JPH10159763A - スクリュー圧縮機の油分離器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で、油分離チャンバの内壁面で分
離された油滴が再びガスと共に下流側へ流れるのを防止
できる油分離効果が優れたスクリュー圧縮機の油分離器
を提供しようとするものである。 【解決手段】 吐出ガス通路１５を、油分離チャンバの
半径方向に開口すると共に、吐出ガスの軸方向の流れを
制限する遮蔽板７を取り付け、吐出ガス通路開口方向の
油分離チャンバ５と吐出ケーシング４間の隙間を実質的
にガスの下方向への流れを制限するよう小さく形成し、
さらに、吐出ガス通路開口部の、吐出ケーシングと油分
離チャンバの間に形成される空間に油分離エレメント２
７を設ける。 【効果】 油分離チャンバの壁に衝突して滴下する油が
再びガスの流れに乗って、下流側へ流出するのを防止で
き、油分離効果を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍、空調装置等
に用いられるスクリュー圧縮機の油分離器に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のスクリュー圧縮機用油分
離器としては、例えば特開平２ー２８７０６７号公報に
記載されるように、第１油分離器体と第２油分離器体の
間に案内板を設け、ガスが油溜まり部方向に流れるよう
に構成された油分離器が、また、特開平３ー１５６９４
号公報に記載されるように、吐出ケーシングの油分離チ
ャンバ内に開口する吐出口を油分離チャンバの内周壁面
に向けて開口し、吐出口から吐出されるガスを油分離チ
ャンバの内壁面に衝突させて油を分離する構造等が提案
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、構
造が複雑となり、また油面高さが高いときは、圧縮機の
出口側に冷媒と共に持ち去られる油量が大となる問題が
あり、また、油分離チャンバの内壁面に衝突した後のガ
スの流れについては考慮されておらず、油分離チャンバ
の内壁面で分離された油滴が再びガスと共に下流側へ流
れるという問題があった。

【０００４】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、構造が簡単で、かつ油分離効
果が優れたスクリュー圧縮機の油分離器を提供しようと
するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、請求項１においては、雄、雌のスクリ
ューロータを複数の軸受を介して回転自在に収容するメ
インケーシング、メインケーシングに固着されガスの吐
出通路を備えた吐出ケーシング、吐出ケーシングを包囲
するように配設され内部に油分離エレメントを備えた円
筒状の油分離チャンバを有するスクリュー圧縮機の油分
離器において、吐出ケーシングに形成された吐出ガス通
路が、油分離チャンバの半径方向に開口すると共に、吐
出ガスの軸方向の流れを制限する遮蔽板を吐出ケーシン
グに取り付けたものである。

【０００６】また、請求項２においては、請求項１に記
載のスクリュー圧縮機の油分離器において、吐出ケーシ
ングに形成された吐出ガス通路開口方向の油分離チャン
バと吐出ケーシング間の隙間が実質的にガスの下方向へ
の流れを制限するよう小さく形成したものである。

【０００７】また、請求項３においては、請求項１、又
は請求項２に記載のスクリュー圧縮機の油分離器におい
て、吐出ケーシングに形成された吐出ガス通路開口部
の、吐出ケーシングと油分離チャンバの間に形成される
空間に油分離エレメントを設けたものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。

【０００９】図１は、本発明を適用した密閉形電動スク
リュー圧縮機の縦断面構造、図２は、図１のＡ−Ａ線に
沿ったスクリュー圧縮機の断面構造図を示す。ここで、
図１と図２の同一部分は同一符号で示してある。

【００１０】スクリュー圧縮機は、互いに密封関係に接
続されたメインケーシング１、ガス導入口２０を有する
吸入カバ３、吐出ケーシング４、及びガス導出口２１を
有する油分離チャンバ５を有している。メインケーシン
グ１にはモータ２を収納すると共に、円筒状ボア１１、
及びガスを円筒状ボアに導入する吸入ポート１２が形成
されている。円筒状ボア１１には軸受１３、１４で回転
可能に支えられた雄ロータ６、及び雌ロータ（図示せ
ず）が互いに噛み合わせて収納され、雄ロータ６の軸は
モータ２に直結されている。

【００１１】軸受１４を収納する吐出ケーシング４に
は、円筒状ボア１１と油分離チャンバ５を連通し、油分
離チャンバ５の半径方向に開口するガスの吐出通路１５
が形成され、ケーシング４はボルト等の手段によりメイ
ンケーシング１に固定されている。また、吐出ケーシン
グ４の一端には、軸受１４を収納する軸受室１６を閉止
すると共に、吐出通路１５から流出した吐出ガスの軸方
向流れを制限する遮蔽板７が取り付けられている。

【００１２】油分離チャンバ５の内部には油分離エレメ
ント８が設けられ、チャンバ５は吐出ケーシング４を包
囲するようにボルト等の手段によりメインケーシング１
に固定され、その底部には潤滑油９が溜められている。

【００１３】メインケーシング１および吐出ケーシング
４内には給油通路が形成されており、油分離チャンバ５
の下部と、各軸受部を連通するように構成されている。

【００１４】次に、以上のように構成された本実施形態
の作用について説明する。

【００１５】モータ２によって雄ロータ６が駆動される
と、低圧の吸入ガスはガス導入口２０からメインケーシ
ング１内に流入し、モータ２部を通って吸入ポート１２
から円筒状ボア１１に流入する。ガスは、雄ロータ６、
及び雌ロータ（図示せず）により圧縮されて高圧とな
り、吐出通路１５を通って、油分離チャンバ５内へ吐き
出される。ここで、吐出ガス中には、軸受の潤滑に供給
された油が含まれている。

【００１６】油を含んだ吐出ガスは、ガスの吐出通路１
５が油分離チャンバ５の半径方向に開口していること、
また、ガスの軸方向流れを制限する遮蔽板７が設けられ
ていることにより、油分離チャンバ５の半径方向に向か
って流出する。吐出ガス中に含まれる油は、油分離チャ
ンバ５の内壁に衝突することにより、大部分がガスから
分離されて滴下し、油分離チャンバ５の下部に溜まる。
残りの少量の油を含んだガスは、遮蔽板７と油分離チャ
ンバ５の間に形成された通路を通って、油分離エレメン
ト８部へ到り、ここでさらにガスから油が分離捕集され
る。油は、重力によって滴下し油分離チャンバ５の下部
に溜まり、ガスのみがガス導出口２１から流出する。

【００１７】油分離チャンバ５の下部に溜まった油９
は、メインケーシング１および吐出ケーシング４内に形
成された給油通路を通って、各軸受部へ供給され、軸受
１３、１４を潤滑した後ガスと共に圧縮、吐出されるよ
うになっている。

【００１８】本実施形態では、上記説明したように、吐
出ガス通路１５が油分離チャンバ５の半径方向に開口し
たこと、またガスの軸方向流れを制限する遮蔽板７を設
けたことにより、簡単な構造で、かつ油分離効果が優れ
たスクリュー圧縮機の油分離器が得られる。

【００１９】次に本発明の他の実施形態について図面を
参照して説明する。図３は、本実施形態のスクリュー圧
縮機の断面図を示したものであり、前記実施形態におけ
る図２と同一の符号は同一のものを示し、その詳細な説
明は省略する。

【００２０】図３において、スペーサ２５は、ネジ２６
によって吐出ケーシング４に取り付けられており、スペ
ーサ２５と油分離チャンバ５の距離ｘは、実質的にガス
の下方向への流れを制限し、油分離チャンバ５の内壁に
衝突することによってガスから分離された油が下部へ滴
下するのに必要なだけ小さな隙間が保たれるように形成
されている。

【００２１】このように構成されたスクリュー圧縮機の
油分離器においても、前記実施形態と同様に、油を含ん
だ吐出ガスは、吐出ガス通路１５が油分離チャンバ５の
半径方向に開口していること、またガスの軸方向流れを
制限する遮蔽板７が設けられていることにより、油分離
チャンバ５の半径方向に向かって流出する。吐出ガス中
の油は、油分離チャンバ５の内壁に衝突することによ
り、大部分がガスから分離される。ここで、スペーサ２
５と油分離チャンバ５との距離ｘは、油が下部へ滴下す
るのに必要なだけ小さな隙間に形成されているから、油
は滴下して油分離チャンバ５の下部に溜まるが、ガスは
下方向へは流れず油分離チャンバ５の上側の空間を通っ
て流れる。従って、油分離チャンバ５の内壁に衝突して
滴下する油が再びガスの流れに乗って、下流側へ流出す
るのを防止でき、油分離効果の優れた油分離器を提供で
きる。

【００２２】なお、本実施形態では、スペーサ２５を吐
出ケーシング４とは別部品としたが、吐出ケーシング４
と一体に構成しても本発明の範囲に含まれることは明ら
かである。

【００２３】次に本発明のさらに他の実施形態について
図面を参照して説明する。図４は、本実施形態のスクリ
ュー圧縮機の断面図を示したものであり、前記実施形態
における図２、図３と同一の符号は同一のものを示し、
その詳細な説明は省略する。図４において、吐出ガス通
路１５の開口部の吐出ケーシング４と油分離チャンバ５
の間に形成される空間には前記油分離エレメント８と同
様の油分離エレメント２７が設けられている。油分離エ
レメント２７は、最小限吐出通路１５の開口部を覆うサ
イズとされるが、半径方向には、図４に示されるように
チャンバ５の内壁に達するまで、また軸方向には、図１
においてメインケーシング１右端から遮蔽板７に至るま
での適宜サイズの大きさとすることができる。

【００２４】このように構成されたスクリュー圧縮機の
油分離器においても、前記実施形態と同様に、油を含ん
だ吐出ガスは、吐出ガス通路１５が油分離チャンバ５の
半径方向に開口していること、また、ガスの軸方向流れ
を制限する遮蔽板７が設けられていることにより、油分
離チャンバ５の半径方向に向かって流出する。吐出ガス
中の油は、油分離エレメント２７で捕集されると共に、
油分離チャンバ５の内壁に衝突することにより、大部分
がガスから分離される。前記実施形態では、油分離チャ
ンバ５の内壁に衝突した油の一部が飛散してガスと共に
下流側へ流出することもあるが、本実施形態では、飛散
した油も油分離エレメント２７で再び捕集できるからさ
らに油分離効果の優れた油分離器を提供することができ
る。

【００２５】

【発明の効果】このように本発明では、、吐出ケーシン
グに形成された吐出ガス通路が、油分離チャンバの半径
方向に開口し、吐出ガスの軸方向の流れを制限する遮蔽
板を吐出ケーシングに取り付けたから、構造が簡単で、
かつ油分離効果が優れたスクリュー圧縮機の油分離器が
得られる。

【００２６】また、吐出ケーシングに形成された吐出ガ
ス通路開口方向の油分離チャンバと吐出ケーシング間の
隙間が実質的にガスの下方向への流れを制限するよう小
さく形成したから、油分離チャンバの壁に衝突して滴下
する油が再びガスの流れに乗って、下流側へ流出するの
を防止でき、油分離効果の優れた油分離器を提供でき
る。

【００２７】さらに、吐出ケーシングに形成された吐出
ガス通路開口部の、吐出ケーシングと油分離チャンバの
間に形成される空間に油分離エレメントを設けたから、
油分離チャンバの壁に衝突した油の一部が飛散してガス
と共に下流側へ流出するのを防止でき、さらに油分離効
果の優れた油分離器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す密閉形電動スクリュー
圧縮機の縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図３】本発明の他の実施形態を示す密閉形電動スクリ
ュー圧縮機の断面図である。

【図４】本発明のさらに他の実施形態を示す密閉形電動
スクリュー圧縮機の断面図である。

【符号の説明】

１…メインケーシング ４…吐出ケーシン
グ ５…油分離チャンバ ６…雄ロータ ７…遮蔽板 ８…油分離エレメ
ント ９…油 １５…吐出通路 ２５…スペーサ ２６…ネジ ２７…油分離エレメント

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 雄、雌のスクリューロータを、複数の軸
   受を介して回転自在に収容するメインケーシング、メイ
   ンケーシングに固着され、ガスの吐出通路を備えた吐出
   ケーシング、吐出ケーシングを包囲するように配設さ
   れ、内部に油分離エレメントを備えた円筒状の油分離チ
   ャンバを有するスクリュー圧縮機において、吐出ケーシ
   ングに形成された吐出ガス通路が、油分離チャンバの半
   径方向に開口すると共に、吐出ガスの軸方向の流れを制
   限する遮蔽板を吐出ケーシングに取り付けたことを特徴
   とするスクリュー圧縮機の油分離器。
2. 【請求項２】 吐出ケーシングに形成された吐出ガス通
   路開口方向の油分離チャンバと吐出ケーシング間の隙間
   が実質的にガスの下方向への流れを制限するよう小さく
   形成されたことを特徴とする請求項１に記載のスクリュ
   ー圧縮機の油分離器。
3. 【請求項３】 吐出ケーシングに形成された吐出ガス通
   路開口部の、吐出ケーシングと油分離チャンバの間に形
   成される空間に油分離エレメントを設けたことを特徴と
   する請求項１、又は請求項２に記載のスクリュー圧縮機
   の油分離器。