JPH10221594A - オートフォーカス装置 - Google Patents

オートフォーカス装置

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JPH10221594A
JPH10221594A JP9022793A JP2279397A JPH10221594A JP H10221594 A JPH10221594 A JP H10221594A JP 9022793 A JP9022793 A JP 9022793A JP 2279397 A JP2279397 A JP 2279397A JP H10221594 A JPH10221594 A JP H10221594A
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JP
Japan
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evaluation value
value
determination
lens
evaluation
Prior art date
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JP9022793A
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Yujiro Ito
雄二郎 伊藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合焦点に収束する収束時間を向上すると共に
合焦点までの画面の見栄えがよくなるようにすることを
目的とする。 【解決手段】 カメラレンズを介して被写体の画像信号
を得る画像入力手段と、この画像信号の特定領域の第1
の遮断周波数以上の高周波成分を抽出した第1の評価値
を算出する第1の評価値算出手段と、この画像信号の特
定領域のこの第1の遮断周波数よりも低い第2の遮断周
波数以上の高周波成分を抽出した第2の評価値を算出す
る第2の評価値算出手段と、このカメラレンズのフォー
カスを制御するレンズ駆動手段と、この評価値に応じて
このレンズ駆動手段を制御する制御手段とを有するオー
トフォーカス装置において、この第2の評価値からこの
第1の評価値を引いた値をこの第2の評価値とこの第1
の評価値とを加算した値で割った商に応じてこのレンズ
駆動手段によるこのカメラレンズの移動速度を変更する
ようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、報道用又は業務用
ビデオカメラのオートフォーカス(自動焦点調節以下、
「AF」と略す。)装置に関する。焦点調節とは、いわ
ゆるジャストピント状態(以下、「JP」と略す。)を
決定することである。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオカメラにおける被写体に対
してフォーカスを自動的に合わせるAF装置に関して
は、既に民生用ビデオカメラの分野で実現されている。
【0003】このとき、フォーカスがあっているか否か
を検出するためには、撮像信号のコントラストが高いか
低いかを判断すればよいことは良く知られている。即
ち、コントラストが高いとフォーカスが合っており、コ
ントラストが低いとフォーカスがずれていることにな
る。撮像信号の高周波成分を取り出して、画面内の所定
の設定エリア内に存在するこの高周波成分を積分したデ
ータを生成し、この積分したデータを利用することによ
って、コントラストの高低が判断できる。この積分され
たデータは、その設定エリア内にどれだけ高周波成分が
存在するかを示すデータであって、一般に、このデータ
を評価値と呼んでいる。従って、評価値が最大となるよ
うに、即ち、コントラストが最大になるようにフォーカ
スレンズを駆動することにより、AF装置が実現でき
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】民生用ビデオカメラ
は、その性質上、それほど精密なAF装置は要求されて
いない。現状の民生用ビデオカメラに備えられたAF装
置は、被写体が急激に変化・変動した時、それに追従す
る時間は比較的短いものの、その後、被写体を探るよう
な状態が継続し、映像を精細に観察すればピントが合っ
た状態(JP)とずれた状態(ボケ状態)が継続的に繰
り返されている。
【0005】この原因は、現在のAF装置が、目標被写
体のフォーカス状態の変化だけでなく、映像の背景,明
るさ等の種々の要因の変化に対しても評価値が変化して
いることにある。これらの要因を評価値の値から区別す
ることは出来ず、このような方法で抽出された評価値
は、決して被写体のフォーカス状態を表す正確な評価値
ではない。簡易なAF装置でこの問題を解決することは
非常に難しい。
【0006】また、民生用機器は価格が安いことが大き
なセールスポイントであり、民生用ビデオカメラに関し
て一層精密ではあるが高価なものとなるようなAF装置
を要望する声は聞かれない。
【0007】しかし、放送局等で使用される業務用又は
プロ用機器は、その性質上、非常に高い精度・精細さが
要求される。例えば、放送局や業務用に使用されるビデ
オカメラにおいては、撮影された映像をライブ中継(生
放送)で家庭に伝送することがある。もし、このような
ライブ中継をおこなっている時に、迅速に且つ精度の良
い評価値を得ることが出来ないならば、AF操作に時間
がかかってしまい、また、ピントのぼやけた撮像信号を
家庭に伝送してしまうことになる。
【0008】従って、放送局や業務用に使用されるビデ
オカメラは、民生用ビデオカメラに採用されているよう
な簡易型や廉価な小型のAF装置とは全く異なるもので
あり、現状の民生用ビデオカメラのAF装置をそのまま
導入することは出来ない。
【0009】更に、民生用ビデオカメラでは、それほど
鮮明な画像は必要ないのでレンズが小さく被写界深度が
非常に深い状態で使用されており、その分フォーカス調
節が容易である。即ち、被写体の距離が10数mを越す
場合レンズから被写体までの距離がJPの前後1m強変
化しても、画面上では「ボケ」とは判定されない。
【0010】これに対して、放送局のカメラは、非常に
鮮明な画像を必要としているためレンズが大きく被写界
深度が非常に浅い状態で使用されいる。即ち、レンズか
ら被写体までの距離が前後にほんの僅かに変化しても、
「ボケ」と判定されてしまう。従って、被写体深度が浅
い分だけ一層精度良くフォーカスを調節しなければなら
ない。
【0011】ここで、「被写界深度」及び後で出てくる
「焦点深度」について簡単に説明する。被写界深度
(「被写体深度」ともいう。)とは、カメラレンズを或
るレンズセット位置に固定したとき、ボケがなく、鮮明
であると受け入れられるようなカメラから最も近い点と
最も遠い点との距離をいう。即ち、レンズを或る特定の
距離に対して焦点を合わせた時、満足すべき鮮明度が得
られる全体の距離をいう。民生用ビデオカメラに対し
て、業務用ビデオカメラは一層深い被写界深度の撮影条
件がとり得る。一般に、カメラの焦点調節特性は、被写
界深度で表される。AF機能付きカメラでは、測距誤差
が撮影に用いたビデオカメラの被写界深度内に収まって
いれば(|被写界深度|>|測距誤差|)、ピントがあ
ったと思える良い映像が撮れる。
【0012】これに対して、焦点深度とは、被写界深度
によって包括される物体距離の前後範囲に対応した像距
離の範囲をいう。言い換えれば、焦点を合わせた被写体
の像が、受け入れ可能な鮮鋭さの範囲で許されるレンズ
と撮像面(CCD電荷結合装置)との距離をいう。
【0013】図39Aに示すように、物点(被写体)P
がP0の位置でCCD面に焦点が合っている時、このレ
ンズ及びCCDを固定した状態で、鮮明であると受け入
れられるようなレンズ(カメラ)から最も遠い点P1と
最も近い点P2との距離をいう。一方、図39Bに示す
ように、被写界深度によって包括される物体距離の前後
範囲P1〜P2に対応した像距離の範囲P1′〜P2′
を、焦点深度という。
【0014】なお、「ボケがなく、鮮明であると受け入
れられるような状態」とは、実際に肉眼で見る判断と、
許容錯乱円を使って定義する場合がある。前者は、いわ
ゆる人間の眼による官能検査である。後者は、図40A
に示すように、本来一点に収束直径dの円形のボケを生
じたとする。このとき、ピント外れ量δは、小円錐AB
Cの高さとなる。最大許容量のボケが生じたときの円錐
底面を許容錯乱円と呼ぶ。放送業務用の2/3インチの
CCDを用いた場合には、この小円錐ABCの底面の直
径dが22〔μm〕以下である時、ボケがなく、鮮明で
あると受け入れられるような状態とする。従って、d=
22〔μm〕の時の小円錐ABCの底面を許容錯乱円と
いい、このときのピント外れ量δは焦点深度となる。
【0015】許容錯乱円の直径d≦22〔μm〕とする
根拠は、図40Bに示すように、放送局用ビデオカメラ
で使用されている2/3インチCCDの正格子状に並ぶ
画素(ピクセル)間の距離(画素ピッチ)に相当する。
即ち、これ以下であれば、像が結像位置にある画素に隣
接する画像まで拡がって、隣接画素に悪影響を及ぼさな
いからである。
【0016】一般に、民生用ビデオカメラでは官能検査
で判断する場合が多く、業務用ビデオカメラでは許容錯
乱円で判断する場合が多い。
【0017】従来より業務用又はプロ用ビデオカメラに
適する非常に高精度のAF装置の開発が望まれている。
現在まで、業務用又はプロ用ビデオカメラに適する高精
度AF装置の開発が試みられたが、放送局のカメラマン
の高い要求を満足することが出来ず、いずれも失敗に終
わっている。従って、いまなおカメラマンの職人的技能
に頼ったマニュアル焦点調節が行われているのが実状で
ある。
【0018】一般にビデオカメラ装置のオートフォーカ
ス装置において、フォーカスレンズの移動は、大ぼけの
時は速く移動し、合焦点近くになったら急に減速して滑
らかに移動し、行き過ぎ無しに合焦点に収束することが
収束時間、見栄えの点から好ましい。
【0019】このようなフォーカスレンズの移動を実現
するためには評価値より合焦点の状況を判断し適切なス
ピードでこのフォーカスレンズが移動するように制御す
る必要がある。
【0020】ところがフォーカスレンズの移動に対する
評価値曲線は、被写体、シーンによってその形が異な
り、この被写体、シーンは無数にあるので、この被写
体、シーンの全てに対して最適なスピード制御を行うこ
とはできなかった。
【0021】そこで、多くの被写体、シーンに対する評
価値曲線を測定して実用的に問題の少ない(実用的に許
せる)スピード制御方法を試し、その中からもっとも性
能の良い方法を選んでいるのが現状であり、合焦点に収
束する収束時間、合焦点までの画面の見栄えの点で問題
があった。
【0022】従って、本発明は、上述した問題点に鑑
み、業務用又はプロ用ビデオカメラに適する非常に精度
の高いAF装置を提供することを目的とする。また本発
明は、業務用又はプロ用ビデオカメラに適する非常に精
度の高いAF装置を備えたビデオカメラを提供すること
を目的とする。
【0023】更に本発明は、合焦点に収束する収束時間
を向上すると共に合焦点までの画面の見栄えが良くなる
ようにすることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明オートフォーカス
装置はカメラレンズを介して被写体の画像信号を得る画
像入力手段と、この画像信号の特定領域の第1の遮断周
波数以上の高周波成分を抽出した第1の評価値を算出す
る第1の評価値算出手段と、この画像信号の特定領域の
この第1の遮断周波数よりも低い第2の遮断周波数以上
の高周波成分を抽出した第2の評価値を算出する第2の
評価値算出手段と、このカメラレンズのフォーカスを制
御するレンズ駆動手段と、この評価値に応じてこのレン
ズ駆動手段を制御する制御手段とを有するオートフォー
カス装置において、この第2の評価値からこの第1の評
価値を引いた値をこの第2の評価値とこの第1の評価値
とを加算した値で割った商に応じてこのレンズ駆動手段
によるこのカメラレンズの移動速度を変更するようにし
たものである。
【0025】本発明によれば、カメラレンズを大ぼけの
位置から合焦点近傍までは高速に移動し、合焦点近傍で
急速に減速するスピード制御が多くのシーンで実現で
き、合焦点の収束時間が向上し、合焦点までの画面の見
栄えが向上する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例につい
て添付の図面を参照しながら詳細に説明する。本実施例
では、今回開発を行なった放送局又は業務用ビデオカメ
ラのAF装置のハード構成及び動作アルゴリズムの説明
を行なう。更に、AF装置の各評価値を作成するハード
構成、評価値の種類、性質等の説明も併せて行なう。
【0027】なお、実施例の記載が長くわたるので、最
初に目次を記し、その後、この目次の順番にしたがって
説明する。また、図面に使用される符号は原則として4
桁での数字で表記し、上位2桁は図面番号に対応し、下
2桁は各要素に対して順に付与されている。但し、図番
番号1〜9に関しては千の位のゼロは省略する。また、
フローチャートの各ステップに関しては、更に最上位に
「S」を付して識別出来るようにしている。
【0028】目次 1. ハード構成 2. 評価値 3. AFアルゴリズム 3.1 全体フローチャート 3.2 揺れ判定(レンズ静止時) 3.3 ウォブリング 3.4 山登りパラメータの初期化 3.5 最大、最小値更新 3.6 レンズ速度設定 3.7 飽和輝度判定 3.8 偽山判定 3.9 揺れ判定(レンズ動作時) 3.10 方向判定(山登り) 3.11 逆送判定 3.12 逆送反転処理 3.13 端到達判定 3.14 端反転処理 3.15 途中判断方法 3.16 ピーク選定 3.17 山下り判定 3.18 ピーク位置算出(重心処理) 3.19 ピーク位置へ移動 3.20 ロングフィルタ
【0029】1.ハード構成 図1は、本発明の一例を適用したビデオカメラの全体の
構成を示す。ビデオカメラは、入射光を光学的に撮像素
子の全面に集光するためのレンズブロックと、レンズブ
ロックからの入射光をR,G,B(赤,緑,青)の電気
的な撮像信号に変換する撮像ブロックと、撮像信号に対
して所定の信号処理を行う信号処理ブロックとに別
れ、、制御手段として、レンズブロックを制御するレン
ズブロック制御用CPU114と、撮像ブロック及び信
号処理ブロックからなるビデオカメラ本体を制御するメ
インCPU141と、撮像信号RGBからAFのために
使用するパラメータである評価値を生成する、AF専用
CPU138をもつAFブロック137とを備えてい
る。
【0030】このレンズブロックは、光学的要素とし
て、光軸方向に移動させることにより、目標被写体(タ
ーゲット)に対してフォーカスをJPに追い込むための
フォーカスレンズ111と、AFスタート時にフォーカ
スレンズの進むべき方向を探るため後で説明するウォブ
リング動作に使用されるウォブリングレンズ112と、
開口量を調節するアイリス機構113とを有している。
【0031】レンズブロックは、更に、フォーカスレン
ズ111に関して、フォーカスレンズの光軸方向のレン
ズ位置を検出するフォーカスレンズ位置検出センサ11
1aと、フォーカスレンズを光軸方向に移動させるため
のフォーカスレンズ駆動モータ111bと、フォーカス
レンズ駆動モータに駆動制御信号を与えるためのフォー
カスレンズ(F. L. )駆動回路111cとをもってい
る。同様に、ウォブリングレンズ112に関しても、ウ
ォブリングレンズの光軸方向のレンズ位置を検出するウ
ォブリングレンズ位置検出センサ112aと、ウォブリ
ングレンズを光軸方向に移動させるためのウォブリング
レンズ駆動モータ112bと、ウォブリングレンズ駆動
モータに駆動制御信号を与えるためのウォブリングレン
ズ(WOB)駆動回路112cとをもっている。同様
に、アイリス機構113に関しても、開口位置を検出す
るアイリス位置検出センサ113aと、アイリス機構を
開閉させるためのアイリス機構駆動モータ113bと、
アイリス駆動モータに駆動信号を与えるためのアイリス
駆動回路113cとをもっている。
【0032】なお、レンズブロック用CPU114は、
フォーカスレンズ駆動回路111c,ウォブリングレン
ズ駆動回路112c及びアイリス駆動回路113cに対
して夫々電気的に接続され、制御信号が供給される。ま
た、フォーカスレンズ位置検出センサ111a,ウォブ
リングレンズ位置検出センサ112a及びアイリスレン
ズ位置検出センサ113aからの各検出信号は、常時、
レンズブロック用CPU114に送られている。また、
レンズブロック用CPU114は、フォーカスレンズ1
11及びウォブリングレンズ112の焦点距離データ,
口径比データ、レンズブロックの製造メーカ名及び製造
番号等を記録したROM(又はEEPROM)をもって
おり、これらのデータはレンズブロック用CPU114
からの読み出しコマンドに基づいて読み出される。更に
このレンズブロック用CPU114には、AFの起動を
指示するためのAFスイッチ115が取付けられてい
て、レンズブロック側CPU114はスイッチ情報をカ
メラ本体側のメインCPU141及びAFブロック13
7に対して通信する。
【0033】撮像ブロックは、更に、レンズブロックか
らの入射光をR,G,Bの3原色に色分解するための色
分解プリズム121と、この色分解プリズムで分離され
たR成分,G成分,B成分の光が撮像面上に結像され、
結像された各色成分の撮像光を電気的な撮像信号R,G
及びBに夫々変換して出力する撮像素子122R,12
2G,122Bとを有している。例えば、この撮像素子
122R,122G,122Bは、CCD(電荷結合素
子)からなる。
【0034】撮像ブロックは、撮像素子から夫々出力さ
れた撮像信号R,G,Bのレベルを増幅すると共に、リ
セット雑音を除去するための相関二重サンプリングを行
うためのプリアンプ123R,123G,123Bを有
している。
【0035】更に、撮像ブロックは、内部に設けられた
基準クロック発生回路からの基準クロックに基づいて、
ビデオカメラ内の各回路が動作する際の基本クロックと
なるVD信号,HD信号及びCLK信号を発生するため
のタイミング信号発生回路125と、タイミング発生回
路から供給されたVD信号,HD信号及びCLK信号に
基づいて、撮像素子122R,撮像素子122G及び撮
像素子122Bに対して駆動クロックを与えるためのC
CD駆動回路124とを有している。なお、VD信号
は、1垂直期間を表すクロック信号であり、HD信号
は、1水平期間を表すクロック信号であり、CLK信号
は、1画素クロックを表すクロック信号であり、これら
VD信号,HD信号及びCLK信号かなるタイミングク
ロックは、図示してないが、メインCPU141を介し
てビデオカメラの各回路に供給される。
【0036】信号処理ブロックは、撮像ブロックから供
給される撮像信号R,G,Bに対して所定の信号処理を
施すためのブロックである。信号処理ブロックは、撮像
信号R,G,Bをアナログ形式からディジタル形式に夫
々変換するA/D変換回路131R,131G,131
Bと、メインCPU141からのゲイン制御信号に基づ
いて、ディジタルビデオ信号R,G,Bのゲインを夫々
制御するためのゲイン制御回路132R,132G,1
32Bと、ディジタルビデオ信号R,G,Bに対して所
定の信号処理を行う信号処理回路133R,133G,
133Bとを有している。これらの信号処理回路は、例
えば、ビデオ信号の或るレベル以上を圧縮するニー回路
と、ビデオ信号のレベルを設定されたγカーブにしたが
って補正するγ補正回路と、所定の黒レベル及び予定レ
ベル以上の白レベルをクリップするB/Wクリップ回路
とを夫々もっている。なお、この信号処理回路133
R,133G,133Bは、ニー回路,γ補正回路,B
/Wクリップ回路の他に、公知のブラックγ補正回路,
輪郭強調回路,リニアマトリクス回路等をもっていても
よい。
【0037】信号処理ブロックは、更に、信号処理回路
133R,133G,133Bから夫々出力されたビデ
オ信号を受け取り、ビデオ信号R,G,Bから輝度信号
Yと色差信号(R−Y),(B−Y)を生成するための
エンコーダ134を有している。
【0038】信号処理ブロックは、更に、ゲイン制御回
路132R,132G,132Bから出力されたビデオ
信号R,G,Bを夫々受け取り、これらビデオ信号13
2R,132G,132Bに基づいて、AFを行うAF
ブロック137と、信号処理回路133R,133G,
133Bから出力されたビデオ信号R,G,Bを夫々受
け取り、その信号レベルに基づいて撮像素子に入射する
光量が適切な光量となるようにアイリスを制御するアイ
リス制御回路135と、信号処理回路133R,133
G,133Bから夫々出力されたビデオ信号を受け取
り、その信号レベルに基づいてホワイトバランス制御を
行うためのホワイトバランス制御回路136とを有して
いる。
【0039】AFブロック137は、新規開発のオート
フォーカス集積回路(AF−IC)139とAF用CP
U(出願人における型番SH7034)138とを有
し、この(AF−IC)139は、輝度信号生成回路
(図示せず。)と各評価値毎に用意された評価値生成回
路(図示せず。)とをもつている。各評価値生成回路
は、輝度信号生成回路からの輝度信号Y及びタイミング
発生回路125で生成されるHD,VD,CKの各タイ
ミング信号が入力され、各評価値を夫々生成する。AF
用CPU138は、予め記憶装置(図示せず。)に蓄積
されたAFアルゴリズム(後で説明する。)に沿って、
各評価値に対してAFアルゴリズムに応じた計算及び各
種の処理を行い、また、計算で算出されたデータを1フ
ィールドに1回更新して蓄積する。評価値の種類、役割
等の詳細に関しては、項目「2.評価値」以降に説明す
る。
【0040】AF用CPU138は、(AF−IC)1
39に対して、速距エリアサイズ(評価枠サイズ),画
像の種類(NTSC/PAL、画素のクロック等)等の
データを設定し、(AF−IC)139より評価値を受
け取る。また、レンズブロック側CPU114との間
で、シリアル通信を通してカメラの諸データ(フォーカ
ス位置,アイリス値等)を受け取りフォーカス指令デー
タを算出し、シリアル通信を通してレンズブロック側C
PU114にフォーカス指令データを送出する。AF用
CPU138の動作ソフトであるAFアルゴリズムに関
しては項目「3.AFソフト」で説明する。
【0041】アイリス制御回路135は、図に示してな
いが、供給されたビデオ信号RGBの信号の中で信号レ
ベルが最大である信号を選択するNAM回路と、選択さ
れた信号の画面におけるエリアを分割して、各エリア毎
にビデオ信号を全積分する全積分回路を持っている。ア
イリス制御回路135は、この各エリア毎の積分データ
に基づいて、被写体の逆光照明,順光照明,フラット照
明,スポット照明等のあらゆる照明状況を判断して、ア
イリスを制御するためのアイリス制御信号を生成し、こ
のアイリス制御信号をメインCPU141に送出する。
メインCPU141は、このアイリス制御信号に基づい
て、レンズブロック側CPU112を介してアイリス駆
動回路113cに対して制御信号を送出する。
【0042】ホワイトバランス制御回路136は、供給
されたビデオ信号R,G,Bから、(R−Y)=0,
(B−Y)=0となるようにホワイトバランス信号を生
成し、このホワイトバランス信号をメインCPU141
に送出する。メインCPU141は、このホワイトバラ
ンス信号に基づいて、ゲイン制御回路132R,132
G,132Bに対して、ゲイン制御信号を供給する。
【0043】一般に、ビデオカメラの内、レンズブロッ
クは光学機器メーカで製造され、他の撮像ブロック及び
信号処理ブロックからなるビデオカメラ本体は本出願人
のような電子機器メーカで製造される。レンズブロック
とビデオカメラ本体は、予め定めたフォーマット,プロ
トコル,コマンドデータ内容に対応していれば、どのメ
ーカのレンズでもカメラ本体に取付けられる交換レンズ
式となっている。即ち、レンズブロック側CPU114
は、ビデオカメラ本体側から送られる各種情報要求(フ
ォーカス位置、アイリス値等)に応じた情報をシリアル
通信を通してカメラ本体のメインCPU141及びAF
用CPU138に対して返却する。逆に、レンズブロッ
ク用CPU114は、シリアル通信ラインを通してカメ
ラ本体側のメインCPU141及びAF用CPU137
から送られるフォーカス制御指令及びウォブリング制御
指令を受けて、フォーカスレンズ駆動回路111c,ウ
ォブリングレンズ駆動回路112c及びアイリス駆動回
路113cを夫々制御する。
【0044】次に、図2を参照しながら、AFブロック
137に関して詳しく説明する。(AF−IC)139
は、14種類の評価値(後で説明するように、ID0〜
ID13で特定される。)を生成するため、輝度信号生
成回路201と、各評価値に対して評価値生成回路20
2とをもっている。輝度信号生成回路201は、供給さ
れたビデオ信号R,G,Bから輝度信号Yを生成する回
路である。フォーカスが合っているかずれているかを判
断するためには、コントラストが高いか低いかを判断す
ればよい。コントラストの変化は色信号のレベルの変化
とは無関係であるので、輝度信号Yのレベルのみの変化
を検出することによって、コントラストが高いか低いか
を判断することが出来る。輝度信号生成回路201は、
供給されたビデオ信号R,G,Bに対して、公知の演算
(即ち、Y=0.3R+0.59G+0.11B)を行
うことにより、輝度信号Yを生成することが出来る。
【0045】評価値生成回路202には、14種類の評
価値を生成するため、14個の評価値生成回路がある。
評価値生成回路には、水平方向評価値算出フィルタ回
路,全積分方式水平方向評価値算出フィルタ回路及び飽
和輝度数算出フィルタがあり、これらの詳細は「2.2
評価値の種類」に関連して説明する。
【0046】2.評価値 本実施例のAF装置で使用している評価値の性質に関し
て説明を行う。評価値とは基本的には画像の測距エリア
内の高周波成分を合計したものであり、概してJPの度
合いに相関を有し、画像のボケの度合い反相関するよう
な量である。このAFシステムでは、評価値は専用に開
発されたAF−IC(オートフォーカス用集積回路)1
39により算出される。AFは、フォーカスを動かしそ
れに伴う評価値の増減を判断しながらフォーカスをJP
に追い込んで行く動作からなる。
【0047】本AF装置で使用している評価値は14種
類あり、ID0〜ID13で特定される。これらの評価
値を一覧にして示す。なお、評価値ID7,ID8,I
D12及びID13に関しては、画像データの高周波成
分とは関係がないため上述の評価値の定義からは本来の
評価値とはいえないが、評価値の増減を判断しながらフ
ォーカスをJPに追い込んで行く上で補助的な役割を果
たすので、本実施例では評価値として取り扱うことにす
る。ID#は、プログラム上で付与された評価値の識別
記号であり、本明細書でも評価値を特定する際に使用す
る。
【0048】 ID# 評価値名 備考 0 : IIR1―W1―HPeak 基本評価値 1 : IIR1―W2―HPeak 2 : IIR4―W1―HPeak 3 : IIR4―W3―HPeak 4 : IIR0―W1―VIntg 5 : IIR3―W1―VIntg 6 : IIR1―W1―HIntg 7 : Y―W1―HIntg 輝度加算値 8 : Y―W1―Satul 飽和輝度数 9 : IIR1―W3―HPeak 10 : IIR1―W4―HPeak 11 : IIR1―W5―HPeak 12 : Y―W3―HIntg 輝度加算値 13 : Y―W5―HIntg 輝度加算値
【0049】1D0〜ID13の各評価値に付与された
評価値名は、その由来が分かるように、「使用データ−
枠サイズ−評価値算出法」により命名されている。例え
ば、評価値ID0は、「IIR1」で特定されるデータ
を使用し、「W1」の評価枠サイズを使用し、「HPea
k」の評価値算出法を使用して、求めた評価値である。
このように、評価値名がそのままその評価値の属性を示
している。
【0050】評価値名の使用データには大別して「II
R」及び「Y」がある。輝度信号からHPF(ハイパス
フィルタ)を使用して取り出した高周波成分のデータを
使用するIIR4と、HPFを使用しないで撮像信号の
輝度データをそのまま使用するYとがある。
【0051】HPFを使用する場合は、HPFとしては
図3に示すように、IIR型(無限長インパルス応答
型)のHPFを使用している。HPFの種類によって、
評価値IIR0,IIR1,IIR3及びIIR4に分
けられ、これらは夫々異なったカットオフ周波数を持つ
HPFを表している。
【0052】異なるカットオフ周波数をもつHPFを設
定する理由は、次の通りである。例えば、カットオフ周
波数の高いHPFは、JPの近傍において非常に適して
いる。JP近傍におけるレンズの動きに対して、評価値
の変化の割合が比較的大きいからである。反対に、フォ
ーカスが大きくずれているところでは、レンズを移動さ
せたとしても、評価値の変化の割合が小さいので、カッ
トオフ周波数の高いHPFはフォーカスが大きくずれて
いるところでは適していない。
【0053】一方、カットオフ周波数の低いHPFは、
フォーカスが大きくずれているところにおいて適してい
る。なぜなら、フォーカスが大きくずれているところで
もレンズを移動させると、評価値の変化の割合が比較的
大きいからである。反対に、JPの近傍においてレンズ
を移動させたとしても、評価値の変化の割合が小さいの
で、適しているとは言えない。JP近傍におけるレンズ
の動きに対して、評価値の変化の割合が比較的小さいの
で、カットオフ周波数の低いHPFはJP近傍において
は適しているとは言えない。
【0054】このように相反する性質を有する複数のフ
ィルタを使用して性質の異なる評価値を生成し、AFの
過程でその段階で最適な評価値を選択できるようにする
ため、異なるカットオフ周波数をもつHPFを設定して
いる。
【0055】HPFをしない場合には、Yは、撮像信号
のフィルタ無しの輝度信号Yを使用する。
【0056】次に、枠サイズ、即ち評価枠のサイズは、
評価値生成に用いる画像領域の大きさであり、AF枠,
評価枠,測距枠,特定領域とも称される。図7に示すよ
うに、本実施例で使用される枠サイズには、W1(評価
枠1)〜W5(評価枠5)の5種類の枠サイズがあり、
各々異なったサイズを有する。評価枠W1〜評価枠W5
の各中心は、画面中心に一致する。
【0057】 評価枠 枠サイズ(横×縦 単位:画素) 備考 W1 116× 60 基本枠サイズ W2 96× 60 W3 232×120 W4 192×120 W5 576×180 但し、1フィールドの画面サイズは、768画素×24
0画素である。
【0058】これらの枠サイズの内、今回開発したAF
ソフトでは、狙った目標被写体に忠実にフォーカスさせ
るために、可能なかぎり最小サイズであるW1を用いて
AF処理を行なっている。W1は、画面サイズの約1/
6.6程度であり、この枠サイズW1を基本枠サイズと
称する。
【0059】なお、後述するように、W1又はW2を使
用する特定の評価値において、基本的にはW1又はW2
の設定を行なうが、一定の条件下において、枠サイズW
1,W2を枠サイズW3,W4又は枠サイズW5の大き
さに拡大変更して用いる場合がある。即ち、「偽山」
(ぼける方向にフォーカスがすすむと評価値が上昇する
現象。)が発生すると最小枠W1又はW2のままではJ
Pに追い込めない場合があり、このような場合には、そ
の評価値が本来使用している枠サイズを拡大変更して、
再度AF処理を行なっている。詳細に関しては後で説明
する。
【0060】このように、複数種の枠サイズを設定する
ことにより、各枠サイズに対応した夫々異なる評価値を
生成することが出来る。従って、目標被写体がどのよう
な大きさであろうとも、評価値ID0〜ID13の内の
いずれかにより、適切な評価値を得ることが出来る。
【0061】評価値算出法には、HPeak,HIntg,VIn
tg及びSatulの各方式がある。HPeak方式はピーク方式
の水平評価値算出法、HIntg方式は全積分方式の水平評
価値算出法、VIntg方式は積分方式の垂直方向評価値算
出法、そして、Satul方式は飽和輝度の個数を夫々示
す。各々について説明する。
【0062】HPeak方式は、水平方向の画像信号からH
PFを用いて高周波成分を求める評価値算出法である。
評価値ID0,ID1,ID2,ID3,ID9,ID
10及びID11に使用されている。従って、図2のこ
れらの評価値生成回路には、次に説明する水平方向評価
値算出フィルタを有している。これらの評価値は、夫々
評価値生成に用いるHPFのカットオフ周波数、枠サイ
ズが異なっている。
【0063】図3Aは、HPeak方式に使用される水平方
向評価値算出フィルタの回路構成を示したものである。
水平方向評価値算出フィルタは、輝度信号生成回路(図
2の符号201)の輝度データYから高周波成分だけを
抜き出すHPF302と、この高周波成分の絶対値をと
る絶対値処理回路303と、絶対値化高周波成分に水平
方向の枠制御信号を乗算する乗算回路304と、1ライ
ン当たり1つのピーク値を保持するラインピークホール
ド回路305と、評価枠内の全てのラインについて各ピ
ーク値を垂直方向に積分する垂直方向積分回路306と
を有する。
【0064】輝度データYはHPF302により高周波
成分が抜き出され、絶対値処理回路303で絶対値化さ
れ全て正のデータとされる。次に、水平方向の枠制御信
号が乗算回路304で乗算され、評価枠内の絶対値化高
周波成分にされる。枠制御信号の乗算は、画面上でAF
動作に関し目標被写体に関連して評価の対象となる範囲
を評価枠として特定して、枠内の高周波成分のみを使用
することにより、枠の外又は枠周辺部で出入りする映像
情報による評価値のノイズ,急激な変化等を排除するた
めである。ラインピークホールド回路305で枠内の1
〜Nの各ライン毎に1つのピーク値hp1,hp2,…,h
pnが夫々ホールドされる。
【0065】各ライン当たり1つのピーク値がホールド
され、これを垂直方向積分回路306で垂直方向の枠制
御信号に基づき評価枠内のラインに関して垂直方向にh
p1〜hpnまで加算する。1つの画面の特定の評価枠に対
して、各ピーク値をライン分合計した値Σ(hp1+…+
hpn)を得る。この方式は、水平方向(H)のピークが
一旦ホールドされるのでHPeak方式と称する。
【0066】また、枠制御信号に関しては、次のような
工夫がされている。図4に、評価枠403に対応した水
平方向の枠制御信号401と垂直方向の枠制御信号40
2を示す。ここで、垂直方向の枠制御信号402は方形
波であるが、水平方向の枠制御信号401は単なる方形
でなく家の屋根のような特性を与えて、両端部30画素
の寄与率を徐々に減衰している。この理由は、フォーカ
スが進むにつれて枠周辺部に位置する枠外エッジ(評価
枠周囲にある高輝度なエッジ)の枠内への侵入の影響及
び被写体の揺れに伴う評価値の変動を軽減するためであ
る。このような枠サイズの設定及び枠信号特性の生成
は、今回開発したAF−ICにより、CPUから自由に
行えるように構成されている。
【0067】ここで、HPF302のカットオフ周波数
の相違は、図3Bに示すようにHPFのz変換式X
(z)=(1−z-1)/(1−αz-1)における係数α
の値で決定される。各評価値のカットオフ周波数の係数
αの相違は次の通りである。
【0068】 HPF αの値 備考 IIR0 1/2 V方向に使用 IIR1 1/2 H方向に使用 IIR3 7/8(=1−1/8) V方向に使用 IIR4 7/8(=1−1/8) H方向に使用
【0069】係数α=1/2で特定されるHPFのカッ
トオフ周波数は、fsc(サブキャリアの周波数であっ
て、サンプリング周波数の1/4。)近辺と比較的高
く、感度は相対的に低いためノイズをあまり拾わない。
一方、係数α=7/8で特定されるHPFのカットオフ
周波数は、比較的低いため感度は相対的に高いが、反面
ノイズを拾い易い。また、位相遅れが係数α=1/2の
場合に比較して格段に大きいので枠外の影響を受け易
い。
【0070】なお、α=1/2のIIR0とIIR1、
またα=7/8のIIR3とIIR4を夫々分けた理由
は、後で説明する評価値算出法におけるV方向(垂直方
向)とH方向(水平方向)の相違によるものである。そ
の理由は、H方向は撮像信号のラインに関して連続的で
あるのに対して、V方向はフィールド単位の飛び越しラ
インなので離散的であるために空間周波数が比較的低く
なってしまうことにある。従って、同じαを使用してい
ても識別可能なように、使用データ名を別なものにして
いる。
【0071】HIntg方式は、全積分方式で求める水平方
向の評価値算出法である。HIntg方式は、評価値ID
6,ID7,ID12及びID13に使用されている。
HPeak方式と比較すると、HPeak方式が1ライン当たり
1つのピーク値hp1 〜hpnを求めて、それらを垂直
方向に加算Σ(hp1+…+hpn)をしているのに対し
て、HIntg方式では各ラインの全ての輝度信号y1 〜y
n 又はその高周波成分h1〜hn を用いて、それらを垂
直方向に加算Σ(y1 +…+yn ),Σ(h1 +…+h
n )している点で相違する。HIntg方式には、使用デー
タが高周波成分を使用するIIR1と、輝度信号Y自体
をそのまま使用するYとに分類される。
【0072】HIntg方式において使用データとしてII
R1を使用する場合は、輝度信号からIIR1で特定さ
れるHPFによって抜き出された高周波成分を全積分し
ている。評価値ID6に使用される。従って、図2の評
価値ID6生成回路は、次の全積分方式水平方向評価値
算出フィルタを有している。図5は、この全積分方式水
平方向評価値算出フィルタの回路構成を示す。このフィ
ルタは、輝度信号生成回路(図2の符号201)からの
輝度データYを出力する加算回路と、輝度データYから
高周波成分だけ抜き出すHPF502と、絶対値処理回
路503と、絶対値化高周波成分に水平方向枠制御信号
を乗算する乗算回路504と、絶対値化高周波成分を枠
内の全てのラインについて加算する水平方向加算回路5
05と、垂直方向の枠制御信号に基づき枠内の全てのラ
インの絶対値化高周波成分加算値を垂直方向に積分する
垂直方向積分回路506とを有する。
【0073】図3AのHPeak方式の水平方向評価値算出
フィルタと比較すると、全積分方式水平方向評価値算出
フィルタは、水平方向枠信号乗算回路504までは同じ
であるが、水平方向加算回路505で乗算後の水平方向
データを全て加算し、その後、垂直方向積分回路506
で枠内の全てのラインを垂直方向に積分する点で異なっ
ている。従って、HIntg方式は、HPeak方式よりも評価
値の値は相対的に高く、低コントラスト被写体に対して
は有効であるが、反面、偽山も発生しやすい欠点も有す
る。そこで、本実施例のAFでは、HPeak方式とHIntg
方式を適時の使い分けるのであるが、HPeak方式とHIn
tg方式の使い分けに関しては、後で説明する。
【0074】HIntg方式において使用データとして輝度
データYを使用する場合は、輝度データYを水平方向に
全て加算し、設定された評価枠内で全積分している。こ
の場合の評価値は輝度加算値とも称される。評価値ID
7,ID12及びID13に使用される。輝度加算値
は、図5の全積分方式水平方向評価値算出フィルタから
HPF502を取り外した輝度加算値算出フィルタ回路
で得られる。
【0075】輝度加算値は、高周波成分を抜き出してい
ないので、ボケ現象と直接的に関係する高周波成分を利
用する本来の評価値、即ちHPeak方式,IIRを使用す
るHIntg方式及び次に説明するVIntg方式の評価値とは
異なっている。実際、被写体に揺れ,外乱(ノイズ)等
がなく被写体が評価枠内に出たり入ったりしない場合
は、輝度加算値は、映像がJP状態の時でもボケ状態の
時でも、ほとんど同じ値となる。しかし、被写体に揺
れ,外乱等が生じて枠内に乱入すると、輝度加算値は大
きく変化する。そこで、輝度加算値は、このような性質
を利用して、主に外乱,揺れ等の監視に用いる評価値と
して有効である。このように、輝度加算値は、AFでJ
Pを追い込む際に補助的であるが有効な役割を果たすの
で、本実施例では評価値として取り扱っている。
【0076】VIntg方式は、全積分方式の垂直方向評価
値算出法である。評価値ID4及びID5に使用され
る。従って、図2のこれらの評価値生成回路は、次に説
明する垂直方向評価値算出フィルタを有している。HPe
ak方式及びHIntg方式はいずれも、水平方向に加算して
評価値を生成しているのに対して、VIntg方式は高周波
成分を垂直方向に加算して生成された評価値である。例
えば画面の上半分が白色で下半分が黒色の映像,水平線
の映像等シーンによっては垂直方向の高周波成分のみ有
り垂直方向の高周波成分が無い場合は、HPeak方式水平
方向評価値は有効に機能しない。そこで、VIntg方式の
評価値は、このようなシーンにもAFが有効に機能する
ように定めている。
【0077】一般に、高周波成分を垂直方向に加算しよ
うとすると、高周波成分のデータを一旦ラインメモリ又
はフレームメモリに記憶して、その読み出し順序を工夫
することが必要であり、その回路構成が大規模且つ複雑
となる。しかし、ここで定義したVIntg方式は、そのよ
うな回路構成を必要としない簡易的なオリジナルな構成
により、垂直方向評価値を得ている。
【0078】図6Aは、垂直方向評価値算出フィルタの
回路構成を示す図である。垂直方向評価値算出フィルタ
は、垂直方向評価値算出フィルタ601と、IIR型H
PF603と、絶対値回路604と、積分回路605と
を有する。
【0079】垂直方向評価値算出フィルタ601は、輝
度信号生成回路(図2の符号201)からの輝度データ
Yの各ラインの評価枠内中心部にある64画素の平均値
(合計値でも同じ。)を算出し、1Hに1回出力する。
ここで、中心部の64画素としたのは、評価枠周辺部の
ノイズを除去するためである。ここでは、単に64画素
分だけ逐次蓄積して最終的に1つの合計値を出力してい
るため、ラインメモリ又はフレームメモリ等のメモリ装
置を必要としない簡易な構成となっている。次に、これ
を、ライン周波数で同期を取ってHPF603により高
周波成分を抜き出している。この中心部の高周波成分
は、絶対値回路604で絶対値化高周波データとされ、
積分回路605で枠内の全てのラインに関して全積分し
ている。
【0080】垂直方向評価値は水平線のシーンのような
水平方向の変化がない映像で特に有効である。反対に、
水平方向の変化がある映像の場合には、これがノイズと
なり評価値の有効性は低下する。
【0081】Satul方式は、枠内の飽和した(具体的に
は、輝度レベルが所定量以上の)輝度データYの個数を
求める算出法である。評価値ID8に使用され、評価値
ID8は飽和輝度数とも称する。従って、図2のこれら
のID8評価値生成回路は、次に説明する飽和輝度数算
出回路を有している。飽和輝度数は、飽和輝度数が多い
場合には偽山が発生することが多く、偽山発生に対して
はAFとして特別の処理を必要とするため、高い確率で
偽山が出現する状況を検出するための評価値として定義
している。
【0082】図6Bに、飽和輝度数算出回路の一例を示
す。この飽和輝度数算出回路は、輝度データYと閾値α
とを比較して、輝度データYが閾値α以上(飽和輝度)
のとき「1」を出力する比較器606と、この比較器の
出力,水平・垂直枠制御信号及び1画素クロックを表す
クロック信号CLKを入力するAND回路607と、こ
のAND回路の出力をクロック入力端子に入力し、1垂
直期間を表すVD信号をセット端子に入力して、1フィ
ールド分の飽和輝度データの個数を係数するカウンタ6
08とを有している。次に、各評価値について個別的に
説明する。
【0083】次に、個別評価値に関して説明する。 (1) ID0(IIR1―W1―HPeak) 評価値ID0は、本実施例のAFにおいて最も基本とな
る評価値であり、基本評価値とも称する。本実施例のA
Fは、評価値ID0の増減を優先的に判断して、実行し
ている。評価値ID0は、IIR1で特定されるHPF
のカットオフ周波数がfsc(サブキャリアの周波数であ
って、サンプリング周波数の1/4。)近辺と比較的高
く、評価値ピークがJPと一致する確率が高い。
【0084】これに対して、評価値ID3(IIR4―
W1―HPeak)は、IIR4で特定されるのHPFのカ
ットオフ周波数が比較的低いため感度が相対的に高く、
評価枠外の要因等に影響され易く、評価値ピークがJP
と重ならない場合が生じ、その結果、JPの追い込みに
間違いが生じる危険性がある。
【0085】反対に、評価値ID0は、感度が相対的に
低いため他の評価値に比べて偽山が発生することが少な
いが、少しのボケ状態でもノイズレベルに対してJPの
所在が不明となり、有意な値が得られなくなる欠点も有
する。
【0086】この評価値を生成する回路構成は図3Aの
水平方向評価値算出フィルタによる。図3Bに示すHP
Fの係数αは1/2である。枠の大きさは、基本サイズ
の評価枠W1(116×60)で、画面サイズの約1/
6.6となっている。評価枠W1は、民生用ビデオカメ
ラのAFに使用される評価枠に比べて相対的に小さな枠
サイズである。民生用ビデオカメラに比較して小さい枠
サイズを選定したのは、狙った目標被写体にきっちりフ
ォーカスさせるためである。反面、枠サイズを小さくす
ると手ぶれ、被写体の揺れ等により評価値が変動し易く
なり、AFは一層困難になる。このため、評価値ID0
では、評価枠W1を固定的に使用するのではなく、後で
述べる偽山判定,飽和輝度判定における一定の条件下
で、線分比で2倍,3倍に拡大した別の評価枠に拡大変
更して使用できる工夫も凝らしている。詳細については
後述する。
【0087】(2) ID1(IIR1―W2―HPeak) 評価値ID0(IIR1―W1―HPeak)に比較して、
評価値ID1は、水平方向だけが僅かに小さいサイズの
評価枠W2(96×60)で生成されている。ID1
は、ID0に対して枠サイズが若干小さいだけで他の条
件は全て等しいので、評価値曲線の挙動は略同じだが、
IDOとの水平方向枠サイズの差を利用して、後で述べ
る「偽山判定」を行なうために設けている。
【0088】(3) ID2(IIR4―W1―HPeak) ID0(IIR1―W1―HPeak)と比較して、ID2
は、評価値生成におけるHPFのカットオフ周波数が1
/8となっており、低い周波数成分まで評価値生成に寄
与しているので相対的に感度が高い性質を有する。枠サ
イズに関してはID0と同じ基本枠サイズW1であるの
で、ID0に比較してボケ状態でも有意な値をとるが、
HPFの位相遅れがID0に比較して格段に大きいので
枠外の影響を受け易く偽山が発生しやすいという欠点も
ある。
【0089】図8に評価値ID0及び評価値ID2の傾
向を示す。評価値ID0曲線はカットオフ周波数が比較
的高い高周波成分しか寄与しないので、シャープな形状
となっている。
【0090】(4) ID3(IIR4―W3―HPeak) ID2(IIR4―W1―HPeak)と比較して、評価値
ID3は、枠サイズが異なり縦横共に線分比2倍の評価
枠W3(232×120)を使用しているので、その分
だけライン数が多くなり、評価値は相対的に高くなる。
後で説明する「ウォブリング方向判定」,「逆送判定」
及び「チェックダウン判定」に用いる。
【0091】(5) ID4(IIR0―W1―VIntg) 評価値ID4は、垂直方向の高周波成分を求める評価値
である。IIR型HPFのフィードバック係数はIIR
1と同じα=1/2だが、フィールド単位の飛び越しラ
インなので、空間周波数で考えるとIIR1よりも低
い。枠サイズはID0と同じ基本枠サイズW1である。
評価値ID4は、映像に水平方向高周波成分がなく垂直
方向高周波成分がある場合には、被写体のボケ現象と相
関をもつ評価値となるが、反面、水平方向成分が増えて
くると偽山を発生し易くなる性質を有する。
【0092】(6) ID5(IIR3―W3―VIntg) 評価値ID5は、ID4(IIR0―W1―VIntg)と
同様の垂直方向の評価値である。但し、本願出願時点で
はこの評価値は用いていない。使用データIIR3は、
IIR型HPFのフィードバック係数αはIIR4と同
じα=7/8だが、フィールド単位の飛び越しラインな
ので空間周波数で考えるとIIR4よりも低い。枠サイ
ズはID2と同じ評価枠W3である。
【0093】(7) ID6(IIR1―W1―HIntg) 評価値ID6は、HPFに関してはID0(IIR1―
W1―HPeak)と同じだが、この評価値は絶対値処理後
の全てのデータをH方向及びV方向共に全積分している
ため、評価値の感度が高い。従って、ID6は、暗いシ
ーンに対して有効である。しかし、評価値の感度が高い
ためノイズを拾いやすく、極端に暗いシーンになると発
生するノイズも全部加算するために偽山が発生しやすい
欠点もある。評価値ID6は、主に低コントラストの被
写体用に用意している。
【0094】(8) ID7(Y―W1―HIntg) 評価値ID7は、枠内の輝度データYを単純に合計した
値であり、輝度加算値とも呼ぶ。枠サイズは基本枠サイ
ズW1である。被写体が静止していれば、フォーカスが
変化しても輝度加算値はあまり変化しないので、被写体
のボケ状態判断に用いることはない。しかし、輝度加算
値は、被写体の揺れ状態、外乱の枠内への侵入があると
大きく変化する性質を有するので、これらの監視用に用
いる。
【0095】(9) ID8(Y―W1―Satul) 評価値ID8は、CPUが設定する所定の輝度レベルよ
りも大きい輝度をもつ画素の数である。ID8を飽和輝
度数とも呼ぶ。この所定の輝度レベルは、CPUによっ
て設定され、略最大輝度レベルに近い値が設定される。
枠サイズは基本枠サイズW1である。飽和輝度数が大き
い場合には、偽山が発生することが多い。AFソフトで
は、この飽和輝度数ID8を監視し、所定数を越えたら
特別の処理に切り替えてフォーカスをJPに追い込んで
いる。
【0096】(10)ID9(IIR1―W3―HPeak) 評価値ID9は、ID0(IIR1―W1―HPeak)と
比較して、枠サイズのみ異なり、線分比2倍に拡大した
ものを使用する。枠サイズは評価枠W3(232×12
0)である。「揺れ判定」,「偽山判定」及び「保険モ
ード」時のピーク判定に用いる。
【0097】(11)ID10(IIR1―W4―HPeak) 評価値ID10は、ID9(IIR1―W3―HPeak)
に比較して、水平方向が僅かに小さいサイズの評価枠W
4(192×120)で生成されている。枠サイズに関
して、ID10のID9に対する関係は、ID1のID
0に対する関係と同様である。「偽山判定」及び「保険
モード」時のピーク判定に用いる。
【0098】(12)ID11(IIR1―W5―HPeak) 評価値ID11は、ID0(IIR1―W1―HPeak)
に比較して、枠サイズのみを線分比で横ほぼ5倍,縦3
倍に拡大した評価値である。枠サイズは最大の評価枠W
5サイズである。評価値ID10と同様に、「揺れ判
定」,「偽山判定」及び「保険モード」時のピーク判定
に用いる。
【0099】(13)ID12(Y―W3―HIntg) 評価値ID12は、ID7(Y―W1―HIntg)に比較
して、枠サイズのみを線分比で横縦共に2倍に拡大した
評価値である。。枠サイズは評価枠W3(232×12
0)である。被写体の揺れ状態及び外乱の枠内への侵入
の判断に用いる。
【0100】(14)ID13(Y―W5―HIntg) 評価値ID13は、ID7(Y―W1―HIntg)に比較
して、枠サイズのみを線分比で横ほぼ5倍,縦3倍に拡
大した評価値である。枠サイズは最大の評価枠W5であ
る。評価値ID12と同様に、被写体の揺れ状態、外乱
の枠内への侵入の判断に用いる。
【0101】(15)各評価値の関係 各評価値は、使用データにより輝度データYから抜き取
った水平方向高周波成分を使用するHPeak(HIntg)
と、輝度データYを全部使用するYと、水平方向データ
の中央部をの高周波成分を全部使用して垂直方向に積分
するVIntgとに大別される。
【0102】HPeakに関しては、図9Aに示すように、
基本評価値ID0に対して、評価枠を面積比4倍に拡大
したID9と、面積比ほぼ15倍に拡大したID11が
あり、また、IDOに対して水平方向が若干狭いID1
と、ID9に対して水平方向が若干狭いID10とが用
意されている。更に、基本評価値ID0に対してHPF
のカットオフ周波数が低い(感度が高い)ID2と、I
D9に対してHPFのカットオフ周波数が低いID3が
用意されている。更に、特別に、基本評価値ID0と異
なり、全積分HIntgするID6がある。
【0103】Yに関しては、図9Bに示すように、輝度
加算値ID7と、評価枠を面積比4倍に拡大したID1
2と、面積比ほぼ15倍に拡大したID13とがある。
VIntgに関しては、図9Cに示すように、ID4と、評
価枠を拡大しカットオフ周波数も低いID5が用意され
ている。その他にID8が有る。
【0104】次に、ビデオカメラの動作を、図10〜図
38を用いて説明する。 3.AFアルゴリズム 3.1 全体フローチャート 今回開発したAF機構は、ワンショットタイプを採用す
るとの思想で開発されている。AFスイッチ(図1の符
号115)がプッシュされたら起動し(AFスター
ト)、フォーカスをJPに追い込んだら動作を終了する
「ワンショットタイプAF」の仕様となっている。即
ち、一旦AF作動スイッチが押されてフォーカスがJP
状態になったレンズは、次にAF作動スイッチが押され
るまで不動状態となる。これは、放映中にフォーカスが
変動する場合の危険性を回避するためである。
【0105】実際の放送局スタジオ又は各種イベントに
おける多くの撮影では、複数台のビデオカメラが用意さ
れ、適時切り替えて放映する。従って、特定のカメラと
被写体間の距離はほとんどの場合に一定であり、ワンシ
ョットタイプAFは、このような映像に適したモードで
ある。反面、屋外で遠方からこちらに向かって疾走する
列車を撮影するような連続的にカメラとの距離が変化し
ている被写体の撮影に関しては適していない。
【0106】図10に本AFソフトのフローチャートを
示す。本AFソフトは、概して、揺れ判定ステージ、W
OBステージ、山登りステージ、の3ステージから構成
されている。揺れ判定ステージでは、被写体の揺れを判
定し、それに応じたモードの設定を行なう。WOBステ
ージでは、ウォブリングレンズのみ動かしてウォブリン
グ処理を行ない、フォーカスレンズが進むべきの初期方
向を決める。ウォブリング処理終了時点までは、フォー
カスレンズは不動である。山登りステージでは、実際に
フォーカスレンズを移動して、それに伴う評価値の増減
を判断してフォーカスをJPに追い込む処理を行なう。
このAFフローチャートでは、通常、山登りループを1
フィールドで1回の割合で何回か周回しながら評価値ピ
ークを検出し、JPに追い込んでいる。
【0107】なお、上記AFフローとは別に毎フィール
ドのデータ処理として、次のデータを所定のループバッ
ファメモリ(32フィールド分)へ順次更新して記録し
ている。ループバッファに格納されたデータは、AFソ
フトの各種処理、判定に使用される。 (a) 評価値14種の生データ (b)(a)の各評価値データ各々の3フィールドの移動平均
をとったもの(14種) (c) レンズ位置 (d) アイリス値及びフォーカス値(1フィールドづつ交
互に記憶)
【0108】以下、図10のAFフローのステップに順
番に説明する。
【0109】3.2 揺れ判定(レンズ静止時) レンズに取付けられたスタートスイッチが押されると、
AF装置が動作開始する。ステップS1001で、レン
ズ静止の時の揺れ判定、即ち、揺れの有無を判定する。
「揺れ」とは、カメラと被写体の相対的な動きである。
この揺れ判定には、AFスイッチが押されてから所定期
間経過するまでの評価値データは、揺れ判定のための計
算には寄与させない特徴を有する。
【0110】図11は、カメラをパンさせて停止し、A
FのスイッチをONしたときの評価値の変動を示したも
のである。この揺れ判定では、評価値に対するパン及び
スイッチONによる影響を排除するように揺れ判定期間
を定めている。図11に示すように、パンによる評価値
が変動する期間1105の後、AF機構のスイッチオン
(SW ON)1101してから20フィールド経過後
まで期間を、直後の8フィールドの期間を除き、揺れ判
定期間(9〜20フィールドの12フィールド間)11
03として定め、この期間の評価値データを用いて揺れ
の状態を判定する。
【0111】直後の8フィールド(1104)を除外し
ているのは、スイッチプッシュ時のカメラぶれの影響を
とり除くためである。このように、揺れ判定期間110
3を設定することにより、スイッチONによる影響の無
い評価値が得られる。なお、「パン」(pan,pan
ning)」とは、カメラワークの一種で、カメラを左
右に移動しながら撮影することである。代表的なパンと
して、フォローパンとサーベイングパン等がある。カー
レースでスピードを出している自動車が止まっているよ
うに見えるが、背景が横に流れている映像は、自動車の
スピードに合わせてカメラをフォローパンした結果であ
る。
【0112】揺れ判定の結果、揺れが有ればステップS
1002に進み「揺れモード設定」をする。揺れモード
が設定されると、後で説明するようにフォーカスレンズ
の動かす速度及びウォブリングレンズの動作を変えてい
る。この段階までは、ウォブリングレンズ及びフォーカ
スレンズは不動である。
【0113】ここで、各評価値の値はeで表示し、特に
評価値IDiの値をe[i]と表記する。また、現フィ
ールドの評価値をe0 、jフィールド前の評価値をej
、と表記する。従って、例えば、e2 [0]は評価値
ID0の2フィールド前の値を意味するものとする。ま
た、これから説明するようにAFの各段階で、各評価値
の値e[i]は所定の閾値によって様々に判断される
が、その閾値をthとし、特に評価値IDiの閾値をt
h[i]と表記する。また、閾値が複数個ある場合、第
1の閾値をth1 [i]とし、第2の閾値をth2
[i]とする。
【0114】なお、本実施例においては、各閾値及びそ
の他の判定基準に関して可能な限り具体的数値を挙げて
説明するが、これらの数値は例示でありこれに限定され
るものではない。発明の本質は、特定の性質を有する評
価値に対して、閾値又はその他の判定基準を設けて各段
階のフォーカス状態又はこれに関連する事象を判断して
いるところにあることを承知されたい。
【0115】揺れの判定は、評価値ID0の正規化差分
値及び評価値ID7(輝度加算値)の正規化差分値を用
いる。評価値ID0の正規化差分値〔%〕は、現在フィ
ールドの値e0 [0]、その2フィールド前の値e2
[0]を用いて、 50×|e0 [0]−e2 [0]|/e0 [0] で定義する。同様に、評価値ID7の正規化差分値
〔%〕は、現在フィールドでの値e0 [7]、その2フ
ィールド前の値e2 [7]を用いて、 50×|e0 [7]−e2 [7]|/e0 [7] で定義する。
【0116】正規化差分値は1フィールド当たりの評価
値の変化の割合を意味している。ここで、現在フィール
ドの評価値と2フィールド前の評価値とを比較している
のは、oddフィールドとevenフィールドの相違に
よる評価値変動の影響を除去するために、2フィールド
間隔としてodd又はevenフィールドの一方だけを
使用するからである。また、百分率であるに拘わらず、
50倍しているのも同様の理由による。
【0117】また、実際に試作したAF装置では、更
に、e0 [0],e2 [0],e0 [7],e2 [7]
の各々は、3フィールドの移動平均値を採用している。
これは、室内の蛍光灯が50Hzで点滅し、一方、カメ
ラが60Hzで動作するため、蛍光灯のフリッカが20
Hzとなり、この影響を排除するためである。同様に、
これから説明する各評価値の値eは、特に断らない限
り、いずれも3フィールドの平均値をとっているため、
蛍光灯のフリッカの影響は無いものと承知されたい。
【0118】ループバッファに格納した、揺れ判定期間
の12フィールドにわたる評価値ID0を用いて正規化
差分値を計算し、各正規化差分値の中で最大値を最大正
規化差分値(以下、「ndiff e[0]」とする。)と
し、揺れの判定を実行する。
【0119】しかし、評価値ID0の値が低い場合に
は、定常的に存在するノイズ変動により被写体に揺れが
なくとも「ndiff e[0]」が大きな値となり、揺れ判
定の閾値を越えてしまうことがある。
【0120】そこで、評価値ID0の値が低い場合に
は、代わりに輝度加算値ID7を用いて12フィールド
の各正規化差分値を計算し、それらの最大値から最大正
規化差分値「ndiff e[7]」を作成し、それを用いて
揺れ判定を行なっている。全ての場合に評価値ID0の
最大正規化差分値「ndiff e[0]」を用いないのは、
評価値ID0が或る閾値以下であれば、「ndiff e
[7]」の方が被写体の揺れに対応していると考えるか
らである。揺れ判定の具体的基準を以下に示す。
【0121】評価値ID0の平均値(揺れ判定期間12
フィールドの平均値)が200以上なら、 ndiff e[0]〈 3% → 静止モード ndiff e[0]≧ 3% → 揺れモード1 ndiff e[0]≧30% → 揺れモード2 とする。
【0122】評価値ID0の平均値が200未満なら、 ndiff e[7]〈 7% → 静止モード ndiff e[7]≧ 7% → 揺れモード1 ndiff e[7]≧12.5%→ 揺れモード2 とする。
【0123】揺れ判定の手順及び判定基準値は、多数の
被写体を撮影して決定した。当初、出来れば全て評価値
ID0で揺れ判定を行いたかったが、輝度加算値ID7
をも使用したにのは、輝度が低くてノイズに近いような
シーンの場合(200未満)には、ID7に基づく「nd
iff e[7]」を使用した方が好ましい結果が得られた
からである。ここで、基準値として、評価値ID0の平
均値が200以上又は未満で分けたこと、3%,30
%,7%,12.5%の各閾値を採用したことは、多数
の被写体を撮影して実験的に決定した。
【0124】尚、画面が大ボケ状態の場合には画面は均
一に近くなるので、たとえ被写体が揺れていたとしても
その検出は出来にくくなる。従って、AF動作を大ボケ
状態からスタートすると、この揺れ判定では揺れの有無
に係わらずに「静止モード」と判定してしまう。そこ
で、後で述べるフォーカスレンズが移動する山登りステ
ージにおいても評価値が有意な大きさになったら、揺れ
判定(S1014)を再度行なっている。
【0125】次のステップS1003の「ロングフィル
タ判定」及びS1004の「ロングフィルタ処理」に関
しては、説明の都合上最後に説明する。
【0126】3. 3 ウォブリング ステップS1005でウォブリング(以下、「WOB」
と略す。)が可能か否かを判断し、可能ならばWOB動
作(S1006)に進み、そうでないならば直接山登り
ステージに進む。
【0127】先ず、WOBの有用性について説明する。
AFが要求されたら、直ちにフォーカスレンズを動かす
方法も考えられる。一般に、WOBレンズは、フォーカ
スレンズと比較して質量が小さいため、比較的短い時間
でフォーカスを焦点深度程度移動することができる。も
ちろんフォーカスレンズでフォーカスを焦点深度相当移
動することもできるが、WOBレンズよりも長い時間を
要する。更に、焦点深度が深いレンズ撮影条件(アイリ
スが閉じ気味、テレ端)では、CCDから相対的に遠い
フォーカスレンズは一層大きく動かす必要がある。
【0128】ここで「テレ端」とは拡大状態をいい、極
端に狭い範囲でピントが合っている状態をいい、FAR
からNEARまで評価値が極端に変化する。反対に、
「ワイド端」とは、ズームアップ状態をいい、ワイド端
では広範囲でピントが合っている。そのため、Farか
らNearまで評価値が変化しない。テレ端の傾向が高
まるにつれ、WOBは有効となる。
【0129】フォーカスレンズを進むべき方向が分から
ないままに移動させ、それが評価値低下の方向であるこ
とが判明した場合には、フォーカスレンズは移動方向を
反転する応答特性が悪く、集束時間が長くかかってしま
う。このような、ぼける方向に進み、その後反転してJ
P方向に進む動作は、画面の見栄えが良くなく、進むべ
き方向が分からないままに移動させた場合に発生する確
率は厳密には言えないが半分の確率といってよい。ま
た、WOBでは、フォーカスレンズを移動する方法に比
較して、画面の変化がほとんど分からずに行えるので、
フォーカスの状態(ジャストピン,小ボケ又は大ボケ)
及び評価値の変化する方向、即ちフォーカスレンズの進
むべき方向が正確にわかるならば、WOBは有用であ
る。
【0130】そこで、フォーカスレズが前玉繰り出し方
式のレンズであり、WOBレンズを別個有する場合に
は、WOB可能であるか否かを判断した上で、予めWO
B動作を行いフォーカスレンズの進む方向を探ってから
フォーカスレンズを動かすこととしている。
【0131】ステップS1005でWOB可能判断の処
理を行う。WOB可能判断の処理では、WOBが有効
(可能)であるか否か、即ちWOBさせるか否かの判定
を行なう。WOBは常に有効であるわけではない。WO
Bが無効な場合とは、評価値ID0が所定閾値(例え
ば、250)以下の場合、揺れモードの場合、又は
飽和輝度数ID8が所定量以上ある場合であり、これら
の場合はWOBを実行しない。
【0132】評価値ID0が所定の閾値(例えば、2
50)以下の場合 評価値IDOが低い場合、JP又は大ボケ状態ではWO
Bによって評価値の変化が得られないので、フォーカス
レンズの移動方向を決定する方向判定ができない。そこ
で所定の閾値を設けて、それ以下であればWOBを行わ
ない。この閾値の大きさ250は種々の被写体を用いて
実験的に決定した。ここで、例えば、カットオフ周波数
が低く枠サイズの大きいID3等の他の評価値を用いる
ことも検討したが、偽山発生によりフォーカスレンズの
方向判定が誤る場合が多かったので、結局、評価値ID
0のみ使用して基準としている。
【0133】揺れモードの場合 ステップS1001の揺れ判定(レンズ静止時)で揺れ
モード1又は2と判定された場合には、揺れによる評価
値変動が大きくWOBしても方向判定を誤ることが多く
なるので、WOBは行なわない。
【0134】飽和輝度数ID8が所定量以上ある場合 評価枠内に飽和輝度データが所定量以上ある場合には、
WOBしても評価値が変動しない傾向にある。飽和して
いる場合には多少ぼかしても、エッジのシャープさが変
化しないためである。
【0135】評価値ID0が所定の閾値以上あり、静止
モードであり、且つ、飽和輝度数ID8が所定量以下の
場合(〜のいずれにも該当しない場合)には、WO
Bを行うためWOB動作(S1006)に進む。〜
のいずれかに該当した場合、WOBは有効でないため、
WOBを行わずに、直接山登りステージに進む。
【0136】ステップS1006でWOB動作を行う。
これは、AFブロック137からレンズブロック側CP
U114に対してWOBレンズ制御指定を与えることに
より行われる(図1参照)。図12は、WOB動作のフ
ローチャートを示したものである。WOBルーチンが起
動されたら、ステップS1201で、14種類の評価値
の値(e0 [i],i=1〜13)を全て記憶する。ス
テップS1202で、WOBレンズを現在位置からNe
ar方向に向け移動して半焦点深度分だけNear方向
に寄った位置にして、評価値が安定した後、ステップS
1203で14種類の評価値(enear[i],i=1〜
13)を記憶する。ステップS1204で、WOBレン
ズをFar方向に向け移動し最初の位置から半焦点深度
分だけFar方向に寄った位置にして、評価値が安定し
た後、ステップS1205で14種類の評価値(efar
[i],i=0〜13)を記憶する。
【0137】ステップS1206で、WOBレンズをニ
ュートラル位置(最初の位置)に戻し、評価値が安定し
た後、ステップS1207で14種類の評価値(eneut
ral[i],i=0〜13)を記憶する。なお、再度最
初の位置に戻してニュートラル位置とし、14種類の評
価値をサンプリングしているのは、efar [i]との間
で行う演算精度を上げるためである。従って、ステップ
S1206を外して、ステップS1202のe0 [i]
を変わりに用いてもよい。
【0138】ここで、Far方向とNear方向につい
て説明する。レンズをCCDから遠ざける方向(即ち、
被写体に近づける方向。)をNear方向という。換言
すれば、近く(Near)にある被写体に対しJPにな
るように移動する方向をNear方向という。Far方
向は、Near方向の反対方向である。また、Near
端とFar端については、JP可能な最接近距離にある
被写体がJP状態にあるレンズ位置をNear端にある
といい、無限遠にある被写体がJP状態にあるレンズ位
置をFar端にあるという。
【0139】なお、WOB動作のタイムチャートを図1
3に示す。図13においてwtimeは、WOBレンズの移
動時間と移動平均フィルタの位相遅れ時間(1フィール
ド)を足したものである。 wtimeは、アイリス値Fによって異なった値にしてい
る。WOBレンズを半焦点深度分動かすには、アイリス
が絞られればそれだけ時間がかかるためである。
【0140】なお、ステップS1202のNear側へ
の移動とステップS1204のFar側への移動は、ど
ちらを先に実行してもよい。
【0141】このようにして記憶した評価値e0
[i],efar [i],enear[i],eneutral
[i],(i=0〜13)を用いてフォーカスの状態を
判断するステップS1208の方向判定処理に進む。こ
の方向判定処理の詳細なフローを図12Bに示す。
【0142】図12Bに示す方向判定処理のフローは、
第1段階判定と第2段階判定からなる。最初に、カット
オフ周波数の比較的高い使用データIIR1の評価値を
用いて第1段階判定を実行して方向判定し、ここで方向
が分からなかった場合に、方向判定に寄与する評価値を
変更して、カットオフ周波数の比較的低い使用データI
IR4方式の評価値を用いて第2段階判定を続行する。
方向判定としては、第1段階判定がメインである。第1
段階判定では、ジャストピン(JP)判定(S120
9)、Near判定(S1211)、Far判定(S1
213)の順に、各判定処理を実行する。
【0143】ステップS1209で、フォーカスがJP
であるか否かのJP判定を行う。JPとは、フォーカス
がJP位置から半焦点深度(焦点深度の半分)以内のず
れであることを意味する。JP判定でJPと判定された
ら既にフォーカスは合っておりAFの必要はないので、
ステップS1210で、移動方向は無し(ジャスト),
モードはノーマルと設定して、WOBルーチンを終了す
る。JPでないと判定されたら、S1211のNear
判定に進む。
【0144】ステップS1212で、評価値の上昇する
方向がNear方向であるか否かのNear判定を行
う。Near判定でNearと判定されたら、ステップ
S1212で移動方向はNear,モードはノーマルと
設定して、WOBルーチンを終了する。Nearでない
と判定されたら、ステップS1213のFar判定に進
む。
【0145】ステップS1213で、評価値の上昇する
方向がFar方向であるか否かのFar判定を行う。F
ar判定でFarと判定されたら、ステップS1214
で移動方向はFar,モードはノーマルと設定して、W
OBルーチンを終了する。Farでないと判定された
ら、第1段階判定を終了し、ステップS1215の評価
値の重み変更処理に進む。
【0146】なお、ステップS1211のNear判定
とステップS1213のFar判定は、どちらを先に実
行してもよい。
【0147】第1段階判定でJP,Near,Farの
いずれとも判定されなく、フォーカスレンズの移動方向
が分からなかった場合には、ステップS1215で評価
値の重み付けを変更して、第2段階判定に進む。「評価
値の重み」とは、Near判定、Far判定で行なって
いるファジーフィルタ型シナプス処理(図19参照)の
各入力に対する重みである。
【0148】第2段階判定では、ステップS1216
で、再度Near判定を行なっている。Near判定で
Nearと判定されたら、ステップS1217で移動方
向はNearと暫定的に決定し、モードはフラットと設
定して、WOBルーチンを終了する。Nearでないと
判定されたら、Far判定を行わずにステップS121
8に進み、移動方向はFarと暫定的に決定し、モード
はフラットと設定して、WOBルーチンを終了する。即
ち、Near判定でNearと判定された場合を除い
て、全てFarとしている。これは、実際にカメラを使
用する場合、被写体としては数m以上離れていることが
多いので、方向が分からないときにはFarに向かえば
それがJPに近づく方向である可能性が高いと考えたか
らである。以上により、WOB動作を終了して、JP判
定(S1007)に進む。
【0149】第1段階判定後、第2段階判定で評価値の
重みを変更して再度同様の判定を行なう理由は、以下の
とおりである。第1段階判定では、実際には評価値の重
みを、 W[ ]={10,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0} 但し、{}内の各数字は、評価値ID0〜ID13の夫
々の評価の重みとし、カットオフ周波数の比較的高い使
用データIIR1の評価値ID0のみを判定に寄与させ
ている。第1段階判定で評価値ID0のみに絞って判定
しているのは、方向判定を誤るとAF動作に支障が生じ
るため、JP,Near,Farの各判定における誤判
定を極力減らすためである。
【0150】第1段階判定でJP,Near又はFar
のいずれとも判定されない場合には、フォーカスレンズ
の進むべき方向判定ができない、即ち、大ボケであると
判定する。この場合には、フォーカスをNearに動か
すか、又はFarに動かすかは明確な理由をもって決定
できない。そこで、ステップS1215で、感度を多少
あげるため評価値の重みを変更して、第2段階判定に進
むこととしている。重みは W[ ]={5,10,20,20,0,0,10,0,0,5,10,5,0,0} のように変更する。この重み付けは、カットオフ周波数
の比較的低い使用データIIR4のID2(IIR4-
W1- HPeak)及び更に枠サイズが異なるID3(II
R4- W3- HPeak)に重みを置いている。
【0151】このように、第1段階判定は、誤判定の確
率は低いが評価値の感度が相対的に低く少しのボケ状態
でも有為な値が得られない。第2段階判定は、感度がよ
い反面、偽山が発生しやすく誤判定を生じやすい。ここ
で、第1段階判定のカットオフ周波数の比較的高い使用
データIIR1の評価値ID0と、カットオフ周波数の
比較的低い使用データIIR4の評価値ID2又はID
3とを、両者を加算して方向判定することも考えられ
る。しかし、この場合でも、後者の偽山が発生しやすく
誤判定を生じやすいことが分かった。そこで、本実施例
では先ず第1段階判定を優先させ、ここで方向判定でき
ない場合のみ第2段階判定でバックアップすることによ
り、WOBの誤判定の確率を低く押さえたまま、WOB
の感度を上げることができた。
【0152】さて、第1段階判定及び第2段階判定の具
体的内容である、ジャストピン判定,Near判定及び
Far判定について説明する。
【0153】ジャストピン判定において、WOBしたと
き評価値がどのように変化した場合に「JP」と判定す
るかを視覚的に説明する。WOBを行なうとフォーカス
の状態に応じて評価値は図15〜図16に示すような変
化を示す。図15Aは、始点(0) がJPに一致している
場合の評価値の変化を示す。WOB((0) →→→
)により、評価値の変化は2回低下するW字型にな
る。
【0154】図15Bは、始点(0) がJPから僅かにず
れている場合である。WOB((0)→→→)によ
り、評価値は2回低下するが、1回目と2回目ではアン
バランスになる。図15Bの状態もJPとする。
【0155】図15Cは、始点(0) が半焦点深度近くず
れている場合である。WOB((0)→→→)によ
り、評価値は、低下後上昇するか又は上昇後低下するの
2通りとなる。いずれの場合でも低下の差が、上昇の差
よりも大きい。低下の差と上昇の差の比率を定め、低下
の差が一定比率以上であればJPとする。図17に示す
ように、本実施例では、低下分(b):上昇分(a)=
5:1以上を採用する。これも実験値である。
【0156】図16Dは、始点がJPから半焦点深度を
越えてずれている場合の評価値の変化を示す。WOB
((0) →→→)により、評価値は、低下後上昇す
るか、又は上昇後低下するの2通りとなり、低下の差と
上昇の差の大きさは同程度の大きさとなる。図16Dの
状態はJPと判定せずに、ステップS1211のNea
r判定に進む。
【0157】図16Eは、始点がJPから大きくずれた
大ボケ位置にある場合の評価値の変化を示す。この場合
にはWOB((0) →→→)を行なっても評価値の
変化はほとんどない。たとえ変化があったとしても、評
価値のもつ定常ノイズ以下となる。
【0158】図16Fは、JPの状態であるが、ディテ
ールの少ない被写体の場合の評価値の変化を示す。ディ
テールが少ないとWOB((0) →→→)で評価値
の変化はほとんど得られず、図16Eの大ボケと同じよ
うな振る舞いを示す。しかし、JPにある。
【0159】ここで、図16Eと図16Fでは評価値の
変化は似ており、評価値の変化だけでは両者を区別する
ことが困難である。これは、ディテールがある被写体の
大ボケ状態と例えば均一に近い壁のようなディテールの
少ない被写体のJP状態をWOBで判断するのは困難で
あることを意味する。この識別不能が画像処理形AFを
困難なものにしている1つの要因である。
【0160】この実施例では、図15A〜図15Cの場
合には、WOBの結果はJPとしてWOBを終了しAF
を行わない。図16D〜図16FはJPでないと判定
し、Near判定に進む。本当は図16Fの場合もJP
と判定すべきであるが、図16Eと見分けがつかないこ
とから、JPでないと判定せざる得ない。以上のJP判
定を計数的に実現するため、WOBフローで記憶したe
0 ,enear,efar ,eneutral の各値を使用して、図
18及び図19に示す計算方法を実行している。
【0161】図18の方向判定におけるジャストピン判
定を説明する。WOBレンズのニュートラル位置とFa
r方向に焦点深度分離れた位置との評価値差(e0
[0]−enear[0])1801及びニュートラル位置
とNear方向に半焦点深度分離れた位置との評価値差
(eneutral [0]−efar [0])1808より夫々
の拡張合致度m1、m2を算出する。
【0162】図中下部の各拡張合致度算出の詳細に示す
ように、拡張合致度m1の算出は、横軸の評価値差(e
0 [0]−enear[0])に対応して縦軸のm1とな
る。 (1) 評価値差が0〜第1の第1閾値th1 [0]までの
場合、m1=0をとる。 (2) 評価値差が第1の閾値th1 [0]の時、m1=0
をとり、また、評価値差が第2閾値t h2 [0]の時、
m1=100〔%〕をとる。 (3) 評価値差が第1閾値th1 [0]以上の場合、(2)
の条件下で比例配分される。 (4) 評価値差が0以下の場合、縦軸に関して線対称とな
る。
【0163】結局、評価値差とm1は1次関数にある
が、0付近に幅を持たせ、微妙な差はm1をゼロとして
いる。この理由は、評価値の微少な定常的なノイズ(リ
ップル成分)を判定に寄与させないために、ゼロ付近に
幅を持たせているのである。
【0164】拡張合致度m2の算出も、横軸の評価値差
(eneutral [0]−efar [0])に対応して、同様
に行う。
【0165】m1,m2がいずれも100%以下の場
合、スイッチ1803,1810はいずれも上のルート
を取り(1804,1811)、m1 とm2 は加算器1
807で加算され、その和が比較器1814で定数βと
比較される。本実施例では、図17で説明したように、
低下分:上昇分=5:1以上より、β≧80%としてい
る。この和がβより大きい場合には比較結果は「JP」
となり、β未満であれば結果は「JPでない」となる。
【0166】図15Cの例に対応させると、例えば、
(0) から への移動により評価値差(e0 [0]−ene
ar[0])から合致度m1=+90%、からへの移
動により評価値差(eneutral [0]−efar [0])
から合致度m2=−10%が得られたとする。両者を加
算すると80%となり、β≧80%を満たし、比較結果
は「JP」となる。
【0167】m1 とm2 のうちのいずれか一方が100
%を越えた場合には、比率で見る必要があるため、スイ
ッチ1803,1810はいずれも下のルートを取り、
m1又はm2 の大きい方の絶対値でm1 とm2 共に正規
化する(1805,1812)。即ち、m1 又はm2 の
絶対値が大きい方を100とする。その後、加算器18
07で和をとり、比較器1814で比較演算を行なって
いる。同様に、この和がβより大きい場合には比較結果
は「JP」となり、β未満であれば結果は「JPでな
い」となる。
【0168】図15A,B及びCの場合にはm1 とm2
共に正となり、WOBで評価値差が所定以上であれば判
定がJP状態となるよう定数β(例えば、0. 8)を実
験的に定めている。図16Dの場合にはm1 とm2 のう
ち一方が正となり他方が負となる。m1 とm2 共にその
絶対値が100%以下の場合には、通常(m1 +m2)
は相殺されてゼロに近い値となり、よってβ以下となる
ので判定は「JPでない」となる。
【0169】ところが、m1 とm2 共にその絶対値が1
00%を大きく越し、(m1 +m2)が正となる場合に
は|m1 /m2 |が1に近いにもかかわらず(これは典
型的な小ボケ状態)判定結果はJPとでてしまうことが
ある。そこでm1 又はm2 の大きい方で正規化した後、
和をとり比較することにより誤判定を防いでいる。
【0170】図16E及びFの場合には、m1 とm2 が
共にゼロもしくは小さな値となり判定は「JP状態でな
い」となる。尚、係数β=80%としているが、この値
では、図17に示すように評価値低下分(b)と評価値
上昇分(a)の比が5:1までJP状態と認めることに
なる。この値は多くの被写体を用いて実験的に調整して
求めたものである。
【0171】次に、方向判定に於けるNear判定に関
して説明を行なう。Near判定は、図19Aに示すフ
ァジーフィルタ型シナプス構成をとっている。一般に、
ファジーとは曖昧なというような意味であり、シナプス
構成とは本来神経細胞間を伝達する接合構成をいうが、
この神経細胞接合構成と似ているためこのように名付け
ている。
【0172】この構成は、各評価値ID[i](i=0
〜13)に関して、WOBに伴う評価値ID0[i]の
変化(efar [i]−enear[i])(1901)に対
して「Near方向に評価値が上昇するらしさの」合致
度を求め(1902)、これらの結果に対し各評価値I
D[i]各々に関して予め定めた重み係数W[i]を夫
々乗算する(1903)。これらの総和を求め(190
4)、その後、「係数α×重み合計」(α×ΣW
[i])との比較を行なって(1905)、Near又
は否の判定を行っている。拡張合致度算出に関しては図
18の詳細図を参照されたい。この処理は、個々の評価
値より各々の「Near方向に評価値が上昇するらし
さ」を求め、重み付け多数決を行なっていることに等し
い。
【0173】なお、Near判定は、第1段階判定のス
テップS1211と第2段階判定のステップS1216
で実行される。両者は、第1段階判定の評価の重みが、 W[ ]={10,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0} であるのに対して、第2段階判定の評価の重みが、 W[ ]={5,10,20,20,0,0,10,0,0,5,10,5,0,0} となっている点で相違する。
【0174】次に、方向判定に於けるFar判定に関し
て説明を行なう。図19Bに示すように、Far判定
は、評価値ID[i]の変化に(eneutral [i]−e
far [i])を用いている以外は、Near判定と同様
の判定を行っている。
【0175】ステップS1007で、WOB動作で得ら
れたデータに基づき「JP判定」を行う。WOB動作の
第1段階判定でJPと判定されたら、以降フォーカスレ
ンズは動かさずにAF動作を終了する。
【0176】これ以外の場合には、山登りステージに進
む。最初のレンズ移動方向はWOB(S1006)で決
定されている。但し、Near若しくはFarと判定さ
れたら、JPに近いフォーカス位置にいる「ノーマルモ
ード」(JPが比較的近い状態のモード)として、山登
りステージに進むため、山登りパラメータの初期化(S
1008)に進む。JP,Near又はFarのいずれ
とも判定されないで第2段階判定を行ったときは、Ne
ar又はFarを暫定的に決定し、大ボケ状態の「フラ
ットモード」(方向を決定できないほどJPが遠い状態
のモード。)として、山登りステージに進むため、山登
りパラメータの初期化(S1008)に進む。「ノーマ
ルモード」と「フラットモード」の違いに関しては後で
説明を行なう。
【0177】3. 4 山登りパラメータの初期化 ステップS1008で、AF山登りを開始する前に、山
登りに関連するプログラム上の各パラメータの初期化を
行なう。以下に初期化を行なうパラメータを示す。
【0178】境界値カウント 端に到達した際、反転指令を出すまでの待ち時間用カウ
ントを0にリセットする。 端到達フラグ 端に到達したことを示すフラグをリセットする。このフ
ラグは、両端到達の判断に用いる。 評価値の最大値 各評価値の最大値を0にする。後で説明する保険モード
のピーク選定で用いる。 評価値の最小値 各評価値の最小値を現フィールドの評価値にセットす
る。後で説明する保険モードのピーク選定で用いる。 評価値の最大値位置 各評価値の最大値位置を現フィールドのレンズ位置にセ
ットする。後で説明する保険モードのピーク選定で用い
る。 鋭角率最大値 各評価値の鋭角率最大値を0にリセットする。後で説明
する保険モードのピーク選定で用いる。 鋭角率最大値位置 各評価値の鋭角率最大値位置を現フィールドのレンズ位
置にセットする。後で説明する保険モードのピーク選定
で用いる。
【0179】3. 5 最大最小値更新処理 ステップS1009で、山登りが開始したら毎フィール
ド毎に評価値の最大値及び最小値の更新処理を行なう
(図14参照)。ここで、評価値の最大値最小値の更新
処理とは、そのフィールドにおける評価値の最大値がそ
れまでの最大値未満であれば最大値の更新は行なわな
く、同様に、評価値の最小値がそれまでの最小値を越え
ていれば最小値の更新は行なわない。
【0180】各評価値(ID0〜ID13の14種)
の最大値max.e[i] 各評価値(同14種)の最小値min.e[i] 各評価値(同14種)が最大となったレンズ位置 これらの値は、後で説明する保険モードでのピーク選定
に使用する。
【0181】3.6 レンズ速度設定 ステップS1010で、レンズ速度の設定を行う。フォ
ーカスレンズが移動開始してからピーク位置を検出する
までのレンズ速度を制御する。図20にレンズ速度決定
のフローを示す。
【0182】本実施例のAF装置では、最初、ステップ
S1001,1002で揺れ判定及びモード設定され、
その後1フィールド毎にステップS1014,1015
で揺れ判定及びモード設定された揺れモードの結果の揺
れの有無に対応して、AF時のレンズ速度を制御してい
る。更に、WOB動作(S1007)により、第1段階
判定で判明したノーマルモードか第2段階判定まで行っ
たフラットモードであるかが判定されている。この結果
をも利用して、レンズ速度が制御される。
【0183】被写体の揺れの有無を判定し、揺れの有る
場合、レンズを高速で動作させ、低速切り替えは行なわ
ない。揺れがない場合、ピーク位置に近づくまでは高速
とし、ピーク位置の近辺に来たら速度を切り替えて低速
としている。レンズ速度は低速と高速の2段階としてい
る。これは高速と低速の間に中間的な速度を設けないこ
とがAF収束時間にとって効率が良く、得策と考えてい
るからである。
【0184】低速は、2Fs/field 、即ち1フィール
ド当たり焦点深度Fsの2倍だけ進む速度である。高速
は、12Fs/field 又はそのレンズの持つ最高速度の
内の遅い方である。ここで、最高速度を12Fs/fiel
d で制限しているのは、これ以上速くすると評価値曲線
のつぶれが顕著になり、高速から低速への速度切り替え
判定が上手くいかなくなるからである。また、速度切り
替えがうまく働かなかった場合、又は働かせなかった場
合(後で説明するが揺れている場合には速度切り替えを
行なわない。)に、これより速い速度にするとピーク通
過後の行き過ぎ量が大きくなることの理由もあり、この
制限を使用している。2Fs/field 、12Fs/fiel
d の値は、実験的に定めた値である。
【0185】図20のレンズ速度決定フローを説明す
る。ステップS2001で、揺れ判定する。最初はレン
ズ静止時の揺れ判定及び揺れモード設定(S1001,
S1002)の結果、次回からはレンズ動作時の揺れ判
定及び揺れモード設定(S1014,S1015)の結
果、揺れモード1,2となり揺れの有る場合には、ステ
ップS2002に進み、静止モードの場合には、ステッ
プS2003に進む。ここで予め、レンズ静止時に揺れ
判定及び揺れモード設定を行っていることから、AF動
作開始前に、レンズ速度を設定することが出来る。
【0186】ステップS2002(揺れの有る場合)で
は、レンズを高速で動作させ、低速切り替えは行なわな
い。その理由は、揺れがあるとレンズが静止していても
評価値が変動するので、AFを開始すると、評価値に
は、揺れによる寄与と、レンズを動かしてフォーカ
スが変化することによる評価値変化の寄与、とが合成さ
れることになる。
【0187】AFではフォーカスを動かし評価値のピー
クを探索するので、上記の揺れによる寄与が大きいと
「ぼけたフォーカス位置でAFが収束する」ような誤動
作を起こしてしまう。カメラ画像処理より評価値を算出
しこれを用いる現在のAFシステム構成においては、上
記誤動作を避けるために、レンズの速度を速くして、
のレンズを動かしてフォーカスが変化することによる評
価値変化の寄与分を大きくすることにより、の揺れに
よる寄与分を相対的に減らして、揺れに影響しない評価
値特性を得ている。
【0188】そこで、揺れの場合にはピーク位置を検出
するまでは低速切り替えを行なわないようにしている。
低速切り替えを行なうと、低速になった直後から上記
の寄与が大きくなり、揺れによる誤動作の確率が高くな
ってしまうからである。このように揺れている場合に
は、ジャストピン近くにきてもレンズ速度を低下させな
いので、揺れによる誤判定を低減させることが出来る。
その結果、ボケ状態のままAFが終了するという誤操作
を低減させることが出来る。
【0189】揺れの無い場合にステップS2003で
は、フォーカスレンズの動作開始からの経過時間t1 に
よって分けている。経過時間が、初期低速期間t1 を経
過していればステップS2004に進み、t1 以内であ
ればステップS2005に進み、低速に切り替えてレン
ズを動かす。初期低速期間t1 を設けたのは、WOB動
作で方向を誤って判定していた場合に、動作開始当初か
ら高速で進み、行き過ぎてしまうのを回避するためであ
る。ここで、初期低速期間t1 は次の通りである。
【0190】 t1 =12field (フラットモードの場合) =36field (ノーマルモードの場合)
【0191】フラットモードの場合、WOBの方向判定
(Near,Far)によって方向判定できなかったの
でレンズ動作開始時点では、JPは遠いと判断する。し
かし、t1 =ゼロとしないのは、たまたまJPにあった
のをフラットと誤判定した場合に対する配慮である。こ
のような誤判定があってもt1 =12field と設定して
あれば、JPからレンズ動作開始しても低速で動くので
JPから大きくずれてからJPに戻るということがな
い。
【0192】ノーマルモードの場合、WOBで方向判定
結果がでたのでレンズ動作開始時点ではJP位置が近い
と判断する。この場合には、ピークを行き過ぎてしまう
のを避け、低速のままでJPまで収束させる方が画像の
見栄えがよいので、低速期間を長くとっている。従っ
て、フォーカスがJPの近傍にあるか又は小ボケ状態の
場合には、低速のままJPまでフォーカスが進むので、
滑らかなフォーカス追い込みが得られる。また、フォー
カスの移動速度が速すぎて、ピークを行き過ぎるという
ケースが低減する。上記の値12、36フィールドは実
験的に定めた数値である。
【0193】ステップS2005で、低速切り替え判定
を行う。本AF装置では上述したようにスタートしてか
ら、初期低速期間を除き、ピーク位置の近くまではレン
ズを高速に進め、ピーク位置近くに到達したら低速に切
り替えることが得策と考えている。即ち、大ボケ状態か
らピーク位置近くまでは高速にレンズを動かし、ピーク
位置近くになったら急に減速して低速にし、滑らかに且
つ行き過ぎることがないようにしてピーク位置に収束す
るようにしている。
【0194】そこでレンズの速度を高速から低速に切り
替えるタイミングが問題となる。本AF装置では、以下
の判別数1,数2で低速に切り替えるか否かの判断を行
ない、数3を満たせば、低速に切り替え、満たさなけれ
ば高速のまま移動する。
【0195】
【数1】
【0196】
【数2】
【0197】数1の第1項は、現フィールドにおける2
つの評価値ID0(IIR1−W1−HPeak)とID2
(IIR4−W1−HPeak)の差と和の比(e0 [0]
−e0 [2])/(e0 [0]+e0 [2])を4倍し
たものを表している。第2項は、この2つの評価値の差
と和の比を過去4フィールド分加算した量を表してい
る。この数1は、評価値ID[0]の立ち上がり時点を
検出するための式である。差と和の比(即ち、ID
[0]をID[2]で正規化したもの。)は、カットオ
フ周波数が低い(即ち、感度の良い)ID[2]に対し
て、ID[0]がどれだけ近づいたかの指標となってい
る。比をとっているので、例え照度が上がっても、各評
価値の値e[i]が夫々所定倍されるので、評価値の差
と和の比は照度と無関係に定まる。数1は、全体を4フ
ィールドで割れば分かるように、現フィールドにおける
指標から過去4フィールドの移動平均の指標を引いた
差、即ち、現在の方が一層近づいているか否かを表して
いる。
【0198】数2は、ノイズ除去のために規定され、1
フィールド前のrf(1)の値である。rf(0)、r
f(1)の2つの指標より、数3の所定の閾値により切
り替えのタイミングを判定している。
【0199】
【数3】 rf(0)<−25、且つ、rf(1)<−10、 ならば、低速に切り替え 但し、ej [0]は、jフィールド前のID0の値 ej [2]は、jフィールド前のID2の値
【0200】図21に示すようにぼけた位置からレンズ
を動かしていくと、始めのうちはrf(0)、rf
(1)共に0よりも大きな値を示す。ピーク位置に近づ
くとrf(0)、rf(1)は急に0以下の値を示す。
本判別式は、このような性質を利用してピーク位置に近
づいたことを判別している。この判別式は、実験を重ね
データ解析を行なうことで求めたが、この判別式を決定
するまでには種々の試行錯誤を繰り返している。
【0201】この判別式は、その試行錯誤の中で最も特
性のよいのを選んだに過ぎず、完全なものではない。し
かし、ピーク位置で評価値が大きい被写体、即ちディテ
ールの大きい被写体では、この判別式は有効に働いてい
る。一方、ピーク位置でも評価値ID0(IIR1−W
1−HPeak)の値が小さい(例えば、数100以下の)
被写体では、ピーク位置近くになっても上記判別式を満
足しないことがある。但し、ディテールの少ないピーク
位置では、ピーク位置を大きく過ぎたとしても目立ちに
くいという救いはある。そこで、閾値の決定に関して
は、ディテールの大きい被写体でうまく高速から低速へ
制動がかかることを第1の目標として決定している。
【0202】AFでは、偽山の検出が1つのポイントに
なる。従って、本AF装置では、偽山発生が評価枠周辺
の高輝度エッジに起因すること、高輝度エッジのため飽
和輝度数ID8が高くなること、等の評価値の特性に着
目して、以下の偽山判定(S1011)及び飽和輝度判
定(S1012)により偽山の検出をおこない、枠サイ
ズ変更処理(S1013)を行っている。
【0203】3.7 偽山判定 ステップS1011で、偽山判定を行う。本AF装置で
は独自に考案した偽山判定方法を行なっており、偽山の
発生により生じるAFの誤動作を低減している。
【0204】最初に、偽山に関して説明する。偽山と
は、フォーカスがAF枠内にある被写体に対してピーク
位置に近づく時に評価値が低下する現象と定義する。
【0205】図22Cは、縦軸に評価値を、横軸にレン
ズの位置(フォーカス)をとった評価値曲線を表してい
る。AFは、評価値が大きくなる方向に動作して(山登
り)JPを探し当てる。しかし、現実には、評価値曲線
が図22Cに示すような特性を示す場合もある。このよ
うな、JPとは無関係な評価値の上昇部分を偽山と称す
る。この場合、AFは、評価値が上昇する方向にフォー
カスを進めるので、時としてレンズはJPとは反対向き
に移動しぼける方向に動作し、大きくぼけた位置で停止
してしまう。このように、偽山が発生すると、ぼけた位
置でAFが収束したり、ぼける方向にフォーカスが進む
といった誤動作(以後、「偽山トラップ」という。)の
要因となる。偽山の存在が、AF機能の開発を困難なも
のにしている。
【0206】偽山の発生メカニズムは、輝度が飽和して
いる場合には、JP状態では限られたラインが飽和輝度
となってエネルギ的には無駄な状態となっている。これ
がぼけた状態になると、この無駄となっていたエネルギ
が拡がり周辺のラインにまで有効的に影響して或る一定
レベル以上の輝度状態となる。これはエレルギ的に非常
に高い部分は飽和してしまうCCDの特性に起因してい
る。こうして、ボケ現象が進むと輝度が上昇する現象が
生じるからである。
【0207】偽山の画面における発生状況を図22を用
いて説明する。図22Aに示すようにAF枠(評価枠)
内に目標被写体(ターゲット)2201があり、評価枠
の外側に被写体よりもディテールの大きい高輝度エッジ
2202があるシーンを想定する。ターゲット220
1、高輝度エッジ2202共に同じ距離にあると仮定す
ると、フォーカスがターゲット2201に対してJPの
時には高輝度エッジに対してもJPとなる。
【0208】図22AはJP状態を示している。このJ
P状態からフォーカスをずらしていく様子を図22Bに
示す。被写体はボケが進むにつれて徐々に膨らみ、同様
に高輝度差のエッヂが波紋が広がるようにからま
で、更にからまで波紋のように膨らみ、評価枠に侵
入する(実際には、を中心に反対側に,の対応点
が有り、を中止に膨らむのであるが、反対側は評価枠
と関係ないので省略している。)。図22Cは、その際
の評価値の変化を示している。
【0209】図22B及びCにおいて はJPの状態で
あり、このJP状態からフォーカスを移動させるとター
ゲット2201、エッジ2202共にボケて周りとの境
がなくなっていき、波紋が広がるように大きくなってい
き、JP状態から或るボケ状態までは評価値は低下して
いく(図22Cのからの範囲)。そして高輝度エッ
ジ2202の波紋が広がり評価枠内にかかるようになる
(図22Bのの状態)。更にフォーカスを移動すると
高輝度エッジの波紋は評価枠内へ侵入し始める(図22
Bのの状態)。
【0210】高輝度エッジ2202の方がターゲット2
201よりもディテールが大きいので、高輝度エッジが
枠内に入っている部分のラインに関しては、被写体22
01よりも高輝度エッジ2202の波紋が評価値へ大き
く寄与する。エッジの侵入が進行するとV方向の侵入範
囲も大きくなり、評価値は増加する(図22Cの→
の範囲)。即ち、フォーカスがぼける方向に進むと評価
値が上昇する範囲が生じることになる。は高輝度エッ
ジ自体でなく高輝度エッジの波紋(陰影)であり、評価
値の高い方向にレンズを移動して追ったとしても、フォ
ーカスが合うことはあり得ない。
【0211】次に、本実施例のAF装置で計数的に行な
っている偽山判定方法、偽山トラップ回避方法について
説明する。偽山判定は、評価値ID0(IIR1‐W1
‐HPeak)と評価値ID1(IIR1‐W2‐HPeak)
の比ID0/ID1を監視し、この比を用いて判定を行
なう。
【0212】偽山発生の判断は、山登りが開始し、上記
比ID0/ID1が1. 6以上であり、それが10フィ
ールド連続した時に、偽山が発生したと判断している。 ej [0]/ej [1]≧1.6 (j=1〜10)
【0213】評価値ID0(IIR1‐W1‐HPeak)
と評価値ID1(IIR1‐W2‐HPeak)は、図23
Aに示すように、ID0の評価枠W1がID1の評価枠
W2より枠サイズがH方向に若干広いだけで他の特性は
同じである。もし評価枠W1のH方向中央部(即ち、評
価枠W1とW2の重複部分)のディテールのみが評価値
ID0に寄与しているとすれば、評価値ID0と評価値
ID1は同一の値となる。実際に、偽山発生のない通常
のシーン、被写体では図23Bに示すように大ボケから
JPに至るまで略同じ値を示している。反対に、評価値
ID0と評価値ID1が異なり、評価値ID0≧評価値
ID1となる場合は、評価値ID0に寄与する部分がH
方向周辺部(評価枠W2とW1の差の部分)にあること
を意味している。この偽山判定方式は、枠サイズW1
(評価値ID0)と枠サイズW2(評価値ID1)の大
きさの若干異なる2つの評価枠を用いていることより、
「2重枠法」と呼ぶ。
【0214】例えば、カメラを移動した場合に、評価値
ID0≧評価値ID1の割合が一定以上になると、偽山
が発生している可能性が非常に高い。上記比ID0/I
D1が1を大きく越える場合には、図22Bに示すよう
に評価枠W1の右端又は左端に評価枠W1内の最大ディ
テールが集中していることになる。この一例が上に述べ
た高輝度エッジ2202が評価枠W1に端に位置する状
態である。この偽山判定方式では評価枠W1の端部に枠
内最大のディテールが集中すると偽山発生を引き起こす
と判断する。
【0215】ここで、「山登りが開始し、10フィール
ド連続」としているのは、以下の理由による。揺れてい
る場合には、たとえ偽山が発生しないシーンにおいても
被写体のエッジが評価枠W2の端を通過する際に上記比
が大きく変化し、1.6を越えてしまうことがある。揺
れによるも以外にも、ネオン光のような間欠的なものを
除くためでもある。偽山が発生するシーンに関しては、
長いフィールドにわたり上記比1. 6をを大きく越え
る。以上より所定の複数フィールドにわたり所定の比を
越えていれば偽山が発生したと判断する。
【0216】次に、偽山が発生したと判断した場合の偽
山トラップ回避方法に関して説明する。偽山発生と判断
した場合には、ステップS1013の枠サイズ変更に進
む。
【0217】ステップS1013で、枠サイズ変更処理
を行う。即ち、一旦フォーカスの移動を停止し、評価値
ID0,ID1の評価枠W1,評価枠W2を夫々これら
基本サイズから評価枠W3,評価枠W4の大きさに拡大
変更する。これはAF用CPU(図2の符号203)内
で評価値ID0,ID1を評価値ID9,ID10と夫
々同じものにする操作による。評価値ID0,ID1自
体を評価値ID9,ID10に夫々置換しなかったの
は、評価値ID0は基本的な評価値であり、その後も使
用されるので、評価値ID0のまま枠サイズを変更する
こととしている。その後、WOB(S1005〜100
7)及び山登り(S1008〜1021)を開始して拡
大サイズの評価枠で再度偽山判定を行う。上述した評価
枠の説明で、評価枠W1に対して水平方向に若干狭い評
価枠W2を、同様に評価枠W3に対して水平方向に若干
狭い評価枠W4を用意したのはこの偽山判定のためであ
る。
【0218】なお、既にIDO,ID1の評価枠W1、
W2のサイズが評価枠W3、W4のサイズに夫々変更さ
れた状態で、偽山判定を行い偽山発生と判定されたら、
評価値ID0の評価枠W3のみを評価枠W5(最大枠サ
イズ)のサイズに拡大変更する(同様に、CPU内で評
価値ID0を評価値ID11と同じにする。)。評価枠
サイズを拡大することにより枠周辺にある高輝度エッジ
を枠中央近くの位置に移動する。たとえ輝度が高いエッ
ジでも、枠中央近くに位置決めすれば、そのエッジはエ
ッジの波紋(虚像)でなく実像であり、これにフォーカ
スが合うようなJPに近づく方向に評価値が上昇するこ
とになる。
【0219】尚、図23Aに示すように、この「2重評
価枠法」では、枠サイズを水平方向に変えた2つの評価
値ID0(評価枠W1)とID1(評価枠W2)を比較
しているが、縦方向に関しては枠サイズは一定のまま
で、サイズを変更して比較することは行なっていない。
これは、図23Cに示すように、垂直方向に伸びている
垂直エッジ2301が右方又は左方から侵入すると、多
くのラインが同時に影響を受けてHピーク方式の評価値
に対する影響が大きい。これに対して図23Dに示すよ
うに水平方向エッジ2302が上又は下から侵入して
も、侵入された限られたライン数しか影響を受けない。
以上より垂直方向に侵入する外乱の影響は、水平方向の
それと比較して比較的小さいとみなし無視している。
【0220】3. 8 飽和輝度判定 ステップS1012で、飽和輝度判定を行う。通常の被
写体では、フォーカスがぼけると評価値が低下する。し
かし、上述したように、飽和輝度を持つ被写体ではボケ
現象が進むにつれ評価値が上昇する場合がある。これを
解決するために、飽和輝度数が所定数以上有る場合に
は、飽和輝度数を小さくする方向にフォーカスを動かす
方法もある。しかし、飽和している被写体は飽和してい
るが故に、多少ボケても輝度は鈍らず、その波紋は広が
る。一方、ぼけると被写体はボケが進みそのシルエット
は拡がってしまう。このように、飽和輝度数は図30B
に示すように一般に双峰形の特性を示すことが多いた
め、このような方法は有効でない。
【0221】そこで、飽和輝度判定では評価枠W1内の
飽和輝度数ID8(Y‐W1‐Satul)を用いて、飽和
輝度をもつ被写体の有無を判定する。評価枠内に飽和輝
度の画素があると偽山が発生し易くなり、偽山トラップ
を起こすので、それを防止するためである。もし、所定
期間(例えば、連続5フィールド)にわたって飽和輝度
数が閾値(例えば、600)を越えれば偽山発生と判定
し、ステップS1013に進み、各評価値の中で評価枠
W1を使用するものを枠サイズW5に拡大変更する処理
を行なう。連続5フィールドとしたのは、揺れや瞬間的
なノイズによる枠サイズ変更を避けるためである。
【0222】図24を用いて飽和輝度画素が評価枠内に
ある場合に偽山が発生するメカニズムを説明する。目標
被写体(ターゲット)2401の領域Aはフォーカスが
JPの時の飽和輝度を持つターゲットの形状を示す。フ
ォーカスがぼけるとターゲットはボケ始め、ターゲット
のエッジ位置はターゲット中心から波紋が広がるように
中心から遠ざかって膨らむ。飽和輝度を持つ被写体はボ
ケても元々の輝度が高いため飽和輝度を持たない被写体
に比べて波紋は大きく広がる(大きくなってもエッジの
シャープさは衰えない)。領域Bは、ターゲットの波紋
が評価枠2402と重なるまで広がった状態であり、更
に、領域Cは、ターゲットの波紋が広がり評価枠240
2の中まで達した状態を示している。
【0223】領域Dの状態ではターゲットの波紋が広が
っているため評価枠W1と評価枠W2による評価値の比
(ID0/ID1)はそれほど大きくならず、1.6を
越えない。この場合、前に説明した偽山が生じているに
もかかわらず、偽山判定で偽山と判定できないため偽山
トラップを起こしてしまう。
【0224】図24Bは、この飽和輝度判定の結果から
飽和輝度ありと判定して、評価枠W1を評価枠W5にサ
イズを拡大した状態を表している。この場合上記の飽和
輝度被写体2401自体が全部枠内に納まるため、偽山
の発生を押さえることができる。偽山に関しては、ター
ゲットの波紋だけが評価枠内にある場合が問題になる。
【0225】以上の偽山判定(S1011)と飽和輝度
判定(S1012)によって、偽山の発生を押さえてい
る。
【0226】3.9 揺れ判定(レンズ動作時) ステップS1014でレンズ動作時の揺れ判定を行う。
先に行ったレンズ静止時の揺れ判定(S1001)で
は、大ボケの状態で揺れていても評価値の変動が少なく
正規化差分値は、「揺れ無し」の判定結果がでてしま
う。この揺れ判定ではレンズが動きJPに近づき、評価
値が上昇して揺れの判断ができるようになった時点で、
再度揺れているか否かの判定を行なう。ここでは、輝度
加算値のみを使用し、評価値ID7(輝度加算値)の6
フィールド分の最大正規化差分値が2%を越えたら揺れ
あり(揺れモード1)と判定する。
【0227】 ndiff e[7]≦2% → 静止モード ndiff e[7]>2% → 揺れモード1
【0228】6フィールド分の正規化差分を用いるの
は、ネオン光のような間欠的なものを除くためである。
正規化差分の定義に関しては揺れ判定(レンズ静止時)
で既に説明しているのでここでは省略する。揺れモード
の場合、次回の山登りループにおけるレンズ速度決定
(S1010)で低速切り替えは行わず、高速のままと
する。この判定で「揺れ有り」と判定されたら、ステッ
プS1015の揺れモード設定へ進み、その後、方向判
定(S1016)に進む。「揺れ無し」と判定したら、
直接、方向判定(S1016)に進む。ステップS10
15の揺れモード設定は、ステップS1002の揺れモ
ード設定と同様であり、説明を省略する。
【0229】3.10 方向判定(山登り) ステップS1016で、山登りにおける方向判定を行
う。山登りステージでは、1フィールドに1回方向判定
を行なっている。この方向判定では、各評価値の増減よ
り評価値が上昇,下降又はフラット状態(Up,Dow
n,Flat)のいずれかを判断し、その判断結果をメ
モリに格納している。方向判定では、個別判定と、
総合判定、の2つの判定計算を行なっている。両者の関
係は、個別判定の重み付け多数決判定が総合判定とな
る。
【0230】個別判定は、各評価値ID個々の判定結
果である。図25にその計算方法を示す。ここで、e0
[i]は現フィールドでの評価値、efs[i]は1移動
単位(焦点深度Fs)前の評価値を表す。iは評価値の
ID# である。所定基準値αfeは本実施例では0.5
としている。
【0231】1移動単位に関しては、焦点深度が深いと
きには焦点深度を越えない場合があるので、焦点深度を
越えた場合に一移動単位と見なして、方向判定を行って
いる。また、フォーカスレンズは、レンズ速度設定で述
べたように最低2Fs/field の速度で動くので通常は
毎フィールド移動単位を越えているが、レンズの動き始
めでは往々にして一移動単位分動かない場合がある。こ
のような時は1移動単位を越えるまでは方向判定を行な
わない。レンズが所定量移動していないのに方向判定を
行うのは無意味だからである。
【0232】図25に示すように、個別判定のUP判定
では、合致度算出2502で、e0〔i〕−efs〔i〕
が第1閾値th1〔i〕まではゼロとし、第2閾値th
2〔i〕以上なら100%とし、その間は比例関係とす
る。比較回路2503で、この値と、基準値αfe(例
えば、50%)を比較して、前者が大なら出力1(U
p)、後者が大なら出力0(Not Up)と判定す
る。同様に、DOWN判定では、efs〔i〕−e0
〔i〕により判定する。UpでなくDownでもないと
きはFlatである。UP判定個別判定結果(Up,D
own,Flat)は、メモリに記憶され(図14参
照)、後で述べる逆送判定(S1017)、山下り判定
(S1022)のCHECK DOWN判定で使用される。
【0233】総合判定は、図26の構成で示すように
複数の評価値よりファジー判定を行なう構成となってい
る。図26の構成及び処理方法は、WOBで説明したN
ear判定、Far判定と同じシナプス構成であるが、
各閾値th1 [i],th 2[i]は異なっている。複
数の評価値の個々の判定結果を重み付け多数決する処理
となっている。但し、現時点では評価値の重みを W[ ]={10,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0} とし、評価値ID0だけが判定に寄与するようにしてあ
り、評価値ID0の個別判定の結果と同じ結果となって
いる。現時点では、入力が1つだけなのでファジー処理
としては意味がないが、将来の技術開発のためにこの構
成はそのままにしている。
【0234】図27Aに示すように、総合判定において
2回連続Upが続いたら、大ボケを意味する「フラット
モード」から山を登り始めJPに近づいたことを意味す
る「ノーマルモード」に変更する。
【0235】フラットモードとノーマルモードの取り扱
いの相違は、後で述べる山下り判定(S1022)にお
いてフラットモードではJPが見つかったとはしていな
い。これは未だ山を登り始めていない大ボケ状態で評価
値にノイズがのってDownが検出され、評価値ピーク
と誤判定するのを避けるためである。一方、ノーマルモ
ードでは、Upがあった後にDownが検出された場合
のみ、JPが見つかったこととしている。
【0236】また、個別判定において、各評価値自体が
EVAL TH [i]×γ[i](閾値×輝度加算補正係数)
以下の場合は、強制的にフラットモードとしている。こ
れは、レンズの光学的なノイズ,微少振動に起因する画
面の揺れ等に起因する評価値の定常的なノイズでは簡単
に反応しないように設定する必要があるためである。更
に、次に述べるように輝度加算補正係数γ[i]を変数
としているが、これは評価値が低い場合には定常的なノ
イズで方向判定を誤る場合が多いことと、輝度が高い、
即ちID7(輝度加算値)が高いシーンでは評価値曲線
全体が上昇し、その定常ノイズレベルの絶対値も一緒に
上昇してUp又はDownの判定結果につながるので、
この閾値を輝度加算値に対応して高くすることが必要で
あるという、実験で得た経験則に基づいている。そこ
で、EVAL TH [i]×γ[i](閾値×輝度加算補正係
数)を次のように定めている。
【0237】ここで、 EVAL TH [i]={250,250,400,800,0,0,250,0,0,250,250,250,0,0 } γ[i]=1 :ID7が300以下 =1〜2の間を比例配分:ID7が300〜1500 =2 :ID7が1500以上 但し、ID7はY−W1−HIntgである。
【0238】このようにノイズレベルを決定する際に、
閾値を輝度加算値に対応して補正してレベルを上げるこ
とにより、被写体を照らす照明が一層明るくなってもフ
ォーカスが大ボケ状態で評価値が大きく変動することに
より生じるAF動作の誤動作を低減することができる。
【0239】3.11 逆送判定 ステップS1017で逆送判定を行う。WOBにおける
第1段階の方向判定でNear又はFarが決定できた
場合には、フォーカスレンズはJPに向かって動き始め
ることができる。しかし、WOBにおいて第2段階の方
向判定に進んだFlatモードの場合は、第2段階判定
で述べた基準にしたがって動き出す方向を暫定的に決定
している。この場合には、移動方向が誤っておりJPか
ら遠ざかる方向に動きだす確率も低くない。
【0240】更に、山登りステージにおいても常にジャ
ストピンに向かっているわけではなく、遠ざかる方向に
方向に移動することもある。その理由としては、 ボケているため又は被写体のディテールが低いため評
価値が低く、評価値の上昇する方向が分からない場合に
はフォーカスをFar方向又はNear方向のどちらか
に定めて評価値の変化するのを待つしかない。 評価値に偽山が生じた場合、その評価値が上昇するよ
うにフォーカスを進めると、結果としてジャストピンか
ら遠ざかることになる。 一般に、カットオフ周波数が高いHPFで高周波成分を
抽出した評価値では、を原因とする逆走が起こりやす
い。反対に、カットオフ周波数が低いHPFで高周波成
分を抽出した評価値では、の原因は低減されるがを
原因とする逆走が起こりやすい。
【0241】そこで、この逆送判定では、レンズが動き
だしてから所定の評価値の低下が予め定めた基準を越え
たら、JPから遠ざかる逆方向に進んでいると判定す
る。逆送判定の基準は、レンズが移動開始してから以下
に示す〜が全て成立したらJPから遠ざかる逆走と
判断する。 過去に逆送と判定されていないこと e0 [3]/e0 [2] ≦ 8 e0 [7] ≦ 1100 e0 [12]とe5 [12]の変化が6%以内である
こと フラットモードであること ID0の個別方向判定結果が連続5回Down、又は
ID3の個別方向判定結果が連続5回Downしている
こと
【0242】ここで、逆送と判定したらステップS10
18に進み、レンズの進行方向を反転するため逆送処理
を行なう。逆送でないと判定したらステップS1019
に進み、端到達判定を行う。
【0243】各判断基準について説明する。は、図2
7Bに示すような反転逆送の無限ループを防ぐためであ
る。評価値ID3(IIR4‐W3‐HPeak)には図2
7Bに示すように偽山があるシーンを想定する。AF山
登り開始フォーカス位置をAとしFarに向かってフォ
ーカスが移動開始したとする。評価値ID0(IIR1
‐W1‐HPeak)はほとんど変化がないが、位置Bで評
価値ID3は低下し、逆送判定の基準を越えたとする。
するとフォーカスは移動方向を反転し、位置Aの方向に
戻るようになる。位置Aを越えると評価値ID3は低下
を始め、位置Cで逆送判定の基準を越えたとする。もし
ここでレンズの移動方向を反転させるとレンズは位置B
とCの間を無限に行き来することになる。この無限ルー
プを回避するためにの条件を加え逆送反転を1回に制
限している。
【0244】は、ID3/ID2が所定の値より小さ
いことを条件としている。ID3(IIR4−W3−H
Peak)とID2(IIR4−W1−HPeak)の比によっ
て、同じIIR4のHPFをもち、枠W1の評価値ID
2とW3の評価値ID3とを比較することにより偽山判
定を行なうためである。実験のデータ解析より、この比
が所定値(例えば、8)を越えると、枠1の周辺に高輝
度エッジがあり、評価値に偽山が生じて逆送判定を誤る
ことが多いと判明したので、この条件を設けている。
【0245】は、画面が明るいと逆送判定が誤る確立
が高いので、輝度加算値ID7が所定値(例えば、11
00)以下の条件を設けている。
【0246】は、枠W3の輝度加算値の変化の条件で
ある。ID12(IIR4‐W5‐HPeak)の変化が大
きい場合には、のID3(IIR4‐W3‐HPeak)
の変化の原因が揺れによるか、又は外乱乱入の可能性が
高い。この場合には、ID3で逆走と判定すると誤判定
につながるからである。
【0247】ノーマルモードでは逆送を起こしている
ことはまずないので、この条件を加えている。フラット
モードの判定は、WOB(S1006)及び方向判定
(S1016)で行われる。
【0248】この逆送判定は、実質的にID3を用い
て判定を行なっている。ID3(IIR4‐W3‐HPe
ak)は、感度が高いので多少のボケなら有意な評価値の
増減を得ることができる。しかし、偽山を発生しやすい
のでそのまま信じて判定を行なうと誤った逆送判定とな
ってしまう。そこで〜の付加条件を加えることによ
り誤判定を防止している。
【0249】3.12 逆送処理 ステップS1018で逆送処理、即ち、反転処理を行
う。逆送判定(S1017)で逆送と判定されたらレン
ズの移動方向を反転させるためである。この際、開始点
位置、開始評価値、評価値の最大値、最大値位置等の山
登りを開始する時点で初期化するべき各変数を再度初期
化する(図14参照)。逆送反転した場合は、その位置
から新たに山登り開始と同じ状態にする。
【0250】異なるのは、1度逆送反転を行なったこと
を示すフラグがセットされている点である。即ち、フォ
ーカスがFar端に向かって進行している時に逆送反転
を行なった時は、「Far端到達フラグ」をセットし、
Near端に向かって進行時に逆送反転を行なった場合
には「Near端到達フラグ」をセットする。この2つ
の端到達フラグは次の端到達判定(S1019)で説明
する。
【0251】3.13 端到達判定 ステップS1019で端到達判定を行う。AF山登りで
は有意な評価値ピークを発見するか、又は逆走判定によ
り方向を反転させられるか、探索を中止するまではフォ
ーカスの進む向きを変更せずに評価値ピークの探索を続
ける。しかし、レンズには物理的なNear端及びFa
r端があり、これらの端を飛び越して探索することはで
きないので端に到達した際の処理が必要となる。
【0252】端に到達した際、それが最初の端であれば
まだ全域を探索していないのでフォーカスの進む方向を
反転して探索を続ける。この場合には次に説明する「端
反転処理」(S1021)で山登りパラメータの初期
化、方向を表すパラメータの変更処理を行なう。
【0253】既にフォーカスがNear端からFar端
までの全域を探索していれば、探索すべき領域は全て探
索したことになる。この場合、たとえJPを検出できな
かったとしてもこれ以上の探索は意味がないので、探索
した範囲内の何処かにAF収束しなければならない。こ
の収束動作を「保険モード」と呼ぶことにする。なお、
全域探索では次のような問題がある。例えば、撮影する
シーンが暗いと、有意な評価値ピークがでにくい場合が
ある。この場合、決められた範囲を探索した後に保険モ
ードでAF収束することになるが、その範囲がNear
端からFar端までの全域とすると、毎回全域を探索す
ることになり収束するまでに時間がかかり過ぎる。
【0254】そこで、物理的なNear端からFar端
(これらを、「真のNear端」,「真のFar端」と
呼ぶ。)までの間に仮のNear端を設け、探索時間の
短縮を図っている。即ち、フォーカスが仮のNear端
からFar端までを探索した時点で、その範囲内にJP
が存在するかを一旦判断する。全域を探索せずに途中で
判断するので途中判断と呼び、仮のNear端位置を
「途中判断位置」と呼び、ここでの判断方法を「途中判
断方法」と呼ぶ。途中判断位置は、真のNear端と真
のFar端の略中央に設定してある。もし、JPが存在
する場合には、全域探索した場合と比べて相対的に短い
時間でAF収束できる。
【0255】途中判断方法では、局部的なピーク(極大
値)を検出できる鋭角率(後で説明する。)を用いてJ
Pが存在するか否かを判断する。図28Aに示すよう
に、レンズ移動開始位置から移動し、仮のNear端で
フラグをセットし、次に真のFar端でフラグをセット
し、フラグが2回セットされた時点で一旦途中判断を行
い、鋭角率を用いてJPが存在するかを判断する。JP
が存在すると判断したら、その位置にフォーカスを移動
させる。このように、Far端とNear端の間に途中
判断位置を設け、フォーカスがその位置に到達した時点
で、それまでのフォーカスの経過の中でJPが存在する
か否かを判断し、その結果によりそれ以降の探索を続行
するか否かを判断している。このような途中判断を採用
することにより、これまで全域探索を行った後でJPに
集束していたディテールの少ない被写体,暗い被写体等
のかなりの被写体が、全域探索を行わずに収束できるよ
うになる。この結果、AFの平均集束時間を短縮できる
ようになった。なお、途中判断位置は、1つには限られ
ない。所望に応じて複数個設けることが出来る。
【0256】途中判断でJPが存在しないと判断した
ら、図28Bに示すように(端反転処理S1021で)
反転し、引き続き真のNear端まで探索を続行する。
真のNear端までフォーカスを進めたら、全域を探索
したことになり、フォーカスを収束させる位置を決めな
ければならない。
【0257】上記端到達判定の処理フローを図29に示
す。以下にフローの説明を行なう。ステップS2901
でレンズの現在位置が端到達であるか判定する。端到達
してなければ、山下り判定に進み(図10のS102
2)、端到達してれば、次に進む。ステップS2902
で、端到達フラッグをセットする。即ち、フォーカス位
置がFar端ならFar端到達フラグをセットし、予め
定めた途中判定位置よりもNear端に近ければNea
r端到達フラグをセットする。ステップS2903で、
Far及びNearの両端を既に通過しているかを判定
する。上記2つの端到達フラグのどちらか一方のみがセ
ットされていれば片端到達と見なし、レンズを停止し、
端反転処理(図10のS1021)へ進む。上記のFa
r及びNearの端到達フラグがセットされていれば、
次に進む。
【0258】ステップS2904では、現フォーカス位
置が既に真のNear端に到達しているかを判定する。
真のNear端に到達している場合(図28BのQ
点)、ピーク位置選定処理(図10のS1020)に進
み、その処理のルールによりピーク位置の選定を行な
う。まだ真のNear端に到達していない場合(図28
AのP点)には、次に進む。ステップS2905では、
探索した範囲内に有意なピークが存在するかを判定す
る。ピークが有れば、ピーク位置選定処理(図10のS
1020)に進む。無ければ、次に進む。ステップS2
906では、処理の都合上、次の途中判断位置に真のN
ear端を代入し、そこでの途中判断をなくし、Nea
r端到達フラッグをリセットして探索動作を継続させ
る。ステップS2907では、現在位置がFar端であ
るか否かを判定し、Far端であれば端反転処理(図1
0のS1021)に進む。Far端でなければ、山下り
判定(S1022)へ進む。途中判断位置であれば進行
方向はそのままとする。
【0259】3.14 途中判断方法 仮のNear端〜Far端を探索した際にその範囲内に
JPが存在するか否かを判断する途中判断方法は、「鋭
角率」を用いて行なっている。以下に鋭角率の説明を行
なう。
【0260】特に暗いシーンで評価枠の周囲からの輝度
の高いエッジが侵入して偽山が発生した場合ようなに
は、フォーカスに対する評価値曲線はJPで最大となる
単峰形にはならない場合が少なくない。その一例を図3
0に示す。図30は横軸に時間を、縦軸に評価値の値を
とった評価値曲線である。フォーカスは等速度でレンズ
を移動させているため、横軸の時間はフォーカス位置と
見ることができる。鋭角率は、短いフィールド内でどれ
だけ上に尖っているか(極大値)の指標であり、図30
Aに示すような偽山を含む評価値曲線においてもJPを
見つけることができる。
【0261】鋭角率は、全ての評価値ID[i],(i
=1〜13)に対し、現在の評価値e0 [i]、3フィ
ールド前の評価値e3 [i]及び6フィールド前の評価
値e6 [i]を用いて計算し、数4で表わす。
【0262】
【数4】
【0263】鋭角率の概念は、図30Aに示すように、
e3 [i]とe6 [i]の差分とe3 [i]の比(e3
[i]−e6 [i])/e3 [i]である。但し、e3
[i]を越して単調増加する場合もあるので、両側を取
り、{(e3 [i]−e6 [i])/e3 [i]}×
{(e3 [i]−e0 [i])/e3 [i]}としてい
る。なお、(e3 [i]−e0 [i])と(e3 [i]
−e6 [i])の両方が負の値を取ると、鋭角率として
正の値が出てしまうので、(e3 [i]−e0 [i])
<0、又は、(e3 [i]−e6 [i])<0の場合
は、鋭角率はゼロとする。
【0264】ここで、実際に用いる数4との相違は、分
母の+1はe3 [i]がゼロの時に無限大となることを
回避するため(ゼロディバイド防止)である。
【0265】鋭角率の計算は毎フィールド行なわれ、鋭
角率の最大値更新及び最大値のレンズ位置更新も毎フィ
ールド行なわれる(図14B参照)。そして上記途中判
断において、それまでに記録された各評価値の鋭角率最
大値を調べ、鋭角率最大値が閾値(例えば、20)を越
えているものがあれば探索した範囲内にJPが存在する
として、ステップS1020のピーク位置選定処理に進
む。どの鋭角率最大値も20を越えていない場合、JP
が存在しないと判断する。
【0266】この鋭角率の考えを毎フィールドに採用
し、所定の値を越えたらピーク発見とみなす方法は、後
で述べる山下り判定のチェックダウン方式でも用いられ
る。しかし、途中判断で用いる鋭角率とチェックダウン
方式とでは閾値が異なっており、チェックダウン方式の
方が閾値を高くしている。これは途中判断では探索領域
にわたっての鋭角率を用いているのに対してチェックダ
ウン方式では基本的には数フィールド(最大10フィー
ルド)の情報しか扱かっていないのでノイズに対してJ
P存在という結果を出させないためである。
【0267】3.15 端反転処理 ステップS1021で端反転処理を行う。端反転処理
は、以下の処理を行なう。 フォーカスの進行方向を反転する。 山登りパラメータの初期化を行なう。但し、端到達フ
ラグのリセットは行なわない。
【0268】山登りパラメータの初期化に関しては山登
りループに入る直前に行なう「山登りパラメータの初期
化」と同じ処理であるが、片端に到達したフラグまでリ
セットしてしまうと端反転を無限に繰り返してしまうの
で端到達フラグだけはセットしたままにする。
【0269】3.16 ピーク選定 ステップS1020でピーク選定処理を行う。即ち、山
下り判定でピークが検出できずにFarとNearの両
端に到達した場合、又は、上記途中判断でピークありと
判断した場合には、探索した範囲内でフォーカスを収束
させる位置を選定する。
【0270】ピーク選定では、各評価値の鋭角率最大値
から最大の鋭角率を選定し、それが所定の値を越えてい
れば、その際最大鋭角率に対応するフォーカス位置をピ
ーク位置と決定する。越えていなければ、次善の策とし
て、特定の評価値に関して、最大値と最小値の差及び最
大値と最小値の比を求め、いずれも所定量以上ならば、
その評価値に対応するレンズ位置をピーク位置と決定す
る。
【0271】図31にピーク選定のフローを示す。ステ
ップS3101で、評価値IDO〜ID13各々に対す
る鋭角率最大値の中から最大の鋭角率及びそれに対応す
るレンズ位置を選定する。ステップS3102で、選定
された最大の鋭角率が所定値(例えば、20)を越えて
いたら、ステップS3103に進む。所定値以下の時
は、ステップS3104に進む。ステップS3103
で、最大鋭角率に対応するレンズ位置をピーク位置と決
定する。
【0272】ステップS3104では、最大の鋭角率が
所定値以下の場合であり、この場合には鋭角率ではJP
を決定することが出来ない。そこで、最後の手段とし
て、評価値の最大最小の差が最大であった箇所をJPと
決定することとする。即ち、評価値ID0,ID6,I
D4,ID9及びID11の各評価値に対してこの優先
順位で、 最大値と最小値の差が所定量以上、且つ、 最大値と最小値の比が所定量以上、 の条件を満足するかを順に調べる。これら及びの条
件を満足する評価値が有れば、以降の探索を止め、満足
した評価値の最大値に対応するレンズ位置をピーク位置
と決定する。なお、このピーク位置は、メモリに蓄積さ
れている。なお、及びを満足する評価値が依然とし
て無い場合には、最後の手段として枠サイズが最大枠W
5である評価値ID11の最大値に対応するレンズ位置
をピークとしている。
【0273】3.17 山下り判定(ピーク検出) ステップS1022で、山下り判定を行う。画像処理方
式のAFでは評価値のピークを通過して初めてJPを検
出ができるので、山下り判定は評価値のピーク検出判定
を意味する。従って、山下り、即ち評価値低下の検出方
法が非常に重要である。山下り判定では、差分判定、
チェックダウン判定、の2つ方法でピーク検出判定を
行なっている。
【0274】差分判定とチェックダウン判定の相違は、
前者が現在フィールドの評価値と所定フィールド前の評
価値の差を監視し、この差が一定の閾値を越えたらピー
クを検出したとする。一方、後者は、前者が現在フィー
ルドの評価値と所定フィールド前の評価値の比を監視
し、この比が一定の閾値を越えたらピークを検出したと
する。差分判定では、コントラストの低い、従ってJP
においても評価値の低い被写体では評価値の変化が少な
く、JP検出が出来ない場合がある。チェックダウン判
定は、コントラストの高い、従ってJPにおいても評価
値の高い被写体でピーク検出が遅れ、その結果ピークを
行き過ぎるオーバーランが頻発するという欠点を有す
る。このAFのピーク検出では、差分判定(差)とチェ
ックダウン判定(比)の両方を用い、前者によりコント
ラストの高い被写体に対しては行き過ぎの増加なしにピ
ークを検出し、後者によりコントラストの低い被写体に
対してもピーク検出の感度を挙げることができるという
特徴を有している。
【0275】差分判定は、以下に説明するように1フィ
ールド又は2フィールドの評価値の低下で山下りを判定
するので、ピークを行き過ぎる量が次に述べるチェック
ダウン方式と比較して少ない。しかし、実際問題とし
て、JPにおても評価値が低い(例えば、ID0で50
0以下の)被写体では方向判定結果が2回連続してDo
wnとならないケースがある。そのような評価値の低い
被写体に対してJP検出する目的で、チェックダウン方
式を用意している。最初、差分判定を行い、ピーク検出
が出来なかった場合、チェックダウン判定を行う。
【0276】差分判定 差分判定は、本AF装置のピーク検出では基本となる判
定方法である。方向判定(S1016)における評価値
ID0及びID1の個別判定結果が連続して閾値回「u
png th」(フィールド)Downが続いたらピー
ク検出と判定し、ステップS1023に進みピーク位置
算出を行う。この閾値「upng th」は、焦点深度
に応じて変えている。即ち、焦点深度が長い場合には、
1回のDownとし、焦点深度が小さい場合には、評価
値曲線に小さな偽山が生じ易いという経験則にしたがっ
て、2回連続Downというルールで偽山トラップを防
止している。
【0277】 ここで、「焦点深度が短い」:レンズ最高速度で1フィ
ールドですすめるフォーカス量が焦点深度よりも大きい
ときをいう。 「焦点深度が長い」:レンズ最高速度で1フィールドで
すすめるフォーカス量が焦点深度よりも小さいときとき
をいう。
【0278】但し、先に説明したID7(輝度加算値)
の正規化差分値(50×|e0 [7]−e2 [7]|/
e0 [7])がピーク検出時に所定値(例えば、10
%)を越えている場合には、揺れによる誤動作で簡単に
停止するのを防止するため、揺れ又は外乱乱入としてピ
ーク検出判定の差分判定結果を無効に(メモリ内のダウ
ンカウント値をリセット)している。
【0279】50×|e0 [7]−e2 [7]|/e0
[7])≧10% →差分判定結果を無効
【0280】これにより、被写体の揺れや外乱により生
じるピーク検出の誤判定を低減することが出来る。その
結果、ボケ状態のフォーカスのままAF動作が終了する
誤動作を低減できる。
【0281】差分判定が前に述べた方向判定の個別判定
を用いているので、各評価値の大きさにかかわらずDo
wnと判定するための差分閾値は同じである。評価値の
低い場合には閾値は小さくし、評価値の高い場合に閾値
は高くしても良いように思える。しかしながら評価値の
高いシーンは、一般にディテールの高い場合が多くわず
かなボケも目立ってしまう。評価値が高いからといって
閾値も高くするとJP頂上での山下りを見逃し、その結
果行き過ぎが目立ってしまう。これに対して評価値の低
いシーンでは、一般にディテールが低いのでフォーカス
がJPを多少行き過ぎてもあまり目立たない。従って、
評価値が高いシーンは厳しく、反対に評価位置が低いシ
ーンは緩く判定する必要がある。以上より各評価値の大
きさにかかわらず定数の閾値を採用している。
【0282】チェックダウン判定 図32Bを用いてチェックダウン判定方法を示す。チェ
ックダウン判定方法では、各評価値に関してe0
[i]、ej [i]、e2j[i]の3つの評価値を用い
てピーク判定を行なう。[i]のiは評価値のIDを示
す。e0 [i]は現フィールドの評価値、ej [i]は
jフィールド前の評価値、e2j[i]は2jフィールド
前の評価値を示している。jは2から5までの整数であ
り2から始めて順次増加させる。判定の計算式を数5,
数6に示す。
【0283】
【数5】ej
〔0〕>a*e0〔i〕、且つ、ej
〔i〕>a*e2j〔i〕 但し、j=2,3,4,5 a=1.2(静止モード) =2.5(揺れモード1)
【0284】
【数6】1/b<ej〔7〕/e0〔7〕<b、且つ、 1/b<ej〔7〕/e2j〔7〕<b b=1.1
【0285】数5は、途中判断方法で説明した鋭角率と
同じ考えであり、サンプル時刻の異なる3つの評価値の
うち中央の評価値ej [i]が他の2つe0 [i],e
2j[i]より所定倍a以上大きければ(ej [i]/e
0 [i]>a、且つ、ej [i]/e2j[i]>a)、
ピーク検出と判定する。ここで、j=2,3,4,5な
ので、ej [i]は2,3,4,5フィールド前と順次
拡げ、それに対応してe2j[i]も4,6,8,10フ
ィールド前と順次拡げて判定する。なお、定数aは、揺
れのない場合には小さくして検出感度を良くしている。
揺れのある場合には、揺れによる評価評価値の変動で誤
検出しないように定数aを大きくしている。
【0286】数6は、評価値ID7(Y−W1−HInt
g,輝度加算値)の変化率を用いて、チェックダウン判
定に制限を与えた式である。即ち、評価値ID7の変化
率が数6を満足しない場合には、揺れ又は外乱ありとし
て上記ピーク検出のチェックダウン判定を無効にしてい
る。これにより、被写体の揺れや外乱により生じるピー
ク検出の誤判定を低減することが出来る。その結果、ボ
ケ状態のフォーカスのままAF動作が終了する誤動作を
低減できる。
【0287】このチェックダウン判定でもピーク検出で
きない場合には、先に説明を行なった保険モードでJP
に収束することになる。
【0288】これら差分判定,チェックダウン判定及び
保険モードの動作の比較を図32Aの図表にまとめて示
す。図表において、検出遅延時間とは、評価値がピーク
に達してからピーク検出されるまでの時間を示す。検出
遅延時間は小さければそれだけ行き過ぎ量が小さくて済
む。図表より検出遅延時間は、差分判定<チェックダウ
ン判定<保険モード、となっていることがわかる。従っ
て、ピークの検出さえできれば差分判定が望ましい。し
かしながら、評価値が低い場合には差分判定のピーク検
出感度は小さいので、他の判定に頼ることになる。
【0289】上記チェックダウン判定に使用している評
価値は以下のとおりである。判定の順番は番号順となっ
ており、ピークが検出できたら残りの判定は行なわな
い。 (1) 揺れのない場合 ID0(IIR1−W1−HPeak) ID6(IIR1−W1−HIntg) ID3(IIR4−W1−HPeak) ID4(IIR0−W1−VIntg)
【0290】なお、ここでID4を使用する場合には、
次の制限がある。 (a) ID0 < 600 (b) ID6 < 600 (c) ID3 < 1600 これは、VIntg方式を使用する垂直方向評価値ID4を
使用することにより、水平方向成分が無く、垂直方向成
分だけがある水平線のシーンのようなシーンに対しても
可能になった。しかし、ID4は、水平方向成分がある
と、フォーカスを動かした際に伴う画角の変更,ボケの
変化によるエッジの侵入等による画素の移動が起こり、
水平方向変化がID4を算出する際の水平方向64画素
平均計算に影響し、シーンによっては評価値ID4に偽
山を発生させることになる。これを回避するために、H
Peak方式及びHIntg方式を使用する評価値ID0,ID
6及びID3によって、水平方向成分が或る一定以上あ
る場合には、垂直方向評価値ID4を使用してピーク検
出を行わないように制限を付したのである。
【0291】(2) 揺れている場合 ID6(IIR1−W1−HIntg)
【0292】3.18 ピーク位置算出(重心計算) ステップS1023で、ピーク位置算出を行う。即ち、
山下り判定でピークが検出されたらピーク位置を算出す
る。
【0293】図33は、フォーカスを一定速度で進め、
1フィールド毎に評価値及びフォーカス位置をサンプル
する様子を示している。レンズ速度が、1フィールドで
進む1焦点深度以内であれば、評価値が最大となるフォ
ーカス位置を選び、その位置にフォーカスを戻せばJP
追い込み精度を1/2焦点深度に納めることもできる。
【0294】ところが、「レンズ速度設定」(S101
0)で述べたように高速のままJPを通り過ぎることも
あり、概して、1フィールドで進むフォーカス量は焦点
深度よりも大きい。この場合、評価値ピークにサンプル
箇所が一致しなく、飛び越してしまうことが多い。そこ
で、ピーク値をサンプルしたデータの中から単に選ぶの
でなく、補間計算をして正確なJP位置を算出する必要
が生じる。
【0295】本AFでは、正確なJP位置を算出のため
の補間計算として重心計算式(7) を用いている。多少の
ノイズがあってもJP算出結果には影響が少ないこと、
最小二乗法と異なりf( x) の形を決める必要がないこ
と、から重心計算法を採用した。被写体の形状は無数に
あるので評価値曲線は、最小二乘法のような数式でモデ
リングすることはできないからである。
【0296】
【数7】
【0297】数7でxはレンズ位置、x1,x2は積分
範囲、f(x)はレンズ位置xにおける評価値の値を示
している。積分範囲の設定方法に関しては後で説明す
る。この重心計算を行なうことにより、図33に示すよ
うにサンプル点が評価値ピーク、即ちJP位置と重なら
なくともJP位置を算出できるようになる。
【0298】重心計算の精度を上げるためには、積分範
囲の設定を適正に選ぶ必要がある。例えば、図34Aに
示すように評価値ピークの前後でアンバランスに積分範
囲を設定すると算出結果とJPとのずれは大きくなって
しまう。
【0299】図34Bに示すように、積分範囲は山下り
を検出した時点のレンズ位置をx2とし、それまで経過
したレンズ位置と評価値とで作られる評価値曲線におけ
る山の反対側でf(x2)と等しい評価値に対応したレ
ンズ位置x1を探し、それを用いるのが最適である。
【0300】ここで、実際にはサンプルデータは離散的
(1フィールドに1回サンプル)なので数7のように連
続積分はできない。そこで数8に示すように離散的積分
計算を行なっている。
【0301】
【数8】
【0302】この場合、積分範囲に関しては、探し出し
たx1がバッファに格納したデータと一致している場合
には、離散的積分計算の開始データとしてそのまま用い
る。しかし、通常は一致しない。一致しない場合には、
f(xp)≦f(x1)で且つx1に最も近いレンズ位
置xpを、バッファに格納されているデータの中から検
索して積分開始位置として用いる。
【0303】この場合、積分範囲としては若干アンバラ
ンスとなるが、以下の理由により実際にはそれほど影響
がない。その理由は、評価値ピーク前後でレンズの移
動速度が速い場合にはf(xp)は通常評価値ピークと
比べて十分小さく、積分計算の寄与が小さいので、JP
計算精度にはあまり影響しないこと、評価値ピーク前
後でレンズの移動速度が遅い場合には上記寄与が大きく
なるが、逆に評価値データ間の間隔が狭くなることによ
りJP計算精度が上がるので、結果として相殺されて、
精度低下は相殺されるからである。
【0304】以上のピーク位置算出法においても、どの
ようなシーンにおいても算出結果とJPとのずれが焦点
深度内に納まっている保証はない。評価値曲線の形がモ
デリングできないので、上記重心計算の精度を算出する
ことができないからである。しかし、今回開発したAF
の実力では、15倍のレンズで焦点距離120mm、ア
イリス1.7、エクステンダ2倍を挿入した条件下で、
通常のシーンをAFさせた場合には、要求仕様を満足し
十分な精度でジャストフォーカスに収束できることを確
認している。
【0305】3.19 ピーク位置移動 ステップS1024でフォーカスレンズを移動して、ピ
ーク位置移動処理を行う。AFブロック137からレン
ズブロック側CPU114に対し、フォーカスレンズ制
御指令が与えられることにより行われる(図1参照)。
即ち、ピーク位置算(S1023)でピーク位置が算出
できたら、ピーク位置移動処理でピーク位置にフォーカ
スを移動させる。この処理では算出時点でのフォーカス
位置と戻るべきフォーカス位置との差を計算し、もしそ
の差が所定距離以上の場合にはその距離を25フィール
ドで戻るよう、レンズ速度の算出を行なっている。ピー
ク位置から離れている時は比較的速く、近くに在る時は
比較的遅い速度で移動するためである。速度を算出した
ら、その速度を速度指令としてレンズ側に送信する。レ
ンズが目標に近づいたら位置指令に切り替え、目標位置
に正確に到達させている。
【0306】このように、所定距離以上離れている場合
に25フィールドかけてレンズをピーク位置に戻してい
るのは、あまり高速に戻すと画面の動きが不自然にぎく
しゃくした感じを受けるからである。
【0307】次に、未だ説明していないロングフィルタ
判定(S1003)及びロングフィルタ処理(S100
4)について説明する。鏡面をもつ被写体が揺れながら
ライト,太陽光を反射させている場合やミラーボール等
の発光体が激しく移動している場合には、各評価値,輝
度加算値が激しく変動する。このようなシーンでは、J
Pから離れていても先に説明した山下り判定(ピーク検
出)の条件を簡単に満足してしまい、ぼけた位置でレン
ズが止ってしまう。山下り判定ではID7(輝度加算
値)の正規化差分(即ち、変化)を調べ、変化が大きい
場合にはピーク検出を無効にしているが、すべての場合
に完全に見抜けるわけではない。
【0308】そこで、輝度加算値等の各評価値が激しく
変動する被写体に対してもAFさせることを目的とし
て、このロングフィルタモードを設けている。
【0309】3.19 ロングフィルタ判定 先ず、ステップS1003で、ロングフィルタ判定を行
う。図9に示したAFフローチャートでは、通常、山登
りループを何回か回りながら評価値ピークを検出してい
る。しかし、異常に揺れが激しい場合には山登りループ
で誤動作してしまう危険性がある。このような誤動作を
回避するため、予め、ロングフィルタ判定を行って揺れ
が異常に激しいか否かを判定し、揺れが激しいと判定さ
れた場合には、ロングフィルタ処理(S1004)を行
い、山登りステージに進まないでAF動作を終了する。
ロングフィルタ処理を起動するか又は起動しないで通常
のAF処理を行なうかは、次の条件で判定する。
【0310】ロングフィルタ判定において、揺れが激し
いか否かの判定には、レンズ静止時の揺れ判定(S10
01)と同様の手順により行う。但し、レンズ静止時の
揺れ判定では、評価値ID0とID7(輝度加算値)の
正規化差分値の最大値である代表正規化差分値を用いて
判断しているが、このロングフィルタ判定では更にこれ
ら評価値に対して評価枠をW3に拡げた評価値ID9と
ID12(輝度加算値)を加えて判定している。
【0311】評価値ID0及びID9の平均値(揺れ判
定期間12フィールドの平均値)が200以上なら、 ndiff e[0]≧30%、且つ ndiff e[9]≧30% → 揺れモード2 とする。
【0312】評価値ID0の平均値が200未満なら、 ndiff e[7]≧12.5%、且つ ndiff e[12]≧12.5% → 揺れモード2 とする。
【0313】ロングフィルタ判定において、揺れが大
(揺れモード2)であれば、ロングフィルタ処理(S1
004)に移行する。揺れが大でなければ、通常のAF
処理に進む。この条件は、実験的に求めた。
【0314】3.20 ロングフィルタ処理 ロングフィルタモードは、先に説明した山登りステージ
とは異なり、長い移動平均を取りながら等速度でレンズ
を動かして、移動平均が最大となるレンズ位置にレンズ
を戻す方式を採っている。この利点は、評価値の変動の
激しい被写体でも誤動作の確率が少ないことである。欠
点は、移動平均を多数取っているのでピークの検出が比
較的遅く、また、ピーク行き過ぎ量が大きいことであ
る。
【0315】図36にロングフィルタ処理のフローチャ
ートを示す。以下に各処理の説明を行なう。ロングフィ
ルタ処理を開始する。ステップS3601では、次の条
件で、焦点深度に対応した等速度で動かすレンズ速度を
設定する。 FS≦全ストローク/1000 → v=全ストローク/18
0 /フィールド FS≧全ストローク/ 200 → v=全ストローク/ 9
0 /フィールド 全ストローク/1000 ≦ Fs ≦ 全ストローク/20
0 → 上記範囲の比例配分した速度 但し、Fs:焦点深度 全ストローク:フォーカスレンズを物理的なFar端〜
Near端間移動させたときのパルスモータのパルス数
で表したもの。なお、カメラのレンズによって異なる
が、実際の光軸方向移動距離は十数mm程度であり、こ
れを本実施例では0〜20000パルスに対応させてい
る。
【0316】ステップ3602で、レンズの移動方向を
設定する。初期設定であれば図35に従う。図35で横
軸はFar端からNear端までのレンズ位置FPOS
(Focus Position)をパルス数0〜20000で特定し
ており、FPOSはフォーカスリングの回転角と1次関
数の関係となっている。
【0317】 レンズ位置 移動方向 0(Far端)〜 5000 → Far端方向 5000〜10000 → Near端方向 10000〜15000 → Far端方向 15000〜20000 → Near端方向
【0318】ステップS3603,3604,360
5,3606で、ロングフィルタ山下り判定を行う。先
ず、S3603では、毎フィールド輝度正規化評価値の
移動平均(段数11段)計算及びその最大値更新処理を
行ない、反転回数が1の時に輝度正規化評価値が最大値
の半分(50%)又は端に到達したならば、ステップS
3607に進み、反転回数が0の時にS3605に進み
反転回数を1にセットしてステップ3602に戻る。
【0319】この輝度正規化評価値とは、評価値ID0
に、ID7(輝度加算値)の32個移動平均を掛け、I
D7の3個の移動平均で割ったものである。
【0320】e[0]*{Σ(e0 [7]+…+e31
[7])/32}÷{Σ(e0 [7]+…+e2
[7])/3}
【0321】ここで、(輝度加算値32個の移動平均/
輝度加算値3個の移動平均)を掛けているのは、ミラー
による強い反射光の影響を減小させるためである。
【0322】図37は、変動の大きい評価値ID0に
(輝度加算値の32移動平均/輝度加算の3移動平均)
を掛け、更に段数11の移動平均を取ることにより変動
が小さく、即ちノイズを減少して、JP位置が見つけ易
くなる様子を示している。移動平均11段を取ることによ
り評価値ピーク位置が5フィールド遅れる(厳密には、
上述したように評価値自体が3フィールドの移動平均を
とっているため1フィールド遅れ、更に、CCDは1フ
ィールド蓄積しているので、結局7フィールド遅れる
が、本発明に関しては直接関係ないので省略する。)。
【0323】ステップS3604で、反転回数が0の時
に輝度正規化評価値が最大値の半分(50%)又は端に
到達したならば、ステップS3605に進み反転回数を
1にセットし、ステップS3602に進んで移動方向設
定が行われる。そうでなけらば、ステップS3606に
進む。
【0324】ステップS3606では、次の移動位置を
レンズに指定して、ステップS3603に戻る。
【0325】ステップS3607でレンズ位置を算出し
て、ステップS3608に進む。ステップS3608で
は、JP位置算出を行う。ロングフィルタ山下り判定で
輝度正規化評価値が最大値に対して半分に低下し、且つ
それまでに既に反転していればJPが見つかったとして
ロングフィルタ処理(S1004)に入る。輝度正規化
評価値は先に述べたように11段の移動平均を取ってい
るのでピークが出現するレンズ位置はそれだけで5フィ
ールド遅れる(実際には7フィールド遅れる。)。従っ
て、レンズ速度×7フィールド分だけレンズ位置を戻す
必要がある。JP位置算出処理ではこれらの遅れも考慮
してJP位置の算出を行なう。
【0326】ステップS3609では、JP位置へ移動
を行う。JP位置算出処理で算出した位置へレンズを移
動させる。
【0327】ステップS3610では、ロングフィルタ
処理を終了する手続きを行ない、今回のAF処理は終了
する。本実施例のAFはワンショットタイプであり、次
回AFスイッチがプッシュされるまではアイドリング状
態となる。
【0328】図38にロングフィルタ処理によるレンズ
の動きの一例を示す(図36のも参照)。図中、
ロングフィルタ処理が起動され、先に述べた移動方向設
定処理で動く方向が決まり、に示すように等速度で動
きだす。この場合、輝度正規化評価値は減少する方向な
ので最大値及び最大値位置は出発点のままとなる。レン
ズは進行して、輝度正規化評価値が最大値の半分にな
り、かつそれまで反転していないので、その位置から反
転して再度スタートする。
【0329】反転後レンズは等速度で進み、に示すよ
うに正規化評価値ピークを通過して更に進行する。輝度
正規化評価値が最大値の半分となったら、今度はそれま
でに反転しているので先に述べたJP位置算出処理でJ
P位置を算出する。その後、に示すようにJP位置に
戻り、ロングフィルタ処理を終了する。
【0330】以上により、本実施例の説明を終了する。
【0331】[実施例の効果]以下、本実施例の効果に
関して、項目別に説明する。 (1) レンズ静止時の揺れ判定(S1001)において
は、AFスイッチが押されてから所定期間経過するまで
の評価値データは、揺れ判定の計算には寄与させていな
い。即ち、パン及びスイッチONによる影響が生じる所
定期間、揺れ判定の計算に寄与させないことにより、こ
れらの影響を排除した揺れ判定をすることができ、誤判
定を回避できる。もし、この誤判定が生じると、被写体
が揺れていなくとも揺れていると判定され、高速でレン
ズが駆動され、ジャストピンを通り越した後のレンズ行
き過ぎ量が大きいものとなってしまう危険がある。本実
施例では、被写体が揺れていなくとも揺れていると誤判
定する、不都合を解消することが出来る。
【0332】(2) 本実施例ではレンズ移動開始前のレン
ズ静止時に予め揺れ判定(S1001)を行うことによ
り、前もってレンズ移動速度を決定することが出来る。
更に、レンズ移動開始後も周期的に揺れ判定(S101
4)を行うことにより、レンズ静止時の予め揺れ判定で
は検出できない大ボケ状態での揺れ判定を正確に行うこ
とが出来る。
【0333】(3) 本実施例のレンズ速度設定(S101
0)では、揺れの有る場合には、レンズを高速で動作さ
せ、高速で移動させて低速切り替えは行なわない。揺れ
があるとレンズが静止していても評価値が変動するの
で、AFを開始すると、評価値には、揺れによる寄与
と、レンズを動かしてフォーカスが変化することによる
評価値変化の寄与、とが合成される。揺れによる寄与が
大きいと「ぼけたフォーカス位置でAFが収束する」よ
うな誤動作を起こしてしまう。この誤動作を避けるため
に、本実施例では、レンズの速度を高速にすることによ
り、揺れによる寄与分を相対的に減らし、フォーカスが
変化することによる評価値変化の寄与分を相対的に大き
くし、揺れに影響しない評価値特性を得ている。
【0334】(4) 画像処理方式のAFでは評価値のピー
クを通過して初めてJPを検出ができる。そこで、本実
施例では、山下り判定(ピーク検出)(S1022)を
行っている。山下り、即ち評価値低下の検出方法が非常
に重要である。山下り判定では、差分判定、チェックダ
ウン判定、の2つ方法でピーク検出判定を行なってい
る。前者は、現在フィールドの評価値と所定フィールド
前の評価値の差を監視し、この差が一定の閾値を越えた
らピークを検出したとする。この方法は、コントラスト
の低い、従ってJPにおいても評価値の低い被写体では
評価値の変化が少なく、JP検出が出来ない場合があ
る。一方、後者は、前者が現在フィールドの評価値と所
定フィールド前の評価値の比を監視し、この比が一定の
閾値を越えたらピークを検出したとする。この方法は、
コントラストの高い、従ってJPにおいても評価値の高
い被写体でピーク検出が遅れ、その結果行き過ぎ(JP
を越えてオーバーラン)が頻発するという欠点を有す
る。このAFのピーク検出では、差分判定とチェックダ
ウン判定の両方を用い、前者によりコントラストの高い
被写体に対しては行き過ぎの増加なしに、後者によりコ
ントラストの低い被写体に対してもピーク検出の感度を
挙げることができる。
【0335】(5) 山下り判定(S1022)では、差分
判定、チェックダウン判定、の2つ方法でピーク検出判
定を行なっている。前者は、現在フィールドの評価値と
所定フィールド前の評価値の差を監視し、この差が一定
の閾値を越えたらピークを検出したとする。後者は、前
者が現在フィールドの評価値と所定フィールド前の評価
値の比を監視し、この比が一定の閾値を越えたらピーク
を検出したとする。但し、先に説明した評価値ID7
(輝度加算値)の正規化差分値がピーク検出時に所定値
を越えている場合には、揺れによる誤動作で簡単に停止
するのを防止するため、揺れ又は外乱乱入としてピーク
検出判定の差分判定結果を無効に(メモリ内のダウンカ
ウント値をリセット)している。同様に、評価値ID7
(輝度加算値)の変化率が数6を満足しない場合には、
揺れ又は外乱ありとして、ピーク検出のチェックダウン
判定結果を無効にしている。これらにより、被写体の揺
れや外乱により生じるピーク検出の誤判定を提言するこ
とが出来る。その結果、ボケ状態のフォーカスのままA
F動作が終了する誤動作を低減できる。
【0336】(6) 方向判定(S1016)において、各
評価値自体が所定の閾値以下の場合は、強制的にFla
tとしている。これにより、評価値の定常的なノイズで
は簡単に反応しないようにすることが出来る。更に、評
価値が低い場合には定常的なノイズで方向判定を誤る場
合が多く、また、ID7(輝度加算値)が高いシーンで
は評価値曲線全体が上昇し、その定常ノイズレベルの絶
対値も一緒に上昇してUp又はDownの判定結果につ
ながる。従って、所定の閾値をEVAL TH [i]×γ
[i](閾値×輝度加算補正係数)とし、この閾値を輝
度加算値に対応して順次高くしている。従って、被写体
を照らす照明を一層明るくした際に、フォーカスが大ボ
ケ状態で評価値の変動が大きくなることにより発生する
AFの誤動作を低減することが出来る。
【0337】(7) 本実施例の端到達判定(S1019)
では、真のNear端から真のFar端までの間に仮の
Near端を設け、探索時間の短縮を図っている。即
ち、フォーカスが仮のNear端からFar端までを探
索した時点で、その範囲内にJPが存在するかを判断す
る。もし、JPが存在する場合には、全域探索した場合
と比べて短い時間でAF収束できたことになる。途中判
断方法では、局部的なピークを検出できる鋭角率を用い
てJPが存在するか否かを判断する。このように、Fa
r端とNear端の間に途中判断位置を設け、フォーカ
スがその位置に到達した時点で、それまでのフォーカス
の経過の中でJPが存在するか否かを判断し、その結果
によりそれ以降の探索を続行するか否かを判断してい
る。途中判断を採用することにより、これまで全域探索
を行った後でJPに集束していたディテールの少ない被
写体,暗い被写体等のかなりの被写体が、全域探索を行
わずに集束できるようになり、AFの平均集束時間を短
縮できるようになった。
【0338】(8) 本実施例の飽和輝度判定(S101
2)を採用することにより、飽和輝度数が所定の閾値を
越えている場合には、評価枠の枠サイズを基本枠サイズ
W1から最大枠サイズW5に強制的に拡大変更してしま
う。こうすることにより、図24に示すように、飽和輝
度を持つ被写体を枠内に納めてしまうことにより、偽山
の発生を押さえ、誤動作の発生を防止できる。
【0339】(9) 本実施例のWOB(S1006)で
は、第1段階判定と第2段階判定を組み合わせて使用す
る。第1段階判定は、カットオフ周波数の比較的高い使
用データIIR1の評価値ID0を使用するため誤判定
の確率は低いが評価値の感度が相対的に低く少しのボケ
状態でも有為な値が得られない。第2段階判定は、カッ
トオフ周波数の比較的低い使用データのIIR4の評価
値ID2及び更に枠サイズが異なるID3を使用するた
め、感度がよい反面、偽山が発生しやすく誤判定を生じ
やすい。そこで、本実施例では第1段階判定を先ず優先
させ、ここで方向判定できない場合のみ第2段階判定で
バックアップすることにより、WOBの誤判定の確率を
低く押さえたまま、WOBの感度を上げている。
【0340】(10)本実施例のレンズ速度設定(S101
0)では、初期低速期間を除き、ピーク位置の近くまで
はレンズを高速に進め、ピーク位置近くに到達したら低
速に切り替えるている。即ち、大ボケ状態からピーク位
置近くまでは高速にレンズを動かし、ピーク位置近くに
なったら急に減速して低速にすることで、迅速且つ滑ら
かに行き過ぎることがなくピーク位置に収束できる。
【0341】(11)本実施例のHPeak方式では輝度データ
Yから高周波成分を抜き出している。この場合、例えば
カラーバーを撮影したとき、このHPeak方式では後で述
べる評価値の変化は均一な壁と同じようになり、評価値
ピークの検出が出来ないことがある。これに対して、
R,G,Bの画像信号を加算して輝度データを求めるの
ではなく、色信号R,G,Bに関して夫々独立に水平方
向評価値算出フィルタを設け、各出力を加算して評価値
とすることで、カラーバーのような色は異なるが輝度が
均一な被写体に対しても有為な評価値を得ることが出来
る。
【0342】
【発明の効果】本発明によれば、カメラレンズを大ぼけ
の位置から合焦点近傍までは高速に移動し、合焦点近傍
で急速に減速するスピード制御が多くのシーンで実現で
き、合焦点の収束時間が向上し、合焦点までの画面の見
栄えが向上する利益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビデオカメラから構成される撮像装置の全体の
構成を示す図である。
【図2】図1のビデオカメラのAFブロックの構成を示
す図である。
【図3】水平方向評価値算出フィルタの回路構成を説明
する図である。ここで、図3Aは水平方向評価値算出フ
ィルタの回路であり、図3BはHPFのカットオフ周波
数の相違について説明している。
【図4】評価値生成回路で使用される枠制御信号を説明
する図である。
【図5】全積分方式水平方向評価値算出フィルタの回路
構成を説明する図である。
【図6】図6Aは、垂直方向評価値算出フィルタの回路
構成、図6Bは飽和輝度数算出回路の構成を説明する図
である。
【図7】各評価値の評価枠の枠サイズを説明する図であ
る。
【図8】評価値ID0とID2の傾向を示す図である。
【図9】各評価値の関係を説明する図である。
【図10】本実施例で実行されるAFの全体フローチャ
ートを示す図である。
【図11】図10のAFの全体フローチャートにおける
揺れ判定処理(レンズ静止時の)の揺れ判定期間を説明
する図である。
【図12】図10のAFの全体フローチャートにおける
ウォブリング処理のフローチャートを示す図である。
【図13】図12のウォブリング処理におけるウォブリ
ング動作のタイムチャートを示す図である。
【図14】図10のAFの全体フローチャートを実行す
る際に使用されるデータを説明する図である。
【図15】図16と共に、ウォブリングと評価値の変化
を示す図であり、図15A,B及びCはジャストピント
判定される場合を示している。
【図16】図15と共に、ウォブリングと評価値の変化
を示す図であり、図16C,D及びEはジャストピント
でないと判定される場合を示している。
【図17】図15Cに関連して、ジャストピンであると
判定される場合の条件を説明する図である。
【図18】図15A,B及びCに関連して、ジャストピ
ンと判定する判定方法を説明する図である。
【図19】図12のウォブリング処理における方向判定
する判定方法を説明する図である。ここで、図19Aは
Near方向判定を示し、図19BはFar方向判定を
示す。
【図20】図10のAFの全体フローチャートにおける
レンズ速度決定処理のフローチャートを示す図である。
【図21】図20の低速切り替え判定において使用され
る判別式を説明する図である。
【図22】図10のAFの全体フローチャートにおける
偽山判定に関連し、偽山の発生過程を説明する図であ
る。ここで、図22Aはジャストピン状態を示し、図2
2Bはボケの程度が徐々に進む状態を示す図であり、図
22Cはこのときの評価値の推移を示す図である。
【図23】評価値ID0とID1を用いて行う揺れ判定
に関する説明図である。ここで、図23Aは2重枠法を
説明し、図23Bは偽山の発生しないシーンの評価値の
振る舞いを説明し、図23Cは垂直エッジの偽山発生に
与える影響を説明し、図23Dは水平エッジの偽山発生
に与える影響を説明している。
【図24】図10のAFの全体フローチャートにおける
飽和輝度判定に関連し、偽山の発生過程を説明する図で
ある。ここで、図24Aは偽山発生に関して説明し、図
24Bは偽山発生と判定された場合の評価枠の拡大に関
して説明している。
【図25】図10のAFの全体フローチャートにおける
方向判定の個別判定に関する説明図である。
【図26】図10のAFの全体フローチャートにおける
方向判定の総合判定に関する説明図である。
【図27】図27Aは図26の方向判定の判定方法、図
27Bは図10のAFの全体フローチャートにおける逆
送判定の判定方法に関する説明図である。
【図28】図10のAFの全体フローチャートにおける
端到達判定に関する説明図である。ここで、図28Aは
途中判断方法が有効に働く場合を示し、図28Bは全域
を探索する場合を示している。
【図29】図28の端到達判定のフローチャートを示す
図である。
【図30】図30Aは鋭角率を説明する図であり、ま
た、図30Bは飽和輝度判定を説明する図である。
【図31】図10のAFの全体フローチャートにおける
ピーク位置選定のフローチャートである。
【図32】図32Aは、差分判定、チェックダウン判定
及び保険モードの動作の比較をした図表である。図32
Bは、図10のAFの全体フローチャートにおける山下
り判定のチェックダウン判定を説明する図である。
【図33】図33は、フォーカスを一定速度で進め、1
フィールド毎に評価値及びフォーカス位置をサンプリン
グする様子を示した図である。
【図34】図34は、図10のAFの全体フローチャー
トにおけるピーク位置算出の重心計算の積分範囲を説明
する図である。ここで、図34Aは積分範囲が適正でな
い場合を示し、図34Bは積分範囲の設定方法を示す図
である。
【図35】図35は、図10のAFの全体フローチャー
トにおけるロングフィルタ判定の初期レンズ移動方向の
設定方法を説明する図である。
【図36】図36は、図10のAFの全体フローチャー
トにおけるロングフィルタ処理のフローチャートを示す
図である。
【図37】図37は、図36に関連して輝度正規化評価
値を説明する図である。
【図38】図37は、図36に関連してロングフィルタ
モードを説明する図である。
【図39】図39は、被写界深度及び焦点深度を説明す
る図である。ここで、図39Aは被写界深度を、図39
Bは焦点深度を夫々示す。
【図40】図40は、許容錯乱円及びCCD画素間距離
と許容錯乱円の関係を説明する図である。
【符号の説明】
111 フォーカスレンズ、111a フォーカスレン
ズ位置検出センサ、111bフォーカスレンズ駆動モー
タ、111c フォーカスレンズ駆動回路、112 ウ
ォブリングレンズ、112a ウォブリングレンズ位置
検出センサ、112b ウォブリングレンズ駆動モー
タ、112c ウォブリングレンズ駆動回路、113
アイリス機構、113a アイリス位置検出センサ、1
13b アイリス機構駆動モータ、113c アイリス
駆動回路、114 レンズブロック側CPU、115
オートフォーカス・スイッチ、121 色分解プリズ
ム、122R,122G,122B 撮像素子、123
R,123G,123B プリアンプ、124 CCD
駆動回路、125 タイミング信号発生回路、131
R,131G,131B A/D変換回路、132R,
132G,132B ゲイン制御回路、133R,13
3G,133B 信号処理回路、134 エンコーダ、
135 アイリス制御回路、136 ホワイトバランス
制御回路、137オートフォーカスブロック、138
オートフォーカス用CPU、139 アートフォーカス
専用集積回路(AF−IC)、141 メインCPU、
142 ROM、143 RAM、145 操作部、2
01 輝度信号生成回路、202評価値生成回路、20
3 オートフォーカス用CPU、204 ROM、20
5RAM

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カメラレンズを介して被写体の画像信号
    を得る画像入力手段と、前記画像信号の特定領域の第1
    の遮断周波数以上の高周波成分を抽出した第1の評価値
    を算出する第1の評価値算出手段と、 前記画像信号の特定領域の前記第1の遮断周波数よりも
    低い第2の遮断周波数以上の高周波成分を抽出した第2
    の評価値を算出する第2の評価値算出手段と、前記カメ
    ラレンズのフォーカスを制御するレンズ駆動手段と、 前記評価値に応じて前記レンズ駆動手段を制御する制御
    手段とを有するオートフォーカス装置において、 前記第2の評価値から前記第1の評価値を引いた値を、
    前記第2の評価値と前記第1の評価値とを加算した値で
    割った商に応じて前記レンズ駆動手段による前記カメラ
    レンズの移動速度を変更するようにしたことを特徴とす
    るオートフォーカス装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のオートフォーカス装置に
    おいて、前記商の所定期間での平均値と現在の前記商の
    値との差又は比が所定のしきい値を越えたら又は所定の
    しきい値以下になったら前記カメラレンズの移動速度を
    所定の速度に切り替えるようにしたことを特徴とするオ
    ートフォーカス装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のオートフォーカス装置に
    おいて、 rf(0)<−25 かつ rf(1)<−10を満足
    したときに前記カメラレンズの移動速度を低速に切り替
    えるようにしたことを特徴とするオートフォーカス装
    置。但し、ej〔0〕はjフィールド前の第1の評価値
    算出手段より得られる評価値、ej〔2〕はjフィール
    ド前の第2の評価値算出手段より得られる評価値であ
    る。
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