JPH10240780A - 分子設計支援装置および固有値求解方法 - Google Patents
分子設計支援装置および固有値求解方法Info
- Publication number
- JPH10240780A JPH10240780A JP9039185A JP3918597A JPH10240780A JP H10240780 A JPH10240780 A JP H10240780A JP 9039185 A JP9039185 A JP 9039185A JP 3918597 A JP3918597 A JP 3918597A JP H10240780 A JPH10240780 A JP H10240780A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- matrix
- subspace
- eigenvalue
- real space
- eigenvalues
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】固有値求解処理の収束を早める。
【解決手段】 射影作用素を用い実空間の行列より部分
空間の行列の行列の、複数の固有値と固有ベクトルを求
め(101〜104)、部分空間の行列の各固有ベクト
ルを実空間へ戻し固有値の残差を各々求め(105、1
06)、k個の残差の各々について(150-1〜150-
k)、当該残差より射影作用素を修正し部分空間の行列を
生成して複数の固有値と固有ベクトルを求める処理を複
数のプロセッサを用いて並列に行い(108〜11
0)、部分空間の固有値の和を最小とした射影作用素、
固有値、固有ベクトルを選択し(111)、選択した固
有値、固有ベクトルについてステップ105からの処理
を実行させる処理を、選択した固有値の和が前回より小
さくならなくなるまで繰り返す(113)。
空間の行列の行列の、複数の固有値と固有ベクトルを求
め(101〜104)、部分空間の行列の各固有ベクト
ルを実空間へ戻し固有値の残差を各々求め(105、1
06)、k個の残差の各々について(150-1〜150-
k)、当該残差より射影作用素を修正し部分空間の行列を
生成して複数の固有値と固有ベクトルを求める処理を複
数のプロセッサを用いて並列に行い(108〜11
0)、部分空間の固有値の和を最小とした射影作用素、
固有値、固有ベクトルを選択し(111)、選択した固
有値、固有ベクトルについてステップ105からの処理
を実行させる処理を、選択した固有値の和が前回より小
さくならなくなるまで繰り返す(113)。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子軌道法を用い
た分子設計などの固有値問題を含む問題の解を計算機を
用いて求めるための技術に関するものである。
た分子設計などの固有値問題を含む問題の解を計算機を
用いて求めるための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基底及び励起状態の原子・分子の性質を
評価する技術としては、分子の性質を電子の波動関数に
よって記述して、これを行う分子軌道法と呼ばれる技術
が知られている。
評価する技術としては、分子の性質を電子の波動関数に
よって記述して、これを行う分子軌道法と呼ばれる技術
が知られている。
【0003】分子軌道法において用いられる波動関数Ψ
は、Shroedinger方程式 HΨ=EΨ で規定される。
は、Shroedinger方程式 HΨ=EΨ で規定される。
【0004】ここで、経験的パラメータを用いずに、こ
の方程式を解く近似法としては、Hartree−Fock法があ
る。この方法は電子間の相関を無視し、軌道エネルギー
最低の一電子波動関数のみによってつくられるSlater行
列式により、系の最低エネルギーに対応する電子の波動
関数が記述されると仮定する。
の方程式を解く近似法としては、Hartree−Fock法があ
る。この方法は電子間の相関を無視し、軌道エネルギー
最低の一電子波動関数のみによってつくられるSlater行
列式により、系の最低エネルギーに対応する電子の波動
関数が記述されると仮定する。
【0005】Hartree−Fock法により、基底状態(占有
軌道)および励起状態(非占有軌道)の一電子波動関数
と、系の最低エネルギーおよびそれに対応する電子の波
動関数が求められる。
軌道)および励起状態(非占有軌道)の一電子波動関数
と、系の最低エネルギーおよびそれに対応する電子の波
動関数が求められる。
【0006】しかし、実際には、電子間に相関があるた
め、Hartree−Fock法で求めたものは、正確な系の最低
エネルギーとそのときの電子の波動関数とはならない。
さらに、化学反応を記述するために重要な励起状態の電
子の波動関数を求められない。
め、Hartree−Fock法で求めたものは、正確な系の最低
エネルギーとそのときの電子の波動関数とはならない。
さらに、化学反応を記述するために重要な励起状態の電
子の波動関数を求められない。
【0007】一方、より正確な系の安定状態および励起
状態の電子の波形関数を求める方法としては、CI(Conf
iguration Interaction)法がある。
状態の電子の波形関数を求める方法としては、CI(Conf
iguration Interaction)法がある。
【0008】CI法は系の電子の波動関数を直交する一電
子波動関数Ψiの線形結合で近似する。
子波動関数Ψiの線形結合で近似する。
【0009】このとき、Shroedinger方程式を解くこと
は、線形結合の係数を固有ベクトルとし、相関エネルギ
ーを固有値とする行列を解く固有値問題に帰着する。
は、線形結合の係数を固有ベクトルとし、相関エネルギ
ーを固有値とする行列を解く固有値問題に帰着する。
【0010】このとき、この行列は、励起状態と基底状
態が独立であることなどのため、きわめて疎な行列とな
る。
態が独立であることなどのため、きわめて疎な行列とな
る。
【0011】ここで、通常、分子は系の安定状態及び安
定状態に近い励起状態をとるため、高々数個から数百程
度の少数の固有値を求めれば、工業的には十分である。
定状態に近い励起状態をとるため、高々数個から数百程
度の少数の固有値を求めれば、工業的には十分である。
【0012】一方、固有値解法としてHouseholder変換
やJacobi法などが知られているが、このような不規則疎
行列の少数固有値問題には適さない。それは、固有値を
求める途中で、fill−in(行列成分が0であっても、解
を求める過程で0でなくなる現象)が発生するため、メ
モリを大量に消費することと、求めなくてもよいすべて
の固有値を求めるために計算時間を浪費することによ
る。
やJacobi法などが知られているが、このような不規則疎
行列の少数固有値問題には適さない。それは、固有値を
求める途中で、fill−in(行列成分が0であっても、解
を求める過程で0でなくなる現象)が発生するため、メ
モリを大量に消費することと、求めなくてもよいすべて
の固有値を求めるために計算時間を浪費することによ
る。
【0013】また、少数固有値解法として、構造の振動
問題などで用いられているSubspace法がある。しかし、
この方法は、(a)バンド列でないと、fill−inにより
メモリを消費しすぎること、(b)固有値のおおよその
値がわからないと解けないなど、固有値が不確実な、不
規則疎行列の固有値問題を解くCI法には不適である。
(参考文献;Bauer,F.L.,“Das Verfahren der
Treppeniteration undVerwandte Verfahren zur Lo
sung Algebraischar Eigenwertprobleme”,ZAMP,
8,1957,pp.214−235) すなわち、このSubspace法は、絶対値が0から1の間にあ
る固有値を求める方法である。そして、もし、絶対値が
1以上の固有値を求めるためには、行列の原点移動とい
う方法を用いる。このとき求めたい固有値のおおよその
値がわかっていれば、求めたい固有値の絶対値を0から1
の範囲におさまるように原点移動できる。しかし、おお
よその値がわからなければ、原点移動しようにもどこへ
移動してよいか決定できない。従って、CI法の行列のよ
うな、予め大きさを予想できない負の大きな固有値を持
つ場合、Subspace法では固有値を求められない。) このため、従来からCI法にはDavidson法(文献;Davids
on,E.R.“Monstermatrices their eigenvalues a
nd eigenvectors”,Computers in Physics,7,193
3,pp.513−522)が用いられて来た。
問題などで用いられているSubspace法がある。しかし、
この方法は、(a)バンド列でないと、fill−inにより
メモリを消費しすぎること、(b)固有値のおおよその
値がわからないと解けないなど、固有値が不確実な、不
規則疎行列の固有値問題を解くCI法には不適である。
(参考文献;Bauer,F.L.,“Das Verfahren der
Treppeniteration undVerwandte Verfahren zur Lo
sung Algebraischar Eigenwertprobleme”,ZAMP,
8,1957,pp.214−235) すなわち、このSubspace法は、絶対値が0から1の間にあ
る固有値を求める方法である。そして、もし、絶対値が
1以上の固有値を求めるためには、行列の原点移動とい
う方法を用いる。このとき求めたい固有値のおおよその
値がわかっていれば、求めたい固有値の絶対値を0から1
の範囲におさまるように原点移動できる。しかし、おお
よその値がわからなければ、原点移動しようにもどこへ
移動してよいか決定できない。従って、CI法の行列のよ
うな、予め大きさを予想できない負の大きな固有値を持
つ場合、Subspace法では固有値を求められない。) このため、従来からCI法にはDavidson法(文献;Davids
on,E.R.“Monstermatrices their eigenvalues a
nd eigenvectors”,Computers in Physics,7,193
3,pp.513−522)が用いられて来た。
【0014】この、Davidson法の原理を図*に示す。
【0015】Davidson法は、固有値・固定ベクトルを求
めたい行列A(実空間)から適当な射影作用素Bにより元
の行列よりもはるかに小さい行列S(部分空間)を生成
し、その小行列の固有値λ・固有ベクトルvを求める。
そして、求めた固有値λ・固有ベクトルv用いて、射影
作用素Bに含まれる元の行列の固有ベクトル成分を小行
列の固有ベクトル成分として抽出できるように射影作用
素Bを、小行列の固有値λ・固有ベクトルvに対して求ま
る固有値残差rのうち、最大のものを用いて修正する反
復解法で、固有値残差rにより収束を判定する。
めたい行列A(実空間)から適当な射影作用素Bにより元
の行列よりもはるかに小さい行列S(部分空間)を生成
し、その小行列の固有値λ・固有ベクトルvを求める。
そして、求めた固有値λ・固有ベクトルv用いて、射影
作用素Bに含まれる元の行列の固有ベクトル成分を小行
列の固有ベクトル成分として抽出できるように射影作用
素Bを、小行列の固有値λ・固有ベクトルvに対して求ま
る固有値残差rのうち、最大のものを用いて修正する反
復解法で、固有値残差rにより収束を判定する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述したDavidson法に
は、以下のような課題がある。
は、以下のような課題がある。
【0017】1.Davidson法は射影作用素Bの初期値に含
まれるAの固有ベクトル成分を反復計算により抽出する
解法である。
まれるAの固有ベクトル成分を反復計算により抽出する
解法である。
【0018】従って、射影作用素Bの初期値は、行列Aの
固有ベクトル成分を含んでいる必要がある。
固有ベクトル成分を含んでいる必要がある。
【0019】もし、射影作用素の初期値にAのベクトル
成分を含んでいなければ、固有ベクトル成分を抽出でき
ず、固有ベクトルを求められない。
成分を含んでいなければ、固有ベクトル成分を抽出でき
ず、固有ベクトルを求められない。
【0020】したがって、おおよその固有ベクトルが推
定できなければ射影作用素の適切な初期値を選択できな
い。
定できなければ射影作用素の適切な初期値を選択できな
い。
【0021】すなわち、Davidson法では、求めるべき固
有値が予め推定できないような複雑な形状を有する分子
の解析ができない。
有値が予め推定できないような複雑な形状を有する分子
の解析ができない。
【0022】2.Davidson法では、複数の固有値残差ri
の最大のものを用いて射影作用素Bを修正する。しか
し、複数ある固定値残差riのどれが最も収束を加速する
修正を行えるか予め推定できない。
の最大のものを用いて射影作用素Bを修正する。しか
し、複数ある固定値残差riのどれが最も収束を加速する
修正を行えるか予め推定できない。
【0023】従って、Davidson法では、最も収束を加速
する修正を射影作用素Bに加えることができず、収束す
るまでの反復回数が大きくなり、計算に長時間を要す
る。
する修正を射影作用素Bに加えることができず、収束す
るまでの反復回数が大きくなり、計算に長時間を要す
る。
【0024】3.CI法においては最小固有値を求める必
要がある。従って、収束判定では、最小固有値に収束し
たことが確認されなければならない。
要がある。従って、収束判定では、最小固有値に収束し
たことが確認されなければならない。
【0025】しかしながら、CI法の解を求めるためにDa
vidson法を利用する場合、固有値残差riにより収束判定
を行なうDavidson法では、最小固有値に収束したことが
確認できない。行列Aの固有値・固有ベクトルに収束す
れば、それが最小でなくとも、固有値残差riは既定値以
下になるからである。
vidson法を利用する場合、固有値残差riにより収束判定
を行なうDavidson法では、最小固有値に収束したことが
確認できない。行列Aの固有値・固有ベクトルに収束す
れば、それが最小でなくとも、固有値残差riは既定値以
下になるからである。
【0026】そこで、本発明は、求めるべき固有値が予
め推定できないような複雑な形状を有する分子の解析を
計算機上で実現することを目的とする。
め推定できないような複雑な形状を有する分子の解析を
計算機上で実現することを目的とする。
【0027】また、より短い所用時間で固有値問題を計
算機上で解くことを目的とする。
算機上で解くことを目的とする。
【0028】また、さらには、固有値問題を計算機上で
最小固有値に収束することを保証しながら解くことを目
的とする。
最小固有値に収束することを保証しながら解くことを目
的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】前記目的達成のために、
本発明は、たとえば、複数の一電子波動関数の線形結合
により多体電子の波動関数を記述し、系の最低エネルギ
ー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系の電子
の波動関数を求める分子設計支援装置であって、前記複
数の電子の波動関数の相関により記述した実空間の行列
の固有値と固有ベクトルを求める固有値求解手段と、実
空間の行列の固有値と固有ベクトルより、系の最低エネ
ルギー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系の
電子の波動関数を求める手段とを有し、前記固有値求解
手段は、メモリと、実空間を部分空間に射影する射影作
用素を複数の単位ベクトルおよび乱数ベクトルから構成
し、前記メモリに記憶する手段と、前記メモリに記憶さ
れた射影作用素により、実空間の行列を射影して部分空
間の行列を生成し、部分空間の行列の固有値と固有ベク
トルを求め、求めた部分空間の行列の固有ベクトルを、
前記射影作用素を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の
行列の固有値と実空間の行列の固有値との残差を求め、
求めた残差をもとにメモリに記憶された射影作用素を修
正する修正処理を実行する射影作用素修正手段と、前記
射影要素修正手段に前記修正処理を、部分空間の行列の
固有値によって実空間の行列の固有値が所定の基準以上
近似されるまで、繰り返し実行させる手段とを有するこ
とを特徴とする分子設計支援装置を提供する。
本発明は、たとえば、複数の一電子波動関数の線形結合
により多体電子の波動関数を記述し、系の最低エネルギ
ー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系の電子
の波動関数を求める分子設計支援装置であって、前記複
数の電子の波動関数の相関により記述した実空間の行列
の固有値と固有ベクトルを求める固有値求解手段と、実
空間の行列の固有値と固有ベクトルより、系の最低エネ
ルギー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系の
電子の波動関数を求める手段とを有し、前記固有値求解
手段は、メモリと、実空間を部分空間に射影する射影作
用素を複数の単位ベクトルおよび乱数ベクトルから構成
し、前記メモリに記憶する手段と、前記メモリに記憶さ
れた射影作用素により、実空間の行列を射影して部分空
間の行列を生成し、部分空間の行列の固有値と固有ベク
トルを求め、求めた部分空間の行列の固有ベクトルを、
前記射影作用素を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の
行列の固有値と実空間の行列の固有値との残差を求め、
求めた残差をもとにメモリに記憶された射影作用素を修
正する修正処理を実行する射影作用素修正手段と、前記
射影要素修正手段に前記修正処理を、部分空間の行列の
固有値によって実空間の行列の固有値が所定の基準以上
近似されるまで、繰り返し実行させる手段とを有するこ
とを特徴とする分子設計支援装置を提供する。
【0030】このような分子設計支援装置によれば、初
期射影作用素を、複数の単位ベクトルおよび乱数ベクト
ルから構成したので、初期射影作用行列は、あらゆる固
有ベクトル成分を含むことになる。従って、あらかじめ
固有ベクトルのおおよその形が推定できなくても、固有
値・固有ベクトルを求められるようになる。
期射影作用素を、複数の単位ベクトルおよび乱数ベクト
ルから構成したので、初期射影作用行列は、あらゆる固
有ベクトル成分を含むことになる。従って、あらかじめ
固有ベクトルのおおよその形が推定できなくても、固有
値・固有ベクトルを求められるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て説明する。
て説明する。
【0032】図1に、本実施形態において用いる計算機
の構成を示す。
の構成を示す。
【0033】図示するように、計算機は、キャッシュメ
モリやローカルメモリなどを内蔵した複数のプロセッサ
ユニット10が相互接続ネットワーク20を介して複数のメ
モリ30に接続した構成を有している。また、表示装置や
キーボードなどの入出力装置40も、相互接続ネットワー
ク20にI/Oバス50を介して接続されている。各プロセッ
サユニット10はメモリ30を介して協調して作業を行うよ
うに構成されている。また、各プロセッサユニット10
は、相互接続ネットワーク20、I/Oバス50を介して、適
宜入出力装置40への出力を行ったり、入出力装置40から
の入力の受け取りを行う。
モリやローカルメモリなどを内蔵した複数のプロセッサ
ユニット10が相互接続ネットワーク20を介して複数のメ
モリ30に接続した構成を有している。また、表示装置や
キーボードなどの入出力装置40も、相互接続ネットワー
ク20にI/Oバス50を介して接続されている。各プロセッ
サユニット10はメモリ30を介して協調して作業を行うよ
うに構成されている。また、各プロセッサユニット10
は、相互接続ネットワーク20、I/Oバス50を介して、適
宜入出力装置40への出力を行ったり、入出力装置40から
の入力の受け取りを行う。
【0034】図中の、複数のプロセッサユニット10の内
一つのプロセッサユニットは、以下に説明する処理の、
処理全体を統括するメインプロセッサユニットとして機
能する。
一つのプロセッサユニットは、以下に説明する処理の、
処理全体を統括するメインプロセッサユニットとして機
能する。
【0035】以下、本実施形態において、計算機が行う
固有値算出処理について説明する。
固有値算出処理について説明する。
【0036】図2に、この固有値算出処理の処理手順を
示す。
示す。
【0037】図2中において、101〜107のステップと、1
11〜113のステップは、上述したメインプロセッサユニ
ットとして動作するプロセッサユニット10が行う処理で
あり、150-1〜150-kの処理は、メインプロセッサユニッ
トの制御下でk個のプロセッサユニット10が並行して行
う処理である。
11〜113のステップは、上述したメインプロセッサユニ
ットとして動作するプロセッサユニット10が行う処理で
あり、150-1〜150-kの処理は、メインプロセッサユニッ
トの制御下でk個のプロセッサユニット10が並行して行
う処理である。
【0038】以下、この処理では、行列Aの小さい方か
らE個の固有値とこれに対応する固有ベクトルを求める
ものとして説明する。
らE個の固有値とこれに対応する固有ベクトルを求める
ものとして説明する。
【0039】まず、ステップ101では、乱数からベクト
ルを生成し、パラメータである試行数kを定める。試行
数kは、たとえば入力装置40を介してオペレータよりの
試行数の入力を受け付けることにより決定する。また、
生成する乱数ベクトルも同様に、オペレータの入力する
パラメータなどに従って生成するようにしてよい。
ルを生成し、パラメータである試行数kを定める。試行
数kは、たとえば入力装置40を介してオペレータよりの
試行数の入力を受け付けることにより決定する。また、
生成する乱数ベクトルも同様に、オペレータの入力する
パラメータなどに従って生成するようにしてよい。
【0040】次に、ステップ102では、初期射影作用行
列[B]を生成し、メモリ30に記憶する。初期射影作用
行列[B]としては、乱数ベクトルと単位ベクトルからな
るベクトルの組を規格直交化したものを用いる。
列[B]を生成し、メモリ30に記憶する。初期射影作用
行列[B]としては、乱数ベクトルと単位ベクトルからな
るベクトルの組を規格直交化したものを用いる。
【0041】次に、ステップ103では、メモリ30に記
憶された射影作用行列[B]により、行列[A]の、m×mの部
分空間[S]を数1式に従って計算する。数1式中添字のTは
転置行列を表す、
憶された射影作用行列[B]により、行列[A]の、m×mの部
分空間[S]を数1式に従って計算する。数1式中添字のTは
転置行列を表す、
【0042】
【数1】
【0043】そして、数2式の部分空間[S]の固有値方程
式を、周知のJacobi法やHouseholde法などを用いて解
き、複数組の固有値λと固有ベクトルcを求め、メモリ
30に記憶する。
式を、周知のJacobi法やHouseholde法などを用いて解
き、複数組の固有値λと固有ベクトルcを求め、メモリ
30に記憶する。
【0044】
【数2】
【0045】そして、ステップ105、106において、メモ
リ30に記憶された固有ベクトルのうち、小さい方から
E個の固有ベクトルcを選択し、数3式に示すように、こ
れを射影作用素[B]を用いて実空間へ逆射影しE個の固有
値残差rを求め、メモリ30に記憶する。
リ30に記憶された固有ベクトルのうち、小さい方から
E個の固有ベクトルcを選択し、数3式に示すように、こ
れを射影作用素[B]を用いて実空間へ逆射影しE個の固有
値残差rを求め、メモリ30に記憶する。
【0046】
【数3】
【0047】そして、ステップ107において、メモリ3
0に記憶されたE個の残差rの内の最も絶対値が大きいほ
うからk個の残差rと、当該k個の残差rに対応するk個の
固有値λを選択し、ステップ150-1〜150-kの各々に一つ
づつ割り当てる。
0に記憶されたE個の残差rの内の最も絶対値が大きいほ
うからk個の残差rと、当該k個の残差rに対応するk個の
固有値λを選択し、ステップ150-1〜150-kの各々に一つ
づつ割り当てる。
【0048】具体的には、メインプロセッサユニットと
なったプロセッサユニット10は、以上のステップまでの
処理を行うと、k個のプロセッサユニット10に割り当て
られたメモリ30の記憶領域に、各々選択した相互に異
なる一つの残差と、これに対応する固有値を格納すると
共に、次に示すステップ150-1〜150-kの処理の実行を指
示する。
なったプロセッサユニット10は、以上のステップまでの
処理を行うと、k個のプロセッサユニット10に割り当て
られたメモリ30の記憶領域に、各々選択した相互に異
なる一つの残差と、これに対応する固有値を格納すると
共に、次に示すステップ150-1〜150-kの処理の実行を指
示する。
【0049】ステップ150-1〜150-kでは、各々割り当て
られた残差rと固有値λをメモリ30の割り当てられた
記憶領域より読み出し、これを用いて次のような処理を
行う。
られた残差rと固有値λをメモリ30の割り当てられた
記憶領域より読み出し、これを用いて次のような処理を
行う。
【0050】すなわち、108では、数4式に従って補正ベ
クトルを求め、数5式に従って射影作用行列[B]を修正
し、メモリ30に記憶する。
クトルを求め、数5式に従って射影作用行列[B]を修正
し、メモリ30に記憶する。
【0051】
【数4】
【0052】
【数5】
【0053】そして、ステップ109で、メモリ30に記
憶された修正した射影作用行列 [B]を用いて、数6式に
従って、行列[A]の部分空間[S]を作成しメモリ30に記
憶すると共に、ステップ110において、ステップ104と同
様に、数7式の固有値方程式を解き、部分空間に対する
固有値、固有ベクトルを求め、メモリに記憶する。数6
式、数7式において、添字のkは、k番目の射影作用行列
に対応するものであることを表す。
憶された修正した射影作用行列 [B]を用いて、数6式に
従って、行列[A]の部分空間[S]を作成しメモリ30に記
憶すると共に、ステップ110において、ステップ104と同
様に、数7式の固有値方程式を解き、部分空間に対する
固有値、固有ベクトルを求め、メモリに記憶する。数6
式、数7式において、添字のkは、k番目の射影作用行列
に対応するものであることを表す。
【0054】
【数6】
【0055】
【数7】
【0056】次に、以上のk個のプロセッサユニット10
によるステップ150-1〜150-kの並行処理によって、こk
個の部分空間 [B]k のそれぞれについて、固有値と固有
ベクトルが全て求まり、メモリ30に格納されたならば、
メインプロセッサユニットとなったプロセッサユニット
10は、 ステップ111を実行し、k個のプロセッサ10の
各々毎に当該プロセッサ10が求めた固有値の和を算出
し、固有値の和が、最小となるプロセッサが求めた射影
作用素[B]k、部分空間 [S]k、固有ベクトル [C]k、 固
有値[Λ]kを選択し、射影作用素[B]、部分空間 [S]、固
有ベクトル [C]、 固有値[Λ]として、メモリ30に記
憶する。
によるステップ150-1〜150-kの並行処理によって、こk
個の部分空間 [B]k のそれぞれについて、固有値と固有
ベクトルが全て求まり、メモリ30に格納されたならば、
メインプロセッサユニットとなったプロセッサユニット
10は、 ステップ111を実行し、k個のプロセッサ10の
各々毎に当該プロセッサ10が求めた固有値の和を算出
し、固有値の和が、最小となるプロセッサが求めた射影
作用素[B]k、部分空間 [S]k、固有ベクトル [C]k、 固
有値[Λ]kを選択し、射影作用素[B]、部分空間 [S]、固
有ベクトル [C]、 固有値[Λ]として、メモリ30に記
憶する。
【0057】そして、ステップ112で、メモリ30に記
憶された固有値のうち、大きい方から選択したE個の固
有値の和を求め、メモリ30に記憶しておいた前回求め
た固有値和と今回求めた固有値の和の差が、所定の収束
判定基準値より小さいか否かを判定する。すなわち、第
n+1回目のステップ112では、第n回目のステップ1112で
求めた固有値の和と今回求めた固有値の和との差を、収
束判定基準と比較する。ただし、第1回目のステップ112
では、ステップ107で選択したE個の固有値の和と今回求
めた固有値の和との差を収束判定基準と比較する。
憶された固有値のうち、大きい方から選択したE個の固
有値の和を求め、メモリ30に記憶しておいた前回求め
た固有値和と今回求めた固有値の和の差が、所定の収束
判定基準値より小さいか否かを判定する。すなわち、第
n+1回目のステップ112では、第n回目のステップ1112で
求めた固有値の和と今回求めた固有値の和との差を、収
束判定基準と比較する。ただし、第1回目のステップ112
では、ステップ107で選択したE個の固有値の和と今回求
めた固有値の和との差を収束判定基準と比較する。
【0058】そして、前回求めた固有値和と今回求めた
固有値和の差が、所定収束判定基準値より小さくなけれ
ば、今回求めたE個の固有値の和をメモリ30に記憶し
ステップ105の処理に戻る。ただし、第1回目の処理で
は、比較すべき前回求めた固有値和が存在しないので、
無条件に今回求めたE個の固有値の和をメモリ30に記
憶しステップ105の処理に戻るようにする。
固有値和の差が、所定収束判定基準値より小さくなけれ
ば、今回求めたE個の固有値の和をメモリ30に記憶し
ステップ105の処理に戻る。ただし、第1回目の処理で
は、比較すべき前回求めた固有値和が存在しないので、
無条件に今回求めたE個の固有値の和をメモリ30に記
憶しステップ105の処理に戻るようにする。
【0059】一方、前回求めた固有値和と今回求めた固
有値和の差が、所定収束判定基準値より小さければ、今
回求めた固有値を、行列 [A]の固有値とし、ステップ11
3において、数8式に従って、行列[A]の固有ベクトルVを
求め、処理を終了する。
有値和の差が、所定収束判定基準値より小さければ、今
回求めた固有値を、行列 [A]の固有値とし、ステップ11
3において、数8式に従って、行列[A]の固有ベクトルVを
求め、処理を終了する。
【0060】
【数8】
【0061】さて、以上説明した、本実施形態の処理と
前述したDavidson法とは次のような相違がある。
前述したDavidson法とは次のような相違がある。
【0062】1.Davidson法では初期射影作用行列に規
格直交化したベクトルの組を用いていたが、本実施形態
では乱数ベクトルを加えて生成する。これにより、初期
射影作用行列は、あらゆる固有ベクトル成分を含むこと
になる。従って、あらかじめ固有ベクトルのおおよその
形が推定できなくても、固有値・固有ベクトルを求めら
れるようになる。
格直交化したベクトルの組を用いていたが、本実施形態
では乱数ベクトルを加えて生成する。これにより、初期
射影作用行列は、あらゆる固有ベクトル成分を含むこと
になる。従って、あらかじめ固有ベクトルのおおよその
形が推定できなくても、固有値・固有ベクトルを求めら
れるようになる。
【0063】2.Davidson法では固有値の残差が規定値
より小さくなれば、収束したと判定していた。本実施形
態では、固有値の大きい方からE個の和をとり、n−1回
目の反復計算のときの値と比較し、その差が規定値より
小さくなれば収束したと判定する。すなわち、部分空間
Sの固有値λがそれ以上小さくならなかったら、収束し
たと判定するようにするので、間違った固有値に収束し
て、残差が既定値以下になったとしても、固有値がさら
に小さくなるようなら、最小固有値に収束していないと
判定して処理を続行することにより、最小固有値に収束
することを保証することができる。
より小さくなれば、収束したと判定していた。本実施形
態では、固有値の大きい方からE個の和をとり、n−1回
目の反復計算のときの値と比較し、その差が規定値より
小さくなれば収束したと判定する。すなわち、部分空間
Sの固有値λがそれ以上小さくならなかったら、収束し
たと判定するようにするので、間違った固有値に収束し
て、残差が既定値以下になったとしても、固有値がさら
に小さくなるようなら、最小固有値に収束していないと
判定して処理を続行することにより、最小固有値に収束
することを保証することができる。
【0064】3.Davidson法では、E個の固有値残差の中
で最も絶対値が大きいものを用いて射影作用行列を修正
したい。本実施例では、複数の固有値残差を選択して、
修正した射影作用行列を複数生成し、その中で、最も収
束を加速していたものを、次回の修正対象として選択す
る。これにより、常に最適な修正を射影作用行列に施す
ことができ、より速やかな収束、すなわち、効率の良い
高速な処理を期待することができる。
で最も絶対値が大きいものを用いて射影作用行列を修正
したい。本実施例では、複数の固有値残差を選択して、
修正した射影作用行列を複数生成し、その中で、最も収
束を加速していたものを、次回の修正対象として選択す
る。これにより、常に最適な修正を射影作用行列に施す
ことができ、より速やかな収束、すなわち、効率の良い
高速な処理を期待することができる。
【0065】以下、分子解析に、図2の処理を適用し計
算機上で、分子解析を行う場合について説明する。
算機上で、分子解析を行う場合について説明する。
【0066】この場合の、処理手順を図3に示す。
【0067】この処理では、まず、ステップ201で、解
析すべき分子を構成する原子核の位置と電荷および電子
数を入力する。また、ステップ202で、電子配置間相互
作用解析部の固有値・固有ベクトルを求めるときに用い
る乱数ベクトルと試行する作用素の数を入力する。
析すべき分子を構成する原子核の位置と電荷および電子
数を入力する。また、ステップ202で、電子配置間相互
作用解析部の固有値・固有ベクトルを求めるときに用い
る乱数ベクトルと試行する作用素の数を入力する。
【0068】そして、ステップ203で、Hartree−Fock近
似により、Shroedinger方程式を解き、基底状態および
励起状態の一電子波動関数、系の電子波動関数と系の基
底状態のエネルギー204を求める。
似により、Shroedinger方程式を解き、基底状態および
励起状態の一電子波動関数、系の電子波動関数と系の基
底状態のエネルギー204を求める。
【0069】そして、ステップ205で、ステップ203の一
電子波動関数解析で得られた基底状態および励起状態の
一電子波動関数、系の電子波動関数と系の基底状態のエ
ネルギー204と、ステップ201で入力された解析すべき分
子を構成する原子核の位置と電荷および電子数から。電
子配置間相互作用を考慮した電子波動関数を求めるため
の固有値方程式をつくる。
電子波動関数解析で得られた基底状態および励起状態の
一電子波動関数、系の電子波動関数と系の基底状態のエ
ネルギー204と、ステップ201で入力された解析すべき分
子を構成する原子核の位置と電荷および電子数から。電
子配置間相互作用を考慮した電子波動関数を求めるため
の固有値方程式をつくる。
【0070】次に、ステップ206において、図2に示した
処理を行って固有値方程式を解き、固有値と固有ベクト
ル(207)を求める。
処理を行って固有値方程式を解き、固有値と固有ベクト
ル(207)を求める。
【0071】そして、ステップ208で、求まった固有値
から相関エネルギーを、固有ベクトルから系の電子波動
関数を求めス、テップ209で、系の電子波動関数と相関
エネルギーを用いて、系の全エネルギー、電子密度分
布、双極子モーメント、イオン化エネルギー振動数、熱
力学安定性など210を求める。
から相関エネルギーを、固有ベクトルから系の電子波動
関数を求めス、テップ209で、系の電子波動関数と相関
エネルギーを用いて、系の全エネルギー、電子密度分
布、双極子モーメント、イオン化エネルギー振動数、熱
力学安定性など210を求める。
【0072】図4に、図3の処理によって、水分子(H2
O)の全エネルギーと電子密度分布と双極子モーメント
を求める具体的手順を示す。
O)の全エネルギーと電子密度分布と双極子モーメント
を求める具体的手順を示す。
【0073】ステップ201の入力は以下のようになる。
なお、auは原子単位である。
なお、auは原子単位である。
【0074】酸素原子核の位置(0,0au,0,0au,0,0
au)、水素原子核の位置(0.7575au,0,0au,0.5865
au)と((−0.7575au,0,0au,0.5865au)、酸素原
子核の電荷+8、水素原子核の電荷+1、電子数10、ま
た、ステップ202の入力は、試行数5、乱数ベクトル、と
する。
au)、水素原子核の位置(0.7575au,0,0au,0.5865
au)と((−0.7575au,0,0au,0.5865au)、酸素原
子核の電荷+8、水素原子核の電荷+1、電子数10、ま
た、ステップ202の入力は、試行数5、乱数ベクトル、と
する。
【0075】この場合、ステップ203では、Hatree−Foc
k近似によって、基底状態の一電子関数φ0および励起状
態の一電子軌道関数φ1、基底状態の分子軌道(電子軌
道関数)Ψ0、励起状態mnの分子軌道(電子軌道関数)
Ψmn、基底状態エネルギーE0(204)を求める。
k近似によって、基底状態の一電子関数φ0および励起状
態の一電子軌道関数φ1、基底状態の分子軌道(電子軌
道関数)Ψ0、励起状態mnの分子軌道(電子軌道関数)
Ψmn、基底状態エネルギーE0(204)を求める。
【0076】ここで水分子のHF近似による基底状態のエ
ネルギーは−74.963047auと求まる。
ネルギーは−74.963047auと求まる。
【0077】そして、次に、ステップ205で、電子の配
置間相互作用を考慮した分子軌道を決定する固有値方程
式をつくり、ステップ206で、図2に示した処理により、
固有ベクトルと固有値(207)を求める。
置間相互作用を考慮した分子軌道を決定する固有値方程
式をつくり、ステップ206で、図2に示した処理により、
固有ベクトルと固有値(207)を求める。
【0078】そして、ステップ208で、求まった固有ベ
クトルCmnを用いて、電子の波動関数Φを求める。
クトルCmnを用いて、電子の波動関数Φを求める。
【0079】ここで、相関エネルギーは固有値そのもの
で、−0.0495019auである。
で、−0.0495019auである。
【0080】そして、最後に、ステップ209において、
波動関数Φと相関エネルギーを用いて、全エネルギー
ε、電子密度分布ρ、双極子モーメントμを求め、これ
を表示装置などに出力する(210)。出力は、全エネル
ギーは−75.012549au、電子密度は酸素原子上に8.365
6個、各水素原子上に0.8172個、水分子の双極子モーメ
ントは0.679auとなる。
波動関数Φと相関エネルギーを用いて、全エネルギー
ε、電子密度分布ρ、双極子モーメントμを求め、これ
を表示装置などに出力する(210)。出力は、全エネル
ギーは−75.012549au、電子密度は酸素原子上に8.365
6個、各水素原子上に0.8172個、水分子の双極子モーメ
ントは0.679auとなる。
【0081】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、求めるべ
き固有値が予め推定できないような複雑な形状を有する
分子の解析を計算機上で実現することができる。 ま
た、処理の並列化および収束の高速化により、より短い
所用時間で固有値問題を計算機上で解くことができる。
また、さらには、固有値問題を計算機上で最小固有値
に収束することを保証しながら解くことができる。
き固有値が予め推定できないような複雑な形状を有する
分子の解析を計算機上で実現することができる。 ま
た、処理の並列化および収束の高速化により、より短い
所用時間で固有値問題を計算機上で解くことができる。
また、さらには、固有値問題を計算機上で最小固有値
に収束することを保証しながら解くことができる。
【図1】複数のプロセッサユニットを備えた計算機の構
成を示すブロック図である。
成を示すブロック図である。
【図2】固有値問題を計算機上で解く処理の処理手順を
表すフローチャートである。
表すフローチャートである。
【図3】分子解析処理の処理手順を示すフローチャート
である。
である。
【図4】水分子に対して分子解析処理を行った場合の処
理手順を示すフローチャートである。
理手順を示すフローチャートである。
【図5】Davidson法の概要を示す図である。
10 プロセッサユニット1 20 相互接続ネットワーク 30 メモリ 40 入出力装置 50 I/Oバス
Claims (7)
- 【請求項1】複数の一電子波動関数の線形結合により多
体電子の波動関数を記述し、系の最低エネルギー(安定
状態)および励起状態のエネルギーと系の電子の波動関
数を求める分子設計支援装置であって、 前記複数の電子の波動関数の相関により記述した実空間
の行列の固有値と固有ベクトルを求める固有値求解手段
と、 実空間の行列の固有値と固有ベクトルより、系の最低エ
ネルギー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系
の電子の波動関数を求める手段とを有し、 前記固有値求解手段は、 メモリと、 実空間を部分空間に射影する射影作用素を複数の単位ベ
クトルおよび乱数から生成されるベクトルから構成し、
前記メモリに記憶する手段と、 前記メモリに記憶された射影作用素により、実空間の行
列を射影して部分空間の行列を生成し、部分空間の行列
の固有値と固有ベクトルを求め、求めた部分空間の行列
の固有ベクトルを、前記射影作用素を用いて前記実空間
へ戻し、部分空間の行列の固有値と実空間の行列の固有
値との残差を求め、求めた残差をもとにメモリに記憶さ
れた射影作用素を修正する修正処理を実行する射影作用
素修正手段と、 前記射影要素修正手段に前記修正処理を、部分空間の行
列の固有値によって実空間の行列の固有値が所定の基準
以上近似されるまで、繰り返し実行させる手段とを有す
ることを特徴とする分子設計支援装置。 - 【請求項2】複数の一電子波動関数の線形結合により多
体電子の波動関数を記述し、系の最低エネルギー(安定
状態)および励起状態のエネルギーと系の電子の波動関
数を求める分子設計支援装置であって、 前記複数の電子の波動関数の相関により記述した実空間
の行列の固有値と固有ベクトルを求める固有値求解手段
と、 実空間の行列の固有値と固有ベクトルより、系の最低エ
ネルギー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系
の電子の波動関数を求める手段とを有し、 前記固有値求解手段は、 メモリと、 実空間を部分空間に射影する射影作用素を生成し、前記
メモリに記憶する手段と、 前記メモリに記憶された射影作用素により、実空間の行
列を射影して部分空間の行列を生成し、部分空間の行列
の固有値と固有ベクトルを求める部分空間求解処理を実
行する部分空間求解手段と、 部分空間求解手段で求められた固有値が、メモリに記憶
された固有値の和より小さい場合に、部分空間求解手段
が求めた部分空間の行列の固有ベクトルを、前記射影作
用素を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の行列の固有
値と実空間の行列の固有値との残差を求め、求めた残差
をもとに前記メモリに記憶された射影作用素を修正する
と共に、部分空間求解手段で求められた固有値を前記メ
モリに記憶し、部分空間求解手段に部分空間求解処理を
実行させる射影作用素修正手段とを有することを特徴と
する分子設計支援装置。 - 【請求項3】複数の一電子波動関数の線形結合により多
体電子の波動関数を記述し、系の最低エネルギー(安定
状態)および励起状態のエネルギーと系の電子の波動関
数を求める分子設計支援装置であって、 前記複数の電子の波動関数の相関により記述した実空間
の行列の固有値と固有ベクトルを求める固有値求解手段
と、 実空間の行列の固有値と固有ベクトルより、系の最低エ
ネルギー(安定状態)および励起状態のエネルギーと系
の電子の波動関数を求める手段とを有し、 前記固有値求解手段は、 メモリと、 前記メモリに記憶された実空間を部分空間に射影する各
射影作用素について、当該射影作用素によって実空間の
行列を射影して部分空間の行列を生成し、生成した部分
空間の行列の、複数の固有値と固有ベクトルを求め、部
分空間の固有値を最小とした射影作用素を選択射影作用
素としてメモリに記憶すると共に、当該選択射影作用素
に対応する部分空間の行列の固有値、固有ベクトルを前
記メモリに記憶する部分空間求解処理を実行する部分空
間求解手段と、 前記部分空間求解処理後に起動され、メモリに記憶され
た部分空間の行列の各固有ベクトルを、メモリに記憶さ
れた選択射影作用素を用いて前記実空間へ戻し、メモリ
に記憶された部分空間の行列の固有値と実空間の行列の
固有値との残差を複数求め、求めた複数の残差の各々を
もとにメモリに記憶された選択射影作用素を修正した、
複数の射影作用素を生成し、前記メモリに記憶し、前記
部分空間求解手段に部分空間求解処理を実行させる射影
作用素修正手段とを有することを特徴とする分子設計支
援装置。 - 【請求項4】複数のプロセッサと当該複数のプロセッサ
によって共用されるメモリとを備えた電子計算機を用い
て、固有値方程式を求解する方法であって、 第1のプロセッサにおいて、 実空間を部分空間に射影する射影作用素により、実空間
の行列を射影して部分空間の行列を生成する第1のステ
ップと、 部分空間の行列の、複数の固有値と固有ベクトルを求
め、求めた部分空間の行列の各固有ベクトルを、前記射
影作用素を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の行列の
固有値と実空間の行列の固有値との残差をk個(但し、k
は2以上の整数)求め、求めたk個の残差の各々を、k個
のプロセッサに割り当て、求解処理を要求する第2のス
テップと、 当該k個のプロセッサから、求解処理の要求の応答とし
て通知された複数の固有値の内、部分空間の固有値を最
小とした射影作用素および当該射影作用素に対応する部
分空間の行列の固有値、固有ベクトルを選択し、選択し
た射影作用素、部分空間の行列の固有値、固有ベクトル
について前記第2ステップを実行させるステップを、繰
り返し行う第3のステップとを実行し、 前記求解処理を要求されたk個のプロセッサの各々にお
いて、 割り当てられた残差をもとに射影作用素を修正した、複
数の射影作用素を生成し、生成した射影作用素により、
実空間の行列を射影して部分空間の行列を生成し、生成
した部分空間の行列の、複数の固有値と固有ベクトルを
求め、前記第1のプロセッサに、求解処理の要求の応答
として通知するステップを実行することを特徴とする固
有値求解方法。 - 【請求項5】実空間を部分空間に射影する射影作用素を
複数の単位ベクトルおよび乱数から生成されるベクトル
から構成する第1のステップと射影作用素により、実空
間の行列を射影して部分空間の行列を生成し、部分空間
の行列の固有値と固有ベクトルを求めるステップと、求
めた部分空間の行列の固有ベクトルを、前記射影作用素
を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の行列の固有値と
実空間の行列の固有値との残差を求め、求めた残差をも
とに射影作用素を修正するステップとを、繰り返し実行
することにより、実空間の行列の固有値と固有値ベクト
ルを求める第2のステップとを有することを特徴とする
固有値求解方法。 - 【請求項6】実空間を部分空間に射影する射影作用素に
より、実空間の行列を射影して部分空間の行列を生成
し、部分空間の行列の固有値と固有ベクトルを求める第
1のステップと、 求めた部分空間の行列の固有ベクトルを、前記射影作用
素を用いて前記実空間へ戻し、部分空間の行列の固有値
と実空間の行列の固有値との残差を求め、求めた残差を
もとに射影作用素を修正する第2のステップとを備え、 第1のステップで求まった部分空間の固有値の和が前回
実行した第1のステップで求まった部分空間の固有値の
和より小さくならなくなるまで、前記第1のステップと
第2のステップとを、交互に繰り返すことにより、実空
間の行列の固有値と固有値ベクトルを求める固有値求解
方法。 - 【請求項7】実空間を部分空間に射影する射影作用素に
より、実空間の行列を射影して部分空間の行列を生成
し、生成した部分空間の行列の、複数の固有値と固有ベ
クトルを求める第1のステップと、 部分空間の行列の各固有ベクトルを、射影作用素を用い
て前記実空間へ戻し、部分空間の行列の固有値と実空間
の行列の固有値との残差を複数求め、求めた複数の残差
の各々をもとに射影作用素を修正した、複数の射影作用
素を生成する第2のステップと、 第2のステップで生成した複数の射影作用素の各々につ
いて、前記第1のステップを実行し、第1のステップで
求まった部分空間の固有値を最小とした射影作用素およ
び当該射影作用素に対応する部分空間の行列の固有値、
固有ベクトルを選択するステップと、選択した射影作用
素、部分空間の行列の固有値、固有ベクトルについて前
記第2ステップを実行させるステップとの二つのステッ
プを、交互に実行する第3のステップとを有することを
特徴とする固有値求解方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9039185A JPH10240780A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 分子設計支援装置および固有値求解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9039185A JPH10240780A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 分子設計支援装置および固有値求解方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10240780A true JPH10240780A (ja) | 1998-09-11 |
Family
ID=12546063
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9039185A Pending JPH10240780A (ja) | 1997-02-24 | 1997-02-24 | 分子設計支援装置および固有値求解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10240780A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011099210A1 (ja) * | 2010-02-10 | 2011-08-18 | 住友電気工業株式会社 | 活性化状態特定装置、活性化状態特定方法、及び活性化状態特定プログラム |
-
1997
- 1997-02-24 JP JP9039185A patent/JPH10240780A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011099210A1 (ja) * | 2010-02-10 | 2011-08-18 | 住友電気工業株式会社 | 活性化状態特定装置、活性化状態特定方法、及び活性化状態特定プログラム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10366339B2 (en) | Method for efficient implementation of diagonal operators over clifford+T basis | |
Emmett et al. | Toward an efficient parallel in time method for partial differential equations | |
Einhorn et al. | Squeezed states in the de Sitter vacuum | |
US20170220948A1 (en) | Efficient synthesis of probabilistic quantum circuits with fallback | |
US20210264309A1 (en) | Methods and apparatuses for resource-optimized fermionic local simulation on quantum computer for quantum chemistry | |
Pashayan et al. | Fast estimation of outcome probabilities for quantum circuits | |
Sugiki et al. | Fragment molecular orbital method with density functional theory and DIIS convergence acceleration | |
Chen et al. | Molecular dynamics based enhanced sampling of collective variables with very large time steps | |
Mironov et al. | Multithreaded parallelization of the energy and analytic gradient in the fragment molecular orbital method | |
Cech et al. | Thermodynamics of quantum trajectories on a quantum computer | |
Van Lenthe et al. | Construction of the Foldy–Wouthuysen transformation and solution of the Dirac equation using large components only | |
Hohenstein et al. | GPU acceleration of rank-reduced coupled-cluster singles and doubles | |
JPH10240780A (ja) | 分子設計支援装置および固有値求解方法 | |
Shimizu et al. | Variational Monte Carlo method for shell-model calculations in odd-mass nuclei and restoration of symmetry | |
JP4646064B2 (ja) | 分子軌道法計算方法及び計算装置 | |
Muralikrishnan et al. | Scaling and performance portability of the particle-in-cell scheme for plasma physics applications through mini-apps targeting exascale architectures | |
Sandnes et al. | A new strategy for multiprocessor scheduling of cyclic task graphs | |
Bertocchi | A parallel algorithm for global optimization | |
Misevicius | Ruin and recreate principle based approach for the quadratic assignment problem | |
Kelley et al. | On rapid estimation of impedance-matrix ranks via grid-based techniques | |
Glykos et al. | GraphEnt: a maximum-entropy program with graphics capabilities | |
Enenkel et al. | DIMSEMs-diagonally implicit single-eigenvalue methods for the numerical solution of stiff ODEs on parallel computers | |
Makris et al. | Mesh Partitioning Based Direct Domain Decomposition Methods for FEM | |
Zhang | Developments of the Projector Configuration Interaction Method and the Multireference Driven Similarity Renormalization Group | |
Medek et al. | Load and memory balanced mesh partitioning for a parallel envelope method |