JPH10147828A - 電気導体部品用アルミニウム合金鋳物、交流モーターローター鋳物、及び前記鋳物の製造方法 - Google Patents

電気導体部品用アルミニウム合金鋳物、交流モーターローター鋳物、及び前記鋳物の製造方法

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JPH10147828A
JPH10147828A JP23876397A JP23876397A JPH10147828A JP H10147828 A JPH10147828 A JP H10147828A JP 23876397 A JP23876397 A JP 23876397A JP 23876397 A JP23876397 A JP 23876397A JP H10147828 A JPH10147828 A JP H10147828A
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JP
Japan
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casting
aluminum alloy
electric conductor
aluminum
alloy casting
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JP23876397A
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Shoichi Sakota
正一 迫田
Akira Hideno
晃 秀野
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気導体部品用アルミニウム合金鋳物、交流
ローターモーター鋳物、および前記鋳物の製造方法を提
供する。 【解決手段】 Siを0.05〜0.5wt%、Feを0.1 〜1.0wt%、
Bを 0.002〜0.1wt%含み、導電率60%IACS以上を有する
電気導体部品用Al合金鋳物。前記合金にさらにZrを0.05
〜0.2 wt% 含み導電率60%IACS以上を有する電気導体部
品用Al合金鋳物。前記Al合金溶湯を鋳型内に充満させた
後、加圧力50MPa以上の高圧下で凝固させて得られ
たアルミニウム合金鋳物に温度400〜550℃で時間
1.8×103 秒以上保持する熱処理を施す前記鋳物の
製造方法。 【効果】 低純度Al地金の使用が可能となり、肉厚変
動の大きい部品であっても鋳造欠陥が少なく、高導電率
の鋳物部品または高温強度と導電率に優れる鋳物部品が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気導体部品用ア
ルミニウム合金鋳物、交流モーターローター鋳物、及び
前記鋳物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大容量電力ケーブルの分岐点、接
続部に用いられる導体には導電性の良好な銅材料が使用
されてきたが、最近では、このような導体部品の設置、
交換、メンテナンス等の作業性を改善するために比較的
安価で軽量なアルミニウム導体部品が多用されるように
なってきた。しかし、アルミニウム導体部品を使用する
場合はアルミニウムの導電率が銅に比して小さいことに
よる通電の電力損失を小さくするために、60%IAC
S以上の導電率を有するものや、さらにこれにZrを添
加して、導電率45%以上とやや低いが、耐熱性を向上
させたもの等が要求されるようになってきた。このため
に、工業用アルミニウム地金として一般的に使用される
地金純度(99.7%以上)よりも高い99.8%以上
の純度をもつ地金が使用される。
【0003】このような導体部品は複雑な形状を必要と
するため、ブロック、管、或いは棒を素材として使用す
ると多くの機械加工を行わなければならないため、ニア
ネット形状の鋳物を作製し、機械加工を出来るだけ少な
くして製品形状に仕上げる方法が採られている。しか
し、導電性の良好な純度の良いアルミニウム材料は鋳造
性が悪く、欠陥の少ない健全な鋳物の鋳造は困難とされ
てきた。このためアルミニウム導電部品の鋳造には凝固
速度の遅い砂型或いは金型による重力鋳造法が採用され
ている。高強度、耐圧性、機密性を要する自動車部品或
いは自動車用ホイール等に使用するために高圧鋳造法を
採用して鋳造欠陥を防止する製造方法も一部では行われ
ているが、この場合は鋳造溶湯の流動性を確保するため
に鋳物用Al−Si合金が用いられている。しかし、こ
のような合金では電気導体として十分な導電性が確保で
きないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】不純物が少なく添加元
素を含まない純度の良いアルミニウムは溶融温度が高
く、固相と液相の共存温度範囲が狭いため鋳造性が悪
い。このため、鋳物の肉厚差の大きい部位では凝固割れ
が、最終凝固部となる厚肉部では引巣が、更に引巣の発
生に起因する外引け等の外観不良が発生しやすい。この
ような鋳造欠陥の発生を回避するため、従来の導体部品
用アルミニウム鋳物の製造では、押湯部を大きくして押
湯の効果を高め、更に製品の形状によっては製品部の肉
厚を必要以上に大きく取らざるを得ないという問題があ
った。このため肉厚の変化の大きな導体用部品に対して
は十分なニアネット形状の鋳物を得ることができず、し
かも押し湯部を大きく取らなければならない為、機械加
工工数の十分な削減ができず、したがって、歩留りも良
好とは云えなかった。また、ミクロシュリンケージ、ブ
ローホール等の内部欠陥の防止も困難で、溶湯中の溶存
ガス量、鋳造条件等に厳しい管理を必要とした。
【0005】このような鋳造欠陥を出来るだけ少なくす
るため、従来は砂型或いは金型による重力鋳造法が使用
されているが、これらの鋳造法では凝固冷却速度が遅い
ため、凝固セルサイズが粗大化し、セル境界上にガスポ
ロシティが集中する組織が生じやすくなる。このような
組織が生成すると、例えば圧縮端子のようにかしめ等の
塑性加工を行って電力ケーブルに接続する場合には、セ
ル境界を起点とするクラックが生じて、電力ケーブルの
締付け力が低下する恐れがある。また、導体製品中に絶
縁材としてグリース或いは不活性ガスを封入する場合に
はこれらが流出して不具合を発生する懸念がある。この
ような問題を防止するために、Al−Ti或いはAl−
Ti−B系の組織微細化剤を添加して凝固セル組織を微
細化し、ガスポロシティを分散させることも行われてい
るが、このような微細化剤の添加は導電率及び加工性を
低下させる弊害を伴う。このため、従来から導電性と加
工性とを共に満足し、更により安価な純度の低いアルミ
ニウム地金の使用を許容しうる電気導体部品用アルミニ
ウム鋳物が望まれていた。
【0006】また、耐熱性を有する電気導体部品として
は交流モーターローターがあり、近年高回転、大出力の
傾向にあり、耐熱性を有するアルミニウム合金及びその
特性を生かせる製法が必要となっている。特に、高回転
モーターではローターの動バランスが振動、ひいてはモ
ーター自体の信頼性に大きな影響を及ぼす。動バランス
の良否はローターの健全性に依存しており、内部欠陥の
ない動バランスに優れた安価な交流モーターローター鋳
物が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題解決
のため、広範囲に及ぶ鋳造方法の検討とこれによって得
られた鋳物の特性と欠陥の発生状況の関係を丹念に調査
し、更に鋳物の特性の改善方法について鋭意研究を行っ
た結果完成に至ったものである。
【0008】本発明に係る電気導体部品用アルミニウム
合金鋳物とその製造方法について、以下に詳細に説明す
る。まず、請求項1の発明は、Si;0.05〜0.5
%、Fe;0.1〜1.0%、B;0.002〜0.1
%(以下、%はいずれも重量%を示す)を含み、導電率
60%IACS以上を有することを特徴とする電気導体
部品用アルミニウム合金鋳物である。
【0009】請求項2の発明は、Si;0.05〜0.
5%、Fe;0.1〜1.0%、B;0.002〜0.
1%、Zr;0.05〜0.2%(%はいずれも重量%
を示す)を含み、導電率45%IACS以上を有するこ
とを特徴とする電気導体部品用アルミニウム合金鋳物で
ある。
【0010】請求項3の発明は、Si;0.05〜0.
5%、Fe;0.1〜1.0%、B;0.002〜0.
1%(%はいずれも重量%を示す)を含み、残部アルミ
ニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金溶
湯を鋳型内に充満させた後、加圧力50MPa以上の高
圧下で凝固させて得られたアルミニウム合金鋳物に温度
400〜550℃で時間1.8×103 秒以上保持する
熱処理を施すことを特徴とする電気導体部品用アルミニ
ウム合金鋳物の製造方法である。
【0011】請求項4の発明は、Si;0.05〜0.
5%、Fe;0.1〜1.0%、B;0.002〜0.
1%、Zr;0.05〜0.2%(%はいずれも重量%
を示す)を含み、残部アルミニウム及び不可避的不純物
からなるアルミニウム合金溶湯を鋳型内に充満させた
後、加圧力50MPa以上の高圧下で凝固させて得られ
たアルミニウム合金鋳物に温度400〜550℃で時間
1.8×103 秒以上保持する熱処理を施すことを特徴
とする電気導体部品用アルミニウム合金鋳物の製造方法
である。
【0012】請求項5の発明は、Si;0.05〜0.
5%、Fe;0.1〜1.0%、B;0.002〜0.
1%、Zr;0.05〜0.2%(%はいずれも重量%
を示す)を含み、残部アルミニウム及び不可避的不純物
からなるアルミニウム合金溶湯を鋳型内に充満させた
後、加圧力50MPa以上の高圧下で凝固させて得られ
たアルミニウム合金鋳物に温度400〜550℃で時間
1.8×103 秒以上保持する熱処理を施して得られる
交流モーターローター鋳物である。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、成分の限定理由について述
べる。Fe及びSi;Fe及びSiは凝固時にアルミニ
ウムと融点の低い共晶融液を生成し、この共晶融液が押
し湯効果の作用をもつ為、ミクロポロシティ、凝固割れ
等の鋳造欠陥の防止に有効に作用する。この鋳造欠陥防
止の効果を得るためにはSiを0.05%、Feを0.
1%以上添加する必要がある。しかし、Siが0.5%
を超え、Feが1.0%を超えると導電率が低下し、電
気導体として必要な導電性が得られないため、Feの添
加量の上限を1.0%とし、Siの添加量の上限を0.
5%とする。
【0014】B;Bは溶湯中でTi、V等の導電率を低
下させる遷移元素と化合物を形成する。この化合物は溶
湯中に沈降して、除去されるため、Bは導電率向上の作
用を有する。また、Bは高圧下で鋳造する際に微細化剤
として作用し、凝固組織を微細化し鋳造割れを防止する
のに有効である。しかし、添加量が0.002%以下で
は微細化の効果が十分でなく、0.1%を超えると形成
される化合物が粗大になり、これが鋳物の中に混入する
と機械的性質及び加工性を低下させる。
【0015】その他,アルミニウムに含まれる上記以外
の不可避的不純物は0.01%以下に規制することが好
ましい。特に、アルミニウム中で固溶体として存在して
導電率の低下に大きい影響を及ぼすMn、Cr、Ti、
Zrなどの元素の許容存在量は導電率を60%IACS
を目標とする第1の発明及び第3の発明では、0.01
%以下とすることが望ましい。
【0016】また、導電率45%IACSを目標とする
と同時に耐熱性を向上させた第2の発明及び第4の発明
でも、前記不可避的不純物のうちのMn、Cr、Tiは
0.01%以下とするのが望ましい。Mn、Cr、Ti
を0.01%以下とするのは、第1、第3の発明と同
様、アルミニウム中で固溶体として存在して導電率の低
下に著しい影響を及ぼすからである。Zrは、Al3
rの金属間化合物粒子としてAlマトリックス中に微細
析出物として析出してアルミニウム合金の耐熱性を向上
させる。さらにBを添加することによりZrB2 の微細
化合物が析出して、微細化剤としての作用とともに、A
3 Zrと同様に耐熱性を向上させる。この耐熱性の向
上機構は、前記析出粒子は、150℃程度のモーターロ
ーターの使用温度では再固溶しないという、いわゆる粒
子分散型の強化機構に基づくものである。Zrを0.0
5〜0.20%添加するのは、0.05%未満では十分
な耐熱性が得られず、0.20%を超えると導電率だけ
でなく、靱性等の機械的特性も低下するからである。
【0017】次に、本発明のアルミニウム鋳物の製造方
法の限定理由について述べる。本発明の組成を有する合
金を鋳造して金型に充満させた後、50MPa以上の高
圧下で加圧凝固させる必要がある。加圧力が50MPa
未満では引け巣、鋳造割れ等が多発し、機械的性質及び
導電率が低下するので、50MPa以上の加圧力が必要
である。加圧力は設備能力のうえで可能であれば大きい
ほど望ましく上限を設ける必要はない。
【0018】本発明では特に限定しないが、ガスポロシ
ティ等の溶湯中の溶存ガスに起因する鋳造欠陥の発生を
防止するために、本発明における鋳造温度は、金型に充
填する注入湯口部での温度が液相線温度以上で、かつ液
相線温度に100℃を加えた温度以下の範囲とすること
が望ましい。これは湯口部での溶湯の注入温度が液相線
に100℃を加えた温度を超えると溶湯中の溶存ガス量
が増加して、凝固後の材料組織にミクロポロシティを生
じやすくなる為である。また、注入温度が液相線温度以
下では鋳造加圧力の伝播が行われ難くなり、加圧の効果
が減少して引け巣を生じやすくなるので好ましくない。
また、溶湯中の溶存ガス量は0.2cc/100g以下
にすることが望ましい。溶湯中の溶存ガス量が0.2c
c/100gを超えると凝固後の材料内に残存してガス
ポロシティが発生しやすくなるからである。
【0019】請求項3の発明における熱処理は、Fe、
Si及びその他の不可避的不純物を析出させて電気導体
として必要な導電率60%IACS以上を得るために行
う。Fe、Si及びその他の不可避的不純物は鋳造のま
まではマトリックス中で過飽和固溶状態となって存在
し、固溶状態で存在する元素は導電率を低下させるから
である。この発明で、熱処理を400〜550℃の温度
範囲で行う理由は、熱処理温度が400℃未満では析出
効果が不十分で60%IACS以上の導電率が得られ
ず、熱処理温度が550℃を超えると却って固溶が促進
されて導電率の低下をきたすためである。
【0020】請求項4の発明における熱処理は、Fe、
Si及びその他の不可避的不純物を析出させて交流モー
ターローターなどの電気導体として必要な導電率45%
IACS以上を得るために行う。この導電率の回復理
由、および前記熱処理を400〜550℃の温度範囲で
行う理由は、前記請求項3の発明で述べたのと同じであ
る。
【0021】前記熱処理では、請求項3、4とも、保持
時間を1.8×103 秒以上とするが、その理由は、
1.8×103 秒未満では鋳物全体にわたって十分な析
出が行われず、製品の厚肉部で十分な導電率が得られな
いなどの場所による品質の変動が生じ品質が不均一にな
るからである。加熱温度が400〜550℃の温度範囲
内ならば、長時間の加熱を行うほど析出はより進行する
ので、熱処理時間は長くても良いが、保持時間の上限は
生産能率を考慮して適宜決めればよい。
【0022】
【実施例】
(実施例1)請求項1の発明に関する実施例に基づき更
に本発明の詳細な説明を行う。表1に示す組成のアルミ
ニウム合金を通常の方法により溶解し、溶湯温度720
℃で30分間のArガスバブリングによる脱ガス処理を
行った後、表2に示す鋳込み条件で加圧鋳造を行い、図
1に示す形状の電気導体部品用鋳物(電線接続金具)を
作製した。図1で(A)は平面図、(B)は側面図であ
る。図2に用いた鋳造装置の断面図を示す。鋳造装置は
金型1、製品形状部2、溶湯補給路3、一定量の溶湯を
注湯する射出スリーブ4、溶湯を金型キャビティ内に充
填・加圧するプランジャーチップ5からなっており、前
記射出スリーブ4はプランジャースリーブ4aと該プラ
ンジャースリーブ4aの内面を被覆するセラミックライ
ニング4bから構成されている。金型1には、射出充填
時に水冷を行う水冷パイプ6が設けられている。注入湯
口部の温度、即ち鋳込み直前の温度は溶湯を射出プラン
ジャー内へ注湯し、溶湯補給路3に設置した熱電対7を
用いて測定した。
【0023】得られた鋳物の湯口部を切断除去した後、
蛍光浸透探傷試験を行って鋳物表面の凝固割れの有無を
調査し、更に試験片の中央断面を研磨して、引け巣の有
無を実体顕微鏡を用いて観察した。更に、表2に示す方
法で作製した鋳物に表2に併記した条件で熱処理した
後、JIS14号(A)引張り試験片(平行部径10m
m、平行部長さ70mm)を、図1の点線で示す位置よ
り、それぞれの試験体(鋳物)から4本づつ採取し、引
張強さ、伸び及び導電率を測定した。結果を表2に示し
た。
【0024】
【表1】 (注)※従来例、*Al純度99.8wt% 以上。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】 (注)−−は鋳造欠陥が多く発生し、引張り試験が不可能だったことを示す。 従来例の試験No.19 の製造条件の欄は条件不明のため空欄にしてある。
【0027】表2、3より明らかなように、本発明例の
試験No1〜10は材料成分及び製造条件共に本発明の範
囲内の条件で行ったもので、50MPa以上の高圧下で
鋳造を行い、400〜550℃で1.8×103 秒以上
の熱処理を行っている。試験No19は従来法によったも
ので、純度の高いアルミニウム地金を使用して砂型重力
鋳造法によったものである。本発明の材料成分及び製造
方法による試験No1〜10の結果は、Fe、Si等の元
素量が従来例の合金No10に含まれる量より多いにも拘
わらず、従来法による製品と同等或いはそれ以上の60
%IACSを超える導電率を示し、引張強さ及び伸びは
従来法によるよりも優れた結果が得られている。
【0028】表3の比較例のうち試験No11〜14は、
製造方法は本発明の方法によって行ったが、材料成分が
本発明の成分範囲を満たしていない。即ち、試験No11
はFeの成分が本発明の下限を満たさないもので、凝固
割れ及び引け巣が多く発生したため引張り試験に耐える
試験片の採取が出来なかった。試験No12はFe及びS
iを過剰に含むもので鋳造欠陥の発生は認められなかっ
たが、低い導電率しか得られなかった。試験No13、1
4はそれぞれBを添加しないものと過剰に添加したもの
であるが、B無添加の試験No13は組織の微細化が行わ
れず鋳造欠陥が発生したため引張り試験が行えず、試験
No14はBの過剰添加のため低い導電率しか得られなか
った。
【0029】比較例15〜18は用いた材料の成分はい
ずれも本発明の範囲内にあるが、製造方法が本発明の範
囲を外れるものである。即ち、試験No15は加圧力が不
足して鋳造欠陥が発生し、試験No16及び17は熱処理
温度が本発明の範囲外であるため導電率を改善する効果
が得れず、比較例試験No18は熱処理時間が不足して析
出効果が得られないため導電率の改善が得られなかっ
た。
【0030】(実施例2)請求項4の発明に関する実施
例に基づき更に本発明の詳細な説明を行う。表4に示す
組成のアルミニウム合金を通常の方法により溶解し、溶
湯温度720℃で30分間のArガスバブリングによる
脱ガス処理を行った後、表5に示す条件で加圧鋳造を行
い、交流モーターローター鋳物を作製した。この鋳物
は、図3(A)に示すコア素材21を所定枚数重ねたロー
ターコア22の穴23に、アルミニウム合金溶湯を鋳込んで
ローターバー(図示せず)を形成し、図3(B)に示す
エンドリング(ローターバーの両端を短絡するリング)
24を、前記ローターバーと一体にアルミニウム合金溶湯
を鋳込んで形成したものである。図3(B)で25は軸棒
である。図4は、図3(B)に示した交流モーターロー
ター鋳物の鋳込み工程の説明図である。コア素材21を所
定枚数重ねたローターコア22を上型31と下型32からなる
金型33内に設置し、アルミニウム溶湯を湯口34から注入
し、エンドリング相当部35、36とローターバー相当部37
にアルミニウム溶湯を高圧をかけて充満させたのち、凝
固させる。溶湯を注湯する射出スリーブ、溶湯を金型キ
ャビティ内に充填・加圧するプランジャーチップ、金型
を水冷するパイプなどは図示を割愛した。
【0031】得られた交流モーターローター鋳物につい
て、蛍光浸透探傷試験を行って鋳物表面の凝固割れの有
無を調査し、更に試験片の中央断面を研磨して、引け巣
の有無を実体顕微鏡を用いて観察した。更に、得られた
交流モーターローター鋳物に表5に併記した条件で熱処
理した後、試験片を切出し、導電率、引張強さ、高温
(150℃)引張強さを測定した。結果を表5に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】 (注)目標値を外れた数値にはアンダーラインを付してある。
【0034】表5より明らかなように、本発明例の試験
No20〜23は、導電率、機械的性質の全てが目標値を
クリアしている。これに対して、比較例の試験No24〜
27はZrの添加量が本発明の範囲から外れるもので、
いずれも高温引張強さが低くまた室温と高温の引張強さ
の差が大きい。さらに過剰なZr添加は導電率が著しく
低下している。
【0035】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
従来の方法によるよりも純度の低いアルミニウム地金の
使用が可能となり、肉厚変動の大きい部品であっても鋳
造欠陥が少なく、安定して高い導電率をもつ鋳物部品ま
たは高温強度(耐熱性)と導電率に優れた鋳物部品が得
られるという効果を奏する。従って、本発明は電気導体
用アルミニウム鋳物部品の品質及び経済性の向上に顕著
な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における電気導体部品用アルミ
ニウム鋳物の形状と試験片の採取位置を示す図で、Aは
平面図、Bは側面図である。
【図2】図1に示すアルミニウム鋳物の製造に用いた加
圧鋳造装置の断面図である。
【図3】(A)、(B)は、本発明の実施例における交
流モーターローター鋳物の斜視説明図である。
【図4】図3に示す交流モーターローター鋳物の鋳込み
工程の説明図である。
【符号の説明】
1 金型 2 製品形状部 3 溶湯補給路 4 射出スリーブ 4a プランジャースリーブ 4b セラミックライニング 5 プランジャーチップ 6 水冷パイプ 7 溶湯温度測定用熱電対 8 ガス抜き部 9 湯口部 21 コア素材 22 ローターコア 23 ローターコアの穴 24 エンドリング 25 軸棒 31 上型 32 下型 33 金型 34 湯口 35 エンドリング相当部 36 エンドリング相当部 37 ローターバー相当部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 1/02 H01B 1/02 B // B22D 17/00 B22D 17/00 D C22F 1/00 611 C22F 1/00 611 661 661A 691 691B 691C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si;0.05〜0.5%、Fe;0.
    1〜1.0%、B;0.002〜0.1%(%はいずれ
    も重量%を示す)を含み、導電率60%IACS以上を
    有することを特徴とする電気導体部品用アルミニウム合
    金鋳物。
  2. 【請求項2】 Si;0.05〜0.5%、Fe;0.
    1〜1.0%、B;0.002〜0.1%、Zr;0.
    05〜0.2%(%はいずれも重量%を示す)を含み、
    導電率45%IACS以上を有することを特徴とする電
    気導体部品用アルミニウム合金鋳物。
  3. 【請求項3】 Si;0.05〜0.5%、Fe;0.
    1〜1.0%、B;0.002〜0.1%(%はいずれ
    も重量%を示す)を含み、残部アルミニウム及び不可避
    的不純物からなるアルミニウム合金溶湯を鋳型内に充満
    させた後、加圧力50MPa以上の高圧下で凝固させて
    得られたアルミニウム合金鋳物に温度400〜550℃
    で時間1.8×103 秒以上保持する熱処理を施すこと
    を特徴とする電気導体部品用アルミニウム合金鋳物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 Si;0.05〜0.5%、Fe;0.
    1〜1.0%、B;0.002〜0.1%、Zr;0.
    05〜0.2%(%はいずれも重量%を示す)を含み、
    残部アルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニ
    ウム合金溶湯を鋳型内に充満させた後、加圧力50MP
    a以上の高圧下で凝固させて得られたアルミニウム合金
    鋳物に温度400〜550℃で時間1.8×103 秒以
    上保持する熱処理を施すことを特徴とする電気導体部品
    用アルミニウム合金鋳物の製造方法。
  5. 【請求項5】 Si;0.05〜0.5%、Fe;0.
    1〜1.0%、B;0.002〜0.1%、Zr;0.
    05〜0.2%(%はいずれも重量%を示す)を含み、
    残部アルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニ
    ウム合金溶湯を鋳型内に充満させた後、加圧力50MP
    a以上の高圧下で凝固させて得られたアルミニウム合金
    鋳物に温度400〜550℃で時間1.8×103 秒以
    上保持する熱処理を施して得られる交流モーターロータ
    ー鋳物。
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