JPH10104666A - 光学装置及びその使用方法 - Google Patents

光学装置及びその使用方法

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JPH10104666A
JPH10104666A JP8281371A JP28137196A JPH10104666A JP H10104666 A JPH10104666 A JP H10104666A JP 8281371 A JP8281371 A JP 8281371A JP 28137196 A JP28137196 A JP 28137196A JP H10104666 A JPH10104666 A JP H10104666A
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】銀塩溶液から透明電極上への銀の析出を利用し
て光の透過率を制御する光学装置の透明電極にかかる電
圧負荷を軽減して、その長寿命化を達成する。 【解決手段】一対の銀板の対極7a、7bの一方7bか
ら他方7aの表面にめっき状に銀を付着させ、ITO透
明電極3eの駆動時、対極7bの表面にめっき状に付着
している銀10を銀塩溶液1中に溶出させる。 【効果】対極として銀板を用いる場合に比較して、透明
電極3e駆動時の電圧が低く又はその印加時間が短くて
済む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学装置(例え
ば、数字若しくは文字表示又はX−Yマトリックス表示
等を行うための表示装置や、可視光域(波長λ=400
〜700nm)において光透過率の制御が可能なフィル
タ)、及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロクロミック材料(以
下、「EC材料」と称する。)は、電圧駆動型の表示装
置に用いられ、例えば、時刻を表示するデジタル時計等
に採用されている。
【0003】エレクトロクロミック表示素子(以下、
「ECD」と称する。)は、非発光型の表示装置であっ
て、反射光や透過光による表示であるために、長時間の
観察によっても疲労感が少ないという利点を有するとと
もに、駆動電圧が比較的低く、消費電力が少ない等の利
点を有する。例えば、特開昭59−24879号公報に
開示されているように、液体型ECDとして可逆的に着
色/消色状態を形成する有機分子系のビオロゲン分子誘
導体をEC材料に用いるものが知られている。
【0004】精密光学機器の発展に伴って、これまでの
可変NDフィルタに置きかわる微細且つ低消費電力型の
光量調節デバイスが必要となっているが、上述のような
ECD又はその周辺技術がそれに適応できるか否かの検
討が必要となっている。
【0005】しかしながら、ビオロゲン分子誘導体等の
EC材料をECDに利用した場合、実際に必要とされる
応答速度やその時の遮蔽度に問題があり、実用化するこ
とは困難であった。
【0006】そこで、ECDに置き換えて、金属塩の析
出/溶解を利用した反射型の調光素子に着目し、銀の析
出/溶解を用いた電気化学的調光素子の開発が行われて
きた。
【0007】図11に、この従来の電気化学的調光素子
のセル構造を示す。
【0008】図11(a)に示すように、一対の透明ガ
ラス基板104、105が一定の間隔を置いて表示窓と
して配置されている。各基板104、105の内面には
ITO(酸化インジウムに錫をドープして得られたも
の)からなる作用電極102、103が設けられ、この
対向する作用電極102、103間に銀塩溶液101が
配されている。106は、基板104、105の全周に
スペーサを兼ねて設けられた銀板からなる対極である。
【0009】銀塩溶液101は、例えば、臭化銀をジメ
チルスルホキシド(DMSO)に溶解させたもので、図
示の如く、対極106を陽極、作用電極102、103
を陰極として、それらの間に所定時間だけ直流の駆動電
圧を印加すると、銀塩に Ag+ +e- →Ag なる酸化還元反応が陰極側において生じ、このAg析出
物により陰極側の作用電極102、103が透明→着色
状態に移行する。図11(b)は、この時の作用を示す
原理図である。
【0010】このように、作用電極102、103上に
Agを析出させることによって、表示窓からはAg析出
物による特定の色(例えば、反射光)を観察でき、フィ
ルタ材となる。そして、この着色によるフィルタ作用、
即ち、可視光の透過率(又は着色の濃淡)は電圧の大き
さ若しくはその印加時間とともに変化し、それらを制御
することによって透過率可変表示素子又はフィルタとし
て機能させることができる。
【0011】一方、この着色状態の時、対極106と作
用電極102、103との間に上述とは逆の方向に直流
電圧を印加すると、その上にAgが析出している作用電
極102、103が今度は陽極側となり、そこで Ag→Ag+ +e- なる反応が起こって、作用電極102、103上に析出
していたAgが銀塩溶液101中に溶解する。これによ
り、着色状態だった作用電極102、103が着色→透
明状態に復元する。
【0012】以上に説明した銀塩の可逆反応過程の特に
銀の析出過程において、陰極側の作用電極102、10
3上で析出により消費された銀イオンは陽極側の銀板で
ある対極106から銀塩溶液101中に補充される。と
ころが、この従来の構成では、陽極側において、銀板を
安定に構成している銀原子を銀イオンにして溶出させな
ければならないため、それに必要な仕事関数が比較的大
きく、銀イオンの補充効率が悪かった。このため、銀塩
溶液101中の銀イオン濃度が徐々に低下して、陰極側
での銀の析出効率が悪くなるために、この過程に比較的
高い電圧又は長い印加時間が必要であった。そして、そ
の高い電圧又は長い印加時間による過負荷によりITO
透明電極からなる作用電極102、103の劣化が著し
かった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、銀塩
溶液中への銀イオンの補充効率を改善することによって
透明電極への電圧による過負荷を軽減し、透明電極の劣
化を抑えて、その長寿命化を達成できる光学素子及びそ
の使用方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対の電極
と、前記一対の電極に接してそれらの間に配された銀塩
溶液とを有し、前記一対の電極の一方の電極の表面にめ
っき状の銀を備えた、光学装置に係るものである。
【0015】この本発明の光学装置によれば、一方の電
極の表面にめっき状に付着した銀を銀イオンとして銀塩
溶液中に溶出させることができるので、その銀イオンの
溶出に必要な仕事関数が比較的小さくて済み、銀イオン
の補充効率が向上する。この結果、透明電極に過負荷と
なるような高電圧又はその長い印加時間が必要無くな
り、透明電極の劣化を抑えることができて、その長寿命
化を達成することができる。
【0016】この本発明の光学装置において、銀めっき
が施される一方の電極の本体部分は、ステンレススチー
ル、鉄、銀、銅、ニッケル及び錫のうちの少なくとも1
種から構成することができる。
【0017】また、その一方の電極の表面に付着させる
銀の量は、10〜10000mCの電荷量に相当するの
が好ましい。この銀量は、電荷量にして、10mC未満
では電極への過電圧を解消できず、また、10000m
Cを超えると対極上に付着した銀が剥離して電解液を濁
し易くなる。
【0018】また、この本発明の光学装置は、互いに対
向して配された一対の透明又は半透明基板と、これらの
一対の透明又は半透明基板の対向面に夫々設けられて互
いに対向するように配された少なくとも一対の透明又は
半透明電極と、前記少なくとも一対の透明又は半透明電
極に接してそれらの間に配された前記銀塩溶液と、前記
銀塩溶液に接して配され且つ表面に銀めっきが施された
対極とを有するのが好ましい。
【0019】また、本発明は、透明又は半透明電極と、
銀を含有した銀含有電極と、前記透明又は半透明電極及
び前記銀含有電極に対応した第3の電極と、前記透明又
は半透明電極、前記銀含有電極及び前記第3の電極に夫
々接して配された銀塩溶液とを有する光学装置を使用す
るに際し、前記銀含有電極と前記第3の電極との間に第
1の電圧を印加して、前記銀含有電極から溶解させた銀
を前記第3の電極の表面にめっき状に付着させた後、前
記第3の電極と前記透明又は半透明電極との間に第2の
電圧を印加して、前記めっき状に付着させた銀を溶出さ
せる、光学装置の使用方法に係るものである。
【0020】この本発明の光学装置の使用方法によれ
ば、例えば銀板等の銀含有電極から一旦第3の電極の表
面に銀をめっき状に付着させ、銀の析出過程では、その
第3の電極の表面にめっき状に付着させた銀を銀イオン
として銀塩溶液中に溶出させるので、やはり、銀の補充
効率が向上する。そして、銀含有電極から第3の電極の
表面に銀をめっき状に付着させる比較的高い電圧又は長
い印加時間が必要な工程では、透明又は半透明電極にそ
の電圧をかける必要が無いので、透明又は半透明電極の
負荷が軽減され、その長寿命化が達成される。
【0021】また、この本発明の光学装置の使用方法に
よれば、予め銀めっきを施した部材で装置を構成する必
要が無く、更に、銀の析出過程を繰り返すことで消費さ
れる銀めっきを、適宜銀めっき工程を実施することによ
り補充することができる。
【0022】また、透明又は半透明電極上に析出した銀
を溶解させる際には、透明又は半透明電極と銀含有電極
との間に第3の電圧を印加して行っても良い。
【0023】本発明において、透明又は半透明電極は、
インジウム−錫酸化物から構成されたいわゆるITO透
明電極であるのが好ましい。
【0024】また、銀塩溶液は、臭化銀、塩化銀、ヨウ
化銀等のハロゲン化銀を水又は非水溶媒に溶解させた溶
液であるのが好ましい。この時、非水溶媒としては、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,
N−ジメチルアセトアミド(DMAA)、N−メチルプ
ロピオン酸アミド(MPA)、N−メチルピロリドン
(MP)、プロピレンカーボネート(PC)、アセトニ
トリル(AN)、2−メトキシエタノール(MEO
H)、2−エトキシエタノール(EEOH)等を用いる
ことができる。
【0025】また、銀塩溶液中のハロゲン化銀の濃度
は、0.03〜2.0mol/lであるのが好ましく、
0.05〜2.0mol/lであるのがより好ましい。
【0026】また、銀塩溶液の導電性を上げるととも
に、ハロゲン化銀の溶解のために、臭素その他のハロゲ
ンを供給可能な支持塩(支持電界質)を添加するのが好
ましい。例えば、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カ
リウム、ハロゲン化カルシウム、ハロゲン化四級アンモ
ニウム塩等が用いられる。このような支持塩は、ハロゲ
ン化銀の1/2〜5倍程度の濃度範囲で添加されるのが
好ましい。
【0027】また、銀を析出又は溶解させる作用電極で
ある透明又は半透明電極、例えば、ITO電極を化学的
又は物理的に修飾することにより、透明又は半透明電極
への銀の析出電位を下げ、銀の析出を容易とし、透明又
は半透明電極や溶液自身が電気的に受ける損傷を軽減さ
せることができる。
【0028】この場合の化学的修飾法として、錫溶液及
びパラジウム溶液の二液処理法によるパラジウム等によ
ってITO電極の表面処理(化学めっき)を行うのが好
ましい。即ち、パラジウムによるITO電極の表面活性
化処理として、ITO単独基板上にパラジウム核を析出
させることでITO電極表面上の活性を高める。
【0029】この場合、錫溶液としては、塩化錫(Sn
Cl2 )0.10〜1.0gを濃度0.010〜0.1
0%、1lのHClに溶解させたもの、パラジウム溶液
としては、塩化パラジウム(PdCl2 )0.10〜
1.0gを濃度0.010〜0.10%、1lのHCl
に溶解させたものが使用可能である。
【0030】また、物理的修飾法としては、銀より貴な
金属等をITO電極上へ蒸着する方法が採用可能であ
る。
【0031】本発明は、数字又は文字表示、或いは、X
−Yマトリックス表示等を行える表示素子や、可視光域
(波長λ=400〜700nm)において光透過率の制
御が可能な光学フィルタ等の光学装置に広く適用が可能
である。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0033】まず、図1〜図3を参照して、本発明の第
1の実施例による光学フィルタを説明する。
【0034】例えば、図2(a)の断面図に示すよう
に、セルを構成する一対の透明基板(例えば、ガラス
板)4、5が一定の間隔を置いて配置され、各基板4、
5の内面(対向面)には、各一対の作用電極(例えば、
ITO電極)2a、2b、2c、2d、2eと3a、3
b、3c、3d、3eが夫々互いに対向して設けられて
いる。また、これらの作用電極2a〜2e及び3a〜3
eの外周部には、電位補償用の参照電極として用いられ
る銀の対極7a、7bが設けられている。
【0035】図3の平面図に示すように、作用電極2a
〜2e、3a〜3e及び対極7a、7bは同心円状のパ
ターンに形成されている。そして、各電極2aと3a、
2bと3b、2cと3c、2dと3d、2eと3e、7
aと7bは、夫々、駆動電源8a、8b、8c、8d、
8e、8fにクロム細線等からなる配線9a、9b、9
c、9d、9e、9fにより接続されている。
【0036】図2(a)に示すように、透明基板4と5
は、スペーサ6により所定間隔に保持され、その間に銀
塩溶液1が封入されている。
【0037】図3に示すように、互いに対向する対向電
極2aと3a、2bと3b、2cと3c、2dと3d、
2eと3eに夫々所定の電位(V1 、V2 、V3
4 、V5 とする。V6 は対極7a、7bにおける基準
電位。)を与えることによって、陰極である各電極上に
銀塩溶液1から銀を析出させ、着色することができる。
この着色によるフィルタ作用、即ち、可視光の透過率
(又は着色の濃淡)は電圧の大きさ又はその印加時間と
ともに変化する。そこで、V1 =V2 =V3 =V4 =V
5 とすれば、セルの全域に亙って一様に着色することが
でき、且つ、電圧又はその印加時間に応じて濃度の程度
を一様に変化させることができる。また、例えば、|V
1 |<|V2 |<|V3 |<|V4 |<|V5 |とすれ
ば、中心部から周辺へ行くに従い着色濃度が大となる
(換言すれば、透過率が小となる。)。これは、テレビ
カメラ等のCCD(電荷結合素子)用の光学絞りとして
有用であり、CCDの集積度の向上に充分に対応できる
ものである。また、|V1 |>|V2 |>|V3 |>|
4 |>|V5 |とすれば、中心部から周辺へ行くに従
い透過率が大となる。
【0038】次に、この第1実施例の光学フィルタの駆
動方法を図1の原理図及び図2を参照して説明する。
【0039】この第1実施例においては、作用電極2a
〜2e、3a〜3e上に銀を析出させる前に、図1
(a)及び図2(a)に示すように、一方の対極7aを
陰極、他方の対極7bを陽極として、それらの間に所定
の電圧V7 を印加し、対極7bの銀板を構成する銀を溶
出させて、他方の対極7aの表面にめっき状に付着さ
せ、銀めっき層10を形成する。なお、7a、7bは逆
でも良い。この時、対極7aの表面にめっき状に付着す
る銀の量が10〜10000mCの電荷量に相当するよ
うに電圧V7 及びその印加時間を制御する。
【0040】次に、図1(b)及び図2(b)に示すよ
うに、表面に銀めっき層10を有する対極7aを陽極、
銀を析出させる作用電極、例えば、3eを陰極として、
それらの間に所定の電圧V8 を印加し、対極7aの表面
にめっき状に付着している銀を銀塩溶液1中に溶出させ
るとともに、作用電極3e上に銀を析出させ着色する。
【0041】このように、本実施例においては、銀板で
ある対極7a(又は7b)から溶解させた銀を一旦他方
の対極7b(又は7a)の表面にめっき状に付着させ、
作用電極上への銀の析出過程で、この他方の対極7b
(又は7a)の表面にめっき状に付着した銀を銀塩溶液
1中に溶出させ、銀塩溶液1中の銀イオン濃度を制御す
る。従って、銀板を安定に構成している銀を溶出させる
ために必要な比較的高い電圧又は長い印加時間は対極7
a−7b間に印加され、作用電極には比較的低い電圧又
は短い印加時間を適用すれば良い。従って、作用電極に
対する負荷が従来よりも軽減され、この結果、作用電極
の長寿命化を達成することができる。
【0042】図1(c)は、作用電極3eを陽極とする
電圧を作用電極3e−対極7b間に印加して、作用電極
3e上の析出銀を溶解させ、作用電極3eの光透過率を
回復させる状態を示している。
【0043】図4に、対極の銀めっきの有無によるIT
O電極上の銀の析出/溶解の実験結果を示す。
【0044】銀塩としては臭化銀を用い、溶媒としてD
MSOを用いた。また、AgBr濃度は0.50mol
/lとし、これを溶解するために四級アンモニウム塩
(Tera-n-butyl ammonium Bromide)を1.0mol/l
溶解させ、電解液とした。作用電極として7mmφのI
TO透明電極(図1中には一点鎖線で示す。)を用い、
300mCの銀をめっきした銀板及びめっきを施さない
銀板を夫々対極として用いた。
【0045】この図4において、縦軸は作用電極−対極
間に印加したセル電圧〔V〕、横軸は銀の析出量又は溶
解量に対応する電流密度〔mA〕である。また、●は、
図1に示したように、銀めっきを施した銀板を対極とし
て用いた場合の作用電極上からの銀溶解時のデータ、■
は、銀めっきを施した銀板を対極として用いた場合の作
用電極上への銀析出時のデータ、○は、図11に示した
ように、銀めっきを施さない銀板を対極として用いた場
合の作用電極上からの銀溶解時のデータ、□は、銀めっ
きを施さない銀板を対極として用いた場合の作用電極上
への銀析出時のデータを夫々示している。
【0046】この図4の結果から分かるように、銀めっ
きを施した銀板を対極として用いた場合には、銀めっき
を施さない銀板を対極として用いた場合に比較して、銀
溶解時及び銀析出時に必要な印加電圧の絶対値がいずれ
も100〜数100mVのオーダーで小さくなってい
る。即ち、銀めっきを施した銀板を対極として用いるこ
とにより、作用電極に印加する電圧を低く(又はその印
加時間を短く)抑えることができて、作用電極における
負荷(過電圧)を軽減でき、ひいては、作用電極の劣化
を抑えることができて、その長寿命化を達成できること
が分かる。
【0047】また、図5〜図8に、対極の銀めっきの有
無により光の波長と透過率の関係がどう変わるかを調べ
た結果を示す。
【0048】図5は、600mCの銀めっきを施した銀
板を対極として用いた場合の銀析出時(印加電圧=−
1.1V、計2秒間)の波長と透過率の関係、図7は、
銀めっきを施さない銀板を用いた場合の銀析出時(印加
電圧=−1.1V、計2秒間)の波長と透過率の関係、
図6は、600mCの銀めっきを施した銀板を対極とし
て用いた場合の銀溶解時(印加電圧=+1.4V、計3
秒間)の波長と透過率の関係、図8は、銀めっきを施さ
ない銀板を用いた場合の銀溶解時(印加電圧=+1.4
V、計3秒間)の波長と透過率の関係を夫々示す。な
お、各図において、縦軸は透過率〔%〕、横軸は波長
〔nm〕である。また、銀塩溶液等は、図4の実験と同
じものを用いた。
【0049】図5と図7を比較すると、銀析出時、銀め
っきを施した対極を用いた場合には、銀めっき無しの銀
板のみを対極として用いた場合に比べて、透過率の減少
は多少遅くなるものの、波長による透過率の変化が少な
く、従って、波長による透過率のむら(色むら等)の生
じ難いことが分かる。即ち、光学フィルタや表示装置と
して用いた場合、その特性が優れる。また、図6と図8
を比較すると、銀溶解時、銀めっきを施した対極を用い
た場合には、銀めっき無しの銀板のみを対極として用い
た場合に比べて、透過率の回復は多少遅くなるものの、
やはり、波長による透過率の変化の少ないことが分か
る。
【0050】なお、透過率の回復を速く行いたい場合に
は、作用電極上からの銀溶解時にのみ銀めっき無しの対
極を用いることが考えられる。即ち、図1(a)及び
(b)で説明したように、一方の対極7aに銀めっきを
施して、この対極7aを対極として作用電極3e上に銀
の析出(着色)を行った後、銀の溶解(消色)時には、
対極を切り換えて、銀めっきの無い方の対極7bを対極
として用い、作用電極3e上の銀を溶解させれば良い。
このように構成することで、銀の析出(着色)時には、
色むらが少なくて特性に優れ、、また、作用電極の負荷
も小さくてその劣化を抑えることができ、一方、銀の溶
解(消色)時には、透過率の回復が速くて動作速度が速
い光学素子を実現することができる。
【0051】また、本実施例において、対極上に銀めっ
きを施す工程は、銀の析出過程の前に必ず行わなければ
ならないことはなく、1度銀めっきを施した状態で何回
かの銀析出/溶解過程を繰り返しても良い。そして、対
極上の銀めっきが消費されて少なくなった時点で、定期
的又は不定期的に、対極上への銀めっき工程を行えば良
い。
【0052】なお、図1に示したように対極上に銀めっ
きを施した状態でデバイスを使用に供することは勿論可
能である。
【0053】次に、図9及び図10を参照して本発明の
第2の実施例を説明する。
【0054】図9(a)及び図10に示すように、本実
施例の光学装置では、セルを構成する一対の透明基板
(例えば、ガラス板)24、25が一定の間隔を置いて
配置され、各基板24、25の内面(対向面)に、一対
の作用電極(例えば、ITO電極)22、23が互いに
対向して設けられている。そして、基板24、25の全
周にわたってスペーサを兼ね且つ電位補償用の電極とし
て作用する銀板からなる対極26が配されている。そし
て、作用電極22、23及び対極26に囲まれた空隙
に、これらの電極に接して銀塩溶液21が封入されてい
る。
【0055】図9(a)に示すように、対極26の内周
面には予め銀めっき層30が設けられている。そして、
図9(b)に原理図で示すように、銀析出時には、この
銀めっき層30からの銀イオンが銀塩溶液21中に溶出
する。従って、銀イオンの溶出にそれほど高電圧又は長
い印加時間が必要なく、その結果、作用電極22、23
の負荷が軽減されて、その劣化が抑えられ、作用電極2
2、23の長寿命化が達成される。
【0056】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可
能である。
【0057】例えば、対極の材質は銀板以外であって良
く、また、銀板に限らず、導体金属に銀を被着した構造
としても良い。また、銀塩溶液の種類、濃度等は種々に
変更が可能である。また、対極やITO電極のパター
ン、サイズ、形状をはじめ、各構成部分の材質、更に
は、駆動方法も上述したものに限定されることはない。
例えば、図3に示したような電極パターンをストライプ
状、格子状等のように種々に変化させても良いし、各分
割電極毎に異なるセルを併置して設けることもできる。
また、本発明による光学装置は、公知の他のフィルタ材
(例えば、有機系のエレクトロクロミック材、液晶、エ
レクトロルミネッサンス材)と組み合わせる等も可能で
ある。また、本発明による光学装置は、CCDの光学絞
り用をはじめ、各種光学系、更には、電子写真複写機や
光通信機器等の光量調節用としても広く適用可能であ
る。
【0058】
【発明の効果】本発明では、銀塩溶液から透明又は半透
明電極上への銀の析出を利用して光の透過率を制御する
光学装置の駆動時に、対極の表面にめっき状に付着させ
た銀を銀塩溶液中に溶出させることで、銀塩溶液中の銀
イオン濃度を制御するので、比較的低電圧又は短い印加
時間で銀の溶出が可能であり、その結果、透明又は半透
明電極に過負荷の電圧が印加されることが無くなって、
透明又は半透明電極の劣化が抑えられ、透明又は半透明
電極の長寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による光学装置の作用を説
明するための原理図である。
【図2】本発明の第1実施例による光学装置の構造を示
す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による光学装置の構造を示
す平面図である。
【図4】銀めっきを施した対極を用いた場合と銀めっき
を施さない対極を用いた場合の光学装置のセル電圧と電
流密度との関係を示すグラフである。
【図5】銀めっきを施した対極を用いた銀析出時の光学
装置の透過率の光の波長依存性を示すグラフである。
【図6】銀めっきを施した対極を用いた銀溶解時の光学
装置の透過率の光の波長依存性を示すグラフである。
【図7】銀めっきを施さない対極を用いた銀析出時の光
学装置の透過率の光の波長依存性を示すグラフである。
【図8】銀めっきを施さない対極を用いた銀溶解時の光
学装置の透過率の光の波長依存性を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施例による光学装置の構造及び
作用を説明するための断面図及び原理図である。
【図10】本発明の第2実施例による光学装置を示す概
略斜視図である。
【図11】従来の光学装置の構造及び作用を説明するた
めの断面図及び原理図である。
【符号の説明】
1、21…銀塩溶液、2a〜2e、3a〜3e、22、
23…作用電極、4、5、24、25…透明基板、6…
スペーサ、7a、7b、26…対極、10、30…銀め
っき層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極と、 前記一対の電極に接してそれらの間に配された銀塩溶液
    とを有し、 前記一対の電極の一方の電極の表面にめっき状の銀を備
    えた、光学装置。
  2. 【請求項2】 前記一方の電極の本体部分が、ステンレ
    ススチール、鉄、銀、銅、ニッケル及び錫からなる群よ
    り選ばれた少なくとも1種から構成されている、請求項
    1に記載の光学装置。
  3. 【請求項3】 前記一方の電極の表面にめっき状に付着
    している銀の量が10〜10000mCの電荷量に相当
    する、請求項1に記載の光学装置。
  4. 【請求項4】 前記銀塩溶液が、ハロゲン化銀を水又は
    非水溶媒に溶解させた溶液である、請求項1に記載の光
    学装置。
  5. 【請求項5】 互いに対向して配された一対の透明又は
    半透明基板と、これらの一対の透明又は半透明基板の対
    向面に夫々設けられて互いに対向するように配された少
    なくとも一対の透明又は半透明電極と、前記少なくとも
    一対の透明又は半透明電極に接してそれらの間に配され
    た前記銀塩溶液と、前記銀塩溶液に接して配され且つ表
    面に銀めっきが施された対極とを有する、請求項1に記
    載の光学装置。
  6. 【請求項6】 前記透明又は半透明電極がインジウム−
    錫酸化物から構成されている、請求項5に記載の光学装
    置。
  7. 【請求項7】 透明又は半透明電極と、銀を含有した銀
    含有電極と、前記透明又は半透明電極及び前記銀含有電
    極に対応した第3の電極と、前記透明又は半透明電極、
    前記銀含有電極及び前記第3の電極に夫々接して配され
    た銀塩溶液とを有する光学装置を使用するに際し、 前記銀含有電極と前記第3の電極との間に第1の電圧を
    印加して、前記銀含有電極から溶解させた銀を前記第3
    の電極の表面にめっき状に付着させた後、 前記第3の電極と前記透明又は半透明電極との間に第2
    の電圧を印加して、前記めっき状に付着させた銀を溶出
    させる、光学装置の使用方法。
  8. 【請求項8】 前記透明又は半透明電極上に析出した銀
    を溶解させる際に、前記透明又は半透明電極と前記銀含
    有電極との間に第3の電圧を印加する、請求項7に記載
    の光学装置の使用方法。
  9. 【請求項9】 前記銀含有電極及び前記第3の電極の少
    なくとも一方が、ステンレススチール、鉄、銀、銅、ニ
    ッケル及び錫からなる群より選ばれた少なくとも1種か
    ら構成されている、請求項7に記載の光学装置の使用方
    法。
  10. 【請求項10】 前記第3の電極の表面に10〜100
    00mCの電荷量に相当する銀をめっき状に付着させ
    る、請求項7に記載の光学装置の使用方法。
  11. 【請求項11】 前記銀塩溶液が、ハロゲン化銀を水又
    は非水溶媒に溶解させた溶液である請求項7に記載の光
    学装置の使用方法。
  12. 【請求項12】 前記透明又は半透明電極がインジウム
    −錫酸化物から構成されている、請求項7に記載の光学
    装置の使用方法。
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