JPH11287771A - マイクロ波を用いた分子配向度計測方法および装置 - Google Patents
マイクロ波を用いた分子配向度計測方法および装置Info
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- JPH11287771A JPH11287771A JP9148198A JP9148198A JPH11287771A JP H11287771 A JPH11287771 A JP H11287771A JP 9148198 A JP9148198 A JP 9148198A JP 9148198 A JP9148198 A JP 9148198A JP H11287771 A JPH11287771 A JP H11287771A
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Abstract
性がなく分子配向度を計測できる分子配向度計測方法お
よび装置を提供する。 【解決手段】屈折率mを、物体5の平均厚さdzをパラ
メータとすることにより、物体5の厚さを考慮して求め
ているので、この屈折率mを用いることにより、物体5
の厚さの影響をなくした分子配向度SORを計測でき
る。また、装置定数Z0 の算出に、物体5がないときの
最大マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波振動数ν0
を用いているので、温度依存性がなく分子配向度SOR
を計測できる。
Description
布、板、紙などポリマー分子などで構成される成形体
は、ポリマー分子配向(すなわち配向の向き)によっ
て、力学的、電気的、光学的性質が変わることはよく知
られている。したがって、これら成形体の製造において
は分子配向は製品の品質を左右する重要な検査項目の一
つである。
の測定は、偏光の透過強度を測定し、複屈折率を算出す
る方法である。ところが、偏光を用いる方法は成形体が
光に対して透明でなければ用いることができない。そこ
で、光に不透明な被測定物体(成形体)に対しては、周
知のマイクロ波分子配向度測定装置により、マイクロ波
の透過強度を測定し分子配向度を算出する方法が専ら用
いられてきた[大崎茂芳「化学技術誌MOL」Vol.26,N
o.1,pp92-100,(1988);大崎茂芳, J.Appl.Phys.,Vol.67,
No.10, pp6513-6519,(1990) ]。ここで、分子配向度
MOR(MolecularOrientation Ratio) とは、物体を構
成する分子の配向の度合いを与える指標をいう。
配向度測定装置において、以下のように算出される。説
明を簡単にするために被測定物体をフィルムとすれば、
マイクロ波共振導波管にマイクロ波の進行方向にフィル
ム面が垂直になるように配置したフィルムに、振動方向
が一方向に偏ったマイクロ波を連続的に照射し、マイク
ロ波の進行方向と垂直な面内でフィルムを0〜360°
回転させて、フィルムを透過したマイクロ波透過強度を
検出し、その回転角Xとの依存性を図に描く。これによ
って、フィルムを構成する分子の分子配向度MORが、
次式によりコンピュータなどを用いて計算される。 分子配向度MOR=最大マイクロ波透過強度/最小マイ
クロ波透過強度 ここで、「最大」,「最小」とは回転角を0〜360°
で変化させたときに得られる最大値と最小値であって、
通常、最小値を与える回転角を0°、最大値を与える回
転角を90°と称している。この場合、フィルムを構成
する分子の長さ方向が0°の方向と一致すればするほど
分子配向度MORは大きくなる。
クロ波による分子配向の測定においては、『測定試料の
フィルム厚さに無関係に異方性の指数(度合い)を導く
こと(算出すること)は非常に困難である』〔大崎茂
芳,Polym J, Vol.19, No.7, pp821-828,(1987) 〕ため
に、マイクロ波による分子配向度測定における被測定物
体(簡単に「物体」と称する)の厚さが異なれば、各物
体の分子配向度MORを相互に比較することができない
ものであった。例えば、厚さ50μmのフィルムと厚さ
100μmのフィルムの分子配向度MORの測定値が全
く同じであっても、両フィルムを構成する分子の分子配
向度MORの実際値を同じとすることができず、これら
フィルムのどちらが強く分子配向しているかは不明であ
った。
を用いた分子配向度測定においては、この測定装置が設
置された部屋の室温変動、あるいは装置自体の発熱によ
る温度上昇によって、マイクロ波測定値が変化してしま
い、測定の再現信頼性の障害となるという問題があっ
た。また、測定装置内の温度が安定していることが必要
であるので、測定装置の電源を入れてから測定装置内の
温度が十分上昇して安定するまで待たなければならず、
この待ち時間が長いという問題もあった。
もに、温度依存性がなく分子配向度を計測できるマイク
ロ波を用いた分子配向度計測方法および装置を提供する
ことを目的とする。
な問題点は、物体の厚さとマイクロ波透過強度との関係
が明らかでないため、分子配向度を計算するときに用い
る理論式が物体の厚さを考慮したものではなく、物体の
厚さを考慮した理論式が存在しないことにあった。この
ため、異なる厚さのフィルムの分子配向度を相互に比較
することはできなかった。本発明はフィルムの厚さとマ
イクロ波透過強度との関係を明確にし、物体の厚さを考
慮した理論式を用いて、従来と異なる概念の分子配向度
を算出することによって、上記の課題を解決するもので
ある。
向度計測方法は、物体のマイクロ波透過強度をマイクロ
波分子配向度測定装置で測定し、該強度が物体を構成す
る分子の配向に依存することを利用して、物体を構成す
る分子の分子配向度を求める方法であって、Z0 を装置
定数、dzを物体の平均厚さ、νmax をマイクロ波の振
動数を変化させたときの最大マイクロ波透過強度を与え
るマイクロ波の振動数、ν0 を物体の平均厚さがゼロの
とき(つまり、物体がないとき)の最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波の振動数としたとき、物体を前
記マイクロ波分子配向度測定装置のマイクロ波共振導波
管中でマイクロ波の進行方向に垂直に回転させ、マイク
ロ波透過強度を測定して得られる物体の厚さを考慮した
屈折率mを、次式(1)で算出し、 m=(Z0 /dz)×[1−(νmax /ν0 )] (1) 前記算出された屈折率mにおいて、マイクロ波の振動方
向に対する回転角p°,q°(p≠q)における値をm
p ,mq としたとき、物体の厚さを考慮した分子配向度
SORを次式(2)で算出することを特徴とする。 SOR=f(mp ,mq ) (2) ここで、f(mp ,mq )は、mp ,mq を独立変数と
する任意の関数である。
向度計測装置は、物体のマイクロ波透過強度をマイクロ
波分子配向度測定装置で測定し、該強度が物体を構成す
る分子の配向に依存することを利用して、物体を構成す
る分子の分子配向度を求める装置であって、Z0 を装置
定数、dzを物体の平均厚さ、νmax をマイクロ波の振
動数を変化させたときの最大マイクロ波透過強度を与え
るマイクロ波の振動数、ν0 を物体の平均厚さがゼロの
とき(つまり、物体がないとき)の最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波の振動数としたとき、物体を前
記マイクロ波分子配向度測定装置のマイクロ波共振導波
管中でマイクロ波の進行方向に垂直に回転させてマイク
ロ波透過強度を検出し、上記マイクロ波の各振動数ν
max ,ν0 を求める透過強度検出手段と、前記透過強度
検出手段により求めたマイクロ波の各振動数νmax ,ν
0 に基づいて、次式(1)の演算により、物体の厚さを
考慮した屈折率mを得る屈折率演算手段と、 m=(Z0 /dz)×[1−(νmax /ν0 )] (1) 前記屈折率演算手段により得られた屈折率mにおいて、
マイクロ波の振動方向に対する回転角p°,q°(p≠
q)における値をmp ,mq としたとき、次式(2)の
演算により、物体の厚さを考慮した分子配向度SORを
得る分子配向度演算手段とを備えている。 SOR=f(mp ,mq ) (2) ここで、f(mp ,mq )は、mp ,mq を独立変数と
する任意の関数である。
tation Ratio) とは、高分子のミクロブラウン運動にお
いて、この運動単位となる高分子鎖の部分であるセグメ
ントについての分子配向の度合いを与える指標をいう。
この分子配向度SORは、従来からの物体を構成する分
子の配向の度合いを与える指標であるMOR(Molecular
Orientation Ratio) とは異なり、上記セグメントにつ
いての分子配向に着目したものであり、物体の厚さを考
慮した値である。上記の平均厚さdzとは、測定対象と
なる物体の平均厚さであって、例えば、穴が空いたフィ
ルムや繊維束や不織布など、厚さが不均一であっても、
例えば、[平均厚さ]=[単位面積当たりの物体の重
さ]/[物体の密度]を用いて与えることが容易に可能
である。
mは物体の平均厚さdzをパラメータとするものであ
り、物体の厚さを考慮したものである。したがって、こ
の屈折率mを用いた上記式(2)で表される分子配向度
SORにより、従来全く得ることができなかった、物体
の厚さを考慮した、言い換えれば、厚さの影響をなくし
た分子配向の指標が得られる。したがって、物体を構成
する分子の配向が同じであれば、同じ分子配向度SOR
が得られる。また、物体の平均厚さdzをパラメータと
するので、フィルムなどのように平面方向に一定の厚さ
をもつ物体に対してだけでなく、繊維織物、不織布、
紙、射出成形品など平面方向に一定の厚さをもたない物
体に対してもマイクロ波による分子配向度測定を可能に
する。
分子配向度計測方法は、請求項1において、上記式
(1)で算出された屈折率mにおいて、マイクロ波の振
動方向に対する回転角が0°における値をm0 、回転角
が90°における値をm90としたとき、物体の厚さを考
慮した分子配向度SORを次式(3)で算出することを
特徴とする。 SOR=m0 /m90 (3)
向度計測装置は、請求項4において、上記屈折率演算手
段により得られた式(1)の屈折率mにおいて、マイク
ロ波の振動方向に対する回転角が0°における値を
m0 、回転角が90°における値をm90としたとき、上
記分子配向度演算手段は、次式(3)の演算により、物
体の厚さを考慮した分子配向度SORを得る。 SOR=m0 /m90 (3)
2つの相異なる回転角p,qにおける屈折率mの関数と
して、人為的に与えられるものである。例えば、(m0
+ 1)/(m90 + 1)、m0 /(m90+1)、m0 /
(m90+m0 )や、回転角が0°,90°以外のm値を
用いる定義式などが容易に考え得る。このうち、上記分
子配向度SORの代表式(3)における屈折率m0 やm
90は、物体が引き起こす新たな電場に関係するパラメー
タとしての物理的な意味がある。つまり、分子配向度S
ORの代表式(3)は、純粋に物体に係わる屈折率mの
回転角0°と90°の比を計算するものであるので、最
も単純に、純粋に物体に係わるものであるということが
できる。通常、この代表式(3)により、本発明の分子
配向度SORが表される。
た分子配向度計測方法は、請求項1または2において、
cを光速度、Nを上記マイクロ波共振導波管長がマイク
ロ波の半波長の何倍であるかを与える定数としたとき、
上記装置定数Z0 を、上記物体の平均厚さがゼロのとき
(物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える
マイクロ波の振動数ν0 を用いて、次式(4)で算出す
る。 Z0 =cN/2ν0 (4)
向度計測装置は、請求項4または5において、cを光速
度、Nをマイクロ波共振導波管長がマイクロ波の半波長
の何倍であるかを与える定数としたとき、上記物体の平
均厚さがゼロのときの最大マイクロ波透過強度を与える
マイクロ波の振動数ν0 を用いて、次式(4)の演算に
より、上記装置定数Z0 を得る装置定数演算手段を備え
ている。 Z0 =cN/2ν0 (4)
度測定装置のマイクロ波共振導波管の長さに相当するも
のである。したがって、この測定装置の設計定数から装
置固有のものとして与えることもできるが、マイクロ波
を共振させるためにマイクロ波共振導波管を微調整した
場合には長さを実測することは困難であり、またマイク
ロ波共振導波管が室温によって膨張あるいは収縮する場
合にはマイクロ波共振導波管の長さを求めることはさら
に困難である。本発明は、物体がないときの最大マイク
ロ波透過強度を与えるマイクロ波振動数ν0 を測定する
ことにより、簡単に装置定数Z0 を求める方法を提供す
るものである。物体がないときの最大マイクロ波透過強
度を与えるマイクロ波振動数ν 0 は温度変化に対してほ
とんど一定であるので、室温が変化したときにも迅速に
対応して装置定数Z0 を算出することが可能となり、測
定の再現信頼性を向上することができる。
基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る
マイクロ波を用いた分子配向度計測装置を示す構成図で
ある。本装置は、平均厚さdzをもつフィルムのような
物体5にマイクロ波を透過させて、そのマイクロ波透過
強度を検出し、マイクロ波の分子配向度を測定するマイ
クロ波分子配向度測定装置(例えば、KSシステムズ社製
分子配向度測定機MOA-2001A )2を用いて、分子配向度
SORを計測するものである。
上記物体5に照射する所定波長のマイクロ波を発生させ
るマイクロ波発生装置3、マイクロ波共振導波管4およ
び透過強度検出手段8とを備えている。上記マイクロ波
共振導波管4は、その中央部に、マイクロ波の進行方向
にフィルム面が垂直になるようにフィルム5を配置し、
このフィルム5を、図示しない回転機構により、マイク
ロ波の進行方向と垂直な面内でR方向に回転可能な状態
にして保持するとともに、物体5を透過するマイクロ波
を、両端部に設けられた一対の反射鏡7,7で反射させ
ることにより共振させるものである。上記物体5を透過
した後のマイクロ波透過強度は、透過強度検出手段8に
より検出される。
波共振導波管4内の後方の所定位置に挿入した検出素子
8aでマイクロ波透過強度を検出するものであり、物体
5を前記マイクロ波分子配向度測定装置2のマクロ波共
振導波管4中でマイクロ波の進行方向に垂直に回転させ
てマイクロ波透過強度を検出し、マイクロ波の振動数を
変化させたときの最大マイクロ波透過強度を与えるマイ
クロ波の振動数νmax、物体の平均厚さがゼロのとき
(すなわち、物体がないとき)の最大マイクロ波透過強
度を与えるマイクロ波の振動数ν0 を求める。上記検出
素子8aには、例えばフォトダイオード等が用いられ
る。
厚さdzと、上記透過強度検出手段8により求めたマイ
クロ波の各振動数νmax ,ν0 と、装置定数演算手段1
4により上記式(4)で算出された装置定数Z0 とに基
づいて、上記式(1)の演算により、物体5の厚さを考
慮した屈折率mを得る。
た屈折率mにおいて、例えば、マイクロ波の振動方向に
対する回転角が0°における値をm0 、回転角が90°
における値をm90としたとき、物体の厚さを考慮した分
子配向度SORを上記式(3)で算出する。
ートに基づいて説明する。まず、図1のマイクロ波分子
配向度測定装置2におけるマイクロ波共振導波管4に挿
入するフィルムのような物体5についての平均厚さdz
を求める。それとともに、透過強度検出手段8により、
マイクロ波の振動方向に対する物体5の回転角が0°に
おける最大マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波の振
動数νmax(回転角0°)、回転角が90°における最
大マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波の振動数ν
max (回転角90°)、および物体5がないときの最大
マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波の振動数ν0 を
求める(ステップS1)。
定装置2内の温度変化の影響を受けないように、上記式
(4)の演算を行って、装置定数Z0 を求める(ステッ
プS2)。そして、この装置定数Z0 と、ステップS1
で求めた上記振動数νmax (回転角0°)、振動数ν
max (回転角90°)、および振動数ν0 とに基づい
て、屈折率演算手段10により、上記式(1)の演算を
行って、マイクロ波の振動方向に対する物体5の回転角
が0°における屈折率m0 、回転角が90°における屈
折率m90を求める(ステップS3)。つぎに、分子配向
度演算手段12により、m0 /m90の演算を行って、分
子配向度SORを上記式(3)から求める(ステップS
4)。
5の平均厚さdzをパラメータとするものであり、物体
5の厚さを考慮したものである。したがって、この屈折
率mを用いた代表式(3)により、物体5の厚さの影響
をなくした分子配向度SORを計測できる。
して、式(4)で演算した値を用いているが、測定装置
2内の温度が十分に安定した状態にあれば、定数N,物
体がないときの最大マイクロ波透過強度を与えるマイク
ロ波の振動数ν0 をそれぞれ一定とみなすことができる
ので、測定装置2の設計定数から与えられた装置固有の
値を用いてもよい。
が0°,90°における屈折率m0,m90を用いた分子
配向度SORを、代表式(3)により計測しているが、
任意の相異なる回転角p°,q°における屈折率mp ,
mq を用いた上記一般式(2)により、分子配向度SO
Rを計測するようにしてもよい。
が、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。 〔参考例〕6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位27モ
ル%及びp−ヒドロキシ安息香酸単位73モル%からな
るサーモトロピック液晶ポリエステルをTダイから溶融
押出しすることにより厚み108μmのフィルムを得
た。得られた液晶ポリマーフィルムの融点(Tm)は2
80°Cであり、熱変形温度は220°Cであった。同
様にして、厚み52μmの液晶ポリマーフィルム及び厚
み50μmの液晶ポリマーフィルムを得た。
波を用いた分子配向度計測装置により、分子配向が同じ
で厚さが異なる液晶ポリマーフィルムについて、それぞ
れ屈折率mおよび分子配向度SORを算出したものであ
る。例えば、フィルムの厚さが1枚で108μmのもの
と、これを2枚重ねした216μmのものを使用する。
表1は、これらフィルムについて、本発明により算出さ
れた屈折率mおよび分子配向度SOR(式(3))と、
従来技術により算出された分子配向度MORとを比較し
て示したものである。
ィルムの厚さによって大きく変化するが、本発明により
算出された屈折率mおよび分子配向度SORはフィルム
厚さに無関係に同じ程度の値を示すことが明らかであ
る。
波を用いた分子配向度計測装置により、開口を設けた液
晶ポリマーフィルムについて、屈折率mおよび分子配向
度SORを算出したものである。例えば、フィルム(サ
イズ10×10mm角、厚52μm)の中央に直径がそれぞ
れ10,20mmと異なる円形開口を設け、厚さがフィ
ルム平面方向に一定でない(開口部の厚さは0、非開口
部は52μm)ものを使用する。表2は、これらフィル
ムについて、本発明による平均厚さdzを用いた屈折率
mおよび分子配向度SOR(式(3))と、従来技術に
より算出された分子配向度MORとを比較して示したも
のである。
MORは、上記のように厚さが不均一なフィルムに対し
ては、厚さを考慮することができないので、開口直径に
分子配向度が依存する結果になっており、同じフィルム
でも開口直径の大きさによって分子配向が異なるという
明らかに不合理な結果になる。本発明により算出された
平均厚さdzを用いた屈折率mおよび分子配向度SOR
(式(3))は、開口の直径には依存することなく同じ
程度の値を示すことが明らかである。
ある場合だけでなく、逆に中央部のみ厚さが正であり中
央部以外の周辺部は厚さが0の場合でも、同様に容易に
分子配向度が測定できるであろうことは容易に導かれる
ことである。このことは、本発明により提供される方法
を用いれば、物体サイズがマイクロ波共振導波管4のサ
イズに比較して小さい場合でも分子配向度の測定ができ
ることを示している。
波分子配向度測定装置2内の温度変化に対応するための
装置定数Z0 を算出するものである。まず、フィルムを
装置に装着しない場合(すなわちブランクの場合)の、
最大マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波振動数ν0
を種々の温度において測定し、光速度c=3×1010c
m/secと、マイクロ波共振導波管長がマイクロ波の
波長の何倍であるかを与える定数N=3とを用いて、上
記式(4)により計算し装置定数Z0 を得た。また、厚
さ50μmの液晶ポリマーフィルムについても最大マイ
クロ波透過強度を与えるマイクロ波振動数νmax を測定
し、上記式(1),(3)を用いて屈折率mおよび分子
配向度SORを算出した。表3はこれらの結果をまとめ
て示すものである。
ロ波透過強度を与えるマイクロ波振動数νmax は温度に
より変動するが、ブランクの場合の最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波振動数ν0 は温度変化に対して
ほとんど一定であるので、本発明による装置定数Z0 の
効果により装置定数Z0 が温度補正係数として作用し、
フィルムの屈折率m、分子配向度SORは温度変化に対
しほとんど一定となることが明らかである。
電源を入れた後、この測定装置2内の温度が時間と共に
上昇し、従来技術では温度が十分に上昇して一定になる
までは測定ができなかった。測定装置2を恒温室に設置
した場合においても、温度が十分に上昇するまで5〜6
時間以上を要しており、この間は測定できなかった。本
発明による装置定数Z0 を用いた温度補正を行えば、測
定装置2の電源を入れてほとんど直ちに測定を開始する
ことができる。
物体の厚さの影響をなくした分子配向の計測が可能とな
り、また被計測物体が均一な厚さをもたない場合でも分
子配向の計測が可能となる。さらに温度変動による計測
値の狂いがない再現信頼性の高い分子配向計測が可能と
なる。このように本発明は、マイクロ波透過強度のデー
タの優れた計算方法により、マイクロ波を用いる分子配
向計測を根本的に改良するものである。
分子配向度計測装置を示す構成図である。
ある。
振導波管、5…物体、8…透過強度検出手段、10…屈
折率演算手段、12…分子配向度演算手段、14…装置
定数演算手段。
Claims (6)
- 【請求項1】 物体のマイクロ波透過強度をマイクロ波
分子配向度測定装置で測定し、該強度が物体を構成する
分子の配向に依存することを利用して、物体を構成する
分子の分子配向度を求める方法であって、 Z0 を装置定数、dzを物体の平均厚さ、νmax をマイ
クロ波の振動数を変化させたときの最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波の振動数、ν0 を物体の平均厚
さがゼロのときの最大マイクロ波透過強度を与えるマイ
クロ波の振動数としたとき、 物体を前記マイクロ波分子配向度測定装置のマイクロ波
共振導波管中でマイクロ波の進行方向に垂直に回転さ
せ、マイクロ波透過強度を測定して得られる物体の厚さ
を考慮した屈折率mを、次式(1)で算出し、 m=(Z0 /dz)×[1−(νmax /ν0 )] (1) 前記算出された屈折率mにおいて、マイクロ波の振動方
向に対する回転角p°,q°(p≠q)における値をm
p ,mq としたとき、 物体の厚さを考慮した分子配向度SORを次式(2)で
算出することを特徴とするマイクロ波を用いた分子配向
度計測方法。 SOR=f(mp ,mq ) (2) ここで、f(mp ,mq )は、mp ,mq を独立変数と
する任意の関数である。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記式(1)で算出された屈折率mにおいて、マイクロ
波の振動方向に対する回転角が0°における値をm0 、
回転角が90°における値をm90としたとき、物体の厚
さを考慮した分子配向度SORを次式(3)で算出する
ことを特徴とするマイクロ波を用いた分子配向度計測方
法。 SOR=m0 /m90 (3) - 【請求項3】 請求項1または2において、 cを光速度、Nを前記マイクロ波共振導波管長がマイク
ロ波の半波長の何倍であるかを与える定数としたとき、 前記装置定数Z0 を、前記物体の平均厚さがゼロのとき
の最大マイクロ波透過強度を与えるマイクロ波の振動数
ν0 を用いて、次式(4)で算出することを特徴とする
マイクロ波を用いた分子配向度計測方法。 Z0 =cN/2ν0 (4) - 【請求項4】 物体のマイクロ波透過強度をマイクロ波
分子配向度測定装置で測定し、該強度が物体を構成する
分子の配向に依存することを利用して、物体を構成する
分子の分子配向度を求める装置であって、 Z0 を装置定数、dzを物体の平均厚さ、νmax をマイ
クロ波の振動数を変化させたときの最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波の振動数、ν0 を物体の平均厚
さがゼロのときの最大マイクロ波透過強度を与えるマイ
クロ波の振動数としたとき、 物体を前記マイクロ波分子配向度測定装置のマイクロ波
共振導波管中でマイクロ波の進行方向に垂直に回転させ
てマイクロ波透過強度を検出し、上記マイクロ波の各振
動数νmax ,ν0 を求める透過強度検出手段と、 前記透過強度検出手段により求めたマイクロ波の各振動
数νmax ,ν0 に基づいて、次式(1)の演算により、
物体の厚さを考慮した屈折率mを得る屈折率演算手段
と、 m=(Z0 /dz)×[1−(νmax /ν0 )] (1) 前記屈折率演算手段により得られた屈折率mにおいて、
マイクロ波の振動方向に対する回転角p°,q°(p≠
q)における値をmp ,mq としたとき、 次式(2)の演算により、物体の厚さを考慮した分子配
向度SORを得る分子配向度演算手段とを備えたことを
特徴とするマイクロ波を用いた分子配向度計測装置。 SOR=f(mp ,mq ) (2) ここで、f(mp ,mq )は、mp ,mq を独立変数と
する任意の関数である。 - 【請求項5】 請求項4において、 前記屈折率演算手段により得られた式(1)の屈折率m
において、マイクロ波の振動方向に対する回転角が0°
における値をm0 、回転角が90°における値をm90と
したとき、 前記分子配向度演算手段は、次式(3)の演算により、
物体の厚さを考慮した分子配向度SORを得ることを特
徴とするマイクロ波を用いた分子配向度計測装置。 SOR=m0 /m90 (3) - 【請求項6】 請求項4または5において、 cを光速度、Nをマイクロ波共振導波管長がマイクロ波
の半波長の何倍であるかを与える定数としたとき、 前記物体の平均厚さがゼロのときの最大マイクロ波透過
強度を与えるマイクロ波の振動数ν0 を用いて、次式
(4)の演算により、前記装置定数Z0 を得る装置定数
演算手段を備えたことを特徴とするマイクロ波を用いた
分子配向度計測装置。 Z0 =cN/2ν0 (4)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09148198A JP3691658B2 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | マイクロ波を用いた分子配向度計測方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09148198A JP3691658B2 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | マイクロ波を用いた分子配向度計測方法および装置 |
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1998
- 1998-04-03 JP JP09148198A patent/JP3691658B2/ja not_active Expired - Lifetime
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