JPH10111295A - チトクロームp450 2d6依存性薬物の検出方法及び検出試薬キット - Google Patents

チトクロームp450 2d6依存性薬物の検出方法及び検出試薬キット

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JPH10111295A
JPH10111295A JP8268792A JP26879296A JPH10111295A JP H10111295 A JPH10111295 A JP H10111295A JP 8268792 A JP8268792 A JP 8268792A JP 26879296 A JP26879296 A JP 26879296A JP H10111295 A JPH10111295 A JP H10111295A
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cyp2d6
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cytochrome
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JP8268792A
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Shoji Kudo
庄次 工藤
Masaaki Kotomi
正昭 小富
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】薬物代謝酵素であるヒトチトクロームP450
2D6(CYP2D6)活性の特異的でかつ簡便な測
定方法、及びそれを利用したCYP2D6依存性薬物の
検出方法の提供。 【構成】少なくとも(i)CYP2D6に特異的に反応、
(ii)ミカエリス定数が150μM以上という特性を有
する化合物を被験薬の存在下でCYP2D6と反応させ
て該化合物の生成物の生成量を測定することによるCY
P2D6依存性薬物の検出方法、及びCYP2D6依存
性薬物の検出試薬キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チトクロームP4
50 2D6(本発明において、以下CYP2D6とも
いう。)に特異的に反応する特定の基質を使用すること
によるCYP2D6の活性測定法を利用したCYP2D
6依存性薬物の検出方法及びその検出試薬キットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】チトクロームP450(以下、単にP4
50もしくはCYPともいう。)は、薬物代謝にとって
極めて重要な酵素であり、この酵素を介しておこる薬物
相互間の作用には重要なものが多い。これらの相互作用
の多くは、P450が特定の薬物より阻害または誘導を
受けることによって惹起される。P450の阻害または
誘導を起こす薬物としては、サルファ剤、マクロライド
系抗生物質、アゾール系の抗真菌剤、抗癲癇薬など多く
の薬物が知られている。これらの薬物は、P450で代
謝されるすべての医薬品と相互作用を起こすわけでな
く、ある特定の薬物群の代謝を阻害または誘導する。
【0003】チトクロームP450がなぜ特定の薬物群
の代謝を阻害または誘導するのかについての研究は、こ
こ数年で急速に進展している。また、多種存在するとい
われるP450の分子種が、遺伝子クローニング、酵素
の分離精製技術、遺伝多型性の分析技術等の向上によっ
て詳細に分類できるようになり、個々の分子種がどの薬
物によって阻害または誘導されるのかが明らかになりつ
つある。
【0004】実際、動物種差、人種差はもとより、更に
は個人差によっても遺伝的に特定のP450分子種(酵
素)を欠損する例があることがわかっており、このため
特定の症例においては薬物の作用が異常に強く出現した
り副作用が増強することが知られている。
【0005】一方、新規薬物の開発においては、ヒトに
おける薬物の代謝、効果、毒性を早期に予測・評価する
ために、各種薬物が対応するP450の分子種、その分
布及び存在量を測定することが重要となっている。P4
50の多数の分子種のうち、ヒトの薬物代謝にかかわる
P450分子種は15種類以上存在するといわれるが、
その中でも医薬品の代謝に重要な役割を果たしているも
のは、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、
CYP2D6、CYP3A4と呼ばれるの5つの分子種
であり、95%以上の医薬品についての代謝はこれらの
P450で説明ができると言われている。
【0006】また、臨床においては、同じP450分子
種で代謝される薬剤を併用した場合、2つの薬剤は相互
に代謝を競合的に阻害し、いずれの薬剤の代謝クリアラ
ンスも低下することが知られている。
【0007】P450分子種のうち特にCYP2D6に
関して、CYP2D6により代謝される薬剤メトプロロ
ール(β遮断剤)とプロパフェノン(抗不整脈剤)と同
時に投与した場合、メトプロロールのAUC(Area Unde
r Concentration:血中濃度時間曲線化面積)が平均で
2倍に増加し、プロパフェノンのAUCも約20%増加
したという報告がある。
【0008】また、作用上もしくは臨床的に同時に投与
される薬物が共にCYP2D6によって代謝される薬物
である場合には(例えば、シメチジンとプロプラノロー
ル又はイミプラミン等の組み合わせが挙げられる。)、
AUCの増加等によって単独投与のケースからは予測で
きない副作用を招くおそれが懸念される。さらにCYP
2D6の活性を阻害する各種薬物の存在が知られている
が、これらの薬物を他の薬物と併用すると、該他の薬物
の効果が増強されて思わぬ副作用を招くおそれがあり、
殊更、該薬物がCYP2D6以外の酵素では代謝されな
いものである場合はその安全性が問題となる。
【0009】このような薬物の相互作用は、予め薬物が
どの型のP450分子種で代謝されるか、またどの種の
薬物がP450活性を阻害するかを知ることにより、あ
る程度予測可能である。薬物の有効量、副作用の発現量
に影響を及ぼすこれら特定のP450種の分布、存在量
を知ることは臨床上あるいは新規な薬剤を開発する上で
必要欠くことができない。
【0010】このような背景の下、従来から特にヒトで
の薬物の代謝、効果、毒性などの早期の評価のために、
P450の分子種を正確に評価する方法の開発が望まれ
ていた。P450を測定する方法としては、抗体を用い
た免疫学的測定があるが、生体内での存在意義を考える
と特定のP450に特異的に反応する基質薬物を用いて
活性を測定することが好ましい。しかし、多くの薬物は
複数のP450種に反応し、唯一のP450種に反応す
る薬物は少なく、特定のP450種測定のための基質と
して理想的なものは未だないのが現状である。
【0011】また、従来からCYP2D6に比較的特異
的な薬物としてはブフラロールが知られており、反応基
質として測定に用いられているが、その特異性は十分で
なく、より特異性に優れる基質の開発、並びにそれを用
いたCYP2D6の特異的検出法が求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CYP2D
6依存性薬物の検出方法及び検出試薬キットを提供する
ことを目的とするものである。
【0013】当該発明は、P450分子種のうち特にC
YP2D6に、従来基質として使用されているブフラロ
ールよりも優れた特異性をもって反応する基質の発見に
基づくものであって、かかる基質を用いることによるC
YP2D6活性の選択的な測定方法を基礎とするもので
ある。
【0014】従って、本発明は、CYP2D6に特異的
に反応する基質の提供、及びかかる基質を用いることに
よるCYP2D6活性測定方法の提供をも目的とするも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来技術の問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねていたと
ころ、偶然にも、多くの薬物代謝に関与する数種のP4
50分子種のうちCYP2D6に特異的に反応する化合
物を見つけ、(1)その特異性が従来の公知の基質である
ブフラロールより優れて高いこと、(2)ミカエリス定数
が150μM以上と、従来CYP2D6によって代謝さ
れることが知られている薬物より顕著に大きいこと等、
該化合物がCYP2D6の活性を検出する基質として理
想的な特性を有していることを確認した。
【0016】本発明者らは、かかる知見に基づいて、か
かる化合物を基質としたCYP2D6活性の選択的測定
方法を開発するとともに、かかる測定方法を基礎とした
P4502D6依存性薬物の検出方法を確立するに至っ
た。
【0017】すなわち、本発明は、次の項1〜項4であ
る。
【0018】項1:次の特性: (i)CYP2D6に特異的に反応する (ii)ミカエリス定数が150μM以上である を少なくとも有する化合物を被験薬の存在下でCYP2
D6と反応させて、該化合物の生成物の生成量を測定す
ることによる、CYP2D6依存性薬物の検出方法。
【0019】項2:カルテオロールを被験薬の存在下で
CYP2D6と反応させて、8−水酸化カルテオロール
の生成量を測定することを特徴とする項1記載のCYP
2D6依存性薬物の検出方法。
【0020】項3:CYP2D6依存性薬物を検出する
ための試薬キットであって、 (i)CYP2D6に特異的に反応する (ii)ミカエリス定数が150μM以上である という特性を有する化合物、及びCYP2D6を少なく
とも含有する試薬キット。
【0021】項4:化合物が、カルテオロールである項
3記載のCYP2D6依存性薬物の検出試薬キット。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のCYP2D6依存性薬物
の検出方法は、被験薬を、少なくとも (i)CYP2D6に特異的に反応する (ii)ミカエリス定数が150μM以上である という特性を有する化合物の存在下でCYP2D6と反
応させて、該化合物の生成物の生成量を測定することを
特徴とするものである。
【0023】かかるCYP2D6依存性薬物の検出方法
は、上記(i)及び(ii)の特性を有する化合物を基質とし
て用いることを特徴としたCYP2D6の活性測定法を
基礎とするものである。
【0024】そこで、まず本発明の基礎となるCYP2
D6の活性測定法について説明する。
【0025】かかる測定法は上述するように少なくとも
上記の(i)及び(ii)の特性を有する化合物を基質として
使用するものである。
【0026】(i)でいうCYP2D6に特異的に反応す
るとは、基質化合物がCYP2D6以外のP450分子
種、特に薬物代謝に関して重要でかつヒト肝臓中の含有
量の多いCYP1A2、CYP2C9、CYP2E1及
びCYP3A4の各分子種、遺伝的多型性を示すCYP
2C19によっては、実質的に代謝・分解されないこと
を意味するものであり、かかる性質は多数の酵素が存在
する肝臓に由来するCYP2D6の活性を選択的にかつ
正確に測定する上では極めて重要な性質である。
【0027】また、CYP2D6に対する特異性が高い
ことを理由に従来基質として用いられていたブフラロー
ルのCYP2D6に対するKm値(ミカエリス定数)は
61μMであるのに対して、本発明で用いる基質化合物
のKm値(ミカエリス定数)は150μM以上、好まし
くは150〜1000μM、より好ましくは180〜5
00μMと著しく大きいが、このことからも、当該基質
化合物がCYP2D6に対して高い特異性を有している
ことが分かる。
【0028】本発明において、基質として用いられる化
合物は、上記 (i)及び(ii)の特性を有するものであれ
ば特に制限はされないが、更に、下記の(iii)乃至(v)の
特性を有していても良い。
【0029】(iii)CYP2D6を活性化及び/又は阻
害しない (iv) CYP2D6との反応により単一の生成物を生じ
る (v) 該生成物が容易に測定できる 薬物によってはP450の活性が誘導もしくは阻害され
ることが知られているが、(iii)の性質を有する化合物
は、本来CYP2D6が有する活性を正確に測定できる
点で有用である。さらに、CYP2D6との反応により
実質的に単一の生成物を生じ、かつ 該生成物が容易に
測定できるという性質は、それを基質とした場合にCY
P2D6の活性を正確にかつ簡便に測定できる点で有用
である。
【0030】本発明において、基質として用いられる具
体的な化合物として好ましくはカルテオロールが例示さ
れる。カルテオロールのCYP2D6に対する反応のミ
カエリス定数は150μM以上であるが、より具体的に
は、ヒト肝CYP2D6による8−水酸化カルテオロー
ル生成の初速度をラインウィーバー・バーク・プロット
して得られたミカエリス定数は、約183μMであった
(図1参照)。
【0031】なお、かかるカルテオロールは、塩酸、硫
酸等の無機酸もしくは有機酸とともに塩を形成していて
もよい。
【0032】カルテロールは下記反応式中、式(1)で
示される5−〔3−(t−ブチルアミノ)−2−ヒドロ
キシプロポキシ〕−3,4−ジヒドロカルボスチリルで
あり、CYP2D6に特異的に反応して、縮合環の8位
が水酸化されることにより、単一の化合物、すなわち下
式中、式(2)で示される8−水酸化カルテオロールを
生成する。
【0033】
【化1】
【0034】上記反応により生成される8−水酸化カル
テオロールは、オクタデシルシリカ(ODS)系などの
常法の樹脂を充填したカラムを備えた液体クロマトグラ
フィー等を用いることによって、基質であるカルテオロ
ールと容易に分離することができ、また、吸光光度計
(波長:254nm)で容易に検出できる。
【0035】なおCYP2D6の活性測定は、例えば次
のように行われる。
【0036】塩酸カルテオロール、β-NADPH及び
β-NADHを含有するリン酸緩衝液(pH7〜8、好
適にはpH7.5程度)に、CYP2D6活性を測定す
べき目的の被測定物を加えて35〜40℃、好ましくは
37℃程度で5〜20分間、好ましくは10分間程度イ
ンキュベートした後、反応停止液を加えて反応を停止す
る。この溶液に酢酸エチルを加え振盪抽出後、遠心分離
する。有機相に窒素ガスを通じて乾燥した後メタノール
で溶かし、HPLCで波長254nmにて生成される8
−水酸化カルテオロールを検出し、産生量を求める。
【0037】本発明CYP2D6依存性薬物の検出方法
は、上記方法によるCYP2D6活性の測定を被験薬の
存在下で行うことを特徴とするものである。
【0038】上述するように本発明で基質として用いる
化合物は、150μM以上のミカエリス定数を有するも
のであるが、かかる値は従来CYP2D6で代謝される
ことが知られている化合物のミカエリス定数の値より高
く(例えば、ブフラロールは61μM、スパルテインは
73μM、デブリソキンは130μM)、このことは当
該基質化合物が、他の化合物(被験薬)のCYP2D6
に対する親和性、即ち被験薬のCYP2D6に対する依
存性の程度を測る指標として有用であることを意味して
いる。
【0039】すなわち、被験薬の存在下で上記特性(i)
及び(ii)を有する化合物をCYP2D6と反応させた際
に、該化合物の生成物の産生が阻害される場合は、被験
薬の方が該化合物よりもCYP2D6に対する親和性が
高いこと、即ち被験薬がCYP2D6依存性であること
を意味する。
【0040】例えば被験薬と共存させる基質化合物とし
てカルテオロールを用いる場合は、カルテオロールの8
位水酸化反応を追跡することによって、他の任意の薬物
(化合物)のCYP2D6に対する親和性を測ることが
できる。
【0041】なお、本発明においてCYP2D6依存性
薬物であるとは、CYP2D6によって代謝を受ける薬
物であること、又はCYP2D6の活性を阻害する薬物
であることの両者の意味が包含されるが、これは上記す
る化合物の代謝生成物の産生阻害が被験薬の濃度に依存
するか否かをみることにより区別することができる。す
なわち、共存させる被験薬の濃度にかかわらず、化合物
の代謝生成物の産生が阻害される場合は、その被験薬は
CYP2D6に対する阻害剤として位置づけられ、また
被験薬の濃度に依存して化合物の代謝生成物の産生が阻
害される場合は、該被験薬はCYP2D6の反応基質
(代謝系薬物)として位置づけられる。
【0042】本発明のCYP2D6依存性薬物の検出方
法によれば、任意の薬物(被験薬)がCYP2D6代謝
薬物であるか否か、CYP2D6に対する依存性の程
度、被験薬がCYP2D6阻害剤であるか否かを調べる
ことができ、これをもとに各種薬物の安全でかつ効果が
確実な投与方法を設定することができる。特に、従来か
ら各種薬物の併用によって作用が増強され副作用が生じ
るケースが知られているが、このような併用による副作
用の発現を予測して最小限に抑えることができる点で有
用である。
【0043】本発明のCYP2D6依然性薬物の検出方
法の一実施態様として、具体的には次の方法が例示され
る。
【0044】リン酸緩衝液(pH7〜8、好ましくはp
H7.5程度)に塩酸カルテオロール、β-NADP
H、β-NADH及びCYP2D6を加えてなるCYP
2D6活性測定系に、目的とする被験薬物を添加して3
0〜40℃、好ましくは37℃程度で5〜20分間、好
ましくは10分間程度インキュベートした後、反応停止
液を加えて反応を停止する。この溶液に酢酸エチルを加
え振盪抽出後、遠心分離する。有機相に窒素ガスを通じ
て乾燥した後メタノールで溶かし、HPLCで波長25
4nmにて、産生される8−水酸化カルテオロールを検
出しその生成量を測定する。そして、その生成量と、予
め対照として被験薬物を添加しない系で測定した8−水
酸化カルテオロールの生成量とを比較することにより、
被験薬物のCYP2D6に対する親和性の程度、依存性
の程度を知ることができる。
【0045】本発明のCYP2D6依存性薬物の検出試
薬キットは、上記検出法に用いられて有用なものであ
り、前述の(i)及び(ii)の特性を有する化合物、及びC
YP2D6を少なくとも含むものである。なお、これら
は、試薬キット自身によって反応が進行しないように調
製されていればよく、例えばCYP2D6と基質化合物
とが異なる系から構成される試薬キットであって用時混
合して使用されるものであってもよい。本発明の試薬キ
ットは、必要に応じて例えば、NADPH又は/及びN
ADH等の補酵素、反応停止剤、酢酸エチル等の抽出
液、メタノール等の溶解用液等を含んでいてもよい。
【0046】ここで用いられるCYP2D6はその起源
によって特に限定されないが、好ましくはヒトの肝臓由
来のものである。また取得の由来や精製度等も特に制限
されず、CYP2D6を含むものであれば、肝ミクロソ
ーム抽出物、肝臓ホモジネートであってもよく、また遺
伝子組換え技術によって産生されるCYP2D6、もし
くは培養抽出物であってもよい。好ましくは肝ミクロソ
ーム抽出分である。
【0047】なお、本発明には、前述するCYP2D6
依存性薬物の検出方法及び検出試薬キットに加えて、次
の項5及び項6に掲げるCYP2D6の活性測定用試薬
及び活性測定方法が含まれる。
【0048】項5:次の特性: (i)CYP2D6に特異的に反応する (ii) ミカエリス定数が150μM以上である を少なくとも有する化合物、好ましくはカルテオロール
を含むことを特徴とするCYP2D6の活性測定用試
薬。
【0049】項6:被測定物と、次の特性: (i)CYP2D6に特異的に反応する (ii) ミカエリス定数が150μM以上である を有する化合物(好ましくはカルテオロール)とを混合
して、該混合物中で生成される該化合物の生成物(例え
ば8−水酸化カルテオロール)を測定することを特徴と
するCYP2D6の選択的活性測定方法。
【0050】CYP2D6の活性測定用試薬は、基質と
して少なくとも上記(i)及び(ii)の特性を有する化合物
を含むことを特徴とするものであり、かかる基質の特性
に基づいてCYP2D6の活性が選択的にかつ簡便に測
定できる点で有用な試薬である。また、上記化合物は、
(iii)CYP2D6を活性化及び/又は阻害しない、(i
v)CYP2D6との反応により単一の生成物を生じる、
及び(v) 該生成物が容易に測定できるという性質を有し
ていても良い。
【0051】本発明の試薬は、少なくとも上記化合物を
含むものであればよいが、他の成分としてNADH、N
ADPH等の補酵素等が含まれていてもよい。
【0052】本発明の試薬の測定対象はCYP2D6で
あり、好ましくは肝組織、肝ミクロソーム画分、遺伝子
発現系細胞に含まれるCYP2D6である。
【0053】本発明の試薬は、その用途や使用方法によ
って特に限定されないが、例えば次のように用いること
も可能である。
【0054】(1)本発明の試薬をヒトもしくは他の哺乳
動物に経口投与し、投与後尿中に排泄される基質化合物
の生成物、例えば8−水酸化カルテオロール量を測定す
る。
【0055】これにより、ヒトもしくは動物の肝臓中の
CYP2D6活性を評価することができる。
【0056】一般に薬物を患者に投与してから薬効が発
揮されるまでには、吸収、分布、代謝及び排泄などの種
々の過程が介在している。これらのうち、特に代謝は肝
臓に存在する酵素量や活性等に依存するものであり、個
体差によって大きく影響される。従って、代謝等による
薬物の体内動態を適格に把握することは、個々の患者に
合った合理的な投与方法(投与経路、投与量、投与間隔
等)を設定して、効果を確実にかつ最大限に引き出すた
めに、又副作用等の発現を最小限に食い止めるのに大い
に役立つであろう。
【0057】このように使用される場合は、本発明の試
薬は上記化合物の他、通常経口用薬剤の調製に用いられ
る結合剤、滑沢剤、香味剤、崩壊剤等の担体を含んでい
ても良い。 (2)ヒトもしくは動物の肝組織、肝ミクロソーム等を
被験試料として、本発明の試薬を反応させて、8−水酸
化カルテオロール等の基質生成物の量を測定する。
【0058】これによりインビトロで肝臓等に含まれる
CYP2D6活性を直接評価することができる。
【0059】このように使用される場合は、本発明の試
薬は上記化合物の他、NADH、NADPH等を含んで
いても良い。
【0060】一方、CYP2D6の活性測定法は、上述
の特性を有する化合物を基質として用いることを特徴と
するものであり、既に述べたように、当該化合物を被測
定物に添加、混合して、該混合物中に生成される該化合
物の生成物を測定することから構成される。
【0061】
【実施例】以下、実施例等により本発明を詳細に説明す
るが、かかる実施例は本発明の一態様を示すものであ
り、本発明はこれらの実施例になんら限定されるもので
はない。
【0062】参考例1 下記の成分: 2mM βーNADPH 1mM βーNADH 100pmol ヒトチトクロームP450 2D6 50mM リン酸緩衝液 pH7.4 を含む反応系に、25μM、50μM、100μM、2
50μM及び500μMの各濃度の塩酸カルテオロール
をそれぞれ加えて、反応容量を0.5mlにした。
【0063】なお、使用したヒトチトクロームP450
2D6は、市販のマイクロゾーム懸濁液凍結品(米国
GENTEST社製:Cell microsomes containing ove
r expressed human CYP2D6-val+reductase)である。
【0064】次いで、37℃で10分間インキュベート
し、反応停止液〔500μg/mlのp−アミノ安息香
酸(HPLCの内部標準:I.S.)及び20mg/m
lの亜硫酸水素ナトリウム(重亜硫酸ナトリウム)を含
む20%Na2CO3水溶液〕0.5mlを加えて反応を
停止した。
【0065】該反応液に酢酸エチルを5ml加えて10
分間振盪した後、3000rpmで10分間遠心分離を
行った。分離した有機相の4mlを採取して窒素ガスを
通じて一旦乾固し、これを100μlのメタノールに溶
かして、下記の条件で高速液体クロマトグラフラフィー
(HPLC)で測定した。なお、HPLCでのサンプル
量は30μlを使用した。
【0066】 HPLCの測定条件 溶出液: 10.5% CH3CN,1%AcOH 流速: 0.8ml/min カラム: 4.6mm×250mm,ODS(カラム温度は室温) 検出波長: 254nm 8−水酸化カルテオロール、塩酸カルテオロール及び内
部標準であるp−アミノ安息香酸はきれいに分離され、
それらの保持時間はそれぞれ10min、12min及
び16minであった。
【0067】上記操作をそれぞれ2回繰り返して、基質
として用いる塩酸カルテオロールの濃度とそれに対する
CYP2D6の水酸化反応速度との関係を調べた。その
ラインウイーバー・バーク(Lineweaver-Burk)プロッ
トを図1に示す。
【0068】このプロットから、ラインウイーバー・バ
ーク式 Y=7.0075X + 0.0383 (r=0.99
94) が求められ、これから、カルテオロールのCYP2D6
に対するミカエリス定数(Km):183μM、及び最
大反応速度(Vmax):26.08pmol/min/pmol CY
P2D6 が得られた。
【0069】比較例1 ヒトチトクロームP450 2D6(100pmol)
の代わりに、参考例1記載の反応系(2mM βーNA
DPH、1mM βーNADH、100μmol カル
テオロール、50mM リン酸緩衝液、pH7.4)に
P450の分子種である1A1、1A2、2A6、2B
6、2C9、2C8、2C19、2E1又は3A4(各
100pmol)をそれぞれ加えて反応させ、1時間後
の8−水酸化カルテオロールの生成量を測定した。
【0070】それらの結果をCYP2D6の結果と合わ
せて表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】このことから、カルテロールは、各種P4
50分子種のうち、CYP2D6によって特異的に代謝
をうけて8−水酸化カルテオロールを生成する、CYP
2D6特異的基質であることが分かった。
【0073】実施例1 下記の成分: 2mM βーNADPH 1mM βーNADH 100pmol ヒトチトクロームP450 2D6 50mM リン酸緩衝液 pH7.4 を含む反応系に目的とする被験薬(キニジン、プロプラ
ノロール、ノルトリプチリン、デキストロメトルファ
ン、スパルテイン、(±)ブフラロール、(±)ワ−ファリ
ン)のそれぞれと100μM 塩酸カルテオロールを加
えて反応容量を0.5mlにした。次いで、37℃で1
0分間インキュベートし、反応停止液〔500μg/m
lのp−アミノ安息香酸(HPLCの内部標準:I.
S.)及び20mg/mlの亜硫酸水素ナトリウムを含
む20%Na2CO3水溶液〕0.5mlを加えて反応を
停止した。
【0074】該反応液に酢酸エチルを5ml加えて10
分間振盪した後、3000rpmで10分間遠心分離を
行った。分離した有機相の4mlを採取して窒素ガスを
通じて一旦乾固し、これを100μlのメタノールに溶
かして、参考例1に記載する条件と同一条件を用いてH
PLCで測定した。なお、HPLCでのサンプル量は3
0μlを使用した.なお、用いた被験薬は、従来の知見
によると、キニジンはCYP2D6阻害剤、プロプラノ
ロール、ノルトリプチリン、デキストロメトルファン、
スパルテイン及び(±)ブフラロールはCYP2D6依存
型代謝系の薬剤、(±)ワ−ファリンはCYP2D6非依
存型代謝系薬剤であって1A2,2C9及び3A4の各
P450によって代謝される薬剤であることが知られて
いる。
【0075】結果を表2に示す。表から分かるように、
キニジンは1×10ー7Mの極めて低い濃度においても8
−水酸化カルテオロールの生成を完全に阻害し、CYP
2D6の阻害剤であることを示した。また、CYP2D
6依存型代謝系の各薬剤は、用量依存的に本反応を阻害
し、また(±)ワーファリンは本反応を阻害せず、従来の
知見と一致した結果を示した(表2)。このことから、
本発明の測定系によれば、新規薬物等体内へ投与される
化合物について、CYP2D6阻害剤であるか、依存型
代謝化合物であるか等を正確に調べることができること
が判明した。
【0076】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 チトクロームP450 2D6によるカルテ
オロール8位の水酸化反応初速度のラインウィーバー・
バーク・プロットを示す図である。 Y=7.0075X + 0.0383(γ=0.99
94) 図中●は、△(No1)と□(No2)の2回の測定の
平均値を表わす。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の特性: (i)チトクロームP450 2D6に特異的に反応す
    る (ii)ミカエリス定数が150μM以上である を少なくとも有する化合物を被験薬の存在下でチトクロ
    ームP450 2D6と反応させて、該化合物の生成物
    の生成量を測定することによる、チトクロームP450
    2D6依存性薬物の検出方法。
  2. 【請求項2】カルテオロールを被験薬の存在下でチトク
    ロームP450 2D6と反応させて、8−水酸化カル
    テオロールの生成量を測定することを特徴とする請求項
    1記載のチトクロームP450 2D6依存性薬物の検
    出方法。
  3. 【請求項3】チトクロームP450 2D6依存性薬物
    を検出するための試薬キットであって、 (i)チトクロームP450 2D6に特異的に反応す
    る (ii)ミカエリス定数が150μM以上である という特性を有する化合物、及びチトクロームP450
    2D6を少なくとも含有する試薬キット。
  4. 【請求項4】化合物がカルテオロールである、請求項3
    記載のチトクロームP450 2D6依存性薬物の検出
    試薬キット。
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