JPH10509388A - 印刷用マルチジェット発生器および印刷媒体に印刷液を配置するためのシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 印刷媒体上に印刷液の小滴を選択的に配置する工程において用いられる小滴を生成するためのマルチジェット発生器。この発生器は、印刷液の供給を提供するための印刷液分配部材（１８）と、印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータ（４０）の配列とを含み、このジェット・ジェネレータ（４０）の配列は、印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの配列への印刷液の流れを調節し、印刷液の噴流が小滴（２０）へ分解するのを制御する。生成された小滴は、帯電されて偏向されることによって、紙、ガラスあるいは金属等の印刷媒体に、選択的に衝突し印刷工程を完了する。

Description

【発明の詳細な説明】 印刷用マルチジェット発生器および印刷媒体に印刷液を配置するためのシス テム発明の分野及び背景 本発明は、種々の面上に印刷する、マークを付ける、あるいは描画するため に、コンピュータ等の出力装置として用いられるインクジェットプリンタ等に有 用なマルチジェット発生器に関する。 インクジェット・プリンタは、種々の物理的な力を用いて、貯留器からイン ク少量を取り出し、それらを小滴に変え、それらを空気中を通して、紙、スライ ド、金属、ガラス等の印刷媒体へ送る。小滴を生成し輸送するために用いられる 力は、機械的、静電気的、あるいは熱的なものであってもよい。インクジェット プリンタは、連続ジェット型と応需性（オンデマンド）滴下型との二つの主なカ テゴリーに分類される。 両タイプの装置においては、小滴は、印刷液すなわちインクをノズルを介し て押し流すことによって形成される。それゆえ、インクジェット装置は、通常、 非常に小さな径を有する複数のノズルを含む。応需性滴下型システムでは、通常 、３０から１００μｍまでの開口を有するノズルを用いる。同じようにノズルを 用いるが、ヘルツ連続ジェット型システムにおいては、通常、１０から２０μｍ の開口を有するノズルが用いられる。 このようなノズルを使用しているので、多くの問題が発生する。少なからぬ 問題としては、ノズルの詰まりがかなり高い頻度で発生する、製造コストが高い 、厳しい許容値が要求される、材料が厳しく限定されるなどがあげられる。ノズ ルの詰まりを避け、このようなプリンターの信 頼性を増すためには、インク中の汚損粒子がノズルに到達しないように、高度に 微細なフィルターがノズルの上流に用いられなくてはならない。さらに、プリン ターが使用されていない間に、固化沈澱物によっても詰まりが生じるので、イン クをノズル内で乾燥させてはいけない。この問題を避けるために、ペーパーと接 触するまでインクが乾かないようにとインクに保湿剤が用いられる。また、菌類 あるいはバクテリアによってもノズルの詰まりが発生するので、インクには、微 生物の成長を防ぐために殺菌剤が含まれねばならない。必要とされる色のインク を得るためには、適当な染料もインクに加えられなくてはならないが、顔料はノ ズルあるいはフィルターを詰まらせるので用いられない。もしインクがノズルで 乾くことがあっても、染料が保湿剤とが固化沈澱物を形成してはならないので、 染料の選択は重要である。 インクに関するこれらすべての厳密な要求項目は、ノズルを有するインクジ ェット・システムに用いられ得るインクの選択を制限するので、適切な特徴を有 するインクを見つけるためにインク成分を最適化する多くの研究がなされている 。通常、適当であるとされるインクには、一連の特性に関しての多くのトレード オフや譲歩がある。 従来のシステムに使用される微細なノズルを含まないことで、システムの信 頼性を減少させることなく多種多様なインク成分で作動が可能なインクジェット システムを実現する必要が広く認められると共に、そのようなインクジェットシ ステムをもつことは非常に有利である。発明の要約 本発明は、マルチジェット発生器及びインクジェット・プリント・エンジン を提供することによって現在既知のインクジェット・プリンタ構成の欠点を解決 するものである。この発生器は、小さな径のノズルを含 まないため、同種の既知の機器よりも信頼性が高い。また、ノズルが無ければ、 小さな径のノズルからなる同種の装置では今まで使用できなかった紫外線硬化性 色素を含むインク等の多種多様な印刷液を用いることが可能である。 本発明は、インクジェット・プリンタの一部として用いることが可能な、小 滴を生成する新奇な装置を開示する。本発明によるマルチジェット発生器は、小 さな径の一連のノズルを利用する代わりに、一連のジェット・ジェネレータを含 み、印刷液の流れのマトリックスを提供する。流れの各々は、印刷液の噴流へと 収束し、順に、制御された状態で小滴へと分解される。そのように形成された小 滴は、従来の連続性インクジェット・プリンターで用いられる方法に類似した方 法で非接触印刷に用いられることが可能である。 それゆえ、本発明の第一の局面によれば、印刷媒体に印刷液の小滴を選択的 に配置する工程において用いられるためのマルチジェット発生器が提供される。 このマルチジェット発生器は、（ａ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平 な印刷液分配部材と、（ｂ）この印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ ジェネレータの配列と、（ｃ）印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの配 列への印刷液の流れを調節するために印刷液分配部材内に旋回可能に配置された ドロップ・ジェネレータとからなる。なお、これらジェット・ジェネレータの各 々は、印刷液分配部材に流体的に繋がった入口と、印刷媒体上に配置された出口 とがある少なくとも一つの経路を有する。これら経路の各々は印刷液の噴流を提 供し、ドロップ・ジェネレータは、噴流が小滴へ分解するのを制御する。 本発明の特徴によれば、ジェット・ジェネレータの各々は、前部境界ディス ク、中間ディスク及び後部境界ディスクを有するディスクのセッ トからなり、ディスクの各セットがかなり垂直な平面を形成し、その平面上に印 刷液の少なくとも一つの噴流が発生する。 また、本発明の特徴によれば、中間ディスクは、複数の分離したディスク・ セクションからなり、複数のディスク・セクションの各々は、端面の対を有し、 対向する端面の対が経路を定める。 さらに、本発明の特徴によれば、第一のジェット・ジェネレータの前部境界 ディスクが第二のジェット・ジェネレータの後部境界ディスクとして機能する。 さらに、本発明の特徴によれば、境界ディスクの各々は先端部分を含む。 また、本発明の特徴によれば、ドロップ・ジェネレータは、インク供給に関 わる内部容積を区画し、一連のほぼ放射状の穿孔を有するため、印刷液は、ドロ ップ・ジェネレータを介してインク供給源から印刷液分配部材へ流れる。 さらに、本発明の特徴によれば、ドロップ・ジェネレータは、歯車状の断面 形状を有し、一定な角速度で駆動されるときに、印刷液分配部材からジェット・ ジェネレータの配列へ流れる印刷液に規則的な液圧脈動を提供する。 また、本発明の特徴によれば、この規則的な液圧脈動は、同期した噴流の小 滴への分解を促す。 さらに、本発明の特徴によれば、各経路は、団子状に形成され、出口からの 噴流の流出を制御する狭い首部を有する。 また、本発明の特徴によれば、各噴流は、ジェット・ジェネレータの下流、 仮想先端で発生する。 本発明の第二の局面によれば、印刷媒体に印刷液を配置するシステムが提供 される。このシステムは、（ａ）印刷媒体上に印刷液の小滴を選 択的に配置する工程において用いる小滴を生成するためのマルチドロップ発生器 と、（ｂ）小滴に選択的に電荷を与えるための帯電手段と、（ｃ）選択的に帯電 された小滴を偏向するための偏向手段とからなり、マルチドロップ発生器は、（ ｉ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平な印刷液分配部材と、（ii）この 印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータの配列と、（iii） 印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの配列への印刷液の流れを調節する ために印刷液分配部材内に旋回可能に配置されたドロップ・ジェネレータとから なる。なお、ジェット・ジェネレータの各々は、印刷液分配部材に流体的に繋が った入口と、印刷媒体上に配置された出口とがある少なくとも一つの経路を有す る。経路の各々は印刷液の噴流を提供し、ドロップ・ジェネレータは、噴流が小 滴へ分解するのを制御する。また、本発明の特徴によれば、ジェット・ジェネレ ータの各々は、前部境界ディスク、中間ディスク及び後部境界ディスクからなる ディスクのセットを含む。ディスクの各セットは、かなり垂直な平面を形成し、 その平面上に印刷液の少なくとも一つの噴流が発生する。 さらに、本発明の特徴によれば、中間ディスクは、複数の分離したディスク ・セクションからなり、これら複数の分離したディスク・セクションの各々が一 対の端面を有するため、一対の対向する端面が経路を定める。 また、本発明の特徴によれば、第一のジェット・ジェネレータの前部境界デ ィスクは、第二のジェット・ジェネレータの後部境界ディスクとして機能する。 さらに、本発明の特徴によれば、境界ディスクの各々は、先端部分を有する 。 また、本発明の特徴によれば、ドロップ・ジェネレータは、インク供 給源に繋がる内部容積を区画すると共に、一連のほぼ放射状の穿孔を有するため 、印刷液は、このドロップ・ジェネレータを介してインク供給源から印刷液分配 部材へ流れる。 さらに、本発明の特徴によれば、ドロップ・ジェネレータは、歯車状の断面 形状を有し、一定な角速度で駆動されるときに、印刷液分配部材からジェット・ ジェネレータの配列へ流れる印刷液に規則的な液圧脈動を提供する。 また、本発明の特徴によれば、規則的な液圧脈動は、同期した噴流の小滴へ の分解を促す。 さらに、本発明の特徴によれば、経路の各々は、団子状に形成され、出口か らの噴流の流出を制御するための狭い首部を有する。 また、本発明の特徴によれば、各噴流は、ジェット・ジェネレータの下流、 仮想先端において発生する。 さらに、本発明の特徴によれば、印刷液は紫外線硬化性インクである。 また、本発明の特徴によれば、システムは、さらに、紫外線硬化性インクの 小滴を硬化するための中間手段からなる。 さらに、本発明の特徴によれば、帯電手段はコロナ・ニードルの配列を含む 。 また、本発明の特徴によれば、帯電手段はイオン源の配列を含む。 さらに、本発明の特徴によれば、偏向手段は、静電的に帯電するプレートを 含む。 また、本発明の特徴によれば、システムは、解像度を上げるため、ずらして 配置された一連のシステムから構成される。 さらに、本発明の特徴によれば、システムは、複数色での印刷を可能にする ため、ずらして配置された一連のシステムから構成される。 また、本発明の特徴によれば、印刷媒体上で、まだ乾いていない二つ、 あるいはそれ以上の異なる色の小滴が接触し混ざることによって色が作り出され る。 さらに、本発明の特徴によれば、印刷媒体上に、異なる色の小滴を各々に近 接させて配置することによって新しい色が認識される、すなわち色が作られる。 本発明の第三の局面によれば、印刷媒体上に印刷液を配置するシステムが提 供される。このシステムは、（ａ）印刷媒体上に印刷液の小滴を選択的に配置す る工程において用いる小滴を生成するためのマルチドロップ発生器と、（ｂ）印 刷液に電荷を与えるための帯電手段と、（ｃ）電荷を有するる小滴を偏向するた めの、選択的に変調可能な偏向手段とからなり、マルチドロップ発生器は、（ｉ ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平な印刷液分配部材と、（ii）この印 刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータの配列と、（iii）印 刷液分配部材からジェット・ジェネレータの配列への印刷液の流れを調節するた めに印刷液分配部材内に旋回可能に配置されたドロップ・ジェネレータとからな る。なお、ジェット・ジェネレータの各々は、印刷液分配部材に流体的に繋がっ た入口と、印刷媒体上に配置された出口とがある少なくとも一つの経路を有する 。経路の各々は印刷液の噴流を提供し、ドロップ・ジェネレータは、噴流が小滴 へ分解するのを制御する。図面の簡単な説明 本発明を、一例として、添付図面を参照してここに説明する。 図１は、本発明により構成されて作動可能なマルチジェット発生器の斜視図 である。 図２は、図１のマルチジェット発生器の部分的に分解されたジェット・ジェ ネレータの正面図である。 図３は、圧力 P2 を時間の関数として表すグラフである。 図４は、一連の小滴へと分散する前に、印刷液の噴流へと収束する印刷液の 流れの拡大図である。 図５ａ及び５ｂは、図１のマルチジェット発生器に有用な充電及び偏向装置 の二つの代替的な実施例を示す。 図６は、図１のマルチジェット発生器を含む全プリンターシステムの概要図 である。実施例の説明 本発明は、インクジェット印刷において用いられるマルチジェット発生器に 関する。特に、本発明は、ノズルを利用せずに、多種多様な印刷媒体上に多種多 様な印刷液を用い印刷する、マークを付けるあるいは描画するための印刷液の小 滴からなる同期マトリックスを生成可能なマルチジェット発生器に関する。 本発明によるマルチジェット発生器の原理及び作動は、図面と添付の説明と を参照することによってより良く理解できる。 さて、図面に参照すると、図１及び２は、本発明により構成され作動可能な 、概略的に１０と符号が付けられたマルチジェット発生器を示す。一般的に、マ ルチジェット発生器１０は、印刷液を噴流へと収束し、順に印刷液を小滴へと分 解する流れを提供する。これは、選択可能な帯電及び印刷媒体への、あるいは印 刷媒体から離れる方向への偏向を含む所望の従来の方法で処置を行うためである 。本発明の文脈において、用語「印刷液の流れ」、以下「流れ」は、印刷液の二 次元的な流れを意味し、それに対して、用語「印刷液の噴流」、以下「噴流」は 、印刷液の一方向の流れを意味する。明確にするために、図示のようにデカルト 座標系が提供されている。 それゆえ、マルチジェット発生器１０は、ｙ方向にかなり一様なジェット・ ジェネレータ１４の配列に印刷液を提供するための、それに沿ってかなり水平に 配置された印刷液分配部材１２を含む。ジェット・ジェネレータ１４の各々は、 垂直な平面として作用し、この面上で、いくつかの流れ、この場合には二つの流 れ１５が垂直な噴流１６へと収束する。マルチジェット発生器１０は、さらに、 印刷液分配部材１２内で旋回駆動されるドロップ・ジェネレータ１８を含み、こ れによって印刷液分配部材１２からジェット・ジェネレータ１４への印刷液の流 れに液圧脈動を提供し、噴流１６の分解を小滴２０の同期マトリックスへと制御 する。 印刷液分配部材１２は、円筒状の断面形状を有するパイプとして構成され、 例えば、金属、プラスチック等の手ごろな材料から造られる。印刷液分配部材１ ２の内部とジェット・ジェネレータ１４との間は、部材１２の低端に同軸に連な る一連のスロット２２を介して繋がっている。スロット２２の数は、各ジェット ・ジェネレータ１４によって提供される噴流の数に対応する。この噴流数は、下 記に明らかにされる理由のため、偶数であることが好ましい。この場合、スロッ ト２２は、印刷液分配部材１２の低端に対して等しく配置される。噴流数が奇数 である場合は、印刷液分配部材１２の低端に沿って連なる追加のスロット２２が 設けられる。スロット２２は、通常、０．５ｍｍから２ｍｍの幅を有する。代替 的に、スロット２２は、アパーチャによって置き代えてもよい。 概して、各ジェット・ジェネレータ１４は、複数の分離したディスク・セク ションに分かれた中間ディスク２６によって間隔が決められた境界ディスク２４ からなるディスクのセットを含む。明確にするために、図１の最初と最後のジェ ット・ジェネレータ１４にはっきりと表されているように、各ジェット・ジェネ レータ１４の境界ディスク２４は、前部境界ディスク２４’と後部境界ディスク ２４”として示されることも できる。しかしながら、第一のジェット・ジェネレータ１４の前部境界ディスク ２４’は、隣接した第二のジェット・ジェネレータ１４の後部境界ディスク２４ ”として用いられ、実際、ジェット・ジェネレータ１４の配列は、境界ディスク ２４と中間ディスク２６とが交互に積み重なるのが好ましい。 境界ディスク２４と中間ディスク２６の分離したディスク・セクションとは 、ディスク・セクションの対向する端面の対の間に経路２８を定めるために用い られる。この例においては、各中間ディスク２６は、第一のディスク・セクショ ン３０と第二のディスク・セクション３２とを含み、二つの経路２８を定めるた めに二つ対の対向面を提供している。各経路２８は、スロット２２の一つと位置 が合う入口３４と、流れ１５が排出する注ぎ口として機能する出口３６とを有す る。各経路２８は、団子のような形で、上部に狭い首部３８を有する。 さらに、境界ディスク２４には先端部分４０が設けられている。それゆえ、 本例においては、各境界ディスク２４には二つの先端部分４０がある。先端部分 ４０における流れ１５の幅は、先端部分４０が流れ１５に与える影響が無視でき る程度に先端部分４０のみの幅よりも大きいことに注意すべきである。しかしな がら、噴流１６の一方向、ｚ方向への流れの始まり及び次に続く小滴２０への分 解が、先端部分４０の下流であり、ジェット・ジェネレータ１４の外部である、 先端部分４０の下流に所定距離を置く仮想先端４２領域で起こること、それがマ ルチジェット発生器１０の特徴であることにも注意すべきである。 ドロップ・ジェネレータ１８は、外部源（図示せず）から印刷液の供給を受 けるための内部４４と、印刷液分配部材１２とほぼ同軸に延びる歯４６と、歯４ ６の間に区画される供給量の定量室５０と内部４４とを流体的につなぐ放射状の 穿孔あるいはスロット４８とを有する中空のギ アシャフトとして構成される。それゆえ、一定の角速度でドロップ・ジェネレー タ１８を運転することで、歯４６が入口３４上を移動するときに一定な液圧脈動 が得られる。マルチジェット発生器１０の、適用に応じて変更され得るドロップ ・ジェネレータ１８の特徴としては、歯４６の数、歯４６の幅、歯４６と印刷液 分配部材１２との間のクリアランス等があげられるが、これらに限定されるもの ではない。特に、歯４６と印刷液分配部材１２の内径との間のクリアランスは次 の関係にある。ε＞κ（Ｌｓ＋Ｌｒ）上式において、κは、通常、κ＝１．５程 度の値の定数であり、Ｌｓは静的境界層で、Ｌｒは動的境界層である。 全体的に、マルチジェット発生器１０は、印刷液の供給率、各ジェット・ジ ェネレータ１４上に発生する噴流１６の数、印刷液の種類、印刷媒体の種類等を 含む多数の作動パラメータを満足させるように設計される。マルチジェット発生 器１０の構造及び作動を決定する仕様には次のことが含まれる。第一に、噴流１ ６の小滴２０への分解を同期させるように歯４６が各入口３４上を同時に移動す ること、第二に、噴流１６が印刷液の連続的な流れとなるように経路２８が連続 的に印刷液で満たされること、第三に、入口３４上での歯４６の移動が、種々の 応用に必要とされる小滴２０の形成を調節するに十分な振幅及び周期の液圧脈動 を提供すること、第四に、歯４６が入口３４上を移動するときに入口３４を介し て注入される印刷液の剪断応力場が、印刷液のワーク・エンベロープ（work env elope）内にあること、そして、第五に、ドロップ・ジェネレータ１８の運転に よって発生する熱が印刷液に悪影響を与えないことである。 さて、図３及び４を参照して、小滴２０の同期マトリックスを提供するため のマルチジェット発生器１０の作用を説明する。ドロップ・ジェネレータ１８の 内部４４に印刷液が供給される。この印刷液はスロット ４８を介して供給量定量室５０内へ、そして経路２８へと流れる。ドロップ・ジ ェネレータ１８の内部４４の圧力をＰ0、印刷液分配部材１２内の圧力をＰ1及び スロット２２における圧力をＰ2とすると、Ｐ2は次の関係によって表される。Ｐ 2＝Ｐ0−ΔＰ01−ΔＰ12 それゆえ、ドロップ・ジェネレータ１８が一定の角速度ωで回転するとき、 圧力Ｐ2は次の方程式によって表される。 Ｐ2＝Ｐ0−ΔＰ01−ｆ1・sin(ωt)・ｆ2(ε,μ,γ) この場合、μ及びγは 、印刷液の各々粘度及び動濃度で、ｆ1は、ｆ1＝ｆ(Ｔs，ａ，ｂ，ｈ，Ｒ)の関 係に従うドロップ・ジェネレータ１８の幾何学的関数である。この場合、Ｔsは スロット幅、ａは供給量定量室５０の底部の長さ、ｂは歯４６の長さ、ｈは歯４ ６の高さ、及びＲは供給量定量室５０の底部におけるドロップ・ジェネレータ１ ８の半径である。全体的に、図３は、ｈ＝ａ及びｂ／ａ＝２の場合における時間 の関数として圧力が変化する状態を表す。通常、インクは小さな速度で流れ、流 量率曲線は本質的に圧力P2のグラフと全く同一になる。それゆえ、流れ１５の流 量率は、次の方程式によって表される周波数で周期的な変化を示す。ｆ(Ｐ2)＝ ｎωこの場合のｎは歯数である。 流れ１５は、境界ディスク２４の特性によって経路２８内においてｘ方向及 びｚ方向に沿う二次元的な流れになる。この流れのｘ方向成分は、流れ１５を出 口３６からの流出後に分散させる。通常、流れのｚ方向成分は、そのｘ方向成分 の約１０倍である。周期的な液圧脈動によって流れ１５に脈動が起こされ、流れ １５が下方へ移動するにつれ、流れ１５は単に収束し、仮想先端４２における先 端部分４０からの遊離後にｚ軸に沿う一方向の流れになる。それ以降、噴流１６ は、ｆ(Ｐ2)に等しい滴発生率で小滴２０へと分かれる。 さて、図５ａ及び５ｂを参照する。小滴２０が形成されたら、従来の 技術を用いて、印刷媒体へ、あるいはそれから離れる方向へ小滴を導くように処 理する。この技術として、二つの技術がよく知られている。第一の技術によれば 、小滴２０は、情報に基づく方法において帯電され、それから静電的にそらされ る。このような帯電は、コロナ・ニードルの配列、イオン源の配列等の支援のも とに発生させることが可能である。これに対して、第二の技術によれば、各小滴 は、帯電され、それから情報に基づく方法において要求通りにそらされる、ある いはそらされない。 さて、図５ａを参照する。これは、例えば、横方向に同一の電荷源を含む領 域５２を介して通過させる、あるいは代替的に滴形成の前にインクを帯電するこ とによって全ての小滴２０が一様に帯電される設定を例示するものである。この 場合、情報に基づく偏向は、電極の配列５４によって個別に各小滴に対して決定 される電場によって達成される。各電極の電圧は、電圧コントローラ５６によっ て情報の入力に応じて情報に基づく方法で制御される。 さて、図５ｂを参照する。これは、情報に基づく方法、例えば、情報入力に 応じてコントローラ６０によって制御され個々に帯電する電極の配列５８によっ て小滴が帯電される設定を例示するものである。この場合、偏向は、マルチジェ ット発生器１０に沿って延びる長い電極対６２及び６４によって生成される同一 な電場によって起こされる。 さて、図６を参照する。概略的に１００と符号が付けられた四色カラー印刷 システムが、４色ＣＭＹＫに対する、各々４つのカラーヘッド１０２，１０４， １０６及び１０８を含む。通常、各マルチジェット発生器１０は、５０ｄｐｉを 提供することができるので、各カラーヘッド、例えば、カラーヘッド１０２は、 ２００ｄｐｉの高解像度シングルパス・カラー印刷を行う四つのずれて配置され たマルチジェット発生器１０からなる。印刷媒体は、各カラーヘッド１０２，１ ０４，１０６ 及び１０８間において、望ましい方法で処理されてもよい。例えば、紫外線硬化 性インクが用いられる場合、用いられたばかりの色を定着させるために各カラー ・ヘッドの後にＵＶランプ１１０を配置してもよい。さらに、各カラーヘッド１ ０２，１０４，１０６及び１０８は、インクタンク１１２が設けられていること を特徴とし、インクが、マルチジェット発生器１０の各々にインクを送るマニホ ールド１１６内へポンプ１１４によって循環する。システムは、また、印刷媒体 フィーダ１１８を含む。 印刷システム１００は、紙、ガラス、プラスチック、金属及び生地を含む種 々の印刷媒体上に印刷する、マークを付ける、あるいは描画するために用いられ る。印刷システム１００は、マルチジェット発生器の静的性質から、特に、大き なフォーマット印刷を行うのに適している。種々の色を作るいかなる適当な方法 を用いることも可能である。図６の紫外線硬化性のアレンジメントに特にふさわ しい、一つのそのようなやり方としては、中間調色技術において行われるように 、見る人の心に視覚的に全く新しい色を形成するように種々の色の点に近接させ て異なった色の点を配置することである。 概して、本発明のマルチジェット発生器を統合する印刷システム１００は、 従来の連続性インクジェット技術に優る複数の利点を提供する。第一に、本発明 によるマルチジェット発生器は、動く部分をほとんどを含まないため、先天的に 信頼性が高く故障もない。また、高精度のノズルを複数必要とする従来の装置に 比べ低コストで製造可能である。第二に、マルチジェット発生器には、隣接する 噴流間で、ほとんどあるいは全く相互作用を起こさないという特徴がある。第三 に、マルチジェット発生器は、多くの種類の印刷液を用いることが可能である。 これらの印刷液には、感光性重合体（紫外線硬化性インク等）も含まれる。感光 性 重合体は、剪断感応性があり、通常、重合あるいは劣化なしに小さな径のノズル を通過させることは不可能である。さらに、印刷液の供給は、かなり単純化され ている。 本発明は、一つの実施例に関して説明されたが、本発明について多くの変形、 改良及び他の適用が行なわれ得ることは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，Ｕ Ｇ)，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ， ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．印刷媒体に印刷液の小滴を選択的に配置する工程において用いられるマルチ ジェット発生器であって、 （ａ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平な印刷液分配部材と、 （ｂ）この印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータの配列 と、 （ｃ）前記印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの前記配列への印刷液 の流れを調節するために前記印刷液分配部材内に旋回可能に配置されたドロップ ・ジェネレータとからなり、 前記ジェット・ジェネレータの各々は、前記印刷液分配部材に流体的に繋が った入口と、印刷媒体上に配置された出口とのある少なくとも一つの経路を有し 、前記少なくとも一つの経路の各々は印刷液の噴流を提供し、この噴流の小滴へ の分解を前記ドロップ・ジェネレータが制御することを特徴とするマルチジェッ ト発生器。 ２．前記ジェット・ジェネレータの各々は、前部境界ディスク、中間ディスク及 び後部境界ディスクを有するディスクのセットからなり、ディスクの各セットが かなり垂直な平面を形成し、その平面上に印刷液の少なくとも一つの噴流が発生 することを特徴とする請求項１に記載のマルチジェット発生器。 ３．前記中間ディスクは、複数の分離したディスク・セクションからなり、前記 複数のディスク・セクションの各々は、端面の対を有し、対向する端面の対が経 路を定めることを特徴とする請求項２に記載のマルチジェット発生器。 ４．第一のジェット・ジェネレータの前部境界ディスクが第二のジェット・ジェ ネレータの後部境界ディスクとして機能することを特徴とする請求項２に記載の マルチジェット発生器。 ５．前記境界ディスクの各々が先端部分を有することを特徴とする請求項２に記 載のマルチジェット発生器。 ６．前記ドロップ・ジェネレータは、インク供給源に繋がる内部容積を区画する と共に、一連のほぼ放射状の穿孔を有し、印刷液が前記インク供給源から前記印 刷液分配部材へ前記ドロップ・ジェネレータを介して流れることを特徴とする請 求項１に記載のマルチジェット発生器。 ７．前記ドロップ・ジェネレータは、一定な角速度で駆動されるときに前記印刷 液分配部材からジェット・ジェネレータの前記配列へ流れる印刷液に規則的な液 圧脈動を提供するために、歯車状の断面形状を有することを特徴とする請求項１ に記載のマルチジェット発生器。 ８．前記規則的な液圧脈動は、同期した前記噴流の小滴への分解を促すことを特 徴とする請求項７に記載のマルチジェット発生器。 ９．各経路は、団子状に形成され、出口からの噴流の流出を制御する狭い首部を 有することを特徴とする請求項１に記載のマルチジェット発生器。 １０．各噴流は、前記ジェット・ジェネレータの下流、仮想先端において発生す ることを特徴とする請求項１に記載のマルチジェット発生器。 １１．印刷媒体に印刷液を配置するためのシステムであって、 （ａ）印刷媒体上に印刷液の小滴を選択的に配置する工程において用いる小滴を 生成するためのマルチドロップ発生器と、 （ｂ）前記小滴に選択的に電荷を与えるための帯電手段と、 （ｃ）前記選択的に帯電された小滴を偏向するための偏向手段とからなり、 さらに、前記マルチドロップ発生器は、 （ｉ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平な印刷液分配部材と、 （ii）この印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータの配 列と、 （iii）前記印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの前記配列への印 刷液の流れを調節するために前記印刷液分配部材内に旋回可能に配置されたドロ ップ・ジェネレータとからなり、 前記ジェット・ジェネレータの各々は、前記印刷液分配部材に流体的に繋が った入口と、印刷媒体上に配置された出口とがある少なくとも一つの経路を有し 、前記少なくとも一つの経路の各々は印刷液の噴流を提供し、この噴流の小滴へ の分解を前記ドロップ・ジェネレータが制御することを特徴とする印刷媒体に印 刷液を配置するためのシステム。 １２．前記ジェット・ジェネレータの各々は、前部境界ディスク、中間ディスク 及び後部境界ディスクを有するディスクのセットからなり、ディスクの各セット がかなり垂直な平面を形成し、その平面上に印刷液の少なくとも一つの噴流が発 生することを特徴とする請求項１１に記載のシステム。 １３．前記中間ディスクは、複数の分離したディスク・セクションからな り、前記分離したディスク・セクションの対向面が前記経路を定めることを特徴 とする請求項１２に記載のシステム。 １４．第一のジェット・ジェネレータの前部境界ディスクが第二のジェット・ジ ェネレータの後部境界ディスクとして機能することを特徴とする請求項１２に記 載のシステム。 １５．前記境界ディスクの各々が先端部分を有することを特徴とする請求項１２ に記載のシステム。 １６．前記ドロップ・ジェネレータは、インク供給源に繋がる内部容積を区画す ると共に、一連のほぼ放射状の穿孔を有し、印刷液が前記インク供給から前記印 刷液分配部材へ前記ドロップ・ジェネレータを介して流れることを特徴とする請 求項１１に記載のシステム。 １７．前記ドロップ・ジェネレータは、一定な角速度で駆動されるときに前記印 刷液分配部材からジェット・ジェネレータの前記配列へ流れる印刷液に規則的な 液圧脈動を提供するために歯車状の断面形状を有することを特徴とする請求項１ １に記載のシステム。 １８．前記規則的な液圧脈動が、同期した前記噴流の小滴への分解を促すことを 特徴とする請求項１１に記載のシステム。 １９．前記少なくとも一つの経路の各々は、団子状に形成され、前記出口からの 前記噴流の流出を制御するための狭い首部を有することを特徴とする請求項１１ に記載のシステム。 ２０．各噴流は、前記ジェット・ジェネレータの下流、仮想先端において発生す ることを特徴とする請求項１１に記載のシステム。 ２１．印刷液が紫外線硬化性インクであることを特徴とする請求項１１に記載の システム。 ２２．前記紫外線硬化性インクの小滴を硬化するための中間手段からなることを 特徴とする請求項２１に記載のシステム。 ２３．前記帯電手段がコロナ・ニードルの配列を含むことを特徴とする請求項１ １に記載のシステム。 ２４．前記帯電手段がイオン源の配列を含むことを特徴とする請求項１１に記載 のシステム。 ２５．前記偏向手段が静電的に帯電するプレートを含むことを特徴とする請求項 １１に記載のシステム。 ２６．解像度を改善するためにずらして配置した一連の前記システムからなるこ とを特徴とする請求項１１に記載のシステム。 ２７．複数色で印刷するために、一連のずらして配置した前記システムからなる ことを特徴とする請求項１１に記載のシステム。 ２８．まだ乾いていない二つ、あるいはそれ以上の異なる色の小滴が印刷 媒体上で接触し混ざることによって色が作り出されることを特徴とする請求項２ ７に記載のシステム。 ２９．異なる色の小滴を各々に近接させて印刷媒体上に配置することによって新 しい色と認識されるように色が作り出されることを特徴とする請求項２７に記載 のシステム。 ３０．印刷媒体に印刷液を配置するためのシステムであって、 （ａ）印刷媒体上に印刷液の小滴を選択的に配置する工程において用いる小滴を 生成するためのマルチドロップ発生器と、 （ｂ）印刷液に電荷を与えるための帯電手段と、 （ｃ）電荷を有するる小滴を偏向するための選択的に変調可能な偏向手段とから なり、 前記マルチドロップ発生器は、 （ｉ）印刷液の供給を提供するためのかなり水平な印刷液分配部材と、 （ii）この印刷液分配部材に沿って配置されたジェット・ジェネレータの配 列と、 （iii）前記印刷液分配部材からジェット・ジェネレータの前記配列への印 刷液の流れを調節するために前記印刷液分配部材内に旋回可能に配置されたドロ ップ・ジェネレータとからなり、 前記ジェット・ジェネレータの各々は、前記印刷液分配部材に流体的に繋が った入口と、印刷媒体上に配置された出口とがある少なくとも一つの経路を有し 、前記少なくとも一つの経路の各々は印刷液の噴流を提供し、この噴流の小滴へ の分解を前記ドロップ・ジェネレータが制御することを特徴とする印刷媒体に印 刷液を配置するためのシステム。