JPH1080421A - 音速ファントムおよびその製造方法 - Google Patents

音速ファントムおよびその製造方法

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JPH1080421A
JPH1080421A JP26242496A JP26242496A JPH1080421A JP H1080421 A JPH1080421 A JP H1080421A JP 26242496 A JP26242496 A JP 26242496A JP 26242496 A JP26242496 A JP 26242496A JP H1080421 A JPH1080421 A JP H1080421A
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JP
Japan
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sonic
phantom
propagation
temperature
urethane
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JP26242496A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Kamei
和彦 亀井
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Furuno Electric Co Ltd
Original Assignee
Furuno Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化に対する音速の変化量が小さな性質
を有した音速ファントム1とする。 【解決手段】 超音波の音速を基にして骨の状態を測定
する超音波式骨測定装置の測定精度の検査に使用される
ものである。温度に対して音速の温度勾配が正の性質を
有したウレタンからなる収容枠体2と、温度に対して音
速の温度勾配が負の性質を有した水からなる水槽部3と
を少なくとも超音波の伝播方向に有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音速を基にして骨
を測定する超音波式骨測定装置の測定精度の検査に使用
される音速ファントムおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】骨粗しょう症の早期発見や骨粗しょう症
に付随する種々の骨折の病態を検討する際には、通常、
X線を用いる骨測定装置を用いて生体中の例えば踵骨を
測定するようになっているが、近年においては、このよ
うな高価および大掛かりな装置を用いずに簡単に踵骨を
測定できると共に、被爆の問題がないように、超音波を
用いて踵骨を測定する超音波式骨測定装置が開発されて
いる。
【0003】上記の超音波式骨測定装置は、踵骨の骨量
(骨密度)に応じて音速が変化することに着目し、この
音速の変化量を基にして踵骨の状態を求めることを測定
原理としているため、超音波の音速を正確に測定できる
ことが踵骨を高精度に測定する上で極めて重要である。
従って、従来は、測定開始前や定期点検時において、超
音波を送受信する振動子間に所定形状のアクリル製やウ
レタン製のブロックを音速ファントム(テスト媒体)と
して設け、この音速ファントムを介して超音波を送受信
することによって、特性が既知の音速ファントムに対す
る音速の測定結果から測定精度の良否を検査するように
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、音速ファントムの構成材料がアクリルやウ
レタンからなっていると、これらの材料は温度に対する
音速の変化量が大きいという性質を有しているため、音
速ファントムを測定する際に、測定時の気温や装置温度
による誤差を補正することが必要となる。従って、従来
は、音速ファントムの音速を測定した後、温度と音速と
の関係を示すデータテーブルから測定温度に対応した音
速に補償することが必要となっており、検査時の作業工
程が複雑化したものになっていると共に、音速ファント
ムの内部温度を正確に測定することが困難であるため、
検査結果の精度も低いという問題がある。
【0005】従って、本発明は、温度変化に対する音速
の変化量が小さな性質を有した音速ファントムを提供す
ると共に、このような性質を有した音速ファントムを容
易に製造することができる製造方法を提供しようとする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、超音波の音速を基にして骨の状
態を測定する超音波式骨測定装置の測定精度の検査に使
用される音速ファントムにおいて、温度に対して前記音
速の温度勾配が正の性質を有した第1伝播部材と、温度
に対して前記音速の温度勾配が負の性質を有した第2伝
播部材とを少なくとも前記超音波の伝播方向に有してい
ることを特徴としている。これにより、温度に対する音
速の温度勾配がそれぞれ正および負の第1伝播部材と第
2伝播部材とを組み合わせることによって、温度変化に
よる音速の変化を互いに打ち消し合わせることができる
ため、広い温度範囲において音速を安定化させることが
できる。従って、従来のような音速ファントムの温度を
測定して音速を補償するという処理工程が不要になるた
め、超音波式骨測定装置の測定精度の検査を容易且つ高
精度に行うことができる。また、音速の補償時に使用さ
れる温度センサおよびデータテーブルが不要になるた
め、部品コストの低減化およびシステムの簡単化も可能
になっている。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の音速フ
ァントムであって、前記超音波の音速を増減させる第3
伝播部材を前記超音波の伝播方向に有していることを特
徴としている。これにより、さらに、超音波の音速を増
減させる第3伝播部材を有することによって、超音波を
所望の音速となるように調整することも可能になってい
る。
【0008】請求項3の発明は、請求項1記載の音速フ
ァントムであって、前記第1伝播部材が水により形成さ
れ、前記第2伝播部材がウレタンにより形成されている
ことを特徴としている。これにより、水およびウレタン
という一般的な材質により第1伝播部材および第2伝播
部材を形成することによって、音速ファントムを低価格
で構成することができる。
【0009】請求項4の発明は、請求項2記載の音速フ
ァントムであって、前記第1伝播部材が水により形成さ
れ、前記第2伝播部材がウレタンにより形成され、前記
第3伝播部材がテフロンにより形成されていることを特
徴としている。これにより、水、ウレタン、およびテフ
ロンという一般的な材質により第1伝播部材および第2
伝播部材を形成することによって、音速ファントムを低
価格で構成することができる。
【0010】請求項5の発明は、温度に対して音速の温
度勾配が正の性質を有した第1伝播部材と、温度に対し
て音速の温度勾配が負の性質を有した第2伝播部材とを
超音波の伝播方向に配置して所望の音速の音速ファント
ムを製造する方法であって、前記第1伝播部材および前
記第2伝播部材の伝播方向の長さ比率をそれぞれLaお
よびLbとし、所定温度における前記第1伝播部材、前
記第2伝播部材、および前記音速ファントムの音速をそ
れぞれVa、Vb、およびVfとしたときに成立する La+Lb=1 La/Va+Lb/Vb=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
率La・Lbを求めて音速ファントムを製造することを
特徴としている。これにより、関係式を用いた計算によ
り所望の音速の音速ファントムを設計することができる
ため、各種仕様の音速ファントムを試作して設計仕様を
決定する場合よりも、極めて簡単に音速ファントムの設
計仕様を決定して製造することができる。
【0011】請求項6の発明は、請求項5記載の音速フ
ァントムであって、前記音速Vfが第1温度と第2温度
とで略同一速度となるように長さ比率La・Lbを求め
て音速ファントムを製造することを特徴としている。こ
れにより、少なくとも第1温度と第2温度との2点で同
一温度を有するため、温度変化に対する音速の変化量が
小さな性質の音速ファントムを確実に製造することがで
きる。
【0012】請求項7の発明は、請求項5または6記載
の音速ファントムの製造方法であって、前記第1伝播部
材が水により形成され、前記第2伝播部材がウレタンに
より形成されていることを特徴としている。これによ
り、水およびウレタンという一般的な材質により第1伝
播部材および第2伝播部材を形成することによって、音
速ファントムを低価格で構成することができると共に、
ウレタンが加工性に優れているため、極めて簡単に音速
ファントムを製造することができる。
【0013】請求項8の発明は、温度に対して音速の温
度勾配が正の性質を有した第1伝播部材と、温度に対し
て音速の温度勾配が負の性質を有した第2伝播部材と、
前記超音波の音速を増減させる第3伝播部材とを超音波
の伝播方向に配置して所望の音速の音速ファントムを製
造する方法であって、前記第1伝播部材、前記第2伝播
部材、および前記第3伝播部材の伝播方向の長さ比率を
それぞれLa、Lb、およびLcとし、所定温度におけ
る前記第1伝播部材、前記第2伝播部材、前記第3伝播
部材、および前記音速ファントムの音速をそれぞれV
a、Vb、Vc、およびVfとしたときに成立する La+Lb+Lc=1 La/Va+Lb/Vb+Lc/Vc=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
率La・Lb・Lcを求めて音速ファントムを製造する
ことを特徴としている。これにより、関係式を用いた計
算により所望の音速の音速ファントムを設計することが
できるため、実際に各種の仕様の音速ファントムを試作
して設計仕様を決定する場合よりも、極めて簡単に音速
ファントムの設計仕様を決定し、製造することができ
る。さらに、超音波の音速を増減させる第3伝播部材を
有することによって、超音波を所望の音速となるように
調整することも可能になっている。
【0014】請求項9の発明は、請求項8記載の音速フ
ァントムの製造方法であって、前記第1伝播部材が水に
より形成され、前記第2伝播部材がウレタンにより形成
され、前記第3伝播部材がテフロンにより形成されてい
ることを特徴としている。これにより、水、ウレタン、
およびテフロンという一般的な材質により第1伝播部材
ないし第3伝播部材を形成することによって、音速ファ
ントムを低価格で構成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1ないし
図5に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係る音
速ファントムは、被検体の骨に対して超音波を伝播させ
たときの音速を求めることによって、骨を測定する超音
波式骨測定装置の測定精度の検査に使用されるようにな
っており、温度に対して音速の温度勾配が正の性質を有
した第1伝播部材と、温度に対して音速の温度勾配が負
の性質を有した第2伝播部材とを少なくとも超音波の伝
播方向に有している。
【0016】具体的に説明すると、図1に示すように、
音速ファントム1は、超音波の伝播方向Dに一致した伝
播長さL1が90mm、伝播長さL1に対して垂直方向
の伝播幅L2が80mm、および高さL3が80mmに
設定された長方体の収容枠体2(第2伝播部材)を有し
ている。この収容枠体2は、ウレタンからなる板部材を
接合することによって、上面が開口された箱形状に形成
されている。そして、伝播方向Dに対して垂直面となる
第1および第2側面部2a・2bの厚みは、それぞれ1
5mmに設定されており、伝播方向Dに対して平行面と
なる第3および第4側面部2c・2dの厚みは、それぞ
れ10mmに設定されている。また、収容枠体2の内部
には、水からなる水槽部3(第1伝播部材)が設けられ
ており、水槽部3の伝播幅L4は、60mmに設定され
ている。これにより、音速ファントム1は、10℃〜3
0℃の使用環境の温度範囲において音速の変化幅が±5
m/s以内の変化幅の特性を有したものになっている。
【0017】尚、収容枠体2は、優れた加工性であると
共に音速が比較的に人体に近いウレタンで形成されてい
ることが望ましいが、シリコーンやネオプレン等のその
他のゴム系材料で形成されていても良い。また、超音波
の伝播方向Dにおける第1および第2側面部2a・2b
の長さ比率は、30〜35%の範囲に設定されていれば
良い。
【0018】上記の構成において、音速ファントム1の
動作について説明する。図2に示すように、音速ファン
トム1の第1および第2側面部2a・2bに対して超音
波の送信用振動子4aと受信用振動子4bとが対向する
ように当接された後、送信用振動子4aから超音波が発
信されると、超音波は、第1側面部2a、水槽部3、お
よび第2側面部2bを伝播して受信用振動子4bに受信
されることになる。この際、第1および第2側面部2a
・2bを構成するウレタンは、図3に示すように、温度
に対して音速の温度勾配が負の性質を有しており、温度
が5℃から35℃に上昇するのにしたがって音速が18
30m/sから1570m/sに低下している。一方、
水槽部3を構成する水は、温度に対して音速の温度勾配
が正の性質を有しており、温度が5℃から35℃に上昇
するのにしたがって音速が1430m/sから1520
m/sに上昇している。
【0019】これにより、例えば10℃程度の使用環境
の下限域においては、第1および第2側面部2a・2b
を伝播する大きな音速が水槽部3において十分に低減さ
れることによって、所望の音速で受信用振動子4bに到
達することになる。一方、例えば30℃程度の使用環境
の上限域においては、側面部2a・2bを伝播する比較
的に小さな音速が水槽部3により僅かに低減されること
によって、所望の音速で受信用振動子4bに到達するこ
とになる。そして、このような温度に対して音速の温度
勾配が互いに逆の性質を有した側面部2a・2bと水槽
部3とを超音波がそれぞれ伝播することによって、例え
ば15℃から35℃の温度範囲において音速の変化が1
560m/s前後の極めて小さな特性を有するようにな
っている。
【0020】次に、音速ファントム1の材料および寸法
の決定方法について説明する。先ず、ウレタンやシリコ
ン等のゴム系材料は、温度上昇に伴って音速が低下する
性質を有しており、特にウレタンは、音速が比較的に人
体に近いことが知られている。一方、水は、温度上昇に
伴って音速が増加する性質を有することが知られてい
る。これにより、ウレタンを第2伝播部材として使用
し、水を第1伝播部材として使用した音速ファントム1
を構成するものとした。
【0021】ここで、ウレタンと水とは、化学反応等で
変化することはないので、或る温度における水とウレタ
ンとの組み合わせによる音速ファントム1の音速値は、
次式(1)・(2)のような関係を有していると考える
ことができる。
【0022】 La/Va(水)+Lb/Vb(ウレタン) =1/Vf(音速ファントム1) ・・・(1) La+Lb=1 ・・・(2)
【0023】但し、LaおよびLbは、水およびウレタ
ンにおける超音波の伝播方向の長さ比率をそれぞれ表し
たものであり、Va、Vb、およびVfは、水、ウレタ
ン、音速ファントムの所定温度における音速をそれぞれ
表したものである。
【0024】尚、音速ファントム1の音速が温度に対し
て変化しないようにするには、Vf(音速ファントム)
が任意の温度で一定になるように、(1)式の長さ比率
La・Lbの値を決定すれば良いが、実際には、ウレタ
ンおよび水における音速の温度特性が高次の曲線を示す
ため、全温度範囲に亘って音速を一定にするような長さ
比率La・Lbの値を決定することはできない。
【0025】そこで、例えば第1温度として10℃およ
び第2温度として25℃を選択し、これらの両温度にお
いて音速ファントムの音速Vfが同一値となるように水
およびウレタンの長さ比率La・Lbを決定した。これ
により、少なくとも2点で同一の音速を有するため、温
度変化に対する音速の変化量が小さな性質の音速ファン
トム1を確実に製造することができることになる。さら
に、音速ファントムを試作して長さ比率La・Lbを決
定した場合には、図5に示すように、長さ比率La・L
bの配分により破線Aから2点鎖線までのバラツキが生
じるため、各種の長さ比率La・Lbの試作品を作成す
ることが必要となって、同一値の音速ファントムを実際
に製造するまでに大きな負担および時間を要することに
なるが、上述の(1)式および(2)式を用いて計算に
より算出すれば、このような試作品による決定が不要に
なるため、極めて容易および短時間で長さ比率La・L
bを決定して音速ファントム1を製造することができる
ことになる。
【0026】尚、以上の実施形態においては、温度に対
して音速の温度勾配が正の性質を有した第1伝播部材
と、温度に対して音速の温度勾配が負の性質を有した第
2伝播部材との2種類の材質の部材を用いて音速ファン
トムを構成した場合について説明したが、これに限定さ
れるものではなく、3種類以上の材質を用いて音速ファ
ントムを構成しても良い。そして、この場合には、材質
の組み合わせや改質材の種類により音速ファントムの音
速を任意の速度に調整することが可能になる。
【0027】次に、3種類の材質を用いて音速ファント
ムを構成した場合について説明すると、この音速ファン
トムは、温度に対して音速の温度勾配が正の性質を有し
た第1伝播部材と、温度に対して音速の温度勾配が負の
性質を有した第2伝播部材と、超音波の音速を減衰させ
る第3伝播部材とを少なくとも超音波の伝播方向に有し
ている。即ち、図4に示すように、音速ファントム11
は、ウレタンからなる板部材を接合することによって、
上面を開口した箱形状に形成された収容枠体2(第2伝
播部材)と、水からなる水槽部3(第1伝播部材)と、
テフロン板5(第3伝播部材)とを有している。
【0028】上記の構成において、音速ファントム11
の材料および寸法の決定方法について説明する。先ず、
音速ファントム11の構成材料であるウレタン、テフロ
ン、および水の最適な組み合わせ比率を求めるため、各
構成材料の音速値を求めた。即ち、ウレタンと水とテフ
ロンとは、化学反応等で変化することはないので、或る
温度におけるウレタンと水とテフロンとの組み合わせに
よる音速ファントム11の音速値は、次式(3)・
(4)のような関係を有していると考えることができ
る。
【0029】 La/Va(水)+Lb/Vb(ウレタン)+Lc/Vc(テフロン) =1/Vf(音速ファントム1) ・・・(1) La+Lb+Lc=1 ・・・(2)
【0030】但し、La、Lb、およびLcは、水、ウ
レタン、およびテフロンにおける超音波の伝播方向の長
さ比率をそれぞれ表したものであり、Va、Vb、V
c、およびVcは、水、ウレタン、テフロン、および音
速ファントムの所定温度における音速をそれぞれ表した
ものである。
【0031】そして、上述の水およびウレタンからなる
音速ファントムの設計仕様を決定した場合と同様に、例
えば第1温度として10℃および第2温度として25℃
を選択し、これらの両温度において音速ファントムの音
速Vcが同一値となるように水、ウレタン、およびテフ
ロンの長さ比率La・Lb・Lcを決定した。
【0032】尚、以上の実施形態においては、関係式か
ら直接的に長さ比率La・Lbを求めて音速ファントム
を製造する場合について説明したが、これに限定される
ことはない。即ち、例えば(1)式および(2)式の関
係から、音速ファントムの音速Vfと温度との関係を示
すグラフ(例えば破線、実線、二点鎖線)を各種の長さ
比率La(例えば小、中、大)について作成しておく。
そして、音速ファントムについて所望の温度範囲および
速度範囲からなる設計範囲Aが設定されたときに、この
設計範囲Aに収まるようなグラフを選択し、選択したグ
ラフに対応した長さ比率La・Lbを決定するようにな
っていても良い。
【0033】
【発明の効果】請求項1の発明は、超音波の音速を基に
して骨の状態を測定する超音波式骨測定装置の測定精度
の検査に使用される音速ファントムにおいて、温度に対
して前記音速の温度勾配が正の性質を有した第1伝播部
材と、温度に対して前記音速の温度勾配が負の性質を有
した第2伝播部材とを少なくとも前記超音波の伝播方向
に有していることを特徴としている。これにより、温度
に対する音速の温度勾配がそれぞれ正および負の第1伝
播部材と第2伝播部材とを組み合わせることによって、
温度変化による音速の変化を互いに打ち消し合わせるこ
とができるため、広い温度範囲において音速を安定化さ
せることができる。従って、従来のような音速ファント
ムの温度を測定して音速を補償するという処理工程が不
要になるため、超音波式骨測定装置の測定精度の検査を
容易且つ高精度に行うことができる。また、音速の補償
時に使用される温度センサおよびデータテーブルが不要
になるため、部品コストの低減化およびシステムの簡単
化も可能になるという効果を奏する。
【0034】請求項2の発明は、請求項1記載の音速フ
ァントムであって、前記超音波の音速を減衰させる第3
伝播部材を前記超音波の伝播方向に有していることを特
徴としている。これにより、さらに、超音波の音速を減
衰させる第3伝播部材を有することによって、超音波を
所望の音速となるように調整することも可能になるとい
う効果を奏する。
【0035】請求項3の発明は、請求項1記載の音速フ
ァントムであって、前記第1伝播部材が水により形成さ
れ、前記第2伝播部材がウレタンにより形成されている
ことを特徴としている。これにより、水およびウレタン
という一般的な材質により第1伝播部材および第2伝播
部材を形成することによって、音速ファントムを低価格
で構成することができるという効果を奏する。
【0036】請求項4の発明は、請求項2記載の音速フ
ァントムであって、前記第1伝播部材が水により形成さ
れ、前記第2伝播部材がウレタンにより形成され、前記
第3伝播部材がテフロンにより形成されていることを特
徴としている。これにより、水、ウレタン、およびテフ
ロンという一般的な材質により第1伝播部材および第2
伝播部材を形成することによって、音速ファントムを低
価格で構成することができるという効果を奏する。
【0037】請求項5の発明は、温度に対して音速の温
度勾配が正の性質を有した第1伝播部材と、温度に対し
て音速の温度勾配が負の性質を有した第2伝播部材とを
超音波の伝播方向に配置して所望の音速の音速ファント
ムを製造する方法であって、前記第1伝播部材および前
記第2伝播部材の伝播方向の長さ比率をそれぞれLaお
よびLbとし、所定温度における前記第1伝播部材、前
記第2伝播部材、および前記音速ファントムの音速をそ
れぞれVa、Vb、およびVfとしたときに成立する La+Lb=1 La/Va+Lb/Vb=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
率La・Lbを求めて音速ファントムを製造する構成で
ある。これにより、関係式を用いた計算により所望の音
速の音速ファントムを設計することができるため、各種
仕様の音速ファントムを試作して設計仕様を決定する場
合よりも、極めて簡単に音速ファントムの設計仕様を決
定して製造することができるという効果を奏する。
【0038】請求項6の発明は、請求項5記載の音速フ
ァントムであって、前記音速Vfが第1温度と第2温度
とで略同一速度となるように長さ比率La・Lbを求め
て音速ファントムを製造する構成である。これにより、
少なくとも第1温度と第2温度との2点で同一温度を有
するため、温度変化に対する音速の変化量が小さな性質
の音速ファントムを確実に製造することができるという
効果を奏する。
【0039】請求項7の発明は、請求項5または6記載
の音速ファントムの製造方法であって、前記第1伝播部
材が水により形成され、前記第2伝播部材がウレタンに
より形成されている構成である。これにより、水および
ウレタンという一般的な材質により第1伝播部材および
第2伝播部材を形成することによって、音速ファントム
を低価格で構成することができると共に、ウレタンが加
工性に優れているため、極めて簡単に音速ファントムを
製造することができるという効果を奏する。
【0040】請求項8の発明は、温度に対して音速の温
度勾配が正の性質を有した第1伝播部材と、温度に対し
て音速の温度勾配が負の性質を有した第2伝播部材と、
前記超音波の音速を増減させる第3伝播部材とを超音波
の伝播方向に配置して所望の音速の音速ファントムを製
造する方法であって、前記第1伝播部材、前記第2伝播
部材、および前記第3伝播部材の伝播方向の長さ比率を
それぞれLa、Lb、およびLcとし、所定温度におけ
る前記第1伝播部材、前記第2伝播部材、前記第3伝播
部材、および前記音速ファントムの音速をそれぞれV
a、Vb、Vc、およびVfとしたときに成立する La+Lb+Lc=1 La/Va+Lb/Vb+Lc/Vc=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
率La・Lb・Lcを求めて音速ファントムを製造する
構成である。これにより、関係式を用いた計算により所
望の音速の音速ファントムを設計することができるた
め、実際に各種の仕様の音速ファントムを試作して設計
仕様を決定する場合よりも、極めて簡単に音速ファント
ムの設計仕様を決定し、製造することができる。さら
に、超音波の音速を増減させる第3伝播部材を有するこ
とによって、超音波を所望の音速となるように調整する
ことも可能であるという効果を奏する。
【0041】請求項9の発明は、請求項8記載の音速フ
ァントムの製造方法であって、前記第1伝播部材が水に
より形成され、前記第2伝播部材がウレタンにより形成
され、前記第3伝播部材がテフロンにより形成されてい
る構成である。これにより、水、ウレタン、およびテフ
ロンという一般的な材質により第1伝播部材ないし第3
伝播部材を形成することによって、音速ファントムを低
価格で構成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウレタンと水とで構成された音速ファントムの
斜視図である。
【図2】音速ファントムに超音波を伝播させる状態を示
す説明図である。
【図3】水、ウレタン、テフロン、シリコン、ネオプレ
ンの温度と音速との関係を示すグラフである。
【図4】ウレタンと水とテフロンとで構成された音速フ
ァントムの斜視図である。
【図5】音速ファントムの温度と音速との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 音速ファントム 2 収容枠体 2a 第1側面部 2b 第2側面部 3 水槽部 5 テフロン板 11 音速ファントム

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波の音速を基にして骨の状態を測定
    する超音波式骨測定装置の測定精度の検査に使用される
    音速ファントムにおいて、 温度に対して前記音速の温度勾配が正の性質を有した第
    1伝播部材と、 温度に対して前記音速の温度勾配が負の性質を有した第
    2伝播部材とを少なくとも前記超音波の伝播方向に有し
    ていることを特徴とする音速ファントム。
  2. 【請求項2】 前記超音波の音速を増減させる第3伝播
    部材を前記超音波の伝播方向に有していることを特徴と
    する請求項1記載の音速ファントム。
  3. 【請求項3】 前記第1伝播部材が水により形成され、
    前記第2伝播部材がウレタンにより形成されていること
    を特徴とする請求項1記載の音速ファントム。
  4. 【請求項4】 前記第1伝播部材が水により形成され、
    前記第2伝播部材がウレタンにより形成され、前記第3
    伝播部材がテフロンにより形成されていることを特徴と
    する請求項2記載の音速ファントム。
  5. 【請求項5】 温度に対して音速の温度勾配が正の性質
    を有した第1伝播部材と、温度に対して音速の温度勾配
    が負の性質を有した第2伝播部材とを超音波の伝播方向
    に配置して所望の音速の音速ファントムを製造する方法
    であって、 前記第1伝播部材および前記第2伝播部材の伝播方向の
    長さ比率をそれぞれLaおよびLbとし、所定温度にお
    ける前記第1伝播部材、前記第2伝播部材、および前記
    音速ファントムの音速をそれぞれVa、Vb、およびV
    fとしたときに成立する La+Lb=1 La/Va+Lb/Vb=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
    率La・Lbを求めて音速ファントムを製造することを
    特徴とする音速ファントムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記音速Vfが第1温度と第2温度とで
    同一速度となるように長さ比率La・Lbを求めて音速
    ファントムを製造することを特徴とする請求項5記載の
    音速ファントムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1伝播部材が水により形成され、
    前記第2伝播部材がウレタンにより形成されていること
    を特徴とする請求項5または6記載の音速ファントムの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 温度に対して音速の温度勾配が正の性質
    を有した第1伝播部材と、温度に対して音速の温度勾配
    が負の性質を有した第2伝播部材と、前記超音波の音速
    を増減させる第3伝播部材とを超音波の伝播方向に配置
    して所望の音速の音速ファントムを製造する方法であっ
    て、 前記第1伝播部材、前記第2伝播部材、および前記第3
    伝播部材の伝播方向の長さ比率をそれぞれLa、Lb、
    およびLcとし、所定温度における前記第1伝播部材、
    前記第2伝播部材、前記第3伝播部材、および前記音速
    ファントムの音速をそれぞれVa、Vb、Vc、および
    Vfとしたときに成立する La+Lb+Lc=1 La/Va+Lb/Vb+Lc/Vc=1/Vf の関係式から、前記所望の音速Vfとなるように長さ比
    率La・Lb・Lcを求めて音速ファントムを製造する
    ことを特徴とする音速ファントムの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1伝播部材が水により形成され、
    前記第2伝播部材がウレタンにより形成され、前記第3
    伝播部材がテフロンにより形成されていることを特徴と
    する請求項8記載の音速ファントムの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018183421A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 株式会社日立製作所 超音波測定用ファントムおよび超音波ct装置
JPWO2021065800A1 (ja) * 2019-10-04 2021-04-08

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