JPH11222434A - プテリン誘導体含有一酸化窒素合成酵素発現抑制剤 - Google Patents

プテリン誘導体含有一酸化窒素合成酵素発現抑制剤

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JPH11222434A
JPH11222434A JP10066126A JP6612698A JPH11222434A JP H11222434 A JPH11222434 A JP H11222434A JP 10066126 A JP10066126 A JP 10066126A JP 6612698 A JP6612698 A JP 6612698A JP H11222434 A JPH11222434 A JP H11222434A
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pterin
nitric oxide
formyl
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JP10066126A
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Toshiyuki Arai
俊之 荒井
Keisuke Makino
圭祐 牧野
Kenjiro Mori
健次郎 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導性一酸化窒素合成酵素の発現抑制剤を
提供する。 【解決手段】 下記式(I)〔式中、R1 及びR2 は、
水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は式R3 −C
O−(R3 は炭素数1〜4のアルキル基である)で表さ
れるアシル基であり、Xは、ホルミル基又はヒドロキシ
メチル基であり、Aは下記式(Ia)で表される基であ
り、nは0又は1以上の整数であるが、但し、Xがヒド
ロキシメチル基である場合には、nは0であるものと
し、nが1以上の整数である場合には、R1 及びR2
水素原子であり、Xはホルミル基であるものとする〕で
表されるプテリン誘導体、若しくはその環状体、又はそ
の塩を有効成分として含有する。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プテリン誘導体を
含有する誘導性一酸化窒素合成酵素の発現抑制剤に関す
る。また、本発明は、前記のプテリン誘導体を含有す
る、一酸化窒素により引き起こされる疾病の予防又は治
療用の医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一酸化窒素合成酵素(nitric o
xide synthase;以下、NOSと称するこ
とがある)によって合成される一酸化窒素は、生体内で
種々の生物学的反応過程に関与していることが知られて
いる。一酸化窒素が生体内で重要な役割を果たしている
ことは、血管内皮細胞から発見された未知の強力な血管
弛緩因子[内皮細胞由来平滑筋弛緩因子(endoth
elium derived relaxing fa
ctor;EDRF)]の本体が一酸化窒素であるとの
報告により、初めて明らかにされた。その後、一酸化窒
素が、前記の血管弛緩作用以外にも、神経伝達物質とし
ての作用や、細菌又は腫瘍細胞に対する細胞障害作用な
どを有することが明らかにされている。
【0003】一酸化窒素合成酵素は、発現様式の違いか
ら、誘導性NOS(inducible NOS;以
下、iNOSと称することがある)と構成性NOS(c
onstitutive NOS;以下、cNOSと称
することがある)とに大きく2つに分類され、更に、c
NOSは、主に神経組織に分布する神経型NOS(ne
uron NOS;以下、nNOSと称することがあ
る)と、主に血管内皮細胞に分布する内皮型NOS(e
ndothelial NOS;以下、eNOSと称す
ることがある)とに分類される。iNOSは、通常の状
態では細胞内にほとんど存在しないが、刺激因子(例え
ば、サイトカイン及び/又はリポ多糖体など)の誘導に
より、各種細胞、例えば、白血球、マクロファージ、又
は血管平滑筋などで初めて出現する。ヒトiNOSの分
子量は約130kDaであり、その遺伝子は第17染色
体に存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記cNOSは、恒常
的に存在して少量の一酸化窒素を産生し、生理的調節作
用を行なっているものと考えられる。一方、前記iNO
Sは、通常の状態ではわずかにしか存在せず、誘導物質
により誘導されることにより発現し、大量の一酸化窒素
を持続的に産生し続けるので、いわば、病的状態におい
て機能しているものと考えられる。一酸化窒素により引
き起こされる疾病としては、例えば、炎症性疾患(例え
ば、慢性関節リウマチ)、虚血性障害(例えば、梗塞若
しくは虚血などに起因する各種の心臓障害若しくは脳障
害、又は虚血後の再潅流障害など)、ショック(例え
ば、出血性ショックなど)などが知られている。このよ
うな疾病は、大量の一酸化窒素を産生し続けるiNOS
の発現を抑制することによって、予防又は治療可能であ
ることが予想される。本発明者は、iNOSの発現抑制
作用を有する化合物を鋭意探求した結果、従来、前記作
用を有することが全く知られていなかったプテリン誘導
体が前記作用を示すことを見出した。本発明は、こうし
た知見に基づくものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、式(I):
【化4】 〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、水素原子、
炭素数1〜4のアルキル基、又は式R3 −CO−(R3
は炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるアシル
基であり、Xは、ホルミル基又はヒドロキシメチル基で
あり、Aは式(Ia):
【化5】 で表される基であり、nは0又は1以上の整数である
が、但し、Xがヒドロキシメチル基である場合にはnは
0であるものとし、そしてnが1以上の整数である場合
には、R1 及びR2 はそれぞれ水素原子であり、Xはホ
ルミル基であるものとする〕で表されるプテリン誘導
体、若しくはその環状体、又はその塩を有効成分として
含有することを特徴とする、誘導性一酸化窒素合成酵素
の発現抑制剤によって達成することができる。また、本
発明は、前記式(I)で表されるプテリン誘導体、若し
くはその環状体、又は薬剤学的に許容することのできる
その塩を有効成分として含有することを特徴とする、一
酸化窒素により引き起こされる疾病の予防又は治療用の
医薬組成物にも関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明による誘導性一酸化窒素合成酵素の発現抑制剤
は、有効成分として前記式(I)で表されるプテリン誘
導体を含有する。R1 、R2 、及びR3 で表される炭素
数1〜4のアルキル基とは、直鎖又は分枝鎖の炭素数1
〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、又はtert−ブチ
ル基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。前記式
(I)で表される化合物において、R1 及びR2 は、そ
れぞれ独立して、同一又は異なる、水素原子、前記の炭
素数1〜4のアルキル基、又は式R3 −CO−(R3
前記の炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるア
シル基であることができる。前記式(I)において、n
は、0又は1以上の整数、好ましくは0又は1〜100
の整数、より好ましくは0又は1〜10の整数である。
【0007】前記式(I)で表されるプテリン誘導体と
しては、R1 及びR2 が、それぞれ独立に、水素原子、
炭素数1〜4のアルキル基、又は式R3 −CO−で表さ
れるアシル基であり、R3 が炭素数1〜4のアルキル基
であり、Aが式(Ia)で表される基であり、nが0又
は1以上の整数であり、Xがホルミル基である6−ホル
ミル−プテリン誘導体が好ましい。また、前記式(I)
で表されるプテリン誘導体としては、4−オキシ−プテ
リジン環の6位に、−(CH=N−A)n −X又は−X
が結合することが好ましい。
【0008】更に、前記式(I)で表されるプテリン誘
導体としては、R1 及びR2 が水素原子であり、そして
nが0である前記式(I)で表される化合物、すなわ
ち、式(II):
【化6】 で表される6−ホルミル−プテリンがより好ましい。
【0009】6−ホルミル−プテリンは、アミノ基及び
ホルミル基を有するので、水溶液中で複数の分子間でシ
ッフ塩基を自然に形成し、6−ホルミル−プテリンのオ
リゴマー又はポリマーとなることができる。このオリゴ
マー又はポリマーには、直鎖状のオリゴマー又はポリマ
ーだけでなく、環状のオリゴマー又はポリマーも含まれ
る。単量体からオリゴマー又はポリマーへの反応は可逆
反応であり、アルカリ条件下では、6−ホルミル−プテ
リンオリゴマー又はポリマーは、単量体である6−ホル
ミル−プテリンに容易に分解する。従って、生体内や皮
膚上でも同様の可逆反応が行われるものと思われる。前
記6−ホルミル−プテリンオリゴマー又はポリマーは、
1 及びR2 が同時に水素原子であり、そしてnが1以
上(好ましくは1〜100)の整数である前記式(I)
で表される化合物であり、本発明による誘導性一酸化窒
素合成酵素の発現抑制剤における有効成分として使用す
ることができる。
【0010】生体内で、前記式(I)で表されるプテリ
ン誘導体に容易に変換することのできる誘導体、すなわ
ち、プロドラッグも本発明の有効成分として使用するこ
とができる。適当なプロドラッグの選択及び製造に一般
的に用いられる方法は、例えば、Design of
Prodrugs,ed.H.Bundgaard,E
lsevier,1985に記載されている。
【0011】6−ホルミル−プテリンは、遊離化合物の
形で有効成分として使用することができると共に、その
塩、特に薬剤学的に許容することのできるその塩、例え
ば、無機酸塩(例えば、塩酸塩若しくは硫酸塩)又は有
機酸塩(例えば、カンファースルホン酸塩、酒石酸塩、
リンゴ酸塩、若しくはシュウ酸塩など)の形で使用する
こともできる。また、前記の6−ホルミル−プテリンオ
リゴマー又はポリマーの形で使用することもできる。6
−ホルミル−プテリンオリゴマー又はポリマーは、公知
化合物であり、それ自体公知の方法によって、遊離化合
物をその塩へ、あるいはその塩を遊離化合物又は別の塩
に変換することができる。
【0012】前記式(I)で表されるプテリン誘導体
も、遊離化合物の形で有効成分として使用することがで
きると共に、その塩、特に薬剤学的に許容することので
きるその塩、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩若しく
は硫酸塩)又は有機酸塩(例えば、カンファースルホン
酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、若しくはシュウ酸塩な
ど)の形で使用することもできる。前記式(I)で表さ
れるプテリン誘導体は、公知化合物であり、それ自体公
知の方法で調製することができる。また、それ自体公知
の方法によって、遊離化合物をその塩へ、あるいはその
塩を遊離化合物又は別の塩に変換することができる。
【0013】前記式(I)で表されるプテリン誘導体、
若しくはその環状体、又はその薬剤学的に許容すること
のできる塩は、誘導性一酸化窒素合成酵素の発現抑制作
用を有するかあるいは誘導性一酸化窒素合成酵素の発現
抑制作用を有する化合物を誘導することができるので、
本発明による、一酸化窒素により引き起こされる疾病の
予防又は治療用の医薬組成物(以下、単に「本発明によ
る医薬組成物」と称することがある)の有効成分として
用いることができる。
【0014】例えば、前記式(I)で表されるプテリン
誘導体の内、nが0であり、そしてR1 又はR2 のいず
れかが水素原子でない式(I)で表されるプテリン誘導
体、又は6−ホルミル−プテリン〔すなわち、nが0で
あり、そしてR1 及びR2 が同時に水素原子で有り、X
がホルミル基である式(I)で表される化合物〕は、そ
れ自体が、誘導性一酸化窒素合成酵素の発現を抑制する
作用を有する。
【0015】また、前記式(I)で表されるプテリン誘
導体の内、nが1以上の整数、特にnが1〜100の整
数である式(I)で表されるプテリン誘導体は、投与し
た動物の体内又は体表で徐々に分解して6−ホルミル−
プテリンを放出するので、誘導性一酸化窒素合成酵素の
発現抑制作用を有する化合物を誘導することができる。
【0016】本発明による医薬組成物は、前記式(I)
で表されるプテリン誘導体、若しくはその環状体、又は
その薬剤学的に許容することのできる塩を含有するの
で、誘導性一酸化窒素合成酵素の発現を抑制することが
可能である。従って、本発明による医薬組成物は、一酸
化窒素が原因で引き起こされる種々の疾病、例えば、炎
症性疾患(例えば、リウマチ性炎症、慢性関節リウマ
チ、変形性関節炎、潰瘍性大腸炎、自己免疫疾患、又は
急性炎症など)、虚血性障害(例えば、梗塞若しくは虚
血などに起因する各種の心臓障害若しくは脳障害、又は
虚血後の再潅流障害など)、ショック(例えば、内毒性
ショック、出血性ショック、又は心臓性ショックな
ど)、病的な血圧低下(例えば、サイトカインを用いる
癌治療における血圧低下、又は敗血症、出血性ショッ
ク、若しくは肝硬変において生じる血圧低下など)、移
植拒絶反応、神経系障害(例えば、アルツハイマー病、
てんかん、又は片頭痛など)、腫瘍、又はインシュリン
依存性糖尿病などを、有効に予防又は治療することがで
きる。これらの疾病は、誘導性一酸化窒素合成酵素によ
り産生された一酸化窒素が原因で引き起こされる疾病で
あり、増加した(場合により、過剰に産生された)一酸
化窒素が原因で引き起こされる疾病である。
【0017】本発明による医薬組成物は、プテリン誘導
体又は薬剤学的に許容することのできるその塩を、それ
単独で、又は好ましくは薬剤学的若しくは獣医学的に許
容することのできる通常の担体と共に、動物、好ましく
は哺乳動物(特には、ヒト)に経口的に又は非経口的に
投与することができる。
【0018】投与剤型としては、特に限定はなく、例え
ば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁
液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは
丸剤などの経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐
剤、局所投与のクリーム、ゼリー、ジェル、ペースト、
若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
これらの経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナト
リウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう
糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキス
トリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆
レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリ
ン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マ
グネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウム
などの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、
流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味
剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用
いて、常法に従って製造することができる。例えば、6
−ホルミル−プテリンと乳糖とを混合して充填したカプ
セル剤などである。
【0019】非経口投与方法としては、クリーム又は軟
膏等による局所投与、注射(皮下、静脈内等)、又は直
腸投与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も
好適に用いられる。例えば、注射剤の調製においては、
有効成分としてのプテリン誘導体の他に、例えば、生理
食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若し
くは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しく
は塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化
剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意に用いるこ
とができる。また、本発明による医薬組成物は、徐放性
ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与し
てもよい。例えば、本発明による医薬組成物をエチレン
ビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペ
レットを治療すべき組織中に外科的に移植することがで
きる。
【0020】本発明による医薬組成物は、これに限定さ
れるものではないが、プテリン誘導体又は薬剤学的に許
容することのできるその塩を、0.01〜99重量%、
好ましくは0.1〜80重量%の量で含有することがで
きる。本発明による医薬組成物を、その誘導性一酸化窒
素合成酵素の発現抑制作用を利用して用いる場合の投与
量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程
度、又は投与方法などにより異なり、当業者が適宜決定
することができる。更に、形態も医薬品に限定されるも
のではなく、種々の形態、例えば、機能性食品や健康食
品、又は飼料として飲食物の形で与えることも可能であ
る。
【0021】6−ホルミル−プテリンについて、ラット
を用いる急性毒性試験を行ったところ、静脈内注射によ
り6mg/kg体重量の6−ホルミル−プテリンを10
匹のラットに投与し、3か月間観察したが、死亡例は認
められなかった。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】本実施例では、マウス腹腔から採取したマ
クロファージにおいて、リポ多糖体(LPS)及びイン
ターフェロンγ(IFNγ)により誘導されるナイトラ
イト(nitrite)生成が、本発明における有効成
分である6−ホルミル−プテリンにより阻害されること
を確認した。6〜8週令の雄性マウス(Balb/cマ
ウス)に、誘導試薬(eliciting reage
nt)である4%ブリューワーズ(brewer’s)
チオグリコレート培地(Defco社)1.5mlを腹
腔内注射し、それから5日後に、以下の手順で腹腔内の
マクロファージを採取した。すなわち、マウスを安楽死
させ、氷冷したRPMI1640培地(グルタミン含
有;Fisher社)5mlを腹膜腔に注入した後に、
それを回収した。得られた細胞懸濁液を、RPMI16
40培地で2回洗浄し、細胞培養用培地[5%ウシ胎児
血清(FCS)、100μg/mlストレプトマイシン
(Sigma社)、及び100ユニット/mlペニシリ
ン(Sigma社)含有RPMI1640培地]15m
lに再懸濁し、24穴細胞培養プレート(Fisher
社)に0.5mlずつ分注した。
【0023】細胞を分注した前記の24穴細胞培養プレ
ートをインキュベーター(温度=37℃,二酸化炭素濃
度=5%)中に2時間静置し、細胞を各ウェルの底に付
着させた。続いて、前記培地を、本発明における有効成
分である6−ホルミル−プテリンを種々の濃度で含む誘
導培地[前記の細胞培養用培地に、50ng/mlリポ
多糖体(大腸菌由来,血清型=0127:B8;Sig
ma社)と250ユニット/mlインターフェロンγと
を更に添加した培地]、又は6−ホルミル−プテリンを
含有しない前記誘導培地0.5mlに置換し、前記イン
キュベーター中で更に15時間インキュベートした。
【0024】前記インキュベーションの終了後に、培地
中に蓄積したナイトライト(一酸化窒素の酸化生成物)
の量を、以下に示すグリース(Griess)反応によ
り測定した。すなわち、各ウェルから採取した培地上清
0.1mlをそれぞれ96穴細胞培養プレートに移した
後に、各培養上清にグリース反応試薬(2%ナフチルア
ミン及び2%スルファニルアミド含有水溶液)0.1m
lを加え、混合した。15分間静置した後に、マイクロ
プレートリーダー(Molecular Device
社)により540nmの吸光度を測定し、亜硝酸ナトリ
ウム標準溶液(Fisher社)を用いて吸収係数を算
出した。なお、前記の一連の操作において、6−ホルミ
ル−プテリンの各濃度に関してそれぞれ3つの試料を準
備し、それらの試料からそれぞれ吸収係数を算出した。
【0025】前記の一連の操作を更に2回繰り返し(各
シリーズにおいて使用するマクロファージは、それぞれ
別のマウスから調製した)、本実施例では、計3回の操
作を行なった。結果を表1に示す。表1において、記号
「P6A」は、本発明における有効成分である6−ホル
ミル−プテリンを意味し、「ナイトライト」の欄に示す
数値は、マクロファージ2×106 細胞当たりのナイト
ライト量である。リポ多糖体及びインターフェロンγに
より誘導されるマクロファージにおけるナイトライト生
成を、50%阻害することのできる6−ホルミル−プテ
リンの濃度(IC50)は、0.8mM(誤差は±7%以
下である)であった。
【0026】
【表1】P6A(mM) ナイトライト(μM) 阻害率(%) 0 56.0 0 0.1 54.1 3.5 0.5 52.8 5.8 1.0 22.8 59.3 2.0 5.2 90.7
【0027】
【実施例2】本実施例では、実施例1で調製したマクロ
ファージにおいて、リポ多糖体及びインターフェロンγ
により誘導される誘導性一酸化窒素合成酵素(iNO
S)mRNAの転写が、本発明における有効成分である
6−ホルミル−プテリンにより阻害されることを、ノザ
ンブロッティングにより確認した。
【0028】(1)前記実施例1に記載の手順に従っ
て、マウスからマクロファージを採取し、24穴細胞培
養プレートに分注し、インキュベーター中に2時間静置
した後に、培地を、本発明における有効成分である6−
ホルミル−プテリンを種々の濃度で含む前記誘導培地、
又は6−ホルミル−プテリンを含有しない前記誘導培地
0.5mlに置換した。次に、前記インキュベーター中
で更に5時間インキュベートした後に、各ウェルからマ
クロファージを回収し、各々のマクロファージ(3×1
6 細胞)から全RNAを調製した。全RNAの調製
は、市販のRNA調製試薬(TRIzol;Life
Technologies)を用いて、添付の説明書に
従って実施した。
【0029】各ウェルから得られたそれぞれの全RNA
20μgを、1.7%ホルムアミド含有1%アガロース
ゲル(Fisher社)を用いて電気泳動した後に、毛
細管現象を利用してポリアミド膜(MSI社)に一晩か
けて転写し、紫外線クロスリンキングにより膜に固定し
た。得られたポリアミド膜を、プローブを含まないハイ
ブリダイゼーション溶液(DIG Easy Hyb;
Boeringer−Mannheim社)に65℃で
30分間浸した後に、プローブ0.225μgを含む前
記ハイブリダイゼーション溶液中で一晩ハイブリダイゼ
ーション(温度=65℃)を行なった。前記プローブと
して、マウスiNOSのcDNA(ALEXIS社)を
ディグオキシジェニン(DIG;Boeringer−
Mannheim社)で予め標識したものを使用した。
エチジウムブロマイド染色により、各レーンの全RNA
量が同量であることを確認した後に、以下の条件で各ブ
ロットを検出した。 一次抗体・・抗DIG抗体(Boeringer−Ma
nnheim社) 二次抗体・・ルシフェラーゼを連結した抗IgG抗体 フィルム・・X線フィルム(富士写真フィルム) 検出系・・ECLシステム(Amersham社)
【0030】結果を図1に示す。図1は、ノザンブロッ
ティングの結果を示す写真である。レーン1は、分子量
マーカーとして、RNAラダー(GIBCO社)を電気
泳動した結果を示し、レーン2は、ネガティブコントロ
ール、すなわち、リポ多糖体、インターフェロンγ、及
び6−ホルミル−プテリン無添加の培養培地を用いた場
合の結果を示し、レーン3及びレーン8は、ポジティブ
コントロール、すなわち、リポ多糖体及びインターフェ
ロンγ含有かつ6−ホルミル−プテリン無添加の培養培
地を用いた場合の結果を示し、レーン4〜レーン7は、
6−ホルミル−プテリンをそれぞれ、3mM、1mM、
0.5mM、又は0.1mM含有する培養培地(リポ多
糖体及びインターフェロンγ含有)を用いた場合の結果
を示す。なお、レーン8のみ、他のレーンにおけるRN
A量(20μg)の2倍量(すなわち、40μg)のR
NAを泳動した。図1に記載の矢印は、その矢印の示す
位置に、iNOSに由来するバンドが表われることを示
すものである。図1から明らかなように、リポ多糖体及
びインターフェロンγにより誘導されるマクロファージ
におけるiNOSのmRNAの転写量は、本発明におけ
る有効成分である6−ホルミル−プテリンの添加量に応
じて減少した。
【0031】(2)6−ホルミル−プテリンの添加濃度
を3mM、1mM、0.5mM、又は0.1mMとする
代わりに、2mM、1mM、0.5mM、又は0.1m
Mとすること以外は、前記(1)の操作を3回繰り返し
た(各シリーズにおいて使用するマクロファージは、そ
れぞれ別のマウスから調製した)。結果を表2に示す。
表2において、記号「P6A」は、本発明における有効
成分である6−ホルミル−プテリンを意味し、「ブロッ
ト濃度」の欄に示す「arb.」は、ブロット濃度の単
位が任意であること、具体的には、デンシトメーター
(Eagle Eye社)の目盛位置から直接読みとっ
た数値であることを意味する。リポ多糖体及びインター
フェロンγにより誘導されるマクロファージにおけるi
NOSのmRNAの転写を、50%阻害することのでき
る6−ホルミル−プテリンの濃度(IC50)は、0.5
mM(誤差は±13%以下である)であった。
【0032】
【表2】P6A(mM) ブロット濃度(arb.) 阻害率(%) 0 18.3 0 0.1 12.6 31.1 0.5 5.5 56.3 1.0 1.0 94.5 2.0 0.1 99.2
【0033】
【発明の効果】本発明による誘導性一酸化窒素合成酵素
の発現抑制剤は、誘導性一酸化窒素合成酵素の発現を抑
制することが可能である。従って、前記の誘導性一酸化
窒素合成酵素の発現抑制剤を含有する本発明による医薬
組成物は、一酸化窒素により引き起こされる種々の疾病
を効果的に予防又は治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ノザンブロッティングによる電気泳動
の結果を示す、図面に代わる写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/505 ABV A61K 31/505 ABV ADP ADP ADU ADU A23K 1/16 302 A23K 1/16 302N A23L 1/30 A23L 1/30 Z // C07D 475/04 C07D 475/04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、水素原子、
    炭素数1〜4のアルキル基、又は式R3 −CO−(R3
    は炭素数1〜4のアルキル基である)で表されるアシル
    基であり、Xは、ホルミル基又はヒドロキシメチル基で
    あり、Aは式(Ia): 【化2】 で表される基であり、nは0又は1以上の整数である
    が、但し、Xがヒドロキシメチル基である場合にはnは
    0であるものとし、そしてnが1以上の整数である場合
    には、R1 及びR2 はそれぞれ水素原子であり、Xはホ
    ルミル基であるものとする〕で表されるプテリン誘導
    体、若しくはその環状体、又はその塩を有効成分として
    含有することを特徴とする、誘導性一酸化窒素合成酵素
    の発現抑制剤。
  2. 【請求項2】 式(II): 【化3】 で表される6−ホルミル−プテリン又はその塩を有効成
    分として含有する、請求項1に記載の誘導性一酸化窒素
    合成酵素の発現抑制剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の式(I)で表されるプ
    テリン誘導体、若しくはその環状体、又は薬剤学的に許
    容することのできるその塩を有効成分として含有するこ
    とを特徴とする、一酸化窒素により引き起こされる疾病
    の予防又は治療用の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 一酸化窒素により引き起こされる疾病
    が、炎症性疾患、虚血性障害、ショック、病的な血圧低
    下、移植拒絶反応、神経系障害、腫瘍、又はインシュリ
    ン依存性糖尿病である、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の式(I)で表されるプ
    テリン誘導体、若しくはその環状体、又はその塩を含有
    することを特徴とする、一酸化窒素により引き起こされ
    る疾病の予防又は治療用の機能性食品。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の式(I)で表されるプ
    テリン誘導体、若しくはその環状体、又はその塩を含有
    することを特徴とする、一酸化窒素により引き起こされ
    る疾病の予防又は治療用の飼料。
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