JPH11130429A - 光機能性材料 - Google Patents

光機能性材料

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JPH11130429A
JPH11130429A JP29305297A JP29305297A JPH11130429A JP H11130429 A JPH11130429 A JP H11130429A JP 29305297 A JP29305297 A JP 29305297A JP 29305297 A JP29305297 A JP 29305297A JP H11130429 A JPH11130429 A JP H11130429A
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functional material
optical functional
transition metal
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metal oxide
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JP29305297A
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Hiroshi Aoyama
拓 青山
Masato Kakihana
眞人 垣花
Minoru Osada
実 長田
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機材料を主とする光機能性材料、特に光双安
定性有する光機能性材料を提供する。 【解決手段】本発明の光機能性材料は遷移金属酸化物で
構成され、光照射、特に波長が1078nm以下の光を照
射することにより光誘起相転移を生じることを特徴とす
る。この遷移金属酸化物は光双安定性を有するものが好
ましい。また遷移金属酸化物は、一般式ABO2 で表さ
れるデラフォサイト型酸化物が好ましく、Aの元素がC
uであるものが特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光機能性材料、特に
遷移金属酸化物で構成された光機能性材料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】有機光機能性材料には、例えば光の照射
による分子そのものの構造変化により、分子単位でこれ
らの物性を変えるフォトクロミック分子が知られてい
る。フォトクロミック分子を含む高分子は、単に光を照
射するだけで光吸収あるいは屈折率等の物性を可逆的に
変えることができ、このような性質を利用して、光記
録、光学素子あるいは光応答性高分子への応用が試みら
れている。
【0003】しかし、このような有機光機能性材料で
は、感度、繰り返し耐久性および熱安定性の不足等の点
から実用材料として実現するには多くの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機
材料を主とする光機能性材料、特に光双安定性を有する
光機能性材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0006】(1) 光を照射することにより相転移が
生じる遷移金属酸化物で構成されたことを特徴とする光
機能性材料。
【0007】(2) 前記遷移金属酸化物は光双安定性
を有する上記(1)に記載の光機能性材料。
【0008】(3) 前記遷移金属酸化物は、一般式A
xyz (式中、x、y、zはそれぞれ、1≦x≦1
4、1≦y≦24、1≦z≦41であり、A、Bは同じ
元素であっても異なる元素であってもよい)で表される
ものである上記(1)または(2)に記載の光機能性材
料。
【0009】(4) Aは周期表VIII族またはIB族の
遷移金属元素である上記(3)に記載の光機能性材料。
【0010】(5) BはMg、Al、Si、Ca、S
c、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、T
c、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、B
a、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、H
f、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、
Tl、Pbからなる群より選択された少なくとも一種で
ある上記(3)または(4)に記載の光機能性材料。
【0011】(6) 前記相転移は前記遷移金属酸化物
の結晶構造の変化に基づくものである上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の光機能性材料。
【0012】(7) 前記結晶構造の変化は低次元構造
の変化である上記(6)に記載の光機能性材料。
【0013】(8) 前記低次元構造をもつ遷移金属酸
化物は、一般式ABO2 (A、Bは同じ元素であっても
異なる元素であってもよい)で表されるデラフォサイト
型酸化物である上記(7)に記載の光機能性材料。
【0014】(9) Aは周期表VIII族またはIB族の
遷移金属元素である上記(8)に記載の光機能性材料。
【0015】(10) AはCuである上記(9)に記載
の光機能性材料。
【0016】(11) BはMg、Al、Si、Ca、S
c、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、T
c、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、B
a、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、H
f、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、
Tl、Pbからなる群より選択された少なくとも一種で
ある上記(8)または(9)に記載の光機能性材料。
【0017】(12) 前記相転移は波長が1078nm以
下の光の照射により生じるものである上記(1)ないし
(11)のいずれかに記載の光機能性材料。
【0018】(13) 前記遷移金属酸化物のバンドギャ
ップが1.15〜4.05eVである上記(1)ないし
(12)のいずれかに記載の光機能性材料。
【0019】(14) 前記相転移により電気的特性が変
化する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の光機
能性材料。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の光機能性材料は主として
無機材料で構成され、光を照射することにより相転移が
生じる遷移金属酸化物で構成されるものである。
【0021】これにより、無機物質の特徴である優れた
耐熱性、耐候性、長期保存安定性、繰返耐久性を有し、
従来から知られる有機物質系材料では達成不可能であっ
た高い信頼性を有する光機能性材料とすることができ
る。
【0022】遷移金属酸化物としては、一般式Axy
z (式中、x、y、zはそれぞれ、1≦x≦14、1
≦y≦24、1≦z≦41であり、A、Bは同じ元素で
あっても異なる元素であってもよい)で表されるものが
好ましい。このような遷移金属酸化物は、光を照射する
ことにより原子系のエネルギー状態が変化し、結晶格子
の変位が起こり、これに基づいて相転移現象が発現する
ものと考えられる。
【0023】また、上記一般式中のAおよびBの元素の
選択若しくは組合せ、または各元素の量比を変えること
により、光機能性材料としての遷移金属酸化物の機能、
特性を自由に変化させることができる。
【0024】このような遷移金属酸化物の結晶構造は特
に限定されないが、結晶構造内に+の電荷をもつAイオ
ンから構成される−X- −A+ −X- (X=O,BO
x )[P1]の直線配位をもち、この一次元構造で物性
を特徴づけられる低次元酸化物が好ましい。これは、後
述する電子−格子相互作用により変位する格子原子が柔
らかく格子に結合しているもの、すなわち、変位による
格子歪のエネルギーが小さいほうが好ましく、一般に低
次元物質は格子が柔らかいと考えられているからであ
る。
【0025】このような低次元物質の中でも、一般式A
BO2 で表されるデラフォサイト型酸化物が特に好まし
い。デラフォサイト型酸化物は、上述の低次元構造が、 −(BO2- −A+ −(BO2- − で表される単純な鎖状秩序構造を持つものである。この
ような単純構造は、低次元物質の特徴である格子の柔ら
かさをさらに強調する作用があると考えられ、光誘起相
転移の応答速度が大幅に向上することが期待される。
【0026】さらに、デラフォサイト型酸化物は、その
単純な低次元構造から光誘起相転移に必要なエネルギー
を決定するバンドギャップを小さくできるという利点も
有する。バンドギャップが小さければ、より低エネルギ
ーの光により相転移を起こすことが可能になると考えら
れ、例えば可視領域の波長を有するレーザ光や汎用ラン
プ等が使用でき、光源の選択の幅が飛躍的に拡がる。
【0027】Aの元素としては特に限定されないが、周
期表のVIII族またはIB族の遷移金属元素が好ましく、
例えばCu、Ag、Pd、Pt等が挙げられるが、Cu
が特に好ましい。
【0028】先に、デラフォサイト型酸化物の特徴とし
て比較的小さなバンドギャップを有することを述べた
が、一般にバンドギャップの大きさを決定する因子とし
てAの元素が重要な役割を果たすことが知られている。
発明者らは鋭意研究の結果、数多くの元素の組合せの遷
移金属酸化物のなかから、バンドギャップの小さなデラ
フォサイト型酸化物であって、特にAの元素がCuであ
る場合に可視光等の低エネルギー領域の光源で相転移が
効率的に起こることを実験的に見いだした。これはCu
が、結晶中で混合原子価状態をとり得ることに深く関連
しているものと考えられている。
【0029】さらに、Bの元素としては特に限定されな
いが、例えばMg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、G
a、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、
Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Ba、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pbから
なる群より選択された少なくとも一種であることが好ま
しい。
【0030】また、本発明の遷移金属酸化物としては、
上記一般式のA、B以外に少なくとも1種の他の元素を
含むものであってもよい。
【0031】このような遷移金属酸化物としては、例え
ば、PtCoO2 、PdCoO2 、PdCrO2 、Cu
AlO2 、CuCrO2 、CuFeO2 、CuCoO
2 、CuGaO2 、CuSrO2-d 、CuYO2 、Cu
LaO2 、CuNdO2 等のデラフォサイト型CuMO
2 (MはYを含む希土類元素)、AgAlO2 、AgF
eO2 、AgCoO2 、AgGaO2 、AgInO2
LiScO2 、LiTiO2 、LiVO2 、LiCrO
2 、LiMnO2 、LiFeO2 、LiCoO2、Li
NiO2 、NaFeO2 、SrCuO2 、SrCuO
2.5 、SrCuO3、Sr2 CuO2 、Sr2 CuO
3 、SrCu22 、SrCu23 、Sr14Cu24
41、CuGeO3 、α−Fe23 、γ−Fe23
Fe34 、CuCo24 、Co34 、CoFe2
4 、CuFe24 、LiMn24、MnTiO
3 、CoTiO3 、FeTiO3 、NiTiO3 、Cu
3 TiO3.5 、Cu3 TiO5 、MnMoO4 、CoM
oO4 、FeMoO4 、NiMoO4 、CuMoO4
MnWO4 、CoWO4 、FeWO4 、NiWO4 、C
uWO4 、Pb2 Cr25 、YBa2 Cu36+d
YBa2 Cu36.95、YBa2 Cu36.75、YBa
2 Cu36.5 、YBa2 Cu36.35、YBa2 Cu
36 、YBa2 Cu48 、Y2 Ba4 Cu715
PbSr2 YCu26+d 、Pb2 Sr2 YCu3
8+d 、Bi2 Sr2 CaCu28+d 、Bi2 Sr2
Cu28+d 等が挙げられる。
【0032】ここでいう相転移とは光誘起相転移を意味
し、固体に入射した光エネルギーにより系を励起して電
子状態を変化させ、これにより格子変位を生じることを
意味する。このような格子変位による物理的特性の変化
を利用し、光デバイスを構成することが可能になる。
【0033】可逆的に変化する固体結晶の物性として
は、例えば、吸収スペクトル、屈折率、磁気特性、電気
伝導率等の電気的特性等が挙げられるが、なかでも電気
伝導率の変化が好ましい。このような光による電気伝導
率の変化に基づいて、例えば絶縁体を金属化する等、絶
縁体−半導体−金属の相互間の可逆的な相転移を制御す
ることが可能になる。
【0034】ここで金属化とは、絶縁体の満ちた価電子
帯と伝導帯の間にあるバンドギャップを光励起により閉
じることを意味する。言い換えれば、光によりブリルア
ン域の大きさを2倍にし、価電子帯と伝導帯とを結合さ
せることである。このためには、絶縁体の格子の繰返し
周期の長さを光により半分にすることができればよい。
すなわち、バンドの半分まで電子がつまっている金属が
ある温度以下ではパイエルス絶縁体になるのは、金属の
格子周期aが格子変位と電子の局在化により2aにな
り、このため波数π/2aにギャップが生じるためであ
る。この逆の過程を光を照射することにより行い、パイ
エルス絶縁体の格子周期を半分にし、局在化した電子を
結晶中に一様に拡げることができれば、絶縁体のバンド
ギャップは閉じ金属化することができる。また、材料設
計次第で相変化の方向を逆にすることも可能である。す
なわち、金属に光を照射することにより絶縁化すること
もできる。
【0035】一般的に光照射で直接的に格子を変位させ
ることは非常に困難である。しかし、電子状態と光とは
強い相互作用を及ぼし合っているため、光を照射するこ
とで結晶中の電子状態を容易に変化させることができ
る。したがって、光励起による結晶中の電子状態の変化
を電子−格子相互作用を利用して格子に伝え、これによ
り格子変位を生じさせる方法が有効である。
【0036】遷移金属酸化物に照射する光として、可視
光線、紫外線、X線、γ線等が挙げられるが、波長が1
078nm以下の光であることが好ましい。波長があまり
長過ぎると、そのような光を照射しても相転移を起こす
ことが困難になる。
【0037】また、遷移金属酸化物のバンドギャップは
1.15〜4.05eVが好ましい。この範囲のバンドギ
ャップであることにより、照射光(励起光)が可視領域
付近であっても応答可能であり、光機能性材料として扱
いやすいものとなる。
【0038】なお、バンドギャップとは、光誘起相転移
が生じる最低光子エネルギーを意味し、可視領域では反
射率測定により求めることができる。
【0039】本発明の光機能性材料は光双安定性を有す
るものである。ここでいう光双安定性とは、光の照射に
よる格子の動的変化に基づき準安定状態に移行し、もと
の定常状態に戻るまでに要する時間(緩和時間)が比較
的長い(例えば、1ms以上)ことを意味する。光双安
定性を有すること、すなわち緩和時間が長いほど高い光
メモリ効果を発揮させることが可能である。
【0040】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0041】1.試料(遷移金属酸化物)の作製 (実施例1)本発明の光機能性材料として、CuAlO
2 の結晶を錯体重合法により作製した。この結晶をプレ
ス成形した後、電気炉で高温焼結することにより図1に
示すような円筒状試料を作製し、後述の評価に供した。
【0042】(実施例2)CuFeO2 の結晶を実施例
1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0043】(実施例3)CuYO2 の結晶を実施例1
と同様にして生成し、試料を作製した。
【0044】(実施例4)Sr14Cu2441の結晶を実
施例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0045】(実施例5)SrCuO2-d の結晶を実施
例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0046】(実施例6)SrCuO2 の結晶を実施例
1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0047】(実施例7)SrCu22 の結晶を実施
例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0048】(実施例8)SrCu23 の結晶を実施
例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0049】(実施例9)α−Fe23 の結晶を実施
例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0050】(実施例10)γ−Fe23 の結晶を実
施例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0051】(実施例11)Fe34 の結晶を実施例
1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0052】(実施例12)CoTiO3 の結晶を実施
例1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0053】(実施例13)CuWO5 の結晶を実施例
1と同様にして生成し、試料を作製した。
【0054】2.光相転移の確認 上記実施例1〜13で作製した試料に、可視光(波長:
457.9〜647.1nm)を照射し、照射前後におけ
る相のラマン散乱の変化により、構造変化を伴う光誘起
相転移を生じていることを確認した。
【0055】3.光照射による双安定性評価 実施例1〜13で作製した各試料1を図1に示すような
装置に設置し、27℃で通常のハロゲンランプを光源2
とし、熱の影響を排除するため光ファイバー3を通して
試料に光を照射した。このようにして相転移の前後にお
ける光電流値の変化を測定した。なお、可視光を照射し
たときをON状態とし、照射しない状態をOFF状態と
する。
【0056】例えば、図2は、CuAlO2 に可視光を
照射したときの光電流値の変化を示すグラフである。こ
のとき、試料に負荷した電圧は5V、電極間距離を5.
2mmとして測定を行った。
【0057】図3は、CuFeO2 の光電流値の変化を
示すグラフである。このとき、試料に負荷した電圧は1
0V、電極間距離を8.7mmとして測定を行った。
【0058】図4は、SrCuO2-d の光電流値の変化
を示すグラフである。このとき、試料に負荷した電圧は
20V、電極間距離を2.5mmとして測定を行った。
【0059】図5は、CoTiO3 の光電流値の変化を
示すグラフである。このとき、試料に負荷した電圧は1
00V、電極間距離を2.5mmとして測定を行った。な
お、図2〜図5に示されたもの以外の実施例についての
光電流値の変化は表1に示す。
【0060】また、上記実施例で作製した各試料につい
て、相転移の前後における抵抗率および時定数τ1 、τ
2 を求めた。時定数τ1 は、OFF状態から光を照射し
てON状態とし、相転移が生じて新たな定常状態に達す
るまでの時間(応答時間)を示し、τ2 は、遮光するこ
とによりON状態からOFF状態とし、もとの定常状態
に達するまでの時間(緩和時間)を示す。これらの結果
を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】以上の測定結果から、可視領域付近に相当
する波長の光エネルギーを照射することにより相転移が
起こり、各遷移金属酸化物の抵抗率が急激に変化し、こ
れにより光電流値が変化することがわかった。例えば、
図2に示すCuAlO2 の場合、光を照射しON状態に
すると急激に電流値が増大し、約10秒(τ1 )で最高
値に達し一定になった。この状態からOFF状態にした
とき電流値はゆるやかに減少し、約300秒(τ2 )程
で最低値に達し一定になった。
【0063】また、CoTiO3 の場合、図5に示すよ
うに光を照射してON状態にすることにより光電流値が
急激に減少し、OFF状態にすると光電流値が増大する
ことがわかった。
【0064】実施例1〜13のいずれの場合にも時定数
τ1、τ2 は[s]のオーダーであり、光双安定性を有す
ることが確かめられた。特にCu系デラフォサイト型結
晶の場合(実施例1〜実施例3)、バンドギャップ[eV]
が特に小さく、低エネルギーの光により相転移を起こす
ことが明らかになった。さらに、τ1 が小さいため光応
答速度がより高く、一方τ2 が大きいため緩和時間がよ
り長いことがわかった。
【0065】以上、実施例において本発明を詳細に説明
したが、本発明の光機能性材料はこれらに限定されるも
のではない。
【0066】さらに、上記実施例と同型置換体、例え
ば、PtCoO2 、PdCoO2 、PdCrO2 、Bi
Sr2 YCu28+d 等についても同様の効果が得られ
ることが確認されており、広く遷移金属酸化物による光
双安定性を示す光機能性材料の設計・合成が可能であ
る。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の光機能性材
料によれば、光を照射することにより遷移金属酸化物が
構造的に相転移を生じ、固体の物理的特性が大きく変化
する。この相転移は双安定状態間の可逆的な変化であ
り、この性質、即ち光双安定性を利用して、例えば、光
記録媒体、光学素子、スイッチング素子、光メモリ、光
センサ類あるいは光応答性材料への応用展開を図ること
ができる。
【0068】さらに、緩和時間は温度により調整可能で
あるため、これを利用することにより温度検出センサに
も利用することができる。
【0069】また、無機材料で構成されているため、無
機物質の特徴を活かして優れた耐熱性、耐候性、長期保
存安定性、繰返耐久性を実現することができ、従来から
知られる有機物質系材料では達成不可能であった高い信
頼性を有する光機能性材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遷移金属酸化物の光誘起相転移に伴う
特性変化を測定する装置の模式図である。
【図2】CuAlO2 について光相転移に伴う光電流値
の変化を示すグラフである。
【図3】CuFeO2 について光相転移に伴う光電流値
の変化を示すグラフである。
【図4】CuSrO2-d について光相転移に伴う光電流
値の変化を示すグラフである。
【図5】CoTiO3 について光相転移に伴う光電流値
の変化を示すグラフである。
【符号の説明】 1 試料(遷移金属酸化物) 2 光源 3 光ファイバー

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を照射することにより相転移が生じる
    遷移金属酸化物で構成されたことを特徴とする光機能性
    材料。
  2. 【請求項2】 前記遷移金属酸化物は光双安定性を有す
    る請求項1に記載の光機能性材料。
  3. 【請求項3】 前記遷移金属酸化物は、 一般式Axyz (式中、x、y、zはそれぞれ、1
    ≦x≦14、1≦y≦24、1≦z≦41であり、A、
    Bは同じ元素であっても異なる元素であってもよい)で
    表されるものである請求項1または2に記載の光機能性
    材料。
  4. 【請求項4】 Aは周期表VIII族またはIB族の遷移金
    属元素である請求項3に記載の光機能性材料。
  5. 【請求項5】 BはMg、Al、Si、Ca、Sc、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、R
    u、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Ba、L
    a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
    b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、T
    a、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、
    Pbからなる群より選択された少なくとも一種である請
    求項3または4に記載の光機能性材料。
  6. 【請求項6】 前記相転移は前記遷移金属酸化物の結晶
    構造の変化に基づくものである請求項1ないし5のいず
    れかに記載の光機能性材料。
  7. 【請求項7】 前記結晶構造の変化は低次元構造の変化
    である請求項6に記載の光機能性材料。
  8. 【請求項8】 前記低次元構造をもつ遷移金属酸化物
    は、 一般式ABO2 (A、Bは同じ元素であっても異なる元
    素であってもよい)で表されるデラフォサイト型酸化物
    である請求項7に記載の光機能性材料。
  9. 【請求項9】 Aは周期表VIII族またはIB族の遷移金
    属元素である請求項8に記載の光機能性材料。
  10. 【請求項10】 AはCuである請求項9に記載の光機
    能性材料。
  11. 【請求項11】 BはMg、Al、Si、Ca、Sc、
    Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Z
    n、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、
    Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Ba、L
    a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
    b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、T
    a、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、
    Pbからなる群より選択された少なくとも一種である請
    求項8または9に記載の光機能性材料。
  12. 【請求項12】 前記相転移は波長が1078nm以下の
    光の照射により生じるものである請求項1ないし11の
    いずれかに記載の光機能性材料。
  13. 【請求項13】 前記遷移金属酸化物のバンドギャップ
    が1.15〜4.05eVである請求項1ないし12のい
    ずれかに記載の光機能性材料。
  14. 【請求項14】 前記相転移により電気的特性が変化す
    る請求項1ないし13のいずれかに記載の光機能性材
    料。
JP29305297A 1997-10-24 1997-10-24 光機能性材料 Withdrawn JPH11130429A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001067173A1 (fr) * 2000-03-10 2001-09-13 Japan Science And Technology Corporation Commutateur lumiere-lumiere, dispositif de communication optique et modulateur optique utilisant ce dernier, et materiau optique pour interrupteur lumiere-lumiere
JP2002160923A (ja) * 2000-11-24 2002-06-04 Japan Science & Technology Corp マンガン酸化物の光の透過率・電気的伝導率の制御方法
CN100408166C (zh) * 2006-01-13 2008-08-06 南京大学 AgTO2型复合氧化物可见光响应光催化材料及其应用

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