JPH1045632A - 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有 する蛋白質由来ペプチド類の検索方法 - Google Patents

腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有 する蛋白質由来ペプチド類の検索方法

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JPH1045632A
JPH1045632A JP8214129A JP21412996A JPH1045632A JP H1045632 A JPH1045632 A JP H1045632A JP 8214129 A JP8214129 A JP 8214129A JP 21412996 A JP21412996 A JP 21412996A JP H1045632 A JPH1045632 A JP H1045632A
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protein
response
immune system
immune response
ability
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JP8214129A
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Takeshi Takahashi
高橋  毅
Emiko Nakagawa
恵美子 中川
Tamotsu Kuwata
有 桑田
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Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有
する蛋白質由来ペプチド類の検索方法において、当該蛋
白質由来ペプチド類を経口摂取させた実験動物から得ら
れたパイエル板細胞のIL−2(又はIgA抗体)に対
する応答性を各々測定し、未分解の元の蛋白質を摂取さ
せた場合のパイエル板細胞のIL−2(又はIgA抗
体)に対する応答性と比較して、該検索を行う。 【効果】 経口摂取後に非経口免疫処理することなく、
効率的に該検索を実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腸管免疫系に対す
る蛋白質および蛋白質由来ペプチド類の免疫応答誘導能
を、それらを経口摂取させて得られたパイエル板細胞の
インターロイキン2(以下、IL−2)に対する応答性
およびIgA抗体応答性を指標として選別する方法に関
する。本発明によれば、経口摂取後に非経口免疫処理す
ることなく、きわめて効率的に、低アレルギー性ペプチ
ド類の選別等が可能となり、例えば食物アレルギーをひ
き起すことのない乳幼児用の調製粉乳や病弱者向けの栄
養食品の製造に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】食物アレルギーの予防および治療の観点
から、乳蛋白質を代表として各種食品蛋白質の酵素分解
物が乳幼児用食品に今日数多く用いられるようになって
いる。この酵素分解物は風味、溶解性、熱・酸安定性等
も考慮して設計されているために分子量が多様であり、
食物アレルギーの予防および治療といった本来の目的に
合致したものであることは通常抗原性および免疫原性を
指標として判定されている。しかし、Taylorらの言うよ
うに、抗原性のあるものすべてに免疫原性があるわけで
なく、また免疫原性のあるものすべてにアレルゲン性が
あるわけでもない(Food Tech.、第46巻、146〜
152頁、1992年)。
【0003】食品蛋白質を食物アレルギーの予防および
治療食に応用するには、理想的にはアレルゲン性を有す
る蛋白質の構造部位だけを酵素分解で破壊すれば十分で
あり、抗原性および免疫原性を過剰に低下させる必要は
ない。逆に言うならば、抗原性および免疫原性を指標と
して蛋白質の酵素分解度を決定すると必要以上に分解度
が高くなることが予想される。これは酵素分解物の風味
および浸透圧等を適正に保つ上では好ましくない。
【0004】さらに根本的には、抗原性および免疫原性
といった指標が一般に食品蛋白質を非経口免疫した場合
の現象を基にしているという大きな問題がある。すなわ
ち、抗原性は通常、未分解の食品蛋白質をウサギやマウ
ス等の実験動物に腹腔投与や皮下投与等の方法で非経口
免疫して得られる、食品蛋白質に特異的な血清抗体と検
討対象物質の反応性が指標となっている。また、免疫原
性は通常、検討対象物質をウサギやマウス等の実験動物
に腹腔投与や皮下投与等の方法で非経口免疫した場合に
検討対象物質に対して産生される特異的な血清抗体の抗
体価が指標となっている。実際、Cordleらはこの
二つの方法で市販されているいくつかの蛋白分解調製粉
乳を比較し、これらの調製粉乳の抗原性および免疫原性
と投与時の臨床的な症状の発生状況が相関することを示
している(Pediatr.Allergy Immunol.、第5巻、14
〜19頁、1994年)。
【0005】しかし、この文献の考察でも述べられてい
るように、抗原性および免疫原性を指標とした低アレル
ゲン性調製粉乳のスクリーニング結果は、モルモットに
検討対象物質を経口投与して行うアナフィラキシーテス
トの結果とは必ずしも一致していない。以下に述べるよ
うな経口投与抗原に対する粘膜免疫応答の研究の進展か
ら判断しても、抗原性と免疫原性だけから経口投与抗原
の生体免疫応答誘導能、特に経口免疫寛容等の腸管免疫
系に対する免疫応答誘導能あるいは食物アレルギーの誘
導能を予想すること自体にもはや現在大きな問題があ
る。
【0006】近年、経口摂取された蛋白抗原に対しては
全身性の免疫応答とは別に粘膜免疫応答(消化管免疫応
答)が成立することが明らかにされており、特に粘膜面
におけるIgA抗体を中心とする免疫応答と、全身系に
おける免疫不応答が誘導されているという経口免疫寛容
現象が大きな注目を集めている。これは経口摂取された
蛋白抗原に対する食物アレルギーの発症が経口免疫寛容
が正常に誘導されていない場合に生じることが示唆され
ているからである(清野 宏ら、BIOmedica、第7巻、
47〜52頁、1992年)。したがって、粘膜免疫応
答を上述したような抗原性や免疫原性の代わりの指標と
して用いることができれば、経口摂取蛋白質が生体免疫
系に与える影響をより的確に判断できるものと思われ
る。
【0007】しかしながら、これまでの研究報告では蛋
白抗原の経口投与が生体免疫系に与える影響を見る場合
でも、一度蛋白抗原を経口投与した後、同一蛋白抗原を
腹腔や皮下免疫した場合の免疫応答(血清抗体応答ある
いは非粘膜系のリンパ細胞の増殖応答等)を調べている
場合が多く、蛋白抗原の経口投与が粘膜免疫応答に与え
る影響、特に酵素処理等で低分子化した蛋白質抗原の経
口投与が粘膜免疫応答に与える影響をこうした非経口の
追加免疫なしに検討した例はほとんどないのが実状であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した技
術の現状に鑑み、従来の抗原性や免疫原性の代わりの指
標となりうる粘膜免疫応答を見出す目的でなされたもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の抗
原性や免疫原性の代わりの指標となりうる粘膜免疫応答
を見出すべく検討を行ったところ、酵素分解ペプチドま
たは元の未分解蛋白質を自由摂取させた実験動物(マウ
ス)から得られるパイエル板リンパ細胞のIL−2応答
性およびIgA産生能が異なることを見出し、本発明を
なすに至った。すなわち、本発明は抗原性や免疫原性の
代替指標となる粘膜免疫応答を提供し、その指標を使っ
て腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有する蛋白質由
来ペプチド類を検索する方法を提供するものである。以
下、本発明について詳しく述べる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、蛋白抗原および蛋白
抗原由来ペプチド類を摂取したときの粘膜免疫応答の指
標として、パイエル板リンパ細胞の免疫応答に注目し
た。パイエル板は代表的な腸管隣接リンパ組織の一つで
あり、そこで誘導される免疫応答はいわゆるホーミング
現象によって全身に分布する粘膜および腺組織に伝播さ
れることが知られている。パイエル板リンパ細胞は腸管
粘膜固有層や腸管上皮細胞間リンパ細胞等の他の腸管隣
接リンパ組織に比べて回収が容易である。パイエル板か
らのリンパ細胞の回収は物理的な方法でも良いし、ディ
スパーゼなどの酵素を用いる方法でも良い。
【0011】次に、回収したパイエル板リンパ細胞を無
菌的に各種濃度のIL−2およびリポ多糖(以下、LP
S)存在下で所定の期間培養し、所定期間培養後の個々
の条件下でのパイエル板リンパ細胞のIL−2応答性お
よびIgA産生能を評価した。IL−2応答性は培養終
了の一定時間(約6〜24時間)前にトリチウムラベル
したチミジンを培養液に添加し、そのリンパ細胞への取
り込みで調べても良いし、プロメガ(株)などから販売
されているMTT反応を応用した試薬キットを用いて調
べても良い。IgA産生能は所定期間培養後の各々の培
養液中のIgA含量をsandwich-ELISAで測定した。
【0012】以下に試験例および実施例をあげて本発明
を具体的に説明する。比較のために試験例には従来の技
術を示し、実施例には本発明の技術を示した。
【0013】
【試験例1】ここでは、乳清蛋白分離物(以下、WP
I)とその酵素分解物(以下、WPH)を従来の生体感
作性(アレルゲン性)評価法の一つである抗原性で比較
した。なお、WPIおよびWPHは、それぞれ、Le Sue
ur Isolates社およびDanmark Protein社より購入したも
のである。先ず、BALB/cマウスに市販のβ−ラク
トグロブリン(Sigma社製、以下、β−LG)100μ
gをフロイントの完全アジュバントとともに免疫し、2
週間後に同量のβ−LGをフロイントの不完全アジュバ
ントとともに免疫した。その1週間後にマウスより血清
を採取し、抗β−LG抗体として競合ELISAに用い
た。競合ELISAは次のように行った。すなわち、β
−LGをpH7.2の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液
(以下、PBS)に0.01%の濃度に溶解し、イムノ
プレート(Nunc社製)の各穴に100μl添加し、4℃
で一晩静置した。Tween20(Bio Rad社製)を
0.05%含むPBS(洗浄液)で3回洗浄した後、W
PIあるいはWPHと抗β−LG抗体を洗浄液に加え、
その液を各穴に100μl添加した。100μl中のW
PIあるいはWPHの含量は0から2.5mgまで変化
させた。室温で2時間反応後、プレートを洗浄し、アル
カリフォスファターゼ標識ヤギ抗マウスIg(IgA+
IgG+IgM)(Cappel社製)を各穴に100μl添
加した。室温で2時間反応後、プレートを洗浄し、基質
溶液(100mlのジエタノールアミン−塩酸緩衝液p
H9.8に0.1gのp−ニトロフェニルリン酸ナトリ
ウムを溶解したもの)を各穴に100μl添加した。室
温で30分反応後、5M水酸化ナトリウム溶液を各穴に
20μl添加して各穴の405nmでの吸光度を測定し
た。
【0014】最初にプレートにコーティングしたβ−L
Gと抗β−LG抗体の結合に対する阻害率を吸光度比B
/B0(B:競合抗原WPIあるいはWPHが存在する
場合の吸光度、B0:競合抗原非存在下での吸光度)で
表し、競合抗原濃度に対してプロットした結果が図1で
ある。抗原性が残っていると、濃度を上げるにつれて抗
体が吸収されて吸光度B/B0が低下することが知られ
ているが、WPIでは濃度が上かるにつれてこの比が低
下し、WPI中の主要抗原であるβ−LGの抗体が残っ
ていると判断された。これに対して、WPHではほとん
ど変化せず、β−LGに対する抗原性はWPHでは消失
していると判断された。
【0015】
【試験例2】試験例1で用いたWPIおよびWPHの経
口投与が生体免疫系に与える影響をβ−LGに対する経
口寛容状態で比較した。すなわちWPIあるいはWPH
をそれぞれ唯一の蛋白質源とするAIN−76準拠の飼
料を1週間マウスに自由摂取させた(5匹/群)。な
お、乳蛋白質を含まない市販の固型飼料(MF飼料、オ
リエンタル酵母社製)を投与する群をこれら二つの飼料
投与群の対照としてさらに設けた。1週間後WPIおよ
びWPH飼料群の飼料をMFに変えるとともに、試験例
1と同様な方法で2回β−LGを免疫した。最後の免疫
から1週間目に採血を行い、抗β−LG抗体価をELI
SAで測定した。すなわち、試験例1と同様にβ−LG
をイムノプレートにコーティングした後、洗浄液でプレ
ートを洗浄した。次に、卵白アルブミン(以下、OV
A、生化学工業社製)を1%含むPBSを125μl/
穴添加し、室温で2時間静置してブロッキング処理をし
た。洗浄液で洗浄後、プレートの各穴に各マウスの血清
のPBS希釈液(二千および一万倍)を100μl添加
した。室温で2時間反応液、プレートを洗浄し、以後、
試験例1と全く同様の手順で酵素標識二次抗体および基
質溶液を添加して各穴の405nmでの吸光度を測定し
た。
【0016】その結果図2に示したように、いずれの血
清の希釈水準でもWPI投与で特異β−LG抗体価の著
しい減少が見られ、β−LGに対する経口寛容の成立が
認められた。これに対して、WPH投与の場合は若干特
異β−LG抗体価の減少が認められるものの、MF投与
の場合と有意差を全く認めず、β−LGに対する経口寛
容は不成立であった。
【0017】
【試験例3】前記試験例2に示された経口寛容成立の違
いをリンパ細胞の増殖応答から検討した。すなわち、試
験例2の各群のマウスを採血1週間後に解剖して脾臓を
摘出した。脾臓を各群ごとにプールして、Suzukiらの方
法(I. Suzuki et al., Bifidobacteria Microflora,
第9巻、87〜98頁、1990年)でリンパ細胞を調
製した。リンパ細胞は100U/mlのペニシリン(Gi
bco社製)、100μg/mlのストレプトマイシン(Gi
bco社製)、5×10-5Mの2−メルカプトエタノール、
および1%の同系マウス血清を含むRPMI1640培
地(Gibco社製)に分散させ、96穴の培養プレート(F
alcon社製)に一穴当たり5×105個ずつ加え、各種濃
度のβ−LGおよびOVA存在下で培養した(5%CO
2インキュベーター中)。3日後にトリチウムラベルし
たチミジン(NEN社製)を一穴当たり1μCi添加し、
20時間後にリンパ細胞を濾紙上に回収した。トリチウ
ムラベルしたチミジンの取り込みは液体シンチレーショ
ンカウンター(アロカ社製)で測定した。
【0018】図3に示したように、WPH投与群ではM
F投与群と同様にβ−LG存在下で濃度依存的な増殖応
答が起こっているのに対し、WPI投与群ではこういう
応答は認められなかった。一方、OVA存在下ではこれ
ら3群とも応答はほとんど同じで、低応答であった。し
たがって、WPI投与群ではβ−LGに対する経口寛容
が成立し、WPH投与群ではβ−LGに対する経口寛容
が不成立であることがリンパ細胞のレベルでも確認され
た。
【0019】
【実施例1】試験例2と同様にWPIあるいはWPHを
それぞれ唯一の蛋白質源とするAIN−76準拠の飼料
を1週間マウスに自由摂取させた(5匹/群)。1週間
後に解剖してパイエル板を摘出した。パイエル板を各群
ごとにプールして、Suzukiらの方法(I. Suzuki et a
l., Bifidobacteria Microflora, 第9巻、87〜98
頁、1990年)でリンパ細胞を調製した。試験例3と
同じ組成のRPMI1640培地を用い、各種濃度のマ
ウスIL−2(Genzyme社製)およびConA(Sigma社
製)存在下でリンパ細胞を96穴の培養プレート(Falc
on社製)にて培養した。以下、試験例3と同様な方法で
リンパ細胞の増殖応答を測定した。
【0020】図4に示したように、IL−2存在下の濃
度依存的な増殖応答はWPI投与群に比べて、WPH投
与群の方が明らかに低かった。一方、ConA存在下で
はこれら2群とも応答はほとんど同じであった。T細胞
レセプターを介した抗原刺激を受けていない未感作T細
胞はIL−2には応答できないが、ConAには応答で
きることを考えると、このIL−2応答の違いはWPI
とWPHの腸管免疫系に対する免疫応答誘導能の違いで
あることが明らかになった。
【0021】
【実施例2】実施例1と同様にWPIあるいはWPHを
それぞれ唯一の蛋白質源とするAIN−76準拠の飼料
を1週間マウスに自由摂取させた(5匹/群)。1週間
後に解剖して脾臓を摘出した。脾臓を各群ごとにプール
して、実施例1と同様にリンパ細胞の増殖応答をIL−
2およびConA存在下で比較した。
【0022】図5に示したように、ConAに対する応
答はもちろん、IL−2に対する応答も両者でほとんど
同じになったことから、飼料の違いが投与される生体の
免疫応答全般を一様に変化させているのではなく、食物
蛋白抗原が生体免疫系と最初に遭遇する粘膜免疫系リン
パ組織の免疫応答を特に大きく変化させることが示され
た。
【0023】
【実施例3】実施例1と同様にWPIおよびWPH飼料
投与マウスからパイエル板リンパ細胞を回収し、各種濃
度のLPS存在下で96穴の培養プレートにて培養した
(106個/穴)。培養5日後に各穴から培養上清を回
収し、そのIgA含量をSandwich-ELISAで測定した。Sa
ndwich-ELISAはイムノプレートのコーティングにヒツジ
抗マウスIgA抗体(Binding Site社製)を、酵素標識
二次抗体にアルカリフォスファターゼ標識ラット抗マウ
スIgAモノクローナル抗体(関東化学社製)を用いる
以外、試験例2と同様の方法で行った。IgA含量の算
出はスタンダードIgA(マウスIgA(ICN Immuno B
iologicals社製))を用いて作成した濃度対吸光度の検
量線から行った。
【0024】図6に示したように、パイエル板リンパ細
胞のLPS存在下でのIgA抗体応答はWPI飼料を投
与した場合の方がWPH飼料投与時に比べて高くなるこ
とが明らかになった。この結果は実施例1と同様、WP
IとWPHの腸管免疫系に対する免疫応答誘導能(経口
寛容誘導能)の違いを反映していた。
【0025】以上、本発明により、従来の経口寛容誘導
能の評価時のように経口投与後の非経口免疫処理を要し
た操作が、経口投与の処理だけで済むようになり、非経
口免疫で実験動物に抗体産生させるのに必要な時間が短
縮できる。これまで蛋白質抗原の酵素分解物の中に経口
寛容誘導能を有するものがあることはすでに知られてい
る(特開平5−5000号公報)。しかし、経口寛容誘
導能を有する蛋白質由来ペプチド類を効率的に検索する
方法は知られていなかった。
【0026】一方、クローン病やセリアック病のように
食餌による腸管免疫系に対する免疫応答の誘導が生体に
とって有害な場合、中心静脈栄養剤や成分栄養剤等の投
与により腸管内からの抗原刺激を避ける栄養方法が取ら
れる。しかし、これらの栄養剤(特に成分栄養剤)は浸
透圧が高いことが多く、風味も良くないことが多い。こ
うした栄養剤に食品蛋白抗原の酵素分解を応用すること
ができれば浸透圧および風味等の改良につながることが
期待されているが、蛋白抗原の酵素分解物の腸管免疫系
に対する感作性を効率的に選別する方法は知られていな
かった。
【0027】したがって、本発明は近年開発が進む蛋白
質の各種酵素分解物を経口摂取時に最も問題となる経口
寛容誘導能等の腸管免疫系に対する免疫応答誘導能で選
別することを容易にするものと考えられる。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法により、蛋白質抗原の腸管
免疫系に対する免疫応答誘導能に関して従来の抗原性や
免疫原性よりもさらに有用な評価指標を提供でき、この
方法を用いて複数の蛋白質および蛋白質由来ペプチド類
の中から最適の物質を選別することができる。しかもそ
の際、本発明によれば、経口摂取後に非経口免疫処理を
する必要がないので、きわめて効率的に本方法を実施す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1で行ったWPIとWPHの抗原性の比
較結果を示す。
【図2】試験例2の測定で得られたマウス血清中のβ−
LGに対する特異抗体価(***:P<0.001)を
示す。
【図3】試験例3の測定で得られたマウス脾臓リンパ細
胞の増殖応答を示す。
【図4】実施例1の測定で得られたマウスパイエル板リ
ンパ細胞の増殖反応(***:P<0.001;**:
P<0.01)を示す。
【図5】実施例2の測定で得られたマウス脾臓細胞の増
殖応答を示す。
【図6】実施例3の測定で得られたマウスパイエル板リ
ンパ細胞のIgA産生能(***:P<0.001;*
*:P<0.01;*:P<0.05)を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有
    する蛋白質由来ペプチド類の検索方法において、当該蛋
    白質由来ペプチド類を経口摂取させた実験動物から得ら
    れたパイエル板細胞のインターロイキン2に対する応答
    性又はIgA抗体応答性を指標として選別することを特
    徴とする、経口摂取後に非経口免疫処理することなく、
    ペプチド類の腸管免疫系に対する免疫応答誘導能を検索
    する方法。
  2. 【請求項2】 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有
    する蛋白質由来ペプチド類の検索方法において、当該蛋
    白質由来ペプチド類を経口摂取させた実験動物から得ら
    れたパイエル板細胞のインターロイキン2に対する応答
    性を各々測定し、未分解の元の蛋白質を摂取させた場合
    のパイエル板細胞のインターロイキン2に対する応答性
    と比較すること、を特徴とする請求項1に記載のペプチ
    ド類の腸管免疫系に対する免疫応答誘導能を検索する方
    法。
  3. 【請求項3】 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有
    する蛋白質由来ペプチド類の検索方法において、当該蛋
    白質由来ペプチド類を経口摂取させた実験動物から得ら
    れたパイエル板細胞のIgA抗体応答性を各々測定し、
    未分解の元の蛋白質を摂取させた場合のパイエル板細胞
    のIgA抗体応答性と比較すること、を特徴とする請求
    項1に記載のペプチド類の腸管免疫系に対する免疫応答
    誘導能を検索する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の方法にしたがって、経口寛容誘導能を有する蛋白質
    由来ペプチド類を検索する方法。
JP8214129A 1996-07-26 1996-07-26 腸管免疫系に対して免疫応答誘導能を有 する蛋白質由来ペプチド類の検索方法 Pending JPH1045632A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000071167A1 (fr) * 1999-05-24 2000-11-30 Shionogi & Co., Ltd. Methode d'evaluation de l'activite inhibitrice de la metalloprotease matricielle

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