JPH1031976A

JPH1031976A - 紫外線ランプおよび殺菌灯

Info

Publication number: JPH1031976A
Application number: JP20527596A
Authority: JP
Inventors: Takashi Yorifuji; 孝依藤; Seiichi Futagami; 誓一二神; Osamu Shirai; 修白井
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1996-07-15
Filing date: 1996-07-15
Publication date: 1998-02-03

Abstract

(57)【要約】【課題】水銀べとをなるべく少なくして、寿命中の紫外
線維持率を改善するとともに、封入水銀量を減少して環
境保護を図った紫外線ランプを提供する。【解決手段】紫外線透過性の気密容器内面に透明性の保
護膜を形成するとともに、水銀を水銀アマルガムの形で
封入する。水銀アマルガムは、ランプ点灯時には必要な
量の水銀が分離蒸発して所要の水銀蒸気圧を形成する
が、消灯時にはアマルガムに戻るため、気密容器内面に
水銀べとが形成されにくくなる。紫外線ランプの場合、
水銀べとの面積に比例して紫外線強度が減少するもので
あるが、本発明では水銀べとが殆ど生じないので、紫外
線強度が低下しない。また、保護膜により気密容器の着
色もなく紫外線維持率を高い状態に維持することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は紫外線ランプおよび
殺菌灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】殺菌ランプは、紫外線透過性のガラスバ
ルブを用いることと、蛍光体層を備えていない点を除く
と蛍光ランプと同様の構造である。しかし、蛍光ランプ
は可視光をガラスバルブを透過させて得るのに対して、
殺菌ランプは低圧水銀蒸気放電により発生する主として
２５３．７ｎｍの紫外線を直接気密容器の外部に取り出
して利用しようとするものである。

【０００３】殺菌ランプは、上記のように蛍光体層を具
備していないために、寿命中に水銀がガラスバルブ内に
叩き込まれたり、ガラス成分と反応したりしてガラスバ
ルブが着色しやすい。そして、この着色にのために紫外
線出力が低下するという問題がある。

【０００４】また、上記着色により水銀が消耗されて放
電に寄与する水銀が減少してしまう問題もある。このた
め、寿命中の水銀減少を考慮して予め水銀を多目に封入
している。これは近時の環境保護のための水銀使用量削
減取り組みからすると、甚だ問題である。

【０００５】さらに、余剰水銀がガラスバルブの内面に
付着する、いわゆる「水銀べと」による紫外線出力低下
の問題がある。すなわち、蛍光ランプの場合は、水銀べ
とが生じても紫外線が蛍光体層に入射して可視光に変換
されるため、可視光出力としては殆ど差がないが、殺菌
ランプは紫外線出力に影響してしまう。このため、水銀
べとが極力生じないようにするのがのぞましい。

【０００６】従来、水銀によるガラスバルブの着色を低
減するために、ガラスバルブの内面にアルミナの非粒子
保護膜を形成した殺菌ランプがＵＳＰＮｏ．３８４５
３４３明細書に記載されている。また、特開平３−７７
２５８号公報には、１００ｍμ以下のアルミナを溶液濃
度１〜３％の範囲で塗布した膜を形成した殺菌ランプが
記載されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来技術は、殺菌ラン
プの寿命中の着色の改善に対して専ら目が向けられてい
て、水銀べとに伴う問題を改善しようとするものは見あ
たらない。

【０００８】本発明は、水銀封入量をなるべく少なくし
て、水銀べとに伴う寿命中の紫外線出力の低下を改善す
るとともに、環境保護を図った紫外線ランプおよびこれ
を用いた殺菌灯を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を達成するための手段】請求項１の発明の紫外線
ランプは、紫外線透過性の気密容器と；気密容器内に封
着した一対の電極と；気密容器内に封入した水銀アマル
ガムおよび希ガスを含む放電媒体と；気密容器の内面に
形成した透光性の保護膜と；を具備していることを特徴
としている。

【００１０】本発明および以下の請求項の各発明におい
て、用語の定義は特に指定しない限り次による。

【００１１】気密容器は、紫外線透過性であれば、材質
は問わない。一般的にはソウダライムガラスの二酸化鉄
Ｆｅ₂Ｏ₃成分を２０ｐｐｍ以下にしたものが好適である
が、本発明はたとえば石英ガラスや酸化バリウムＢａＯ
成分を多く含むガラスのような他の紫外線透過性物質の
使用を許容する。また、気密容器の形状は特に制限され
ない。しかし、一般的には製造性の点から円筒状の細長
いガラスバルブが好適である。

【００１２】電極は、熱陰極形であると、電子放出を多
くして紫外線発生量を大きくすることができるので好都
合であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、
たとえば冷陰極形の電極であってもよい。

【００１３】アマルガムは、水銀と他の金属との合金で
あり、紫外線ランプの点灯時には所要の水銀蒸気圧が得
られるものであれば、どのようなものであってもよい。
消灯後には水銀が再び水銀アマルガムに戻るものでもよ
いが、水銀のアマルガムへの戻り方は遅速があっても差
し支えない。本発明において、アマルガムの使用量は特
に限定されない。その理由は、アマルガムの形態におい
ては、必要量の水銀が蒸発するが、余剰の水銀はアマル
ガムから分離しないので、本発明の作用を阻害しないか
らである。しかし、本発明にあっては必要以上に余剰の
水銀は不要であるから、水銀量はなるべく少なくするの
が環境保護上得策である。アマルガムを気密容器内に封
入する態様としては、排気管の途中にネック部を形成し
てアマルガムを排気管の内部に滞留させることができ
る。また、気密容器の端部または放電空間内において適
当な位置に固定することができるが、紫外線の出力を妨
げない程度に比較的小さな粒子に成形したものであれ
ば、気密容器内を自由に移動可能にしておいても、機能
上全く問題がないし、また外観上使用者に違和感を与え
ることがない。アマルガムの粒子は単一でなく、複数を
封入してもよい。

【００１４】希ガスは、アルゴン、ネオン、クリプト
ン、キセノンなどを用いることができるが、アルゴンを
主成分とすることが多い。

【００１５】保護膜は、材質的には、特に限定されない
が、主として波長２５４．３ｎｍの紫外線を透過する透
光性と水銀に対する障壁作用が要求される。そして、保
護膜の材料として、殺菌ランプおよび蛍光ランプにおい
て既知のものを使用することができる。さらに、保護膜
は緻密であるほど効果があり、したがって金属酸化物が
溶融したように緊密に連続している膜や粒径が非常に小
さい微粒子が凝集していて隙間が極めて少ない膜がよ
い。アルコキシドを気密容器内面に噴霧して乾燥後焼成
して成膜することができる。また、金属酸化物の微粒子
を水または有機溶媒中に結着剤とともに懸濁して得た溶
液を塗布し、乾燥後焼成して成膜してもよい。

【００１６】そうして、本発明においては、水銀をアマ
ルガムの形で気密容器内に封入するので、余剰の水銀が
液体として気密容器内に存在することが非常に少なくな
る。このため、いわゆる水銀べとが生じないか、発生し
ても非常に少ないので、紫外線出力が水銀べとにより実
質的に減少することがない。また、保護膜により水銀が
気密容器内に叩き込まれるのを阻止し、水銀が気密容器
と反応するのも阻止する。

【００１７】したがって、本発明の紫外線ランプは、寿
命中の紫外線維持率が著しく改善される。

【００１８】請求項２の発明の紫外線ランプは、紫外線
透過性の気密容器と；気密容器内に封着した一対の電極
と；気密容器内に封入したアマルガムおよび希ガスを含
む放電媒体と；気密容器の内面に形成した直線透過率が
９０％以上の保護膜と；を具備していることを特徴とし
ている。

【００１９】本発明は請求項１と比較して保護膜が直線
透過率９０％以上である点に特徴がある。直線透過率
は、保護膜の膜厚、材質、成膜方法および材料の粒径な
どに支配されて変化するが、９０％以上であれば、保護
膜を形成することによって得られる利点の方が大きくな
る。

【００２０】請求項３の発明の紫外線ランプは、請求項
１または２記載の殺菌ランプにおいて、水銀アマルガム
は、その水銀含有率が５〜７０％であることを特徴とし
ている。

【００２１】本発明においては、水銀アマルガムの水銀
含有率が上記の範囲内にあれば実用的な紫外線ランプを
得ることができる。

【００２２】請求項４の発明の紫外線ランプは、請求項
１ないし３のいずれか一記載の紫外線ランプにおいて、
アマルガムは、ビスマスＢｉ、亜鉛Ｚｎ、錫Ｓｎ、アン
チモンＳｂおよびインジウムＩｎからなるグループの金
属の一種または複数種と水銀の合金を主成分としている
ことを特徴としている。

【００２３】本発明は、アマルガムを形成する水銀以外
の実用的な金属を明らかにしている。

【００２４】請求項５の発明の紫外線ランプは、アマル
ガムは、請求項１ないし４のいずれか一記載の殺菌ラン
プにおいて、０．１〜２ｍｇであることを特徴としてい
る。

【００２５】本発明は、アマルガムの封入量を規定して
いる。この範囲は水銀封入量が従来技術に比べて明らか
に減量されたものである。

【００２６】請求項６の発明の紫外線ランプは、請求項
１ないし５のいずれか一記載の殺菌ランプにおいて、保
護膜は、アルミナＡｌ₂Ｏ₃、酸化イットリウムＹ₂Ｏ₃、
シリカＳｉＯ₂およびふっ化マグネシウムＭｇＦ₂からな
るグループの酸化物の一種または複数種を主成分として
いることを特徴としている。

【００２７】本発明は、保護膜の材質を規定している。
前述のように保護膜の膜厚、材質、成膜方法および材料
の粒径などによって直線透過率は変化するが、上記物質
を用いれば、直線透過率が９０％以上の保護膜を得るこ
とができる。

【００２８】請求項７の発明の紫外線ランプは、請求項
１ないし６のいずれか一記載の殺菌ランプにおいて、保
護膜は、粒径が０．１μｍ以下の微粒子からなることを
特徴としている。保護膜の膜厚は、保護膜の断面をＦＥ
−ＳＥＭによって撮影することで測定することができ
る。

【００２９】本発明は、上記粒径の微粒子を用いるか
ら、粒子間の隙間が極めて少なくて緻密な保護膜を形成
しやすい。緻密な保護膜は、水銀の障壁として効果が大
きい。

【００３０】請求項８の発明の紫外線ランプは、請求項
１ないし７のいずれか一記載の紫外線ランプにおいて、
保護膜は、膜厚が０．１〜２μｍの緻密な膜からなるこ
とを特徴としている。

【００３１】本発明は、保護膜の膜厚を規定している。
上記の範囲内であれば、本発明の作用をする。

【００３２】請求項９の発明の殺菌灯は、殺菌灯本体
と；殺菌灯本体に装着された請求項１ないし８のいずれ
か一記載の殺菌ランプと；を具備していることを特徴と
している。

【００３３】本発明の殺菌灯は、請求項１ないし８の紫
外線ランプの効果を奏する。

【００３４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。

【００３５】図１は、本発明の紫外線ランプの一実施形
態を示す一部切欠正面図である。

【００３６】図において、１は気密容器、２は電極、３
はアマルガム、４は保護膜、５は口金、６はステムであ
る。

【００３７】気密容器１は、紫外線透過性の円筒状の細
長いガラスバルブである。

【００３８】電極２は、通常の蛍光ランプに使用される
ものと同じ２重コイルフィラメントに電子放出物質を塗
布した熱陰極形のものである。

【００３９】アマルガム３は、水銀−亜鉛２ｍｇの粒子
を気密容器１内に遊動可能に封入した。

【００４０】保護膜４は、粒径０．１μｍの酸化イット
リウムＹ₂Ｏ₃の微粒子を水によく分散させてなる塗布液
を作製して、気密容器１内に流し込み、乾燥後焼成して
成膜したもので、膜厚１μｍである。

【００４１】口金５は、通常の紫外線ランプ使用のもの
と同じで、５ａは口金ピンである。

【００４２】ステム６は、電極を支持し、排気、放電媒
体の封入のために使用されるフレアステムである。

【００４３】本実施形態の紫外線ランプは、ＧＬ２０形
（管径３２．５ｍｍ、管長５８０ｍｍ）殺菌ランプとし
て製作した。

【００４４】次に、本実施形態の紫外線ランプを、従来
の保護膜のない殺菌ランプおよび保護膜を備えているが
液体水銀を封入した殺菌ランプと比較試験をした結果に
ついて説明する。各ランプを点灯３０００時間経過時に
以下の項目について測定した。

【００４５】１．水銀消耗量従来の殺菌ランプで保護膜のないものは水銀の消耗量が
１．２ｍｇ、同じく保護膜を有するものが０．６ｍｇで
あったのに対して、本実施形態の紫外線ランプは０．３
ｍｇであった。

【００４６】２．紫外線維持率従来の殺菌ランプで保護膜のないものは７１％、同じく
保護膜を有するものが８０％であったのに対して、本実
施形態の紫外線ランプは８７％であった。

【００４７】保護膜の材料の粒径について試験した結果
について説明する。

【００４８】本実施形態と同じＧＬ２０形において、保
護膜材料としてＹ₂Ｏ₃の粒径が０．０５μｍ、０．１μ
ｍ、０．２μｍ、０．３μｍ、１．０μｍの各粒子を用
いてそれぞれ膜厚１．０μｍの保護膜を形成した。水銀
としては、亜鉛−水銀アマルガム２ｍｇを封入した。

【００４９】粒径が０．０５および０．１μｍの微粒子
を材料とする保護膜を備えた殺菌ランプは、紫外線強度
が相対的に大きく、０．２、０．３および１．０μｍの
粒子を材料とするものは、紫外線強度が相対的に小さか
った。したがって、保護膜は粒径が０．１μｍ以下の場
合に顕著な効果が得られる。しかし、粒径が０．１μｍ
超えるものは、保護膜での水銀補足が生じるために、水
銀の消耗量が多少増えるものの保護膜を備えていないも
のや保護膜を備えているが液体水銀を封入したものに比
較すれば、明らかに大きい。

【００５０】図２は、本発明の殺菌灯を示す断面図であ
る。

【００５１】図において、２１は殺菌灯本体、２２は紫
外線ランプである。

【００５２】殺菌灯本体２１は、基体２１ａと紫外線反
射板２１ｂとからなり、壁などに直付けするか、天井な
どから吊り下げて設置される。内部に点灯装置（図示し
ない。）が収納されている。

【００５３】紫外線ランプ２２は本発明の紫外線ランプ
である。

【００５４】

【発明の効果】請求項１ないし８の発明によれば、水銀
封入量を少なくすることができるので、水銀べとに伴う
紫外線出力の低下が少ないとともに、環境保護を図るこ
とができる紫外線ランプを提供することができる。

【００５５】請求項２の発明によれば、加えて保護膜の
直線透過率が９０％以上にすることにより、紫外線維持
率を向上した紫外線ランプを提供することができる。

【００５６】請求項３の発明によれば、加えて水銀アマ
ルガムの水銀含有量を規定することにより、水銀べとを
一層減らした紫外線ランプを提供することができる。

【００５７】請求項４の発明によれば、加えて水銀とア
マルガムを形成する金属を規定することにより、気密容
器の着色を一層少なくした紫外線ランプを提供すること
ができる。

【００５８】請求項５の発明によれば、加えて水銀アマ
ルガムの封入量を規定することにより、水銀の使用量を
一層減らした紫外線ランプを提供することができる。

【００５９】請求項６の発明によれば、加えて保護膜の
材料を規定して保護膜としての機能を発揮しやすい紫外
線ランプを提供することができる。

【００６０】請求項７の発明によれば、加えて保護膜の
材料の粒径を０．１μｍに規定したので、紫外線強度が
相対的に大きい紫外線ランプを提供することができる。

【００６１】請求項８の発明によれば、加えて保護膜の
態様および膜厚を規定して実際的な効果を奏する紫外線
ランプを提供することができる。

【００６２】請求項９の発明によれば、以上の各発明の
効果を備えた殺菌灯を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の紫外線ランプの一実施形態を示す一部
切欠正面図

【図２】本発明の殺菌灯の一実施形態を示す断面図

【符号の説明】

１…気密容器２…電極３…水銀アマルガム４…保護膜

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】紫外線透過性の気密容器と；気密容器内に
封着した一対の電極と；気密容器内に封入したアマルガ
ムおよび希ガスを含む放電媒体と；気密容器の内面に形
成した透光性の保護膜と；を具備していることを特徴と
する紫外線ランプ。
【請求項２】紫外線透過性の気密容器と；気密容器内に
封着した一対の電極と；気密容器内に封入したアマルガ
ムおよび希ガスを含む放電媒体と；気密容器の内面に形
成した直線透過率が９０％以上の保護膜と；を具備して
いることを特徴とする紫外線ランプ。
【請求項３】アマルガムは、その水銀含有率が５〜７０
％であることを特徴とする請求項１または２記載の紫外
線ランプ。
【請求項４】アマルガムは、ビスマスＢｉ、亜鉛Ｚｎ、
錫Ｓｎ、アンチモンＳｂおよびインジウムＩｎからなる
グループの金属の一種または複数種と水銀の合金を主成
分としていることを特徴とする請求項１ないし３のいず
れか一記載の紫外線ランプ。
【請求項５】アマルガムは、０．１〜２ｍｇであること
を特徴とする請求項１ないし４のいずれか一記載の紫外
線ランプ。
【請求項６】保護膜は、アルミナＡｌ₂Ｏ₃、酸化イット
リウムＹ₂Ｏ₃、シリカＳｉＯ₂およびふっ化マグネシウ
ムＭｇＦ₂からなるグループの酸化物の一種または複数
種を主成分としていることを特徴とする請求項１ないし
５のいずれか一記載の紫外線ランプ。
【請求項７】保護膜は、粒径が０．１μｍ以下の微粒子
からなることを特徴とする請求項１ないし６のいずれか
一記載の紫外線ランプ。
【請求項８】保護膜は、膜厚が０．１〜２μｍの緻密な
膜からなることを特徴とする請求項１ないし７のいずれ
か一記載の紫外線ランプ。
【請求項９】殺菌灯本体と；殺菌灯本体に装着された請
求項１ないし８のいずれか一記載の紫外線ランプと；を
具備していることを特徴とする殺菌灯。