JPH10262680A - Rho標的タンパク質ヒトmDiaおよびその遺伝子 - Google Patents
Rho標的タンパク質ヒトmDiaおよびその遺伝子Info
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Abstract
パク質の提供。 【解決手段】 下記の特徴を有するヒト由来のタンパク
質またはその誘導体:(1)活性型Rhoタンパク質結
合能を有する、(2)プロフィリン結合能を有する、
(3)遺伝子がヒト染色体5q31.2に位置する、
(4)分子量がSDS−PAGEによる測定で約150
kDaである。このタンパク質をコードする塩基配列を
用いて気道過敏症、気管支喘息、急性骨髄性白血病(A
ML)および骨髄異形成症候群(MDS)等の診断を行
なうことができる。
Description
に詳細には、その遺伝子およびそれを含む診断薬に関す
る。
万の一群の低分子量GTP結合タンパク質(Gタンパク
質)が存在している。現在、低分子量Gタンパク質のス
ーパーファミリーには酵母から哺乳動物に至るまですで
に50種類以上のメンバーが見出されている。低分子量
Gタンパク質は、アミノ酸配列の類似性からRas、R
ho、Rab、その他の4つのファミリーに大別するこ
とができる。この低分子量Gタンパク質は種々の細胞機
能を制御していることが明らかになってきており、例え
ば、Rasタンパク質は細胞の増殖や分化等を、Rho
タンパク質は細胞の形態変化や細胞接着、細胞運動等を
それぞれ制御していると考えられている。
TP結合能および内在性GTPase活性を示し、リゾ
ホスファチジン酸(LPA)およびある種の成長因子等
のような細胞外シグナルに対する細胞骨格応答に関係し
ているとされている。不活性型であるGDP結合Rho
タンパク質にある刺激が与えられると、Smg GD
S、DblやOstのようなGDP/GTP変換タンパ
ク質の働きによって活性型であるGTP結合Rhoタン
パク質(以下、「活性型Rhoタンパク質」という)に
変換される。そして、この活性型Rhoタンパク質が標
的タンパク質に作用することによってストレス繊維およ
び接着斑が形成され、細胞接着および細胞運動等が誘導
されると考えられている(実験医学 vol.12,No.8,97-10
2(1994) 、Takai, Y. et al. Trends Biochem. Sci., 2
0, 227-231 (1995) )。一方、Rhoタンパク質内在性
GTPaseにより活性型Rhoタンパク質はGDP結
合Rhoタンパク質に変換される。この内在性GTPa
seの活性を亢進するタンパク質はGTPase活性化
タンパク質(GAP)(Lamarche, N. & Hall,A. eta
l.,TIG, 10, 436-440 (1994) )と呼ばれている。
質、RhoCタンパク質、Rac1タンパク質、Rac
2タンパク質、Cdc42タンパク質のようなRhoフ
ァミリーのタンパク質のアミノ酸配列は、お互いに50
%以上の類似性がある。このRhoファミリーのタンパ
ク質は、リゾフォスファチジル酸(LPA)や増殖因子
のような細胞外シグナルに応答して、ストレス繊維(st
ress fiber)やフォーカルコンタクト(focal contact
)の形成を引き起こす反応に関与していると考えられ
ている(A. J. Ridley & A. Hall、Cell,70,389-399 (1
992) ,A. J. Ridley& A. Hall, EMBO J.,1353,2600-261
0(1994))。また、サブファミリーであるRhoタンパ
ク質は、細胞の形態変化(H.F.Parterson et al., J.Ce
ll Biol.,111,1001-1007 (1990) )、細胞接着(Morii,
N. et al.,J. Biol.Chem. 267, 20921-20926 (1992) 、
T. Tominaga et al.,J.Cell Biol., 120, 1529-1537(19
93) 、Nusrat, A. et al.,Proc, Natl. Acad. Sci. US
A, 92, 10629-10633 (1995)、Landanna, C. et al., Sc
ience 271, 981-983 (1996))、細胞運動(K. Takaishi
et al.,Oncogene,9,273-279 (1994))、細胞質分裂(cy
tokinesis )(K. Kishiet al.,J. Cell Biol.,120,118
7-1195(1993) 、I. Mabuchi et al.,Zygote,1,325-331
(1993))のような細胞骨格の再編成をともなった生理機
能にも関連があると考えられている。更に、Rhoタン
パク質は、平滑筋収縮(K. Hirata et al.,J. Biol. Ch
em.,267,8719-8722(1992) 、M. Noda et al., FEBS Let
t., 367, 246-250 (1995) 、M. Gong et al.,Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 93,1340〜1345(1996) )、フォス
ファチジルイノシトール 3−キナーゼ(PI3−キナ
ーゼ)(J. Zhang et al.,J. Biol. Chem.,268,22251-2
2254 (1993) )、フォスファチジルイノシトール 4−
リン酸 5−キナーゼ(PI 4,5−キナーゼ)(L.
D. Chong et al.,Cell,79,507-513(1994))やc−fo
sの発現(C. S. Hillet al.,Cell,81,1159-1170(1995)
)の制御にも関与していることが示唆されている。
したRhoタンパク質が細胞内に導入されるとRas依
存的な腫瘍形成が抑制されること等が見出され、Rho
タンパク質がRasによる細胞の形質転換、すなわち腫
瘍形成、において重要な役割を果たしていることが明ら
かにされている(G.C.Prendergast et al.,Oncogene,1
0,2289-2296(1995)、Khosravi-Far,R.,et al.,Mol.Cel
l.Biol.,15,6443-6453(1995)、R.Qiu et al.、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,92,11781-11785(1995) 、およびLebowi
tz,P.et al.,Mol.Cell.Biol.,15,6613-6622(1995) )。
また、Rhoタンパク質のGDP/GTP変換タンパク
質が変異すると、細胞が形質転換することが明らかにさ
れている(Collard,J.,Int.J.Oncol.,8,131 〜138(199
6) )、Hart,M. et al.,J.Biol Chem.,269,62-65 (199
4)、Horii,Y. et al., EMBO J., 13,4776-4786 (1994)
)。更に、Rhoタンパク質はガン細胞の浸潤、すな
わちガン転移に関与していることが明らかにされている
(Yoshioka,K.et al.,FEBS Lett.,372,25 〜28 (1995)
)。ガン細胞の浸潤には、ガン細胞の細胞接着能の変
化が密接に関連しているが、Rhoタンパク質は細胞接
着に関与することが明らかにされている(前掲 Morii,
N.et al.(1992)、Tominaga,T. et al.(1993)、Nusrat,
A.et al.(1995) 、Landanna,C.et al.(1996) )。
イノシチドキナーゼの関与が報告されている。Rho
(Chong, L.D. et al., Cell, 79, 507-513 (1994))お
よびRhoファミリー低分子量Gタンパク質の他のメン
バーであるRac(Hartwig, J.H. et al., Cell, 82,
643-653 (1995)) は、異なる細胞系においてホスファ
チジルイノシトールビスホスフェート(PIP2)の合
成を刺激することが証明された。PIP2の結合は多数
のアクチン関連タンパク質の機能を調節すると考えられ
る(Janmey, P.A., Ann. Rev. Physiol., 56, 169-191
(1994))ので、細胞内局在的なその生合成によってフォ
ーカルアクチン再構成が促進されると考えられる。PI
P2により調節されるタンパク質の1つはプロフィリン
であり、これはアクチンモノマーと複合体を作り、そし
てPIP2との結合の際アクチンを解離する。プロフィ
リンは、また、チモシンβ4の存在下においてアクチン
フィラメントの界合を促進する(Pantaloni, D., & Crl
ier, M-F, Cell, 75, 1007-1014 (1993))。従って、プ
ロフィリンの接着部位への蓄積がアクチン再構成におい
て重要であると考えられる(Theriot, J. A. & Mitchis
on, T. J., Cell, 75,835-838 (1993) )。
運動性、形態、食作用および細胞質分裂において重要な
役割を果たす。それは空間的および動的に再構成され、
大部分の真核細胞の形態変化および細胞表面運動のため
の力を提供する。アクチンの再構成(rearrangement )
は細胞外の刺激により急速に引き起こされ、一連のアク
チン結合タンパク質はアクチンフィラメントの重合、架
橋および固定に共調的に作用すると考えられる。低分子
量Gタンパク質Rhoは多数のアクチン依存性細胞プロ
セス、例えば、血小板凝集(Morii, N. et al., J. Bio
l. Chem., 267,20921-20926 (1992) )、リンパ球接着
(Tominaga, T. et al., J. Cell. Biol., 120, 1529-1
537 (1993 ))、細胞運動性の亢進(Takaishi, K. et
al., Oncogene, 11, 39-48 (1995) )、および収縮環の
形成および細胞質分裂(Kishi, K. et al., J. Cell Bi
ol., 120, 1187-1195 (1993)、およびMabuchi, I. et a
l., Zygote, 1, 325-331 (1993) )に必要とされること
が示されている。培養した線維芽細胞において、Rho
タンパク質をマイクロインジェクションすると、アクチ
ン・ストレスファイバーやフォーカル接着(focal adhe
sion)の形成を急速に誘導する。逆に、ボツリヌス菌
(botulinum )のC3菌体外酵素(ADP−リボシルト
ランスフェラーゼ)によるRhoの不活性化はこのプロ
セスを阻害する(Ridley, A. J. & Hall, A., Cell, 7
0, 389-399 (1992))。C3菌体外酵素の処理は、ま
た、フォーカル接着キナーゼ(focal adhesion kinase:
FAK)およびパキシリン(paxillin)のリゾホスフ
ァチジン酸(LPA)−、エンドセリン−またはGTP
γS−誘導性チロシンリン酸化を阻害する(Kumagai,
N. et al., J. Biol. Chem., 268, 24535-24538 (1993)
、Rankin, S. et al., FEBS Lett., 354, 315-319 (19
94)、Ridley, A. J. & Hall, A., Cell, 70, 389-399
(1992)、およびSeckl, M. J. et al., J. Biol. Chem.
270, 6984-6990 (1995) )。これらの結果より、Rho
タンパク質が細胞外刺激とアクチン細胞骨格の再構成と
を連結するシグナル伝達経路を調節することが示されて
いる。
り、上記の多数のシグナル伝達経路を調節していると考
えられている。ごく最近、哺乳類において、いくつかの
候補タンパク質が報告された。これらのタンパク質は、
プロテインキナーゼN(PKN)(Watanabe, G. et a
l., Science 271, 645-648 (1996); Amano, M. et al.,
Sceince 271, 648-650 (1996) )、ローフィリン(Wat
anabe, G. et al., Science 271, 645-648 (1996))、
シトロン(Madaule, P. et al., FEBS Lett. 377, 243-
248 (1995))、p160ROCK(Ishizaki, T. et a
l., EMBO J., 15,1885-1896 (1996))、ROKα(Leun
g, T. et al., J. Biol. Chem. 270, 29051-29054 (199
5))、Rho結合キナーゼ(Matsui,T.et al.,EMBO J.1
5,1885-1893(1996))、ローテキン(Reid,T.et al.,J.Bi
ol.Chem.,271,9816-9822(1996) )、ミオシン軽鎖ホス
ファターゼ(Kimura, K. et al., Science, 273, 245-2
48(1996))、マウスmDia(成宮 周ら、日本生化学
会、日本分子生物学会合同年会講演要旨集、31頁および
319頁(1996年))である。これらのタンパク質はいずれ
もGTP結合RhoAタンパク質に結合する(ただし、
シトロンだけはGTP結合Rac1タンパク質にも結合
する)。
ae)に関して、次のようなRhoタンパク質の標的タン
パク質が報告された:Pkc1p(Nonaka, H. et al.,
EMBO J. 14: 5931-5938(1995); Kamada, Y. et al.,
J. Biol. Chem. 271: 9193-9196(1996))、1,3-β-グ
ルカンシンターゼ(Drgonova, J. et al., Science 27
2: 277-279(1996);Qadota, H. et al., Science 272:
279-281(1996))およびBni1p(Kohno, H. et al.,
EMBO J. 15: 6060-6068(1996))。一方、ポリ−プロリ
ン領域およびFH2領域を含むタンパク質として、出芽
酵母のBni1p(前掲Kohno, H. et al. (1996))、
ショウジョウバエのディアファノス(diaphanous)(Ca
strillion, D. H. & Wasserman, S. A., Development 1
20: 3367-3377(1994))およびカプシノ(cappuccino)
(Emons et al., Genes & Dev. 9: 2482-2494(199
5))、並びにマウスのフォルミン(Woychick et al., N
ature 346: 850-853(1990))およびmDia(前掲、成
宮ら(1996))が知られている。
クチン細胞骨格の再構成を調節するプロフィリンに結合
するヒトのRho標的タンパク質に関する報告は本発明
者が知る限りなされていない。
ッド・システムを使用して、Rhoタンパク質の標的タ
ンパク質(マウスmDia)を同定した。これは細胞質
分裂に必要なショウジョウバエ(Drosophila)のディア
ファノス(diaphanous)の哺乳類ホモローグであり、繰
り返し状ポリ−プロリンのストレッチおよびフォルミン
ホモロジー(FH2)ドメインを含有する。マウスmD
iaはGTP結合型Rhoのそのアミノ末端領域を介し
て選択的に結合し、アクチン結合タンパク質であるプロ
フィリンに結合する。マウスmDia、プロフィリンお
よびRhoタンパク質は、広がった線維芽細胞の膜の波
打ち構造(ruffle)、および分裂細胞の分裂溝(cleav
age furrow)に局在化し、フィブロネクチンでコーティ
ングされたラテックスビーズによりビーズ下の原形質膜
にリクルート(recruit )された。これらの結果から、
Rhoタンパク質によるアクチン再構成の誘導のメカニ
ズムの1つが、mDiaを介した細胞の特異的部位にお
けるプロフィラクチン複合体のリクルートメント(recr
uitment )であることが示唆された。
ク質の標的タンパク質であるマウスmDiaのヒト・カ
ウンターパート(ヒトmDia)のcDNAのクローニ
ングに成功した(実施例10)。更に、ヒトmDia
cDNAの部分配列からなるプローブおよびプライマー
を用いて、ヒトmDia遺伝子の染色体上の位置(遺伝
子座)を決定した。その結果、ヒトmDia遺伝子座
が、気管支喘息および気道過敏症の遺伝子座、急性骨髄
性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)
で欠失または再構成が求められる染色体上の領域と一致
することを見出した。これらは、ヒトではmDia遺伝
子の変異(増幅、欠失または再構成)またはその発現の
低下または亢進が、気管支喘息の危険因子であること、
およびAMLおよびMDSの特徴のひとつであることを
意味している。本発明は、かかる知見に基づくものであ
る。
有するヒト由来のRho標的タンパク質の提供をその目
的とする。
コードする塩基配列、前記塩基配列を含むベクター、前
記ベクターによって形質転換された宿主細胞、前記タン
パク質の製造法、および活性型Rhoタンパク質または
プロフィリンとその標的タンパク質との結合を阻害する
スクリーニング法等の提供をその目的とする。
を含むプローブ、および該プローブまたは塩基配列を含
む診断薬の提供をその目的とする。
の特徴を有するヒト由来のタンパク質(以下「ヒトmD
ia」ということがある)である: (1)活性型Rhoタンパク質結合能を有する、(2)
プロフィリン結合能を有する、(3)遺伝子がヒト染色
体5q31.2に位置する、(4)分子量がSDS−P
AGEによる測定で約150kDaである。
結合活性を有するタンパク質として、哺乳類ではプロテ
インキナーゼN(PKN)、ローフィリン、シトロン、
p160ROCK、Rho結合キナーゼ、ROKα、ロ
ーテキン、ミオシン軽鎖ホスファターゼのミオシン結合
サブユニットおよびマウスmDiaが、出芽酵母ではP
kc1p、1,3-β-グルカンシンターゼおよびBni1
pが、それぞれ知られているが、本発明者らは、ヒトm
Diaとこれらのタンパク質とは異なるタンパク質であ
ることを確認している。
活性型Rho結合領域に加え、ポリ−プロリン領域およ
びFH−2領域を有する(実施例2および図4)が、ヒ
トmDiaとBni1のアミノ酸配列の同一性は極めて
低い。また、ショウジョウバエのディアファノスおよび
カプシノには、ポリ−プロリン領域およびFH−2領域
が存在し、ディアファノスにはさらに活性型Rho結合
領域に似たアミノ酸配列も存在するが、ヒトmDiaと
ディアファノスおよびカプシノとのアミノ酸配列の同一
性は、Bni1pと同様極めて低い。
わちL体およびD体、のいずれをも含む意味で用いられ
るものとする。従って、本発明において「ペプチド」と
は、L体のアミノ酸のみによって構成されているペプチ
ドだけでなく、D体のアミノ酸を一部または全部含むペ
プチドをも意味するものとする。
は、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸
のみならず、それら以外のα−アミノ酸、並びにβ−、
γ−、δ−アミノ酸および非天然のアミノ酸等を含む意
味で用いられるものとする。従って、下記のようにペプ
チドにおいて置換されるかまたはペプチド中に挿入され
るアミノ酸としては、天然のタンパク質を構成する20
種のα−アミノ酸だけに限定されることはなく、それら
以外のα−アミノ酸並びにβ−、γ−、δ−アミノ酸お
よび非天然のアミノ酸等であってもよい。このようなβ
−、γ−またはδ−アミノ酸としては、β−アラニン、
γ−アミノ酪酸あるいはオルニチンが挙げられ、また天
然タンパク質を構成するもの以外のアミノ酸あるいは非
天然のアミノ酸としては、3,4−ジヒドロキシフェニ
ルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルグリシ
ン、1,2,3,4−テトラハイドロイソキノリン−3
−カルボン酸あるいは二ペコチン酸等が挙げられる。
ンパク質」というときは、その誘導体を含む意味で用い
られるものとする。
とは、DNA配列およびRNA配列のいずれをも意味す
るものとする。
る前のアミノ酸残基(一文字表記)、真ん中に置換され
るアミノ酸の位置、そして最後に置換された後のアミノ
酸残基(一文字表記)を記載することで表した。例え
ば、「ヒトmDia(D551A)」は、ヒトmDia
をコードするアミノ酸配列であって、551番目のアミ
ノ酸残基であるD(Asp:アスパラギン酸)がA(Ala:
アラニン)で置換されたアミノ酸配列を表す。
合能を有し、かつプロフィリン結合能を有するタンパク
質またはその誘導体である。ここで、Rhoタンパク質
としては、RhoAタンパク質、RhoBタンパク質、
RhoCタンパク質、またはRhoGタンパク質が挙げ
られる。
質結合能を有するタンパク質」とは、当業者により活性
型Rhoタンパク質との結合が認められたと評価される
タンパク質をいい、例えば、実施例1および5と同様の
条件において実験した場合に活性型Rhoタンパク質と
の結合が認められたと評価されるタンパク質を意味する
ものとする。
ク質結合領域に加えて、ポリ−プロリン領域、およびF
H2領域を有する(実施例2および実施例11)。ポリ
−プロリン領域とは、IPPPPPLPGもしくはこれ
に類似する配列(モチーフ)の繰り返しによって特徴づ
けられる領域をいう。マウスのmDiaタンパク質のポ
リ−プロリン領域は配列番号1の571〜737番のア
ミノ酸配列に相当し、ヒトmDiaタンパク質のそれは
配列番号3の626〜797番のアミノ酸配列に相当す
る。本発明によるタンパク質は、そのポリ−プロリン領
域においてプロフィリンと結合することができる(実施
例6)。
質(例えば、Saccharomyces cerevisiaeのBni1p、
マウスのフォルミン、ショウジョウバエのカプチーノ、
およびディアファノスなどの比較的C末端付近に存在す
る共通領域をいう(Castrillon, D. H. & Wasserman,
S. A., Development, 120, 3367-3377 (1994))。マウ
スmDiaおよびヒトmDiaタンパク質のFH2領域
はそれぞれ配列番号1の945〜1010番のアミノ酸
配列および配列番号3の1005〜1070番のアミノ
酸配列に相当する。また、本発明によるタンパク質はマ
ウスの肺、睾丸、胸腺、肝臓、および胃において強く発
現するという特徴を有する。
有するタンパク質」とは、当業者によりプロフィリンと
の結合が認められたと評価されるタンパク質をいい、例
えば、実施例6と同様の条件において実験した場合にプ
ロフィリンとの結合が認められたと評価されるタンパク
質を意味するものとする。
hoタンパク質と本発明によるタンパク質との結合が実
質的に損われないように改変されたRhoタンパク質を
も含むものとする。このような改変Rhoタンパク質と
しては、14番目のアミノ酸をバリンで置換したRho
A変異体(RhoAVal14 )が挙げられる。
由来とするものである。また、本発明によるタンパク質
の分子量は、SDS−PAGEによる測定で約150k
Dである。
番号4のcDNA配列を宿主において発現させることに
よって得ることができる(実施例4および9)。
体」とは、タンパク質のアミノ末端(N末端)のアミノ
基または各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全
部、および/またはペプチドのカルボキシル末端(C末
端)のカルボキシル基または各アミノ酸の側鎖のカルボ
キシル基の一部もしくは全部、および/または、ペプチ
ドの各アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシル基
以外の官能基(例えば、水素基、チオール基、アミド基
等)の一部もしくは全部が、適当な他の置換基によって
修飾を受けたものをいう。適当な他の置換基による修飾
は、例えば、ペプチド中に存在する官能基の保護、安全
性ならびに組織移行性の向上、あるいは活性の増強等を
目的として行われる。
は、(1)タンパク質のアミノ末端(N末端)のアミノ
基または各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全
部の水素原子が、置換または非置換のアルキル基(直
鎖、分岐鎖または環状であってもよい)(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、
シクロヘキシル基、ベンジル基)、置換または非置換の
アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、カプロイ
ル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、フ
タロイル基、トシル基、ニコチノイル基、ピペリジンカ
ルボニル基)、ウレタン型保護基(例えば、p−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオ
キシカルボニル基、p−ビフェニルイソプロピルオキシ
カルボニル基、t−ブトキシカルボニル基)またはウレ
ア型置換基(例えば、メチルアミノカルボニル基、フェ
ニルカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル
基)等によって置換されたもの、並びに(2)タンパク
質のカルボキシル末端(C末端)のカルボキシル基また
は各アミノ酸の側鎖のカルボキシル基の一部もしくは全
部が、エステル型の修飾を受けているもの(例えば、そ
の水素原子がメチル、エチル、イソプロピル、シクロヘ
キシル、フェニル、ベンジル、t−ブチル、4−ピコリ
ルにより置換されたもの)、アミド型の修飾を受けてい
るもの(例えば、非置換アミド、C1−C6アルキルア
ミド(例えば、メチルアミド、エチルアミド、イソプロ
ピルアミド)を形成しているもの、並びに(3)タンパ
ク質の各アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシル
基以外の官能基(例えば、水素基、チオール基、アミノ
基等)の一部もしくは全部が、上述のアミノ基と同様の
置換基あるいはトリチル基などで修飾されたもの等が挙
げられる。
記のアミノ酸配列を含むものが挙げられる: (a)配列番号3のアミノ酸配列、または(b)1以上
のアミノ酸が付加および/または挿入され、および/ま
たは1以上のアミノ酸が置換および/または欠失された
配列番号3のアミノ酸配列であって、活性型Rhoタン
パク質結合能を有し、かつプロフィリン結合能を有する
アミノ酸配列。ここにいう付加、挿入、置換、および欠
失とは、配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
の活性型Rhoタンパク質結合能およびプロフィリン結
合能を損なわないようなものをいう。このような置換と
しては、例えば、D551Aが挙げられる。
15〜312番のアミノ酸配列(Rhoタンパク質結合
領域)と626〜797番のアミノ酸配列(プロフィリ
ン結合領域)とを少なくとも有するタンパク質が提供さ
れる。
コードする遺伝子は、気道過敏症、気管支喘息、急性骨
髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MD
S)に関連することが示された。従って、本発明による
タンパク質は、これらの疾患の機構解明に有用である。
タンパク質結合能とプロフィリン結合能とを有するもの
である。また、Rhoタンパク質は腫瘍の形成、転移を
はじめとして細胞形態、細胞運動、細胞接着、細胞質分
裂等の細胞の機能発現に密接にかかわっている(前掲Ta
kai, Y., et al. 、G.C.Prendergast.et al.、Khosravi
-Far, R., et al .、R. Qiu et al. 、 Lebowitz 、
P., et al., およびYoshioka,K.et al. )。従って、本
発明によるタンパク質は、腫瘍の形成および転移の機構
解明に有用であると考えられる。
タンパク質は、細胞接着に関与することが示された。従
って、本発明によるタンパク質は、ガンの細胞の浸潤お
よび転移、白血球(Tリンパ球、Bリンパ球、好中球、
好酸球、好塩基球、マクロファージ等)の凝集および活
性化、並びに血小板の凝集および活性化等の機能解明に
有用である。
タンパク質は、細胞分裂(特に、細胞の増殖)に関与す
ることが示された。従って、本発明によるタンパク質
は、ガンの増殖等の機能解明に有用である。
またはその発現の低下または亢進が、気管支喘息の危険
因子であること、およびAMLおよびMDSの特徴のひ
とつであることを下記に説明する。
H法およびradiationhybrid(RH)法を用いて、ヒト
mDia遺伝子の染色体上の位置を詳細に決定した。
3.7kbのヒトmDia cDNAをプローブとした
FISHの結果、ヒトmDia遺伝子は5番染色体長腕
の5q31.2にマップされた。ヒトmDia cDN
A由来のプライマー・ペアを用いてRHを行った結果、
ヒトmDia遺伝子は、5番染色体長腕のマーカーNI
B1948とWI−6384の間でNIB1948より
2.02cRテロメア側にマップされた。5q31.2
の周辺領域には、気道過敏症の遺伝子の存在が想定され
ていたが、これまでそれは同定されていなかった。本発
明者等は今般、本発明においてヒトmDiaが気道過敏
症の原因遺伝子そのものであるという証拠を得た(表1
および図18)。
咳、喀痰を示す疾患で、その原因は広範な気道狭窄によ
るものである。気道過敏症は気管支喘息の危険因子のひ
とつであり、様々な刺激(例えば肥満細胞が放出するヒ
スタミンなどによる刺激)に対して気道が強く収縮(狭
窄または閉塞)性の反応をおこすことを意味する。気道
過敏症の素因は外因性のものばかりでなく内因性(遺伝
性)のものもある。最近、Postmaらは、ヒスタミンに対
する過敏症を指標として遺伝学的な連鎖解析を行い、気
道過敏症の原因遺伝子の染色体上の位置を決定した(Po
stma, D. S., N.Eng. J. Med. 333:894-900 (1995)
)。その結果、気道過敏症の原因遺伝子は5q31.
2に存在し、遺伝学的マーカーD5S658およびD5
S436とその周辺のマーカーと連鎖することが示され
た(表1および図18)。
て、ヒトmDia遺伝子が5q31.2に存在し、遺伝
学的マーカー NIB1948より2.02cR長腕テ
ロメア側に存在することをつきとめた。ヒトmDia遺
伝子とこれらの遺伝学的なマーカーの存在部位の順序と
距離(単位:cMおよびcR)をWICGRのゲノム解
析サービス(http://www-genome.wi.mit.edu/ )を用い
て解析したところ、第5染色体短腕テロメア−セントロ
メア−NIB1948−−D5S658−ヒトmDia
遺伝子−D5S436−長腕テロメアとなった。即ち、
ヒトmDia遺伝子は気道過敏症がマップされた領域
(D5S658〜D5S436の間の約5cM)に含ま
れることがわかった(表1および図18)。このこと
は、ヒトmDia遺伝子の変異が、気道過敏症の原因も
しくは危険因子となっていることを示す。
気道平滑筋収縮の感受性の亢進が考えられる。即ち、上
記の気道過敏症患者では、ヒスタミン刺激に対する気道
平滑筋収縮の感受性が亢進していると考えられる。
平滑筋収縮の感受性が亢進することが知られている(K.
Hirata et al., J. Biol. Chem. 267: 8719-8722(199
2) )。その機序は以下のとおりである。 (1)種々の刺激に応答して細胞内でRhoタンパク質
が活性化される。 (2)活性化型Rhoタンパク質はRhoキナーゼに結
合し、それを活性化する(Matsui, T. et al., EMBO J.
15: 2208-2216 (1996);前掲 Leung, T. et al. )。 (3)活性化されたRhoキナーゼは、ミオシン軽鎖ホ
スファターゼを抑制する(Kimura, K. et al., Science
273: 245-248 (1996))と同時に、直接ミオシン軽鎖を
リン酸化する(Amano, M. et al., J. Biol. Chem 271:
20246-20249 (1996) )。その結果、ミオシン軽鎖のリ
ン酸化レベルが増加する。 (4)リン酸化によりミオシンATPaseが活性化さ
れ、ミオシンがアクチンと相互作用する。その結果、平
滑筋が収縮する。
Kαと呼ばれることがある(Leung,T. et al., J. Bio
l. Chem. 270: 29051-29054 (1995))。また、Rhoキ
ナーゼにはアイソザイム(ROCKまたはROCK−
I;Ishizaki, T. et al., EMBO J. 15: 1885-1893 (19
96); Nakagawa, O. et al., FEBS Lett. 392, 189-193
(1996) )が知られている。ROKαおよびROCK
も、Rhoキナーゼと同様に、平滑筋収縮の感受性の亢
進に関っていると考えられる。
はROCKは、細胞のストレスファイバー形成およびフ
ォーカル接着形成を促進することにより(Lim, L. et a
l.,Mol. Cell. Biol., 16: 5313-5327 (1996); Amano,
M. et al., Science 275, 1308-1311 (1997) )、細胞
を収縮させると考えられる。本発明者等は後記する実施
例9において、細胞内にmDiaを大量発現させると、
活性型Rhoタンパク質によるストレスファイバー形成
が抑制されることを見出した。従って、大量発現された
mDiaは、活性型Rhoタンパク質からRhoキナー
ゼおよび/またはROCKを介してストレスファイバー
形成およびフォーカル接着形成に至るシグナル伝達経路
のどこかを阻害していると思われる。なぜならば、Rh
oタンパク質またはRhoキナーゼの機能を阻害する
と、細胞のストレスファイバー形成およびフォーカル接
着形成も阻害されることがわかっているからである(Am
ano,M. et al., Science 275, 1308-1311 (1997) )。
mDiaは活性型Rhoタンパク質と結合するので(実
施例1および5)、大量発現したmDiaは、Rhoキ
ナーゼおよび/またはROCKと活性化型Rhoタンパ
ク質との結合に関して競合するという可能性が考えられ
る。
(欠失、再構成またはアミノ酸置換等)するかその遺伝
子発現の程度が低下すると、そのストレスファイバー形
成抑制作用が低下または消失する。従って、気道平滑筋
のストレスファイバー形成が促進され、収縮の感受性が
亢進すると考えられる。以上を総合すると、気道過敏症
患者では、mDia遺伝子が変異(欠失、再構成または
アミノ酸置換等)するかあるいはその遺伝子発現の程度
が低下していると考えられる。従って、後記する本発明
の塩基配列およびプローブは、気道過敏症または気管支
喘息の診断に有用である。
骨髄異形成症候群(MDS) 第5染色体の長腕の欠失(del(5q) )または第5染色体
全体の欠失(5q−)は、悪性の骨髄系疾患、例えば急性
骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MD
S)の特徴としてよく認知された事実である。このよう
な変異は特に化学療法剤による治療歴のある白血病にお
いて頻度が高く(50%以上)おきる。第5番染色体の
変異が認められる症例の予後は極めて悪い。
色体の欠失の最小領域が決定された。Horrigan, S.K. e
t al., Blood 88: 2665-2670(1996)によると、ほとんど
のAMLおよびMDS患者では、遺伝的マーカーD5S
806からD5S805に至る領域に存在する11種類
のマーカー(D5S816、D5S393、IL9、D
5S399、D5S479、AFM350YB1、D5
S1372、D5S476、D5S414、D5S50
0、D5S658)の欠失が認められた。
を5番染色体長腕のマーカーNIB1948とWI−6
384の間でNIB1948より2.02cRテロメア
側にマップした。その結果、ヒトmDia遺伝子はD5
S658のごく近傍に存在することが明らかとなった。
このことは、AMLおよびMDSの細胞で、ヒトmDi
a遺伝子の欠失が高率で検出されることを意味する。従
って、後記する本発明の塩基配列およびプローブは、A
MLおよびMDSにおける5番染色体の欠失を検出する
のに有用である。
塩基配列が提供される。この塩基配列の典型的配列は、
配列番号4のDNA配列の一部または全部を有するもの
である。
972番の配列がヒトmDiaのオープンリーディング
フレームに相当する。
与えられれば、それをコードする塩基配列は容易に定ま
り、配列番号3に記載されるアミノ酸配列をコードする
種々の塩基配列を選択することができる。従って、本発
明によるタンパク質をコードする塩基配列とは、配列番
号4に記載のDNA配列の一部または全部に加え、同一
のアミノ酸をコードするDNA配列であって縮重関係に
あるコドンをDNA配列として有する配列をも意味する
ものとし、更にこれらに対応するRNA配列も含まれ
る。
であっても、全合成したものであってもよい。また、天
然物由来のものの一部を利用して合成を行ったものであ
ってもよい。本発明による塩基配列は、染色体ライブラ
リーまたはcDNAライブラリーから遺伝子工学の分野
で慣用されている方法、例えば部分アミノ酸配列の情報
を基にして作成した適当なDNAプローブを用いてスク
リーニングを行う方法、等によって得ることができる。
染色体ライブラリーおよびcDNAライブラリーは、市
販のものまたは Kakizuka, A. et al. (1993), cDNA Li
braty Construction (Stein, C. およびHolland, P. 編
集) Essential Developmental Biology: A Practical
Approach, pp223-232, IRL Press, Oxford に記載され
たものを使用できる。スクリーニングは、図3の太い下
線(クローン50)に対応するオリゴヌクレオチドをプ
ローブとして用いることによって実施できる。
cDNAライブラリーの塩基配列を鋳型とし、適当なプ
ライマーを用いて特定領域を増幅することによって本発
明による塩基配列を得ることもできる。
配列の例は、配列番号4の塩基配列および配列番号4の
DNA配列の一部(例えば、配列番号4の28〜397
2番(オープンリーディングフレームに相当)、370
〜963番(Rhoタンパク質結合領域に相当)、およ
び1903〜2418番(プロフィリン結合領域に相
当)のDNA配列)である。
細胞内で複製可能でかつその塩基配列がコードするタン
パク質を発現可能な状態で含んでなるベクターが提供さ
れる。更に、本発明によれば、このベクターによって形
質転換された宿主細胞が提供される。この宿主−ベクタ
ー系は特に限定されず、また、他のタンパク質との融合
タンパク質発現系などを用いることができる。融合タン
パク質発現系としては、MBP(マルトース結合タンパ
ク質)、GST(グルタチオンSトランスフェラー
ゼ)、HA(ヘマグルチニン)、ポリヒスチジン、my
c、Fas等を用いたものが挙げられる。
(例えば、原核細胞、酵母、昆虫細胞動物細胞等での発
現ベクター)、ウイルスベクター(例えば、レトロウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウ
イルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイ
ウイルスベクター、HIVベクター、バキュロウイルス
ベクター)、リポソームベクター(例えば、カチオニッ
クリポソームベクター)等が挙げられる。
主細胞に導入して所望のタンパク質を発現させるために
は、前記の本発明による塩基配列の他に、その発現を制
御する配列(例えば、プロモーター配列、ターミネータ
ー配列、エンハンサー配列)や宿主細胞を選択するため
の遺伝子マーカー(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、
カナマイシン耐性遺伝子)等を含んでいてもよい。ま
た、このベクターは、本発明による塩基配列を反復した
形で(例えば、タンデムで)含んでいてもよい。これら
は常法に従いベクターに存在させてよく、このベクター
による宿主細胞の形質転換の方法も、この分野で慣用さ
れているものを用いることができる。
法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いる
ことができる。
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞(例えば、COS細胞、
リンパ球、繊維芽細胞、CHO細胞、血液系細胞、腫瘍
細胞等)が挙げられる。
で培養し、その培養物から上記した本発明によるタンパ
ク質を得ることができる。従って、本発明の別の態様に
よれば、本発明によるタンパク質の製造法が提供され
る。形質転換された宿主細胞の培養およびその条件は、
使用する細胞についてのそれと本質的に同様であってよ
い。また、培養液からの本発明によるタンパク質の回
収、精製も常法に従って行うことができる。
少なくとも15塩基のDNA配列を含む塩基配列、およ
びそれに相補的な配列、並びに(b)(a)の塩基配列
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基
配列から選択される、塩基配列が提供される。
2194〜5822番(クローン140−10)、86
6〜2253番(クローン140−12)、1〜190
7番(但し、1679番のAがCに置換している)(ク
ローン140−12−17)、1274〜1293番、
866〜1293番(実施例10)、1226〜124
4番(実施例11(2))、および1327〜1347
番の塩基配列、およびこれに相補的な配列が挙げられ
る。
配列の相補鎖である。従って、上記塩基配列の相補鎖と
しては、それぞれ、配列番号5の1〜3629番、35
70〜4957番、3916〜5822番(但し、41
44番のCがAに置換している)、4530〜4549
番(実施例10)、4530〜4957番、4579〜
4597番、および4476〜4496番(実施例11
(2))の塩基配列が挙げられる。
の配列中、連続した少なくとも15塩基のDNA配列を
含む塩基配列、およびそれに相補的な配列、並びに
(b)(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズする塩基配列から選択される、塩基配列
が提供される。
95〜727番の塩基配列(イントロンに相当)、およ
びこれに相補的な配列が挙げられる。配列番号7の塩基
配列は配列番号6の塩基配列の相補鎖である。従って、
上記塩基配列の相補鎖としては、それぞれ、配列番号7
の29〜661番の塩基配列が挙げられる。配列番号6
の配列はイントロンを含むヒトゲノム由来のDNA配列
である。イントロンは、配列番号4の塩基配列の131
9と1320番の塩基間に存在する。
における「ストリンジェントな条件」とは、これらの配
列がプローブやプライマーとして用いられるようなサザ
ンハイブリダイゼーション法(実施例10)、PCR法
(実施例10および実施例11(2))、およびFIS
H法(実施例11(1))のハイブリダイズの条件と定
義される。
含むプローブが提供される。検出可能な標識は当業者に
周知のものから選択できるが、例えば、相互作用する物
質(例えば、アビジンおよびビオチン)、酵素(例え
ば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ)、
放射性同位元素(例えば、32Pおよび35S等)、蛍
光(例えば、FITC、ユーロピウム)、抗原(例え
ば、ジゴキシゲニン)等が挙げられる。
て決定されてよく、例えば、ニックトランスレーショ
ン、化学的(または光化学的)架橋、オリゴヌクレオチ
ド化学合成、キレート化等によって行うことができる。
標識の検出方法は、標識分子に依存して決定されてよ
く、例えば、蛍光、酵素またはフェリチン−標識化抗
体、アビジン−FITC、β−ガラクトシダーゼ、金コ
ロイド等を用いて標識を検出することができる。
道過敏症、気管支喘息、急性骨髄性白血病(AML)お
よび骨髄異形成症候群(MDS)と関連していることが
明らかにされた。従って、本発明による塩基配列および
プローブ(以下、単に「プローブ」ということがある)
を用いてこれらの病気を診断(例えば、出生前診断等の
前徴候診断を含む)することができる。
む診断薬が提供される。診断は、患者から遺伝子試料
(染色体またはゲノムDNA等)を取り出し、前記プロ
ーブと遺伝子試料とのハイブリダイゼーションの程度を
測定することによって行うことができる。このようなハ
イブリダイゼーションの程度を測定する方法としては、
FISH法、サザンハイブリダイゼーション法、および
PCR法が挙げられる。
(例えばリンパ球)の染色体を固定した標本と上記プロ
ーブをハイブリダイゼーションさせ、染色体のmDia
遺伝子をマッピングする。正常人の細胞では、後記実施
例に記載されるように、mDia遺伝子は一対の5番染
色体の長腕のq31.2部位(5q31.2)にのみマ
ップされる。
性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)
の患者の中には、mDia遺伝子のシグナルが検出され
ない患者(mDia遺伝子が欠失している)、mDia
遺伝子のシグナルが強く検出される患者(mDia遺伝
子が増幅している)あるいはmDia遺伝子のシグナル
が5q31.2以外の部位に検出される患者(mDia
遺伝子が転座している)が見出される。このようなmD
ia遺伝子の変異(欠失、増幅または転座)は、上記の
いずれかの疾患に特徴的な変化である。従って、FIS
H法によってハイブリダイゼーションの程度を測定する
こと、あるいは、mDia遺伝子の染色体上の位置を検
出することによって、前記疾患の診断を行うことができ
る。
記載したような条件下で行うことができる。実際には、
実験の目的、プローブやこれをハイブリダイズさせたい
DNAの種類等に応じて、この条件の範囲内で最適な条
件を選んでハイブリダイゼーションを行う。FISH法
の条件は、Heng H.H.Q. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,89,9509-9513(1992); Heng H.H.Q. & Tsui L.C., In
situ hybridizationprotocols: Methods in Molecular
Biology. Choo K.H.A.(ed).Humana Press:New Jersey,
pp.109-122(1994) Choo, K. H. A., ed., Methods in M
olecular Biology: In situ hybridization protocole
s. (Choo, K. H. A., ed.). pp35-49 (1994) Humana Pr
ess, Clifton, NJ., USAおよび、Gerhard,D.S.et al.,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 78,3755-3759(1981)を参照する
ことができる。
Molecular Cloning 2nd ed. Ch.9 (1989) Cold Spring
Harbor Laboratory Press, New York )を用いる場合に
は、ヒトより単離された細胞(例えばリンパ球)よりゲ
ノムDNAを単離し、これを適当な制限酵素で消化した
後にゲル電気泳動を行って消化されたDNA断片を分離
する。その後、分離したDNA断片をフィルターにトラ
ンスファーし、フィルター上で上記プローブとハイブリ
ダイゼーションさせる。上記患者の中には、健常人に比
べてハイブリダイゼーションが認められないか、認めら
れてもその量が少ない患者(mDia遺伝子の一部また
は全部が欠失等されている)、健常人に比べてハイブリ
ダイゼーションの量が多く認められる患者(mDia遺
伝子が増幅している)あるいはプローブがハイブリダイ
ゼーションするDNA断片のサイズや数が健常人のそれ
と異なる患者等が見出される。
man/rodent somatic cell hybrid panelとを組み合わせ
ることにより、患者のmDia遺伝子の染色体上の位置
を検出することができる(Macera,M.J.et al.,Genomic
s, 13,829-831(1992)) 。それにより、患者でのmDi
a遺伝子の欠失や転座の有無を検出することができる。
(実施例11(2)参照)。
増幅および転座等)は、上記のいずれかの疾患に特徴的
な変化である。従って、サザンハイブリダイゼーション
によってプローブとハイブリダイズするバンドのパター
ンを測定することによって、前記疾患を診断することが
できる。DNA断片をプローブとして用いる場合には、
2〜6×SSC(0.15M塩化ナトリウム溶液、0.
015Mクエン酸ナトリウム溶液)、65℃〜70℃の
条件下でサザンハイブリダイゼーションを行うことがで
きる。
ハイブリダイズさせたいDNAの種類等に応じて、最適
な条件を選んでハイブリダイゼーションを行う。ハイブ
リダイズの条件は高木康敬編著「遺伝子操作マニュア
ル」、講談社、東京、日本(1982年)を参照するこ
とができる。
(A)+RNA、またはmRNA等)を取り出し、サザ
ンハイブリダイゼーションの代わりにPCR法(Saiki,
R. K. et. al., Science, 239, 487-491(1988) )を用
いて、遺伝子断片の増幅の程度またはmRNAの発現の
程度を測定することによって診断を実施することもでき
る。PCR法(RT−PCR法を含む)では一対のプラ
イマー(プライマー・ペア)を鋳型となるDNAまたは
RNAにハイブリダイゼーションさせ、ポリメラーゼま
たは逆転写酵素を用いてDNA断片を増幅する。上記プ
ローブは対にしてPCR用のプライマーとして用いるこ
とができる。このようなプライマー・ペアを用いて、取
り出された患者の遺伝子試料を鋳型としてPCRを行う
ことにより、mDia遺伝子またはmDiamRNAの
全部または一部を増幅する。増幅されたDNAを電気泳
動または塩基配列分析等により解析することによって、
mDia遺伝子の変異(欠失、増幅、組換え、転座、塩
基置換等)またはmDiamRNAの発現の程度の検出
が可能である。
者の遺伝子試料をPCR法に適用した場合には特定領域
が増幅されない。従って、増幅断片の有無を調べること
によってmDia遺伝子の欠失を検出できる。また、m
Dia遺伝子が増幅している患者の遺伝子試料をPCR
法に適用した場合には特定領域が健常人に比較して多く
増幅される。従って、増幅断片の量を調べることによっ
てmDia遺伝子の増幅またはmDiamRNAの発現
の亢進を検出できる。
ver.2 を用いて、98℃10秒、55℃30秒、72℃3 分の反応
を30回行うような条件下で行うことができる。実際に
は、実験の目的、プローブやこれの鋳型として用いる遺
伝子試料の種類等に応じて、最適な条件を選んでPCR
を行う。PCR法の条件はSaiki, R. K. et. al., Scie
nce, 239, 487-491(1988) を参照する事ができる。
気道過敏症、気管支喘息、急性骨髄性白血病(AML)
および骨髄異形成症候群(MDS)に特徴的である。従
って、上記診断薬はこれらの疾患の診断薬として用いる
ことができる。
の遺伝子試料とハイブリダイズさせ、そしてハイブリダ
イズの程度を測定することを含む、mDia遺伝子の変
異の検出方法が提供される。上記検出方法は、上記診断
薬の使用態様と同様にして実施することができる。
型Rhoタンパク質と、本発明によるタンパク質とを含
むスクリーニング系に存在させ、そして(2)活性型R
hoタンパク質と、本発明によるタンパク質との結合の
阻害の程度を測定することを含む、活性型Rhoタンパ
ク質と、本発明によるタンパク質との結合を阻害する物
質のスクリーニング法が提供される。
ングの対象を、プロフィリンと、本発明によるタンパク
質とを含むスクリーニング系に存在させ、そして(2)
プロフィリンと、本発明によるタンパク質との結合の阻
害の程度を測定することを含む、プロフィリンと、本発
明によるタンパク質との結合を阻害する物質のスクリー
ニング法が提供される。
方法としては、本発明によるタンパク質に対する抗体に
よるイムノブロットを用いて測定する方法、ツー・ハイ
ブリッド・システム(two hybrid system )(M.Kawaba
ta 実験医学13,2111-2120(1995)、 A.B.Vojetk et al.
Cell 74,205-214(1993) )による方法、オーバーレイ・
アッセイを用いて測定する方法(Ishizaki, T. et al.,
EMBO J., 15, 1885-1893 (1996))、インビトロ翻訳さ
せたタンパク質を用いて測定する方法(Shibata, H. et
al., FEBS Lett. 385, 221-224 (1996))、Amano, M.,
et al., Science 271, 648-650 (1996)に記載された無
細胞系での結合測定法等が挙げられ、例えば、実施例
1、5、および6に記載される方法に準じて結合の阻害
の程度を測定することができる。
とは、当業者により結合の阻害が認められたと評価され
る物質をいい、例えば、実施例1、5、または6と同様
の条件において実験した場合に活性型Rhoタンパク質
またはプロフィリンとの結合が認められないと評価され
る場合を意味するものとする。
定する」とは結合の有無の測定を含む意味で用いられる
ものとする。また、「スクリーニング」とは、アッセイ
を含む意味で用いられる。
のいずれであってもよく、細胞系としては、例えば、酵
母細胞、COS細胞、大腸菌、昆虫細胞、線虫細胞、リ
ンパ細胞、繊維芽細胞、CHO細胞、血液系細胞、およ
び腫瘍細胞が挙げられる。
限定されないが、例えばペプチド、ペプチドのアナロ
グ、微生物培養液、有機化合物等が挙げられる。
RhoA結合ペプチド断片のスクリーニング LexA DNA結合タンパク質に融合したN19−R
hoA△C(C−末端のAla181 においてトランケー
トしたRhoAAsn19 )をバイトとして使用して、酵母
のツー・ハイブリッド・システムにより、新規なRho
結合タンパク質をスクリーニングした。酵母のツー・ハ
イブリッド・システムは、既に記載の方法(Vojtek, A.
et al., Cell 74, 205-214 (1993); Modaule, P. et a
l., FEBSLett., 377, 243-248 (1995) ; Watanabe, G.
et al., Science 271, 645-648(1996); Reid, T. et a
l., J. Biol. Chem., 271, 13556-13560 (1996))に準
じて実施した。
プラスミドpBTM116およびpVP16(Vojtek,
A. et al., Cell 74, 205-214 (1993))は、Stan Holle
nberg 、Rolf Sternglanz 、Stan Fields およびPaul B
artel より入手した。pBTM−RhoA(RhoAを
コードするcDNAを含むpBTM116)は、過去に
記載された方法(Watanabe, G. et al., Science, 271,
645-648 (1996) )に従って調製した。RhoA上にV
al14またはAsn19変異を生じさせるために、R
hoAのN末端をコードするpGEX−RhoAのBa
mHI−EcoRV断片をpBluescipt(スト
ラタジーン社)中に挿入し、Kunkelの方法(Kunkel,
T., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488-492 (198
5))に従って変異誘発させた。次いでpGEX−Rho
A(Morii, N. et al., J. Biol. Chem., 268, 27160-2
7163 (1993) )の対応する野生型断片を各変異誘発断片
と置換し、pGEX−V14RhoAおよびpGEX−
N19RhoAを作製した。
−N19RhoAより変異体RhoAの全長のコーディ
ング領域をコードするBamHI−EcoRI断片を切
り出した後、pBTM116の中に挿入して、pBTM
−V14RhoAおよびpBTM−N19RhoAを得
た。これらの変異体のAla181におけるC−末端の
欠失変異体を挿入したpBTM116(pBTM−V
14RhoA△CおよびpBTM−N19RhoA△
C)は、過去に記載された方法(Reid, T. et al.,J. B
iol. Chem., (1996) )に従って調製した。
母L40株(MATa trp1 leu2 his3LYS::lexA-HIS3 URA
3::lexA-lacZ)(Vojtek, A. et al., Cell 74, 205-21
4 (1993))を、マウス胚cDNAライブラリー(Kakizu
ka, A. et al. (1993), cDNALibrary Construction (St
ein, C.およびHolland, P. 編集)Essential Developme
ntal Biology : A Practical Approach, pp223-232, IR
L Press, Oxford)と融合したpVP16(Vojtek, A.
et al., Cell 74, 205-214 (1993))で形質転換した。
初期の形質転換体は2.2×107 であり、これはHI
S(−)プレート上に播く前に6時間培養する間に7回
分裂したことを意味する。1.5×108 の形質転換体
の内、978クローンをHis+およびlacZ陽性と
して単離し、そして220クローンを分離してバイトプ
ラスミドを排除した。種々の被験バイトを有する酵母株
AMR70との交配により、他のタンパク質との相互作
用を評価した。220クローンの中で、55クローンは
N19−RhoA△Cで陽性のlacZ活性を示し、陰
性の対照として使用したラミンでは陰性を示した。この
手法により単離した55クローンは、同一のサイズのc
DNAインサートを有し、それらのいくつかを配列決定
した結果、同一のヌクレオチド配列を有することが見出
された。
に融合したLexAを有するAMR70に交配した。そ
れらのすべてはRhoAVal14 と強く、RhoAAsn19
と弱く、そして野生型RhoAとはほとんど無視できる
ほどに弱く結合したが、それらはN19−RhoA△C
または野生型RhoA△Cと強く結合した。同様の結果
が、下記の実験によっても確認された。
互作用の特異性を試験するために、酵母のクローン50
から回収されたpVP16プラスミド(pVP−cl.
50)を種々のタンパク質のcDNAを有するpBTM
116プラスミドとともにL40株の中に共形質転換
し、相互作用をlacZアッセイにより試験した。実験
に用いたpBTM−RhoA△およびpBTM−ラミン
(Watanabe, G. et al.,Science 271, 645-648 (199
6))、pBTM−RacおよびpBTM−Cdc42H
(Reid, T. et al., J. Biol. Chem., 271, 13556-1356
0 (1996))の調製については、過去に記載されている。
ーン(クローン50)から回収されたプラスミド、およ
び種々のLexA−変異体RhoA融合構築物とでL4
0株を共形質転換させることによって確認された(図
1)。すなわち、クローン50)から回収されたプラス
ミドとLexAーRac融合構築物またはLexAーC
dc42H融合構築物とでL40株を共形質転換させた
ところ、このクローンによりコードされるペプチドはR
acおよびCdc42Hいずれにも特異的に結合しない
ことがわかった。これらの結果は、このクローンにより
コードされるペプチドがRhoAに特異的に結合するこ
とを示している。
Aのクローニング 全長のコーディング配列を得るために、本発明者はプロ
ーブとしてクローン50より得られた0.6Kbpのc
DNAインサート(pVP−cl.50の32P標識化
0.6kbpのcDNAインサート)を使用して、2つ
のマウス脳ライブラリー(λZAP II中に作製した
936309ライブラリー(ストラタジーン社)および
λgt−10中に作製したML3000aライブラリー
(クロンテック社))をスクリーニングし、次いでこの
スクリーニングから得られた2つのcDNA断片をプロ
ーブとして使用してマウス胚ライブラリー(Kakizuka,
A. et al. (1993), cDNA Library Construction (Stei
n, C.およびHolland, P. 編集)Essential Development
al Biology : A Practical Approach, pp223-232, IRLP
ress, Oxford)をスクリーニングした。
るクローンが単離された(図2)。1つの陽性のクロー
ン(クローン502)、および2つの陽性のクローン
(クローン503および504)が、それぞれ、前者お
よび後者のライブラリーから得られた。504の5’部
分および503の3’部分をプローブとして、クローン
E51、E52、およびE73がマウス胚ライブラリー
から単離された。
デオキシ・チェーン・ターミネーション法により決定し
たところ、計算上139,336Daの分子量をもつ
1,255アミノ酸のタンパク質をコードする3,76
5bpのオープンリーディングフレームを含むこれらの
クローンから、完全なcDNA配列が決定された(図
3)。クローン50から得られた初期のcDNAは、N
末端部分のRho結合ドメインを含む198アミノ酸配
列(アミノ酸63−260)をコードする。分子中央の
アミノ酸571−737の間には、IPPPPPLPG
(G/S/A/V)の14回繰り返し構造、即ち相同配
列により特徴づけられるプロリンに富んだ領域が存在す
る。推定アミノ酸配列とデータベース上の他の配列とを
比較すると、いくつかの相同タンパク質が同定され、そ
れらのすべてはプロリンに富んだ領域を共有する(図
4)。これらのタンパク質は、2つの相同領域、すなわ
ち、プロリンに富んだFH−1領域およびFH−2領域
を有するフォルミン様分子のファミリーに属する。FH
−2領域は、また、推定配列中のアミノ酸945−10
10の間にも見出された。この配列に対して最も相同性
が高いタンパク質はショウジョウバエ(Drosophila)の
ディアファノス(diaphanous: 細胞質分裂に必要とされ
ることで特徴づけられたタンパク質)であり、これは同
定されたタンパク質に対してN−末端のプロリンに富む
領域において約30%の同一性およびその領域のC−末
端の領域において約39%の同一性を示した。それは、
また、それぞれの推定Rho結合ドメインおよびFH−
2領域において、同定されたタンパク質に対して約32
%および57%のホモロジーを示した。これらの結果に
基づいて、本発明者が同定したタンパク質はショウジョ
ウバエのディアファノスタンパク質の哺乳類のホモロー
グであると結論し、このタンパク質をmDia(哺乳類
のディアファノス(mammalian Diapha
nous))と命名した(以降「mDia」と呼ぶ)。
cerevisiae)細胞の出芽に関与するBni1pの全体領
域に対して有意なホモロジーを示した。他方、mDia
はフォルミンおよびショウジョウバエのカプシノ( cap
uccino)に対してC末端側の半分の領域においてホモロ
ジーを示した。mDiaのRho結合ドメインはN末端
側の部分にマップされた(前述)が、Rho結合ドメイ
ンに類似する配列はフォルミンやカプシノには見い出さ
れなかった。このことより、これらのタンパク質(Rh
o結合ドメインを含まないフォルミンおよびカプシノ)
は細胞内で同定されたタンパク質と同様な機能を発揮す
るが、mDia、ディアファノスおよびBnilpのみ
がRho依存的な様式で機能を発揮することが示唆され
た。
ト解析を実施した。成熟マウスのいくつかの組織からオ
リゴ−dTラテックスビーズ(ファルマシア・バイオテ
ック社)を使用して標準的手法(Sambrook, J. et al.
(1989) Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 2n
d Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Co
ld Spring Harbor)に従い、ポリ(A)+ RNAを調製
した。6μgの各ポリ(A)+ RNAを2.1%ホルム
アルデヒドを含有する1.0%アガロースゲル上で分離
し、そしてBiodyne A フィルター(Pall Bio
Suport社)に移した。次いでフィルターを32P標識化c
l.50の0.6KbpのcDNA断片とハイブリダイ
ゼーションさせた。最後に、フィルターを0.4×SS
Cおよび0.1%SDSで65℃において洗浄し、オー
トラジオグラフィーにかけた。
試験したすべての組織において普遍的に(ubiquitousl
y)検出されたが、肺、睾丸、胸腺、肝臓および胃にお
いては特に強い発現が検出された。また、睾丸および肺
において、5kbのもうひとつの別の転写物が見出され
た(図5)。
の結合を検討するために、クローン50のcDNAによ
りコードされるペプチド(配列番号1の63〜260番
のアミノ酸配列を含む)をHis標識化タンパク質とし
て発現させ、このペプチドに対する抗体を調製すること
により、mDiaに対する特異的な抗体を得た。具体的
には下記の方法に従って、実験を実施した。
に近接するBamHIおよびEcoRI部位を使用し
て、cl.50cDNAをpQE11(QIAGEN
社)およびpGEX−3X(ファルマシア社)ベクター
の中に結合した。His6標識化cl.50を大腸菌
(E.coli)JM109株において発現させ、そし
てこれをNi−NTA樹脂(QIAGEN社)で製造業
者のプロトコールに従い精製した。精製されたタンパク
質をフロインドアジュバントと混合し、ウサギに注射し
た。Reid, T. et al., J. Biol. Chem., 271, 13556-13
560 (1992)に記載されている方法に従って、ニトロセル
ロース膜上に固定化されたGST−cl.50融合タン
パク質を用いて抗体をアフィニティー精製した。具体的
には、GST−cl.50を含有する封入体(inclusio
n body)を大腸菌(E.coli)から単離し、レムリ
(Laemmli)バッファー中で可溶化し、SDS−
PAGEにより分離し、ニトロセルロース膜に移した。
GST−cl.50のバンドをストリップとして切り出
し、このストリップに吸収された抗体を4℃において1
00mM グリシン−HClバッファー(pH2.
3)、100mM モノエタノールアミンバッファー
(pH11.5)、および10%の1,4−ジオキサン
を含有する100mM グリシン−HCl(pH2.
5)で連続的に溶出した。溶出液を直ちに0.25倍容
量の250mM リン酸ナトリウムバッファーで中和し
た(第1および第3の溶出液についてpH8.8、そし
て第2溶出液についてpH7.0)。これらの溶出液を
一緒にし、アフィニティー精製した抗体AP50として
使用した。対照の免疫蛍光試験のために、AP50のア
リコートを連続的に5片のGST−cl.50ブロット
膜とインキュベートすることによって、抗体を除去した
AP50溶液を調製した。
異性は、期待される分子量である50kDaのタンパク
質、およびIPTG誘導後の大腸菌(E.coli)ラ
イゼート中に見出されるその分解産物との反応性により
確認された(図6、レーン1および2)。AP50抗体
はSwiss 3T3細胞ライゼートにおいて約160
kDaの単一のタンパク質を検出し、このタンパク質は
明らかに内在性のmDiaを示している(レーン3およ
び4)。
パク質とmDiaの結合の検出 AP50抗体を使用して、野生型Rhoファミリー低分
子量Gタンパク質と天然mDiaの結合についてin vit
roにおいて検討した。具体的には下記に記載の方法に従
って実験を実施した。
子量Gタンパク質(GST−Rho、RacおよびCd
c42H)の調製は、過去に記載の方法(Reid, T. et
al.,J. Biol. Chem., 271, 13556-13560 (1992))に従
って実施した。ほぼ1×107 細胞のコンフルエントS
wiss 3T3細胞を集め、3.2mlのバッファー
A[10mM Mes(pH6.5)、150mM N
aCl、2mM MgCl2 、0.5mM EDTA、
0.5% トリトンX−100、5mM DTT、1m
M PMSF、5μg/ml ロイペプチン]中で超音
波処理(5秒、4回)することにより破壊した。超音波
処理したホモジネートを10,000gにおいて20分
間遠心し、上清を取り置いた。過去に記載された方法
(Ishizaki, T. et al., EMBO J., 15, 1885-1893 (199
6))に従って、10μM GST−低分子量Gタンパク
質を1mM ヌクレオチドとインキュベートすることに
よって、各ヌクレオチドのロードを実施した。次いで上
清の1/10量を400pmolのGTPγSまたはG
DPをロードした各GST−低分子量Gタンパク質とイ
ンキュベートした。30℃において30分インキュベー
トした後、5μlのグルタチオン−セファロースを溶液
に添加し、この混合液を4℃において1時間インキュベ
ートした。遠心により回収された免疫複合体を1mlの
バッファーAで2回洗浄し、レムリ試料バッファー中で
煮沸した。可溶化抽出物をSDS−PAGEに付し、分
離されたタンパク質をPVDF膜に移した。過去に記載
された操作(Kumagai, N. et al., J. Biol. Chem., 26
8, 4535-24538 (1993))に従い、抗cl.50抗血清A
P50を使用してイムノブロッティングを実施した。
DiaはGTPγS結合型Rhoによってのみ沈降した
が、そのGDP結合型Rho、またはGTPγS結合型
RacまたはCdc42によっては沈降しなかった。こ
れらの結果はツー・ハイブリッド・システムにおける結
果を支持し、mDiaが活性型Rhoと選択的に結合す
ることを示している。
ンとmDiaの結合の検出 mDiaはポリ−プロリンのストレッチの繰り返し構造
を有し、かつプロフィリンはポリ−L−プロリン配列に
結合することが示されている。そこで、本発明者はプロ
フィリンがmDiaに結合するかどうか、この結合がR
hoに依存するかどうかを検討した。具体的には下記に
記載の方法に従って、実験を実施した。
A., Ann. Rev. Physiol., 56, 169-191 (1994))に従っ
て、ヒト血小板プロフィリンをポリ−L−プロリンアフ
ィニティークロマトグラフィーにより精製した。具体的
には、250mgのポリ−L−プロリン(PLP、分子
量12,000、シグマ社)をCNBr活性化セファロ
ーズ4B(ファルマシア社)に結合させた。過去に記載
されている方法(Ishizaki, T. et al., EMBO J., 15,
1885-1893 (1996))に従って、100単位の血液のバッ
フィーコート画分から、洗浄したヒト血小板を調製し
た。血小板を200mlの抽出バッファー[20mM
Tris(pH7.4)、150mM KCl、0.2
mM ATP、1mM DTT、1mM PMSF]+
50mMベンズアミジンおよび1mg/ml アプロチ
ニン中で超音波処理により破壊した。100,0000
×gで時間遠心した後、上清をPLP−セファロースカ
ラムに適用した。これを4M尿素で洗浄後7M尿素で溶
出することによりプロフィリンの均質調製物が得られ
た。次いで、0.96mgのプロフィリンを製造業者の
プロトコールに従い1mlのNHS活性化セファロース
(ファルマシア社)と複合化させ、固定化プロフィリン
・ビーズを得た。対照として、ウシ血清アルブミンを同
様にNHS活性化セファロースに結合させた。
フルエントSwiss 3T3細胞を2.4mlのバッ
ファーC中で可溶化し、ライゼートを10,000×g
において10分間遠心し、上清を回収した。次いで、得
られた上清の1/10量のアリコートを、GST−低分
子量Gタンパク質または遊離GTPγSまたはGDPの
存在下または非存在下においてインキュベートした。ま
た、20μlの固定化されたプロフィリンを添加した。
混合液を25℃において30分間インキュベートした
後、ビーズを1,000×gで2分間遠心した。上清を
取り置き、ビーズを100mM NaClの代わりに3
00mM NaClを含有するバッファーC(100μ
l)で1回洗浄した。50μlのレムリ試料バッファー
をビーズに添加し、上清の1/10量をこれの1/5倍
容量の5×レムリバッファーと混合した。試料を煮沸
し、SDS−PAGEにかけ、ニトロセルロース膜に移
した。イムノブロッティングを前述したように実施し、
検出はECLシステム(アマシャム社)により実施し
た。
iss 3T3細胞ライゼートにおけるmDiaはプロ
フィリン−アガロースの添加によりほとんど定量的に沈
降したが、BSA−アガロースでは沈降しなかった。一
方、この結合は外からのRhoAの添加またはGTPγ
Sの添加により影響を受けなかった。
打ち構造および分裂する細胞の分裂溝におけるRho
A、mDiaおよびプロフィリンの共局在化 HT1080培養ヒト線維芽肉腫細胞、Swiss 3
T3細胞、myc標識化RhoAを安定的に発現するs
MDCK2細胞(K. Takaishi, K. et al.,Oncogene, 1
1, 39-48 (1995))またはHeLa細胞において、mD
ia、プロフィリンおよび内在性Rhoの分布およびそ
れらのインビボでの共局在化の可能性を、各タンパク質
に対して特異的な抗体を使用した蛍光顕微鏡観察により
検討した。
を補充したダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中
で増殖させた。HT1080細胞は5×104 細胞/3
5mm皿の密度で播種し、一晩培養し、分析にかけた。
sMDCK2細胞の分析のために、カバーガラス上に1
0%のFCSを含有するDMEM中の1×104 細胞/
35mm培養皿の密度で細胞を播種し、16時間インキ
ュベートした。次いで培地をFCSを含まないDMEM
に変え、24時間インキュベートした。血清飢餓細胞を
1×10-7Mのホルボールエステル(phorbol myristat
e acetate : PMA )の存在下または非存在下において1
5分間37℃において刺激し、固定した。
ホルムアルデヒドを含有するリン酸塩緩衝生理食塩水
(PBS)中で室温において20分間細胞を固定し、次
いで0.2% トリトンX−100を含むPBSで10
分間で処理し透過性とした。PBSで数回洗浄した後、
細胞を5% BSAを含有するバッファーB[20mM
Tris pH7.4、50mM NaCl]中で室温
において30分以上インキュベートした。mDiaの染
色のために、細胞をブロッキング溶液中のAP50の
1:10希釈物と室温において1時間インキュベート
し、0.1%のトリトンX−100を含有するバッファ
ーBで3回洗浄した。次いで細胞をCy2標識化ヤギ抗
ウサギIgG抗体(Amersham Life Science 社)で染色
した。アクチンの染色のために、ローダミンファロイジ
ン(Molecular Probe 社)を第2抗体とともに1:20
0希釈において添加した。Myc−エピトープの染色の
ために、9E10モノクローナル抗Myc抗体を10μ
g/mlの濃度でAP50とともに1次インキュベーシ
ョンのために添加した。次いでローダミン抗マウスIg
G抗体を1:50希釈で検出のために使用した。
mDia抗体により得られた蛍光の大部分は、HT10
80細胞のより厚い部分、すなわち、核周辺の細胞質領
域において局在化していた。しかしながら、顕著な蛍光
は、また、高度に運動性であることが知られている周囲
領域、例えば、広がって運動する細胞のリーディングラ
メラ(leading lamella )および膜の波打ち構造(memb
rane ruffles)、においても観察された(図9A)。核
周囲の細胞質領域とリーディング・エッジ(leading ed
ge)との間には、mDiaの染色が顕著に欠如してい
た。mDiaとフォーカル接着およびストレスファイバ
ーとの結合は観察されなかった。上記と同様な分布のパ
ターンは培養Swiss 3T3細胞においても観察さ
れた(図9E)。
11)を使用した二重免疫蛍光顕微鏡観察では、HT1
080細胞の核周囲の細胞質領域および拡大しているラ
メラやベール(lamella and veils)におけるプロフィ
リンの蓄積が検出され、これはmDiaの分布と重複し
た(図9B)。このプロフィリンの分布はラット線維芽
細胞において過去にされた結果(Buβ, F. et al., Cel
l Mot. Cytoskeleton,22, 51-61 (1992) )と一致し
た。興味あることには、プロフィリン抗体およびポリク
ローナル抗RhoA抗体を使用した二重免疫蛍光観察に
おいて、内在性RhoAの一部分は、また、運動性細胞
の膜ベールにおいてプロフィリンとともに蓄積すること
が明らかにされた(図9CおよびD)。このことから、
mDia、プロフィリンおよびRhoAが、細胞の高度
な運動性構造に共局在化していることが示唆された。ま
た、mDiaの分布をSwiss 3T3細胞で調べ、
これをF−アクチンの分布と比較した。mDiaはこの
細胞でも、アクチン骨格(actin rib )がよく発達した
広がったラメラに局在していた(図9E、F)。
共局在化は、また、myc標識化RhoAを安定に発現
し、ホルボールエステルに応答して膜を拡張するsMD
CK細胞(Takaishi, K. et al., Oncogene, 11, 39-48
(1995) )においても証明された。図10に示すよう
に、Myc−RhoAおよびmDiaの双方は、休止細
胞のより厚い部分における細胞質中にむしろ均質に存在
した。PMAによる2分間の刺激の後、Myc−Rho
Aの一部はmDiaが共局在化された膜の波打ち構造の
周囲に移動した。プロフィリンの一部も膜の波打ち構造
に移動し、RhoAと共局在することが明らかになっ
た。これらの細胞のホルボールエステルによる膜拡張の
誘導はRho依存的な様式で起こることが知られている
(Takaishi,K. et al., Oncogene, 11, 39-48 (1995)
)ので、これらの結果はmDiaおよびプロフィリン
のリクルートメント(recruitment )もまた、Rho依
存的であることを示唆している。
mDiaの大部分は細胞質中に存在し、あるものはスプ
レッディング・エッジの原形質膜へ移行している。他
方、有糸分裂細胞においては、mDiaの細胞内局在
は、それらが細胞質分裂を行うまで、観察されなかっ
た。この際、mDiaの一部分は分裂溝部分の原形質膜
に濃縮され、リング様構造物として見えた(図11Aお
よびC)。この濃縮は細胞質分裂の終わりにおいて消失
し、染色は原形質膜の取り囲む領域に移動した。娘細胞
を接続している細胞間架橋部分には、染色は観察されな
かった。プロフィリンはこれらのプロセスの間で、mD
iaとほとんど重複する染色パターンを示した(図11
D)。
ブロネクチン(FN)コーティングされたビーズの周り
にクラスター状に存在する 最近の研究において、Rho活性化および細胞外マトリ
ックスタンパク質のインテグリンのライゲーション(li
gation)の双方が細胞のスプレッディングおよび基質へ
の接着のために必要であり(Hotchin, N.A. & Hall,
A., J. Cell Biol., 131, 1857-1865 (1995))、そして
フィブロネクチンまたは抗インテグリン抗体のいずれか
でコーティングされたビーズによるインテグリンのライ
ゲーションは、ビーズ直下の原形質膜にRhoをリクル
ートすることが示されている(Burbelo, P. et al., J.
Biol. Chem. 270, 30919-30926 (1995))。そこで、m
Diaも、これらのビーズにより原形質膜にRhoとと
もにリクルートされるかどうか、およびこのリクルート
が活性化Rhoに依存的かどうか、について検討した。
9μmの平均直径、シグマ社)を50μg/ml ヒト
フィブロネクチン(Collabrative Research 社)または
100μg/mlのポリ−L−リジン(シグマ社)に記
載されているようにコーティングした(Grinnel & Geig
er、Exp. Cell Res., 162, 449-461 (1986) )。トリプ
シン処理したSwiss 3T3細胞をポリ−リジンで
コーティングしたガラススリップ上にプレートし、10
%のFCSを含有するDMEM中で37℃で2時間かけ
てスリップに結合させた。次いで、各々異なる型のビー
ズを細胞上に置いた。37℃において15分間のインキ
ュベーション後、細胞を固定した。mDiaの染色は前
述したように実施した。内在性RhoAの免疫染色のた
めに、ウサギ抗RhoA抗体(Santa Cruz社)を1:4
0希釈において使用した。抗体を前述したようにCy2
標識化ヤギ抗ウサギIgG抗体を使用して可視化した。
ず、内在性Rhoが、ポリ−リジンでコーティングされ
たビーズ直下ではなく(図12d)、フィブロネクチン
(FN)でコーティングされたビーズ直下に蓄積される
ことを確認した(図12b)。この条件では、mDia
もFNコーティングされたビーズ直下にリクルートさ
れ、リング様の蓄積がビーズの周囲に観察された(図1
2a)。上記結果(RhoとmDia両方の蓄積)に加
えて、細胞を予めC3菌体外酵素で処理した場合にはこ
れらの蓄積が阻害されたことから、これらのリクルート
メントが活性化Rho依存的であることが判明した(デ
ータ省略)。同様にして、プロフィリンもmDia、R
hoと共局在することが観察された(データ省略)。
チン重合の誘導 mDiaの機能を調べるため、過去に記載の方法(Ishi
zaki, T. et al., EMBO J., 15, 1885-1893 (1996))に
準じて、mDiaのcDNA(配列番号1の1〜125
5番のアミノ酸配列)および/または他のタンパク質の
cDNAをCOS7細胞で一過的に発現させた後、細胞
を固定し、抗mDia抗体で染色した。
mDia抗体で染色したところ、よく染色され、mDi
aの発現が確認された。トランスフェクトしない細胞で
は核周辺に染色が観察された。これと比較すると、トラ
ンスフェクトした細胞では細胞の輪郭が明瞭にしかも均
等に染色されたことから、mDiaを過剰発現した場合
にはこの分子が原形質膜全体に局在化することが示され
た(図13A)。ファロイジンで染色すると、ストレス
ファイバーが消失し、細胞の原形質膜に一致してアクチ
ン染色が亢進されたことが観察された(図13B)こと
から、mDiaは膜に移行し、そこでアクチンの重合を
誘導することが示唆された。mDiaをC3菌体外酵素
とともに発現した場合にはより顕著な結果が得られた。
即ち、C3菌体外酵素を単独でトランスフェクトする
と、細胞からほとんど全てのアクチンファイバーが消失
し細胞が球形化した(図13C及びD)。mDiaをC
3菌体外酵素とともにトランスフェクトした時には、細
胞は形態を維持し、mDiaのみをトランスフェクトし
た細胞で観察されるのものと同様の繊維状アクチンの染
色が観察された(データ省略)。
Rhoと共発現させた。RhoVal14 又は野生型Rho
を単独で発現させた場合には、ストレスファイバーや収
縮の誘導が観察された。しかし、mDiaをRho
Val14 又は野生型Rhoと共発現させた場合には、上記
に記載したmDia形質(ストレスファイバーの消失と
細胞の原形質膜に一致したアクチン染色)がRho単独
によって誘導される形質(ストレスファイバーや収縮の
誘導)よりも優勢に発現し、ストレスファイバーや収縮
の誘導はほとんど観察されなかった(データ省略)。こ
れらの結果から、mDiaが過剰発現されると、原形質
膜に自動的に移行する、すなわち、Rhoタンパク質に
よるアクチン重合とは独立して移行することを示唆して
いる。
ニング マウスmDiaと酵母BNI1の塩基配列を比較し、構造上
保存されている部分のマウスの塩基配列をもとに、PCR
プライマー(5'-TGG AGG TAC AGG TAT ACC ACCACC ACC T
CC-3'( 配列番号2の2127-2156 番の塩基配列)、5'-GT
T CTC ACT CTTACG CAG CTC TTC GCA TGC-3' ( 配列番号
2の2929-2958 番の塩基配列)の相補配列)を作製し
た。このプライマーを使い、QUICK-CLONE cDNA Human B
rain(CLONTECH社)2μl を鋳型として、Takara LA PCR
kit Ver.2 (Takara社)を使い、ヒトmDiaの部分c
DNA断片を増幅した。反応は、98℃10秒、55℃30秒、72
℃3 分を30回繰り返した。増幅したcDNA断片は、pBlusc
ript II SK- にサブクローニングし、塩基配列を決定
し、ヒトmDiaであることを確認した。このヒトmD
iaの部分cDNA断片をプローブとして、ヒト脳λZAP cD
NA ライブラリーを1.0 ×106 プラーク、スクリーニン
グした。上記スクリーニングは、J. Sambrooket al., M
olecular Cloning: A Laboratory Manual: Cold Spring
Habor Laboratory, Cold Spring Habor,NY(1989)に準
じて行った。6 ×SSC 、10×Denhardt'ssolution 、1
%SDS 、200μg/ml、中で65℃3 時間プレハイブリダイ
ゼーションを行った。ヒトmDia cDNA 断片をSTRATA
GENE社 Primie-it II RandomPrimer Labeling Kit をも
ちいて、32P ラベルし、このプローブを使って、65℃、
一晩ハイブリダイゼーションを行った。2 ×SSC 、0.1
%SDS 、を使い室温で4 回洗浄した。この結果、2 つの
ヒトmDia cDNA クローン(クローン140-10(配列番
号4の2194-5822 番の塩基配列)、140-12(配列番号4
の866-2253番の塩基配列))を得た。
得るために、ヒト脳λgt10cDNAライブラリー(CLONTECH
社)1.0 ×106 プラーク、スクリーニングした。上記ス
クリーニングは、J. Sambrook et al., Molecular Clon
ing: A Laboratory Manual:Cold Spring Habor Laborat
ory, Cold Spring Habor,NY(1989)に準じて行った。6
×SSC 、10×Denhardt's solution 、1 %SDS 、200mg/
ml、中で65℃3 時間プレハイブリダイゼーションを行っ
た。クローン140-12の5'領域をプライマー5'-CCG TCC C
TT CAG GTC ATA GG3' (配列番号5の4530-4549 番の塩
基配列、配列番号4の1274-1293 番の塩基配列に対応)
と5'-CAG GAA ACA GCT ATG ACC ATG-3'(pBluscript II
SK- の一部)を使って、PCR によりヒトmDia部分c
DNA配列(配列番号4の866-1293番の塩基配列)を増幅
した。このcDNA断片をSTRATAGENE社 Primie-it II Rand
omPrimer Labeling Kit を用いて、32P ラベルし、この
プローブを使って、65℃、一晩ハイブリダイゼーション
を行った。2 ×SSC 、0.1%SDS 、を使い室温で4 回洗
浄した。この結果、1 つの5'側領域をカバーするcDNAク
ローン(クローン140-12-17 (配列番号4の1-1907番の
塩基配列。但し、1679番のAがCに置換してい
る。))を得た。それぞれのクローンの塩基配列の決定
は、Pharmacia 社製double-stranded Nested Deletion
Kit を使用して整列欠失を作製し、ABI 社の 377 DNAシ
ークエンサーを使って行った。
Dia cDNAの塩基配列は、配列番号4に記載され
るとおりであった。ただし、1679番目の塩基は、ク
ローン140−12ではAであったが、クローン140
−12−17ではCであった。この塩基配列の差違は、
各々のクローンの由来が異なるからであると考えられ
る。クローン140−12をクローニングしたcDNA
ライブラリー(Clontech社製)とクローン140−12
−17をクローニングしたcDNAライブラリー(Stra
tagene社製)とはその由来を異にする。このように、ヒ
トmDiaをコードする塩基配列は、配列番号4の16
79番の塩基がAであるものと、1679番の塩基がC
であるものとが存在する。このような塩基配列の差違
は、ヒトの個人差(ポリモルフィズム)を反映している
と考えられる。
には2種類の異なる配列を有するものが存在することが
わかった。即ち、551番目のアミノ酸配列がAspの
もの(配列番号3および4のアミノ酸配列)と、551
番目のアミノ酸配列がAlaのもの(ヒトmDia(D
551A))が存在する。
ミノ酸残基からなり、推定分子量は、約145kDaであっ
た。また、マウスmDia(実施例2)との相同性は87
%であった。マウスmDiaのRho結合ドメイン(配
列番号1の63〜260番のアミノ酸配列)は、ヒトm
Diaのアミノ酸115〜312番に相当し、これらの
同一性は94%であった。また、マウスmDiaのプロ
リンに富む領域(配列番号1の571〜737番のアミ
ノ酸配列)およびFH−2領域(配列番号1の945〜
1010番のアミノ酸配列)はそれぞれ、ヒトmDia
のアミノ酸626〜797番およびアミノ酸1005〜
1070番に相当し、これらの同一性はそれぞれ73%
および94%であった。図14に得られたそれぞれのク
ローンのcontig map を示した。図15および16に、
ヒトおよびマウスmDiaのアミノ酸配列を並べて比較
した。
上の位置の決定 (1)FISH解析 ヒトmDia遺伝子の染色体上の位置を知るために、蛍
光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)解析を行っ
た。ヒト血液から単離したリンパ球を10% 胎児牛血清、
フィトヘマグルチニン(PHA) を補ったα−最少必須培地
(MEM) 中、37℃で、68から72時間培養した。培養したリ
ンパ球は、BrdU(0.18mg/ml Sigma社)で処理し同調させ
た。同調させたリンパ球は、無血清培地で3 回洗い、チ
ミジン (2.5mg/ml Sigma社)を含むα-MEMで37℃で6 時
間培養した。細胞を集めスライドを作製した。ヒトmD
iaの5'側の配列を含むcDNAクローン140-10( 配列番号
4の2194-5822 番の塩基配列) をBRL BioNick labeling
kitを使用してビオチン化した(Heng et. al.1992)。FI
SHの検出方法は、Heng et al., 1992 とHeng and Tuji
1993に従った。スライドは55℃で1 時間熱処理した。RN
ase 処理後、スライドは、70%フォルムアミドを含む2X
SSC で2 分間変性し、70℃でエタノールにより脱水し
た。プローブは、75℃で5 分間ハイブリダイゼーション
液(50%フォルムアミド、10%デキストラン サルフェ
ート)中で変性した。プローブを変性した染色体スライ
ドにのせ、37℃で一晩置いた。スライドを50%ホルムア
ミド、2×SSC で3 分間、3 回洗浄したのち、2 ×SSC
、43℃、3 分間、3 回洗浄し、シグナルを検出した。F
ISHのシグナルとDAPI バンドパターンは別々に写真を
撮り、重ね合わせることによって、染色体上の位置を決
定した。
染色体のうち、92細胞の染色体で、一組の染色体上にシ
グナルが検出された。DAPI バンドをもとに、シグナル
が5番染色体の長腕にあることが解った。詳細な染色体
上の位置は、10枚の写真の結果を総合して決定した(図
17)。ヒトmDia遺伝子は5 番染色体長腕の31.2に
存在することが解った。
nel を使用した、染色体上の位置の決定。 ヒトmDia遺伝子の染色体上の位置を決定するため
に、Research Genetics社のGeneBridge 4 Radiation Hy
brid Panel を使用して、解析を行った。 DNAs25ng を
鋳型として、ヒトmDiaに特異的なプライマー、5'-A
TA TGA GAG TGC AAC TAA A-3' ( 配列番号4の1226-124
4 番の塩基配列)と5'-GAG AAT CTG AAA GAC TTC ATT-3
' (配列番号5の4476-4496 番の塩基配列、配列番号4
の1327-1347 番の塩基配列に対応)を用いて、PCR を行
い決定した。PCR は、Takara LA PCR kit Ver.2 を用い
て、98℃10秒、55℃30秒、72℃1 分を30回繰り返した。
反応液を0.7 %アガロースゲル電気泳動した結果、755b
p (配列番号6の塩基配列;633bp のイントロン配列を
含む)のヒトmDia特異的なDNA 断片が増幅されてい
た。イントロンは、配列番号4の1319と1320番の塩基の
間に存在する。この結果をWI/MIT Radiation Hybrid Ma
pper (http: //www- genome. wi. mit. edu/ cgi- bin/
contig/ rhmapper. pl#instructions) を使って解析し
た。その結果、ヒトmDiaはNIB1948 から2.02cRテロ
メア側の位置にあることが解った。
イブリッド・システムでの結合を示した写真である。V
al、Asn、WTおよびCdc42は、それぞれ、R
hoAVal14 、RhoAAsn19 、野生型RhoAおよび
Cdc42Hsを示している。ΔAsnおよびΔWT
は、Ala181でトランケートしたRhoAsn19およ
び野生型RhoAを示している。ラミン(Lamin )およ
び他のタンパク質と融合していないLex結合ドメイン
を、ネガティブコントロールとして用いた。Ala
181でトランケートしたRhoAVal14 は、他のタン
パク質と融合していないVP16活性化ドメインとも結
合して高LacZ活性を示したので、この実験では使わ
なかった。
図である。ORFは点のボックスで示した。ヌクレオチ
ド87番目のTからCへの変換および2229番目のC
からTへのヌクレオチドの変換が、それぞれ503およ
びE73cDNA中に見出された。ライブラリーa、b
およびCは、それぞれマウス脳ライブラリー93630
9(ストラタジーン社)、ML3000a(クロンテッ
ク社)およびマウス胚ライブラリーを示している。E7
3 cDNAには9アミノ酸の挿入が認められた。
図である。ツー・ハイブリッド・システムで得られたク
ローンの配列は太い下線で、プロリンリッチ領域の繰り
返し構造は点下線で、FH−2領域は細い下線で、それ
ぞれ示した。矢じり印は9アミノ酸の挿入箇所を示して
いる。
白質との模式的な構造比較を示す。p140mDiaの
配列をDrosophilaの diaphanous 、S.cerevisiaeのBn
i1p、ラットformin、およびDrosophilaのcapp
ucino と比較した。比較は推定Rho結合領域(Rho
-binding)、Nー末端からプロリンリッチ領域(poly-p
roline)、FH−2領域、プロリンリッチ領域からC末
端領域で行った。アミノ酸の同一性は%で示した。フォ
ルミンとカプチーノのNー末端領域(*で示した)はホ
モロジーが認められなかった。示した全ての配列は、中
間部分にポリープロリンストレッチを持ち、C末端側の
半分にホモロジーを持っている。
織におけるp140mDiaの組織分布を示したRNA
ブロット(電気泳動写真)である。 heart:心臓、lung:肺、brain:脳、k
idney:腎臓、testis:睾丸、skelet
al muscle:骨格筋、thymus:胸腺、s
pleen:脾臓、liver:肝臓、stomac
h:胃、small intestine:小腸、co
lon:結腸。
泳動写真である。抗血清(AP50)はツー・ハイブリ
ッド・システムで得られたクローン50がコードするペ
プチドに対するもので、その特異性を、IPTGで誘導
前(レーン1)および誘導後(レーン2)の組換えタン
パク質を発現している大腸菌(E.coli)の全ライ
ゼート、あるいはSwiss 3T3細胞(3T3 c
ells)の全ライゼート(レーン3)に対するウエス
タンブロッティングにより検討した。レーン4は細胞の
全ライゼートをCBB染色したものを示している。
40mDiaの沈降を示した電気泳動写真である。Sw
iss 3T3細胞の全ライゼートを、GTPγS結合
型あるいはGDP結合型のGST−Rho、GST−R
ac、GST−Cdc42あるいはGSTとともにイン
キュベートした。結合したタンパク質をグルタチオンア
ガロースビーズで沈降させ、抗p140mDia抗体を
用いたイムノブロッティングにより解析した。レーン9
(cell lysates)では、細胞の全ライゼート中のp14
0mDiaを抗体で検出した。
での結合を示した電気泳動写真である。Swiss 3
T3細胞ライゼートを、GTPγS−またはGDP結合
型のGST−Rhoタンパク質の存在下または非存在下
(none)で、プロフィリンあるいはBSAをコンジュゲ
ート(immobilized )したアガロースビーズとインキュ
ベートし、結合タンパク質を沈降させた。沈降物(Pell
et)および上清(Supernatant )は、抗p140mDi
a抗体を用いてイムノブロッティングにより解析した。
とp140mDiaおよびプロフィリンの共局在を示し
た顕微鏡写真(生物の形態の写真)である。(A−D)
HT1080ヒト線維肉腫細胞。(EとF)Swiss
3T3マウス線維芽細胞。細胞を培養し、固定し、抗
p140mDia抗体(AとE)、抗RhoAポリクロ
ーナル抗体(C)あるいはマウス抗プロフィリンモノク
ローナル抗体(BとD)又はローダミン−ファロイジン
(F)いずれかで同時に細胞を染色し、標準的な蛍光顕
微鏡写真を撮影した。
膜ラッフルにおけるmyc標識化RhoA、p140m
Diaおよびプロフィリンの共局在化を示した顕微鏡写
真(生物の形態の写真)である。休止期(Resting )
(A−C)またはphorbol myristate acetate (D−
H)で刺激した(PMA stimulation )sMDCK細胞を
固定し、抗p140mDia抗体(B、EおよびH)ま
たはモノクローナル抗myc抗体(C、F)で染色し
た。Hには、過剰量の組換えペプチドで予め吸収させた
(preabsorbed )抗p140抗血清を用いた染色が示さ
れている。A、D、Gには、位相差顕微鏡(phase cont
rast)を用いてそれぞれの細胞を撮影した顕微鏡写真が
示されている。写真上段左から、A、B、Cであり、写
真中段左からD、E、Fであり、写真下段左からG、H
である。
aの濃縮を示した顕微鏡写真(生物の形態の写真)であ
る。AおよびB:Swiss 3T3細胞、Cおよび
D:HeLa細胞。抗p140mDia抗体(anti-p14
0 )で染色(staining)された対数増殖期の細胞(Aお
よびC)およびDAPI(B)または2H11モノクロ
ーナル抗プロフィリン抗体(D)(anti-profilin )で
同時に染色したものを標準的な蛍光顕微鏡で撮影した。
りにRho依存的な様式で出現したRhoAおよびp1
40mDiaのクラスターを示した顕微鏡写真である。
48時間培養したSwiss 3T3細胞を用いた。細
胞を播き、フィブロネクチン(FN−coated)(a、
b)またはポリ−L−リジン(PLL−coated)(cお
よびd)でコートしたラテックス・ビーズとともに15
分間インキュベートした。細胞は固定後、抗p140m
Dia抗体(anti-p140 )(a、c)または抗Rho抗
体(anti-Rho)(b、d)で染色(staining)した。
一過性の発現を示した顕微鏡写真である。COS細胞は
p140mDiaの発現ベクター単独(AおよびB)ま
たはC3菌体外酵素の発現ベクター単独(CおよびD)
でトランスフェクトした。C3菌体外酵素のトランスフ
ェクションは、FLAGエピトープを有したC3菌体外
酵素発現様ベクターで実施した。細胞を固定し、抗p1
40mDia抗体(anti-p140 )単独(AおよびC)あ
るいは同時にアクチンをローダミン−ファロイジン(ph
alloidin)染色(staining)した(B、D)。
ーン(clone)断片の構造を示した図である。太いバー
はオープン・リーディング・フレーム(ORF)を表
す。数字は配列番号4に記載の塩基番号を示す。
a(mouse)のアミノ酸配列の比較を示した図である。
数字は配列番号1および3に記載のアミノ酸番号を示
す。一致するアミノ酸残基を縦線で示した。ヒト配列
中、アミノ酸残基551番の「X」はアスパラギン酸
(Asp:D)またはアラニン(Ala:A)を表す。下線A
はRho結合領域を表す。
a(mouse)のアミノ酸配列の比較を示した図である。
図15の続きである。数字は配列番号1および3に記載
のアミノ酸配列番号を示す。一致するアミノ酸残基を縦
線で示した。下線Bはプロリン・リッチ領域、下線Cは
FH−2領域をそれぞれ表す。
た顕微鏡写真および図である。 (1)FISH解析の結果を示した顕微鏡写真(染色体
の写真)である。5番染色体上のFISHシグナルを矢
印で示した(A)。5番染色体を同定するためにDAP
Iで染色したAと同一の細胞分裂期の顕微鏡写真である
(B)。 (2)(1)の結果を模式的に表した図である。
染色体上の位置と、気管支喘息(気道過敏症)に関連す
る染色体上の位置との関係を示した図である。
Claims (21)
- 【請求項1】下記の特徴を有するヒト由来のタンパク質
またはその誘導体: (1)活性型Rhoタンパク質結合能を有する、(2)
プロフィリン結合能を有する、(3)遺伝子がヒト染色
体5q31.2に位置する、(4)分子量がSDS−P
AGEによる測定で約150kDaである。 - 【請求項2】下記のアミノ酸配列を含むタンパク質また
はその誘導体: (a)配列番号3のアミノ酸配列、または(b)1以上
のアミノ酸が付加および/または挿入され、および/ま
たは1以上のアミノ酸が置換および/または欠失された
配列番号3のアミノ酸配列であって、活性型Rhoタン
パク質結合能を有し、かつプロフィリン結合能を有する
アミノ酸配列。 - 【請求項3】配列番号3の115〜312番のアミノ酸
配列と配列番号3の626〜797番のアミノ酸配列と
を有する、請求項2に記載のタンパク質またはその誘導
体。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のタン
パク質をコードする塩基配列。 - 【請求項5】配列番号4のDNA配列の一部または全部
を有する、請求項4に記載の塩基配列。 - 【請求項6】塩基配列の一部が、配列番号4の28〜3
972番、370〜963番、または1903〜241
8番のDNA配列である、請求項5に記載の塩基配列。 - 【請求項7】請求項4〜6のいずれか一項に記載の塩基
配列を含んでなる、ベクター。 - 【請求項8】プラスミドベクター、ウイルスベクター、
およびリポソームベクターからなる群から選択される、
請求項7に記載のベクター。 - 【請求項9】請求項7または8に記載のベクターによっ
て形質転換された、宿主細胞(ただし、ヒト細胞にあっ
てはヒトから単離された細胞に限る)。 - 【請求項10】大腸菌、酵母、昆虫細胞、COS細胞、
リンパ細胞、繊維芽細胞、CHO細胞、血液系細胞、お
よび腫瘍細胞からなる群から選択されるものである、請
求項9に記載の宿主細胞。 - 【請求項11】請求項9または10に記載の宿主細胞を
培養し、そしてその培養物から請求項1〜3のいずれか
一項に記載のタンパク質またはそれらの誘導体を単離す
ることを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記
載のタンパク質またはそれらの誘導体の製造法。 - 【請求項12】(1)スクリーニングの対象を、活性型
Rhoタンパク質と、請求項1〜3のいずれか一項に記
載のタンパク質またはその誘導体とを含むスクリーニン
グ系に存在させ、そして(2)活性型Rhoタンパク質
と、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質ま
たはその誘導体との結合の阻害の程度を測定することを
含む、活性型Rhoタンパク質と、請求項1〜3のいず
れか一項に記載のタンパク質またはその誘導体との結合
を阻害する物質のスクリーニング法。 - 【請求項13】(1)スクリーニングの対象を、プロフ
ィリンと、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパ
ク質またはその誘導体とを含むスクリーニング系に存在
させ、そして(2)プロフィリンと、請求項1〜3のい
ずれか一項に記載のタンパク質またはその誘導体との結
合の阻害の程度を測定することを含む、プロフィリン
と、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質ま
たはその誘導体との結合を阻害する物質のスクリーニン
グ法。 - 【請求項14】スクリーニングの系が細胞系または無細
胞系である、請求項12または13に記載のスクリーニ
ング法。 - 【請求項15】下記から選択される、塩基配列: (a)配列番号4の配列中、連続した少なくとも15塩
基のDNA配列を含む塩基配列、およびそれに相補的な
配列、並びに(b)(a)の塩基配列とストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズする塩基配列。 - 【請求項16】配列番号4の2194〜5822番、8
66〜2253番、1〜1907番(但し、1679番
のAはCである)、1274〜1293番、866〜1
293番、1226〜1244番、および1327〜1
347番の塩基配列、並びに配列番号5の1〜3629
番、3570〜4957番、3916〜5822番(但
し、4144番のTはGである)、4530〜4549
番、4530〜4957番、4579〜4597番、お
よび4476〜4496番の塩基配列からなる群から選
択される、請求項15に記載の塩基配列。 - 【請求項17】下記から選択される、塩基配列: (a)配列番号6の配列中、連続した少なくとも15塩
基のDNA配列を含む塩基配列、およびそれに相補的な
配列、並びに(b)(a)の塩基配列とストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズする塩基配列。 - 【請求項18】請求項15〜17のいずれか一項に記載
の塩基配列と標識とを含む、プローブ。 - 【請求項19】標識が酵素、放射性同位元素、蛍光、お
よび抗原からなる群から選択される、請求項18に記載
のプローブ。 - 【請求項20】請求項15〜17のいずれか一項に記載
の塩基配列、または請求項18または19に記載のプロ
ーブを含む、診断薬。 - 【請求項21】気道過敏症、気管支喘息、急性骨髄性白
血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)から
なる群から選択される疾患の診断に用いられる、請求項
20に記載の診断薬。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP9090170A JPH10262680A (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | Rho標的タンパク質ヒトmDiaおよびその遺伝子 |
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JP9090170A JPH10262680A (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | Rho標的タンパク質ヒトmDiaおよびその遺伝子 |
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JP9090170A Pending JPH10262680A (ja) | 1996-08-26 | 1997-03-25 | Rho標的タンパク質ヒトmDiaおよびその遺伝子 |
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JP2008529008A (ja) * | 2005-01-28 | 2008-07-31 | チルドレンズ メディカル センター コーポレイション | 上皮癌の診断および予後診断のための方法 |
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1997
- 1997-03-25 JP JP9090170A patent/JPH10262680A/ja active Pending
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