JPH0989500A - 軍事演習用破壊消耗品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軍事演習に使用する安価な模擬爆弾を提供す
る。模擬爆弾の使用に伴う演習場の環境破壊を防ぐ。 【構成】 模擬爆弾のシェル１０をグルテン生分解プラ
スチックにより形成する。着弾時の火薬３０の爆発によ
り、シェル１０が粉々に破壊される。その破片は、土中
のバクテリアによって分解される。標的をグルテン生分
解プラスチックにより形成することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軍事演習に使用さ
れて粉々に破壊される破壊消耗品、具体的には模擬爆弾
・標的に関する。

【０００２】

【従来の技術】我が国の自衛隊も含め、世界各国の軍事
演習では、本物の爆弾の他に、その爆弾を想定した各種
の模擬爆弾が使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、その模擬爆弾
は、本物の爆弾ほどではないが、非常に高価であり、そ
のために使用量が制限される。また、模擬爆弾と言えど
も、内部に充填された火薬の爆発により、着弾と同時に
シェルが破壊されるが、その残骸は長期間分解されずに
残って演習場の自然環境を破壊する原因になる。

【０００４】本発明はかかる事情に鑑みて創案されたも
のであり、安価で、しかも残骸が演習場の環境破壊の原
因にならず、むしろ環境保全に積極的に寄与する軍事演
習用破壊消耗品を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる軍事演習
用破壊消耗品は、第１に、軍事演習に使用される模擬爆
弾のシェルをグルテン生分解プラスチックにより形成
し、そのシェルの中に着弾時にシェルを爆破するための
火薬を充填したものであり、第２に、軍事演習に使用さ
れる標的をグルテン生分解プラスチックにより形成した
ものである。

【０００６】グルテン生分解プラスチックとは、蛋白質
の一種であるグルテンを利用した生分解プラスチックで
ある。これに類似するものとしてトウモロコシ蛋白を利
用した生分解プラスチックがあり、これを用いた食器は
先のバルセロナオリンピックで大きく報道されたが、現
在はコストの問題で生産は縮小状態である。グルテンに
ついてもその生分解プラスチックは開発されているが、
大量消費につながるような利用法はなく、工業的にはグ
ルテン単体が既成食品に添加されている程度である。

【０００７】本発明にかかる軍事演習用破壊消耗品は、
このグルテン生分解プラスチックを軍事演習に使用され
る模擬爆弾・標的に用いたものである。模擬爆弾は、シ
ェルの内部に充填された火薬が着弾と同時に爆発して、
シェルが破壊される。標的も被弾と同時に破壊される。
この点において、いずれも破壊消耗品である。

【０００８】グルテン生分解プラスチックは、第１に、
他のプラスチックと同様にあらゆる形に成形することが
できる。第２に、塗装が容易であり、その塗装により強
度を高めることができる。第３に、接着やボルト等によ
る機械的接合が可能である。従って、グルテン生分解プ
ラスチックにより模擬爆弾・標的の製作が可能である。
模擬爆弾の重量が不足する場合には、内部に砂等の粒体
を充填すればよい。小麦粉等の粉体を充填すれば、着弾
破壊と同時にその粉体が舞い上がり、その着弾をリアル
に表示することができる。砂も小麦粉も自然環境を破壊
しない。他の粒体、粉体を使用する場合も自然環境を破
壊しないものを選ぶのが望ましい。

【０００９】第４に、グルテン生分解プラスチックは、
主原料のグルテンが安価であることから経済的であるの
で、このグルテン生分解プラスチックで製作した模擬爆
弾・標的は従来品と比較して大変安価となる。第５に、
土中の腐敗バクテリアにより容易に分解して自然に帰る
ので、グルテン生分解プラスチックで製作した模擬爆弾
・標的は、演習場の自然環境を破壊しないだけでなく、
栄養分となって環境保全に積極的に寄与する。その模擬
爆弾・標的は、破壊時には小片に粉砕されることが理想
的であるが、粉砕を免れた部分も約２週間で軟化分解が
始まる。また、バクテリアや水に接触しなければ、半永
久的に形状を保持することができるので、保存性につい
ても問題がない。

【００１０】グルテン生分解プラスチックは、主原料で
ある小麦グルテンに可塑剤（グリセロール、エチレング
リコール、ジエチレングリコール等）、添加剤（尿素、
硫黄等）などを加えて混練し、乾燥後、所望の形状に成
形して製造される。このプラスチック自体は周知である
ので、これ以上の説明は省略する。本発明はグルテン生
分解プラスチックの大量消費を期待できる効果的な利用
法を提供するものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明を実施した軍事演習
用破壊消耗品の１例を示す模擬爆弾の断面図である。

【００１２】本模擬爆弾は、グルテン生分解プラスチッ
クからなるシェル１０を具備する。シェル１０は本物の
爆弾と同じ外形を有し、内部に空洞を有する。この空洞
内には、先端の信管２０に接して少量の火薬３０が充填
されると共に、火薬３０の後方に位置して砂と小麦粉の
混合物４０が充填されている。砂はシェル１０の軽さを
補う粒体であり、小麦粉は着弾表示用の粉体である。

【００１３】本模擬爆弾が着弾すると、火薬３０が爆発
してシェル１０が粉々に破壊される。このとき、混合物
４０中の小麦粉が舞い上がり、着弾をリアルに表示す
る。粉々に破壊されたシェル１０は、広範囲に飛散し、
土中の腐敗バクテリアにより容易に分解する。その破壊
を免れた部分も、約２週間で軟化分解が始まる。

【００１４】本模擬爆弾は、そのシェル１０が安価であ
るので、大量に使用することができる。その大量使用に
よって演習場の荒れた大地等を扶養化することができ
る。

【００１５】本模擬爆弾は、推進装置と組み合わせるこ
とにより、ロケット弾とすることができる。すなわち、
ロケット弾の弾頭に使用することができる。

【００１６】また、模擬爆弾だけでなく、軍事演習に使
用される陸上・海上の標的に本発明を適用することによ
っても、同様の効果を挙げることができる。この標的
は、純粋な軍事演習用だけでなく、クレー射撃に使用さ
れる標的も含むものである。

【００１７】

【発明の効果】以上に説明した通り、本発明にかかる軍
事演習用破壊消耗品は、模擬爆弾のシェルや標的をグル
テン生分解プラスチックにより形成したものであるの
で、安価であり、大量に使用することができる。大量に
使用しても、演習場の自然環境に悪影響を与えることが
なく、むしろその自然環境に好影響を与えて、演習場の
荒れた大地等の扶養化を図る。軍事演習は世界各国で日
夜行われている。その軍事演習を通じて、演習場の大地
等を扶養化する効果の大きいことは言うまでもない。安
価で大量使用が可能であることと相まって、本発明にか
かる破壊消耗品は、グルテン生分解プラスチックの極め
て有効な利用形態と言うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施した軍事演習用破壊消耗品の１例
を示す模擬爆弾の断面図である。

【符号の説明】

１０ シェル ２０ 信管 ３０ 火薬 ４０ 砂と小麦粉の混合物

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軍事演習に使用される模擬爆弾のシェル
   をグルテン生分解プラスチックにより形成し、そのシェ
   ルの中に着弾時にシェルを爆破するための火薬を充填し
   たことを特徴とする軍事演習用破壊消耗品。
2. 【請求項２】 シェルの中に火薬と共に、重量調整用の
   粒体および／または着弾時に煙の如く飛散する着弾表示
   用の粉体を充填したことを特徴とする請求項１に記載の
   軍事演習用破壊消耗品。
3. 【請求項３】 軍事演習に使用される標的をグルテン生
   分解プラスチックにより形成したことを特徴とする軍事
   演習用破壊消耗品。