JPH11137593A - 白内障治療用超音波手術装置のチップ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 白内障治療用超音波手術装置において、乳化
吸引される水晶体による排出管の閉塞を防止する。 【解決手段】 超音波振動子２を内蔵したＵＳハンドピ
ース１の先端に、上記超音波振動子２からの超音波振動
により、眼球１３の水晶体１４内の核１４ｂを乳化吸引
する管状のＵＳチップ３を付設した装置において、上記
ＵＳチップ３の内周面に内部を通過する核片を回転させ
て破砕する凹状又は凸状の破砕ガイド３ｃをらせん状に
形成又は配置する。上記破砕ガイド３ｃを連続した溝と
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は白内障を治療する
ための超音波手術装置のチップ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来白内障治療の方法として、図１に示
すように超音波振動によって水晶体の核部を乳化吸引し
て取り出す超音波乳化吸引術（ＰＥＡ）が広く知られて
いるが、この手術には超音波振動子を内蔵した超音波
（ＵＳ）ハンドピースの先端に、超音波振動により核部
を乳化させて吸引する管状の超音波（ＵＳ）チップを付
し、該チップの外周側より水晶体に流動性を与えるため
の灌流液を供給する機構を備えた超音波手術装置が使用
される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】通常超音波チップの内
部形状は整円筒状であり、核乳化吸引の際に吸引核片は
平滑な内腔を滑るようにチップ内を通過するため、比較
的大きな核片が吸引チューブの方へ流れて行き、システ
ム内での閉塞の原因となる。またチップ内を通過中、チ
ップの振動については方向性を有するため、核の破砕に
偏りが生じる可能性がある。この発明は上記の問題点を
解消するため、チップ通過中の核がチップ内で回転して
全方向に効率良く核破砕のエネルギーが伝わる形状を提
供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの本発明チップ構造は、第１に超音波振動子２を内蔵
したＵＳハンドピース１の先端に、上記超音波振動子２
からの超音波振動により、眼球１３の水晶体１４内の核
１４ｂを乳化吸引する管状のＵＳチップ３を付設した装
置において、上記ＵＳチップ３の内周面に内部を通過す
る核片を回転させて破砕する凹状又は凸状の破砕ガイド
３ｃをらせん状に形成又は配置したことを特徴としてい
る。

【０００５】第２に破砕ガイド３ｃが連続した溝である
ことを特徴としている。

【０００６】第３に破砕ガイド３ｃが内周面に略等角度
間隔毎に複数箇所に設けられたことを特徴としている。

【０００７】第４に破砕ガイド３ｃが複数本近接して形
成されることを特徴としている。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下図示する本発明の実施形態に
つき詳述すると、図１は超音波乳化吸引術（ＥＰＡ）に
よる白内障の治療（図５参照）に用いる治療用具（超音
波手術装置）を示し、図における超音波（ＵＳ）ハンド
ピース１内には超音波振動子２を内蔵し、その先端に注
射針状の管状体よりなる吸引ノズルを兼ねたＵＳチップ
３が装着され、該ＵＳチップ３のまわりには灌流液吐出
ノズルを兼ねた筒状のスリーブ４が同芯的に装着されて
いる。

【０００９】またハンドピース１内には上記ＵＳチップ
３に連通して後述する乳化された水晶体を吸引排出する
孔６と、灌流液供給用の流通路とが後端側に開口するよ
うに設けられ、各孔の開口端には乳化水晶体排出用の排
出管７と灌流液供給用の供給管７がそれぞれ接続されて
いる。

【００１０】供給管８の基端部には、ハンドピース１よ
りも高位置にある灌流液を収容する容器９に接続されて
おり、供給管８の途中に設けたバルブ１１を開いた状態
で灌流液がハンドピース１内に供給され、超音波振動子
２の超音波振動とともにスリーブ４の先端開口部及び先
端周壁に形成された吐出孔１２より、眼球１３（図５参
照）内の手術部位（患部＝水晶体の核１４ｂ）に吐出供
給される。

【００１１】上記灌流液供給は図示するように自重によ
る供給のほか、バルブ１１の下流側の供給管８にポンプ
（図示しない）を設けて加圧供給することも可能であ
る。灌流液としては例えば市販薬である「オペガードＭ
Ａ」又は「ＢＳＳ ＰＬＵＳ」等周知のものが用いられ
る。

【００１２】上記灌流液の供給を受けながら眼球１３内
の水晶体１４をＵＳチップ３の先端で超音波振動によっ
て乳化させ、灌流液とともに該ＵＳチップ３の先端より
吸引排出する（図１，図５参照）が、この排出はＵＳハ
ンドピース１内の孔６と排出管７を介してドレン容器２
１に収容されるように行われる。そして上記排出管７の
途中には圧力センサー２２及び圧力調整弁２３が設けら
れ、その下流には排出管７にフレキシブルなチューブ２
４を介挿接続して上記乳化液を蠕動ホイール２６の回転
によりバキューム吸引するポンプ（ペリスタティックポ
ンプ）２７が設けられている。

【００１３】そして上記手術は図５に示すように、眼球
１３の角膜１６周辺部と強膜１７の境界部付近及び水晶
体１４前部に切開創１８，開窓部１９を形成し、ここか
らＵＳチップ３を挿入して水晶体１４の皮質１４ａを除
去し、さらに内部の核１４ｂの吸引除去を行い、該吸引
後必要に応じて人工水晶体（眼内レンズ）を挿入するこ
とによって行われる。

【００１４】上記ＵＳチップ３は図２に示すように管状
のチップ本体３ａの基端部側にねじ部３ｂが形成され、
該ねじ部３ｂをハンドピース１の先端にねじ込み固定す
ることによって装着されるが、この発明ではチップ本体
３ａの内周面に急峻な立ち上がり角で形成されたらせん
状の溝からなる破砕ガイド３ｃが形成されており、この
破砕ガイド３ｃにより内部を通過する核片が回動力を与
えられ又は周面を掻傷することにより小片に破砕され
る。その結果排出路中での閉塞を生じることなく、また
閉塞による乳化吸引部でのトラブルを生じることなく、
円滑にドレン容器２１内に排出収容される。

【００１５】上記破砕ガイド３ｃは必ずしも溝である必
要はなく、例えば凸条でもよく、あるいは不連続な点状
に凹凸を配置したものであってもよい。さらに破砕ガイ
ド３ｃは図２及び図３（Ａ）のように必ずしも１条のも
のに限られず、図３（Ｂ）のように円形内周面に複数本
所定間隔毎に形成したものでもよいほか、図４（Ａ）〜
（Ｃ）に示すように複数本の溝状ガイドを近接させ、あ
るいはさらに幅広の凹状溝を複数本並べて形成したもの
であってもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上のように構成される本発明のチップ
構造によれば、超音波手術装置による白内障手術治療時
の水晶体乳化吸引時において、水晶体の核が大きい核片
のまま排出管内に吸引されることがなく、大きい核片に
よる管づまりや、管づまりによる乳化吸引上のトラブル
の発生等がＵＳチップの簡単な改良によって防止される
という利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の全体概念図である。

【図２】本発明のチップ構造を示すＵＳチップの全体図
である。

【図３】（Ａ），（Ｂ）は共に破砕ガイドの断面形状と
配列例を示すチップ本体の拡大断面図である。

【図４】（Ａ）〜（Ｃ）は破砕ガイドの他の形状例を示
すチップ本体の拡大断面図である。

【図５】白内障の手術状態を示す眼球断面図である。

【符号の説明】

１ ＵＳハンドピース ２ 超音波振動子 ３ ＵＳチップ ３ｃ 破砕ガイド １３ 眼球 １４ 水晶体 １４ｂ 核

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波振動子（２）を内蔵したＵＳハン
   ドピース（１）の先端に、上記超音波振動子（２）から
   の超音波振動により、眼球（１３）の水晶体（１４）内
   の核（１４ｂ）を乳化吸引する管状のＵＳチップ（３）
   を付設した装置において、上記ＵＳチップ（３）の内周
   面に内部を通過する核片を回転させて破砕する凹状又は
   凸状の破砕ガイド（３ｃ）をらせん状に形成又は配置し
   た白内障治療用超音波手術装置のチップ構造。
2. 【請求項２】 破砕ガイド（３ｃ）が連続した溝である
   白内障治療用超音波手術装置のチップ構造。
3. 【請求項３】 破砕ガイド（３ｃ）が内周面に略等角度
   間隔毎に複数箇所に設けられた請求項１又は２の白内障
   治療用超音波手術装置のチップ構造。
4. 【請求項４】 破砕ガイド（３ｃ）が複数本近接して形
   成される請求項１又は２又は３の白内障治療用超音波手
   術装置のチップ構造。