JPH11352033A - ルテニウムまたはバナジウムの分析方法 - Google Patents

ルテニウムまたはバナジウムの分析方法

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JPH11352033A
JPH11352033A JP10160334A JP16033498A JPH11352033A JP H11352033 A JPH11352033 A JP H11352033A JP 10160334 A JP10160334 A JP 10160334A JP 16033498 A JP16033498 A JP 16033498A JP H11352033 A JPH11352033 A JP H11352033A
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ruthenium
vanadium
analysis
solution
oxide
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JP10160334A
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Naohiko Sado
直彦 佐渡
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気化学キャパシター(スーパーエナジーキャ
パシター)の電極材料中のルテニウムおよびバナジウム
を短時間で精度よく定量分析する方法を提供する。 【解決手段】カーボン担持ルテニウム電極、バナジウム
電極を塩酸または王水により溶液化し、ろ過残さを加熱
灰化した後更に酸により溶解し、その溶液をプラズマ発
光分析法によって定量分析する。ルテニウム酸化物とバ
ナジウム酸化物の混合酸化物を炭酸カリウムナトリウム
とをアルカリ融剤として、溶融した後、塩酸を用いて水
溶液を調製し、その溶液をプラズマ発光分析法によって
定量分析する。プラズマ発光分析法の測定波長として、
ルテニウムの場合は240.272nmまたは267.
876nm、バナジウムの場合は292.402nmま
たは311.071nmを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電気化学
キャパシターの電極として用いられるカーボン担持ルテ
ニウム電極またはバナジウム電極、或いは酸化ルテニウ
ムと酸化バナジウムとの酸化物電極中のルテニウムまた
はバナジウムの分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バッテリーなどの蓄電デバイス分野にお
いて、パワー密度が数倍高く、劣化が少ないなどの従来
のバッテリーにはなかった特徴を持つ電気二重層キャパ
シターが注目され、その様々な応用例が展開されてい
る。この電気二重層キャパシターは導電体(電極)と電
解液の界面においてイオンの分極によりできるものであ
り、イオンの移動のみで物質の溶出析出がないため、電
極の劣化が少なく、信頼性も高く、長期間にわたりメン
テナンスが不要とされている。
【0003】現在では、電気二重層キャパシターよりエ
ネルギー密度の点で更に進んだ電気化学キャパシター
(スーパーエナジーキャパシターともよばれ、以後SE
Cと略記する)の開発が盛んに行われている。電気二重
層キャパシターが電荷の分離により蓄電するのに対し
て、SECは電気化学反応による反応物質の自由エネル
ギーの増加として電荷を蓄積すると考えられている。従
って、SECは、バッテリーと異なって、界面の反応の
みに関与しているといわれている。
【0004】SECの電極としては、カーボンに担持さ
れたルテニウム(以下Ruと記す)またはバナジウム
(以下Vと記す)にフッ素樹脂の粉末を加えてシート状
にした電極や、チタン(以下Tiと記す)などの金属基
板に塗布された状態のRu−V系酸化物の電極が適当と
されている。蓄積電荷量などの特性や効果を評価するた
めには、電極材料の組成による違いを把握することが極
めて重要であり、Ru、V或いはそれらの酸化物を迅速
に精度よく定量分析する方法が求められている。特に、
電極材料の性状、構造等がまだ多様である現状において
は、分析試料の前処理方法を含め、一般化されうる分析
方法が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】RuとVの標準的な分
析方法は、日本分析化学会編の分析化学便覧〔改訂四版
(1991)〕に述べられている。その内容は、金属Ruと金
属Vについて酸による溶液化後、吸光光度法,原子吸光
法等を適宜適用し、主成分または微量成分としてのR
u、Vを検出し、定量分析する方法が述べられているだ
けであって、多様な分析試料の状態によってそれぞれ異
なる分析方法を網羅しているわけではない。
【0006】金属Ru、その合金および酸化物は、一般
の酸に不溶解性であり、分解には過酸化ナトリウム(N
2 2 )、水酸化ナトリウム(Na2 OH)や硝酸カ
リウム(KNO3 )などの酸化剤を併用したアルカリ融
解法が、また酸化ルテニウム(RuO4 )の蒸留による
分離法が知られている。しかし、Ruは液性により酸化
数変化などを起しやすく溶媒抽出なども不安定になり、
安定して行える良好な分解溶液化の方法がない。特に、
カーボンなどの炭化物が共存する場合の一般化された分
解の方法は知られていない。
【0007】金属Vについては、硝酸などの酸に可溶解
性である。しかしやはり、カーボンなどの炭化物が共存
する場合の分析の方法は、知られていない。さらに、R
uとVを含む酸化物については酸に不溶解性とされてお
り、分析試料の溶液化の方法を見出さなければならな
い。本発明はこのような状況に鑑みてなされ、その目的
は電極材料等に含まれるRuおよびVの分析に最適な試
料調製法と高精度な定量化の方法とからなる分析方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め本発明は、カーボンに担持されたルテニウムまたはバ
ナジウムの定量分析において、試料を酸で溶解溶液化す
る工程と、不溶解物を焼成後再度酸による分解をして回
収する工程と、得られた溶液中のルテニウム量またはバ
ナジウム量をプラズマ発光分析によって求める定量工程
とからなるものとする。特に、酸として、塩酸または王
水を用いるのがよい。
【0009】カーボンに担持された試料を溶解し、更に
残さを焼成して灰化後に再溶解することによって、残さ
中の微量成分も完全に回収し、回収率を高められる。安
定なルテニウム酸化物は、硝酸や塩酸等の通常の酸に溶
解しないが、金属Ruは、王水、または空気を含む塩酸
に溶解する。また、安定なバナジウム酸化物は酸、アル
カリに溶け、金属Vはふっ酸、硝酸、王水、熱硫酸には
溶けるとされている[いずれも理化学辞典(第三版)岩
波書店参照]。
【0010】ルテニウム酸化物は、カーボンによって簡
単に還元されるので、塩酸で溶解できるようになる。一
方、安定なバナジウム酸化物はカーボンによる還元は困
難であるが、酸化物として酸、アルカリに溶ける、また
金属Vは王水に溶けるので、上記の処理で溶液化でき、
ルテニウム(Ru),バナジウム(V)のプラズマ発光
分析法の適用が可能になる。
【0011】少なくともルテニウム酸化物とバナジウム
酸化物の一方を含む酸化物中のルテニウムまたはバナジ
ウムの定量分析において、酸化物をアルカリ融剤ととも
に加熱融解する工程と、酸による溶液化を行う工程と、
得られた溶液中のルテニウム量および/またはバナジウ
ム量をプラズマ発光分析によって求める定量工程とから
なるものとする。
【0012】安定なルテニウム酸化物は、酸に溶解しな
いが、アルカリ融剤とともに加熱融解すれば、、酸によ
る溶液化ができる。特に、炭酸カリウムナトリウムを用
いてアルカリ融解することにより、RuとVからなる混
合酸化物は、炭酸ガスを放出して溶融し、その後に加え
る塩酸は、融剤の炭酸塩を分解して塩酸酸性として試料
溶液の安定化に効果がある。
【0013】ルテニウム量を発光分析によって求める定
量工程において、測定波長として240.272nmま
たは267.876nmを用い、バナジウム量を発光分
析によって求める定量工程において、測定波長として2
92.402nmまたは311.071nmを用いるの
がよい。それらの波長は、線強度が大きいだけでなく、
近接線が無く分光干渉を低減できるので、他の発光線に
比べて最も感度の高い分析が可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】SECの電極としては、Ruおよ
びVを担持したカーボン粉末に四フッ化エチレン樹脂を
加えてシート状にしたものや、チタンなどの金属基板に
Ru−V系酸化物粉末を塗布したものがあり、以下、こ
れらの材料ごとに溶液化、および定量化する本発明の実
施の形態を図面を参照しながら説明する。 [実施例1]カーボン担持Ruの分析 [1−1]試料調製 図1は、本発明に係るカーボン担持Ru電極試料中のR
uの定量分析のための試料調製から分析にいたる手順を
示す流れ図である。
【0015】試料は、Ruを担持したカーボン粉末に四
フッ化エチレン樹脂を加えてシート状にしたカーボン電
極である。担持方法は、四塩化ルテニウム溶液をアルカ
リ処理しておこなった。X線回折をおこなったところ、
アモルファス状態であり、Ruの低級酸化物が混ざって
いると考えられる。カーボン担持Ru電極の10〜50
mg(本実施例では20mg)を正確に秤量する。秤量
した試料を容量100mlのビーカーに移し、試薬の塩
酸(HCl35%含有)5mlを加える。、ビーカーの
蓋には所定の時計皿を用いる。
【0016】100℃のホットプレート上で加熱を10
分間行い、その後室温まで冷却(放置)する。次いで、
約15mlの純水を加えて、ろ過操作を行う。ガラス製
ロートに、ろ紙(No.5B、直径9cm)をセットし
ておき、容量100mlのメスフラスコを受器とする。
ろ過・洗浄は純水約5mlで3回行う。
【0017】さらに、カーボンを含む残さを磁製ルツボ
(容量約20ml)に移し、ガスバーナーで加熱し灰化
する。次いで、800℃に設定した電気炉で約60分間
加熱し灰化する。冷却後の残さの灰化物に塩酸を3ml
加えて加熱分解し、冷却後、前記のろ液と合わせて全量
100mlに定容する。
【0018】安定なルテニウム酸化物は、硝酸や塩酸等
の通常の酸に溶解しないが、カーボンによって簡単に還
元され、王水、または空気を含む塩酸に徐々に溶けると
されている。従って、金属Ruと酸化物が混在していた
としても、上記の操作でほぼ完全に回収されていると考
えられる。これで、Ruのプラズマ発光(ICP)分析
試料液が完成する。この分析試料の溶液化の調製は約1
時間以内で完了することができる。 [1−2]分析装置と定量分析のための基準化 図2は、本発明の分析方法で使用した、プラズマ発光分
析装置の構成図である。
【0019】この分析計は、高周波電源部34、試料導
入部32、光源部31、分光部35、測光部36および
データ処理部37からなり、光源部にアルゴンガス38
が送られ励起温度が6000〜8000Kの高温のアル
ゴンプラズマが用いられる。試料液は、試料導入部のネ
ブライザー(霧吹型)からプラズマ炎中に導入して発光
させ、発光線は分光器で分光し測定線の選別を行って光
電子増倍管36で光電検出が行われる。溶液化された灰
化物の試料液33が準備されてRu(或いはV)の発光
線が測定される。
【0020】プラズマ発光分析における感度の低下や妨
害になる干渉には次に示すような4つの事項が知られて
いる。 物理干渉−−試料液の粘性、表面張力、密度などの物
理的性質の変化によるもの 化学干渉−−試料液中の難解離性化合物の生成などの
化学的性質の変化によるもの イオン化干渉−−試料液中にアルカリ金属類などイオ
ン化しやすい元素が多く含まれているときプラズマ内の
イオン化平衡が変化するもの 分光干渉−−プラズマガス成分やプラズマ中の他の分
子や原子による発光スペクトルが目的とする分析スペク
トルと重なって分析測定に影響することによるもの 〜項は、試料調製時の試薬の種類と量が関係する。
後述のように、前記分析試料調製時に用いた融剤と塩酸
の量を管理して、標準試料液に対しても分析試料と同等
量を添加し、液組成の整合をおこなって用いるようにし
たため分析上の干渉は除外されている。
【0021】また項については、分析波長を選択する
ことで影響を避けることができる。図3(a)は、本実
施例に係るRuの分析波長選定時の発光スペクトルであ
る。本実験では、検討の結果Ru(240.272nm
または267.876nm)を使うこととした。Ruの
発光線としては、他に245.657nmの線がある
が、図に見られるように近接線があるので採用しなかっ
た。240.272nmまたは267.876nmは近
接線がなく、分析に適当である。すなわち、この波長を
選択することによって、分光干渉がなく分析できる。
【0022】分析方法の主な測定条件を表1に示す。
【0023】
【表1】 定量分析のための標準試料液としては、適当な濃度の試
薬(塩化Ru)の水溶液を調製する。但し、分析試料と
同じ条件とするため、8%の塩酸が加えられている。そ
の標準試料液のプラズマ発光分析の発光強度を測定し、
直線回帰計算により定数を求めて、Ruの定量分析のた
めの検量線を作成する。電極中のRuの量はppmレベ
ルで存在することが推定される。この量を評価するた
め、標準試料液中のRu濃度は0.1〜100ppmレ
ベルで行った。
【0024】図3(a)は、標準試料液について得られ
た検量関係を示す線図の例で、分析波長267.876
nmでのRuの検量線図である。直線性の良好な検量線
が得られている。この時の実験式は次の通りで、濃度の
単位はmg/Lすなわちppmである。 X(Ru)=6.0266×10-6y - 4.982 ×10-3 濃度と発光強度の相関係数=0.999 ここでyは発光強度である。試料中のRu濃度と発光強
度との相関係数は0.999で極めて良好であることが
わかる。
【0025】[1−3]定量分析精度 調合組成を5.00mg/Lとした標準試料液につい
て、プラズマ発光強度の測定を行い、図4(a)に示し
た検量線を適用して繰り返し分析精度の検討を行った結
果を表2に示す。
【0026】
【表2】 標準試料液でのRu濃度の繰り返し分析精度は、変動係
数で0.6%以下で良好である。これから定量分析自体
の精度は、極めて高いことがわかる。
【0027】[1−4]電極中のRuの定量分析 表3は、電極中のRuの定量分析結果であり、単位は、
(mg/L)である。
【0028】
【表3】 繰り返し分析精度は、変動係数で0.6%以下で良好で
ある。これから溶液化の工程を含め本発明の分析方法の
精度が極めて高いことがわかる。
【0029】このRu量をもとの0.0200gの電極
に対する含有量に換算すると、1.50(質量)%とな
る。また、カーボンに担持した他のRu電極にも適用し
た結果、Ru濃度について、1〜5%の値が得られた。 [実施例2]カーボン担持Vの分析 [2−1]試料の調製 図3は、本発明に係るカーボン担持V電極中のVの定量
分析のための試料調製から分析にいたる手順を示す流れ
図である。
【0030】試料は、カーボン粉末に四フッ化エチレン
樹脂を加えてシート状にしたカーボン電極である。担持
方法は、バナジン酸アンモン溶液をアルカリ処理してお
こなった。X線回折をおこなったところ、アモルファス
状態でありVの低級酸化物が混ざっていると考えられ
る。カーボン担持V電極の10〜50mg(本実施例で
は20mg)を正確に秤量する。秤量した試料を容量1
00mlのビーカーに移し、試薬の塩酸(HCl 35
%含有)4.5mlと硝酸(HNO3 65%含有)1.
5mlの王水を加える。ビーカーの蓋には所定の時計皿
を用いる。
【0031】約100℃のホットプレート上で加熱を1
0分間行い、その後室温まで冷却(放置)する。次い
で、約15mlの純水を加えて、ろ過操作を行う。ガラ
ス製ロートに、ろ紙(No.5B、直径9cm)をセッ
トしておき、容量100mlのメスフラスコを受器とす
る。ろ過・洗浄は純水約5mlで3回行う。さらに、カ
ーボンを含む残さを磁製ルツボ(容量約20ml)に移
し、ガスバーナーで加熱し灰化する。次いで、800℃
に設定した電気炉で約60分間加熱し灰化する。
【0032】冷却後の残さの灰化物に王水を3ml加え
て加熱分解し、冷却後、前記のろ液と合わせて全量10
0mlに定容する。安定なバナジウム酸化物はカーボン
による還元は困難であるが、酸化物として酸、アルカリ
に溶けるとされている。また金属Vはふっ酸、硝酸、王
水、熱硫酸には溶ける。従って、金属Vと酸化物が混在
していたとしても、上記の操作でほぼ完全に回収されて
いると考えられる。。
【0033】これで、Vのプラズマ発光(ICP)分析
試料液が完成する。この分析試料の溶液化の調製は約1
時間以内で完了することができる。 [2−2]分析装置と定量分析のための基準化 分析装置は、図2の発光分光分析装置を使用する。図3
(b)は、Vの分析波長選定時の発光スペクトルであ
る。本実験では、検討の結果V(292.402nmま
たは311.071nm)を使うこととした。
【0034】Vの発光線としては、他に310.230
nmの線があるが、図に見られるように近接線があるの
で採用しなかった。292.402nmまたは311.
071nmは近接線がなく、分析に適当である。すなわ
ち、この波長を選択することによって、分光干渉がなく
分析できる。分析方法の主な測定条件としては波長以外
は、表1と同じとした。
【0035】定量分析のための標準試料液としては、適
当な濃度の試薬(バナジン酸アンモン)の水溶液を調製
する。但し、分析試料と同じ条件とするため、9容量%
の王水が加えられている。その標準試料液のプラズマ発
光分析の発光強度を測定し、直線回帰計算により定数を
求めて、Vの定量分析のための検量線を作成する。電極
中のVの量はppmレベルで存在することが推定され
る。この量を評価するため、標準試料液中のV濃度は
0.1〜100ppmレベルで行った。上記のように決
めた測定条件でVの発光線の強度から、直線回帰計算に
より定数を求めて、検量線を作成した。
【0036】図4(b)は、標準試料液について得られ
た検量関係を示す線図の例で、分析波長311.071
nmでのVの検量線を示す。直線性の良好な検量線が得
られた。この時の実験式は次の通りで、濃度の単位はm
g/Lすなわちppmである。 X(V)=6.5139×10-7y - 1.063 ×10-4 濃度と発光強度の相関係数=0.999 ここでyは発光強度である。試料中のV濃度と発光強度
との相関係数は0.999で極めて良好であることがわ
かる。
【0037】[2−3]定量分析精度 調合組成を30.0mg/Lとした標準試料液につい
て、プラズマ発光強度の測定を行い、図4(b)に示し
た検量線を適用して繰り返し分析精度の検討を行った結
果を表4に示す。
【0038】
【表4】 標準試料液でのV濃度の繰り返し分析精度は、変動係数
で0.6%以下で良好である。これから定量分析自体の
精度は、極めて高いことがわかる。
【0039】[2−4]Vの定量分析 溶液化の工程を含め前記の確立した方法をカーボン担持
V試料に適用した。表5は、Vの定量分析結果であり、
単位は、(mg/L)である。
【0040】
【表5】 繰り返し分析精度は、変動係数で0.8%以下で良好で
ある。これから溶液化の工程を含め本発明の分析方法の
精度が極めて高いことがわかる。
【0041】このV量をもとの0.0200gの電極に
対する含有量に換算すると、10.0(質量)%とな
る。また、カーボンに担持した他のV電極にも適用した
結果、V濃度について、5〜30%の値が得られた。 [実施例3]Ru−V系酸化物の分析 [3−1]試料の調製 図6は、本発明に係るRu−V系酸化物(RuO2 −V
X )中のRu、Vの定量分析のための試料調製から分
析にいたる手順を示す流れ図である。
【0042】金属基板のRu−V系酸化物付電極は、T
iの薄板に塩化ルテニウムとバナジン酸アンモンを付着
させ、空気中約450℃の熱処理を経て作製された。分
析用のRuO2 −VOX 混合酸化物は、金属基板からこ
そげた黒色の粒状物である。その10〜20mg(本実
施例では10mmg)を正確に秤量する。秤量した試料
を容量約30mlの白金ルツボに移し、融剤の炭酸カリ
ウムナトリウム(NaKCO3 )を1g秤り取って白金
ルツボ内で混合する。
【0043】次に、ガスバーナー上で約3〜5分加熱溶
融する。さらに、溶融を完全にするため、800℃に設
定した電気炉で約15分間加熱する。その後、室温まで
冷却(放置)する。次に、白金ルツボを予め準備した容
量200mlのビーカーに移し、希塩酸(HCl 10
%含有)5mlを加え、さらに純水を30ml加えて約
1分間煮沸し、炭酸ガスを除去して溶液化する。
【0044】冷却後、試料液を全量100mlに定容化
する。これで、RuとVのプラズマ発光(ICP)分析
試料液が完成する。Ru−V系の安定な酸化物は酸に不
溶解性であるため、アルカリ溶融法を採用した。融剤の
適用には、試料の溶解性,比較的低融点で融解するこ
と,少ない使用量で融解できることなどの特性が求めら
れる。種々検討した結果、Ru−V系酸化物試料の溶融
分解には炭酸塩がよいと考え、炭酸カリウムナトリウム
(NaKCO3 )を用いた。この融剤を適用した特徴
は、酸化物に対して酸化ナトリウム(Na2 O)と酸化
カリウム(K2 O)が化合し、二酸化炭素を発生して融
解が行われる複分解作用と溶解性塩の生成作用にある。
融解後は希塩酸によって溶液化でき、溶液状態で加熱し
て炭酸ガスを除去し、分析試料液とした。
【0045】この試料溶液についてRuとVの発光強度
の測定から定量分析を行うことができる。 [3−2]分析装置と定量分析のための基準化 分析装置は、図2の発光分光分析装置を使用する。条件
は表1の通りで、本実施例では、Ru(240.272
nmまたは267.876nm)およびV(292.4
02nmまたは311.071nm)を使うこととし
た。
【0046】検量線も実施例1、実施例2のものを使用
することにした。 [3−3]RuとVの定量分析精度 図6に示した試料調製法で調製した試料液に整合させた
標準液について前記のプラズマ発光強度の測定を行い、
図4(a)、(b)に示した検量線を適用して繰り返し
分析精度の検討を行った結果を表6に示す。但し、分析
試料と同じ条件とするため、炭酸カリウムナトリウムと
5容量%の塩酸が加えられている。
【0047】
【表6】 標準試料液でのV濃度の繰り返し分析精度は、変動係数
で0.8%以下で良好である。これから定量分析自体の
精度は、極めて高いことがわかる。
【0048】[3−4]Ru、Vの定量分析 溶液化の工程を含め前記の確立した方法をRu−V系酸
化物試料に適用した。表7は、Ru、Vの定量分析結果
であり、単位は、(mg/L)である。
【0049】
【表7】 繰り返し分析精度は、変動係数で0.8%以下で良好で
ある。これから溶液化の工程を含め本発明の分析方法の
精度が極めて高いことがわかる。
【0050】このRu、V量をもとの0.0100gの
Ru−V系酸化物に対する含有量に換算すると、それぞ
れ4.01(質量)%、2.50(質量)%となる。ま
た、他のRu−V系酸化物電極にも適用した結果、R
u、V濃度について、それぞれ1〜10%、5〜30%
の値が得られた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
気化学キャパシターの電極材料としてカーボンに担持さ
れて用いられるルテニウムまたはバナジウム、金属基板
に塗布されて用いられるルテニウム酸化物とバナジウム
酸化物の混合酸化物中のルテニウムとバナジウムを定量
する分析方法において、酸による溶解、あるいは炭酸カ
リウムナトリウムのようなアルカリ融剤と共に加熱溶融
した後、塩酸を加える方法により、試料ごとに最適化な
方法で溶液化し、その試料液をプラズマ発光分析するこ
とにより、短時間で精度よくルテニウムまたはバナジウ
ム量を定量できることを示した。
【0052】特に、プラズマ発光分析法の測定波長とし
て、ルテニウムの場合は240.272nmまたは26
7.876nm、バナジウムの場合は292.402n
mまたは311.071nmを用いることにより、類似
元素が共存する場合においてもその影響を受けず精度よ
く定量分析ができる。本発明の分析方法は、電気化学キ
ャパシターの電極材料の評価以外にも、ルテニウムとバ
ナジウムを定量する分析方法として様々な用途に適用で
きる極めて実用的な方法と言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボン担持Ru電極の試料調製から定量分析
までの手順を示す流れ図
【図2】プラズマ発光分析装置の構成図
【図3】(a)はプラズマ発光分析におけるRuのスペ
クトル図、(b)はVのスペクトル図
【図4】(a)は標準溶液を用いたRuの検量線図、
(b)は標準溶液を用いたVの検量線図
【図5】カーボン担持V電極の試料調製から定量分析ま
での手順を示す流れ図
【図6】Ru−V混合酸化物電極の試料調製から定量分
析までの手順を示す流れ図
【符号の説明】
31...プラズマ炎 32...ネブライザー(霧吹型) 33...試料液 34...高周波電源 35. ..分光器 36...検出器(光電子増倍管) 37. ..データ処理部 38...アルゴンガス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンに担持されたルテニウムまたはバ
    ナジウムの定量分析において、試料を酸で溶解する工程
    と、不溶解物を焼成後再度酸による分解をして回収する
    工程と、得られた溶液中のルテニウム量またはバナジウ
    ム量をプラズマ発光分析によって求める定量工程とから
    なることを特徴とするルテニウムまたはバナジウムの分
    析方法。
  2. 【請求項2】酸として、塩酸または王水を用いることを
    特徴とする請求項1記載のルテニウムまたはバナジウム
    の分析方法。
  3. 【請求項3】少なくともルテニウム酸化物とバナジウム
    酸化物の一方を含む酸化物中のルテニウムまたはバナジ
    ウムの定量分析において、酸化物をアルカリ融剤ととも
    に加熱融解する工程と、酸による溶液化を行う工程と、
    得られた溶液中のルテニウム量および/またはバナジウ
    ム量をプラズマ発光分析によって求める定量工程とから
    なることを特徴とするルテニウムまたはバナジウムの分
    析方法。
  4. 【請求項4】アルカリ融剤として、炭酸カリウムナトリ
    ウムを用い、酸として、塩酸を用いることを特徴とする
    請求項3記載のルテニウムまたはバナジウムの分析方
    法。
  5. 【請求項5】ルテニウム量を発光分析によって求める定
    量工程において、測定波長として240.272nmま
    たは267.876nmを用いることを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載のルテニウムの分析方
    法。
  6. 【請求項6】バナジウム量を発光分析によって求める定
    量工程において、測定波長として292.402nmま
    たは311.071nmを用いることを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載のバナジウムの分析方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2627854C1 (ru) * 2016-10-10 2017-08-14 Федеральное бюджетное учреждение науки "Федеральный научный центр медико-профилактических технологий управления рисками здоровью населения" (ФБУН "ФНЦ медико-профилактических технологий управления рисками здоровью населения") Способ количественного определения алюминия, ванадия, вольфрама, железа, кадмия, кобальта, магния, марганца, меди, никеля, свинца, стронция, титана, хрома, цинка в атмосферном воздухе методом масс-спектрометрии с индуктивно связанной плазмой
JP2020076701A (ja) * 2018-11-09 2020-05-21 オルガノ株式会社 バナジウム定量方法

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