JPH11318460A - 抗真菌剤の選択方法 - Google Patents

抗真菌剤の選択方法

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JPH11318460A
JPH11318460A JP10132020A JP13202098A JPH11318460A JP H11318460 A JPH11318460 A JP H11318460A JP 10132020 A JP10132020 A JP 10132020A JP 13202098 A JP13202098 A JP 13202098A JP H11318460 A JPH11318460 A JP H11318460A
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JP
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protein
fungal
cell
human
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Application number
JP10132020A
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English (en)
Inventor
Shuji Muramatsu
周治 村松
Akio Matsuda
昭生 松田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】(i)ヒトホモログタンパク質をコードす
る遺伝子を宿主細胞に導入、発現せしめ、かつ該宿主細
胞の(ホモログ)タンパク質をコードする遺伝子を破壊
せしめたヒト作用チェック用組換え細胞を調製し、(i
i)真菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に導
入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タンパ
ク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞であ
る真菌作用チェック用細胞を調製し、(iii)該ヒト
作用チェック用組換え細胞と該真菌作用チェック用細胞
とを被検物質の存在下それぞれ培養し、該ヒト作用チェ
ック用組換え細胞より該真菌作用チェック用細胞の増殖
を低下せしめる被検物質を選択する抗真菌活性を有する
被検物質の選択方法。 【効果】 ヒトに毒性が低く、真菌に強い阻害活性を有
する抗新菌剤の効率的な探索が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ヒトに対する毒性
が低く、真菌、より好ましくは病原性真菌由来のタンパ
クに対して強い阻害活性を有する物質の選択方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、免疫不全の弱点を持つ患者、例え
ば後天性免疫不全症候群の患者あるいは免疫抑制的治療
を受けている患者の数が増加する結果として、真菌症の
発生数は増加傾向にある。特にカンジダ・アルビカンス
(Candida albicans)やアスペルギル
ス・フミガーツス(Aspergillus fumi
gatus)の感染によって引き起こされる深在性真菌
症に対しては、現状はわずかの抗真菌剤、例えばアンフ
ォテリシンB及びフルシトシン、またはアゾール誘導体
のフルコナゾールやイトラコナゾール等の抗真菌剤が存
在するのみである。これらの抗真菌剤は、重大な副作
用、例えば腎不全、低カルシウム血症及び貧血、並びに
不快な体質的症状、例えば熱、身震い、低血圧を引き起
こす。このような理由から、低毒性且つ有効性の高い薬
剤の開発が待たれている。
【0003】抗真菌剤の選択方法に関しては、あまり多
くは報告されていないのが実状である。一般に抗真菌剤
探索の第一段階では、in vitroでの探索系が用
いられる。その中の主なものとしては、寒天培地拡散法
による阻止帯形成による抗真菌剤の選択方法が挙げられ
る。この方法は古くから行われているオーソドックスな
方法で、カップ法や濾紙ディスク法による活性成分を検
出する方法である。抗真菌活性を有する物質は、検定菌
(例えばカンジダ・アルビカンス等の病原性真菌)を使
って作製した寒天平板上の濾紙ディスクやカップの回り
に生育阻止円を形成する。また別の方法としては、酵素
阻害活性を測定することによる抗真菌剤の選択方法が挙
げられる。単離した酵素の基質の取り込み阻害を指標と
した抗真菌剤の選択方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】抗真菌剤の探索におい
て、問題となるのはやはり毒性である。一般には抗真菌
活性の強いものはやはり毒性も強いと言われている。従
って、探索で最も重要なことは、早めに毒性を検討する
ことである。抗真菌剤が毒性を示す原因としては、一つ
の理由として、抗真菌剤が、真菌における抗真菌剤の作
用点となるタンパク質のヒトホモログタンパク質を阻害
してしまうことが挙げられる。
【0005】従ってヒトに毒性が少ない有望な抗真菌剤
を高い確率で見つけだすことのできる抗真菌剤の効率的
な選択方法を開発する必要があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に基づいて鋭意検討を重ねた結果、遺伝子工学的技術が
駆使でき、且つ真核細胞のモデル生物と言われている酵
母を用いて、抗真菌活性を有し、且つヒトにおける毒性
が弱い物質を効率よく選択する方法を開発することに成
功した。
【0007】即ち本発明は、抗真菌活性を有する被検物
質の選択方法において、(i)真菌の生育に必須の真菌
タンパク質、および該真菌タンパク質のヒトホモログタ
ンパク質がそれぞれ存在し、および必要に応じて宿主細
胞を用いる場合には該真菌タンパク質と同一又は相同す
る該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質が存在してお
り、下記の(ii)、(iii)、(iv)の工程を行
うか、または(v)、(vi)(vii)の工程のいず
れかを行うことを特徴とする抗真菌活性を有する被検物
質の選択方法。ただし宿主細胞はヒト細胞である場合を
除く。(ii)該ヒトホモログタンパク質をコードする
遺伝子を該真菌又は宿主細胞に導入、発現せしめ、かつ
該真菌においては該真菌タンパク質をコードする遺伝
子、又は該宿主細胞においては該宿主細胞の(ホモロ
グ)タンパク質をコードする遺伝子を破壊せしめたヒト
作用チェック用組換え細胞を調製し、(iii)a)該
真菌又は b)該真菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に
導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タン
パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞、
のいずれかからなる真菌作用チェック用細胞を調製し、
(iv)該ヒト作用チェック用組換え細胞と該真菌作用
チェック用細胞とを被検物質の存在下培養し、該ヒト作
用チェック用組換え細胞より該真菌作用チェック用細胞
の増殖を低下せしめる被検物質を選択する、又は(v)
ヒト細胞からなるヒト作用チェック用細胞を調製し、
(vi)ヒト細胞に該真菌タンパク質をコードする遺伝
子を導入、発現せしめ、かつ該ヒト細胞のホモログタン
パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた真菌作用チェ
ック用組換え細胞を調製し、(vii)該ヒト作用チェ
ック用細胞と該真菌作用チェック用組換え細胞とをそれ
ぞれ被検物質の存在下培養し、該ヒト作用チェック用細
胞より該真菌作用チェック用組換え細胞の増殖を低下せ
しめる被検物質を選択する方法である。
【0008】また本発明のより好ましい態様としては、
抗真菌活性を有する被検物質の選択方法において、
(i)真菌の生育に必須の真菌タンパク質、および該真
菌タンパク質のヒトホモログタンパク質がそれぞれ存在
し、および必要に応じて宿主細胞を用いる場合には該真
菌タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞の(ホモロ
グ)タンパク質が存在しており、(ii)該ヒトホモロ
グタンパク質をコードする遺伝子を該真菌又は宿主細胞
に導入、発現せしめ、かつ該真菌においては該真菌タン
パク質をコードする遺伝子、又は該宿主細胞においては
該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質をコードする遺伝
子を破壊せしめたヒト作用チェック用組換え細胞を調製
し、(iii)a)該真菌又は b)該真菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に
導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タン
パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞、
のいずれかからなる真菌作用チェック用細胞を調製し、
(iv)該ヒト作用チェック用組換え細胞と該真菌作用
チェック用細胞とを被検物質の存在下それぞれ培養し、
該ヒト作用チェック用組換え細胞より該真菌作用チェッ
ク用細胞の増殖を低下せしめる被検物質を選択すること
を特徴とする抗真菌活性を有する被検物質の選択方法で
ある。
【0009】ここで上記(ii)における宿主細胞とし
て酵母を用い、かつ(iii)の真菌作用チェック用細
胞として該酵母の野生株を用いることもできる。この場
合は、酵母に対する抗酵母剤を選択することが可能であ
る。宿主細胞としては微生物や動物細胞が挙げられる
が、(ii)と(iii)において同一の細胞を用いる
ことが好ましい。また動物細胞においてはヒト以外の動
物細胞であることが好ましい。
【0010】また本発明のさらに好ましい態様として
は、抗真菌活性を有する被検物質の選択方法において、
(i)真菌の生育に必須の真菌タンパク質、および該真
菌タンパク質のヒトホモログタンパク質、および該真菌
タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞の(ホモロ
グ)タンパク質がそれぞれ存在しており、(ii)該ヒ
トホモログタンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に
導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タン
パク質をコードする遺伝子を破壊せしめたヒト作用チェ
ック用組換え細胞を調製し、(iii)該真菌タンパク
質をコードする遺伝子を宿主細胞に導入、発現せしめ、
かつ該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質をコードする
遺伝子を破壊せしめた組換え細胞である真菌作用チェッ
ク用細胞を調製し、(iv)該ヒト作用チェック用組換
え細胞と該真菌作用チェック用細胞とを被検物質の存在
下それぞれ培養し、該ヒト作用チェック用組換え細胞よ
り該真菌作用チェック用細胞の増殖を低下せしめる被検
物質を選択することを特徴とする抗真菌活性を有する被
検物質の選択方法である。
【0011】真菌としては、特に病原性真菌、深在性病
原性真菌が例示され、例えばカンジダ・アルビカンス
(Candida albicans)、アスペルギル
ス・フミガーツス(Aspergillus fumi
gatus)、クリプトコックス・ネオフォルマンス
(Cryptococcus neoformans)
が例示される。また場合によっては酵母でもよく、例え
ば出芽酵母や分裂酵母が例示される。これらは、宿主細
胞として用いられる酵母に関する本願の開示を参考にし
てもよい。これらは天然に存在する微生物を用いること
が出来、また臨床分離株や寄託機関の標準株を利用する
こともできるし、また適当な試料から分離同定して用い
ることもできる。
【0012】本発明で真菌の生育に必須の真菌タンパク
質とは、真菌の正常生育のために必要な機能を有するタ
ンパク質であれば特に限定されない。例えばその真菌タ
ンパク質をコードする遺伝子を破壊した場合に、真菌の
増殖が著しく阻害されるか、あるいは全く生育できなく
なる場合には本発明の真菌タンパク質に該当する。適切
なその真菌タンパク質をコードする遺伝子を探し出す方
法としては、公知の情報を利用することができる。例え
ば細胞分裂、膜生合成、細胞壁生合成、細胞小器官生合
成、タンパク質合成、RNA転写及びDNA複製に関与
しているタンパク質が挙げられる。また生育に必須なタ
ンパク質か否かが未知の場合は、該タンパク質をコード
する遺伝子を破壊し、該遺伝子破壊株の表現型から生育
に必須のタンパク質か否かを調べることができる。例え
ば出芽酵母の場合は、出芽酵母二倍体株を用いた該未知
タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子破壊と、それに
続き四分子分析を行い、遺伝子破壊株の表現型を調べる
ことによって、該タンパク質が生育に必須のタンパク質
か否かを検定することができる。これらの方法は、例え
ば生物化学実験法39酵母分子遺伝学実験法(学会出版
センター)やバイオマニュアルシリーズ10酵母による
遺伝子実験法(羊土社)等の実験書を参考にすれば実施
することができる。出芽酵母は一般に入手できる寄託機
関例えばYeast Genetic Stock C
enter(Donner Laboratory,U
niversity of California,B
erkeley,CA94720,USA)、Amer
ican Type Culture Collect
ion(ATCC)等から入手することができる。
【0013】さらに本発明を実施するに当たっては、生
育に必須の真菌タンパク質に加えて、該真菌タンパク質
のヒトホモログタンパク質が存在することが確認される
べきである。さらに必要に応じて宿主細胞を用いる場合
には該真菌タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞の
ホモログタンパク質が存在することが確認されるべきで
ある。ここでホモログタンパク質とは、ある場合には機
能が同じタンパク質のことであり、例えば宿主細胞に該
タンパク質をコードする遺伝子を導入、発現させた場合
に宿主細胞における該タンパク質機能の欠陥を補うこと
ができることと解釈される。ここで遺伝子は、染色体D
NAあるいはcDNAのいずれでもよいが、好ましくは
cDNAである。またある場合には構造が似ているタン
パク質のことであり、例えば少なくとも活性に関係する
部分の配列の類似性が高いことである。例えばアミノ酸
配列として、通常50%の類似性、好ましくは60%、
更に好ましくは70%が例示され、また80%または9
0%の類似性を有している場合が好ましい例として挙げ
られる。該条件に該当するタンパク質を探し出す方法と
しては、公知の情報を利用することができる。例えば、
細胞分裂、膜生合成、細胞壁生合成、細胞小器官生合
成、タンパク質合成、RNA転写及びDNA複製に関与
しているタンパク質が挙げられる。より好ましくは後述
する生合成経路に関与するタンパク質、細胞周期を制御
しているタンパク質、細胞内情報伝達系に関与している
タンパク質が例示される。
【0014】また別の例として、真菌タンパク質の遺伝
子が公知であって、該真菌タンパク質のヒトホモログタ
ンパク質あるいは宿主細胞のホモログタンパク質が未知
の場合には、該真菌自身あるいは該真菌タンパク質をコ
ードする遺伝子を用いて、該真菌タンパク質のヒトホモ
ログタンパク質あるいは宿主細胞のホモログタンパク質
を見つけ出すことができる。例えば該真菌タンパク質を
コードする遺伝子に突然変異を持つ真菌株を用いて、該
株にヒトや宿主細胞由来の遺伝子ライブラリー導入、発
現させ、該株の該タンパク質機能の欠損を補うヒトや宿
主細胞由来のホモログタンパクをコードする遺伝子を見
つけ出すことができる。また別の方法としては、該真菌
タンパク質アミノ酸配列や塩基配列が知られている場合
には、例えば該真菌タンパク質のコード領域のDNA断
片を用いて、該真菌タンパク質のコード領域のDNA断
片にハイブリダイズするヒトや宿主細胞由来の遺伝子断
片を見つけ出すことにより、該真菌タンパク質のヒトホ
モログタンパク質をコードする遺伝子や宿主細胞のホモ
ログタンパクをコードする遺伝子を見つけ出すことがで
きる。この様にして得られたヒトあるいは宿主細胞由来
の遺伝子は、本発明の実施に利用することができる。
【0015】あるいは更に別の例として、ヒトあるいは
宿主細胞のホモログタンパク質が公知で、真菌タンパク
質が未知の場合がある。この場合も上記と同様に、例え
ば該ヒトあるいは該宿主細胞のホモログタンパク質アミ
ノ酸配列や塩基配列が知られている場合には、例えば該
ヒトあるいは該宿主細胞のコード領域のDNA断片を用
いて、該ヒトあるいは該宿主細胞のホモログタンパク質
のコード領域のDNA断片にハイブリダイズする真菌由
来の遺伝子断片を見つけ出すことにより、該真菌タンパ
ク質をコードする遺伝子を見つけ出すことができる。こ
の様にして得られた真菌由来の遺伝子は、本発明の実施
に利用することができる。
【0016】真菌作用チェック用細胞とは、真菌の生育
に必須の真菌タンパク質に対する被検物質の阻害作用の
程度を調べるための細胞であり、またヒト作用チェック
用細胞とは、真菌の生育に必須の真菌タンパク質のヒト
ホモログタンパク質に対する被検物質の阻害作用の程度
を調べるための細胞である。ここで、真菌作用チェック
用細胞として真菌自身を用いる場合は、ヒト作用チェッ
ク用細胞は、真菌の生育に必須の真菌タンパク質のヒト
ホモログタンパク質をコードする遺伝子を該真菌に導
入、発現せしめ、かつ該真菌においては該真菌タンパク
質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え真菌であ
る。ここで真菌には酵母も含まれる。また適当な宿主細
胞を用いる場合には、真菌作用チェック用細胞は、該真
菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に導入、発
現せしめ、かつ該宿主細胞においては該宿主細胞のホモ
ログタンパク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換
え細胞であり、ヒト作用チェック用細胞は、真菌の生育
に必須の真菌タンパク質のヒトホモログタンパク質をコ
ードする遺伝子を宿主細胞に導入、発現せしめ、かつ該
宿主細胞においては該宿主細胞のホモログタンパク質を
コードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞である。ま
た別の場合として、ヒト作用チェック用細胞としてヒト
細胞自身を用いることもできる。その場合には、真菌作
用チェック用細胞は、ヒト細胞に該真菌タンパク質をコ
ードする遺伝子を導入、発現せしめ、かつ該ヒト細胞の
ホモログタンパク質をコードする遺伝子を破壊せしめた
組換えヒト細胞である。ここで遺伝子組換え操作、組換
え体細胞の取得方法は豊富に記述されており、当業者で
あれば容易に実施できる。
【0017】真菌の生育に必須の真菌タンパク質、およ
び該真菌タンパク質のヒトホモログタンパク質、および
該真菌タンパク質と同一又は相同する(ホモログ)宿主
細胞のタンパク質がそれぞれ存在している例として、一
つには核酸生合成経路のタンパク質が挙げられる。より
具体的な例としては、プリン生合成経路のホスホリボシ
ルアミノイミダゾールカルボキシラーゼが挙げられる。
真菌において該タンパク質をコードする遺伝子が変異し
た株はアデニン要求性となり、アデニン非存在下では生
育できない。病原性真菌のホスホリボシルアミノイミダ
ゾールカルボキシラーゼ遺伝子に関しては、カンジダ・
アルビカンスのクローニングの報告がある[Yeast
13(1997)769−776]。一方ヒトの遺伝
子に関しては、出芽酵母のade2変異株を用いて,発
現クローニング法によってヒトのcDNAがクローニン
グされている[Curr.Genet.18(199
0)287−291]。また出芽酵母に関しては、A.
stotzら[Gene 95(1990)91−9
8]によってクローニングが報告されている。これらの
遺伝子を用いれば、ホスホリボシルアミノイミダゾール
カルボキシラーゼをターゲットとした本発明の抗真菌剤
の選択方法が実施できる。その他のプリン生合成経路の
酵素に関しても同様の抗真菌剤の選択方法が実施可能で
ある。核酸生合成経路の別の例としては、オロチジル酸
デカルボキシラーゼ等のピリミジン生合成経路の酵素が
挙げられる。
【0018】また上記のタンパク質に該当する別の例と
しては、細胞周期を制御しているタンパク質や細胞内情
報伝達系に関与しているタンパク質を挙げることができ
る。細胞周期制御タンパクの例としては、ヒトのCDK
2遺伝子は出芽酵母のcdc28変異株を相補すること
が知られている[例えば、Ninomiya−Tsuj
i,J.et al.:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,88:9006−9010(19
91)]。一方真菌の遺伝子に関しては、病原性真菌カ
ンジダ・アルビカンスからのクローニングと該遺伝子が
出芽酵母cdc28変異株を相補できると報告されてい
る[Sherlock G.et al.:Mol.G
en.Genet.245:716−723(199
4)]。そこで、ヒトCDC2遺伝子(cDNA)組み
換え酵母と、カンジダ・アルビカンス由来のCDC28
遺伝子で置換した組み換え酵母を用いれば、本発明の抗
真菌剤の選択方法が実施できる。あるいは出芽酵母も真
菌であるため、カンジダ・アルビカンス由来のCDC2
8ホモログ遺伝子で置換した組み換え酵母を使用するか
わりに、出芽酵母野生株を使用して本発明の抗真菌剤の
選択方法を実施することもできる。細胞内情報伝達系タ
ンパクの例としては、RASタンパクがある。動物細胞
のrasは、酵母の相同遺伝子RAS機能を代替できる
ことが知られている。そこでヒトのras遺伝子に置き
換えた出芽酵母を作製し、病原性真菌由来のRAS遺伝
子と置き換えた出芽酵母あるいは出芽酵母野生株との生
育速度を比較することにより、本発明の抗真菌剤の選択
方法が実施できる。
【0019】さらに別の例としては、真菌の細胞膜に存
在するエルゴステロールの生合成に関与しているタンパ
ク質が挙げられる。真菌のエルゴステロールは、中間体
4、4−ジメチルコレスタ−8,14,24−トリエノ
ールまでは、高等動物のコレステロールの生合成と同様
の生合成経路を経ており、生育に必須であることが報告
されている[例えば、Lees N.D.et a
l.:Lipids 30:221−226(199
5)]。そこで、例えば、スクアレンエポキシダーゼ、
ラノステロール14α−デメチラーゼに関して、本発明
の抗真菌剤の選択方法が実施可能である。これに関して
は本願明細書実施例に記載のとうりである。
【0020】本発明の抗真菌剤の選択方法の利益、長所
としては、次のようなことがあげられる。まず従来の病
原性真菌を検定菌とした寒天培地拡散法による阻止帯形
成による抗真菌剤の選択方法方法と比較して、ヒト細
胞による毒性試験を行うことなく、ヒトのホモログタン
パク質に対する阻害活性がない、あるいは小さい化合物
を選択できる点、酵母は取扱いが簡単で、生育の測定
が容易であることから、高効率で高精度の抗真菌剤の選
択が可能である点、が挙げられる。また、酵素阻害活性
を測定することによる抗真菌剤の選択方法と比較して、
標的タンパク質である真菌タンパク質を精製、単離
し、酵素活性測定系を構築する必要がない点、基質の
入手あるいは製造が困難なタンパク質を標的タンパク質
とした場合でも抗真菌剤を選択する系が構築できる点、
化合物の細胞透過性の問題を加味している点、等が挙
げられる。
【0021】本発明の抗真菌剤の選択方法をさらに具体
的に説明すると、概略以下の(1)〜(6)ようにして
行うことができる。 (1)標的とするタンパク質の遺伝子(cDNAを含
む)を真菌、より好ましくは病原性真菌(例えばカンジ
ダ・アルビカンス)とヒトからクローニングする。 (2)(1)で得たDNA断片を、発現用ベクターに組
み込んで組換え体DNAを構築する。 (3)構築した組換え体DNAにより、宿主細胞を形質
転換する。 (4)宿主細胞から宿主細胞自身の標的タンパク質の遺
伝子をクローニングし、宿主細胞染色体上の該遺伝子を
破壊するための遺伝子破壊用の組み換え体DNAを構築
する。 (5)(3)で得られた組み換え細胞を、(4)で構築
した遺伝子破壊用組み換え体DNAで形質転換し、目的
の遺伝子破壊が起こっている細胞を選択する。 (6)真菌由来の遺伝子で組み換えた真菌作用チェック
用細胞と、ヒト由来の遺伝子で組み換えたヒト作用チェ
ック用細胞をそれぞれ被検物質と共に培養し、ヒト由来
の遺伝子で組み換えた細胞より真菌由来の遺伝子で組み
換えた細胞の増殖をより強く抑制する物質を選択する。
【0022】上記の工程中でDNA、組換え体宿主とし
ての大腸菌等の取扱いに必要な一般的な操作は、当業者
間で通常行われているものであり、例えばT.Mani
atisらの実験操作書(Molecular Clo
ning A Laboratory Manual,
Cold Spring Harbor Labora
tory 1982,1989)に従えば容易に実施で
きる。使用する酵素、試薬類もすべて市販の製品を用い
ることができ、特に断わらない限り、製品で指定されて
いる使用条件に従えば、完全にそれらの目的を達成する
ことができる。また上記工程中で出芽酵母の取扱に必要
な操作は、当業者間で通常行われているものであり、例
えばC.Kaiserらの実験書(C.Kaiser
et al. METHODS in YEAST G
ENETICS:A ColdSpring Harb
or Laboratory Course Manu
al 1994 Edition)に従えば容易に実施
できる。また、分裂酵母の取り扱いに必要な一般的操作
は、例えばC.Alfaらの実験書(Experime
nts with Fission Yeast:Co
ld Spring Harbor Laborato
ry Press 1993)に従えば容易に実施でき
る。
【0023】以下に、上記(1)〜(6)の工程につい
て更に詳しく説明する。上記(1)及び(4)におい
て、遺伝子(あるいはcDNA)のクローニングは、例
えば塩基配列が既知であれば、適当な化学合成DNAを
プライマーとして、PCR(Polymerase c
hain reaction)によってクローニングす
ることができる。プライマーの配列は、遺伝子のコード
領域全体をクローニングできる形で設計すれば良く、例
えば、開始コドンの上流と終始コドンの下流の領域の配
列を利用できる。あるいは全遺伝子配列を化学合成して
も得られる。真菌やヒトの細胞株は、American
Type CultureCollection(A
TCC)から入手することができ、そこから定法に従っ
て染色体DNAあるいはmRNA調製し、PCRの鋳型
DNAとして使用することができる。あるいは市販され
ている(CLONTECH社、STRATAGENE社
等)遺伝子ライブラリーを使用することもできる。
【0024】上記(2)において、用いる発現用ベクタ
ーとしては複製可能であれば、酵母由来、真菌由来、昆
虫ウィルス由来、脊椎動物ウィルス由来いずれのベクタ
ーでも良いが、宿主として使用する細胞に適したものを
選択する必要がある。酵母で用いられる発現用ベクター
とは、プロモーター、ターミネーター等、目的とする遺
伝子を酵母生体内で発現させるために必要な各機能部位
を含むものであって、個々のプロモーター、ターミネー
ター等は酵母本来の物であってもよいし、酵母内で機能
する物であれば、例えば、他の種の真菌やウィルス由来
の物であってもよい。更に該発現用ベクターには選択マ
ーカー遺伝子が含まれていることが好まれる。選択マー
カー遺伝子は、マーカー遺伝子の表現型の発現のため
に、形質転換体の選択を容易にする遺伝子である。酵母
の適当な選択マーカー遺伝子としては、出芽酵母では例
えばLEU2、HIS3、URA3,TRP1遺伝子等
が利用できる。分裂酵母では例えばura4遺伝子が利
用できる。適した酵母発現用ベクターとしては例えば、
pYES2(INVITROGEN社)、pYACT3
(Matsuda et al;Biochem.Bi
ophys.Res.Commun.(1992)18
2,995−1001)等が挙げられる。これらのベク
ターを用いれば、組換え体DNAは酵母中でプラスミド
として保持させることができる。あるいはYIp型の酵
母用ベクターを用いれば、組み換え体DNAを宿主酵母
染色体上に保持させることもできる。
【0025】真菌で用いられる発現用ベクターの例とし
ては、プラスミドpPGACY2、pBSFAHY83
等が挙げられる。動物細胞で用いられる発現用ベクター
の例としては、プラスミドpSV2−dhfr(ATC
C 37146)、pBPV−1(9−1)(ATCC
37111)、pBP69T(69−6)、pcDL
−SRα296、CDM8等が挙げられる。
【0026】上記(3)において、用いる宿主細胞とし
ては、酵母を含む各種の真菌、動物細胞のいずれでも良
く、好ましくは酵母である。また上記(3)における細
胞の形質転換とは、DNAを強制的方法や細胞の貪食能
により酵母や動物細胞内に取りこませ、プラスミド状態
あるいは、染色体に組み込まれた状態でDNAの形質を
発現させることである。酵母の場合、例えば出芽酵母の
場合はスフェロプラスト法、酢酸リチウム法、電気窄孔
(エレクトロポレーション)法などのいずれの方法でも
導入することでき、実際の方法は例えば上記C.Kai
serらの実験書に記載されている。分裂酵母の場合は
スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が利用でき、具
体的な方法は上記、C.Alfaらの実験書に記載され
ており、それに従えば容易に実施できる。真菌の場合、
スフェロプラスト法によって導入することができる。動
物細胞の場合、DEAE−デキストラン法、リン酸カル
シウム法、電気窄孔法などのいずれの方法でも導入する
ことできが、特に好ましくは、[Current Pr
otpcolsin Molecular Biolo
gy Vol.1、John Wiley & Son
s,Inc.,9.2.1−6(1993)]記載のD
EAE−デキストラン法であり、DEAE−デキストラ
ンとDNAの複合体を形成後、細胞に導入する方法であ
る。この際のDNAの形状は環状DNAであってもよい
し、線状DNAであってもよい上記(4)あるいは
(5)における遺伝子破壊とは、細胞内でその遺伝子が
担っている機能を欠落させるために、染色体上の該遺伝
子を特異的に破壊することである。遺伝子破壊の方法と
しては、例えば酵母の場合は、遺伝子の挿入破壊法(i
ntegrative disrupion)、遺伝子
置換破壊法(one−step gene disru
ption)いずれの方法でも遺伝子破壊を行うことが
できるが、好ましくは[Rothstein,R.
J.:Methods Enzymol.101:20
2−211(1983)]記載の遺伝子置換破壊法であ
る。この方法ではまず、試験管内の操作によりプラスミ
ド上の標的遺伝子DNAを分断あるいは部分欠失させ、
そこに適当な選択マーカー遺伝子DNAを挿入して、標
的遺伝子の上流部と下流部の間に選択マーカー遺伝子が
サンドイッチされた構造体を作製し、次に適当な制限酵
素で切断しベクター部分から該構造体を切り離した後、
該構造を持つ線状DNAを酵母細胞に導入(形質転換)
することにより、導入断片の両端と染色体上の標的遺伝
子との相同部分の間で2回の組換えを起こし、選択マー
カーを挟み込んだDNA構造体で置換する方法である。
用いられるマーカー遺伝子としては、出芽酵母では例え
ばLEU2、HIS3、URA3,TRP1等が利用で
きる。分裂酵母では例えばura4遺伝子が利用でき
る。また目的の遺伝子破壊が起こっているか否かに関し
ては、得られた形質転換体から染色体DNAを回収し、
適当な制限酵素で切断後、サザンプロッティングで調べ
ることによって確認できる。あるいは適当な化学合成D
NAを用いてPCRを行うことによって確認することも
できる。
【0027】上記(6)において、細胞の培養方法は当
業界の熟練者であれば熟知している方法で実施できる。
例えば酵母の場合は、寒天平板培地でも良いし、液体培
地でも良い。酵母の培養は通常は、SD培地[yeas
t nitrogen base without a
mino acids(Difco)6.7g及びgl
ucose20gを水に溶解し、全量を1リットルとし
たもの。なお栄養要求株においては必要な栄養素を添加
する]を用いて30℃で培養すれば良い。
【0028】ヒト作用チェック用細胞より真菌作用チェ
ック用細胞の増殖を低下せしめる被検物質を選択する方
法としては、例えば酵母を宿主細胞とした場合には、寒
天平板培地を用いる方法、液体培地を用いる方法いずれ
の方法でも可能である。例えば寒天平板培地で行う場合
は、寒天培地拡散法による阻止帯形成による選択方法が
挙げられる。これはカップ法や濾紙ディスク法による活
性成分を検出する方法である。真菌由来の遺伝子で組み
換えた酵母と、ヒト由来の遺伝子で組み換えた酵母をそ
れぞれ一定量混入させて作製した寒天平板上に、一定の
内径を持つ金属円筒(カップ)を置き、その中に通常同
一濃度の被検物質を入れるか、あるいは通常同一濃度の
被検物質を含有する濾紙片(ディスク)寒天平板上に置
き、数日間、好ましくは2から3日間培養し、拡散した
被検物質により組み換え酵母の発育増殖が阻止される円
の直径を測定することにより、ヒト作用チェック用細胞
より真菌作用チェック用細胞の増殖を低下せしめる被検
物質を選択することができる。阻止円の大きさは菌の薬
剤に対する感受性の強さと一定の相関関係があるため、
阻止円の直径を測定することによりそれぞれの組み換え
酵母に対する被検物質の抗菌活性を測定できる。この方
法により、ヒト由来の遺伝子で組み換えた酵母よりも、
真菌由来の遺伝子で組み換えた酵母のほうにより大きな
生育阻止円を形成した物質が目的の化合物である。液体
培地を用いる場合は、2種類の該組み換え酵母をそれぞ
れ同一濃度の被検物質を含んだ培地で培養する。そし
て、ヒト由来の遺伝子で組み換えた酵母よりも真菌由来
の遺伝子で組み換えた酵母の増殖をより強く抑制する物
質を選択する。酵母の培養は、例えばSD培地で対数増
殖期後半から静止期の状態に培養した酵母を、SD培地
で約105から106/ミリリットルの菌数に希釈したも
のに被検物質を一定濃度添加し、1日から2日培養した
後、酵母の増殖を測定する。液体培地での酵母の増殖
は、例えば吸光度計を用いて濁度(例えば波長600n
m)を測ることにより測定できる。培養方法は、攪拌培
養、静置培養いずれの方法も可能である。また、試験管
を用いた培養の他に、96穴プレートでの培養も可能で
ある。これらの方法はいずれも、ヒト作用チェック用細
胞より真菌作用チェック用細胞の増殖を低下せしめる被
検物質を選択する方法として例示される。
【0029】被検物質は、合成物や微生物培養液等を適
当な濃度に溶解したものであり、溶解せしめる溶媒は蒸
留水や培養液等で代表される通り、本発明の選択方法や
培養等に影響を与えないものが好ましい。培地に添加す
る被検物質の濃度は、真菌由来の遺伝子で組み換えた細
胞とヒト由来の遺伝子で組み換えた細胞において同じ濃
度にすることが好ましい。寒天平板培地を用いて抗真菌
剤の選択を行う場合は、通常数μg〜数十μgの被検物
質を添加すればよい。好ましくは、真菌由来の遺伝子で
組み換えた酵母に対して、1センチメートルから数セン
チメートルの阻止円が形成される条件にて行うことが例
示される。液体培地を用いて抗真菌剤の選択を行う場合
は、例えば最終濃度が10μg/μlないしは1μg/
μlの濃度になるように培地に添加すればよい。好まし
くは、2倍希釈系列濃度の被検物質を作製し培地に添加
する。本発明の選択方法により選択された被検体は、ヒ
トに対する毒性が少ない真菌に作用する物質が得られ
る。
【0030】また、上記(3)において、宿主とする酵
母として、目的とする遺伝子の温度感受性変異株を用い
ることもできる。その場合は上記(4)、(5)の遺伝
子破壊の工程を省略することができる。その場合、酵母
の培養は、通常は許容温度下で培養し、制限温度下で抗
真菌剤の選択の為の培養を行えば良い。例えば、細胞周
期の変異株である出芽酵母cdc28−13変異株は、
許容温度25℃では正常に増殖するが、制限温度37℃
では細胞は増殖を停止することが知られている。そこで
該変異株を宿主として、真菌由来のCDC28遺伝子で
組み換えた酵母と、ヒトCDC2遺伝子で組み換えた酵
母を用いて、制限温度37℃の培養で抗真菌剤の選択を
行うことができる。
【0031】更に、1つの酵母で、複数の遺伝子に関す
る組み換え体を作製し、抗真菌剤の選択を行うこともで
きる。上記(1)から(5)の工程を繰り返すことによ
り、複数の種類の遺伝子に関しての組み換え酵母を作製
することができる。この組み換え酵母を用いて抗真菌剤
の選択を行えば、一度に複数のタンパク質を標的とした
抗真菌剤の選択が実施可能となる。例えば、エルゴステ
ロール生合成経路の酵素の遺伝子に関して、例えばスク
アレンエポキシダーゼとラノステロール14α−デメチ
ラーゼに関する組換え体を一つの酵母で作製し抗真菌剤
を選択することができる。
【0032】以下、実施例により本発明を詳述するが、
本発明は、これらの例によって限定されるものではない また、以下の実施例において、特に断わらない限り、D
NA断片のアガロースゲルからの分離精製はジーンクリ
ーン(GENE CLEANTMフナコシ社販)を用いて
その添付プロトコールに従って行い、サブクローニン
グ、プラスミド構築等における基本操作(DNA断片間
の連結反応、該反応により生ずるハイブリッドプラスミ
ドによる大腸菌の形質転換、得られた形質転換体からの
プラスミドの調製及びその解析等)はすべて上記マニア
ティスの実験書(T.Maniatisら、Molec
ular Cloning A Laboratory
Manual,Cold Spring Harbo
r Laboratory1982)に準じて行った。
【0033】尚、実施例に記載の略称ないし略号は、以
下の通りのものである。・SD−Leu−Trp培地:
アミノ酸を欠くイーストニトロジェンベース(BACT
O YEAST NITROGEN BASE w/o
AMINO ACIDS:DIFCO)6.7g/ブ
ドウ糖20g/ウラシル0.02g/リジン塩酸塩0.
03g/アデニン硫酸塩0.02g/ヒスチジン0.0
2gを水1リットルに溶解し、調製した液体培地。・S
D−Leu−Trp寒天培地:SD−Leu−Trp培
地1リットルに寒天(BACTO AGAR:DIFC
O)を20g加えて調製した固形培地
【0034】
【発明の実施の形態】
【0035】
【実施例1】カンジダ・アルビカンスのラノステロール
14α−デメチラーゼ遺伝子で組み換えた出芽酵母の作
製 以下に記述する方法に従って、カンジダ・アルビカンス
のラノステロール14α−デメチラーゼ(以下デメチラ
ーゼと略すことがある)遺伝子で組み換えた出芽酵母を
作製した。 (1)発現プラスミドpYCADEM1の構築 以下に説明する工程に従って、カンジダ・アルビカンス
のデメチラーゼ遺伝子をクローニングし、次いでカンジ
ダ・アルビカンスのデメチラーゼを出芽酵母内で発現さ
せるためのプラスミドpYCADEM1を構築した。
【0036】まず、Genbankに登録されているカ
ンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ遺伝子配列(Ac
cession No.X13296、あるいはNuc
leic Acids Res.17:804)を基に
作製した配列番号1、配列番号2に示す2種類の化学合
成DNAをプライマーとして用い、カンジダ・アルビカ
ンスの染色体DNAを鋳型DNAとしてPCRを行い、
カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ遺伝子をクロー
ニングした。なお化学合成DNAの5’側には酵母発現
ベクターへのクローニングを容易にするためにそれぞれ
制限酵素BamHIとSmaIの認識配列を付加した。
得られた約1.6kbのDNAを分離し、TAクローニ
ングシステム(Novagen社)を用いてpT7Bl
ue(R)にクローン化した後、その塩基配列を決定
し、報告されている配列と違いの無いことを確認した。
そして該プラスミドを制限酵素BamHIとSmaIで
消化後、アガロースゲル電気泳動に供し、約1.6kb
の断片をゲルから回収、精製した(断片1)。続いて該
1.6kbのDNA断片を、発現べクターpYACT3
上のBamHI−SmaI部位に挿入する事によってp
YCADEM1を得た。
【0037】なおPCRは、10倍濃度の反応緩衝液
(TaKaRa LA Taqに添付のバッファー:宝
酒造販)5μl、25mMMgCl2液(TaKaRa
LATaqに添付)5μl、2.5mMdNTP混合
液5μl、上記プライマー各々2μl(各々濃度は0.
1μg/μlの溶液)、TaKaRa LA Taqポ
リメラーゼ(宝酒造)0.5μl、カンジダ・アルビカ
ンス染色体DNA(濃度は0.15μg/μl)1μ
l、滅菌脱イオン水29.5μlからなる反応系を調整
し、94℃で30秒間、62℃で30秒間、72℃で1
分30秒間のインキュベーションをパーキン エルマー
シータス DNA サーマル サイクラー(Perk
in Elmer Cetus DNA Therma
l Cycler)を使用して25サイクル行った。な
おカンジダ・アルビカンスの菌株としては、通常の分離
保存菌株を利用することができるが、千葉大学真核微生
物研究センターの三上襄助教授から入手した。またカン
ジダ・アルビカンスの染色体DNAは、CURRENT
PROTOCOLS IN MOLECULAR B
IOLOGYに記載の方法に従って調整した。 (2)出芽酵母デメチラーゼ遺伝子(ERG11)破壊
用プラスミドpΔERG11の構築 下記の工程に従って出芽酵母ERG11遺伝子を破壊す
る為のプラスミドpΔERG11を構築した。
【0038】まず出芽酵母YPH500株(STRAT
AGENE社)より、Davisらの方法(Davi
s,R.W.et al Method in Enz
ymology(1980)65:404−411)に
従って染色体DNAを抽出した。続いて、配列番号3、
配列番号4に示す2種類の化学合成DNAをプライマー
として用い、上記出芽酵母染色体DNAを鋳型DNAと
してPCRを行い、ERG11遺伝子を含む領域を約
2.4kbに渡って増幅し、pT7Blue(R)にク
ローニングし、pTERG11を得た。続いてpTER
G11を制限酵素SnaBIとBglIIで消化した
後、アガロースゲル電気泳動に供し、約3.8kbの断
片を回収、精製した(断片1)。なおPCRは、10倍
濃度の反応緩衝液(TaKaRa Ex Taqに添付
のバッファー:宝酒造販)5μl、2.5mMdNTP
混合液5μl、上記プライマー各々2μl(各々濃度は
0.1μg/μlの溶液)、TaKaRa Ex Ta
qポリメラーゼ(宝酒造)0.5μl、YPH500染
色体DNA(濃度0.1μg/μlの溶液)1μl、滅
菌脱イオン水34.5μlからなる反応系を調整し、9
4℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で2分30
秒間のインキュベーションをパーキン エルマーシータ
ス DNA サーマル サイクラー(Perkin E
lmer Cetus DNA Thermal Cy
cler)を使用して25サイクル行った。得られた約
2.4kbのDNA分離し、TAクローニングシステム
(Novagen社)を用いてpT7Blue(R)に
クローン化した後、その塩基配列を決定し目的のERG
11遺伝子であることを確認した。
【0039】次にプラスミドYEp13(ATCC37
115)を制限酵素XhoIとSalIで消化しLEU
2遺伝子を含む約2.2Kbの断片を分離精製した。該
断片と制限酵素SalIで切断し、アルカリホスファタ
ーゼ処理を施したpUC118プラスミド(宝酒造)と
をT4リガーゼで連結する事によりpULEU2を得た
(LEU2遺伝子がpUC118上のLacZ遺伝子と
同方向に連結されたものを選んだ)。続いてpULEU
2を制限酵素HindIIIで消化し、DNABlun
ting kit(宝酒造販)を用いて平滑末端にした
後、BglIIリンカー(宝酒造販)を挿入することに
よりpULEU2HBを得た。続いてpULEU2HB
を制限酵素HpaIとBglIIで消化した後、アガロ
ースゲル電気泳動に供し、分離精製した約2.0kbの
断片と上記断片1とをT4−リガーゼで連結することに
よってpΔERG11を得た。 (3)カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼによる機
能相補 出芽酵母ERG11変異株は、エルゴステロール無添加
培地で生育できないことが知られている(例えば、Ki
rsch D.R.et al Gene.68(19
88)229−237)。そこで、出芽酵母YPH50
0株(α ura3−52,lys2−801,ade
2−101,trp1Δ63,his3Δ200,le
u2Δ1)に、カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ
発現プラスミドpYCADEM1を導入した後、出芽酵
母ERG11遺伝子を破壊する事によって、カンジダ・
アルビカンスのデメチラーゼ遺伝子で組み換えた(置換
した)出芽酵母を作製した。以下にその工程を説明す
る。
【0040】まず、上記実施例1(1)で得たpYCA
DEM1プラスミドをYPH500株に、ALKALI
−CATION Yeast Transformat
ion Kit(フナコシ社販)を用いて導入した。得
られた形質転換株を次に、制限酵素HindIIIとB
amHIで消化したpΔERG11で形質転換し、SD
−Trp−Leu寒天培地で形質転換体を選択した。か
くして得られた形質転換株の1つをCADEM−ΔER
G11株と名付け、その染色体DNAを抽出し、サザン
解析を行った。その結果CADEM−ΔERG11株で
は、染色体の正常なERG11遺伝子とpΔERG11
上の破壊されたERG11遺伝子とが2重交叉により置
換されている事が確認された。以上の工程により、カン
ジダ・アルビカンスのデメチラーゼ遺伝子で組み換えた
出芽酵母を作製した。
【0041】
【実施例2】ヒト(Human)デメチラーゼ(CYP
51)で置換した出芽酵母株の作製 (1)発現プラスミドpYHUDEM1の構築 以下に説明する工程に従って、ヒトのデメチラーゼcD
NAをクローニングし、次いでヒトのデメチラーゼcD
NAを出芽酵母内で発現させるためのプラスミドpYH
UDEM1を構築した。
【0042】まず、Genbankに登録されているヒ
トデメチラーゼのcDNAの配列(Accession
No.U23942)を基に作製した配列番号5、配
列番号6に示す2種類の化学合成DNAをプライマーと
して用い、Human Placenta cDNA
(CLONTECH社製)を鋳型DNAとしてPCRを
行い、ヒトデメチラーゼcDNAをクローニングした。
なお化学合成DNAの5’側には酵母発現ベクターへの
クローニングを容易にするためにそれぞれ制限酵素Bg
lIIとEcoRVの認識配列を付加した。得られた約
1.6kbのDNAを分離し、TAクローニングシステ
ム(Novagen社)を用いてpT7Blue(R)
にクローン化した後、その塩基配列を決定し、報告され
ている配列と違いの無いことを確認した。そして該プラ
スミドを制限酵素BglIIとEcoRVで消化後、ア
ガロースゲル電気泳動に供し、約1.6kbの断片をゲ
ルから回収、精製した(断片1)。続いて該1.6kb
のDNA断片を、発現ペクターpYACT3上のBam
HI−SmaI部位に挿入する事によってpYHUDE
M1を得た。
【0043】なおPCRは、10倍濃度の反応緩衝液
(TaKaRa LA Taqに添付のバッファー:宝
酒造販)5μl、25mMMgCl2液(TaKaRa
LATaqに添付)5μl、2.5mMdNTP混合
液5μl、上記プライマー各々1μl(各々濃度は0.
1μg/μlの溶液)、TaKaRa LA Taqポ
リメラーゼ(宝酒造)0.5μl、Human Pla
centa cDNA(CLONTECH社製)1μ
l、滅菌脱イオン水31.5μlからなる反応系を調整
し、94℃で30秒間、58℃で30秒間、72℃で1
分20秒間のインキュベーションをパーキン エルマー
シータス DNA サーマル サイクラー(Perk
in Elmer Cetus DNA Therma
l Cycler)を使用して38サイクル行った。 (2)ヒトデメチラーゼによる出芽酵母ERG11変異
株の機能相補 上記実施例1(3)のカンジダ・アルビカンスのデメチ
ラーゼによる機能相補に記載の方法に準じて、ヒトデメ
チラーゼの置換酵母を作製した。以下にその方法を説明
する。
【0044】まず上記実施例2(1)で得たpYHUD
EM1プラスミドをYPH500株に、ALKALI−
CATION Yeast Transformati
onKit(フナコシ社販)を用いて導入した。得られ
た形質転換株を次に、制限酵素HindIIIとBam
HIで消化したpΔERG11で形質転換し、SD−T
rp−Leu寒天培地で形質転換体を選択した。かくし
て得られた形質転換株の1つをHUDEM−ΔERG1
1株と名付け、その染色体DNAを抽出し、サザン解析
を行った。その結果HUDEM−ΔERG11株では、
染色体の正常なERG11遺伝子とpΔERG11上の
破壊されたERG11遺伝子とが2重交叉により置換さ
れている事が確認された。以上の結果、ヒトデメチラー
ゼは、出芽酵母ERG11遺伝子破壊株を機能的に相補
できることが明かとなり、ヒトデメチラーゼ遺伝子(c
DNA)で組み換えた出芽酵母を作製することに成功し
た。
【0045】
【実施例3】遺伝子組換え酵母のアゾール系抗真菌薬に
対する感受性 フルコナゾール、イトラコナゾール等の抗真菌剤は、真
菌のデメチラーゼは低濃度で阻害するが、哺乳類のデメ
チラーゼに対しては、ほとんど影響を及ぼさないことが
知られている[例えば、Vanden Bossche
et.al.:Br.J.Clin.Practic
e,44(Suppl.71),41(1990)]。
そこで上記実施例1及び実施例2に記載した組換え酵母
のフルコナゾールとイトラコナゾールに対する感受性を
調べたところ、カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ
遺伝子で組み換えた出芽酵母は、フルコナゾール、イト
ラコナゾールに対して低濃度で生育阻害を受けたが、ヒ
トのデメチラーゼ遺伝子で組み換えた出芽酵母は、フル
コナゾール、イトラコナゾールに対して生育阻害を受け
なかった。以下に詳細を説明する。
【0046】カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ遺
伝子で組み換えた出芽酵母とヒトデメチラーゼ遺伝子で
組み換えた出芽酵母を、SD−Leu−Trp培地3ミ
リリットルに植菌し、30℃で1日間振とう培養した。
次いで該培養液20μlを、200μg/ml濃度のフ
ルコナゾール、あるいは50μg/ml濃度のイトラコ
ナゾールの含むSD−Leu−Trp培地3ミリリット
ルに接種し、30℃で1日間振とう培養した。その結果
カンジダ・アルビカンスのデメチラーゼ遺伝子で組み換
えた出芽酵母は、ほとんど生育しなかった。一方、ヒト
デメチラーゼ遺伝子で組み換えた出芽酵母は、生育抑制
を受けなかった。また出芽酵母の野生株も該濃度の薬剤
を含む培地では、ほとんど生育しなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、遺伝子組み換え酵母を
用いて、真菌由来のタンパクに対してはより強い阻害活
性を有し、一方ヒト由来のタンパクに対してはより弱い
阻害活性を有する物質をスクリーニングすることが可能
となり、効率的な抗新菌剤の探索が可能となる
【0048】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGATCCATGG CTATTGTTGA AACTGTCATT GA 32 配列番号:2 配列の長さ:31 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CCCGGGCACT GAATCGAAAG AAAGTTGCCG T 31 配列番号:3 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CCTCTAAAAA TTGCCCTCCA TGTGT 25 配列番号:4 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ACTAAGGATG GTTCAATTCA CTCATC 26 配列番号:5 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGATCTATGG AGCAGGTGAC AGGAGGCAAC 30 配列番号:6 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GATATCTCTC CACACTGGCT CCTTGTTCCT 30
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12Q 1/68 C12Q 1/68 A G01N 33/15 G01N 33/15 B //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:865) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:85)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗真菌活性を有する被検物質の選択方法
    において、(i)真菌の生育に必須の真菌タンパク質、
    および該真菌タンパク質のヒトホモログタンパク質がそ
    れぞれ存在し、および必要に応じて宿主細胞を用いる場
    合には該真菌タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞
    の(ホモログ)タンパク質が存在しており、下記の(i
    i)、(iii)、(iv)の工程を行うか、または
    (v)、(vi)(vii)の工程のいずれかを行うこ
    とを特徴とする抗真菌活性を有する被検物質の選択方
    法。ただし宿主細胞はヒト細胞である場合を除く。(i
    i)該ヒトホモログタンパク質をコードする遺伝子を該
    真菌又は宿主細胞に導入、発現せしめ、かつ該真菌にお
    いては該真菌タンパク質をコードする遺伝子、又は該宿
    主細胞においては該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質
    をコードする遺伝子を破壊せしめたヒト作用チェック用
    組換え細胞を調製し、(iii)a)該真菌又は b)該真菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に
    導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タン
    パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞、
    のいずれかからなる真菌作用チェック用細胞を調製し、
    (iv)該ヒト作用チェック用組換え細胞と該真菌作用
    チェック用細胞とを被検物質の存在下培養し、該ヒト作
    用チェック用組換え細胞より該真菌作用チェック用細胞
    の増殖を低下せしめる被検物質を選択する、又は(v)
    ヒト細胞からなるヒト作用チェック用細胞を調製し、
    (vi)ヒト細胞に該真菌タンパク質をコードする遺伝
    子を導入、発現せしめ、かつ該ヒト細胞のホモログタン
    パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた真菌作用チェ
    ック用組換え細胞を調製し、(vii)該ヒト作用チェ
    ック用細胞と該真菌作用チェック用組換え細胞とをそれ
    ぞれ被検物質の存在下培養し、該ヒト作用チェック用細
    胞より該真菌作用チェック用組換え細胞の増殖を低下せ
    しめる被検物質を選択する。
  2. 【請求項2】 抗真菌活性を有する被検物質の選択方法
    において、(i)真菌の生育に必須の真菌タンパク質、
    および該真菌タンパク質のヒトホモログタンパク質がそ
    れぞれ存在し、および必要に応じて宿主細胞を用いる場
    合には該真菌タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞
    の(ホモログ)タンパク質が存在しており、(ii)該
    ヒトホモログタンパク質をコードする遺伝子を該真菌又
    は宿主細胞に導入、発現せしめ、かつ該真菌においては
    該真菌タンパク質をコードする遺伝子、又は該宿主細胞
    においては該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質をコー
    ドする遺伝子を破壊せしめたヒト作用チェック用組換え
    細胞を調製し、(iii)a)該真菌又は b)該真菌タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に
    導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タン
    パク質をコードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞、
    のいずれかからなる真菌作用チェック用細胞を調製し、
    (iv)該ヒト作用チェック用組換え細胞と該真菌作用
    チェック用細胞とを被検物質の存在下それぞれ培養し、
    該ヒト作用チェック用組換え細胞より該真菌作用チェッ
    ク用細胞の増殖を低下せしめる被検物質を選択すること
    を特徴とする抗真菌活性を有する被検物質の選択方法。
  3. 【請求項3】 抗真菌活性を有する被検物質の選択方法
    において、(i)真菌の生育に必須の真菌タンパク質、
    および該真菌タンパク質のヒトホモログタンパク質、お
    よび該真菌タンパク質と同一又は相同する該宿主細胞の
    (ホモログ)タンパク質がそれぞれ存在しており、(i
    i)該ヒトホモログタンパク質をコードする遺伝子を宿
    主細胞に導入、発現せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモロ
    グ)タンパク質をコードする遺伝子を破壊せしめたヒト
    作用チェック用組換え細胞を調製し、(iii)該真菌
    タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に導入、発現
    せしめ、かつ該宿主細胞の(ホモログ)タンパク質をコ
    ードする遺伝子を破壊せしめた組換え細胞である真菌作
    用チェック用細胞を調製し、(iv)該ヒト作用チェッ
    ク用組換え細胞と該真菌作用チェック用細胞とを被検物
    質の存在下それぞれ培養し、該ヒト作用チェック用組換
    え細胞より該真菌作用チェック用細胞の増殖を低下せし
    める被検物質を選択することを特徴とする抗真菌活性を
    有する被検物質の選択方法。
  4. 【請求項4】 宿主細胞が出芽酵母(Saccharo
    myces cerevisiae)または分裂酵母
    (Schizosaccharomycespomb
    e)である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 真菌タンパク質が、真菌における生合成
    経路に関与するタンパク質、細胞周期を制御しているタ
    ンパク質、または細胞内情報伝達系に関与するタンパク
    質である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7572589B2 (en) * 2001-11-01 2009-08-11 The University Of British Columbia Diagnosis and treatment of infectious diseases through indel-differentiated proteins

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