JPH10221381A - 平衡検出器の精密検証方法及びシステム - Google Patents

平衡検出器の精密検証方法及びシステム

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JPH10221381A
JPH10221381A JP9020524A JP2052497A JPH10221381A JP H10221381 A JPH10221381 A JP H10221381A JP 9020524 A JP9020524 A JP 9020524A JP 2052497 A JP2052497 A JP 2052497A JP H10221381 A JPH10221381 A JP H10221381A
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josephson
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balanced detector
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JP9020524A
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Haruo Yoshida
春雄 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】0V近傍(−数mVから+数mVの範囲)での
平衡検出器の絶対値特性及び/または直線性をデッドゾ
ーンなしに高精度で評価できるようにする。 【解決手段】2台のジョセフソン電圧発生器1,2を用
意し、セシウム原子周波数基準源3からの基準周波数に
基づいて生成されたミリ波周波数により、各ジョセフソ
ン電圧発生器1,2においてACジョセフソン効果によ
るジョセフソン電圧を発生させ、これらの差電圧を被検
証対象の平衡検出器40に入力する。セシウム基準周波
数信号に基づいて動作するソースロックカウンタ27や
周波数シンセサイザ15により、一方のジョセフソン電
圧発生器1でのミリ波周波数を微小に変化させ、平衡検
出器40への入力電圧を0Vの近傍で変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流電圧の精密測
定などに使用され微小な電位差を検出する平衡検出器の
性能を検証する方法及びシステムに関し、特に、AC
(交流)ジョセフソン効果を用いて平衡検出器の絶対値
特性及び/または直線性を精密に検証する精密検証方法
及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】直流電圧の精密測定には、被測定電圧と
基準電圧の差電圧を検出し、基準電圧を変化させてその
差電圧を無限に小さくすることにより被測定電圧を決定
する平衡検出法が用いられている。差電圧を検出するた
めには、微小な電位差を検出できる平衡検出器が使用さ
れるが、この平衡検出器の絶対値特性や直線性が信頼で
きるものでなければ、平衡検出法による測定は成り立た
ない。すなわち、0V近傍(−数mV〜+数mV)の電
位差範囲において、平衡検出器の絶対値特性や直線性を
精密に検証する必要がある。ここで平衡検出器の絶対値
特性とは、端的にいえば、絶対値が同じ入力電圧であれ
ば、極性の正負によらず、出力電圧の絶対値も同じであ
るということである。
【0003】ところで、平衡検出器としては、アナログ
式の差動増幅器(例えば、英国EM Electronics社製のD
CナノボルトメータN1aなど)や、デジタル式の電圧計
(例えば、アドバンテスト社製のR6561や、米国HP社
製のモデル3458Aなど)が使用されている。そして、平
衡検出器の直線性(非直線性誤差)や絶対値特性(オフ
セット誤差)の測定には、これまで、次に述べるような
方法があった。
【0004】(1)ツェナーダイオードを基準電圧発生源
とした可変精密電圧発生器(例えば、米国Fluke社のCal
ibrater 5700Aなど)により精密電圧を発生し、その出
力値を平衡検出器で読み取り、読み取り誤差から精度を
検出する。この方法では、基準電圧発生源のツェナーダ
イオードの電圧変動(長期的には数ppm、短期的には
0.05ppm/数時間の非線形変動)が精度限界にな
る。
【0005】(2)基準電圧としてツェナー精密電圧基準
発生器(例えば、米国Fluke社の732A, 732Bなど)の出
力電圧を平衡検出器の差動入力の一方の端子に入力し、
それとほぼ等しい出力電圧を発生する可変精密電圧発生
器(例えば、米国Fluke社のCalibrater 5700Aなど)の
出力電圧を差動入力の他方の端子に入力し、平衡検出器
がその差電圧に対応する出力を示しているかどうかによ
って精度を検出する。この方法でも、電圧発生源のツェ
ナーダイオードの電圧変動が精度限界となる。
【0006】以上述べた(1)や(2)の方法が、これまでの
一般的な評価方法であるが、より高精度で検証する方法
として、ACジョセフソン効果によるジョセフソン電圧
基準を用いる方法もある。以下、ジョセフソン効果を用
いた従来の検証方法について、説明する。
【0007】ACジョセフソン効果は、端的にいえば、
周波数を直流電圧に正確に変換する量子現象である。超
伝導状態にあるジョセフソン接合に対し、例えばマイク
ロ波あるいはミリ波帯の周波数の電磁波を照射すると、
ジョセフソン接合を介する電流−電圧特性において等間
隔のステップ電圧が現れ、各ステップ間の電圧(ジョセ
フソン電圧Vn)は、式(1)のように表わされる。
【0008】
【数1】 ここで、nはステップ次数であって整数、fはジョセフ
ソン素子に照射するマイクロ波の周波数である。また、
J-90は、プランク定数をh、素電荷をeとして、式
(2)で表わされるジョセフソン定数であり、現在求めら
れている値としては、483597.9GHz/Vであ
る。
【0009】
【数2】 例えば、照射するミリ波の周波数fを94GHzとする
と、各ステップ間の電圧差は、194.376μVとな
る。このステップ電圧は、式(1),(2)から明らかなよう
に、基礎物理定数のみに依存して原理的に正確であり、
ACジョセフソン効果による直流電圧基準は、現在、国
家標準としても使用されている。
【0010】ACジョセフソン効果による電圧ステップ
を順次捕獲し、平衡検出器などの電圧計によりこの電圧
ステップの電圧値を読み取ることにより、理論値と読み
取り値との差から、電圧計の絶対値特性や直線性を評価
できる。この方法は、デジタル電圧計の絶対値特性や直
線性を厳密に検証する方法として最近採用されている優
れた方法である。電圧がやや高い(数mV以上)の領域
では、ACジョセフソン効果での特定の次数のステップ
を捕獲したまま照射する周波数を微小変化させて発生電
圧を変え、それにより、デジタル電圧計中のアナログ/
デジタル変換器の1LSB(Least Significant bit:
最下位ビット)ごとの直線性評価さえ可能である。1L
SBは、例えば、10Vを24ビットでデジタル化する
場合には、0.596μVとなる。
【0011】しかしながら、上述したACジョセフソン
効果を用いる方法では、平衡検出器の評価を行う場合の
ように、0V近傍のせいぜい±数mVの範囲での絶対値
特性や直線性を評価しようとすると、ACジョセフソン
効果での各ステップごとの評価は行えるものの、ステッ
プ間の微細な電圧を発生させることが困難であって、こ
のステップ間の電圧範囲が評価におけるデッドゾーンと
なってしまう。以下、ACジョセフソン効果に基づく従
来の具体的な測定系を例にあげ、デッドゾーンの発生に
ついて説明する。
【0012】図3は、ACジョセフソン効果を用いたジ
ョセフソン電圧発生器を1台用いる従来の方法によって
平衡検出器50の絶対値特性や直線性の評価を行うとき
の配置を示すブロック図である。
【0013】ジョセフソン接合アレイ51が液体ヘリウ
ム容器52内に配置されて超伝導状態に維持されるとと
もに、ジョセフソン接合アレイ51にはバイアス電流を
印加するためのバイアス回路53が接続されている。ミ
リ波を発生するためにガンダイオードを用いたガン発振
器55が設けられており、ガン発振器55からのミリ波
は、アイソレータ56及び方向性結合器57を経て、誘
電体導波路58を介して、液体ヘリウム容器52内のジ
ョセフソン接合アレイ51に照射される。ガン発振器5
5での発振周波数は、原子周波数基準源59が発生する
基準周波数によって制御されている。すなわち、原子周
波数基準源59から基準周波数によって動作し所望の周
波数の信号を発生する周波数シンセサイザ60が設けら
れ、周波数シンセサイザ60からの信号はソースロック
カウンタ61に入力している。ガン発振器55からのミ
リ波のうち方向性結合器57によって分岐し外部ミキサ
62によって周波数変換された成分も、ソースロックカ
ウンタ61に入力している。ソースロックカウンタ61
は、周波数シンセサイザからの周波数信号と外部ミキサ
62からの信号を比較して位相検波を行うものであり、
ソースロックカウンタ61の出力によって、ガン発振器
55を駆動するための駆動回路63が制御されている。
したがって、周波数シンセサイザ68での発生周波数を
変化させることにより、ガン発振器55が発生するミリ
波の周波数を変化させることができる。
【0014】このようなシステムを用いて平衡検出器5
0の絶対値特性や直線性を検証する場合には、平衡検出
器50に、差動入力電圧として、ジョセフソン接合アレ
イ51にバイアス電流を流したときにACジョセフソン
効果により発生する電圧を印加する。
【0015】平衡検出器50の0V近傍での直線性を検
証する場合を考える。この場合には、式(1)でn=1を
選ぶものとする(n≧2ではジョセフソン接合アレイ5
1での発生電圧がより高くなる)。ガン発振器55の発
生するミリ波の周波数が94GHzであるとすると、こ
のミリ波を超伝導状態にあるジョセフソン接合アレイ5
1に照射したときに、ジョセフソン接合アレイ51で発
生するジョセフソン電圧V1は、式(1)より、
【0016】
【数3】 V1 = 1・f/KJ-90 =94(GHz)/483597.6(GHz/V) =194.376μV である。ところで、ガン発振器の周波数可変範囲は比較
的狭く、その下限周波数である90GHzにまで下げて
も、ジョセフソン電圧V1は、
【0017】
【数4】 V1 = 1・f/KJ-90 =90(GHz)/483597.6(GHz/V) =186.105μV にまでしか低下しない。結局、この下限周波数に対応す
る電圧から0Vまでの間がデッドゾーンとなり、平衡検
出器の0V近傍での直線性や絶対値特性を検証できない
ことになる。また、ミリ波の周波数を90GHzから9
4GHzの間で変化させるとして、それによりACジョ
セフソン効果による電圧ステップ間の電圧をくまなく掃
引するためには、この場合、nが24以上である必要が
ある。すなわち、+5mV以上あるいは−5mV以下の
領域でなければ、ステップ次数の変化とミリ波の周波数
の変化とを併用しても、電圧の連続掃引を行うことがで
きず、−5mVと+5mVの間の領域では、何らかのデ
ッドゾーンが存在することになる。平衡検出器が検出対
象とする差動入力電圧は、ちょうど−数mVから+数m
Vの領域であり、上述した従来の方法では、印加電圧に
おけるデッドゾーンの存在により、平衡検出器の絶対値
特性や直線性を精密に検証することが困難になってい
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、0V
近傍(−数mVから+数mVの範囲)での平衡検出器の
絶対値特性及び/または直線性をデッドゾーンなしに高
精度で評価することができる精密検証方法及び精密検証
システムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の平衡検出器の精
密検証方法は、微小電位差の検出を行う平衡検出器の絶
対値特性及び/または直線性の検証を精密に行う方法に
おいて、基準周波数に基づいて第1の周波数信号及び第
2の周波数信号を生成し、第1の周波数信号によるAC
ジョセフソン効果により第1の電圧を発生させ、第2の
周波数信号によるACジョセフソン効果により第2の電
圧を発生させ、第1の電圧と第2の電圧との差電圧を平
衡検出器に印加し、第1の周波数信号と第2の周波数信
号の間の周波数差を変化させながら平衡検出器の出力を
観測する。
【0020】本発明の平衡検出器の精密検証システム
は、微小電位差の検出を行う平衡検出器の絶対値特性及
び/または直線性の検証を精密に行うためのシステムに
おいて、基準周波数を出力する基準周波数源と、基準周
波数に基づいて第1の周波数信号を生成する第1の周波
数信号生成手段と、基準周波数に基づいて第2の周波数
信号を生成する第2の周波数信号生成手段と、第1の周
波数信号が照射されるACジョセフソン接合を含んで第
1の電圧を発生する第1のジョセフソン電圧発生手段
と、第2の周波数信号が照射されるACジョセフソン接
合を含んで第2の電圧を発生する第2のジョセフソン電
圧発生手段と、を有し、第1の周波数信号生成手段と第
2の周波数信号生成手段の少なくとも一方は、発生する
周波数を変化させることができるものであり、第1の電
圧と第2の電圧との差電圧を測定対象の平衡検出器に出
力する。
【0021】本発明では、ACジョセフソン効果を用い
た2つのジョセフソン電圧発生器(ジョセフソン電圧発
生手段)を使用し、これらジョセフソン電圧発生器に加
えるマイクロ波帯あるいはミリ波帯の電磁波を基準周波
数に基づいて生成するとともに、2つのジョセフソン電
圧発生器に加える電磁波間に周波数差を設定できるよう
にしている。ジョセフソン電圧発生器に加える電磁波が
マイクロ波帯あるいはミリ波帯のものであっても、周波
数差は0や0に近い極めて小さな値とすることができる
ので、両方のジョセフソン電圧発生器からの出力電圧の
差電圧は、ACジョセフソン効果を用いて発生可能な実
用的なステップ間電圧よりも微小なものとすることがで
き、また、0Vから連続的に変化させることができる。
すなわち本発明よれば、基準周波数に基づきACジョセ
フソン効果によって発生した正確な電位差であって0V
近傍の±数mV程度の範囲の電位差を、デッドゾーンを
含まずに発生させることが可能になり、このような微小
な電位差を平衡検出器に入力することによって、平衡検
出器の絶対値特性や直線性などの精密な検証を行うこと
ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の
一形態の平衡検出器の精密検証システムの構成を示すブ
ロック図である。この精密検証システムは、平衡検出器
40の絶対値特性や直線性を本発明の方法に基づいて精
密に検証する際に、使用されるものである。
【0023】この検証システムは、ジョセフソン電圧発
生手段として2つのジョセフソン電圧発生器(第1のジ
ョセフソン電圧発生器1及び第2のジョセフソン電圧発
生器2)を備えている。また、第1のジョセフソン電圧
発生器1及び第2のジョセフソン電圧発生器2に共通
に、基準周波数を発生するためのセシウム原子周波数基
準源3が設けられている。ジョセフソン電圧発生器1,
2は、それぞれジョセフソン接合アレイ11,12を備
えており、ジョセフソン接合アレイ11,12は、それ
ぞれ液体ヘリウム容器13,14内に格納されて超伝導
状態に維持される。また、ジョセフソン接合アレイ1
1,12には、バイアス電流を印加するためのバイアス
回路15,16が接続されており、バイアス電流値を変
化させることによって、ACジョセフソン効果での電圧
ステップ次数を選択できるようになっている。
【0024】さて、第1のジョセフソン電圧発生器1に
供給するミリ波を発生するために、ガンダイオードを用
いたガン発振器17が設けられている。ガン発振器17
からのミリ波は、アイソレータ19及び方向性結合器2
1を経て、誘電体導波路23を介して第1のジョセフソ
ン電圧発生器1に供給され、ジョセフソン接合アレイ1
1を照射する。アイソレータ19は、途中の伝送路から
の反射波によってガン発振器17が破壊されることがな
いようにするために挿入されている。ガン発振器17の
発振周波数をセシウム原子周波数基準源3からの基準周
波数に基づいて制御するために、この基準周波数に基づ
いて動作する周波数シンセサイザ25と、周波数シンセ
サイザ25で生成した周波数信号が入力するソースロッ
クカウンタ27と、方向性結合器21の分岐側に接続さ
れた外部ミキサ29とが設けられている。外部ミキサ2
9は、ガン発振器17の発振周波数をより低い周波数に
変換してソースロックカウンタ27に入力するためのも
のである。ガン発振器17はガン発振器駆動回路31に
よって駆動されるようになっている。ここでソースロッ
クカウンタ27は、外部から入力する信号(ここでは外
部ミキサ29から入力する信号)と、内部または外部の
基準信号源から周波数信号(ここでは周波数シンセサイ
ザ25からの信号)とを比較して位相検波を行い、その
出力により、対象とする発振器(ここではガン発振器1
7)を位相同期する機能をもっている。そして、ガン発
振器駆動回路31は、ソースロックカウンタ27の出力
電圧に対し、レベルシフトを施し、また位相同期動作の
最適化のための利得補償及び位相補償を行って、ソース
ロックカウンタ27の出力電圧をガン発振器17のバイ
アス端子に入力する。
【0025】結局、周波数シンセサイザ25、ソースロ
ックカウンタ27、外部ミキサ29及びガン発振器駆動
回路31は、セシウム原子周波数基準源3からの基準周
波数に基づいて動作し、ガン発振器17の発生する周波
数を安定化する位相同期回路を構成していることにな
る。
【0026】同様に、第2のジョセフソン電圧発生器2
内のジョセフソン接合アレイ12を照射するミリ波を発
生するために、ガン発振器18が設けられている。ガン
発振器18からのミリ波は、アイソレータ20及び方向
性結合器22を経て、誘電体導波路24を介してジョセ
フソン接合アレイ12に供給される。ガン発振器18は
ガン発振器駆動回路32によって駆動される。上述と同
じように、ガン発振器18の発振周波数を安定化するた
めに、ソースロックカウンタ28及び外部ミキサ30か
らなる位相同期回路が構成されている。本実施の形態で
は、第1のジョセフソン電圧発生器1側において微細な
周波数設定を行うようにしているので、第2のジョセフ
ソン電圧発生器2には周波数シンセサイザは設けられて
おらず、セシウム原子周波数基準源3からの基準周波数
はソースロックカウンタ28に直接供給されている。
【0027】本実施の形態の精密検証システムでは、A
Cジョセフソン効果により第1のジョセフソン電圧発生
器1内のジョセフソン接合アレイ11に生じた電圧と、
同じくACジョセフソン効果により第2のジョセフソン
電圧発生器2内のジョセフソン接合アレイ12に生じた
電圧との差電圧が、平衡検出器40の差動入力に印加さ
れるようにしている。そこで、ジョセフソン接合アレイ
11の1対の電圧出力端子のうち、一方はコモンノード
33に接続し、他方を平衡検出器40の一方の入力端子
41に接続している。同様に、もう1つのジョセフソン
接合アレイ12の1対の電圧出力端子のうち、一方はコ
モンノード33に接続し、他方を平衡検出器40の他方
の入力端子42に接続している。
【0028】次に、本実施の形態の動作について説明す
る。
【0029】本実施の形態では、第1のジョセフソン電
圧発生器1と第2のジョセフソン電圧発生器2との間に
正確な差電圧が生じるようにすることが必要である。ジ
ョセフソン電圧は厳密に式(1)に従うので、周波数を正
確に把握できれば、差電圧を正確に知ることができる。
そこで、ジョセフソン電圧発生器1,2が同一のジョセ
フソン電圧ステップ次数を捕獲したとして、少なくとも
一方のジョセフソン電圧発生器へのミリ波周波数を正確
に変化させる必要がある。ここでは、上述したように、
第1のジョセフソン電圧発生器1のミリ波周波数を変化
させるものとしている。この精密検証システムでは、ソ
ースロックカウンタ27自体でも周波数設定機能を有
し、その設定周波数分解能は例えば10kHzである
が、より微細に周波数設定を行いたい場合には、周波数
シンセサイザ25の発生する信号の周波数を変化させ、
ソースロックカウンタ27において外部ミキサ29から
の周波数をカウントする際のゲート時間を変化させれば
よい。もちろん、第1のジョセフソン電圧発生器1への
ミリ波の周波数を固定し、第2のジョセフソン電圧発生
器2へのミリ波の周波数を変化させるようにしてもよ
い。
【0030】以下、この精密検証システムを用いて平衡
検出器40の絶対値特性や直線性を測定する際の手順を
説明する。
【0031】各ジョセフソン電圧発生器1,2におい
て、液体ヘリウム容器13,14内の液体ヘリウム中に
配置したジョセフソン接合アレイ11,12にミリ波を
照射してジョセフソン電圧をそれぞれ発生させるため
に、ガン発振器17,18を発振させる。ジョセフソン
接合アレイ11に照射されるミリ波の周波数は、セシウ
ム原子周波数基準源3からの基準周波数に基づいて周波
数シンセサイザ15とソースロックカウンタ27の設定
により決定し、ジョセフソン接合アレイ12に照射され
るミリ波の周波数は、セシウム原子周波数基準源3から
の基準周波数に基づいてソースロックカウンタ28の設
定により決定するから、まず、同一の周波数のミリ波が
各ジョセフソン接合アレイ11,12に照射されるよう
にする。このとき、各バイアス回路15,16を調整
し、各ジョセフソン接合アレイ11,12が同一のステ
ップ次数nを捕獲するようにする。この際、ステップ次
数は、使用するミリ波の周波数範囲に応じて、デッドゾ
ーンの起こらない範囲を選択する。例えば94GHz帯
のミリ波を用いるのであれば、n>25であるようにす
る。ジョセフソン電圧発生器1,2が発生するジョセフ
ソン電圧は、それぞれ平衡検出器40の2つの入力端子
41,42に入力するが、この状態では両方のジョセフ
ソン電圧は同一であり、したがって、同一の電圧が入力
した平衡検出器40の表示値(読み取り値)は0Vを示
すはずである。
【0032】次に、第2のジョセフソン電圧発生器2で
のミリ波周波数と選択されたステップ次数を固定したま
まで、平衡検出器40をチェックしようとする電圧幅に
対応するように、ジョセフソン電圧発生器1でのミリ波
周波数を変化させる。チェックしようとする電圧幅がや
や大きい場合には、ソースロックカウンタ27の周波数
設定機能で、それよりも微細設定する場合には周波数シ
ンセサイザ25での周波数設定を併用する。また、チェ
ックしようとする電圧領域が広い場合には、第1のジョ
セフソン電圧発生器1において、隣り合うステップ次数
を順次選択しながら、周波数設定と併用する。本実施の
形態では、ステップ次数nを26以上としていることに
より、第1のジョセフソン電圧発生器1において、周波
数設定とステップ次数の選択とを組み合わせることによ
って、第1のジョセフソン電圧発生器1が発生するジョ
セフソン電圧と第2のジョセフソン電圧発生器2が発生
するジョセフソン電圧との差電圧、すなわち、平衡検出
器40に入力する電圧は、0Vを中心として正負の両方
向に、デッドゾーンなしで変化させることができる。し
たがって、本実施の形態では、0V近傍での平衡検出器
40の特性をデッドゾーンなしでチェックできることに
なる。
【0033】図2、0V近傍の領域でデッドゾーンなし
に正確に電圧を発生できる原理を説明した図である。こ
こで、整数nはステップ次数、fはジョセフソン接合ア
レイに照射するミリ波周波数(例えば94GHz)、K
J-90はジョセフソン定数である。n次のジョセフソンス
テップ電圧Vnは、
【0034】
【数5】Vn=nf/KJ-90 で表わされる。各ジョセフソン電圧発生器1,2におい
て同一の周波数f0のミリ波を照射したとすると、第2
のジョセフソン電圧発生器2の発生電圧は図示(a)に示
すようになり、第1のジョセフソン電圧発生器1の発生
電圧は図示(b)に示すようになる。ここで、第1のジョ
セフソン電圧発生器1において周波数を±Δfだけずら
したとすると、第1のジョセフソン電圧発生器1が発生
するジョセフソン電圧は、ΔV=nΔf/KJ-90だけず
れることになり、それぞれ、図示(c),(d)に示すように
なる。したがって、2つのジョセフソン電圧発生器1,
2の間の差電圧も、ΔVとなり、これが平衡検出器40
に印加される。使用するミリ波の周波数帯によらずΔf
は0から連続的に変化させることができるから、図示斜
線部で示すように、0V近傍の電圧をデッドゾーンなし
で正確に発生させることができるのである。
【0035】さて、ACジョセフソン効果により発生す
る電圧の正確さは、(1)式より、ジョセフソン接合に照
射するミリ波の周波数の正確さに対応し、本実施の形態
において、平衡検出器40に入力する電圧の正確さもミ
リ波周波数の正確さのオーダーである。ここでは、セシ
ウム原子周波数基準源3が発生する基準周波数に基づい
て、ジョセフソン接合アレイに照射するミリ波の周波数
を制御しており、このミリ波周波数の正確さは、ほぼ1
×10-11のレベルであって、電圧の正確さもこのオー
ダーである。ツェナーダイオードの出力電圧を基準とす
る従来のアナログ方式では、電圧の正確さは1×10-7
程度であり、本発明の方法によれば、平衡検出器の検証
精度を大幅に高めることができる。なお、本発明の方法
は、アナログ/デジタル変換器(ADC)の0V近傍領
域のオフセットや非直線性誤差測定にも応用できる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、2台のジ
ョセフソン電圧発生器を用いてこれらの差電圧を発生さ
せることにより、0V近傍の領域の電圧をデッドゾーン
なしで正確に発生させることができるので、平衡検出器
の特性の厳密な検証を行うことができるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の平衡検出器の精密検証
システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の精密検証システムにおいて0V近傍の電
圧を発生する原理を説明する図である。
【図3】従来の方法により平衡検出器の絶対値特性及び
直線性の検証を行う際の配置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2 ジョセフソン電圧発生器 3 セシウム原子周波数基準源 11,12 ジョセフソン接合アレイ 13,14 液体ヘリウム容器 15,16 バイアス回路 17,18 ガン発振器 19,20 アイソレータ 21,22 方向性結合器 23,24 誘電体導波路 25 周波数シンセサイザ 27,28 ソースロックカウンタ 29,30 外部ミキサ 31,32 ガン発振器駆動回路 33 コモンノード 40 平衡検出器 41,42 入力端子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微小電位差の検出を行う平衡検出器の絶
    対値特性及び/または直線性の検証を精密に行う方法に
    おいて、 同一の基準周波数に基づいて第1の周波数信号及び第2
    の周波数信号を生成し、 前記第1の周波数信号によるACジョセフソン効果によ
    って第1の電圧を発生させ、 前記第2の周波数信号によるACジョセフソン効果によ
    って第2の電圧を発生させ、 前記第1の電圧と前記第2の電圧との差電圧を前記平衡
    検出器に印加し、 前記第1の周波数信号と前記第2の周波数信号との間の
    周波数差を変化させながら前記平衡検出器の出力を観測
    することを特徴とする、平衡検出器の精密検証方法。
  2. 【請求項2】 前記周波数差を変化させる際に、まず、
    前記第1の周波数信号と前記第2の周波数信号を同一周
    波数に設定して前記差電圧が0となるようにし、そのの
    ち、前記各ジョセフソン電圧発生器でのステップ電圧次
    数を固定したまま、前記第1の周波数信号及び前記第2
    の周波数信号のいずれか一方の周波数を変化させる、請
    求項1の記載の平衡検出器の精密検証方法。
  3. 【請求項3】 微小電位差の検出を行う平衡検出器の絶
    対値特性及び/または直線性の検証を精密に行うための
    システムにおいて、 基準周波数を出力する基準周波数源と、前記基準周波数
    に基づいて第1の周波数信号を生成する第1の周波数信
    号生成手段と、前記基準周波数に基づいて第2の周波数
    信号を生成する第2の周波数信号生成手段と、前記第1
    の周波数信号が照射されるACジョセフソン接合を含ん
    で第1の電圧を発生する第1のジョセフソン電圧発生手
    段と、前記第2の周波数信号が照射されるACジョセフ
    ソン接合を含んで第2の電圧を発生する第2のジョセフ
    ソン電圧発生手段と、を有し、 前記第1の周波数信号生成手段と前記第2の周波数信号
    生成手段の少なくとも一方は、発生する周波数を変化さ
    せることができるものであり、 前記第1の電圧と前記第2の電圧との差電圧を測定対象
    の平衡検出器に出力することを特徴とする、平衡検出器
    の精密検証システム。
  4. 【請求項4】 前記各ジョセフソン電圧発生手段におい
    て前記ACジョセフソン接合が同一のステップ電圧次数
    で動作し、前記第1の周波数信号と前記第2の周波数信
    号との差周波数が0を含む範囲で可変である、請求項3
    に記載の平衡検出器の精密検証システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100684934B1 (ko) 2005-11-28 2007-02-22 한국표준과학연구원 다중 주파수의 마이크로파 구동을 이용하여 프로그램가능한 조셉슨 전압 표준장치
CN112230038A (zh) * 2020-09-04 2021-01-15 国网浙江省电力有限公司丽水供电公司 一种新型全光型电流传感器及电流测量方法
CN114325058A (zh) * 2022-01-06 2022-04-12 北京东方计量测试研究所 交流电压校准装置及方法

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