JPH10286587A - メタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法 - Google Patents

メタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法

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JPH10286587A
JPH10286587A JP9854297A JP9854297A JPH10286587A JP H10286587 A JPH10286587 A JP H10286587A JP 9854297 A JP9854297 A JP 9854297A JP 9854297 A JP9854297 A JP 9854297A JP H10286587 A JPH10286587 A JP H10286587A
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JP
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petroleum
tank
methane fermentation
producing bacteria
hydrogen
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JP9854297A
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Akira Matsunaga
旭 松永
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のメタン発酵処理と石油生産菌培養を組
合わせてメタン生成菌と石油生産菌を共存させることに
より、メタン発酵を高効率化させるとともに石油生産菌
培養に伴う石油生産のコストを低減させるようにした組
み合わせ処理方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 メタン発酵タンクに1、ガスホルダ4、
石油生産菌培養タンク5、水素及び二酸化炭素の供給手
段6、石油生産菌供給手段7を組み合わせて、メタン発
酵タンク1内の嫌気性菌の作用により基質の一部をメタ
ンに変換してガスホルダ4に貯留するとともに、石油生
産菌培養タンク5に石油生産菌用培養液と石油生産菌の
種菌及び水素と二酸化炭素を供給し、増殖した石油生産
菌を石油生産菌供給手段7により濃縮分離してメタン発
酵タンク1に供給することによってメタン発酵タンク1
内のメタン発酵の効率化をはかる処理方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機性の廃水とか廃
棄物のメタン発酵処理と石油生産菌培養の組合わせ処理
方法に関し、特にメタン生成菌と石油生産菌を共存させ
ることにより、メタン発酵を高効率化させるとともに石
油生産菌培養に伴う石油生産のコストを低減させるよう
にした処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から有機性の廃水及び廃棄物を嫌気
性処理によってメタン発酵を行う処理方法が広く用いら
れている。近年はUASB法のように比較的低濃度の廃
水をメタン発酵により処理する方法も行われている。
【0003】ここでメタン発酵について簡単に説明する
と、基質となる有機物は加水分解(液化)され、酸生成
菌により酢酸その他の揮発性有機酢酸を生成する。酢酸
は酢酸資化性メタン生成菌によりメタンに変換される。
これ以外の基質は加水分解と有機酸生成を経て酢酸,水
素,二酸化炭素等を生成してからメタン化される。ある
種のメタン生成菌はメタノールを直接資化してメタンを
生成することが知られている。
【0004】他方でプロピオン酸とか酪酸などの揮発性
有機酸は、水素や二酸化炭素を生成して酢酸に分解さ
れ、酢酸を経由してからメタンに変換される。水素資化
性メタン生成菌は水素と二酸化炭素からメタンを生成す
る。
【0005】メタン発酵が正常に進行するためには、加
水分解,酸生成,メタン生成の速度のバランスがとれて
いることが要求され、これらのバランスが崩れるとシス
テムフェイリュアー(異常発酵)が起こり易くなる。こ
のシステムフェイリュアーが起きると、回復するまでに
長時間を要する上、メタン発酵処理設備の処理能力が低
下して対応に苦慮するという不都合が生じる。
【0006】メタン発酵の処理効率を高める方法とし
て、発酵温度を高くしたり、固形有機物の可溶化を促進
するための物理化学的処理,酵素処理,メタン菌の流出
を防ぐための固定化処理などがあり、これらの一部は既
に実用化されている。特にUASB法はメタン菌の自己
固定化ともいうべき方法であり、処理効率が高いことで
知られている。
【0007】本出願人は先に特願平6−324159号
により、有機性廃棄物及び廃水を嫌気性処理する際に、
反応槽への原水投入量の指標として、有機物・酢酸資化
性メタン細菌負荷という制御因子を求めて、この制御因
子が適正範囲にあるように原水の流量を調節するように
した嫌気性処理の制御方法を提案した。更に特願平7−
266555号により、基本培地に汚泥消化槽から採取
した汚泥と種汚泥としての消化汚泥を加え、これに基質
としてエタノールを添加し、更に重炭酸ナトリウムを添
加しpHを調整してから適宜の温度条件下でメタンを発
生させるようにしたエタノールを基質としたメタン発酵
方法を提案した。
【0008】これを簡単に説明すると、一般に嫌気性処
理の諸方式における基質投入量の制御は、HRT(水理
学的滞留時間)と有機物容積負荷によって行われる。但
し固形物含量が低い場合には、有機物容積負荷の代わり
にTOC(総有機炭素量),COD(化学的酸素要求
量),BOD(生物化学的酸素要求量)等の容積負荷が
用いられる。
【0009】上記の特願平6−324159号によれ
ば、反応槽に付設された酢酸資化性メタン細菌濃度測定
手段の測定値に基づいて、演算式を用いて有機物・酢酸
資化性メタン細菌負荷が計算され、この結果から反応槽
に対する原水流量の最適な制御が実施される。特に上記
有機物・酢酸資化性メタン細菌負荷が適正な範囲に入ら
ない場合には、適正な範囲に入るような原水の流量を計
算により求めて、原水ポンプの流量を調節する制御が実
施可能となる。
【0010】又、特願平7−266555号によれば、
基質としてエタノールを添加し、更に重炭酸ナトリウム
NaHCO3を添加してpHを調整することにより、エ
タノールを基質としたメタン発酵において低pH条件で
も正常なメタン発酵を進行させることが可能となり、重
炭酸ナトリウムを添加することによって水素と炭酸ガス
からのメタン生成が促進されるとともに、エタノールか
らのVFA生成を促進する作用が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このようなメタン発酵
の処理においては、発酵温度を高めることにより処理効
率が高められるが、昇温のためのメタンガス自己消費量
が増大してエネルギー効率が低くなるため、処理対象物
が高温である場合以外は高温メタン発酵方法は用いられ
ていない。又、固形有機物の可溶化を促進するための物
理化学的処理とか酵素処理,固定化処理なども処理コス
トが高いという理由で普及していないのが現状である。
【0012】特に有機物のメタン発酵において処理効率
を高めるために過剰の有機物負荷をかけると、中間生成
物である低級脂肪酸を主体とした有機酸濃度が上昇して
pHが低下する。これに伴って非電離有機酸によりメタ
ン生成菌が阻害されてメタン生成速度が低下する。低級
脂肪酸の中でもプロピオン酸は特に分解しにくく、阻害
性が高いことが知られており、プロピオン酸の濃度が上
昇した場合には対応に苦慮することが多い。これはメタ
ン発酵における共通の問題点であって、UASB法の場
合も例外ではない。
【0013】プロピオン酸が酢酸と水素に分解する反応
は下記の(1)式によって表わされる。 CH3CH2COOH + H2O → CH3COOH + CO2 + 3H2 ・・・・・・・・・・(1) この反応は水素の生成を伴っているため、系内に水素が
蓄積すると熱力学的に不利となって反応の進行が停止す
る。メタン発酵が正常に進行している場合には、水素資
化性メタン生成菌が水素と二酸化炭素をメタンに変換す
るので、水素の濃度は低く保たれている。水素資化性メ
タン生成は下記の(2)式によって表わされる。 CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) 水素資化性メタン生成菌のメタン生成能力を超える量の
水素が生成して水素が系内に蓄積すると、これがきっか
けとなってプロピオン酸が蓄積するものと考えられてい
る。そこで水素が系内に蓄積されることを防止するため
に水素吸蔵合金を添加する方法もあるが、コストの面で
実用化はされていないのが実状である。一方、大阪大学
の今中忠行,森川正章氏らによる報告によると、油田土
壌から発見された細菌である石油生産菌を用いて、原材
料をCO2ガス、最終産物を石油の主要成分であるアル
カン/アルケンとする一連のプロセス(炭素物系循環
系)により構築したCO2固定と石油生成に関する微生
物学的方法が提供されている。この報告によると、嫌気
性の条件下で石油の主要成分であるアルカン/アルケン
を分解して生育する。
【0014】この細菌を分離培養している段階で以下の
事実が判明した。即ち、分離培養してHD−1株と命名
された培養菌株は、基質となるアルカン/アルケンが存
在しない条件下では逆にアルカン/アルケンを生成し
た。
【0015】この反応経路を研究することにより、この
菌は二酸化炭素と水素から石油の主要成分であるアルカ
ン/アルケンを生成することが判明した。又、この細菌
は脂肪酸からアルデヒトを経由してアルカン/アルケン
を生成するアルデヒトカルボニラーゼの酵素活性があ
り、パルミチン酸やヘキサデカナールからヘキサデカン
が生成した。
【0016】上記の反応も水素を消費する反応であり、
嫌気性条件下で水素を消費するという特性は水素資化性
メタン生成菌と類似しているものといえる。石油生産菌
がプロピオン酸等の低級脂肪酸を還元できるかどうかに
ついては不明であるが、アルデヒトカルボニラーゼ活性
があればプロピオン酸はプロパンに還元されて、プロピ
オン酸による阻害性が低下する可能性がある。
【0017】そこで本発明は上記に鑑みてなされたもの
であって、通常のメタン発酵処理と石油生産菌培養を組
合わせてメタン生成菌と石油生産菌を共存させることに
より、メタン発酵を高効率化させるとともに石油生産菌
培養に伴う石油生産のコストを低減させるようにした組
み合わせ処理方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、先ず請求項1により、メタン発酵タンク
と石油生産菌培養タンクとを組み合わせて、メタン発酵
タンク内の嫌気性菌の作用により基質の一部をメタンに
変換するとともに、石油生産菌培養タンクで増殖した石
油生産菌をメタン発酵タンクに供給することにより、該
石油生産菌の水素消費作用によりメタン発酵タンク内の
水素を低濃度に維持してメタン発酵の効率化をはかるよ
うにしたメタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方
法を提供する。
【0019】請求項2により、メタン発酵タンクに、ガ
スホルダ、石油生産菌培養タンク、水素及び二酸化炭素
の供給手段、石油生産菌供給手段とを組み合わせて、メ
タン発酵タンク内の嫌気性菌の作用により基質の一部を
メタンに変換してガスホルダに貯留するとともに、石油
生産菌培養タンクに充填した石油生産菌用培養液中に石
油生産菌の種菌と水素及び二酸化炭素の供給手段で得ら
れた水素と二酸化炭素を供給し、該石油生産菌培養タン
クで増殖した石油生産菌を石油生産菌供給手段により濃
縮分離してメタン発酵タンクに供給することにより、該
石油生産菌の水素消費作用によりメタン発酵タンク内の
水素を低濃度に維持してメタン発酵の効率化をはかる処
理方法を用いる。
【0020】又、請求項4により、前記石油生産菌培養
タンクで増殖培養された石油生産菌を、石油生産菌供給
手段により濃縮分離してメタン発酵タンクに供給し、石
油生産に関わる微生物の細胞壁と細胞膜をメタン発酵タ
ンク内で分解して石油の主要成分であるアルカン/アル
ケンを菌体外に漏出させ、メタン発酵タンク内の液相上
部に滞留したアルカン/アルケンをメタン発酵タンクか
ら引き抜き、静置分離又は遠心分離して精製することに
よって石油を抽出するメタン発酵と石油生産菌培養の組
合わせ処理方法を実現している。
【0021】更に請求項5,6により、UASBタンク
と石油生産菌培養タンクとを組み合わせて、UASBタ
ンク内の嫌気性菌の作用により基質の一部をメタンに変
換するとともに、石油生産菌培養タンクで増殖した石油
生産菌を包括固定化してUASBタンクに供給すること
により、該石油生産菌の水素消費作用によりUASBタ
ンク内の水素を低濃度に維持してメタン発酵の効率化を
はかるようにしたメタン発酵と石油生産菌培養の組合わ
せ処理方法を提供する。
【0022】かかる請求項1,2記載のメタン発酵と石
油生産菌培養の組合わせ処理方法によれば、メタン発酵
タンクに流入した有機性の基質が嫌気性菌の作用により
一部がメタンに変換されてガスホルダに貯留される。こ
の時に石油生産菌培養タンクには、石油生産菌用培養液
と石油生産菌の種菌が供給され、水素及び二酸化炭素の
供給手段で得られる水素と二酸化炭素が石油生産菌培養
タンクに供給されることにより石油生産菌が増殖する。
この増殖した石油生産菌は石油生産菌供給手段によって
濃縮分離されてメタン発酵タンクに供給され、該石油生
産菌の水素消費作用によりメタン発酵タンク内の水素を
低濃度に維持してメタン発酵の効率化をはかることがで
きる。
【0023】請求項4記載の処理方法によれば、石油生
産菌培養タンクで増殖培養された石油生産菌が石油生産
菌供給手段により濃縮分離されてメタン発酵タンクに供
給されると、石油生産に関わる微生物の細胞壁と細胞膜
がメタン発酵タンク内で分解されて石油の主要成分であ
るアルカン/アルケンが菌体外に漏出してメタン発酵タ
ンク内の液相上部に滞留するので、このアルカン/アル
ケンをメタン発酵タンクから引き抜いて静置分離又は遠
心分離して精製することにより、メタン発酵により生物
学的に石油分解菌を分解して石油生産を実用化すること
が可能となる。
【0024】更に請求項5,6記載の処理方法によれ
ば、UASBタンクの下方から流入した有機性の基質が
タンク内の嫌気性微生物の作用により一部がメタンに変
換されてガスホルダに貯留され、同時に石油生産菌培養
タンクには石油生産菌用培養液と石油生産菌の種菌が供
給され、水素及び二酸化炭素の供給手段で得られる水素
と二酸化炭素が石油生産菌培養タンクに供給されること
により石油生産菌が増殖する。この増殖した石油生産菌
は石油生産菌供給手段によって濃縮分離され、包括固定
化手段によって石油生産菌が包括固定化されてからUA
SBタンクに供給され、該石油生産菌の水素消費作用に
よりUASBタンク内の水素を低濃度に維持してメタン
発酵の効率化をはかることができる。
【0025】この包括固定化した石油生産菌がUASB
タンク内に滞留することにより、石油生産菌の水素消費
作用や脂肪酸の還元作用が持続して、UASBタンクの
処理効率が向上するという作用が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明にかかるメタン発酵と
石油生産菌培養の組合わせ処理方法の各種実施例を説明
する。
【0027】〔第1実施例〕本第1実施例は、プロピオ
ン酸等の低級脂肪酸が蓄積するきっかけとなるメタン発
酵タンク内における水素濃度の上昇を防止する方法とし
て、前記石油生産菌を用いて二酸化炭素と水素を石油の
主要成分であるアルカン/アルケンに変換し、且つ石油
生産菌をメタン発酵タンク内に適宜に供給することによ
って該石油生産菌の水素消費作用によりメタン発酵タン
ク1内の水素を低濃度に維持する方法を特徴とするもの
である。
【0028】図1により第1実施例の実際の装置例を説
明する。図中の1はメタン発酵タンク、2は基質の流入
口、3は同流出口、4はガスホルダ、5は石油生産菌培
養タンク、6は水素及び二酸化炭素の供給手段、7は石
油生産菌供給手段である。
【0029】かかる第1実施例の装置によれば、基質流
入口2からメタン発酵タンク1に有機性の基質を流入さ
せ、メタン発酵タンク1内の嫌気性菌の作用により基質
の一部がメタンに変換され、ガスホルダ4に貯留され
る。残部の基質は流出口3から流出する。他方で石油生
産菌培養タンク5は石油生産菌用培養液で満たされてお
り、この液中に予め石油生産菌の種菌を供給する。
【0030】水素及び二酸化炭素の供給手段6では、例
えばメタン発酵タンク1から発生するメタンと二酸化炭
素の混合ガスの水蒸気改質などによって水素と二酸化炭
素が得られるので、この水素と二酸化炭素を石油生産菌
培養タンク5に供給する。又、石油生産菌供給手段7は
石油生産菌培養タンク5で増殖した石油生産菌を濃縮分
離してメタン発酵タンク1に供給する機能を持つ。この
石油生産菌供給手段7には必要に応じて超音波破砕器の
ような菌体破砕手段を付加してもよい。
【0031】これは石油生産菌の生菌体をメタン発酵タ
ンク1に供給すると、水素資化性メタン生成菌と石油生
産菌とは共通の基質である水素を巡って競合関係にある
ため、石油生産菌の方が優占種となってメタン発酵が抑
制されることを防止するためである。そして石油生産菌
の生菌を供給しなくても石油生産菌が保有する酵素が供
給されることにより、水素を消費する作用が失われるこ
とがない。
【0032】第1実施例の装置を用いることにより、メ
タン発酵タンク1に石油生産菌を適宜に供給して該石油
生産菌の水素消費作用によりメタン発酵タンク1内の水
素を低濃度に維持することができる。
【0033】水素濃度が低く保たれることにより、プロ
ピオン酸などの低級脂肪酸から水素と酢酸を生成する反
応が進行してプロピオン酸濃度が低下し、更に石油生産
菌のアルデヒトカルボニラーゼの作用によって脂肪酸は
アルデヒドを経由してアルカン/アルケンに変換され、
脂肪酸の濃度が減少する。
【0034】〔第2実施例〕第1実施例はメタン発酵の
処理効率を高めるために石油生産菌をメタン発酵タンク
1に補填的に供給する方法であるが、石油の生産には重
点が置かれていない。その理由として、石油生産菌のア
ルカン/アルケン生産能力が低いことと、菌体内部に蓄
積したアルケンを有機溶媒で抽出する必要があることな
どにより、石油の実用的生産は生産コストが高いためで
ある。
【0035】しかし将来は菌の品種改良により石油生産
菌のアルカン/アルケン生産能力が向上することが期待
され、石油生産菌に生産物であるアルカン/アルケンを
菌体外に分泌するような性質が付与される可能性もあ
る。
【0036】そこで現在の技術を用いてメタン発酵を補
助的に利用して、石油生産菌を大量に培養してアルカン
/アルケンを生産することができる本発明の第2実施例
である石油生産方法を上記の図1に基づいて説明する。
【0037】前記したように石油生産菌は石油生産菌培
養タンク5で大量に増殖培養され、石油生産菌供給手段
7により石油生産菌が濃縮分離されてメタン発酵タンク
1に供給される。石油生産に関わる微生物はメタン発酵
タンク1内で細胞壁と細胞膜が分解されてアルカン/ア
ルケンが菌体外に漏出しやすくなる。漏出したアルカン
/アルケンは化学的に安定であり、メタン発酵の基質に
はならない。このアルカン/アルケンは疎水性で比重が
1以下であるため、大部分はメタン発酵タンク1内の液
相上部に滞留し、その一部が揮散して気相に移行する。
【0038】液相上部のアルカン/アルケンはメタン発
酵タンク1から引き抜かれて静置分離又は遠心分離して
から精製する。メタン発酵タンク1には石油生産菌その
もの、又は石油生産菌の細胞壁及び細胞膜の成分と構造
が同一もしくは類似した基質、例えばセルロース系とか
ヘミセルロース系の基質を供給して馴養を行い、その後
も石油生産菌を主たる基質とする。
【0039】かかる第2実施例によれば、メタン発酵に
より生物学的に石油分解菌を分解することにより、石油
生産を実用化する上で一つの難点として挙げられている
石油抽出コストが低下して、石油生産菌の培養における
原料である水素と二酸化炭素が供給され、且つ水素の生
産コストが低減するという作用が得られる。
【0040】〔第3実施例〕メタン発酵の新しい方法と
して開発されたUASB法はメタン菌の自己固定化方式
ともいえるものであり、基質は長い円筒の下から流入し
て上から流出する。従ってUASB法によるタンクに石
油生産菌を直接供給すると、菌が分散してタンク外に流
出してしまう惧れがある。
【0041】このUASB法とは、上昇流式嫌気性スラ
ッジブランケット法(Upflow anaerobic sludge blanke
t reactor process)の略称であり、従来から有機性廃
水の嫌気性処理方法の一つとして知られている。その方
法とは付着担体を用いないで汚泥自身のペレット状もし
くはグラニュール増殖によって沈降性の優れた嫌気性微
生物を高濃度に反応器に保持して高容積負荷を許容しよ
うとする高速嫌気性処理技術である。
【0042】このUASB法は、基質をUASBタンク
の底部から供給して嫌気性微生物と接触させ、有機物の
嫌気性分解によって発生したガスをUASBタンクの上
部に設置した気液分離装置により気液分離してからガス
はトラップで凝結水とか気泡が除かれて放出される一
方、処理液はトラップを介して流出させる方法である。
ガスが分離した汚泥は沈降性が良く、高い有機物負荷に
おいてもガス生成量が高いので、良好な処理性能が得ら
れ、且つ全体的な構造が簡単であるという特徴がある。
【0043】前記したようにUASB法のタンクに石油
生産菌を直接供給すると、菌が分散してタンク外に流出
してしまう惧れがあるので、これを防ぐために石油生産
菌を包括固定化して粒状にして供給する。包括固定化の
手段として例えばポリアクリルアミドゲルなどを用いる
方法がある。この方法を実際に行う第3実施例の方法を
図2により説明する。
【0044】尚、図1の第1実施例と同一の構成部分に
は同一の符号を付して表示してある。11はUASBタ
ンク、2は基質の流入口、3は同流出口、4はガスホル
ダ、5は石油生産菌培養タンク、6は水素及び二酸化炭
素の供給手段、7は石油生産菌供給手段、8は包括固定
化手段である。
【0045】かかる装置例によれば、UASBタンク1
1の下方の流入口2からからss濃度が低い有機性の基
質が流入して、タンク11内のグラニュール汚泥を構成
する嫌気性微生物の作用により基質の一部がメタンに変
換され、ガスホルダ4に貯留される。残部の基質はUA
SBタンク11の上方にある流出口3から流出する。
【0046】石油生産菌培養タンク5は石油生産菌用培
養液で満たされており、この液中に予め石油生産菌の種
菌を供給する。水素及び二酸化炭素の供給手段6は、例
えばUASBタンク11から発生するメタンと二酸化炭
素の混合ガスの水蒸気改質などによって水素と二酸化炭
素が得られるので、この水素と二酸化炭素を石油生産菌
培養タンク5に供給する。石油生産菌供給手段7は石油
生産菌培養タンク5で増殖した石油生産菌を濃縮分離す
る。包括固定化手段8はポリアクリルアミドゲルなどを
用いて石油生産菌を包括固定化する機能を持つ。この包
括固定化された石油生産菌がUASB法タンク11に適
宜供給される。
【0047】第3実施例の装置を用いることにより、U
ASBタンク11に包括固定化された石油生産菌を適宜
に供給することにより、該石油生産菌の水素消費作用に
よりUASBタンク11内の水素を低濃度に維持するこ
とができる。
【0048】この石油生産菌を直接UASBタンク11
内に分散した状態で供給しても、菌体が流出して水素消
費とか脂肪酸の還元などが起きにくいと考えられるが、
包括固定化手段8により石油生産菌の包括固定化を行う
ことにより、粒径が大きい粒子の中に石油生産菌が捕捉
されて沈降速度が遅くなり、UASBタンク11から流
出しにくくなるという作用がある。
【0049】又、包括固定化した石油生産菌がUASB
タンク11内に滞留することにより、石油生産菌の水素
消費作用や脂肪酸の還元作用が持続して、UASBタン
ク11の処理効率が向上するという作用が得られる。
【0050】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かるメタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法、
特に請求項1,2記載の処理方法によれば、メタン発酵
タンクにより有機性の基質を嫌気性菌の作用によりメタ
ンに変換する一方で、石油生産菌培養タンクで増殖した
石油生産菌を石油生産菌供給手段によって濃縮分離して
メタン発酵タンクに供給することにより、この石油生産
菌の水素消費作用でメタン発酵タンク内の水素を低濃度
に維持してメタン発酵の効率化をはかることができる。
【0051】更に請求項4記載の処理方法によれば、石
油生産菌培養タンクで増殖培養された石油生産菌を石油
生産菌供給手段により濃縮分離してメタン発酵タンクに
供給することにより、石油生産に関わる微生物の細胞壁
と細胞膜がメタン発酵タンク内で分解され、石油の主要
成分であるアルカン/アルケンが菌体外に漏出して液相
上部に滞留するので、このアルカン/アルケンをタンク
から引き抜いて静置分離又は遠心分離して精製すること
により、生物学的に石油分解菌を分解して石油生産を実
用化することができる。
【0052】前記メタン発酵タンクに変えてUASBタ
ンクを利用した際には、増殖した石油生産菌を石油生産
菌供給手段によって濃縮分離してから包括固定化手段に
よって石油生産菌を包括固定化した後にUASBタンク
に供給することにより、この石油生産菌の水素消費作用
でUASBタンク内の水素を低濃度に維持してメタン発
酵の効率化をはかることができる。又、包括固定化した
石油生産菌がUASBタンク内に滞留することによって
石油生産菌の水素消費作用と脂肪酸の還元作用が持続し
て、UASBタンクの処理効率が向上するという効果が
得られる。
【0053】従って本発明によれば、通常のメタン発酵
処理と石油生産菌培養とを組合わせてメタン生成菌と石
油生産菌を共存させることにより、メタン発酵を高効率
化させるのと同時に石油生産菌培養に伴う石油生産のコ
ストを低減させることができるという効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す概要図。
【図2】本発明の第3実施例を示す概要図。
【符号の説明】
1…メタン発酵タンク 2…流入口 3…流出口 4…ガスホルダ 5…石油生産菌培養タンク 6…水素及び二酸化炭素の供給手段 7…石油生産菌供給手段 8…包括固定化手段 11…UASBタンク

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタン発酵タンクと石油生産菌培養タン
    クとを組み合わせて、メタン発酵タンク内の嫌気性菌の
    作用により基質の一部をメタンに変換するとともに、石
    油生産菌培養タンクで増殖した石油生産菌をメタン発酵
    タンクに供給することにより、該石油生産菌の水素消費
    作用によりメタン発酵タンク内の水素を低濃度に維持し
    てメタン発酵の効率化をはかることを特徴とする、メタ
    ン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法。
  2. 【請求項2】 メタン発酵タンクに、ガスホルダ、石油
    生産菌培養タンク、水素、二酸化炭素の供給手段及び石
    油生産菌供給手段を組み合わせて、メタン発酵タンク内
    の嫌気性菌の作用により基質の一部をメタンに変換して
    ガスホルダに貯留するとともに、石油生産菌培養タンク
    に充填した石油生産菌用培養液中に石油生産菌の種菌と
    水素及び二酸化炭素の供給手段で得られた水素と二酸化
    炭素を供給し、該石油生産菌培養タンクで増殖した石油
    生産菌を石油生産菌供給手段により濃縮分離してメタン
    発酵タンクに供給することにより、該石油生産菌の水素
    消費作用によりメタン発酵タンク内の水素を低濃度に維
    持してメタン発酵の効率化をはかることを特徴とする、
    メタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法。
  3. 【請求項3】 前記石油生産菌供給手段に超音波破砕器
    などの菌体破砕手段を付加したことを特徴とする、請求
    項1又は2の何れか1項に記載のメタン発酵と石油生産
    菌培養の組合わせ処理方法。
  4. 【請求項4】 前記石油生産菌培養タンクで増殖培養さ
    れた石油生産菌を、石油生産菌供給手段により濃縮分離
    してメタン発酵タンクに供給し、石油生産に関わる微生
    物の細胞壁と細胞膜をメタン発酵タンク内で分解して石
    油の主要成分であるアルカン/アルケンを菌体外に漏出
    させ、メタン発酵タンク内の液相上部に滞留したアルカ
    ン/アルケンをメタン発酵タンクから引き抜き、静置分
    離又は遠心分離して精製することによって石油を抽出す
    ることを特徴とする、請求項1又は2の何れか1項に記
    載のメタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法。
  5. 【請求項5】 UASBタンクと石油生産菌培養タンク
    とを組み合わせて、UASBタンク内の嫌気性菌の作用
    により基質の一部をメタンに変換するとともに、石油生
    産菌培養タンクで増殖した石油生産菌を包括固定化して
    UASBタンクに供給することにより、該石油生産菌の
    水素消費作用によりUASBタンク内の水素を低濃度に
    維持してメタン発酵の効率化をはかることを特徴とす
    る、メタン発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法。
  6. 【請求項6】 UASBタンクに、ガスホルダ、石油生
    産菌培養タンク、水素及び二酸化炭素の供給手段、石油
    生産菌供給手段及び包括固定化手段を組み合わせて、U
    ASBタンク内の嫌気性菌の作用により基質の一部をメ
    タンに変換してガスホルダに貯留するとともに、石油生
    産菌培養タンクに充填した石油生産菌用培養液中に石油
    生産菌の種菌と水素及び二酸化炭素の供給手段で得られ
    た水素と二酸化炭素を供給し、該石油生産菌培養タンク
    で増殖した石油生産菌を石油生産菌供給手段により濃縮
    分離してから包括固定化手段で包括固定化してUASB
    タンクに供給することにより、該石油生産菌の水素消費
    作用によりUASBタンク内の水素を低濃度に維持して
    メタン発酵の効率化をはかることを特徴とする、メタン
    発酵と石油生産菌培養の組合わせ処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012172488A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Central Research Institute Of Electric Power Industry 油ガス田からの残留原油回収方法

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JP2012172488A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Central Research Institute Of Electric Power Industry 油ガス田からの残留原油回収方法

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