JPH10124479A - 磁化分布の解析方法 - Google Patents

磁化分布の解析方法

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JPH10124479A
JPH10124479A JP28274596A JP28274596A JPH10124479A JP H10124479 A JPH10124479 A JP H10124479A JP 28274596 A JP28274596 A JP 28274596A JP 28274596 A JP28274596 A JP 28274596A JP H10124479 A JPH10124479 A JP H10124479A
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magnetization
calculation
cell
magnetization vector
processors
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JP28274596A
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Sachihiro Kaneko
祥宏 金子
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロマグネティクスに基づいて磁化分布
を解析する際に、より速やかに計算を行えるようにす
る。 【解決手段】 解析対象の磁性体を複数のセルに分割
し、各セルにおける磁化ベクトルをブラウンの方程式を
解くことによって求める際に、各セルにおける磁化ベク
トルを、複数のプロセッサによる並列処理によって求め
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープや磁気
ディスク等のような磁気記録媒体の磁化分布の解析に好
適な、マイクロマグネティクスに基づく磁化分布の解析
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープや磁気ディスク等のような磁
気記録媒体に対して信号を記録する際は、磁気ヘッドに
よって磁気記録媒体を磁化し、その磁化方向によって信
号を記録する。このような磁気記録の分野では、更なる
高記録密度化が進められており、それに伴い、磁気記録
を行ったときの磁化分布の解析が、より重要なものとな
っている。
【0003】このような磁化分布の解析方法には、非常
に精度良く解析できる方法として、マイクロマグネティ
クスに基づいて数値計算を行う方法がある。そして、マ
イクロマグネティクスに基づく磁化分布の解析方法とし
ては、以下の2つの方法が主に用いられている。
【0004】第1の方法は、ブラウンの方程式を用い
て、磁気的エネルギーが平衡となる状態を探索する方法
である。
【0005】ブラウンの方程式は、解析対象となる系の
全磁気的エネルギーから静的な平衡状態を求めるため
に、変分原理により導出された方程式である。現象論で
表現するならば、平衡状態では磁性体内のすべての場所
において、有効磁界が磁化に及ぼすトルクが0であるこ
と、すなわち有効磁界が磁化と平行であることを意味す
る。そして、ブラウンの方程式を用いて磁化分布の解析
を行う際は、解析対象の磁性体を多数のセルに分割し、
各セルの磁化を差分法によって計算していく。
【0006】第2の方法は、Landau-Lofshiz-Gilbert方
程式を用いて、磁気的エネルギーが平衡となる状態を探
索する方法である。
【0007】磁化に働くトルクが0でない場合、磁化は
有効磁界を軸として歳差運動を行う。そこで、この歳差
運動に損失の効果を加え、磁化が有効磁化に対して平行
となる過程を動的に記述した方程式がLandau-Lofshiz-G
ilbert方程式である。このLandau-Lofshiz-Gilbert方程
式を用いて、トルクが0に十分近くなるまで計算を行う
ことにより、磁性体の平衡状態を得ることができる。La
ndau-Lofshiz-Gilbert方程式を用いて磁化分布の解析を
行う際も、第1の方法と同様に、解析対象の磁性体を多
数のセルに分割し、各セルの磁化を差分法によって計算
していく。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、磁化分
布の解析方法としては、幾つかの方法があるが、一般的
には、計算時間を短くするために、時間項が含まれてい
ない第1の方法が用いられている。しかしながら、第1
の方法を用いたとしても、マイクロマグネティクスに基
づく磁化分布の解析には、通常、非常に膨大な計算が必
要であり、高性能なコンピュータを用いたとしても、計
算に非常に長い時間を要してしまう。そこで、磁化分布
の解析方法として、より短時間で計算を行うことが可能
な方法の開発が望まれている。
【0009】ところで、マイクロマグネティクスの理論
に基づく磁化分布の解析において、計算量を増大させる
主な要因は、反磁界の計算であり、従来は、反磁界の計
算のために、マイクロマグネティクスに基づく磁化分布
の解析の規模が制限されてしまっていた。ここで、反磁
界は、対象とする磁性体全体にわたって分布している磁
極による磁界を重ね合わせて求められる。そして、この
非局所性が、マイクロマグネティクスにおける問題を複
雑にするとともに、計算時間増大の原因となっている。
【0010】このような反磁界の計算手法としては、主
に、直接計算法、高速フーリエ変換(FFT)を利用す
る方法、磁位を利用する方法の3つがある。
【0011】直接計算法は、反磁界を各セル毎に直接求
めて計算する方法である。そして、2次元解析におい
て、直接計算法で反磁界を計算したとき、1つのセルに
おける反磁界の計算時間は、分割されたセルの数をNと
すると、Nの2乗に比例する。
【0012】これに対して、高速フーリエ変換や磁位を
利用する方法では、反磁界の計算時間を短縮することが
できる。具体的には、高速フーリエ変換を利用する方法
では、最も効率的な2次元解析の場合には、1つのセル
における反磁界の計算時間が、Nlog[N]に比例す
ることとなる。また、磁位を利用する方法では、2次元
解析の場合には、1つのセルにおける反磁界の計算時間
が、Nの3/2乗に比例することとなる。
【0013】しかしながら、高速フーリエ変換を利用し
た方法は、周期的で十分に滑らかな磁化にしか適用でき
ないという欠点がある。また、磁位を利用する方法で
は、磁位を求めるのに、Poisson又はLaplaceの方程式を
数値解析的に求める必要があり、形状が変化したときに
汎用性がなくなってしまうという欠点がある。一方、直
接計算法では、より汎用的に反磁界を計算することがで
きるが、上述したように、計算に要する時間が非常に長
くなってしまうという欠点がある。
【0014】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、マイクロマグネティクスに基
づいて磁化分布を解析する際に、より速やかに計算を行
えるようにすることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、解析対象の磁
性体を複数のセルに分割して、各セル毎にブラウンの方
程式を解くことによって磁化ベクトルを求めるようなと
きには、磁化ベクトルの計算を各セル毎に独立して行う
ことができ、計算処理を並列化することが可能であるこ
とを見出した。
【0016】本発明に係る磁化分布の解析方法は、この
ような知見に基づいて成されたものであり、解析対象の
磁性体を複数のセルに分割し、各セルにおける磁化ベク
トルをブラウンの方程式を解くことによって求める際
に、各セルにおける磁化ベクトルを、複数のプロセッサ
による並列処理によって求めることを特徴とするもので
ある。
【0017】以上のような本発明に係る磁化分布の解析
方法では、複数のプロセッサによる並列処理によって、
各セルにおける磁化ベクトルを求めるので、プロセッサ
の数だけ、計算に要する時間を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施の形態の説明
に先立って、マクロマグネティクスに基づく磁化分布解
析の理論について説明する。
【0019】マイクロマグネティクスでは、解析対象の
磁性体の磁化Mを場所の連続関数として求める。すなわ
ち、下記式(1)に示すように、飽和磁化Msを一定の
値とし、その方向余弦V(x,y,x)を場所の関数と
して求める。
【0020】 M(x,y,z)=Ms・V(x,y,z),|V|=1 ・・・(1) そして、静的な問題では、平衡伏態での磁化分布を表す
方向余弦V=(Vx,Vy,Vz)を求める。すなわ
ち、静的な問題では、V(x,y,z)を、磁性体の全
エネルギーEを極小にする関数として解き、その結果と
して、平衡伏態での磁化分布を表す方向余弦V=(V
x,Vy,Vz)を得る。
【0021】ここで、磁性体の全エネルギーEは、通
常、交換相互エネルギーEexと、異方性エネルギーEk
と、反磁界によるエネルギーEdと、外部印加磁界によ
るエネルギーEaとからなり、V(x,y,z)とその
成分の勾配∇Vの汎関数として与えられる。そして、こ
れを変分原理に基づいて解いた式がブラウンの方程式で
ある。ブラウンの方程式を数1に示す。なお、数1で
は、磁性体の磁化容易難方向をz軸方向としており、数
1中の式(3)は、磁性体の表面における境界条件を表
している。
【0022】
【数1】
【0023】そして、数1に示したブラウンの方程式を
用いて磁化分布を解析するときには、この方程式を数値
解析手法を用いて解くことにより、磁化ベクトルとし
て、方向余弦V=(Vx,Vy,Vz)を求める。上記
方程式を解くときは、通常、磁性体を多数のセルに分割
し、交換相互エネルギーの項で現れる勾配を、近接する
セル間の差分で表現する。これにより、上記方程式を解
くことは、未知数ベクトルから成る連立方程式を解くこ
とに帰着する。ここで、未知数ベクトルの数は、セルの
数に次元を乗じた数となる。すなわち、セルの数をNと
して2次元解析を行うとき、未知数ベクトルの数はN×
2となる。
【0024】ところで、連立方程式の解法には、一般に
直接法と反復法がある。直接法では、丸め誤差がなけれ
ば有限回の演算により正しい解が得られるが、コンピュ
ータによって計算を行うときに、マトリックスを記憶す
るための大きな記憶容量のメモリが必要となる。したが
って、従来、磁化分布の解析に直接法はあまり使用され
ていない。
【0025】これに対して、反復法では、多くのマトリ
ックスを記憶する必要がなく、大きな記憶容量のメモリ
が不要となるので、未知数が多いときには、通常、反復
法が用いられている。ただし、反復法では、有限回の計
算で反復を打ち切りざるを得ないので、打ち切り誤差が
生じてしまう。このような反復法としては、共役勾配法
(CG法)、逐次過剰緩和法(SOR法)、ヤコビ法、
ガウス−ザイデル法等があるが、通常、CG法が最も収
束がよい。
【0026】そこで、ブラウンの方程式を解く際もCG
法を用いたいところであるが、CG法は非線形連立方程
式には適用することができないため、CG法でブラウン
の方程式を解くことはできない。すなわち、ブラウンの
方程式から得られる連立方程式は、|V|=1という条
件があるので非線形となるため、CG法を用いて解くこ
とはできない。
【0027】そこで、従来、磁化分布の解析には、通
常、変分原理に基づく有限要素法の手法を取り入れて、
全エネルギーを最小にする条件で線形連立方程式を立て
て、この線形連立方程式を解くことに帰着させる方法が
用いられている。この方法では、連立方程式が線形とな
るので、連立方程式の解法として、CG法を適用するこ
とができる。そして、従来は、このように有限要素法と
CG法の組み合わせが最も高速に計算を行うことが可能
な方法であった。しかしながら、CG法も反復法の一つ
であるため、計算時間のかかる反磁界の計算は毎回行わ
れることとなる。そして、従来は、このような反磁界の
計算に多大な時間が必要となっており、分割するセルの
数が制限されてしまっていた。
【0028】そこで、本実施の形態では、磁化分布の解
析に係る計算処理に並列処理を採用することにより、計
算時間の短縮を図り、分割するセルの数を増やせるよう
にしている。具体的には、磁化分布の解析に係る計算処
理を行うコンピュータとして、マスタ−スレイブ方式に
よってマルチプロセッサ化を図ったコンピュータシステ
ムを使用し、これにより、計算時間をスレイブプロセッ
サ数に反比例して短縮するようにしている。
【0029】本実施の形態では、磁性体の磁化分布をブ
ラウンの方程式を解くことによって解析する。そして、
このとき、反磁界の計算を直接法によって行うように
し、この計算を並列化する。一般に、磁化分布の解析に
は、反磁界の計算に最も時間がかかる。したがって、反
磁界の計算を並列化することにより、非常に効率良く、
計算時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0030】また、並列化する際に、各スレイブプロセ
ッサが計算を担当するセルの数を、ほぼ同じ数とする。
一般に、反磁界の計算量は各セルで均一である。したが
って、各スレイブプロセッサが計算を担当するセルの数
を、ほぼ同じ数とすることにより、並列化された各スレ
イブプロセッサが負担する計算量がほぼ均一となり、並
列化の効率が最大となる。これにより、非常に効率良
く、計算時間の大幅な短縮を図ることが可能となる。
【0031】また、このように並列化したときは、反磁
界等の計算処理が、それぞれにメモリを備えた複数のス
レイブプロセッサに分散されるので、メモリ容量が大き
なコンピュータが不要となり、メモリ容量の少ないコン
ピュータを複数台利用することにより、セル分割数の大
きな計算を行うことも可能となる。
【0032】なお、有限要素法とCG法を組み合わせて
磁化分布を解析する方法においても、繰り返し計算ごと
の反磁界の計算に並列化手法を用いれば、計算時間を短
縮することは可能であるが、CG法自体を効率良く並列
化することは困難である。これに対して、本実施の形態
のように、ブラウンの方程式を解くことによって磁化分
布の解析を行うときは、反磁界の計算を含めて、解くべ
きブラウンの方程式が、セルの数だけ立てられるので、
上述のように、各スレイブプロセッサが計算を担当する
セルの数がほぼ同じ数となるように、各スレイブプロセ
ッサに処理を分担することにより、効率良く並列化する
ことができる。
【0033】なお、各ブラウンの方程式は、|V|=1
という制限のために非線形方程式となる。そこで、これ
らを解くときには、例えばNewton-Raphson法を用いる。
この処理も並列化が可能である。
【0034】ただし、本実施の形態のように並列処理を
行うと、磁気的エネルギーが平衡となる状態を探索する
際に、収束が良いガウス−ザイデル法を利用できなくな
る。しかし、後述するように、収束回数の増加による計
算時間の増加よりも、並列処理による計算時間の短縮の
影響の方が大きいときは、計算処理を並列化した方が良
いこととなる。
【0035】以上のように、反磁界等の計算を並列化し
て磁化分布の解析を行うときは、例えば、図1に示すよ
うな、コンピュータシステムを用いる。
【0036】このコンピュータシステムは、マスタ−ス
レイブ方式によってマルチプロセッサ化を図ったコンピ
ュータシステムであり、1つのマスタプロセッサ1と、
複数のスレイブプロセッサ2とを備えている。ここで、
マスタプロセッサ1と各スレイブプロセッサ2は、共用
バスやネットワーク等の回線3によって接続されてお
り、この回線3を介して、マスタプロセッサ1と各スレ
イブプロセッサ2は双方向にデータ転送が可能となって
いる。
【0037】また、マスタプロセッサ1には、メモリ1
aが接続されており、各スレイブプロセッサ2にも、そ
れぞれメモリ2aが接続されている。そして、スレイブ
プロセッサ2は、各スレイブプロセッサ毎に独立して計
算処理を行うことができるようになっており、マスタプ
ロセッサ1は、これらのスレイブプロセッサ2による計
算処理を統括して制御することができるようになってい
る。
【0038】つぎに、以上のようなコンピュータシステ
ムを用いて、並列化処理を採用してブラウンの方程式を
解くことにより、磁性体の磁化分布を解析する際の処理
の流れを、図2のフローチャートに示す。
【0039】このフローチャートに示すように、解析を
行う際は、先ず、ステップS1において、解析対象の磁
性体をN個のセルに分割する。
【0040】次に、ステップS2において、各スレイブ
プロセッサ2が計算を担当するブラウンの方程式を確立
するために、マスタプロセッサ1によって、各セルのエ
ネルギー状態に基づいて、各セルに印加されている有効
磁界をテンソルとして算出する。ここで、有効磁界と
は、具体的には、反磁界、異方性磁界、交換相互作用に
よる磁界、外部印加磁界等である。
【0041】このとき、各セルでの磁化ベクトルは一様
であると仮定する。これにより、反磁界は、各セル間の
相対位置と反磁界を発生させるセルの形状により決定さ
れる。また、交換相互作用による磁界は、最近接のセル
の磁化より決定される。また、異方性磁界は、磁化容易
軸の方向と異方性係数により決定される。また、外部磁
界は、所望する解析条件に応じて任意に設定する。これ
により、各セル毎に、反磁界についてN個のテンソルが
定まり、交換相互磁界について3次元解析のときには6
個のテンソルが定まり、異方性磁界について1個のテン
ソルが定まり、外部磁界について1個のテンソルが定ま
ることとなる。
【0042】次に、ステップS3において、マスタプロ
セッサ1は、各セル毎に計算された有効磁界テンソル
を、そのセルにおける磁化分布の計算を担当するスレイ
ブプロセッサ2に転送する。このとき、各スレイブプロ
セッサ2が計算を担当するセルの数は、ほぼ均等となる
ようする。
【0043】次に、ステップS4において、マスタプロ
セッサ1は、各セルにおける磁化ベクトルの初期値を設
定する。
【0044】次に、ステップS5において、マスタプロ
セッサ1は、各セルにおける磁化ベクトルを、そのセル
における磁化分布の計算を担当するスレイブプロセッサ
2に、それぞれ転送する。なお、このステップS5の処
理が1回目のときは、マスタプロセッサ1は、ステップ
S4で設定した磁化ベクトルの初期値をスレイブプロセ
ッサ2に転送し、2回目の以降の処理では、後述するス
テップS6で求められた磁化ベクトルをスレイブプロセ
ッサ2に転送する。
【0045】次に、ステップS6において、各スレイブ
プロセッサ2は、担当したセルについて、ステップS5
においてマスタプロセッサ1から転送されてきた磁化ベ
クトルに基づいて、新しい磁化ベクトルを求める。すな
わち、このステップS6において、各スレイブプロセッ
サ2は、計算対象となるセルにおける有効磁界テンソル
と、その他のセルの磁化ベクトルとからブラウンの方程
式を算出して、この方程式をNewton-Raphson法等によっ
て解くことにより、新しい磁化ベクトルを求める。そし
て、本実施の形態では、このように各セルにおける磁化
ベクトルを複数のスレイブプロセッサ2による並列処理
によって求めることにより、計算時間の短縮を図ってい
る。
【0046】次に、ステップS7において、各スレイブ
プロセッサ2は、担当したセルの全てについて計算が終
了したら、その計算結果、すなわち各セルにおける新し
い磁化ベクトルをマスタプロセッサ1に転送する。
【0047】次に、ステップS8において、マスタプロ
セッサ1は、ステップS6で算出された磁化ベクトル
と、一回前の磁化ベクトルとを比較する。すなわち、ス
テップS8において、マスタプロセッサ1は、ステップ
S5において各スレイブプロセッサ2に転送した磁化ベ
クトルと、ステップS7において各スレイブプロセッサ
2から転送されてきた磁化ベクトルとを比較し、各セル
における磁化ベクトルが収束したかを判断する。
【0048】そして、ステップS5において各スレイブ
プロセッサ2に転送した磁化ベクトルと、ステップS7
において各スレイブプロセッサ2から転送されてきた磁
化ベクトルとの差が大きく、未だ収束していないとき
は、ステップS9へ進む。そして、このステップS9に
おいて、マスタプロセッサ1は、ステップS8における
磁化ベクトルの比較の結果に基づいて、所定の基準に従
って新しい磁化ベクトルを決定する。その後、ステップ
S5に戻り、上述の処理を繰り返す。すなわち、各セル
の磁化ベクトルが充分に収束し、各セルの磁化ベクトル
が殆ど変化しなくなるようになるまで、上述の処理を繰
り返す一方、ステップS8において、ステップS5にお
いて各スレイブプロセッサ2に転送した磁化ベクトル
と、ステップS7において各スレイブプロセッサ2から
転送されてきた磁化ベクトルとの差が充分に小さくな
り、各セルにおける磁化ベクトルが収束したら処理を終
了する。
【0049】以上の処理により、各セルにおける磁化ベ
クトルが定まり、磁性体の磁化分布の解析が完了する。
【0050】なお、以上のように複数のスレイブプロセ
ッサ2で計算処理の並列化を図ったとき、各スレイブプ
ロセッサ2で動作するプログラムは共通のものを使用で
きる。したがって、計算処理の並列化を図ったとして
も、プログラム開発の工数が大幅に追加となるようなこ
とはない。したがって、このように並列化を図ったと
き、スレイブプロセッサ2の増減は、非常に簡単に行う
ことができる。
【0051】また、以上のように複数のスレイブプロセ
ッサ2で計算処理の並列化を図ったとき、スレイブプロ
セッサ2による計算処理が行われている間、マスタプロ
セッサ1はアイドル状態となる。そこで、その期間を利
用して磁化分布の収束状態を表示装置に3次元表示して
おくようにしてもよい。これにより、磁化分布の収束状
態を視覚的に容易に把握できるようになる。しかも、こ
のように磁化分布の収束状態を視覚的に把握できるよう
にしたときには、磁化分布の収束状態を見ながら、磁化
ベクトルの収束判定基準や、新しい磁化ベクトルの決定
アルゴリズム等を変更することも可能となる。なお、こ
のように磁化分布の収束状態を表示装置に表示したとし
ても、表示にかかる処理を、スレイブプロセッサ2によ
る計算処理が行われており、マスタプロセッサ1がアイ
ドル状態となるようなときに行うようにすれば、磁化分
布の解析にかかる時間が増えるようなことはない。
【0052】ところで、各セルにおける磁化ベクトルを
求める際、従来は、収束が比較的に良いガウス−ザイデ
ル法やSOR法を用いている。ガウス−ザイデル法やS
OR法では、N個のセルのうち、ある1つのセルにおけ
る磁化ベクトルの算出が終了したら、次の磁化ベクトル
の算出に、以前に算出した磁化ベクトルに基づく反磁界
の値を用いるようにする。このような方法では、磁化ベ
クトルの収束は早いが、処理を並列化することはできな
い。
【0053】これに対して、上述の実施の形態に係る手
法は、ヤコビ法と呼ばれる手法であり、処理の並列化に
適した方法である。ヤコビ法では、上述のように、全て
のセルにおける磁化ベクトルの計算が終了するまで、反
磁界の値には同じ値を利用するようにしている。したが
って、ヤコビ法では、各セルについての計算を独立して
行うことが可能であり、処理の並列化に適している。
【0054】つぎに、以上のような本実施の形態に係る
解析方法において必要とされる計算時間について、ガウ
ス−ザイデル法又はSOR法を適用した従来の解析方法
において必要とされる計算時間と比較して説明する。
【0055】なお、以下の説明では、セルの総数をNと
し、スレイブプロセッサ2の数をMとし、1つのセルに
ついて反磁界の計算に要する時間をThdとし、1つのセ
ルについてブラウンの方程式を解くの要する時間をTeq
とし、マスタプロセッサ1からスレイブプロセッサ2へ
の1回のデータ転送にかかる時間をT1とし、スレイブ
プロセッサ2からマスタプロセッサ1への1回のデータ
転送にかかる時間をT2とし、上述の実施の形態におけ
る収束計算回数をI1とし、ガウス−ザイデル法又はS
OR法を適用したときの収束計算回数をI2とする。
【0056】このとき、上述の実施の形態において、計
算に要する時間は、[N/M(Thg+Teq)+M(T1
2)]I1となり、ガウス−ザイデル法やSOR法を用い
たときに計算に要する時間は、[N(Thd+Teq)]I2
なる。
【0057】したがって、下記式(4)を満たせば、従
来の手法よりも、上述の実施の形態の方が短時間で解析
を行うことが可能ということとなる。
【0058】 [N/M(Thg+Teq)+M(T1+T2)]I1<[N(Thd+Teq)]I2・・・(4) したがって、本実施の形態に係る解析方法では、例え
ば、スレイブプロセッサ2の数Mを増やすことにより、
磁化分布の解析に要する時間を短縮することが可能であ
る。
【0059】ところで、スレイブプロセッサ2とマスタ
プロセッサ1との間におけるデータ転送にかかる時間T
1,T2は、共有バスやネットワーク等の回線3における
転送速度により固定である。そして、この時間T1,T2
は、N×(次元)に比例する。すなわち、例えば、セル
の数をNとして3次元解析を行うとき、時間T1,T2
N×3に比例する。
【0060】一方、反磁界の計算に要する時間Thdは、
(次元)×(次元)×Nに比例する。すなわち、例え
ば、セルの数をNとして3次元解析を行うとき、反磁界
の計算に要する時間Thdは、N×3×3に比例する。し
たがって、通常、解析に要する時間は、データ転送にか
かる時間T1,T2よりも、反磁界の計算に要する時間T
hdの影響の方が大きい。
【0061】更に、スレイブプロセッサ2とマスタプロ
セッサ1との間におけるデータ転送に、データ転送速度
がメモリアクセスと同等速度の共有バスを利用したとき
には、データ転送にかかる時間T1,T2よりも、反磁界
の計算に要する時間Thd等の方が遥かに長くなり、N
(Thd+Teq)>>MM(T1+T2)となる。 この
とき、上記式(4)は、I1/M>I2と近似され、これ
を満たすようにすれば、上述の実施の形態の方が計算時
間が短くて済むこととなる。そして、上述のステップS
9において新しい磁化ベクトルを決定する際のアルゴリ
ズムを最適化すれば、上述の実施の形態における収束計
算回数I1を、ガウス−ザイデル法又はSOR法を適用
したときの収束計算回数I2に近づけることは可能であ
る。したがって、セルの総数Nが大きいときには、本実
施の形態を採用することにより、ほぼM倍に近い高速化
を実現できる。
【0062】しかも、従来の手法では、1つのプロセッ
サのメモリ上で、Nセル分の反磁界を計算することとな
るため、反磁界テンソル用の大容量メモリが必要であっ
たが、本実施の形態では、各セルにおける磁化ベクトル
を求める際の計算処理を並列化しているので、大容量の
メモリが不要となっている。すなわち、本実施の形態で
は、従来必要とされていたメモリの1/Mの容量のメモ
リ2aを備えたM個のスレイブプロセッサ2を用いるよ
うにすればよいこととなる。このように、本実施の形態
では、大容量メモリを必要とすることなく計算を行うこ
とが可能となっており、その結果、メモリ容量に制限さ
れることなく、磁化分布の解析を行うことが可能となっ
ている。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る磁化分布の解析方法では、複数のプロセッサによ
る並列処理によって、各セルにおける磁化ベクトルを求
めるので、プロセッサの数だけ、計算に要する時間を短
縮することができる。
【0064】また、本発明では、複数のプロセッサによ
る並列処理によって、各セルにおける磁化ベクトルを求
めるので、小容量のメモリを備えたプロセッサを複数用
意すればよい。したがって、本発明を適用することによ
り、磁化分布の解析に、大容量のメモリを備えたプロセ
ッサを用いる必要がなくなる。
【0065】しかも、本発明では、解析対象の磁性体の
分割数が増加したとしても、小容量のメモリを備えたプ
ロセッサの数を増やすだけで、磁性体の分割数の増加に
対応することができる。したがって、本発明によれば、
解析対象の磁性体の分割数が多く、非常に膨大な計算を
必要とするような磁化分布の解析にも、非常に容易に対
応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マスタ−スレイブ方式によってマルチプロセッ
サ化を図ったコンピュータシステムの一例を示すブロッ
ク図である。
【図2】本発明を適用した磁化分布の解析方法の一例の
フローチャートである。
【符号の説明】
1 マスタプロセッサ、 1a メモリ、 2 スレイ
ブプロセッサ、 2aメモリ、 3 回線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 解析対象の磁性体を複数のセルに分割
    し、各セルにおける磁化ベクトルをブラウンの方程式を
    解くことによって求める際に、 各セルにおける磁化ベクトルを、複数のプロセッサによ
    る並列処理によって求めることを特徴とする磁化分布の
    解析方法。
  2. 【請求項2】 各セルにおける有効磁界テンソルを予め
    算出しておき、 各セルにおける磁化ベクトルを複数のプロセッサによる
    並列処理によって求める際に、各セルにおける磁化ベク
    トルが収束するまで、上記有効磁界テンソルに基づい
    て、磁化ベクトルの算出を繰り返すことを特徴とする請
    求項1記載の磁化分布の解析方法。
  3. 【請求項3】 マスタ−スレイブ方式のマルチプロセッ
    サによって、各セルにおける磁化ベクトルを求めること
    を特徴とする請求項1記載の磁化分布の解析方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010218398A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Hitachi Ltd 双極子相互作用の高速演算装置と演算方法
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