルキル化して樹脂結合N−アリール
アルキル又はヘテロアリールアルキル−α−アミノ酸を形成させ、
c) 前記(a)段階又は(b)段階の樹脂結合N−アルキル−α−ア
ミノ酸、あるいはN−アリールアルキル又はヘテロアリールアルキル−α−アミ
ノ酸を、一連の2−アジドベンゾイル・クロライドによってアシル化して樹脂結
合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステルを形成させ、
d) 前記(c)段階の樹脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ
・エステルをアザーウィティッヒ閉環反応によって環化させて樹脂結合ベンゾジ
アゼピン類を形成させ、場合によっ
て、
e) 前記(d)段階の樹脂結合ベンゾジアゼピン類を開裂させて1,
4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類を形成させることを包含するものであ
る。
本発明の好ましい態様は1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類のアザ
ーウィティッヒ閉環反応による固相合成であり、その方法は、
a) 下記の式
を有する一連の適宜保護されたα−アミノ酸を、DMF及びDMAPの存在下に
、メチレン・クロライドに懸濁させた固体支持体と反応させて、下記の式
の樹脂結合アミノ酸を形成させ、
b) DMF及び酢酸中に懸濁した、前記(a)段階の樹脂結合アミノ
酸を、HOAc/DMF中の式HC(O)R2の一連のアルデヒド及びTHF中
のナトリウム・シアノボロハイドライドと反応させて式
の樹脂結合N−アルキル−α−アミノ酸を形成させ、
c) メチレン・クロライド及びジイソプロピルエチルアミン中の前記
(b)段階の樹脂結合N−アルキル−α−アミノ酸を式
の2−アジドベンゾイル・クロライドと反応させて式
の樹脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステルを形成させ、
d) トルエン、キシレン、又はクロロベンゼンなどの非揮発性溶媒(
即ち、沸点80-140℃の非プロトン性有機溶媒)中に懸濁させた前記(c)段階の
樹脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステルを、トリフェニルホス
フィン又はトリブチルホスフィンのような3価の燐試薬の過剰量で80-150℃で処
理し、次いで、この混合物を室温に冷却して式
の樹脂結合ベンゾジアゼピン類を形成させ、場合によって、
e) 前記(d)段階の樹脂結合ベンゾジアゼピンを室温で1-24時間
、TFA/水中に懸濁させて式
の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類を形成させることを包含する。
この場合、記号は前記の式II’で定義したものと同じである。
本発明の第2の好ましい態様は、アザーウィティッヒ閉環反応によって1,4
−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類及び1,3−シクロ−1,4−ベンゾジ
アゼピン−2,5−ジオン類を固相合成するものである。この場合、この方法は
、
a) DMF及びDMAPの存在下に、次の式
の一連の適宜保護されたα−アミノ酸類を、メチレン・クロライドに懸濁させた
固体支持体と反応させて、次の式
の樹脂結合アミノ酸類を形成させ、
b) メチレン・クロライド及びジイソプロピルエチルアミン中の前記
(b)工程の樹脂結合N−アルキル−α−アミノ酸を、次の式
の2−アジドベンゾイル・クロライドと反応させて次の式
の樹脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステル類を形成させ、
c) トルエン、キシレン、又はクロロベンゼンのような不揮発性溶媒
(即ち沸点80-140℃の非プロトン性有機溶媒)中に懸濁した前記(b)段階の樹
脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステル類を、トリフェニルホス
フィン又はトリブチルホスフィンなどの3価燐試薬の過剰で、80-150℃で処理し
、次いでこの混合物を室温に冷却して次の式
の樹脂結合ベンゾジアゼピン類を形成させ、また、場合によって、
d)前記(c)段階の樹脂結合ベンゾジアゼピンを、TFA/水中に室
温で1-24時間懸濁させて次の式
の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類を形成させることを包含する。
この場合、記号は前記の式II’で定義したものと同じである。
本発明のもう一つの態様は、式Iの組合わせライブラリーを、式IIの生物活性
化合物(リガンド)を発見するための評価検定に用いるものである。即ち、本発
明の様相は、式Iの組合わせライブラリーを合成し、固体支持体に結合させてあ
るか、あるいはそれから離脱させた、式Iのライブラリーを、所望の特質を有す
る式IIの化合物を確認する評価検定で試験することを包含する、所望の特性の化
合物の確認方法である。本発明のもう一つの態様は、固体支持体に結合させてあ
るか、あるいはそれから離脱させた、式Iのライブラリーを、所望の特質を有す
る式IIの化合物を確認する評価検定で試験することを包含する、所望の特性の化
合物の確認方法である。本発明の更なる態様は、そのようにして確認された化合
物の構造を決定することである。
この所望の特性の化合物の構造決定を、標識(式IにおけるT’−L−で表さ
れる)の解読によって、あるいはその代わりに、ラ
イブラリーのデコンボリューション(deconvolution)によって達成できること
も本発明の範囲内である。〔Smith et al.,BioMed.Chem.Lett.,4,2821(199
4);Kurth et al.,J.Org.Chem.,59,5862(1994);Murphy et al.,J.Am.Che
m.,Soc.117,7029(1995);Cambell et al.,J.Am.Chem.Soc.,117,5381(1995)
;及びErb et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,91,11422(1994)〕後者の場合
、q=0及び本発明のライブラリーは、式I’
によって表すことができる。この場合、記号は式Iで定義したものと同じである
。
本発明のもう一つの態様は、ジビニルベンゼン―架橋、ポリエチレングリコー
ル―グラフト、場合によりアミノ基(例えば
ビーズを、式I又はI’の組合わせライブラリー構築のための固体支持体として
用いるものである。
定義
次の略号はここに記載のような意味を持つものである。
Bn = ベンジル
BnOH = ベンジル・アルコール
Boc = t−ブチルオキシカルボニル
Bz = ベンゾイル
c− = シクロ
DEAD = ジエチルアゾジカルボキシレート
DCM = ジクロロメタン=メチレン・クロ
ライド
DIC = ジイソプロピルカルボジイミド
DMAP = 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N−ジメチルフォルムアミド
equiv. = 当量
Et = エチル
FACS = 蛍光活性化細胞選別
Fmoc = 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Fmoc−OSu = 9−フルオレニルメチルサクシン
イミジル・カルボネート
GC = ガスクロマトグラフィー
hr = 時間
m− = メタ
Me = メチル
p− = パラ
PEG = ポリエチレン・グリコール
Ph = フェニル
r.t. = 室温
sat’d = 飽和
s− = 第2級
t− = 第3級
t−Boc = t−ブチルオキシカルボニル
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
Thy = チエニル
TsOH = p−トルエンスルホン酸
アルキルは、直鎖、分岐、あるいは環状の炭化水素構造、及びこれらの組合わ
せを含むことを意図する。「低級アルキル」は、炭素原子1ないし8個のアルキ
ル基を意味する。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、s−及びt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロ
プロピルエチル、及びそれらの類似物が含まれる。「低級シクロアルキル」には
、炭素原子3ないし8個のシクロアルキル基が含まれる。低級シクロアルキル基
の例には、c−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、2−メチルシクロプロピ
ル、シクロプロピルメチル、ノルボニル、及びそれらの類似物が含まれる。
「アルケニル」は、直鎖、分岐、又は環状(C5−C6)構造、及びこれらの組
合わせのC2−C8アルケニルである。アルケニル基には、ビニル、アリル、イソ
プロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、c−ヘキセニル、1−プロペニル、2−
ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、及びこれらの類似物が含まれる。
「アルキニル」は、直鎖又は分岐構造、及びこれらの組合わせのC2−C8アル
キニルである。アルキニル基の例には、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、
3−メチル−1−ブチン、3,3−ジメチル−1−ブチン、及びこれらの類似体
が含まれる。
「アルコキシ」は、直鎖、分岐、又は環状構造及びこれらの組合わせの炭素原
子1ないし8個のアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の例には、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシ
ルオキシ、及びこれらの類似物が含まれる。
「アシルアミノ」は、直鎖、分岐、又は環状構造及びこれらの組合わせの炭素
原子1ないし8個のアシルアミノ基を意味する。アシルアミノ基の例には、アセ
チルアミノ、ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、及びこれらの類似物が含ま
れる。
Halはハロゲンを意味し、F、Cl、Br及びIを含む。
「ハロフェニル」は、1ないし5個のハロゲン原子によって置換されたフェニ
ルを意味する。ハロフェニルには、ペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェ
ニル、及び2,4,6−トリクロロフェニルが含まれる。
「アリール」及び「ヘテロアリール」は、5−又は6−員の芳香族環、又は、
O、N及びSから選ばれたヘテロ原子を0ないし3個含むヘテロ芳香族環;ビシ
クロ9−又は10−員の芳香族環系、又はO、N又はSから選ばれたヘテロ原子
を0ないし3個含むヘテロ芳香族環系;又はトリシクロ13−又は14−員の芳
香族環系、又はO、N又はSから選ばれたヘテロ原子を0ないし3個含むヘテロ
芳香族環系を意味し;これらの環のそれぞれは、場合により、低級アルキル、ア
ルケニル、アルキニル、置換低級アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、
=O、NO2、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、NR3R3、アシル
ア
ミノ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、及
びヘテロアリールオキシから選ばれた1ないし3個の置換基で置換されており、
前記のフェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、及
びヘテロアリールオキシのそれぞれは、場合により、低級アルキル、アルケニル
、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、C(hal)3、シアノ、
フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、カルボキシアミド、ヘテロ
アリール、ヘテロアリールオキシ、NO2,及びNR3R3から選ばれた1ないし
3個の置換基で置換されている。
芳香族6−ないし14−員炭素シクロ環には、ベンゼン、ナフタレン、インダ
ン、テトラリン、及びフルオレンが含まれ、5−ないし10−員芳香族ヘテロシ
クロ環には、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノ
ン、チアゾール、フラン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノ
キサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール、及びピラゾールが含まれる。
「置換された」アルキル、アルケニル又はアルキニルは、その各Cの3個まで
のH原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、カルボキシ、カルボアル
コキシ、カルボキサミド、シアノ、カルボニル、NO2、NR3R3、アルキルチ
オ、スルホキサイド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、フェニル、ベンジル
、ヘテロアリール、フェノキシ、ヘンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換
されたフェニル、ベンジル、ヘテロアリール、フェノキ
シ、ヘンジルオキシ、及びヘテロアリールオキシで置換されているようなアルキ
ル、アルケニル、又はアルキニルを意味する。
特定の分子における任意の置換基又は記号(例えば、R3、mなど)の定義は
その分子の他の個所の定義とは無関係なものであることを意図する。即ち、”N
R3R3”は、NHH,NHCH3、N(CH3)2などを表す。
リンカーは、選択的に開裂されて、固体支持体からT及びIIの両者を放出し得
る成分であり得る。例えば、Greene及びWutsの"Protectivc Groups in Org
anic Synthesis",第2版、Wiley,1991を参照。具体的なリンカーL’を第1表
に記述する。(ただし−L−=−C(O)L’−又は−CH2−C(O)L’−
である。)この表はまた、開裂試薬を示す。合成反応工程を示す場合に、L及び
L’は、これらが直交的に(orthogonally)反応する、即ち、これらがT又はII
(この場合、T=T’−OH)のいずれかを除去させ、他方を除去させないもの
であるように選ばれる。なぜなら、T及びIIの両者を固体支持体から同時に開裂
させることは不利だからである。ここに示した構造で、左側の結合は固体支持体
への結合点であり(L’では−C(O)−を介して、また、Lについては−CH2
C(O)−を介して)、左側の結合はT又はIIへの結合点である。
本発明の標識Tは、次のような性質を有する化学物質である。即ち、これらは
、好ましくは光分解又は酸化によって、固体支持体から離脱され得るものでなけ
ればならない。これらは、個別に弁別可能な、好ましくは分離可能なものでなけ
ればならない。こ
れらは、合成条件下で安定でなければならない。これらは、ごく低濃度で、例え
ば10-18ないし10-9モルで検出可能でなければならない。これらは、操作に高度
の技術的能力を要しない入手容易な装置で確認され得るべきであろう。そして、
これらは、比較的経済的なものであるべきであろう。この標識は、構造的に相互
に関連性のあるものでも、関連性のないものでもよい。例えば、同族体系、反復
性機能グループ、周期律表の関連メンバー、異なるアイソトープ、これらの組合
わせなどである。この組合わせ合成の終了時には、各固体支持体に、通常は標識
当たり少なくとも0.01フェムトモル、通常は0.001-50pmolが結合しているだろう
。この標識は脂肪族、脂環族、芳香族、ヘテロ環式、あるいはこれらの組合わせ
であってもよい。顕著な特徴は、アルキル部分におけるメチレン基;ポリアルキ
レンオキシ部分におけるアルキレンオキシ基;ポリハロ化合物におけるハロゲン
;置換基がアルキル基、オキシ、カルボキシ、アミノ、ハロ、又はそれらの類似
体である場合のα−及び/又はβ−置換エチレン基;アイソトープ、のような繰
り返し単位の数であろう。
本発明の組合わせ合成をその上で実施する材料は固体支持体、ビーズ、及び樹
脂と呼ばれる。この言葉は次のものを含むつもりである。
a) セルロース・ビーズ、多孔性ガラス・ビース、シリカゲル、場合
によりジビニルベンゼンで架橋され、場合によりポリエチレン・グリコールでグ
ラフト化され、場合によりアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ又はハロゲンで機能
化したポリスチレン
ビーズ、グラフト化コーポリ・ビーズ、ポリアクリルアミド・ビーズ、ラテック
ス・ビーズ、場合によりN,N’−ビスアクリロイルエチレンジアミンで架橋さ
せたジメチルアクリルアミド・ビーズ、疎水性ポリマーで被覆したガラス粒子、
等のビーズ、ペレット、ディスク、ファイバー、ゲル又は粒子。即ち、剛性ない
し半剛性の表面を有する材料;
b) 低分子量の非架橋ポリスチレンのような可溶性支持体;及び
c) これらから誘導された
のような形態のもの。
適切なアミノ酸保護基は本技術分野でよく知られており、これらには、Fmoc,
Alloc(アリルオキシカルボニル)等が含まれる。
R=水素又は低級アルキル;B=O又はNH;
X=Br、Cl、及びIなどのエレクトロン引き抜き基
光学異性体―ジアステレオマー―立体異性体
ここに記述した化合物のうちのあるものは、一つ又はそれより多くの不斉中心
を含み、従ってエナンチオマー、ジアステレオマー及びその他の立体異性体形式
を生じることがあり、これらは、絶対立体化学における用語でアミノ酸について
(R)又は(S)として、あるいは(D)又は(L)として定義することができ
る。本発明は、このような全てのあり得るジアステレオマー、並びに、これらの
ラセミ体及び光学的に純粋な形式を含むことを意味する。光学活性(R)及び(
S)又は(DとL)異性体は、キラル合成素子又はキラル試薬を用いるか、ある
いは通常の技法で分割するかして調製することができる。ここに記述した化合物
がオレフィン系二重結合あるいはその他の立体的不斉中心を含んでいて、特に別
段の断りのない場合は、そのものはE及びZの両方の立体異性体を含むことを意
図している。同様に、全ての互変形式が含まれていることを意図している。
用途
本発明のライブラリーは、アイソザイムを横切る選択的阻止パターンを発見す
ることを含めて、ある配列を横切る生物学的評価検定の評価によって新しい先導
的構造(lead structure)を発見するためのスクリーニング手段として有用であ
る。従って本ライブラリーは、医薬品発見のための手段である。即ち、種々の生
物学的目標に対する本ライブラリーのスクリーニングによって新規な先導的化合
物を発見したり、関連する化合物の多くの族における構
造と活性との関係(SAR)を展開させたりする手段である。本ライブラリーは
、式I又はI’に示したように、固体支持体に結合したリガンドを用いて試験す
ることができ、あるいは、この化合物IIを評価に先立って離脱させることもでき
る。式I又はI’の化合物を用いて、FACS選別のようなスクリーニング検定
及び細胞菌叢検定を行うことができる。評価に先立って化合物を離脱させた場合
は、このものの固体支持体との関係は維持される。それは例えば、標準96−穴
プレートのグリッド中に位置させるか、あるいは、細胞菌叢に対する活性の探索
によって行われる。化合物が、固体支持体に結合された状態で試験されるにせよ
、あるいは離脱された状態で試験されるにせよ、生物活性に関連する、固体支持
体に結合した標識は、次いで解読されて、その活性化合物の構造の歴史又は合成
の歴史が示される(Ohlmeyer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,1092
2-10926,Dec.1993及びStill et al.,Complex Combinatorial Chemical Li
braries Encoded with Tags,WO94/08051)。あるいはその代わりに、構造は
デコンボリューションによって決定することができる。このようなライブラリー
のスクリーニング手段としての有用性はBurbaumら(Proc.Natl.Acad.Sci.
USA,92,6027-6031,June 1995)によって実証されている。この箸者は、例え
ば炭酸デヒドラターゼ阻害剤を求めるコード化組合わせライブラリーの評価検定
を記述している。あるスクリーニングにおいて活性であるとする化合物が見つか
らない場合であっても、そのような活性の欠如は、しばしば有用なSAR情報を
提供してくれる。
生物活性判定のための評価検定
本発明の化合物評価検定は本技術分野で良く知られている。どのような具体的
な評価検定において特定の化合物又はライブラリー化合物群が活性を示すかを先
験的に知ることは一般にはできないが、広い範囲にわたる酵素及び目標分子に関
して活性を確認するための、本発明において記述したような方式のライブラリー
をスクリーニングする有用な体系が、1995年11月3日に出願の米国特許出願第08
/553,056号に開示されている。
合成法
本発明の化合物は次のような方法で調製することができる。この合成の各段階
において、その上で化合物を合成しようとする各固体支持体は、その段階で起き
る特定の化学的事象を規定するために独自に標識化することができる。この標識
化は、式IVにおけるようなアイデンティファイアーを用いて成し遂げられる。こ
れは、この支持体が合成中にさらされる順序だった事象を記録しており、各支持
体上で製造された化合物の反応の歴史を提供するものである。このアイデンティ
ファイアーは、二進法又は更に高次元のコード化反応工程を形成させることで、
比較的少ない数のアイデンティファイアーによって比較的多い数の反応生産物を
コード化することができるように、互いに組み合わせて用いられる。例えば、二
進法コードを用いた場合、N個のアイデンティファイアーは、2N通りまでの異
なる化合物及び/又は条件をコード化することができる。各変数、又は合成の各
段階における変数の組
合わせを、反応剤、試薬、反応条件、あるいはこれらの組合わせなどの選ばれた
変数を独自に規定するアイデンティファイアーの組合わせと関連させることによ
って、このアイデンティファイアーを、各固体支持体の反応の歴史を規定させる
のに用いることができる。
本合成を実施するに際して、初めに少なくとも104個、望ましくは少なくとも1
07個、一般には1015個を越えない固体支持体を用意する。第1段階のための予め
定めた選択肢の数に応じて、この支持体を相応する数の容器に分ける。各容器に
適切な反応剤及び反応条件を適用し、各段階1のためにコード化したアイデンテ
ィファイアーの組合わせを加えて結合させる。関連する化学性に応じて、標識化
は、各選択肢を包含する反応に先立って、反応と付随的に、あるいは反応の後に
行うことができる。対照品として、任意の段階でサンプル支持体を取り出し、そ
れらの標識の一部を離脱させ、解読して、そのサンプル支持体に正しい標識が結
合していることを確かめる。必要に応じて、処置に先立ってこのビーズを洗浄し
、過剰の試薬や副産物が存在しないようにすることができる。各段階の終わりに
、この支持体を合わせ、混合し、再び分割する。このたびは、合成の第2段階の
ための選択肢の予め定めた数の容器に分ける。この分割、反応、標識付け、及び
再混合の手順は、この組合わせ合成が完了するまで繰り返される。
式Iの四つの化合物を調製するための閉環反応(ただし標識付けの段階を除く
)の例として、次の式
の樹脂結合α−アミノ・エステルを、メチレン・クロライド、DMF、THF、
又は酢酸エチルのような非プロトン性極性溶媒中に懸濁させる。この懸濁樹脂に
、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、又はピリジンのよ
うな可溶性有機塩基の過剰量を加える。この混合物を、次の式
の適切に置換された2−アジドベンゾイル・クロライドの過剰量で処理し、室温
で撹拌して、次の式
の樹脂結合N−(2−アジドベンゾイル)アミノ・エステルを製造する。この樹
脂を濾過し、洗浄し、次いで、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼンのよう
な非揮発性溶媒(即ち、沸点80-140℃の非プロトン性有機溶媒)中に懸濁させ、
トリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンのような3価燐試薬の過
剰量で処理する。この混合物を撹拌し、80-140℃に2-24時間加熱し、次いで冷
却して、次の式
の樹脂結合1,4−ベンゾジアゼピン−5−オンを製造し、このものを洗浄し、
次いで酸性溶液中に懸濁させ、室温で1-24時間撹拌する。この樹脂を濾過し、
洗浄し、濾液と洗浄液とを合わせて蒸発させて、次の式
の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンを得る。この場合、X1、R2、及
びRaは、式Dが次の式
の化合物を表すように選択する。化合物4、8、11、及び16は本発明のアザーウ
ィティッヒ法によって合成されたものである。化合物4は抗腫瘍抗生物質(Kan
eko et al.,Tet.Lett.,1983,5165頁;Kaneko et al.,J.Med.Chem.,1985,38
8頁)の合成における有用な既知の中間体である。化合物8は、抗生物質5−チ
オアベイマイシン(Kamal et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.3,743頁,1993)
及びアベイマイシンの合成における中間体として有用な新規化合物である。化合
物11は、抗腫瘍抗生物質(Hurley et al.,Chem.Res.Toxicol,1,258頁,1988
)の合成における中間体として有用な新規化合物である。化合物16は、潜在的に
抗生物質の性質を有するベニシリウム・シクロピウム(Penicillium cyclopium
)から単離された天然生産物(Framm et al.,Eur.J.Biochem.37,78頁,1973
)である。
反応工程1
樹脂結合α−アミノ・エステルAを、メチレン・クロライド、DMF、THF
、又は酢酸エチルのような非プロトン性極性溶媒中に懸濁させる。この懸濁樹脂
に、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、又はピリジンの
ような可溶性有機塩基の過剰量(2-50当量)を加える。場合によって、4−ジ
メチルアミノピリジンのようなアシル化触媒を加えてもよい。この混合物を、適
切に置換された2−アジドベンゾイル・クロライドの過剰量(2-10当量)で処
理し、室温で2-24時間撹拌する。この樹脂を濾過し、メチレン・クロライドの
ような適当な溶媒で数回洗浄して過剰の試薬及び副産物を除去する。、樹脂結合
N−(2
−アジドベンゾイル)アミノ・エステルBを、トルエン、キシレン又はクロロベ
ンゼンのような不揮発性溶媒中に懸濁させ、トリフェニルホスフィン又はトリブ
チルホスフィンのような3価の燐試薬の過剰量(2-10当量)で処理する。この
混合物を撹拌し、80-140℃に2-24時間加熱し、次いで冷却し、この樹脂結合1
,4−ベンゾジアゼピン−5−オンCを、メチレン・クロライド又はトルエンの
ような適当な溶媒で数回洗浄して、過剰の試薬及び副産物を除去する。樹脂結合
1,4−ベンゾジアゼピン−5−オンCを、トリフルオロ酢酸/メチレン・クロ
ライド(50-90% TFA/CH2Cl2)、又は塩化水素/ジオキサン(1−4M
HCl/ジオキサン)のような酸性溶液中に懸濁させ、室温で1-24時間撹拌す
る。この樹脂を濾過し、メチレン・クロライド又はジオキサンのような適当な溶
媒で洗浄する。濾液と洗浄液を合わせ、蒸発させて、粗製の1,4−ベンゾジア
ゼピン−2,5−ジオンDを得る。これらは標準的な技法によって精製し、特徴
付けることができる。
反応工程1
以下の実施例を参照して本発明を更に説明するが、これらは例示的なものであ
って、限定的なものではない。
調製法1
アイデンティファイアー
反応工程6と以下の例示的実施例によって、次の一般式
の12の化合物を調製した。この場合、
n=3-12でArはペンタクロロフェニルであるか、又は
n=54-6でArは2,4,6−トリクロロフェニルであった。
a) バニリン酸メチル(0.729g,4.0mmole)、1−ヒドロキシ−9−
(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェノキシ)ノナン(1.634g,4.0mmole)
及びトリフェニルホスフィン(1,258g,4.8mmole)を、アルゴン気流下に20mLの
乾燥トルエン中に溶解した。DEAD(0.76mL,0.836g,4.8mmole)を滴加し、
この混合物を25℃で1時間撹拌した。この溶液を半容量まで濃縮し、フラッシュ
・クロマトグラフィーにかけ、DMCで溶離して精製し、1.0g(1.7mmole,43%
)の製品を無色結晶状固体として得た。
b) 前記(a)段階からのメチル・エステル(1.0g,1.7mmole)を50m
LのTHFに溶解し、2mLの水を加え、次いでLiOH(1.2g,50mmole)を加
えた。この混合物を25℃で1時間撹拌し、次いで5時間還流させた。25℃に冷却
後、この混合物を酢酸エチル(200mL)に注入し、この溶液を、1MHCl(50
mL×3回)、次いでNaCl飽和水溶液(50ml×1回)で洗浄し、硫酸ナトリ
ウム上で乾燥させた。溶媒を除去し、この粗
製の酸をトルエンと共に一たん共沸させた。
c) 前記(b)段階からの粗製物質を100mLのトルエンに溶解し、10
mL(1.63g,14mmole)の塩化チエニルを加え、この混合物を90分還流させた。蒸
留によってこの溶液の容量を約30mLに減少させ、次いで残留トルエンを蒸発さ
せて除いた。この粗製酸塩化物を20mLの乾燥DCMに溶解させ、アルゴン気流
のもとで-70℃に冷却し、約10mmoleのジアゾメタンの50mL無水エーテル中溶液
を加えた。この混合物を室温に温め、90分撹拌した。この溶液にアルゴン気流を
10分間通過させ、次いでこの溶媒を蒸発させて除き、この粗製物質をフラッシュ
・クロマトグラフィーにかけ、10-20%の酢酸エチルのヘキサン中の溶液で溶離
させて精製した。ジアゾケトンを淡黄色の固体として得た(0.85g,1.4mmole,3
段階を通じて収率82%)。
最終のジアゾメチル化段階に対して改善が行われた。この場合、この酸塩化物
を(トリメチルシリル)ジアゾメタン及びトリエチルアミンと反応させて本アイ
デンティファイアーを得て、次いでこれを更に精製することなく使用した。これ
はジアゾメタンを用いる元の反応と比べて箸しい改善であった。それは、このア
イデンティファイアーは今やクロロメチルケトン副産物を含むことなく高い収量
で得られたからである。また、フラッシュ・クロマトグラフィーによる精製、即
ち、場合により、このアイデンティファイアーが酸触媒によって著しい分解を生
じることがある精製をもはや必要としなくなったからである。
代替c)工程: 無水THF/アセトニトリル(1:1)中の
本アシル・クロライド(3.8mmole,1.00当量)及び1.85mLトリエチルアミン(13
.3mmole,3.50当量)の溶液に、0℃、アルゴン気流のもとで、(トリメチルシリ
ル)ジアゾメタンのヘキサン中2.0M溶液を、5.7mL(11.4mmole,3.00当量)を
加えた。得られたオレンジ色の溶液を0℃で2時間撹拌し、次いで25℃で17時間
撹拌した。〔(トリメチルシリル)ジアゾメタンを添加した際にただちに沈澱が
生じた場合は、CH2Cl2を加えてこの沈澱を再溶解させた。〕EtOAcを加
え(250mL)、有機層をNaHCO3飽和水溶液(100mL)及びH2O(100mL)
で洗浄し、次いで乾燥(無水MgSO4)させた。揮発性物質を真空下に除去す
れば、製品が60-100%収率で黄色の結晶として得られた。
その他の式IVの11化合物を、類似の合成ルート、工程(a)、(b)、及び(
c)によって調製した。
実施例5の合成において、この12のアイデンティファイアーを用いて組合わせ
ライブラリーをコード化した。段階1において、n=7-12であるペンタクロロ
フェニル系アイデンティファイアー(C7Cl5,C8Cl5,...C12Cl5と
略称)を以下のような二進法コード化案に用いた。即ち、000001=(n=12),
000100=(n=1)ないし100000=(n=7)。段階2において、n=6-9で
あるペンタクロロフェニル系アイデンティファイアー(C6Cl5,C7Cl5,C8
Cl5,及びC9Cl5と略称)を用いて、次のようにコード化した。即ち、0000
01=(n=6),000010=(n=5),000100=(n=4),及び00100=(n
=3)である。また段階2において、n=4-6であるトリク
ロロフェニル系アイデンティファイアー(C4Cl3、C5Cl3、及びC6Cl3と
略称)を用いて、以下のようにコード化した。即ち、01000=(n=6)。段階
3はコード化しなかった。
このようにして、段階1において試薬3を"011"とコード化した。これは、こ
の合成における選択肢を、n=11及び12である二つのペンタクロロフェニル系ア
イデンティファイアーで標識化したことを示している。同様に、段階3において
、試薬30を"01110"とコード化した。これは、この合成における選択肢を、n=
3-6であるペンタクロロフェニル系アイデンティファイアー及びn=6である
トリクロロフェニル系アイデンティファイアーで標識化したことを示している。
反応工程6
アイデンティファイアー
調製法1
N−Fmoc−シス−4−ベンゾイルオキシ−L−プロリン
−p−アルコキシベンジル樹脂
下記に概略を示したような日常的な方法によって、N−Fmoc−シス−4−
ベンゾイルオキシ−L−プロリン・p−アルコキシベンジル樹脂5を調製した。
調製法2
ビス−リンカー結合
TentaGel樹脂をビス−Fmocリジンで修飾して、リガンド結合の利用可能
な反応部位を増加させることができる。簡便のために、本明細書のどこかで示す
反応工程は、このリジンによる修飾の利用を示していない。
1) 4−アセトキシメチルフェノキシ酢酸の調製:4−ヒドロキシメ
チルフェノキシ酢酸(9.9g,55mmol)のピリジン(200mL)中の溶液を酢酸無水
物(22.15g,218mmol,4当量)で処理し、この反応混合物をアルゴン気流下に25
℃で48時間撹拌した。この反応混合物を真空中で〜25mLに濃縮し、次いで200m
LのEtOAcで希釈し、分別漏斗に入れた。得られた懸濁液を約50mLの1N
HCl水溶液で処理し、振とうした。この水性層のpHを調べ、濃HClを滴加
してpH2に調節し、振とうした。層を分別した。有機層を塩水で洗浄し、次い
で乾燥(MgSO4)させ、真空中で濃縮して、粗製製品を帯赤褐色の油状物と
して得た。この物質をフラッシュ・クロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘ
キサン(1:9)、更に酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶離させて精製し、
7.0g(57%)の4−アセトキシメチルフェノキシ酢酸を灰色がかった白色の固
体として得た。
2) 樹脂支持体Aの調製:300mL容の合成容器にTentagel-S-NH2
樹脂(25g,0.30mmol/g容積,(7.5mmol))を仕込み、このビーズを各150mLの
メチレン・クロライドで2回洗浄した。この容器に、100mLのDMF/メチレン
・クロライド(1:1)中のN−α−N−ε−ジFmoc−リジン(13.3g,22.5
mmol,3当量)の溶液を加えた。得られた混合物を4−ジメチルアミノピリジン
(92mg,0.75mmol,0.1当量)で、次いでN,
N’−ジイソプロピルカルボジイミド(4.73g,37.5mmol,5当量)で処理し、こ
の反応混合物を室温で振とうした。6時間後、溶媒を濾過によって除き、ビーズ
を順に各150mLのDMFで5回、150mLのメチレン・クロライドで5回洗浄した
。この樹脂の少量をKaiser試験によって遊離NH2の消失を調べ、陰性であるこ
とを知った。
この樹脂をピペリジンのDMF(100mL)中30%溶液で処理し、25℃で1時間
振とうした。この樹脂を濾過し、順に150mLのDMFで5回、150mLのメチレン
・クロライドで5回洗浄した。この樹脂の少量をKaiser試験によってFmoc
基の除去を確かめるために調べ、陽性であることを知った。
60mLのメチレン・クロライド中の4−アセトキシメチルフェノキシ酢酸(20.
2g,90mmol,6当量)の懸濁液をDMFの滴加によって処理し、全ての固体を溶
液状態にした。次いで300mL容の合成容器中で前記の樹脂(15mmol相当)にこの
溶液を加えた。得られた懸濁液を4−ジメチルアミノピリジン(366mg,3.0mmol,
0.2当量)、次いでN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(18.9g,150mmol,1
0当量)で処理し、この反応混合物を25℃で16時間振とうした。この溶媒を濾過
によって除き、樹脂を順に、各150mLのDMFで5回、各150mLのCH2Cl2で
5回洗浄して、アセテート保護樹脂を得た。この樹脂の少量についてKaiser試
験によって遊離NH2の消失を調べ、陰性であることを知った。
前記のアセテート保護樹脂を、メタノール(100mL)中の10
%ヒドラジン水和物溶液で処理し、室温で振とうした。6時間後、溶媒を濾過に
よって除き、この樹脂を順に各150mLのMeOHで5回洗浄し、MeOH(100m
L)中の10%ヒドラジン水和物で再処理し、25℃で16時間振とうした。この溶媒
を濾過して除き、樹脂を順に各150mLのDMFで5回、各150mLのCH2Cl2で
5回洗浄して、ヒドロキシ樹脂Aを得た。
ビス−リンカー結合
実施例1
(11aS)−1,2,3,10,11,11a
−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c]
(1,4)−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン
N−Fmoc−L−プロリン・p−アルコキシベンジル樹脂1(Bachem)(0
.34mmole/g,2.0g,0.68mmole)を、30mLのDMF中に懸濁させ、次いで濾過した
。この樹脂を次いで50%ピペラジン/DMFと共に2時間振とうし、次いで濾過
し、DMF(30
mL×5回)及びメチレン・クロライド(30mL×10回)で洗浄した。この樹脂を
20mLのメチレン・クロライド中に懸濁し、2mL(14mmole)のトリエチルアミ
ンを加え、次いで1.0g(5.5mmole,8当量)の2−アジドベンゾイル・クロライ
ドを加えた。この混合物を25℃で3時間振とうし、次いでこの樹脂をメチレン・
クロライド(30mL×10回)、次いでトルエン(30mL×10回)で洗浄した。この
樹脂2を20mLのトルエン中に懸濁し、0.3g(1.14mmole,1.7当量)のトリフェニ
ルホスフィンを加え、この混合物を振とうしてトリフェニルホスフィンを溶解さ
せた。この混合物を振とうし、80℃に3時間加熱し、次いで冷却し、メチレン・
クロライド(30mL×10回)で洗浄した。この淡褐色の樹脂3を真空下に乾燥し
た。
前記のように調製した樹脂3(2.0g,0.68mmole)を、20mLのメチレン・クロ
ライド中に懸濁させ、20mLのトリフルオロ酢酸を加えた。この樹脂を25℃で30
分振とうし、次いで濾過し、メチレン・クロライド(20mL×2回)で洗浄した
。濾液及び洗浄液を集めて合わせ、次いで蒸発させて粗製の製品を得た。このベ
ンゾジアゼピンをフラッシュ・クロマトグラフィーにかけ、60%酢酸エチル/ヘ
キサンで溶離して精製し、製品4を無色の固体として得た。
実施例2
2S,11aS)−2−ベンソイルオキシ−1,2,3
10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ
[2,1−c](1,4)−ベンゾジアゼピン−
5,11−ジオン
N−Fmoc−シス−4−ベンゾイルオキシ−L−プロリン・p−アルコキシ
ベンジル樹脂5(400mg)を10mLのDMF中に懸濁させ、次いで濾過した。次に
この樹脂を10mLの50%ピペリジン/DMFと共に2時間振とうし、次いで濾過
し、DMF(10mL×5回)及びメチレン・クロライド(10mL×10回)で洗浄し
た。この樹脂を10mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、0.4mL(〜3mmole
)のトリエチルアミンを加え、続いて0.2g(1.1mmole)の2−アジドベンゾイル
・クロライドを加えた。この混合物を25℃で12時間振とうし、次いでこの樹脂を
メチレン・クロライド(10mL×10回)、続いてトルエン(10mL×10回)で洗浄
した。この樹脂6を50mLのトルエン中に懸濁させ、0.20g(0.8mmole)のトリフ
ェニルホスフィンを加え、この混合物を振とうしてトリフェニルホスフィンを溶
解させた。この混合物を振とうし、80℃に2時間加熱し、次いで冷却し、トルエ
ン(10mL×5回)及びメチレン・クロライド(10mL×10回)で洗浄した。樹脂
7を真空下に乾燥させた。
前記のように調製した樹脂7を5mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、
5mLのトリフルオロ酢酸を加えた。この樹脂を25℃で30分振とうし、次いで濾
過し、メチレン・クロライド(10mL×2回)で洗浄した。濾液と洗浄液を集め
て合わせ、蒸発させて、粗製の製品を得た。このものをフラッシュ・クロマトグ
ラフィーにかけ、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、製品8を無色の
固体として得た。
実施例3
(11aS)−7,8−ジメトキシ−1,2,3,10,11,
11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c](1,4)
−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン
N−Fmoc−L−プロリン・p−アルコキシベンジル樹脂1(0.34mmole/g,5
.0g,1.8mmole)を50mLのDMF中に懸濁させ、次いで濾過した。次にこの樹脂
を50%ピペリジン/DMFと共に2時間振とうし、次いで濾過し、DMF(50m
L×5回)及びメチレン・クロライド(50mL×10回)で洗浄した。この樹脂を5
0mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、3mL(21mmole)のトリエチルアミ
ンを加え、続いて0.75g(3mmole,1.7当量)の2−アジド−4,5−ジメトキシ
ベンゾイル・クロライドを固体として加えた。この混合物を25℃で12時間振とう
し、次いでこの樹脂をメチレン・クロライド(50mL×10回)、続いてトルエン
(50mL×10回)で洗浄した。この樹脂9を50mLのトルエン中に懸濁させ、1.26
g(4.8mmole,2.6当量)のトリフェニルホスフィンを加え、この混合物を振とう
してこのトリフェニルホスフィンを溶解させた。この混合物を振とうし、80℃に
2時間加熱し、次いで冷却し、トルエン(50mL×10回)、あるいはメタノール
及びメチレン・クロライド(各50mL×5回)、最後にメチレンクロライド(50m
L×5回)で洗浄した。淡褐色の樹脂10を真空下に乾燥させた。
前記のように調製した樹脂10の1.0g(〜0.34mmole)分を20mLのメチレン・
クロライド中に懸濁させ、20mLのトリフルオロ酢酸を加えた。この樹脂を25℃
で30分振とうし、次いで濾過し、メチレン・クロライド(20mL×2回)で洗浄
した。濾液と洗浄液を集めて合わせ、蒸発させて粗製の製品を得た。このベンゾ
ジアゼピンをフラッシュ・クロマトグラフィーにかけ、酢
酸エチルで溶離して精製し、製品11を灰色がかった白色の固体として得た。
実施例4
シクロペプチン
2.5g(1.0mmole/g)のp−アルコキシベンジルアルコール樹脂12を30mLの
メチレン・クロライド中に懸濁させた。3.0g(7.5mmole,3当量)のN−Fmo
c−N−メチル−L−フェニルアラニン、1.0g(0.82mmole,0.3当量)のDMA
P、及び1.74mL(1.26g,10mmole,4当量)のDICを加え、この混合物を2時
間撹拌した。この樹脂を濾過し、メチレン・クロライド(30mL×10回)で洗浄
し、次いで乾燥させた。
1.0gのこのN−Fmoc−N−メチル−L−フェニルアラニン・p−アルコキ
シベンジル・エステル樹脂13を、30mLの50%ピペリジン/DMF中に懸濁さ
せ、2時間撹拌し、次いで濾過し、DMF(30mL×5回)及びメチレン・クロ
ライド(30mL
×10回)で洗浄した。この樹脂を20mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、1
.0mL(〜0.7mmole)のトリエチルアミンを加え、次に0.6g(3.3mmole)の2−
アジドベンゾイル・クロライドを加えた。この混合物を25℃で1時間振とうし、
次いでこの樹脂をメチレン・クロライド(30mL×10回)、続いてトルエン(30m
L×10回)で洗浄した。この樹脂14を20mLのトルエン中に懸濁させ、0.52g(
2.0mmole)のトリフェニルホスフィンを加え、この混合物を振とうしてこのトリ
フェニルホスフィンを溶解させた。この混合物を振とうし、90℃に3時間加熱し
、次いで冷却し、トルエン(20mL×5回)及びメチレン・クロライド(20mL×
10回)で洗浄して、樹脂結合1,4−ベンゾジアゼピン−5−オン15を得た。
この樹脂15を10mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、10mLのトリフル
オロ酢酸を加えた。この樹脂を25℃で2時間振とうし、次いで濾過し、メチレン
・クロライド(20mL×2回)で洗浄した。濾液と洗浄液を集めて合わせ、次い
で蒸発させて粗製の製品を得た。このものをフラッシュ・クロマトグラフィーに
かけ、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶離して精製し、製品16を得た。
実施例5
1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン・
ライブラリーの合成
46個の100mL容合成容器(容器1-46)のそれぞれに、1.2g(0.53mmole/g,0.6
4mmole OH)分のp−アルコキシベンジル樹脂Aを入れた。各容器中の樹脂を3
0mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ、5分間撹拌し、次いで濾過した。こ
の溶媒処理樹脂を再び20mLのメチレン・クロライド中に懸濁させた。20mLのメ
チレン・クロライド:DMF(1:1)中で調製した46種の保護α−アミノ酸溶
液(試薬セット1,4.3mmole,〜7当量)を、懸濁樹脂を含有する各容器に溶液
を一種類づつ加えた。この容器を5分間撹拌し、各容器に、2mLの45mg/mL D
MAP(90mg,0.73mmole,1.2当量)のメチレン・クロライド中溶液を加え、この
混合物を5分間撹拌した。各容器に1.1mL(91mg,7.2mmole,11当量)のDICを
加え、この混合物を14時間撹拌した。次いでこの樹脂バッチBを濾過し、各40m
Lのメチレン・クロライドで5回洗浄した。
この46の樹脂バッチを次のように6種の標識でコード化した。
(i) この樹脂バッチを30mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ
た。C12Cl5標識先駆物質の45mg/mLメチレン・クロライド中溶液の2mL分(
90mg標識先駆物質/容器、樹脂質量当たり〜7.5%)を適切な容器に加え、この
容器を2分間振とうした。C11Cl5標識先駆物質の45mg/mLメチレン・クロラ
イド中溶液の2mL分(90mg標識先駆物質/容器、樹脂質量当たり〜7.5%)を適
切な容器に加え、この容器を2時間振とうした。各容器に、トリフルオロ酢酸ロ
ジウム(II)二量体の1mg/mLメチレン・クロライド中溶液の2mL分を加え、
各添加後、
続いて容器を〜30秒間撹拌した。この樹脂バッチ、標識先駆物質及び触媒を12時
間撹拌し、次いで濾過し、各40mLのメチレン・クロライドで5回洗浄した。
(ii) 標識C10Cl5及びC9Cl5について前記(i)の工程を繰り
返した。
(iii) C8Cl5及びC7Cl5について前記(i)の工程を繰り返し
た。
000001-101110とコード化したこの樹脂バッチを分別漏斗中に集め、各300mL
のメチレン・クロライドで5回洗浄した。次いでこの樹脂を濾過し、真空中で12
時間乾燥させた。
前記樹脂を1.75gの二つの等しいバッチと、0.85gの60の等しいバッチに分け、
前者はそれぞれ二つの100mL容合成容器に入れ(容器1及び2)、後者はそれぞ
れ60の100mL容合成容器に入れた(容器3−62)。
この62の樹脂バッチを次のように6種類の標識でコード化した。
(iV) この樹脂バッチを30mLのメチレン・クロライド中に懸濁させ
た。C6Cl5標識先駆物質の37mg/mLのメチレン・クロライド中溶液の2mL分
(74mg標識先駆物質/容器、樹脂質量で〜8.7%)を適切な3−62の容器に加え
、この容器を2分間振とうした。C6Cl5標識先駆物質の37mg/mL溶液の3mL
分を容器1に加えた(容器1中に111mg標識先駆物質、樹脂質量当たり6.3%)。
C5Cl5標識先駆物質の37mg/mLのメチレン・クロライド中溶液の2mL分(74m
g標識先駆物質/容器、樹脂質量当たり〜8.7%)を3−62の適切な容器に加え、
容器を2分間振
とうした。容器2にC5Cl5標識先駆物質の37mg/mL溶液の3mL分(容器2中1
11mg標識先駆物質、樹脂質量当たり6.3%)を加えた。各容器に、メチレン・ク
ロライド中1mg/mLのトリフルオロ酢酸ロジウム(II)二量体の2mL分を加え
、続いて各添加後、この容器を〜30秒間撹拌した。この樹脂バッチ、標識先駆物
質及び触媒を12時間撹拌し、次いで濾過し、各40mLのメチレン・クロライドで
5回洗浄した。
(V) 標識C4Cl5及びC3Cl5について前記(iV)の操作を繰り返
した。
(Vi) C6Cl3及びC5Cl3について前記(iV)の操作を繰り返した
。但し、C6Cl3及びC5Cl3の標識先駆物質の37mg/mL溶液の4mL分を用い
、また、C4Cl3の標識先駆物質の37mg/mL溶液の4mL分を容器32に加えた。
000001-111110にコード化した樹脂バッチを30mLのDMF中に懸濁させ、5分
間撹拌し、次いで濾過した。各容器にピペリジンのDMF中30%溶液を加え、こ
の混合物を30分間撹拌し、次いで濾過した。この樹脂バッチを、各30mLのDM
Fで2回、次いで各30mLの酢酸のDMF中1%溶液で2回洗浄し、次いで濾過
した。この樹脂を、20mLの酢酸の1%DMF中溶液で再懸濁させ、3−62の各
容器に、2.4mmole(〜5当量)の適切なアルデヒド類(試薬セット2)を、10m
Lの1%HOAc/DMF溶液として加えた。この混合物を2時間撹拌し、次い
で各容器に、ナトリウム・シアノボロハイドライドのTHF中1M溶液の5mL
(5mmole,10当量)を加えた。容器1及び2について
は、アルデヒドの量及びナトリウム・シアノボロハイドライドの容積を2倍にし
た。この混合物を更に90分間振とうし、次いで濾過し、各30mLのDMFで2回
、各30mLのメチレン・クロライドで5回洗浄して、樹脂バッチCを得た。
51 319の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン類の集合を次のようにし
て調製した。樹脂バッチ3C−62Cを合わせて、分別漏斗中で十分に混合し、
次いでメチレン・クロライド中のスラリーとして、100mL容の合成容器中の19の
等しい部分に分けた(〜2.7g,1.4mmole)。この樹脂を30mLのメチレン・クロラ
イドに懸濁させ、2.5mL(1.8g,14mmole,10等量)のジイソプロピルエチルアミ
ンを加え、続いて5mmoleの適切なο−アジドベンゾイル・クロライド(試薬セ
ット3)を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌し、次いで濾過し、各30mL
のメチレン・クロライドで5回、各30mLのキシレンで2回洗浄して、樹脂バッ
チDを得た。各樹脂バッチをスラリーとしてそれぞれ50mL容のフラスコに移し
、この懸濁液にアルゴンを5分間吹き付け、次いで隔膜で封じた。各フラスコに
18mL(1.45g,7.2mmole,5当量)のトリブチルホスフィンを加え、この混合物
を140-150℃に6時間加熱し、次いで冷却し、濾過し、各30mLのトルエンで2回
、各30mLのメチレン・クロライドで5回洗浄して、樹脂結合ベンゾジアゼピン
Eを得た。
この樹脂、20ビーズを70%TFA/水の100μL中に4時間懸濁させ、溶液を
濾過することによって、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン製品Fを樹
脂支持体から開裂させた。
1170の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンの第2の集合を次のように
して調製した。樹脂バッチ1C及び2Cを合わせ、分別漏斗中で十分に混合した
。この樹脂を真空中で乾燥させ、13の等しい部分(〜0.27g,0.14mmole)に分け
て、20mLの合成容器に入れた。この樹脂を10mLのメチレン・クロライド中に懸
濁させ、0.25mL(0.18g,1.4mmole,10当量)のジイソプロピルエチルアミンを加
え、続いて13種のο−アジドベンゾイル・クロライド0.5mmoleを加えた。この混
合物を室温で16時間振とうし、次いで濾過し、各10mLのメチレン・クロライド
で5回、及び各10mLのキシレンで2回洗浄して、樹脂バッチDを得た。各樹脂
バッチをスラリーとしてそれぞれの25mL容フラスコに移し、この懸濁液にアル
ゴンを5分間吹き付け、隔膜で封じた。各フラスコに、0.14mL(0.11g,0.55mmo
le,4当量)のトリブチルホスフィンを加え、この混合物を140-150℃に6時間
加熱し、次いで冷却し、濾過し、各10mLのトルエンで2回、各10mLのメチレン
・クロライドで5回洗浄して樹脂バッチEを得た。このものから、前述のように
して1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン製品Fを開裂させることができ
る。
実施例6
解読操作
2μLのアセトニトリルを有する1.3mm径のパイレックス毛細管にビーズ一つ
を入れる。硝酸第2セリウム・アンモニウム溶液(0.1M水溶液の2μL)及び
ヘキサン(3μL)を加え、この2
相混合物を短時間遠心分離にかける。このチューブを封じ、35℃で16時間放置し
、次いで管を開く。注射器で有機層を取り出し、1μLのN,O−ビス(トリメ
チルシリル)アセトアミドと混合する。このシラン化標識溶液(1μL)を電子
捕獲(EC)検出器を有するGCで分析した。
このGC分析はHewlett Packard 5890プラスガスクロマトグラフを用いて行
った。注入については、25m,0.2mmの架橋5%フェニルメチルシリコーンカラム
に接続した5m,0.32mm滞留ギャップを採用した。分析のための温度及び圧力プロ
グラムは、200-320℃では15℃/分、次いで320℃で10分間、そして20-40psiでは
2psi/分、次いで40psiで10分間である。EC検出器は400℃に保ち、補助ガス
は35psiにセットする。
このビーズに結合しているライブラリー化合物の確認は、このような化合物の
合成に用いた試薬に基づいて確かめられる。このものは、前記の操作を通じて特
徴付けられるように、このような試薬の各アイデンティファイアーとそれぞれ関
連する二進法コードから容易に決定される。
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,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,
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