JPH10500607A - 静電放電保護を備えた移植装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 保護装置（４４）が、外部静電放電から移植蝸牛刺激器（１２）を保護するため設けられる。このインプラントは、送信コイル（２２）に誘導的に結合された受信コイル（２６）を通して信号を受信する。保護要素（４４）は送信機（２０）のコイル（２２）間に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】 静電放電保護を備えた移植装置 発明の背景 発明の分野 本発明は、各種治療に供するために使用される移植可能な装置に関し、特に、 静電放電（ＥＳＤ）のような高エネルギーの周囲電気干渉からの保護手段を有す る装置に関する。 従来技術の説明 移植可能な電子装置は、広範囲な健康問題をかかえる患者に対する治療に供す るために使用される。例えば、蝸牛装置は、聴力を著しく喪失した人を補助する ために使用される。ペースメーカ及び電気除細動／除細動器は、心律動異常にあ る患者を補助するために使用される。 これらの装置は、移植されたとき、高度に電解質である液体中に浸され、そし て、それらは電気的に導電性のケース中に置かれるので、それらは、周囲電気干 渉からの良好なシールドとなることを期待されていた。実際、非常に多くのその 種の装置が、過去２０年の間、移植されて使用されてきた。そして、周囲電気干 渉による障害の数は最小限のものであった。しかしながら、発明者の知るところ では、明らかに高エネルギーレベルの周囲電磁界により移植蝸牛刺激装置が故障 した事例が少しあった。 したがって、移植可能な装置の、周囲電気干渉からの保護を改良する必要があ ることが明らかになった。さらに、大量なこの種装置が既に移植されているので 、外植を必要としない方法で、移植され た装置の保護を強化する手段を持つことは有益である。 本発明の目的及び要約 上記観点から、周囲電気干渉に対する保護手段であって、移植装置の外側に配 置される保護手段を有する移植システムを提供することが本発明の目的である。 更なる目的は、保護手段が完全に受動的であり、装置の通常の操作では干渉さ れないようなシステムを提供することである。 また、他の目的は、インプラントの新設計及び／又は改造のコストを低減する ことが、比較的に安価で簡単な保護手段を提供することである。 本発明の他の目的及び利点は、以下の説明から明らかにされる。 移植可能な装置は、３つのカテゴリーにグループ分けできる。第１のカテゴリ ーは、インプラントと外部要素間の実質的に連続的な交信を必要とする装置から 成り立つ。蝸牛装置は、患者が外部音を検知することができるようにするため、 音声処理装置から連続信号送信を要求するので、このカテゴリーに属する。 第２のカテゴリーは、通常独立して動作するが、規則的な又は予め決められた 間隔で、新しい、又は、更新したプログラムを受信するか、又は情報をダウンロ ードするため、外部要素と情報を交換する装置から成り立つ。ペースメーカ及び 電気除細動／除細動器はこの第２のカテゴリーに属する。 第３のカテゴリーは、移植後、外界と全然交信せずに動作する装置から成り立 つ。以下の説明から明らかになるように、本発明は、主として、第１及び第２の カテゴリーの装置に適用可能なものである。 この出願で使用される用語「蝸牛装置」は、外部音声処理装置及 びインプラントを構成する装置に関するものである。外部音声処理装置は、周囲 音を受信し、音を電気的信号に変換し、そして、これらの信号を送信コイルを介 して、電磁誘導によりインプラントに送信する。インプラントは、これらの信号 を患者の聴覚神経に印加する。 既に説明したように、本発明が対象とする問題は、蝸牛装置に発生する。特に 、少数の蝸牛装置が故障すると、外植のときに、データ受信機能に関するいくつ かの素子が、高レベルの電気的ショックにより損傷されていることが見受けられ る。他の蝸牛装置で同様な故障を起こすことを試みる多くの実験が研究所で行わ れた。より詳しくは、インプラントは、体液及び組織を模擬した食塩水中に沈め られて、インプラント中に静電放電（ＥＳＤ）を発生させるように、高レベル電 磁界にさらされる。 患者（子供）が遊び場の滑り台を使った後、１つの故障が報告され、そして、 非常に乾燥した日に滑り台を使った子供が、約１５ＫＶＤＣに静電気的にチャー ジされたということを発明者が気づいたために、ＥＳＤは、最初に故障の原因と 疑われた。 ある実験で、電気ショックが食塩水の表面に印加された。予期したとおり、食 塩水はショックを弱め、そして、インプラントを損傷から保護した。 他の実験では、電気的導体がインプラントの金属ケースに接続され、そして、 電気ショックが導体に印加された。これらのショックは、インプラントのいくつ かの素子を損傷したが、故障装置に見られる損傷と一致するものではなかった。 驚いたことに、しかしながら、音声処理装置の送信コイルが、インプラントの 近くに配置され、ＥＳＤパルスが送信コイルに接続された導体に供給されたとき 、故障の状態が正確に再現されたという ことが発見された。そこで、本発明者は、外部音声処理装置の送信コイルに対す る静電放電が、電磁結合によりインプラントに送信されると、そこで、その高強 度及び高エネルギー容量はインプラントの受信素子に損傷を与えるということを 発見した。さらに重要なことは、本発明によるＥＳＤ保護は、内部インプラント を保護するために、外部音声処理装置に適用でき得るということである。 本発明により構成される装置は、移植蝸牛刺激器のような治療に供される内部 部分、及び音声処理装置のような外部部分を含む。外部部分は送信コイルを備え 、内部部分は受信コイルを有し、この受信コイルは、２つのコイルがすぐ近くに あるとき、電気的信号が送信器から受信コイルに送られるように配置される。さ らに重要なことは、外部装置は、ＥＳＤパルスを抑制することにより、それらが 受信コイルに送信されないようにすることを保証するためのＥＳＤ抑制手段を備 える。 図面の簡単な説明 単一の図が、本発明が組み込まれる移植蝸牛刺激器システムの概略図である。 発明の詳細な説明 今、単一の図を参照すると、本発明に従って構成された蝸牛装置１０は、ケー ス内部に移植蝸牛刺激器がある移植可能な内部部分１２、及びケース内に音声処 理装置１４がある外部部分を含む。音声処理装置は、マイクロフォン１６、エン コーダ１８及び送信機２０を含む。送信機２０は、多くの素子を有するが、明確 にするために、送信コイル２２のみが図示されているということを理解されたい 。 移植蝸牛刺激器１２は受信機２４を含む。ここでも、この受信機は種々の素子 を含むが、ただ受信コイル２６のみが示される。装置１４は、更に、昇圧トラン ス２８、同調コンデンサ３０、電力蓄電コンデンサ３２、及びダイオード３４を 含む。装置１２は、更に、複数の電極出力線３８を備えたデータ受信回路３６を 含む。 今まで説明されてきたシステム１０は、全く普通のものであり、そして、以下 のように動作する。 移植蝸牛刺激器１２は皮膚４０の近くの皮下に配置された受信コイル２６と共 に患者の中に移植される。 外部装置１４が、受信コイル２６の近くに配置された送信コイル２２と共に体 の外側に配置され、皮膚４０がそれらの間に広がる。 受信機２６を除いて、装置１２は絶縁された金属製ケース中に配置されるが、 図中では省略している。 周囲音は、マイクロフォン１６により集音されて、対応する電気信号に変換さ れる。これらの信号はエンコーダ１８によりエンコードされる。送信機２０は、 エンコードされた信号を受信し、それらをコイル２２，２６を通して受信機２４ に送信する。受信した信号は、データ受信回路３６により受信され、電極出力３ ８に対するインパルスに変換される。装着者は、電極３８上に表れる対応信号を 通して、マイクロフォン１６により集音された音を認識することができるように 、訓練される。 ダイオード３４は、データ受信回路３６とインプラントのその他の要素（図示 せず）に対して電力を供給する一時的な電源として動作するコンデンサ３２を充 電するために使用される。 コイル２２，２６が図示のように、対向して配置されると、それらは、コイル 間の相互インダクタンス４９により電磁的に結合される。加えて、コイル２２， ２６間に皮膚４０を通して、漏れ経路が 存在し、これを、直列コンデンサ−抵抗の組み合わせ４２として図に記号で表す 。しかしながら、この経路は、本システムの正常な動作の一部として働くもので はない。 既に説明したように、本発明者は、ＥＳＤパルスは、部分１４により拾い上げ られ、コイル２２からコイル２６へ送信されるということを発見した。これらの 非常に短期間のパルスのエネルギー容量は非常に高いので、それらはインプラン ト１２の種々の素子を損傷することがある。 この損傷を防止するために、保護装置４４が送信機２０に設けられる。この装 置４４は、移植部分１２に伝達しないように、ＥＳＤパルスを抑制するために使 用される。例えば、図に示すように、保護装置は、背面接続された一対のツェナ ーダイオード４６，４８から構成できる。他のＥＳＤ抑制要素が知られており、 例えば、装置１２の種々の内部入力及び出力からグラウンド及び／又は電源（即 ち、蓄電コンデンサ３２）までに接続されたダイオードのようなものを装置１２ 中に設けることができる。しかしながら、そのようなことを実行することは、イ ンプラント中の貴重なスペースを取り上げ、要素の数を増化させ、それに従って （移植された装置の危機に関する）装置の信頼性を減少させる。さらに、既に移 植された装置は、外植と再移植をしなければ、これらのダイオードを付加して保 護することができない。 外部部分における本発明は、より効果的な解決をもたらす。この配置は、導入 より簡単である。さらに、外部部分の変形を必要とするだけであるので、既存の 移植された装置に簡単に適用することができる。実際の保護装置４４は標準的な ものであり、そして、他の伝達抑制機構も採用し得る。全体の配置において独特 なことは、送信器にその機構を設けることが受信器を保護するということである 。 本発明について、好適な実施形態を参照して説明してきたが、この実施形態は 発明の本質の応用を単に説明しただけのものである。したがって、特に説明され た実施形態は、以下のクレームに関する好適な例であって、限定をするものでは ないと考えられるべきものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シングル，ピーター スコット オーストラリア国，ニュー サウス ウェ ールズ 2112，イーピング，サレー スト リート 36エー

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．患者に移植するための移植可能な部分であって、信号を受信する受信機を 含む移植可能な部分、 信号を発生するための外部部分であって、該外部部分が送信機と受信機との間 を電磁結合させるために配置されたとき、前記受信機に信号を送信するための送 信機を含む外部部分、及び 前記移植可能な部分に放電エネルギーが伝達することを防止するために静電放 電の効果を抑制するために設けられ、前記送信機に結合された保護装置 を具備することを特徴とする、患者の治療に供するための装置。 ２．前記移植可能な部分が移植蝸牛刺激装置であることを特徴とする請求項１ 記載の装置。 ３．前記外部装置が音声エンコーダであることを特徴とする請求項１記載の装 置。 ４．前記受信機及び前記送信機がそれぞれコイルを有するものであることを特 徴とする請求項２記載の装置。 ５．前記保護装置は前記送信機中に配置されたものであることを特徴とする請 求項４記載の装置。 ６．前記保護装置は、前記送信コイルに電気的に接続されたものであることを 特徴とする請求項５記載の装置。 ７．患者に移植されるための移植部分であって、電気信号を受信する受信機を 含む移植可能な部分、及び 前記電気信号を発生するための外部部分であって、送信機が前記受信機の近く に配置されたとき、磁気誘導により前記受信機に前記信号を伝達するためにある 送信機を含む外部部分を具備し、 前記外部部分は、更に、望ましくない過渡的な信号が前記送信機 から前記受信機へ伝達されることを抑制するために配置された保護装置を含むこ とを特徴とする患者の治療に供するための装置。 ８．前記送信機及び前記受信機は各々コイルを含み、該コイルは前記送信機が 前記受信機の近くに配置されたとき、誘導的に結合されることを特徴とする請求 項７記載のシステム。 ９．前記保護部分は、前記送信コイルに電気的に結合されることを特徴とする 請求項８記載のシステム。 １０．前記保護装置は、静電放電の損傷効果を抑制するように選ばれることを 特徴とする請求項８記載のシステム。 １１．前記移植可能な部分は、移植蝸牛刺激器であり、前記送信部分は音声処 理装置であることを特徴とする請求項１０記載のシステム。 １２．静電放電から治療装置を保護する方法であって、前記装置は、治療に関 する信号を受信するための受信機を有する移植可能な部分、及び、前記信号を発 生し、送信機及び前記受信機が近接したとき、前記受信機に対する前記信号の誘 導送信のための送信機を含む外部部分を含む方法において、前記送信機で望まし くない電磁的干渉を抑制し、前記移植可能な部分を損傷する前記干渉を防止する ことを特徴とする方法。 １３．前記抑制は、静電放電を抑制するため前記送信機中に配置された保護装 置により実行されることを特徴とする請求項１２記載の方法。