JPH11151251A - 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント - Google Patents

歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント

Info

Publication number
JPH11151251A
JPH11151251A JP32137897A JP32137897A JPH11151251A JP H11151251 A JPH11151251 A JP H11151251A JP 32137897 A JP32137897 A JP 32137897A JP 32137897 A JP32137897 A JP 32137897A JP H11151251 A JPH11151251 A JP H11151251A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crown
color tone
cement
glass ionomer
dental crown
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32137897A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Miwa
英幸 三輪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP32137897A priority Critical patent/JPH11151251A/ja
Publication of JPH11151251A publication Critical patent/JPH11151251A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)
  • Dental Prosthetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯冠表面に切削およびエッチング(酸処理)
をすることなく、ベニアを形成することを可能にし、接
着安定性が高く、かつ快適な装用感を得られるようにす
る。 【解決手段】 本発明の歯冠色調の改善方法は、次の
(A)〜(C)の工程を含む構成とした。 (A) グラスアイオノマーセメントにマスキング材を
混合して希望する色調に着色する。 (B) 前記工程(A)により着色したグラスアイオノ
マーセメントを歯冠10に塗布し、硬化させることで、
前記歯冠10の表面にベース層12を形成する。 (C) 前記ベース層12の表面に硬質レジンを充填
し、硬化させることで、被覆層13を形成する。また、
本発明の歯冠色調改善用セメントは、グラスアイオノマ
ーセメントに、当該セメントの光透過性を抑えるマスキ
ング材を混合する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯冠色調の改善方
法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメントに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のベニヤ修復による歯冠色調の改善
方法は、その術式によって直接法と間接法とに大別され
る。直接法は、歯冠の表面を切削した後、薬剤等でエッ
チング(酸処理)し、この処理面にレジンによってベニ
アを形成する。レジンには、ペーストの流動性をよくし
たり不透明感を与えたりしてベニア修復に対応させたも
のもあるが、多くは一般の充填用修復材料を代用してい
るのが現状である。一方、間接法は、予め歯冠形状を象
ったベニアを作製し、このベニアを歯冠表面に接着す
る。ベニア材料には、ポーセレン、セラミック等が用い
られる。ベニアの接着剤には、メチルメタアクリレート
(MMA)等のレジン系のセメントが用いられる。歯冠
表面にベニアを固定する場合、図4(A)に示すよう
に、まず、歯冠1の表面をエッジング処理し、次いで、
図4(B)に示すように、処理面1aに接着剤を塗布し
てベニア2を接着する。近年の歯冠色調の改善方法の傾
向は、直接法に比べ審美的状態が長期的に安定している
間接法が多く実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の歯冠色調の改善方法は、直接法および間接法
ともに、歯冠表面にベニアを形成する際に、切削・エッ
チング工程が不可欠になる。すなわち、歯冠表面を削っ
た後に、特殊な薬で処理することにより、歯冠とベニア
材料の結合力を高める。このため、歯冠色調を改善する
場合、健康な歯であっても、歯冠表面を削ることにな
り、ベニアを外したときに元の状態に戻せないという不
都合を生じている。
【0004】これに対し、歯冠表面にエッチングをする
ことなく、直接ベニアを形成することも考えられるが、
従来の改善方法では、ベニアと歯冠との接着性が大幅に
低下し、また、ベニア層の厚さが増して装用感が低下し
やすいという問題があった。
【0005】そこで、本発明は、このような現状に鑑み
なされたもので、歯冠表面に切削・エッチング処理をす
ることなく、ベニアを形成することを可能にし、しか
も、接着安定性が高く、かつ快適な装用感を得られるよ
うにした歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯
冠色調改善用セメントを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の歯冠色調の改善方法は、次の(A)〜(C)
の工程を含む構成とした。 (A) グラスアイオノマーセメントにマスキング材を
混合して希望する色調に着色する。 (B) 前記工程(A)により着色したグラスアイオノ
マーセメントを歯冠表面に塗布し、硬化させることで、
前記歯冠表面にベース層を形成する。 (C) 前記ベース層の表面に硬質レジンを充填し、硬
化させることで、前記ベース層の表面に被覆層を形成す
る。 前記工程(C)において、前記被覆層の形成は、歯冠形
状を象って形成されるマトリックスと前記ベース層との
間に、前記硬質レジンを圧接することにより行うことが
望ましい。また、本発明の歯冠色調改善用セメントは、
グラスアイオノマーセメントに、当該セメントの光透過
性を抑えるマスキング材を混合する構成とした。
【0007】本発明の歯冠色調改善方法によると、ベニ
ア材料として歯質接着性が良好なグラスアイオノマーセ
メントを使用するため、歯冠表面にエッチング処理を施
す必要がない。また、グラスアオイノマーセメントにマ
スキング材を混合して着色するため、ベニア層を薄く形
成することができ、良好な装用感を得ることができる。
【0008】一般に、グラスアイオノマーセメントは、
歯牙治療の充填材や合着材として用いられる。その基本
的な成分は、アルミナシリケートとポリアクリル酸とか
らなる。接着時には、アルミナシリケートガラスを主成
分とする粉末剤と、ポリアクリル酸を主成分とする液剤
を混合し、自然硬化または光照射で硬化させる。グラス
アイオノマーセメントの歯質接着性については、歯質の
ハイドロキシアパタイトに接着する際、ポリアクリル酸
塩の吸着に続いて複雑なイオン交換が起こり、リン酸カ
ルシウム、リン酸アルミニウム、ポリアクリル酸塩から
なる中間層を形成し、結合性を高める。歯牙のエナメル
質は、その組成の97%をハイドロキシアパタイトが占
めることから、十分な接合性を得ることが可能になる。
【0009】本発明の歯冠色調改善方法に用いるグラス
アイオノマーセメントは、光硬化型または自然硬化型の
いずれを使用してもよい。望ましくは、光硬化型を用い
る。光硬化型のグラスアイオノマーセメントは、自然硬
化型のものに比べて硬化時の感水性や操作性が優れるた
めである。光硬化型のものとしては、例えば、GC社
「FUJI IONOMER TYPE IILC」、3
M社「Vitremer Restorative」等
があり、また、自然硬化型のものとしては、例えば、G
C社「FUJI IONOMER TYPE II」等が
ある。
【0010】グラスアイオノマーセメントにマスキング
材を混合するのは、歯冠表面を希望の色調に改善するた
めである。グラスアイオノマーセメントの色は、通常、
口腔内で自然な色を出すために半透明の乳白色になって
いる。歯冠表面に直接塗布すると、ほぼ透明で、元の歯
牙の色がそのまま歯冠表面に表れる。本発明では、グラ
スアイオノマーセメントにマスキング材を混合すること
で、グラスアイオノマーセメントの光透過性を抑え、歯
冠に着色する。すなわち、グラスアイオノマーセメント
の接着性とマスキング材の遮光性および着色性とにより
歯冠表面に希望する色調のベニアを形成することが可能
になる。
【0011】マスキング材は、グラスアイオノマーセメ
ントに着色することが可能な顔料であればよい。特に、
水溶性でその泥状物が不透明白色のものであるのが望ま
しい。具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン等を主成分に
含むものを使用することができる。マスキング材の色
は、白色系であることが望ましいが、被施術者の希望に
より、他の色のものを用いてもよい。また、マスキング
材の配合比については、色調、光透過性、操作性等を考
慮して適正比率を選定する。例えば、酸化亜鉛(90wt
%)のマスキング材を用いる場合、グラススアイオノマ
ーセメント(液剤および粉末剤の総量)に対し、マスキ
ング材の重量比が10〜35wt%の範囲、望ましくは、
20〜25wt%になるように調整するとよい。
【0012】なお、グラスアイオノマーセメントとマス
キング材との混合物は、歯冠色調改善用セメントとして
使用することができる。マスキング材の使用にあたって
は、グラスアイオノマーセメントの液剤または粉末剤の
いずれに混合してもよい。
【0013】グラスアイオノマセメントの硬化後にモデ
ィファイヤーを使用して色調整してもよい。モディファ
イヤーとは、レジン前装冠の色調整に用いる流動性のあ
るレジンである。筆塗りで歯冠の表面全体および一部に
色付けすることができる。青、赤、茶、オレンジ、白等
の各色を単独または混合して使用し、白さのコントロー
ルをすることを含め、アクセントとして赤みや青みなど
の色調を自由に入れられる。
【0014】ベース層の表面に硬質レジンの被覆層を形
成するのは、ベース層を保護し、耐磨耗性を向上すると
ともに、歯冠表面の色調に深みを出して自然感を高める
ためである。歯冠表面にベース層のみを形成する場合、
グラスアイオノマーセメントの硬度が十分でないため、
ブラッシングや飲食時の磨耗により表面が荒れやすい。
また、マスキング材の色が歯冠の表面に濃く表れるた
め、自然な光沢を得にくくなる。本発明は、これらの不
具合を防止するため、ベース層の表面に硬質レジンによ
る被覆層を形成する構成とした。
【0015】硬質レジンとしては、例えば、レジン前装
冠を作製するときに技工操作にて使用する歯科用硬質レ
ジンを用いるとよい。前装冠用硬質レジンは、充填用レ
ジンに比べて光透過性が高く、擦りガラス様の透明度が
あり、歯冠表面に適度な光沢を付すことができるためで
ある。具体的には、SHOFU社「SOLIDEX」、
GC社「AXIS」、クルッツァー社「Dend co
lor」等を用いることができる。これらの硬質レジン
を使用すると、被覆層は長期(2〜3年)にわたって安
定した色艶を保つことができる。
【0016】また、硬質レジンは、歯冠表面でベース層
を完全に覆うように塗布することが望ましい。ベース層
のグラスアイオノマーセメントが水分を吸収すると、膨
潤して寸法変化を起こしやすいからである。なお、被施
術者が希望する場合には、硬質レジンに所定の顔料を加
えて色調の調整をすることも可能である。
【0017】被覆層を形成する場合、グラスアイオノマ
ーセメントと硬質レジンとの接着性を良好にするため
に、ボンディング剤を用いるとよい。例えば、市販の3
M社「スコッチボンド2」、クラレ社「クリアフィルフ
ォトボンド」等を使用することができる。
【0018】なお、硬質レジンは、重合前のペーストが
充填用に比べやや硬く使用時に小さな気泡が混入しやす
いため、盛り方が難しい。また、重合後、表面の硬さの
ため、仕上げ工程で形態修正を行いにくい。そこで、本
発明では、被覆層を形成する際に、マトリックスを用い
てレジンを圧接によることにより、容易かつ迅速に施術
を行えるようにした。
【0019】マトリックスの作製方法については、歯冠
表面を印象(歯の型をとる)し、石膏にて歯牙の模型を
作製し、この模型の修復面にスぺーサーとしてマニキュ
アを塗る。次いで、この上から加熱軟化したアクリル板
(0.5mm)を真空成形することにより形成する。マ
トリックスの内面(凹面)に歯冠の表面形状に対応した
型が形成される。マトリックスは、それぞれの歯冠につ
いて別個に製作するのが望ましい。複数の歯冠をまとめ
て施術するよりも、個々の歯冠毎に施術する方が操作が
行いやすく、仕上がりが良好になるためである。なお、
このように歯冠毎に別個に製作されるマトリックスは、
現在の主流である間接法のみならず、直接法による歯冠
色調の改善にはほとんど使用されていない。
【0020】このようなマトリックスを用いて硬質レジ
ンを圧接すると、次のような利点がある。 レジンの厚みを薄くかつ均一にし、歯冠表面の形態
を忠実に再現できる。 充填圧を加えることによりレジンが密になり、グラ
スアイオノマーセメントとの接着性が高まる。 研磨の必要となる部分が少なくなり研磨時間を短縮
できる。特に、圧接面は全く研磨をする必要はなく、き
わめて光沢な面が得られる。 マトリックスを保管しておけば、ベニア破損等によ
る再充填に際して、色調、形態の再現性が高い。
【0021】歯冠表面のベニアの厚さについては、ベー
ス層と被膜層とを合わせて0.6〜0.8mm程度にす
るのが望ましい。ベニアの厚さが薄すぎると、元の歯牙
表面の色が透けて見えやすくなり、また、厚すぎると、
装用感が悪くなるためである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。本実施例は、白色系のマスキング材を用いて歯冠色
調の改善を行ったものである。使用材料を下記に示す。 (1)グラスアイオノマーセメント GC社 光硬化型グラスアイオノマーセメント 「FUJI IONOMER TYPE IILC」 A.粉末剤 成 分 配合量 ―――――――――――――――――――――― アミノシリケートガラス 100wt% 原色材 微量 B.液剤 成 分 配合量 ―――――――――――――――――――――― ポリアクリル酸 50wt% 蒸留水 33wt% HEMA(ハイト゛ロキシエチルメタアクリレート) 17wt% 開始剤 微量
【0023】(2)マスキング材 GC社 リン酸亜鉛セメント「ELITE 100」 成 分(粉末) 配合量 ―――――――――――――――――――――― 酸化亜鉛(ZnO) 90wt% 酸化マグネシウム(MgO) 10wt%
【0024】(3)硬質レジン SHOFU社 歯冠用硬質レジン(透明色)「SOLI
DEX」 成 分 配合量 ―――――――――――――――――――――― ウレタン系レジン 20wt% フィラー 80wt% 添加剤および開始剤 微量 なお、「フィラー」には、特殊構造無機フィラー、特殊
構造有機フィラーおよび超微粒子フィラーが含まれる。
【0025】色調改善の施術は、下記の手順で行った。 グラスアイオノマーセメントの液剤B:60mgに
マスキング材:30mgを混ぜ合わせ、次いで、この混
合物にグラスアイオノマーセメントの粉末剤A80mg
を添加して練り合わせる。 図1に示すように、歯冠10の唇面(外側の表面)
に筆11を用いて前記のセメント混合物を均一に塗布
し、30秒間、光を照射し、セメント混合物を硬化させ
る。 前記により形成したベース層の表面にボンディン
グ剤(3M社「スコッチボンド2」)を塗布し、10秒
間、光照射する。 モディファイヤー(SHOFU社「ソリデックス
デンチンステイン」)を使用して、色調の調整をする。 図2に示すように、硬質レジンRを事前に作製して
おいたマトリックスMの内面に所定量盛って均一に延ば
し、次いで、歯冠10の唇面に圧接し、40秒間、光照
射する。 歯冠からマトリックスMを取り外し、必要に応じて
研磨を行い、バリ等を削って施術を終了する。
【0026】改善後、歯冠は乳白色となり、表面には自
然な光沢が出て良好な仕上がりとなった。また、飲食お
よびブラッシング後も、ベニアの接着性が低下すること
なく、元の状態を保っていた。ベニアの厚さについて
も、殆ど気にならず、良好な装用感が認められた。さら
に、専用の器具で歯冠表面からベニアを剥がしたとこ
ろ、歯冠の表面に変色、キズ等は見られず、修復前の歯
冠の状態を保っていた。また、ベニア装着によって歯冠
の表面が完全に保護されていることにより、う蝕の発生
に対する予防効果も同時に期待できる。
【0027】次に、色調改善後の歯冠について各種試験
を行った。 [色調比較試験]グラスアイオノマーセメントとマスキ
ング材とを表1に示す配合比で調整し、前述の施術方法
により歯冠表面にベニアを接合した。グラスアイオノマ
ーセメントおよびマスキング材には、前述したものと同
様なものを使用した。なお、表1において、配合量は、
グラスアオイノマーセメント(液剤)とグラスアイオノ
マーセメント(粉末剤)との総量に対するマスキング材
の重量比を示す。
【0028】
【表1】 実施例1〜5は、色調改善後、歯冠表面に自然感のある
白色を得ることができた。これに対し、比較例1の場
合、マスキングパウダーを使用しないため、元の歯冠の
色が外部に透けて十分に改善することができなかった。
また、比較例2の場合、マスキングパウダーの含有量が
過大となり、色調が白くなりすぎて自然感を損なうもの
となった。実施例1〜5のうち、実施例3の配合比の場
合、最も、優れた色調に改善することができる。すなわ
ち、酸化亜鉛を主成分とするマスキング材では、実施例
3の配合比を基準として設定することにより、良好な色
調改善を実現することが可能となる。マスキング材の配
合量は、グラスアイオノマーセメントの総重量に対し、
マスキング材が10〜35wt%程度の範囲であれば、色
濃度および光沢が良好になる。
【0029】[接合性試験]色調改善後のベニアについ
て、接合面の安定性を試験した。前述の術式にしたがっ
て、抜去歯牙の歯冠唇面にベニアを形成した後、図3に
示すように、中心部でベニアを切断し、半分を除去して
垂直断面が観察できる状態とした。次いで、このサンプ
ルを約70℃の湯と氷水中に交互に30秒間、それぞれ
10回づつ浸漬した後、染色剤にてベニアの断面を染色
して歯冠10とベース層12、およびベース層12と被
覆層13のそれぞれの接合面を観察した。観察の結果、
各接合面には、染色剤の浸潤は認められず、両間の接合
状態は安定していた。
【0030】[形状安定性試験]次に、改善後のベニア
の形状安定性について試験を行った。抜去歯牙の歯冠唇
面に、前述の術式にしたがってベニアを作製し、このサ
ンプルを室温下で3時間放置し、ベニアの形状変化を観
察した。また、同サンプルを水中に3時間放置し、同様
に形状変化を観察した。また、比較例として、グラスア
イオノマーセメントと硬質レジンを接合したプレートを
作成し、同様な条件下で形状変化を観察した。観察の結
果、サンプルのベニアは、室温下および水中で殆ど形状
変化は見られなかった。これに対し、比較例のプレート
は、室温下で放置したものについては、グラスアイオノ
マーセメントの収縮により硬質レジンの表面は凸面にな
り、また、水中で保存したものは、グラスアイオノマー
セメントが膨潤して硬質レジンの表面は凹面になった。
この結果、歯冠表面で硬質レジンがグラスアイオノマー
セメントを完全に覆うことによってベニアの寸法変化を
防止することが判る。つまり、本ベニアシステムにおい
ては、硬質レジンによってベニアの自然脱落の原因とな
る歪みを抑える効果があることが確認された。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の歯冠色調
の改善方法によれば、次のような優れた効果を奏する。 (a) 歯冠表面にベニアを直接かつ強固に接合すること
ができる。したがって、歯を削ることも、特殊な薬で歯
の表面を処理することも必要としない。 (b) 歯冠の表面からベニアを外す際に、歯を削る必要
はなく、簡単に施術前の状態に戻すことができる。 (c) グラスアイオノマーセメントと硬質レジンとを組
み合わせることにより、歯冠の表面に自然な色と光沢を
得ることができる。 (d) マトリックスを用いて歯冠表面に硬質レジンを圧
接することで、仕上げ作業が容易になり、ベニアの質が
向上する。 (e)歯冠の表面を完全に被覆することによって、う蝕の
発生を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による歯冠色調の改善方法を示
す工程図である。
【図2】本発明の実施例による歯冠色調の改善方法を示
す工程図である。
【図3】本発明の実施例による歯冠色調の改善後の歯牙
を示す模式断面図である。
【図4】従来の歯冠色調の改善方法による歯牙を示す模
式断面図である。
【符号の説明】
10 歯冠 11 筆 12 ベース層 13 被覆層 R 硬質レジン M マトリックス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(A)〜(C)の工程を含むことを
    特徴とする歯冠色調の改善方法。 (A) グラスアイオノマーセメントにマスキング材を
    混合して希望する色調に着色する。 (B) 前記工程(A)により着色したグラスアイオノ
    マーセメントを歯冠表面に塗布し、硬化させることで、
    前記歯冠表面にベース層を形成する。 (C) 前記ベース層の表面に硬質レジンを充填し、硬
    化させることで、前記ベース層の表面に被覆層を形成す
    る。
  2. 【請求項2】 前記工程(C)において、前記被覆層の
    形成は、歯冠形状を象って形成されるマトリックスと前
    記ベース層との間に、前記硬質レジンを圧接することに
    より行うことを特徴とする請求項1記載の歯冠色調の改
    善方法。
  3. 【請求項3】 グラスアイオノマーセメントに、当該セ
    メントの光透過性を抑えるマスキング材を混合してなる
    歯冠色調改善用セメント。
JP32137897A 1997-11-21 1997-11-21 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント Pending JPH11151251A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32137897A JPH11151251A (ja) 1997-11-21 1997-11-21 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32137897A JPH11151251A (ja) 1997-11-21 1997-11-21 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11151251A true JPH11151251A (ja) 1999-06-08

Family

ID=18131898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32137897A Pending JPH11151251A (ja) 1997-11-21 1997-11-21 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11151251A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001122720A (ja) * 1999-10-20 2001-05-08 Gc Corp 歯科用グラスアイオノマーセメント組成物
CN101977563A (zh) * 2008-01-29 2011-02-16 U·亚罗维斯基 一种制造牙齿修复体的方法及所形成的牙齿修复体装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001122720A (ja) * 1999-10-20 2001-05-08 Gc Corp 歯科用グラスアイオノマーセメント組成物
JP4498501B2 (ja) * 1999-10-20 2010-07-07 株式会社ジーシー 歯科用グラスアイオノマーセメント組成物
CN101977563A (zh) * 2008-01-29 2011-02-16 U·亚罗维斯基 一种制造牙齿修复体的方法及所形成的牙齿修复体装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rutkunas et al. Effects of different food colorants and polishing techniques on color stability of provisional prosthetic materials
Gugelmin et al. Color stability of ceramic veneers luted with resin cements and pre-heated composites: 12 months follow-up
Fabianelli et al. In vitro evaluation of wall-to-wall adaptation of a self-adhesive resin cement used for luting gold and ceramic inlays.
Vaz et al. Resin cement: correspondence with try‐in paste and influence on the immediate final color of veneers
CN102499765A (zh) 一种牙齿美容贴面方法
McLean The clinical use of glass-ionomer cements
Brigagão et al. Effect of interim cement application on bond strength between resin cements and dentin: Immediate and delayed dentin sealing
Fahl Jr Direct‐Indirect C lass V Restorations: A Novel Approach for Treating Noncarious Cervical Lesions
Ahmed et al. Smart monochromatic composite: A literature review
Shimazu et al. Influence of artificial saliva contamination on adhesion in class V restorations
US8821163B2 (en) Dental composites
Khier et al. Efficacy of composite restorative techniques in marginal sealing of extended class v cavities
Franca et al. Reproducing the natural aspects of dental tissues with resin composites in proximoincisal restorations.
Andreas et al. Masking the discolored enamel surface with opaquers before direct composite veneering
Rutkunas et al. Effects of different repolishing techniques on colour change of provisional prosthetic materials
JPH11151251A (ja) 歯冠色調の改善方法およびその方法に用いる歯冠色調改善用セメント
Mount Esthetics with glass-ionomer cements and the" sandwich" technique.
RU2606272C1 (ru) Способ эстетической реставрации зубов
Batista et al. Esthetical Properties of Single-Shade and Multishade Composites in Posterior Teeth
JP2005112854A (ja) 義歯又は天然歯の色補正のための方法及びカラーキット
Sreelal et al. Evaluation of Influence of Die Spacer Thickness on the Shear Bond Strength of Porcelain Laminate Veneers: An In-vitro Study.
JPH02504383A (ja) 改良されたセラミック組成物及びその使用方法
Tabatabaei et al. Evaluation of the final color of ceramic veneers with different self-adhesive resin cements
Christgau et al. Marginal adaptation of heat-pressed glass-ceramic veneers to Class 3 composite restorations in vitro
Nascimento Aesthetic Challenge in Ceramic Unit Laminate-Clinical Case Report