JPH10281533A - 床吹出し空調方式における室内温度の予測方法 - Google Patents

床吹出し空調方式における室内温度の予測方法

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JPH10281533A
JPH10281533A JP9086799A JP8679997A JPH10281533A JP H10281533 A JPH10281533 A JP H10281533A JP 9086799 A JP9086799 A JP 9086799A JP 8679997 A JP8679997 A JP 8679997A JP H10281533 A JPH10281533 A JP H10281533A
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temperature
floor
area
region
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Hisashi Fujita
尚志 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室内を上中下の三領域に分けてモデル化し、
各領域について熱収支式を適用することで、より実用に
近い温度プロフィールを得られるようにした。 【解決手段】 床側より空調空気を室内に供給し、天井
側に設けた吸込み口から排出する床吹出し空調方式にお
いて、室内を下から順に、誘引域:吹出し気流が居住
域の空気を誘引する領域、拡散混合域:吹出し気流域
の空気が居住域へ流れでるとともに、拡散混合により両
領域間に熱交換がある領域、ピストンフロー域:吹出
し気流域と居住域との温度差がなくなり空気が上向きに
一様に流れる領域、の三領域に分割したモデルとし、そ
れぞれの領域内における熱収支計算を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、床吹出し空調方
式における室内温度の予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、床吹出し方式の空調設備の設計
では、従来の天井吹出し方式と同様、室内の空気温が床
上高さによらず、一定と仮定されて設計されている。
【0003】ところが、実際には室内に上下温度差が生
じており、このため、一定と仮定した分だけ空調設備容
量が過大に見積られ、快適性や省エネルギー性が損われ
た設計・制御となっていた。
【0004】そこで、最適化設計のために、K−εモデ
ルなどの数値シュミレーション(CFD:Comput
er Fluid Dynamics)などの手法を用
いて室内温度の気流・温度分布を計算する手法も採用さ
れることもあるが、この場合には、計算機への入力が煩
雑であり、計算時間もかなりかかるものとなり、日常で
の設計業務には適さなかった。
【0005】これに対し、室内上下温度分布を簡易に予
測計算する手法として、従来では例えば日本建築学会計
画系論文報告集 第452号・1993年10月におけ
る「軸流型吹き出し口を用いた床吹き出し空調システム
の室内温度分布特性」27〜32頁には、室内を上下2
域に分割したモデルおよびこれに伴う熱収支式が提案さ
れている。
【0006】このモデル化方法は、図23に示すよう
に、室内に供給される冷風が室空気と完全に混合し、均
一温度分布が形成される室下部の領域である完全混合域
と、室上方に空気が移流し、温度勾配が生ずる上部領域
であるピストンフロー域との上下二領域に分けて考え、
それぞれの領域における熱収支式に、完全混合域の高さ
を与えることにより、上下の温度分布を求めるものであ
る。
【0007】この方法によれば、与えられたそれぞれの
熱収支式に実数値を代入するだけでよいため、予測計算
が簡単になるといった利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
モデル化方法では、モデルの特性上、算出される温度勾
配が上下2域の境界で急変し、実測値に対して誤差が大
きくなる傾向にあるため、設計への適用範囲が限られて
いた。
【0009】ところで、本発明者らは、室内の高さ方向
の温度性状を各測定点で測定した結果、気流性状の特徴
により、室内を下から順に、誘引域:吹出し気流が居
住域の空気を誘引する領域、拡散混合域:吹出し気流
域の空気が居住域へ流れでるとともに、拡散混合により
両領域間に熱交換がある領域、ピストンフロー域:吹
出し気流域と居住域との温度差がなくなり空気が上向き
に一様に流れる領域、の3つに分割したモデルとするこ
とで、このモデルがいずれの条件においても実測値と比
較的よく一致することを知見した。
【0010】この発明は、以上の着眼点に基づきなされ
たものであり、その目的は、室内を上中下の三領域に分
けてモデル化し、各領域について熱収支式を適用するこ
とで、より実用に近い温度プロフィールを得られるよう
にした床吹出し空調方式における室内温度の予測方法を
提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明のうち請求項1に記載の発明は、床側より空
調空気を室内に供給し、天井側に設けた吸込み口から排
出する床吹出し空調方式において、室内を下から順に、
誘引域:吹出し気流が居住域の空気を誘引する領域、
拡散混合域:吹出し気流域の空気が居住域へ流れでる
とともに、拡散混合により両領域間に熱交換がある領
域、ピストンフロー域:吹出し気流域と居住域との温
度差がなくなり空気が上向きに一様に流れる領域、の三
領域に分割したモデルとし、それぞれの領域内における
熱収支計算を行うことを特徴とするものである。
【0012】したがって、この発明方法では、各領域間
の温度落差が小さく、予測計算結果は実用上十分な精度
を得られる。
【0013】また、本発明のうち請求項2に記載の発明
は、室内の上下方向を複数の領域に分割するとともに、
最上層をピストンフロー域に、該ピストンフロー域以外
の領域を吹出し気流域と居住域に分割したモデルを用い
ることを特徴とするものであり、この発明によれば、さ
らに精度を上げることができる。
【0014】さらに、本発明のうち請求項3に記載の発
明は、各領域での熱収支式に適用するファクターを系統
的に算出するプログラムを用い、このプログラム内容に
沿って熱収支式を割出すことを特徴とするものであり、
この発明によれば、熱収支計算を迅速に行うことができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1
は、この発明方法を実施するための室内のモデル概念図
を示すもので、下から順に、誘引域:吹出し気流が居
住域の空気を誘引する領域、拡散混合域:吹出し気流
域の空気が居住域へ流れでるとともに、拡散混合により
両領域間に熱交換がある領域、ピストンフロー域:吹
出し気流域と居住域との温度差がなくなり空気が上向き
に一様に流れる領域、の三領域に分割されている。
【0016】またこれに加え、室内の水平方向を空調吹
出口に近い領域である吹出し気流域と、居住域に分割し
たモデルとし、それぞれの領域についての熱収支計算を
行うことで、その室内における熱負荷、吹出口風量の各
種条件下での室内温度プロフィールを求め、これと実測
値とを比較したところ、各領域における計算値と実測値
が比較的良く一致することを確認した。
【0017】したがって、この発明にあっては、床吹出
口タイプ、吹出口風量、人体、照明、OA機器など室内
熱負荷の各種条件から、室内温度プロフィールを予測出
来ることになり、またその室に応じた適正な空調設計・
制御により室内を常時快適に保つための情報を提供でき
る。
【0018】
【実施例】図2,3に示す実験室を構築し、各種条件に
より室内温度分布を測定し、この測定結果から、前記温
度プロフィールの予測モデルを構築した。
【0019】[実験概要] 実験室:図に示す実験室は、断熱材を内包する44mm厚
SUSサンドイッチパネルで囲われた中の、約5m×約
6m×2.7m高さの室である。室内へは8個の床吹出
口で給気され、天井埋込みの蛍光灯器具の隙間などから
天井裏経由で還気される。照明器具直下の温度測定点で
は放射遮蔽用に、床上235〜270cmの各点の上1cm
離して4×4cmのアルミホイルを水平においた。
【0020】実験条件:実験条件のパラメータの内、床
下への導入給気温を19℃、漏気量を0に設定し、床吹
出口タイプ・風量、室内熱負荷の三つを変化させた。室
内熱負荷は、照明、人体熱負荷模型、OA熱負荷模型と
からなる。人体熱負荷模型は服地を着せられた電気毛
布、またOA熱負荷模型は穴あきアクリル箱内に光が漏
れぬよう黒色鉄板で覆われた2個の100W電球ででき
ている。どちらも電圧を変化させることで発熱量を調整
できる。設定した実験条件毎にCASE−□□−□□□
の呼名で表現した。図4に実験条件とCASE名との対
応を示す。吹出口タイプ2種類(H,R)×風量3種類
(7、0、3)×室内熱負荷7種類(100、101、
102、110、111、112、200)=42種類
の実験条件を設定した。
【0021】測定方法:床下チャンバーへの給気導入ダ
クト出口で、ピトー管と精密微差圧計にて風速を5×5
箇所測定し、風量へ換算した。また床吹出口風量測定用
にファン付フードを製作した。測定時のフードの圧力損
失はファンにて相殺される。フード部と出口縮流部との
差圧に対する風量の関係式を予め求めておき、差圧を測
定することで風量に換算した。温度測定にはCC熱電対
を用いた。同一条件下で室内を放置し(3時間以上)、
室内温度が定常に達したと見なされた後、1分間隔で3
0回、温度を記録し、平均した。室内熱負荷は熱負荷種
類毎に積算電力計を付け計測した。
【0022】[測定結果]いずれのCASEでも、全吹
出口の風量が均等(差が1m3 /h個以内)であること
を確認した。二重床パネルの合わせ目を下面よりテープ
で密封することで、漏気量を極力抑えた。床下への導入
給気量と床吹出口風量合計との差は、いずれのCASE
でも±2%に留まっており、漏気量は殆ど無視できると
言える。
【0023】[室内温度分布] (1)測定点の分類 測定された温度プロフィールを全測定点で比べると、実
験条件によらず次の5通りに分類できた。同じ分類の中
では測定点同士、値はほぼ等しい。 1)吹出し気流域(図2のP4,P5) 2)居住域(同P1,P2,P6,P8,P11,P1
1) 3)混合域(同P2,P7,P15,P16,P1
7);居住域と比べ吹出し気流の影響を受け、温度の低
い部分がある。 4)机上域(同P13,P14);居住域と比べ、机直
上のみ温度が高い。
【0024】5)熱気団域(同P9,P10);熱負荷
上のため居住域と比べ、どの高さでも温度が高い。 以降の解析ではP4,P5,P6,P8をそれぞれ吹出
し気流域、居住域を代表する測定点とし、平均した値を
代表プロフィールとして用いた。
【0025】(2)温度プロフィールと実験条件との関
係 吹出し気流域と居住域の代表プロフィールを各実験毎に
比べた結果、図5〜図9に示すように、5タイプに分類
できた。図中左側温度プロフィール例を示すグラフ、右
側は気流性状の概念図を示す。なお、温度プロフィール
と実験条件との関係を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】(3)室内気流性状の推定 以上の図5〜図9に示す5タイプに分類した温度プロフ
ィールの特徴、およびこの特徴から気流性状の推定を以
下のごとく試みた。なお、タイプBで吹出し気流の一部
が室内空気と完全に混合する前に還気されている点が注
目される。
【0028】図5のタイプA1の温度プロフィールの特徴
は次の通りである(グラフ参照)。 吹出し気流域:床上85〜135cm以上で居住域の温
度とほぼ等しい。 居住域:高さに関わらず、ほぼ温度一定。 熱負荷が小さいときに生ずる。 以上によりタイプA1の気流性状は次の通り推定される
(概念図参照)。 ・居住域温と吹出口気流温の差が小さすぎ、床上85〜
135cm以上では温度差が観察できないため、気流性状
が推定できない。
【0029】図6のタイプA2の温度プロフィールの特徴
は次の通りである(グラフ参照)。 吹出し気流域:床上85〜135cm以上で居住域の温
度とほぼ等しいが、天井直下で居住域の温度より高くな
る。 居住域:下部でほぼ温度一定。天井直下で緩やかな温
度上昇。 タイプA1より吹出口風量が小さいか、やや熱負荷が
大きいときに生ずる。 以上によりタイプA2の気流性状は次の通り推定される
(概念図参照)。 ・吹出し気流が天井面まで到達し、天井直下で生ずる若
干の下降気流が熱を下方に運ぶ。
【0030】図7のタイプBの温度プロフィールの特徴
は次の通りである(グラフ参照)。 吹出し気流域:どの高さでも居住域の温度より低い
(等しくならない)。 居住域:下部でほぼ温度一定。上部では上に行くほど
温度上昇率大きい。 床吹出口Hで吹出口風量が大きく、熱負荷が大きすぎ
ないときに生ずる。 以上によりタイプBの気流性状は次のように推定される
(概念図参照)。 ・吹出し気流は居住域の空気と完全に混合する前に天井
に達し、一部はそのまま還気される(ショートサーキッ
ト)。
【0031】図8のタイプC1の温度プロフィールの特徴
は次の通りである(グラフ参照)。 吹出し気流域:ある高さから上で居住域温度とほぼ等
しい。 居住域:下部でほぼ温度一定。中部では上ほど温度上
昇率が大きく、吹出し気流域温度と差がなくなってから
上では上ほど温度上昇率小さい。 熱負荷がある程度以上ある時。但し床吹出口Rでは、
これに加え吹出口風量の大きいときに生ずる。 以上によりタイプC1の気流性状は次のように推定され
る(概念図参照)。 ・吹出し気流は下部で居住域の空気を誘引、中部で居住
域側に流出しつつ止り、以降は上向きのピストンフロー
となる。
【0032】図9のタイプC2の温度プロフィールの特徴
は次の通りである(グラフ参照)。 吹出し気流域:ある高さから上で居住域温度とほぼ等
しい。 居住域:ある高さまでほぼ温度一定。吹出し気流域温
度がその温度に近づいて差がなくなり、それから上では
上に行くほど温度上昇率小さい。 床吹出口Rで吹出口風量が大きくなく、かつ熱負荷が
ある程度以上ある時に生ずる。 以上により、タイプC2の気流性状は次のように推定さ
れる(概念図参照)。 ・吹出し気流は下部で居住域の空気を誘引後すぐに居住
域側に流出して止まり、以降は上向きのピストンフロー
となる。
【0033】[温度プロフィールの予測モデル]次に、
以上の測定で得られた気流性状5タイプを包括的に表す
ことのできる予測モデルを提案した。図10にその予測
モデルを示す。このモデルは室内を水平方向に2領域
(吹出し気流域、居住域)高さ方向に11層からなるも
のである。1領域の1層(セルと呼称)内では温度均一
とする。層厚さは、温度測定値との照合のため、温度測
定点をほぼ中央に含むよう原則25cm厚とした。さらに
気流性状の特徴により11層を次の三領域に分けた。 1)誘引域:吹出し気流域が居住域の空気を誘引。 2)拡散混合域:吹出し気流域の空気が居住域へ流れで
るとともに、拡散混合により両領域間に熱交換がある
(単位高さあたりの熱交換量は温度差と比例すると仮定
し、比例定数を拡散混合定数と定義)。 3)ピストンフロー域:吹出し気流と居住域との温度差
がなくなり空気は上向きに一様に流れる。
【0034】さらに表1のタイプC1,C2において吹
出し気流域と居住域の温度差がほとんどなくなる(0.
2℃以内と設定した)最小床上高さを気流到達高さと定
義する。
【0035】次に、セル内のバランス式を表2に示す。
表中の記号、およびその単位は次の通りである。 C:空気の比熱[J/℃Kg] γ:空気の密度[Kg/m3 ] n:層の番号(床直上の層でn=1) to(n):吹出し気流域の温度[℃] Vo(n):吹出し気流域の風量[m3 /h個] ta(n):居住域温度[℃] Va(n):居住域風量[m3 /h個] Ve(n):誘引風量[m3 /h個] Ce:拡散混合係数[W/m℃個] L(n):層厚さ[m] Qa(n):層への与熱量[W/個] なお、「個」は吹出口1個あたりを表す。
【0036】
【表2】
【0037】以上の表2に示す式は、行列式At=qの
形にまとめられる。ここでtは、to(n)とta
(n)とからなり、qはQa(n)からなる。Aとqが
与えられれば、Aの逆行列によりtを算出できる。Aと
qの各要素を求めるための計算プログラムの流れ図を図
11に示す。この計算フローは上述の予測モデルを基
に、次に説明する測定された温度プロフィールの解析結
果からまとめた。
【0038】[測定された温度プロフィールの解析結
果] (1)誘引域高さと誘引風量 誘引域では居住域から吹出し気流域へ空気が流れ、それ
以外の熱移動は無視できると仮定した。この仮定から、
誘引域では居住域温一定と導ける。殆ど全ての実験CA
SEにおいて測定された居住域温が0.3℃差以内を判
断基準として、誘引域高さ72.5cm(3層)を得た。
なお、以下この3層の居住域温の平均値を居住域床上温
と呼称する。また熱バランス式と温度測定値から層ごと
の誘引風量を算出できる。床吹出口タイプHでは、図1
2に示すように、誘引風量合計が吹出口風量にほぼ比例
することが見いだされた。床吹出口タイプRでは誘引風
量合計値のばらつきが大きいものの、平均値から吹出口
風量に関わらず誘引風量合計が一定(280m3 )と見
なせた。
【0039】(2)居住域床上温 吹出し気流温から居住域床上温への温度上昇に各熱負荷
がどの程度寄与するかを温度上昇寄与率にて表した。こ
れは、温度上昇を従属変数、熱負荷温度差(熱負荷全て
が吹出口風量分の空気に与えられたと仮定したときの温
度上昇)3種(照明、人体、OA)を独立変数とおいて
回帰分析したときの各独立変数の係数と定義できる。こ
の回帰分析結果を図13に示す。
【0040】(3)吹出し気流温の推定 図14に、床下チャンバーへの導入給気温、吹出し気流
温、居住域床上温の関係を示す。本実験室の構造では、
居住域床上温と吹出し気流温との温度差1に対し、吹出
し気流温と導入給気温との温度差が約0.3である。こ
の関係を用い、導入給気温が既知の場合、温度上昇寄与
率から吹出し気流温を推定できる。
【0041】(4)気流到達高さ 居住域床上温を用いてアルキメデス(Ar)数が計算で
きる。図15より気流到達高さはAr数の(−1/2)
乗にほぼ比例すると言える。
【0042】(5)風量の算出 誘引域では居住域から吹出し気流域へ、拡散混合域では
吹出し気流域から居住域へと空気が流れるが、各領域で
単位高さあたりの流量一定と仮定すれば、風量バランス
から全セル間の風量が計算できる。
【0043】(6)与熱量合計 セル間の風量と温度測定値から各層の熱バランスを考え
ると層毎の与熱量が求まる。与熱量合計と各熱負荷との
関係を与熱量寄与率にて表した(温度上昇寄与率と同様
の概念)。与熱量寄与率は吹出口風量に依らず、床吹出
口タイプH(またはR)で、照明;19(17)%、人
体;83(80)%、OA;88(94)%となった。
【0044】(7)与熱量%プロフィール 各層への与熱量を与熱量合計で割った百分率(%)を与
熱量%と定義し、そのプロフィールを与熱量%プロフィ
ールとする。与熱量%プロフィールは図16に示すよう
に、近似できる。すなわち、拡散混合域では与熱量%は
高さに依らず一定、またピストンフロー域では高さに伴
って減少する。ピストンフロー域の与熱量%の合計は、
図17に示すように、Ar数の(−1/2)乗にほぼ比
例するので、この関係を用いて与熱量%を設定できる。
【0045】(8)拡散混合係数 拡散混合係数を床上高さに依らず一定と仮定し、温度測
定結果を最も良く表す値を求めると床吹出口タイプH
(またはR)で70(130)W/m℃個となった。
【0046】[温度プロフィールの予測計算] (1)予測計算の精度 予測モデルによる計算の精度を調べるため、実験CAS
Eと同じ条件で温度プロフィールを計算し、測定データ
と照合した。結果の例を図18に示す。この例のように
計算値は測定されたプロフィールをおおむね良く表し
た。また図19に居住域の床上高さ10cmと185cmの
温度差を、計算値と測定値で比較した結果を示す。この
結果により、どのCASEでも誤差が0.5℃以内にお
さまることが確認された。
【0047】(2)試算条件 床吹出口タイプHにおいて、照明・人体からの発生熱量
をそれぞれ170、52W/個と設定して試算した結果
を図20、21に示す。図20は、居住域の床上高さ1
0cmと185cmの温度差、また図21は両者の平均値
(吹出し気流温基準)である。
【0048】(3)室内一様拡散との比較 図21と同一条件、但し室内一様拡散の場合の室内温度
(吹出し気流温基準)を図22に示す。図21との比較
で次のことが分る。 1)いずれのOA熱負荷・吹出口風量条件でも、床吹出
し方式の方が一様拡散の場合より温度が低い。すなわ
ち、同じ室内設定温を拘束条件とすると、床吹出し方式
の方が、同じ吹出口風量であれば給気温度を高くでき、
同じ給気温度であれば、吹出口風量を少なくできる。換
言すれば、床吹出し方式の方が居住域内で処理すべき熱
負荷量が少なく、省エネルギー的である。 2)同じ吹出口風量では、OA熱負荷が大きくなると床
吹出し方式の方が温度上昇が緩やかである。すなわち、
一様拡散の場合に比べて床吹出し方式は、熱負荷の増加
に対して居住域の温度上昇を抑制する。
【0049】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明に係る床吹出し空調方式における室内温度の予測方法
にあっては、比較的広い範囲の設計条件で室内温度プロ
フィールを簡単に算出でき、これにより、日常の設計業
務などにおいて各種条件での室内温度プロフィールを算
出・比較できる。
【0050】そして、これにより、より快適性および省
エネルギー性に優れた設備や制御方法を求めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための室内のモデル概念
図である。
【図2】実施例で用いた実験室の平面図である。
【図3】同断面図である。
【図4】各実験CASEの記号内容を表す説明図であ
る。
【図5】タイプA1における温度プロフィールのグラフ
と気流性状の概念図である。
【図6】タイプA2における温度プロフィールのグラフ
と気流性状の概念図である。
【図7】タイプBにおける温度プロフィールのグラフと
気流性状の概念図である。
【図8】タイプC1における温度プロフィールのグラフ
と気流性状の概念図である。
【図9】タイプC2における温度プロフィールのグラフ
と気流性状の概念図である。
【図10】実験で用いた温度プロフィール予測モデルの
模式図である。
【図11】温度プロフィールの計算プログラムの流れ図
である。
【図12】誘引風量合計と吹出口風量との関係を示すグ
ラフである。
【図13】温度上昇寄与率を示すグラフである。
【図14】導入給気温〜吹出し気流温〜居住域床上温の
関係を示すグラフである。
【図15】気流到達高さとAr数との関係を示すグラフ
である。
【図16】与熱量%プロフィールの設定を示すグラフで
ある。
【図17】ピストンフロー域の与熱量%とAr数との関
係を示すグラフである。
【図18】温度プロフィールにおける計算値〜測定値の
比較を示すグラフである。
【図19】床高さ10cmと185cmの居住域温度差にお
ける計算値〜測定値を比較したグラフである。
【図20】床上高さ10cmと185cmの居住域温度差計
算値を示すグラフである。
【図21】床上高さ10cmと185cmの居住域温平均計
算値を示すグラフである。
【図22】室内一様拡散時の温度計算値を示すグラフで
ある。
【図23】従来方法による室内モデル概念図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床側より空調空気を室内に供給し、天井
    側に設けた吸込み口から排出する床吹出し空調方式にお
    いて、 室内を下から順に、誘引域:吹出し気流が居住域の空
    気を誘引する領域、拡散混合域:吹出し気流域の空気
    が居住域へ流れでるとともに、拡散混合により両領域間
    に熱交換がある領域、ピストンフロー域:吹出し気流
    域と居住域との温度差がなくなり空気が上向きに一様に
    流れる領域、の三領域に分割したモデルとし、それぞれ
    の領域内における熱収支計算を行うことを特徴とする床
    吹出し空調方式における室内温度の予測方法。
  2. 【請求項2】 室内の上下方向を複数の領域に分割する
    とともに、最上層をピストンフロー域に、該ピストンフ
    ロー域以外の領域を吹出し気流域と居住域に分割したモ
    デルを用いることを特徴とする床吹出し空調方式におけ
    る室内温度の予測方法。
  3. 【請求項3】 各領域での熱収支式に適用するファクタ
    ーを系統的に算出するプログラムを用い、このプログラ
    ム内容に沿って熱収支式を割出すことを特徴とする請求
    項1または2に記載の床吹出し方式空調方式における室
    内温度の予測方法。
JP9086799A 1997-04-04 1997-04-04 床吹出し空調方式における室内温度の予測方法 Pending JPH10281533A (ja)

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