JPH10201365A - 自然植生の復元緑化方法 - Google Patents

自然植生の復元緑化方法

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JPH10201365A
JPH10201365A JP9020883A JP2088397A JPH10201365A JP H10201365 A JPH10201365 A JP H10201365A JP 9020883 A JP9020883 A JP 9020883A JP 2088397 A JP2088397 A JP 2088397A JP H10201365 A JPH10201365 A JP H10201365A
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year
seeds
plants
sowing
restoring
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JP9020883A
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Osamu Iizuka
修 飯塚
Taro Yamashita
太郎 山下
Mitsuo Takayama
光男 高山
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Snow Brand Seed Co Ltd
New Oji Paper Co Ltd
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Snow Brand Seed Co Ltd
Oji Paper Co Ltd
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生態系を尊重した方法で公園や道路法面等の
自然植生を復元する方法の提供する。 【解決手段】 播種当年に開花する草本植物、即ちエゾ
カワラナデシコ、エゾカワラマツバ、エゾノコンギク、
エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリソウ、ミヤコグサ
を主成分とする、少なくとも2種類を含む混合種子を、
自然生態系を尊重した手法で、道路法面および草原若し
くは海岸等の裸地化した場所に対し、種子を播種する
か、又は混合種子からの養成苗を植栽することにより、
自然景観の回復を図りながら、道路法面等の自然植生の
復元方法。エゾカンゾウ、オカトラノオ、オトコエシ等
の播種当年には開花しないが、2年目以降に開花する種
子の少なくとも2種類を前記混合種子に配合した配合種
子、又は該配合種子がら育成した養成苗を用いる自然植
生の復元方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生態系を尊重した
手法を用いた自然植生の復元緑化方法に関し、環境緑化
技術の分野に属するものである。更に詳しくは、本発明
は、開発の波にさらされる等の人為的原因あるいは台風
などの異常気象によって生じる醜い裸地化した場所の自
然植生を復元し、それによって我が国古来からの素晴ら
しい自然景観を回復するための緑化材料として、最も有
望なエゾカワラナデシコ、エゾカワラマツバ、エゾノコ
ンギク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリソウ、ミ
ヤコグサの定着率向上を図りながら緑化する、道路法面
および草原又は海岸等の裸地化した場所の復元緑化方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、道路法面等の緑化は、侵食防止あ
るいは景観を目的に、イネ科植物のケンタッキーブルー
グラスを用い、種子吹き付け法又は養成苗の張り付け法
により行ってきた。また、公園や都市空間、空港等公共
施設周辺の空間を緑化する場合、ワイルドフラワ−を用
いて緑化を行ってきた。
【0003】しかし、現在行われているワイルドフラワ
−による緑化は、字義通りの野生の草花によって緑化し
ているものではない。我が国で用いられているワイルド
フラワ−の種類は60種類前後の草花があるが、これら
の全ては外国からの移入種であると共に、野生、即ちワ
イルドフラワ−の字義を失った園芸種が用いられてい
る。そのため、我が国古来からの素晴らしい植物生態系
を大きく破壊する危険をはらんでいるのが現状である。
【0004】従来から用いられている、ワイルドフラワ
−の緑化材料を解析してみると、60種類中1年生が3
5種類で約58%を占め、多年草は半数以下の25種類
である。1年草の特徴は、春に種子が発芽し、夏の開花
期を経てその年の秋には結実し、その後土中の根も含め
全植物体が僅か1シ−ズンでその生涯を終える。このこ
とから、道路法面等の傾斜地に対して緑化した場合、最
重要課題である侵食防止の役目を十分にはたすことはで
きない場合がある。
【0005】植物が道路法面など、傾斜地の侵食防止に
果たすメカニズムは、個々の植物が長い年月に亘り生き
続け、根が土中で網の目のように繁殖し、それによって
融雪水や降雨による土砂の流失から保護することにあ
る。そのため、1年草では開花期の景観的な華やかさは
あっても、侵食防止の役目を十分にはたすことはできな
い。
【0006】従来、草本性植物を用いて道路法面や都市
空間等を緑化する場合、生態系を考慮せず全国どこでも
同じ植物材料を用いて、画一的に行ってきた。その結
果、九州から北海道まで同じ景観を呈し、今後の展開に
よっては生態系の破壊と同時に、地域の特徴ある素晴ら
しい景観が失われる重大な問題をはらんでいる。
【0007】我が国では終戦以降長い間、食料不足が続
いたことから、米国の援助もあり特に北アメリカ産の穀
物類が大量に導入された経緯がある。その際、穀物に混
入してセイタカワダチソウ、オオハンゴンソウ等の種子
も導入され、このような、本来わが国の自然界には存在
しない植物が、当時の主要交通機関である鉄道沿線にこ
ぼれ落ち、そこで発芽定着した種類が急速に生育範囲を
拡大し、これらが帰化植物となって我が国古来からの優
れた自然植生を被圧し、現在では鉄道沿線をはじめ、道
路沿線、河川敷等で我がもの顔に繁殖し、生態系を大き
く変貌させた反省すべき大きな問題がある。
【0008】また、明治初期に観賞用として導入したユ
ウゼンギクやネバリノギク等の園芸種においても、国内
各地に帰化植物となって野生化し、既に生育範囲を拡大
しており、これら種類についても生態系にあたえる影響
が懸念されている。
【0009】植物は、それぞれ特有の成分を含有しい
る。また、蝶類や昆虫類の幼虫が成長する過程で必要と
する植物の種類が異なることが、日本昆虫学会によって
明らかとなっている。このことは、植物と昆虫は高い相
関関係にあると言える。
【0010】従って、蝶類や昆虫類の種類によって宿主
する植物が異なることを意味するもので、このことは植
物の生態系が破壊された場合、我が国の古来から自生す
る植物の消滅にとどまらず、蝶類や昆虫類の生態系にも
大きな影響を与える危険をはらんでいる。
【0011】1957年に、我が国の国蝶として指定さ
れた、タテハチョウ科のオオムラサキは、ニレ科の樹木
であるエノキやエゾエノキなくして子孫を残すことはで
きない。また、天然記念物に指定され、高山にだけ棲息
するウスバキチョウも食草となるコマクサの繁殖なくし
て生き続けることが出来ないことも明らかとなっている
(北海道新聞社 北海道の蝶 坪内純等 1986年
)。
【0012】旺盛な繁殖を続け、その生育範囲を拡大し
ている帰化植物は、古来から我が国に生育する植物を被
圧し、既に消滅の危機に貧している種類もある。その一
例として、我が国固有種のエゾノコンギクは帰化植物の
ユウゼンギクに被圧されているし、また、道路沿いのヨ
モギ類もセイタカアワダチソウやオオハンゴンソウに被
圧されて消滅しつつある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明は、道
路法面や都市空間、空港周辺等、自然植生が破壊され、
醜い景観を呈している裸地化した場所を、自然界に野生
種として自生するエゾカワラナデシコ、エゾカワラマツ
バ、エゾノコンギク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコ
ギリソウ、ミヤコグサ、エゾカンゾウ、オカトラノオ、
オトコエシ、オミナエシ、クサフジ、コハマギク、セン
ダイハギ、トリアシショウ、マヤナギラン、アヤメ、ノ
ハナショウブ、ヒオウギアヤメなどの種子や、該種子か
ら育成した養成苗によって、生態系を尊重した手法で緑
化し、自然景観を復元する方法を提供することを目的と
している。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
エゾカワラナデシコ、エゾカワラマツバ、エゾノコンギ
ク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリソウ、ミヤコ
グサから選ばれた少なくとも2種類の播種当年に開花す
る草本植物の混合種子を、道路法面および草原若しくは
海岸等の裸地化した場所に対して播種するか、又は、前
記混合種子から育成した2種類以上の養成苗を前記裸地
化した場所に植栽することにより、自然景観の回復を図
りながら、道路法面等の自然植生を復元緑化する方法に
存する。
【0015】本発明の第二の発明は、前記播種当年に開
花する草本植物の混合種子に加えて、更に播種当年には
開花しないが、2年目以降に開花するエゾカンゾウ、オ
カトラノオ、オトコエシ、オミナエシ、クサフジ、コハ
マギク、センダイハギ、トリアシショウマ、ヤナギラ
ン、アヤメ、ノハナショウブ、ヒオウギアヤメから選ば
れた種子の少なくとも2種類を含有する配合種子を、道
路法面および草原若しくは海岸等の裸地化した場所に対
して播種するか、又は、前記配合種子から育成した養成
苗を前記裸地化した場所に植栽し、自然景観の回復を図
りながら、道路法面等の自然植生の復元緑化方法に存す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】ワイルドフラワ−による緑化と
は、自然界に野生種として自生している植物を用い、地
域の生態系を変えることなく、自然生態的、自然景観的
に緑化若しくは復元することにある。従って、日本国内
でワイルドフラワ−を用いて緑化する場合、国外からの
移入種又は園芸的に改良した植物を用いることなく、我
が国に古来から自生する植物を用いて行うことが必要と
なる。
【0017】本発明と従来法との第一の相違点は、生態
系に与える影響評価がある。起用する植物が従来法で
は、国外からの移入種に重点を置いているのに対し、本
発明は、生態系を尊重した手法、即ち我が国古来からの
自生植物を少なくとも2種類以上組合わせて用い、植物
生態系の維持保全を図りながら、自然景観的に緑化する
点にある。
【0018】第二の相違点としてはつぎのことが挙げら
れる。すなわち、植物が道路法面等の侵食防止に最も関
与する因子として根の発育の程度がある。植物には種類
それぞれに1年草、多年草などの生活型が異なる特性が
ある。従来法で使用されている外国からの移入種が60
種類中35種類、すなわち約58%が1年草であること
から、その特性上、根部も含め植物体全体が枯死する。
そのため、道路法面等の侵食防止に役立つ確立は極めて
低いとことが明らかとなっている。これに対し、本発明
は、多年草を100%用いる為、緑化した場合、植物が
長年生き続け、そこで定着することから、当然侵食防止
の効果は高い点にある。
【0019】そこで本発明では、自然界に野生種として
自生する多年生草本植物の中から、侵食防止効果、景観
的に優れ、花色がピンク色、黄色、紫色、白色の4系統
に開花する植物について試験を行い、播種当年に開花す
る植物として、エゾカワラナデシコ(ピンク)、エゾカ
ワラマツバ(淡黄)、エゾノコンギク(青紫)、エゾミ
ソハギ(ピンク)、カワミドリ(赤紫)、ノコギリソウ
(ピンク、紫)、ミヤコグサ(黄)を選定し、また播種
当年には開花しないで2年目に開花する植物としてエゾ
カンゾウ(黄)、オカトラノオ(白)、オトコエシ
(白)、オミナエシ(黄)、クサフジ(赤紫)、コハマ
ギク(白)、センダイハギ(黄)、トリアシショウマ
(淡黄白)、ヤナギラン(ピンク)、アヤメ(紫)、ノ
ハナショウブ(紫)、ヒオウギアヤメ(青紫)を選定し
て、それらの組み合わせについて試験を行った。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例は、試験に先立って、王子製紙株
式会社森林資源研究所栗山研究室(北海道栗山町)で行
った、同社社有林の自生個体から採取した種子からの養
成苗を用いて採種園を造成し、更にそれから得られた種
子を、雪印種苗株式会社中央研究農場(北海道長沼町)
の草原裸地において、1994年5月〜1996年10月の2年6
か月に亘り、播種当年、1年後、2年後と言うように、
種類別の開花率と共に生育状況の調査を実施した、自然
生態的復元緑化技術の開発試験の結果である。
【0021】今回の試験に供した種子を採取した栗山町
の年平均気温、降水量全年値はそれぞれ6.7度、1,
114mmである。また、試験を行った5〜10月の6か
月間平均気温は15.6度、降水量は657mmとなって
いる。一方、開発試験を行った長沼町の気温、降水量を
栗山町同様にみると全年で6.7度、1,066mmであ
る。また、6か月間値では15.4度、645mmとなっ
ており、栗山町と長沼町は隣接していることから気温、
降水量共に大きな違いは認められない(日本気象協会北
海道本部、統計年数27〜30年間値)。
【0022】(供試植物の生育分布)本発明に係る植物
の分布は、19種類中約53%を占める10種類が、北
海道から九州まで分布する。しかし、他の9種類、即ち
エゾカワラマツバ、エゾノコンギク、ノコギリソウ、エ
ゾカンゾウ、コハマギク、センダイハギ、トリアシショ
ウマ、ヤナギラン、ヒオウギアヤメの分布は、本州中部
以北であることから、これらの種類を用いる場合、標高
800m以上で、かつ真夏でも比較的涼しい地帯で用い
ることが好ましい。
【0023】(検定圃場の設定)予め増殖、養成した母
株から1993年秋に採取した植物の種子、すなわちエ
ゾカワラナデシコ、エゾカワラマツバ、エゾノコンギ
ク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリソウ、ミヤコ
グサ、エゾカンゾウ、オカトラノオ、オトコエシ、オミ
ナエシ、クサフジ、コハマギク、センダイハギ、トリア
シショウマ、ヤナギラン、アヤメ、ノハナショウブ、ヒ
オウギアヤメの計19種類を用い、播種後の経過年数と
種類別の開花率を把握することを目的に1994年5月
9日、植物の種類別に基床である草原裸地に播種する方
法で、試験を行った。
【0024】(播種量および管理方法)播種量は、植物
の種類それぞれ300粒を用いて、列間30cm×苗間2
0cmの間隔に、1箇所当たりそれぞれ3粒を蒔付け、発
芽後1本を残し他の2本は間引きした。従って、検定に
用いた個体数は1種類当たり100本、総計1,900
本である。播種後の管理方法は、供試植物が自然生態系
を構成する種類であることから、除草を除いては施肥、
潅水等は一切行っていない。
【0025】(試験項目)上記で播種した植物の種類別
に、今回行った試験の主目的である、播種当年の開花率
と共に、発芽率、健全指数などの生育状況を定期的に調
査した。また、草丈、開花期間については、植物の特性
上、播種当年の個体では正確なデ−タが得られないこと
から、予め養成した母株を用いて調査した。
【0026】(播種当年の調査項目) 1.発芽率:今回の試験に供した種子の発芽率の調査
は、圃場検定に用いた種子同様、1995年秋に採取し
た種子を用い、冬期間の2月1日から4月3日までの6
3日間に亘り、理化学用シヤ−レに濾紙を敷き詰め、水
分補給は不純物を取り除いた純水を用いて行った。調査
に用いた種子粒数は、1シャ−レ当たり26粒で、それ
ぞれ4反復で行った。従って、調査に用いた種子粒数は
1種類当たり104粒で、総計は1,976粒である。
参考として、表1に1g当たりの種子粒数を示す。
【0027】
【表1】
【0028】2.開花率:この項目は、今回行った試験
の目的が播種後の経過年数と種類別のる開花状況の把握
にあることから、最も重要な項目である。発芽個体数に
対する開花した個体数を数え上げ、それによって開花率
を算出した。
【0029】3.健全指数:この項目は、植物それぞれ
が正常に生育している否かを数値で表現するため、予め
表2に示す、最高値を10とした判定基準を作成し、そ
れに基づいて、種類別、個体別に調査した。
【0030】
【表2】
【0031】(母株の調査項目) 4.草丈:公園や住宅団地等の都市空間に対して緑化す
る場合、交通の障害や周辺との調和等、使用する目的に
より草丈も重要な項目であることから、母株を用いて、
開花時に調査した。
【0032】5.開花期間:景観的要素も考えると、花
の咲いている期間も重要なため、草丈同様、母株を用い
て開花期間の調査を行った。上記実施例の、各検定試験
のまとめた結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】(試験結果の項目別詳細)次に、実施例で
行った試験結果の詳細を、別表を用いて、項目別に述べ
ると以下の通りである。尚、本試験は、供試植物19種
類の結果を、相互に対比するため、本発明の第一の発
明、および、第二の発明の二通りの試験を組み合わせて
同時に行ったので、それらを総合して解説する。
【0035】(播種当年の調査結果) 1.発芽率:発芽検定に用いた合計19種類の植物の中
で、発芽率が90%以上の高い値を示した種類を挙げる
と、エゾカワラナデシコの100%を筆頭にエゾノコン
ギク、アヤメ、ノハナショウブ、エゾカワラマツバ、コ
ハマギクで、こられ6種類の平均発芽率は95.7%で
ある。また、これとは反対に、最も低い種類は14.4
%のカワミドリであった。また、発芽率60%以上を示
した種類は供試植物19種類中、約79%の15種類を
占めた。また、全供試植物の平均発芽率は74.1%と
なった。
【0036】2.開花率:ここで述べる開花率とは、発
芽後1本を残し、間引き後の個体数に対する開花した割
合である。 (播種当年開花種と開花率)今回の供試植物19種類の
中で、播種当年の開花率が高い順に挙げるとカワミド
リ、ノコギリソウ、エゾミソハギ、エゾカワラナデシ
コ、ミヤコグサ、エゾノコンギク、エゾカワラマツバ
で、開花率は同様の順に100%、93.7%、76.
7%、62.3%、59.2%、47.6%、26.3
%で、これら7種類の平均開花率は66.5%である。
【0037】(播種2年目開花種と開花率)2年目に開
花した種類を、発芽率の高い順に挙げると、ヤナギラ
ン、センダイハギ、オコトラノオ、クサフジ、オミナエ
シ、コハマギク、オトコエシ、エゾカンゾウ、トリアシ
ショウマで、開花率は同様の順に97.2%、87.4
%、85.4%、63.1%、55.7%、49.8
%、45.5%、43.9%、39.1%で、これら9
種類の平均開花率は63.0%である。
【0038】(播種3年目開花種と開花率)3年目に開
花した種類を、前記同様、開花率の高い順に挙げると、
ノハナショウブ、アヤメ、ヒオウギアヤメの順で、開花
率は同様の順に、77.7%、67.3%、54.9%
で、これら3種平均の開花率は66.6%となった。こ
れによって、今回の供試植物19種類すべてが開花し、
全種類の平均開花率は64.9%の結果となった。尚、
種子発芽率と播種当年の開花率の間に相関は無い。その
理由として、植物それぞれの特性上、発芽から開花まで
の期間が数年を要する種類が有ることによるものであ
る。
【0039】3.健全指数:この項目は、植物それぞれ
が正常に生育しているか否かを数値で表現するため、予
め作成した最高値を10とした判定基準に基づいて、調
査し結果である。その結果、供試植物の全種、即ち19
種類を通じて最高値の10を示した。このことは、全て
の種類が極めて健全に生育していたことを意味するもの
である。
【0040】(母株の調査結果) 4.草丈:植物の大きさは、基床である圃場の良し悪
し、或いは気温、日照時間、降水量等、年毎の気象条件
で大きく左右される。しかし、草丈に最も関与する因子
は、植物それぞれの遺伝的特性にある。今回の試験で
は、供試材料を選定するに当たり、公園や団地周辺等の
都市空間の緑化材料としても使用することを想定し、草
丈が10cm前後から100cm前後まで、異なる種類を用
いて行った。
【0041】その結果、当初の計画通り、植物の種類間
に大きな差異が認められた。その中で、最も草丈の高い
種類を挙げるとヤナギランの120cmであった。次に高
いのはカワミドリ、エゾミソハギ、ノハナショウブ、ト
リアシショウマ、ヒオウギアヤメの順で、草丈は同様の
順に100cm、87cm、85cm、75cm、70cmであ
る。これとは反対に、草丈の最も低い種類はコハマギク
の13cmで、次にミヤコグサの15cm、クサフジの33
cmがある。残る10種類の草丈は45〜65cmの範囲と
なった。
【0042】従来、都市空間や道路法面等の裸地化した
箇所に対して緑化する場合、その材料の全てが外国から
の移入種で、かつ、1年草が約58%を占めていること
から、我が国の生態系に与える影響と共に、法面等の侵
食防止の点から疑問視されていた。これに対し、表3の
試験の結果より、100%我が国に古来から生育する多
年生植物を用いることで、自然生態系の維持保全と共
に、法面等の侵食を防止することが可能となり、復元緑
化技術が大幅に改善された。これによって、従来困難で
あった都市空間や道路法面等に対する生態系の維持保全
を図りながら、自然景観的な復元緑化が可能となった。
【0043】
【発明の効果】以上の結果から、播種当年に開花する草
本植物、即ちエゾカワラナデシコ、エゾカワラマツバ、
エゾノコンギク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリ
ソウ、ミヤコグサから選ばれた、少なくとも2種類の混
合種子を用い、自然生態系を尊重した手法で、道路法面
および草原若しくは海岸等の裸地化した場所に対し、種
子を吹き付け、又は、前記混合種子から育成した養成苗
を植栽した場合、自然景観的に植生を回復させる上で、
極めて有効であることが明らかとなった。
【0044】また、上記播種当年に開花する草本植物、
即ちエゾカワラナデシコ、エゾカワラマツバ、エゾノコ
ンギク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコギリソウ、ミ
ヤコグサの混合種子に、さらに播種2年目に開花する草
本植物の2種類以上の種子を配合した配合種子、又は該
配合種子から育成した養成苗を用いた場合にはさらに好
ましい結果が得られることが明らかとなった。以上のよ
うに、本発明は、従来道路法面や都市空間等に対して緑
化する場合、困難であった生態系の維持保全技術と共
に、侵食防止技術を飛躍的に改善することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 太郎 北海道夕張郡長沼町字幌内1066 雪印種苗 株式会社研究本部中央研究農場内 (72)発明者 高山 光男 北海道夕張郡長沼町字幌内1066 雪印種苗 株式会社研究本部中央研究農場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エゾカワラナデシコ、エゾカワラマツ
    バ、エゾノコンギク、エゾミソハギ、カワミドリ、ノコ
    ギリソウ、ミヤコグサから選ばれた少なくとも2種類の
    播種当年に開花する草本植物の混合種子を、道路法面、
    草原又は海岸等の裸地化した場所に対して播種するか、
    又は、前記混合種子から育成した養成苗を前記裸地化し
    た場所に植栽することを特徴とする自然植生の復元緑化
    方法。
  2. 【請求項2】 前記播種当年に開花する草木植物の混合
    種子に加えて、更に播種当年には開花しないが、2年目
    以降に開花するエゾカンゾウ、オカトラノオ、オトコエ
    シ、オミナエシ、クサフジ、コハマギク、センダイハ
    ギ、トリアシショウマ、ヤナギラン、アヤメ、ノハナシ
    ョウブ、ヒオウギアヤメから選ばれた種子の少なくとも
    2種類を含有する配合種子を播種するか、又は前記配合
    種子から育成した養成苗を植栽することを特徴とする請
    求項1に記載の自然植生の復元緑化方法。
JP9020883A 1997-01-21 1997-01-21 自然植生の復元緑化方法 Pending JPH10201365A (ja)

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JP (1) JPH10201365A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1021946A3 (de) * 1999-01-19 2000-12-27 Maren Prof. Dr. c/o Universität Essen Fachbereich 9 Jochimsen (Biologie) Pflanzensoziologie und Ökologie Saatmischung zur Rekultivierung von Problemflächen
JP2002250139A (ja) * 2001-02-27 2002-09-06 Sekisui House Ltd 住宅庭園の設計システム
JP2009074262A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Sumitomo Forestry Co Ltd 庭造り工法
CN104054551A (zh) * 2014-06-04 2014-09-24 中国林业科学研究院森林生态环境与保护研究所 一种寒温带杜鹃兴安落叶松林火烧迹地火后恢复方法
CN106069027A (zh) * 2016-06-16 2016-11-09 南京中医药大学 一种藿香盆栽的全年高效培育方法
CN107980471A (zh) * 2017-12-11 2018-05-04 湖北科技学院 一种白花败酱草和葡萄的套种方法
CN108651175A (zh) * 2018-03-30 2018-10-16 中国农业科学院兰州畜牧与兽药研究所 一种近自然修复鼠害退化草地的方法
CN113197049A (zh) * 2021-05-08 2021-08-03 甘孜藏族自治州林业科学研究所 一种高原花卉育苗方法

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