【発明の詳細な説明】
ヌクレオシド二リン酸および三リン酸糖の保護基の完全除去法
本発明は、ヒドロキシル保護基を酵素的に除去する、ヌクレオチド二リン酸お
よび三リン酸糖の製造法および、ヌクレオチドとカルボニルビスアゾールで活性
化させた糖−1−リン酸を結合させ、次いでヒドロキシル保護基を酵素的に除去
する、これらの糖の製造法に関する。
エネルギー運搬体および構造単位としてのその重要性の他に、炭水化物は細胞
間伝達および細胞間認識過程の情報担体としての重要な役割を担う。それらは、
天然でポリ−、オリゴ−、ジ−またはモノ−サッカライドまたは糖抱合体、典型
的に糖タンパク質、糖脂質および糖ステロイドとして得られる。オリゴサッカラ
イドおよび糖抱合体は、化学的および酵素的方法の組み合わせにより最も有効に
製造し得る。そこで使用される重要な酵素は、とりわけ、いわゆるLeloir経路
のグリコシルトランスフェラーゼである[Ichikawa et al.,Anal.Biochem.
202:215-238(1992)]。該酵素は、結合すべきグリコシド結合に関する高い部位特
異性および立体特性により区別される。
酵素は、いわゆる活性化ヌクレオチド一リン酸および二リン酸糖(提供体)の糖
ユニットを、各酵素により特異的ではあるが、広範囲の異なる受容基質に移す。
提供体は、特に、これらの化合物を単純で、大規模および高収率で製造すること
が現在まで不可能であるため、このタイプのグリコシド合成を限定すると考えら
れる。一つの可能な化学合成は、非保護糖リン酸と例えば、モルホリン基により
活性化されたヌクレオシドを反応させ、対応するヌクレオシド二リン酸糖とする
ことから成る[Gokhale et al.,Can.J.Chem.68:1063-1071(1990)]。この
ピロリン酸結合の結合は、吸湿性ヒドロキシル基のために、水に非常に感受性で
あり、非保護遊離体で行うことは困難である。更に、非保護遊離体が慣用の結合
溶媒(ジメチルホルムアミド、ピリジン)にあまり溶解性でないため、長い反応時
間が必要である[Leon et al.,Synthesis 689-691(1994)]。望ましくない副産
物の形成に加えて、多くの非保護糖リン酸が不安定である。結果として、通常収
-2095(1981);Gokhale et al.,Can.J.Chem.68:1063-1071(1990)]。保護
試薬は、既知の過程では、所望の標的構造を維持しながら、結合段階後の保護基
を完全に除去することが可能でないと考えられるため、現在まで使用されていな
い。従って、炭素原子2および3でO−ベンゾイル保護されているグアノシン二
リン酸グルコースは、実質的分解で脱ベンゾイル化できるだけである。分解なし
の保護基の完全な除去は、リン酸基を有しない非電荷糖原子の場合のみ可能であ
る[WaldmannおよびSebastian,Chem.Rev.94:911-937(1994)]。例外は、そ
の全てが塩基安定性NHAc置換基をヘキソースの炭素原子2に有し、炭素原子
1でα−立体配置である、あるO−アシル−保護ウルジン二リン酸ヘキソースで
ある。それらは、1M水酸化ナトリウムで化学的に脱アシル化し得る[Yamazaki
et al.,Carbohydr.Res.79:C9-C12(1980);Yamazaki et al.,Can.J.
Chem.59:2247-2252(1981);Thomas et al.,Carbohydr.Res.184:77-85(1
988)]。
可能な化学合成に加えて、特異的な天然に存在する提供体がまた多酵素システ
ムを使用して製造できる。しかしながら、これらの酵素システムの非常な欠点は
、それらが容易に入手可能ではなく、天然基質にのみ使用できることである[He
idlas et al.,J.Org.Chem.57:146-151(1992)]。
驚くべきことに、ヌクレオシド二リン酸および三リン酸糖が、糖残基にO−ア
シル保護基を使用して、および、最終反応段階において、これらの保護基を特異
的酵素の作用によって除去することにより、高い収率で合成できることが、本発
明により判明した。従って、ピロリン酸架橋のためにヌクレオチドを糖リン酸に
結合させるのに特に有用な、保護基を有する試薬を使用した重要な合成段階を行
うことをまた最初に可能にした。結合は高い収率で行われ、結合生産物はまた容
易に精製でき、安定であり、貯蔵できる。従って、糖モノマーから出発して、実
質的に高く、産業規模での経済的製造をも可能にする全収率を得ることが可能で
ある。
態様の一つにおいて、本発明は、保護ヌクレオシド二リン酸または三リン酸糖
から、式−C(O)Rの糖残基(式中、Rは直鎖または分枝鎖アルキル、好ましく
はC1−C8アルキル、最も好ましくはC1−C4アルキル、非置換フェニルまたは
C1−C4アルキル−またはC1−C4アルコキシ置換フェニルである)のヒドロキ
シル保護基の完全な除去による、ヌクレオシド二リン酸または三リン酸糖の製造
法に関し、本方法は、除去を酵素的に行うことを含む。
ヒドロキシル保護基の説明的例は、式−C(O)R(式中、Rはメチル、エチル
、n−およびi−プロピル、n−、i−、s−およびt−ブチルおよびペンチル
、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルの全ての可能な異性体、非置換フェニルま
たは、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、s−およびt−
ブチル、メトキシ、エトキシ、n−およびi−プロポキシ、n−、i−、s−お
よびt−ブトキシからなる群から選択される1個から3個の異なるまたは同一の
置換基で置換されているフェニル)である。置換フェニルの典型的例は、トルエ
ン、o−、m−およびp−キシレン、シュードクモール、メシチレン、トリメチ
ルベンゼン、エチルベンゼン、ジメチルプロピルベンゼンおよびクモール由来の
ものである。
本発明の範囲内で、糖は糖モノマー、糖ダイマーの意味と理解され、糖ダイマ
ーの場合、糖モノマーが他方にα−またはβ−(アノマー中心→n)グリコシド結
合的に結合し、nは1から9の数および用語(アノマー中心→n)は2つの関係す
るモノマーのグリコシド結合の位置を示す。
本発明の範囲内で、モノマー糖は、その構造が式(CH2O)m(式中、mは好ま
しくは3から9の整数)に従う化合物ならびにポリヒドロキシアルデヒド、ポリ
ヒドロキシケトン、ポリヒドロキシ酸およびポリヒドロキシアミンおよびそれら
の誘導体の全てを意味すると理解される。
糖モノマーは、有機化学および生化学の標準の作業から既知である[例えば、
Beyer/Walter,Lehrbuch der Organischen Chemie,S.Hirzel Verlag
Stuttgart,425-468(1991);Lehninger,Biochemistry 298-321(1993);Ken
nedyおよびWhite,Kennedy(編)Carbohydrate Chemistry,Clarendon Pres
s,Oxford3-41(1988)]。
説明的例は、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、
アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトースお
よびタロースを含むD−およびL−アルドピラノースおよびD−およびL−アル
ドフラノースから成る群、典型的にリブロース、キシルロース、プシコース、フ
ルクトース、ソルボースおよびタガトースを含むD−およびL−ケトピラノース
およびD−およびL−ケトフラノースからなる群ならびにD−およびL−ジケト
ピラノース、典型的にペントジウロースおよびヘキソジウロースからなる群から
選択される糖モノマーである。
“糖モノマー”なる用語は、また引用した例の置換をされた糖モノマーも含む
。当業者にとって、糖モノマーは、典型的にD−およびL−立体配置のデオキシ
糖、好ましくはフコース、ロデオース、ラムノースおよびジキトキソースのよう
な2−、3−、4−および6−デオキシアルドース、グルカル、ガラクタルおよ
びフカルのような1,2−ジデオキシアルドースおよび1−、3−、4−および
6−デオキシケトース、D−およびL−立体配置の2−、3−、4−および6−
デオキシアミノ糖、典型的にはグルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミンお
よびフコサミン、N−アシルグルコサミン、N−アシルマンノサミン、N−アシ
ルガラクトサミンおよびN−アシルフコサミンのようなデオキシアシルアミノ糖
、好ましくはそれらのC1−C4アルキルエステルおよび2−、3−、4−および
6−デオキシハロゲノ糖(ハロゲンは、好ましくはF、ClまたはBr)、典型的
には2−フルオロフコース、および2−、3−、4−および6−デオキシスルフ
ヒドリル糖ならびにこれらの置換基の独立した組み合わせを含む。
糖モノマーは、グルコン酸またはグルクロン酸のようなアルドン酸、アルダン
酸およびウロン酸ならびにN−アミド結合であり、ホスファチジルまたはポリオ
ール置換基を有するアミノ酸担持糖モノマーを意味するとも理解される。
置換糖モノマーはまた6炭素原子より長い炭素鎖を有するもの、典型的にはヘ
プトース、オクトース、ノノース、ヘプツロース、オクツロースおよびノヌロー
ス、また前記の基準に従って置換された代表的なもの、例えば、ケトデオキシオ
クタン酸、ケトデオキシノナン酸、N−アシルノイラミン酸およびN−アシルム
ラミン酸を意味するとも理解される。
本発明の範囲内の好ましい糖モノマーは、アラビノース、ガラクトース、グル
コース、マンノース、フコース、2−フルオロフコース、2−アミノフコースお
よびローデオースである。
本発明の範囲内で二量体糖は、2つの同一のまたは別の前記モノマーに由来す
るものを意味すると理解される。結合は好ましくはα−またはβ−O−グリコシ
ドであるが、S−、N−およびC−グルコシド結合もまた可能である。結合に関
与する一方の全ての炭素原子が適している。説明的例は、特に(1→2)−、(1
→3)−、(1→4)−、(1→5)−、(1→6)−、(2→3)−および(2→6)グ
リコシド結合である。二量体糖の典型的例は、トレハロース、ソフォロース、コ
ジビオース、ラミナリボース、マルトース、セロビオース、イソマルトース、ゲ
ンチビオース、スクロースおよびラクトースからなる群から選択されるものであ
る。
本発明の範囲内で、ヌクレオシドは天然および非天然合成ヌクレオシドを意味
すると理解される。合成ヌクレオシドは天然建築ブロックの修飾を含む。好適な
修飾は、核塩基残基(典型的に置換、置換基の除去)およびフラノース環(典型的
に2'−ヒドロキシル基における置換、フラノース−O−原子の置換、フラノー
ス環のモノ−またはビカルバサイクリッル環による置換)における修飾である。
特に好ましいヌクレオシドはグアノシン、キサントシ、イノシン、ウリジン、
2'−デオキシ−2−アミノアデノシン、2'−デオキシ−5−メチルシチジン、
2'−デオキシアデノシン、2'−デオキシシチジン、2'−デオキシグアノシお
よびチミジンである。グアノシン、キサントシン、イノシンおよびウリジンは特
に非常に好ましい。修飾建築ブロックは、好ましくはプリンおよびピリミジンの
天然ヌクレオシド由来であり、特に好ましくはアデノシン、シチジン、グアノシ
ン、2−アミノアデノシン、5−メチルシチジン、ウリジン由来のものおよび上
記のデオキシ誘導体である。ヌクレオシドは2−'修飾リボヌクレオシドであり
得る。
保護ヌクレオシド二リン酸および三リン酸糖は、好ましくは式I
〔式中、nは1または2;Xは酸素、硫黄または炭素原子;ZはNa、K、Li
またはMg;R6はHまたはCH2R7;R2、R3、R4およびR7は互いに独立し
てH、ハロゲン(好ましくはF、ClまたはBr)、SH、NH2、NHRまたは
−O−C(O)−R基;Rは直鎖または分枝鎖C1−C8アルキル、非置換フェニル
もしくはC1−C4アルキル−またはC1−C4アルコキシ置換フェニル、およびH
etはプリンまたはピリミジン塩基〕
で示される化合物であり、非保護二リン酸および三リン酸糖は好ましくは式II
〔式中、n、X、ZおよびHetは式Iで定義の意味;R6'はHまたはCH2R7
'、R2'、R3'、R4'およびR7'は互いに独立してH、ハロゲン(好ましくはF、
ClまたはBr)、SH、NH2、NHRまたはOH、Rは直鎖または分枝鎖C1
−C8アルキル、非置換またはC1−C4アルキル−またはC1−C4アルコキシ置
換フェニル〕
で示される化合物である。
Xは酸素または炭素原子、好ましくは酸素原子、ZはNa、K、LiまたはM
g、好ましくはNa、R2、R3、R4およびR6は互いに独立して−OC(O)−R
基、Rは直鎖または分枝鎖C1−C4アルキルまたはフェニルおよびHetはプリ
ンまたはピリミジン塩基である式Iで示される化合物が、特に有用であることが
判明した。特に好ましい式Iで示される化合物は、Rがメチル、エチル、i−ま
たはn−プロピルであるものである。
糖残基で保護されており、その保護基が同一であるヌクレオシド二リン酸およ
び三リン酸糖を使用することが好ましい。
本発明の範囲内の好ましいヌクレオシド二リン酸および三リン酸糖は、グアノ
シン二リン酸フコース、キサントシン二リン酸フコース、イノシン二リン酸フコ
ース、グアノシン二リン酸−2−フルオロフコース、グアノシン二リン酸−β−
L−2−アミノフコース、グアノシン三リン酸フコース、グアノシン二リン酸−
D−アラビノース、グアノシン二リン酸−β−L−ガラクトース、ウリジン二リ
ン酸ガラクトース、グアノシン二リン酸−β−L−グルコース、グアノシン二リ
ン酸−α−D−マンノースおよびグアノシン二リン酸−β−D−ローデオースで
ある。
新規方法は可溶性または固定化酵素で行うことが出来る。酵素の選択は保護基
のタイプおよび糖の立体配置に依存する。機能的に均一の酵素または酵素混合物
で作業することが有用であることが判明した。
保護基が−C(O)−CH3基である場合、保護基をアセチルエステラーゼで除
去する。保護基が−C(O)−CH2CH3基である場合、保護基をアセチルエステ
ラーゼ、リパーゼまたはこれら二つの酵素の混合物で除去する。−C(O)−C3
−C8アルキルおよび非置換または置換−C(O)−フェニルを除去する場合、リ
パーゼの使用が好ましい。酵素は天然源、例えば動物、微生物または植物由来で
あり得るが、遺伝子工学由来でもあり得る。商品として入手可能な酵素、典型的
に、オレンジの皮由来のアセチルエステラーゼ(EC3.1.1.6)のような植物酵素は
特に簡便である。
反応は緩衝液存在下で行い得るが、驚くべきことに、その非存在下でも行い得
る。緩衝液が存在する場合、簡便には電解性緩衝液、典型的にはNaCl、Mg
HPO4、2−モルホリノエタンスルホン酸−水和物−NaOH、N−(2−アセ
トアミノ)−2−アミノエタンスルホン酸−NaOH−NaCl、3−モルホリ
ノプロパンスルホン酸−NaOH−NaCl、N−トリス(ヒドロキシメチル)メ
チル−2−アミノエタンスルホン酸−NaOH−NaCl、4−(2−ヒドロキ
シエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸−NaOH−NaClおよびイミ
ダゾール−HCl−NaClである。反応は好ましくは室温から40℃の温度範
囲、好ましくは37℃で行う。pHは簡便にはpH6.5からpH7.5の範囲、
好ましくはpH7であり、例えば、pHプローブおよび自動計量ユニットの助け
により有効に自動的に一定に保つ。更に、緩衝液、温度およびpHの選択は使用
する各酵素および反応する基質により決定され、特別の場合には、予め指示され
ている領域から外れることがある。
本発明はまた、保護ヌクレオシド二リン酸または三リン酸から、式−C(O)−
R(Rは直鎖または分枝鎖アルキル、好ましくはC1−C8アルキル−、最も好ま
しくはC1−C4アルキル、非置換フェニルまたはC1−C4アルキル−またはC1
−C4アルコキシ置換フェニル)のヒドロキシル保護基を完全に除去することによ
るヌクレオシド二リン酸または三リン酸糖の製造法にも関し、本方法は緩衝液非
存在下での酵素的除去の実行を含む。
生産物は、保護基を除去した後、容易に精製できる。保護基を緩衝液存在下で
除去した場合、クロマトグラフ法が特に適している。生産物はゲル浸透クロマト
グラフィー、典型的に、Sephadex(登録商標)カラム、例えば、Biogel P-2で脱
塩し、次いでグリコシルトランスフェラーゼ存在下、グリコシル受容体と直接反
応させ得る。酵素的保護基除去を緩衝液非存在下で行う場合、非保護生産物を適
当な沈殿剤、典型的にはエタノールまたはエタノール/イソプロパノールまたは
エタノール/アセトンの混合物と共に沈殿させることにより精製し得る。
新規方法に従って得られる収率は実質的に増加している。現在まで、例えば、
グアノシン二リン酸−β−L−フコースの製造のための有効な準備のための多酵
素システムを得ることは不可能であり[Yamamoto et al.,Agric.Biol.Ch
em.48:823-824(1984);StillerおよびThiem,Liebigs Ann.Chem.467-47
1(1992)]、ヌクレオシド二リン酸糖はまだ化学合成しなければならなかった。L
−フコースから開始して、糖は約10%の全収率で得られる[Gokhale et al.,
Can.J.Chem.68:1063-1071(1990)]。ここで、二リン酸結合の架橋は非保護
で非常に不安定なフコース−1−リン酸を使用して行った。最終生産物を処理す
るために、全9個のクロマトグラフィー精製段階が必要であった。比較して、新
規過程の全収率は通常50%より上である。
別の態様において、本発明は、保護糖−1−リン酸をヌクレオシド一リン酸ま
たは二リン酸と反応させる、ヌクレオシド二リン酸または三リン酸糖の製造法に
関し、本方法は糖−1−リン酸または対応するヌクレオシドを、結合前にカルボ
ニルビスアゾールで活性化させ、結合を行った後、酵素的に保護基を除去するこ
とを含む。
カルボニルジイミダゾールを使用したモノイミダゾリルホスホン酸の製造およ
び対称および非対称ピロホスホン酸の製造におけるその使用は既知である[Scha
ller et al.,Chem.Ber.74:1621-1633(1961)]。
カルボニルビスアゾールの典型的例はカルボニルジイミダゾール、カルボニル
ジトリアゾール、チオカルボニルジイミダゾールおよびカルボニルジオキシジベ
ンズトリアゾールである。
保護一リン酸糖エステルを、例えば、極性溶媒の存在下、過剰なカルボニルビ
スアゾールと反応させる。次いで、過剰なカルボニルジアゾールを、簡便には適
確な量の無水メタノールを使用して分解する。この活性化後、活性化糖リン酸を
そのまま、または単離した後、ヌクレオチド建築ブロックのトリアルキルアンモ
ニウム塩と反応させ、保護ヌクレオシド二リン酸または三リン酸糖とする。最初
に得たイミダゾール塩を、次いで、イオン交換器で濾過し、それをイオンZと交
換する。次いで、続く精製は、逆層シリカまたは適当な沈殿剤、典型的にはエタ
ノールまたはエタノール/イソプロパノールまたはエタノール/アセトンの混合
物を使用して行うことができる。反応は、水非存在下、無水極性非水酸化溶媒中
で、室温から80℃の温度範囲、好ましくは40℃から50℃、最も好ましくは
40℃で有効に行う。反応を超音波浴で行うことが有効であることが判明した。
極性非水酸化溶媒の典型的例は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフオキ
シド、アセトン、ジオキサン、ピリジンおよびアセトニトリルならびにこれらの
混合物である。
新規方法により得られた非保護化合物は、Leloir経路(上記参照)の異なるグ
リコシルトランスフェラーゼの提供体として働く。この経路の中で、ヌクレオシ
ド二リン酸または三リン酸糖の糖残基を受容体に移す。この受容体は、糖、タン
パク質のアミノ酸または脂質、ステロイドまたはマクロ環のOH基であり得る。
得られた生産物は、特異的病原細胞タイプまたはタンパク質を検出する(診断)ま
たは免疫応答を緩和するための、例えば、粘着過程に選択的に影響を及ぼすのに
使用できるため(例えば、活性化内皮細胞での白血球の粘着の阻害)、薬理学的に
非常に興味深い[Seyfried,Developmental Biology 123:286-291(1987);Ha
komori,Cancer Res.45:2405(1985);BlockおよびClausen(編),Complex
Carbohydrates in Drug Research,Alfred Benzon Symposium 36,Munks
gaard,Copenhagen(1994)118-130,153-164,246-256,280-290,297-310,337
-349,366-367,368-379,382-393,397-409,414-427]。
以下の実施例は本発明をより詳細に説明する。
実施例1:グアノシン二リン酸フコース(GDP−フコース)の製造(方法A)
(a)Ichikawa et al.,J.Org.Chem.57:2943-2946(1992)の方法に従って
得られる605mg(1.63mmol)のトリ−O−アセチル−β−L−フコース−1
−リン酸を3mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解する。この溶液に390mg(
2.49mmol)のカルボニルジイミダゾールを添加し、透明な溶液を90分間、室
温(RT)で撹拌する。過剰なカルボニルジイミダゾールを、次いで、0.86mmo
lの無水メタノールで分解する。20分間、RTで撹拌した後、溶媒の幾つかを
高真空で除去する。4mlのジメチルホルムアミド中の781mg(1.80mmol)の
グアノシン−1−リン酸のトリブチルアンモニウム塩の溶液を、次いで、急速に
滴下する。得られる懸濁液を24時間に渡り、40℃で超音波浴で超音波処理す
る。得られる溶液を、40℃で蒸発乾固して濃縮し、残渣をジオキサンから凍結
乾燥す
合わせ、濃縮し、更にもう一度ジオキサンから凍結乾燥する。得られた粉末をR
P−18ゲルで精製、950mg(68%)のGDP−2,3,4−トリ−O−アセチ
ル−β−L−フコースを白色粉末形で得る。1H−NMR(D2O,250.134
MHz,D2Oのppm,4.8ppm):1.20d,8.2Hz,3H;2.03s,3H;
2.17s,3H;2.24s,3H;4.02dq,1.8Hz,8.2Hz,1H;4.
24m,2H;4.41m,1H;4.54m,1H;5.11m,2H;5.36m,
2H;5.95d,6.9Hz,1H;8.14s,1H。13C−NMR(D2O,62
.896Hz) 18.52ppm,23.50ppm(2×C),23.95ppm,68.80
ppm,73.40ppm(d,8.73Hz),73.64ppm,73.68ppm,74.25p
pm,77.48ppm,87.02ppm(d,9.2Hz),99.00(d,4.5Hz),1
19.57ppm,141.06ppm,155.11ppm,157.41ppm,162.2
8ppm,176.24ppm,176.76ppm,177.18ppm。31P−NMR(D2
O,101.256Hz):−11.31ppm,d,18.17Hz;−13.40ppm,
d,18.17Hz。
(b)649mg(85μmol)のGDP−2,3,4−トリ−O−アセチル−β−L−
フコースを2.4mlの0.075N NaCl溶液にpH6.78で溶解し、この
溶液に1.6mlのアセチルエステラーゼ溶液(75U、オレンジの皮、3.1.1.
6、Sigma)を添加する。反応混合物のpHを6.78に1N NaOH溶液で一
定に保つ。反応をRTで撹拌しながら行う。反応を24.82mlの0.1N Na
OH溶液(理論的に25.5ml)の消費で停止する。反応混合物をバイオゲルP−
2カラム(3cm×74cm)で脱塩し、GDPフコースを含む溶出液を合わせて凍結
乾燥、540mgの粉末GDP−フコースを得る。1H−NMR(D2O,250.1
34Hz):1.21d(8.2Hz),3H;3.52dd(8.3Hz,10.3Hz),1H
;3.66m,2H;3.74dq(1.8Hz,8.2Hz),1H.4.24m,2H;
4.41m,1H;4.54dd(3.4Hz,5.5Hz),1H;5.95d(6.9Hz)
,1H;8.14s,1H。31P−NMR(101.256Hz):−12.70ppm,
d,20.03Hz;−10.86ppm,d,20.03Hz。
実施例2:グアノシン二リン酸フコース(GDP−フコース)の製造(方法B)
(a)3.0g(5.5mmol)のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩を3
6mlの無水ジメチルホルムアミドに、アルゴン下、RTで溶解する。この溶液に
撹拌しながら、1.9g(11.7mmol)のカルボニルジイミダゾールを添加し、撹
拌を更に40分間、RTで続ける。混合物に、次いで、195.5μlの乾燥メタ
ノールを注入し、20分間撹拌し、次いで、高真空に15分間付す。48mlの乾
燥ジメチルホルムアミドに溶解した2.55g(6.9mmol)のトリ−O−アセチル
−β−L−フコース−1−リン酸を滴下した後、反応混合物を40時間撹拌する
。反応が終了した時、溶媒を約40℃で高真空下除去し、残渣を水に取り込み、
DOWEX-Sカラム(Na+−形、7cm×35cm)で分画する。糖を含むフラクションを
合わせ、凍結乾燥する。得られる粉末(5.2g)を80mlの水に溶解し、次いで
、2100U(140μl)のウシ腸アルカリホスファターゼ(Boehringer)を添加
し、一晩、pH=7.7で撹拌する。混合物を約40℃で約50mlまで濃縮し、
250mlのエタノールで希釈する。残渣を遠心して除き、100mlのエタノール
で洗浄し、ジオキサン/水でから凍結乾燥させて、3.6g(87%)のトリ−O−
アセチル−GDP−フコースを得る。この物質の分光画像データは実施例1のも
のと同一である。
(b)500mg(660μmol)のトリ−O−アセチル−GDP−フコースを3mlの
水に溶解し、37℃で、3mlの水に溶解した250Uの予備処理したアセチルエ
ステラーゼ(75U、オレンジの皮、3.1.1.6、Sigma;約3.5時間、6×
1lの2回蒸留水に対して透析することにより予備処理)とインキュベートする
。反応混合物のpHを、0.1mの水酸化ナトリウム溶液およびpH測定装置(dos
imate)で6.8に維持する。理論的量の水酸化ナトリウム溶液消費後、溶液を1
50mlのエタノールで希釈し、沈殿を遠心して除き、25mlの水に取り込み、AM
ICONフィルター(YM−10)で濾過する。濾液を凍結乾燥し、382mg(92%)
のGDP−フコースを得る。本生産物は、実施例1により得られたものと同一で
ある。サンプルのUVスペクトルは、97%GDP−フコース含量を示す。
実施例3:キサントシン二リン酸フコース(XDP−フコース)の製造(方法B)
(a)一般的に実施例2の方法に従い、535mg(59%)のXDP−2,3,4−ト
リ−O−アセチル−β−L−フコースを白色粉末形で、667mg(1.2mmol)の
キサントシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、335mg(2.1mmol)のカ
ルボニルジイミダゾールおよび450mg(1.8mmol)のトリ−O−アセチル−β
−L−フコース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134MH
z,D2Oのppm:4.8ppm):1.20d,8.2Hz,3H;2.04s,3H;2.
17s,3H;2.23s,3H;4.01dq,〜1Hz,8.2Hz,1H;4.25
m,2H;4.37m,1H;4.68m,1H;5.21m,4H;5.95d,6.9
Hz,1H;8.09s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−1
1.30ppm,d,18.33Hz;−13.44ppm,d,18.33Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、430
mg(全収率:56%)のXDP−フコースを白色粉末形で得る。サンプルのUVス
ペクトルは100%XDP−フコース含量を示す。1H−NMR(D2O,250.
134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.23d,8.2Hz,3H;3.69m,
4H;4.21m,2H;4.37m,1H;4.52m,1H;4.68m,1H;4
.90dd,2.7Hz,8.3Hz,1H;5.93d,6.9Hz,1H;8.06s,
1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.12ppm,d,19.
5
4Hz;−12.98ppm,d,19.542Hz。
実施例4:イノシン二リン酸フコース(IDP−フコース)の製造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、632mg(70%)のIDP−2,3,4−トリ−O
−アセチル−β−L−フコースを白色粉末形で、648mg(1.2mmol)のイノシ
ン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、335mg(2.1mmol)のカルボニルジ
イミダゾールおよび450mg(1.8mmol)のトリ−O−アセチル−β−L−フコ
ース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134MHz,D2O
のppm:4.8ppm):1.21d,7.6Hz,3H;2.02s,3H;2.16s,3
H;2.24s,3H;4.15dq,1.5Hz,7.6Hz,1H;4.27m,2H
;4.42m,1H;4.57m,1H;4.69m,1H;5.15m,2H;5.3
0m,2H;6.16d,6.9Hz,1H;8.22s,1H;8.49s,1H。31P
−NMR(D2O,101.256MHz):−11.42ppm,d,19.20Hz;−
13.50ppm,d,19.20Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従い酵素的に脱アセチル化し、440mg
(全収率:59%)のIDP−フコースを白色粉末形で得る。サンプルのUVスペ
クトルは97%IDP−フコース含量を示す。1H−NMR(D2O,250.13
4MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.20d,7.6Hz,3H;3.56dq,1.
5Hz,7.6Hz,1H;3.72m,3H;4.22m,2H;4.40m,1H;
4.53m,1H;4.91dd,2.7Hz,7.6Hz,1H;6.19d,6.9Hz
,1H;8.17s,1H;8.42s,1H。31P−NMR(D2O,101.25
6MHz):−11.13ppm,d,18.60Hz;−12.93ppm,d,18.60
Hz。
実施例5:グアノシン二リン酸−D−アラビノース(GDP−アラビノース)の製
造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、553mg(85%)のGDP−2,3,4−トリ−O
−アセチル−α−D−アラビノースを白色粉末形で、451mg(0.9mmol)のグ
アノシン一リン酸トリブチルアンモニウム塩、286mg(1.7mmol)のカルボニ
ルジイミダゾールおよび370mg(1.0mmol)のトリ−O−アセチル−α−D−
アラビノース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134MHz
,
D2Oのppm:4.8ppm):2.01s,3H;2.12s,6H;3.84dd,1.4
Hz,13.1Hz,1H;4.02dd,3.4Hz,13.1Hz,1H;4.21m,2
H;4.32m,1H;4.48m,1H;4.70m,1H;5.21m,4H;5.
87d,6.9Hz,1H;8.03s,1H。31P−NMR(D2O,101.256
MHz):−11.41ppm,d,19.30Hz;−13.59ppm,d,19.30Hz
。
(b)518mgの本サンプルを、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し
、418mg(全収率:77%)のGDP−アラビノースを白色粉末形で得る。UV
スペクトルは、99%GDP−アラビノース含量を確認する。1H−NMR(D2
O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):3.69m,3H;3.94m
,2H;4.22m,2H;4.35m,1H;4.52m,1H;4.75m,2H;
4.82m,1H;5.89d,6.9Hz,1H;8.09s,1H。31P−NMR(D2
O,101.256MHz):−11.10ppm,d,16.6Hz;−12.85ppm
,d,16.6Hz
実施例6:グアノシン二リン酸−β−L−ガラクトース(GDP−ガラクトース)
の製造(方法B)
(a)一般的に実施例2の方法に従って、575mg(71%)のGDP−2,3,4,
6−テトラ−O−アセチル−β−L−ガラクトースを白色粉末形で、507mg(
0.9mmol)のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、322mg(1.9
mmol)のカルボニルジイミダゾールおよび500mg(1.2mmol)のテトラ−O−ア
セチル−1−L−ガラクトース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,2
50.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.98s,3H;2.02s,3H
;2.13s,3H;2.16s,3H;4.16m,5H;4.22m,1H;4.4
9m,1H;5.11m,1H;5.30m,1H;5.40m,1H;5.89d,6.
9Hz,1H;8.09s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−
11.34ppm,d,18.6Hz;−13.69ppm,d,18.6Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、294
mg(全収率:46%)のGDP−ガラクトースを白色粉末形で得る。本サンプルの
UVスペクトルは、100%GDP−ガラクトース含量を確認する。1H−NM
R(D2O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):3.63m,5H;3.
92d,2.8Hz,1H;4.27m,2H;4.49m,1H;4.58m,1H;
4.95t,7.5Hz,1H;5.95d,6.9Hz,1H;8.12s,1H。31P
−NMR(D2O,101.256MHz):−11.19ppm,d,20.2Hz;−1
2.89ppm,d,20.2Hz。13C−NMR(D2O,62.896MHz,ppmで)
:63.30;67.45d;70.70;72.48;73.32d;74.36;7
5.92;77.96;85.80d;88.88;100.58d;118.19;1
39.53;153.77;155.94;160.91。
実施例7:グアノシン二リン酸−β−L−グルコース(GDP−グルコース)の製
造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、640mg(80%)のGDP−2,3,4,6−テト
ラ−O−アセチル−β−L−グルコースを白色粉末形で、507mg(0.9mmol)
のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、322mg(1.9mmol)のカ
ルボニルジイミダゾールおよび500mg(1.2mmol)のテトラ−O−アセチル−
β−L−グルコース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134
MHz,D2Oのppm:4.8ppm):2.04s,3H;2.05s,3H;2.08s,
3H;2.13s,3H;3.94m,1H;4.10dd,1.4Hz,12.4Hz,
1H;4.23m,3H;4.32m,1H;4.49dd,1.3Hz,5.5Hz,1
H;5.00t,7.6Hz,1H;5.08t,8.9Hz,1H;5.25t,8.9
Hz,1H;5.31t,8.2Hz,1H;5.92d,6.9Hz,1H;8.11s
,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.39ppm,d,19
.4Hz;−13.86ppm,d,19.4Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、290
mg(全収率:46%)のGDP−グルコースを白色粉末形で得る。本サンプルのU
Vスペクトルは、100%GDP−グルコース含量を確認する。1H−NMR(D2
O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):3.34m,2H;3.46m
,2H;3.67dd,6.2Hz,12.4Hz,1H;3.85dd,1.4Hz,12
.4Hz,1H;4.21m,2H;4.43m,1H;4.51m,1H;4.75t,
5.5Hz,1H;4.94t,6.9Hz,1H;5.87d,6.9Hz,1H;8.
06s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.20ppm,d
,20.1Hz;−12.94ppm,d,20.1Hz。13C−NMR(D2O,62.8
96MHz,ppmで):63.28;67.84d;71.93;72.93;76.1
3d;76.27;77.67;79.01;86.26d;89.32;100.42
d;118.68;140.03;154.23;156.39;161.40。
実施例8:グアノシン二リン酸−2−フルオロフコース(GDP−2F−フコー
ス)の製造(方法B)
(a)一般的に実施例2の方法に従って、274mg(100%)のGDP−3,4−
ジ−O−アセチル−2−フルオロ−β−L−フコースを白色粉末形で、197mg
(0.4mmol)のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、125mg(0.
7mmol)のカルボニルジイミダゾールおよび150mg(0.4mmol)のジ−O−アセ
チル−2−フルオロ−β−L−フコース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2
O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.19d,7.6Hz,3H
;2.06s,3H;2.21s,3H;4.41q,7.6Hz,1H;4.23m,2
H;4.35m,1H;4.53m,2H;4.76t,5.5Hz,1H;5.37m,
3H;5.93d,6.9Hz,1H;8.11s,1H。31P−NMR(D2O,10
1.256MHz):−11.05ppm,d,19.2Hz;−13.19ppm,d,19.
2Hz
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、191
mg(全収率:80%)のGDP−2F−グルコースを白色粉末形で得る。本サンプ
ルのUVスペクトルは、100%生産物含量を確認する。1H−NMR(D2O,
250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.21d,7.6Hz,3H;3.
79m,2H;4.00m,1H;4.21m,2H;4.26m,1H;4.35m,
1H;4.50m,2H;5.16m,1H;5.91d,6.9Hz,1H;8.09s
,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.29ppm,d,19
.5Hz;−13.23ppm,d,19.5Hz。13C−NMR(D2O,100.62M
Hz,ppmで):65.61d;70.78;71.54d;71.99d;72.05;
74.00;84.10d;87.13;90.94dd;95.78dd;116.48
;137.85;152.04;154.29;159.31。19F−NMR(D6−
DMSO,235.36MHz):−205.79ppm。
実施例9:ウリジン二リン酸ガラクトース(UDP−ガラクトース)の製造(方法
B)
(a)実施例2の方法に従って、350mg(55%)のUDP−2,3,4,6−テト
ラ−O−アセチル−α−D−ガラクトースを白色粉末形で、426mg(0.8mmol
)のウリジン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、225mg(1.4mmol)のカル
ボニルジイミダゾールおよび350mg(0.8mmol)のテトラ−O−アセチル−α
−D−ガラクトース−1−リン酸から得る。ここで、生産物はエタノール/水相
に可溶性のままであるため、不純物を沈殿物として遠心除去する。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、133
mg(全収率:27%)のUDP−ガラクトースを白色粉末形で得る。1H−NMR
は、本化合物についての参考文献のものと対応する[Heidlas et al.,J.Org
.Chem.57:146-151(1992)]。
実施例10:グアノシン三リン酸フコース(GTP−フコース)の製造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、240mg(60%)のGTP−2,3,4−トリ−O
−アセチル−β−L−フコースを白色粉末形で、300mg(0.5mmol)のグアノ
シン二リン酸のトリブチルアンモニウム塩、165mg(1.0mmol)のカルボニル
ジイミダゾールおよび221mg(0.6mmol)のトリ−O−アセチル−β−L−フ
コース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134MHz,D2O
のppm:4.8ppm):1.18d,7.6Hz,3H;1.98s,3H;2.12s,3
H;2.19s,3H;4.10q,7.6Hz,1H;4.25m,2H;4.35m,
1H;4.51m,1H;4.75m,1H;5.20m,4H;5.87d,6.9Hz
,1H;8.06s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.
16ppm,d,17.7Hz;−13.28ppm,d,16.0Hz;−22.72ppm,b
road t,16.5Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、133
mg(全収率:35%)のGTP−フコースを白色粉末形で得る。本サンプルのUV
スペクトルは、98%生産物含量を確認する。1H−NMR(D2O,250.13
4MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.26d,7.6Hz,3H;3.66m,3H
;3.71q,7.6Hz,1H;4.27m,2H;4.49m,1H;4.58m,1
H;4.97m,1H;5.92d,6.9Hz,1H;8.01s,1H。31P−NM
R(D2O,101.256MHz):−11.53ppm,d,17.6Hz;−13.0
9ppm,d,16.4Hz;−22.77ppm,t,16.8Hz。13C−NMR(D2O
,100.61MHz,ppmで):15.72;65.63d;70.65;71.25d
;7143;71.76;72.73;74.06;84.00d;86.96;98
.40d;119.33;136.88;151.50;153.60;159.00
。
実施例11:グアノシン二リン酸−α−D−マンノース(GDP−マンノース)の
製造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、631mg(79%)のGDP−2,3,4,6−テト
ラ−O−アセチル−α−D−マンノースを白色粉末形で、508mg(1.0mmol)
のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、323mg(1.9mmol)のカ
ルボニルジイミダゾールおよび500mg(1.2mmol)のテトラ−O−アセチル−
α−D−マンノース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134
MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.99s,3H;2.07s,3H;2.12s,
3H;2.19s,3H;4.03d,11.0Hz,1H;4.25m,2H;4.3
7m,3H;4.50m,1H;4.77t,6.9Hz,1H;5.25t,9.6Hz
,1H;5.38dd,2.8Hz,10.3Hz,1H;5.61d,10.3Hz,1
H;5.94d,6.9Hz,1H;8.13s,1H。31P−NMR(D2O,101
.256MHz):−11.42ppm,d,20.2Hz;−14.46ppm,d,20.2
Hz。
(b)サンプル全部を、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、479
mg(全収率:75%)のGDP−マンノースを白色粉末形で得る。1H−NMR(D2
O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):3.83m,5H;4.09m
,1H;4.25m,2H;4.49m,1H;4.52t,4.2Hz,1H;5.5
2
dd,2.1Hz,7.6Hz,1H;5.94d,6.9Hz,1H;8.10s,1H。31
P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.16ppm,d,20.2Hz;
−13.74ppm,d,20.2Hz。13C−NMR(D2O,62.896MHz,ppm
で):63.35;67.84d;72.43;72.91d;72.94;76.29
;76.41;86.22d;89.47;99.03d;118.73;154.19
;156.48;161.48。
実施例12:グアノシン二リン酸−β−L−2−アミノ−フコース(GDP−2
−NH2−フコース)の製造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、300mg(56%)のGDP−2−アミノ−3,4
−ジ−O−アセチル−β−L−フコースを白色粉末形で、398mg(0.8mmol)
のグアノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、252mg(1.6mmol)のカ
ルボニルジイミダゾールおよび300mg(0.9mmol)の2−アミノ−3,4−ジ−
O−アセチル−β−L−フコース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,
250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.19d,7.6Hz,3H;2.
09s,3H;2.22s,3H;3.01dd,8.3Hz,10.3Hz,1H;4.
00q,7.6Hz,1H;4.28m,2H;4.49m,1H;4.56m,1H;
4.91m,1H;5.08t,8.3Hz,1H;5.21d,3.4Hz,1H;5.
97d,6.9Hz,1H;8.14s,1H。31P−NMR(D2O,101.256
MHz):−11.30ppm,d,20.3Hz;−13.14ppm,d,20.3Hz。
(b)85mgの本サンプルを、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し、
70mg(94%)のGDP−2−NH2−フコースを白色粉末形で得る。本サンプ
ルのUVスペクトルは、95%生産物含量を確認する。1H−NMR(D2O,2
50.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.22d,7.6Hz,3H;3.1
7dd,8.3Hz,10.3Hz,1H;3.68m,3H;4.20m,2H;4.5
0m,1H;4.71m,1H;5.17t,6.9Hz,1H;5.88d,6.9Hz
,1H;8.06s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−11.
19ppm,d,20.3Hz;−13.57ppm,d,20.3Hz。
実施例13:グアノシン二リン酸−β−D−ローデオース(GDP−ローデオー
ス)の製造(方法B)
(a)実施例2の方法に従って、750mg(93%)のGDP−2,3,4−トリ−O
−アセチル−β−D−ローデオースを白色粉末形で、586mg(1.0mmol)のグ
アノシン一リン酸のトリブチルアンモニウム塩、372mg(1.7mol)のカルボニ
ルジイミダゾールおよび500mg(1.3mmol)のトリ−O−アセチル−β−D−
ローデオース−1−リン酸から得る。1H−NMR(D2O,250.134MHz
,D2Oのppm:4.8ppm):1.19d,7.6Hz,3H;2.03s,3H;2.1
4s,3H;2.23s,3H;4.07dq,〜1Hz,7.6Hz,1H;4.22m
,2H;4.38m,1H;4.54m,1H;5.24m,4H;5.95d,6.9
Hz,1H;8.02s,1H。31P−NMR(D2O,101.256MHz):−1
1.30ppm,d,18.5Hz;−13.40ppm,d,18.5Hz。
(b)740mgの本サンプルを、実施例2の方法に従って酵素的に脱アセチル化し
、289mg(全収率:43%)のGDP−ローデオースを白色粉末形で得る。1H
−NMR(D2O,250.134MHz,D2Oのppm:4.8ppm):1.23d,7.
6Hz,3H;3.62m,3H;3.75q,7.6Hz,1H;4.20m,2H;
4.34m,1H;4.52m,1H;4.76m,1H;4.91t,6.9Hz,1H
;5.93d,6.9Hz,1H;8.05s,1H。31P−NMR(D2O,101.
256MHz):−10.89ppm,d,20.1Hz;−12.72ppm,d,20.1
Hz。
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
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G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM
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