JPH0964257A - 電子回路冷却モジュール及びlsiパッケージ並びにコンピュータ - Google Patents

電子回路冷却モジュール及びlsiパッケージ並びにコンピュータ

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JPH0964257A
JPH0964257A JP21865895A JP21865895A JPH0964257A JP H0964257 A JPH0964257 A JP H0964257A JP 21865895 A JP21865895 A JP 21865895A JP 21865895 A JP21865895 A JP 21865895A JP H0964257 A JPH0964257 A JP H0964257A
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JP
Japan
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electronic circuit
cooling module
lsi
transfer medium
circuit cooling
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Application number
JP21865895A
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English (en)
Inventor
Toshinori Chinoka
敏典 陳岡
Hiroko Takehara
裕子 竹原
Keizo Kawamura
圭三 川村
Takahiro Oguro
崇弘 大黒
Kenichi Kasai
憲一 笠井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、長期に亘る伝熱媒体の使用に
おいて、モジュールの構成部材に対して反応のない高度
の化学的安定性を確保して、LSIデバイスより発生す
る熱を冷却器に効率よく伝達できるようにした高信頼性
を有する電子回路冷却モジュールおよびLSIパッケー
ジを提供することにある。 【構成】本発明は、LSIデバイス3のような電子回路
から発生する熱を外部に放出する外部冷却器5に伝熱す
るための内部構造を有する電子回路冷却モジュールにお
いて、モジュール内空隙部14に伝熱媒体9として熱伝
導性、電気絶縁性及び化学的安定性に優れた合成油にフ
ェノール系酸化防止剤を添加した粘度400cps以下
の液体を充填させ、残りの空隙10に非酸化性気体を充
填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSIチップまたはL
SIチップを小形の配線基板に実装して封止した多数の
LSIデバイスを搭載または実装した半導体モジュール
に係り、特に大形コンピュータ及びスーパーコンピュー
タ等の発熱密度の高い電子回路に好適な電子回路冷却モ
ジュールまたはLSIパッケージ並びにコンピュータに
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、大形コンピュータあるいはスー
パーコンピュータでは処理速度の高速度化が要求されて
いるため、使用される大規模集積回路(LSI)の高集
積化、大寸法化が進み、さらに多数のLSIチップを単
一の多層基板上に実装するマルチチップモジュールレベ
ルでの高集積化が進むにつれて、その発熱密度はますま
す増大している。LSIチップの様な発熱性電子回路か
ら発生する熱を除去する機構は、LSI等のチップもし
くはチップが取付けられている領域と、最終的に熱を除
去する冷却用流体(例えば水)とが直接接触できないた
め、チップと冷却用流体間には柔軟性のある熱伝導パス
が一般的に設けられている。例えば、第1の従来技術
(IBM Journal of Reserch and Development Vol.35No.
3(1991))には、配線基板上に実装された多数のLSI
チップを覆うように、個々のLSIチップに対応する位
置にシリンダが開けられている冷却ハットが装着され、
シリンダの中にはLSIチップからの発生熱をLSIチ
ップの背面から導き出すための内部熱伝導部材と該内部
熱伝導部材に押し下げ圧力を加えるバネとが装着された
構造が記載されている。そして、配線基板と冷却ハット
に囲まれた密閉空間には内部熱伝導部材とバネの他に伝
熱媒体としてオイルが充填されており、さらに、オイル
の熱膨張による内圧の上昇を緩和する膨張吸収室が設け
られていることが記載されている。従って、第1の従来
技術においては、LSIチップからの発生熱は、内部熱
伝導部材とLSIチップの背面との接触部に介在するオ
イルを介して内部熱伝導部材に伝わり、さらに、内部熱
伝導部材とシリンダとの間隙に介在するオイルに伝わ
り、冷却ハットに導かれ、そして、最終的には冷却ハッ
トの上部に設けられた冷却器内の冷却用流体(例えば水
や空気)によって除去されることが開示されている。
【0003】また第2の従来技術(特開平2−2004
9号公報)には、LSIチップとフィンが取付けられた
内部熱伝導部材との間隙、及びフィン付きの内部熱伝導
部材とそれに対応するフィン付きの冷却ハットとの間隙
に、伝熱媒体として粘度350〜1800cpsの合成
油や熱伝導性粒子が混錬されたペーストが充填され、L
SIチップの発熱を内部熱伝導部材に効率良く伝達させ
ることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高発熱密度のLSIチ
ップを効率良く冷却するために使用される前述の伝熱媒
体は、基板と基板に実装された多数のLSIチップを覆
うように装着された冷却ハットで囲まれた密閉空間に充
填されて長期間使用されることになるが、コンピュータ
システムの高信頼性を維持するためには以下の点が課題
となっている。第1点は、第2の従来技術に開示されて
いる熱伝導パスの例では、LSIチップ表面と内部熱伝
導部材の間のみに伝熱媒体を充填することは操作が難し
く、またLSIチップの発熱に伴う温度上昇で伝熱媒体
の粘度が低下し、初期充填位置から脱落して熱伝導効率
が低下することである。第2点は、第1の従来技術に記
載されているシステムのように伝熱媒体をモジュール内
部の空隙部分に充填する方法では、伝熱媒体が基板の金
属配線部分や有機性の絶縁膜及び基板とLSIチップを
接続しているはんだボール等にも接触することになり、
熱伝導性、電気絶縁性といった特性以外にそれらモジュ
ールの構成部材との反応性のない高度の化学的安定性が
必要となる点である。
【0005】ところで、モジュール内部の空隙部分に充
填される伝熱媒体として、熱伝導性、電気絶縁性に優れ
た炭化水素油がある。しかしながら、炭化水素油には、
元々空気が溶解しており、また半導体モジュールを実装
する際には実装材料に吸蔵された空気が持ち込まれるこ
とになる。また半導体モジュールにおいては、LSIの
通停電による温度変化に伴いモジュール内の内圧が変動
し、内部気体のリーク及び外気の混入が不可避となる。
そのため、長期の使用においては混入した酸素との反応
による伝熱媒体の酸化分解を生じ、モジュールの構成部
材である金属材料の溶出やポリイミド絶縁膜等の有機材
料の劣化を生じるという課題がある。
【0006】本発明の目的は、上記課題を解決すべく、
長期に亘る伝熱媒体の使用において、モジュールの構成
部材に対して反応のない高度の化学的安定性を確保し
て、LSIデバイスより発生する熱を冷却器に効率よく
伝達できるようにした高信頼性を有する電子回路冷却モ
ジュールを提供することにある。また本発明の他の目的
は、長期に亘る伝熱媒体の使用において、モジュールの
構成部材の劣化を防止して、LSIデバイスより発生す
る熱を冷却器に効率よく伝達できるようにした高信頼性
を有する電子回路冷却モジュールを提供することにあ
る。
【0007】また本発明の他の目的は、モジュール内空
隙への伝熱媒体の充填操作を容易にし、しかも長期に亘
る伝熱媒体の使用において、モジュールの構成部材に対
して反応のない高度の化学的安定性を確保して、LSI
デバイスより発生する熱を冷却器に効率よく伝達できる
ようにした高信頼性を有する電子回路冷却モジュールを
提供することにある。また本発明の他の目的は、長期に
亘る伝熱媒体の使用において、モジュールの構成部材に
対して反応のない高度の化学的安定性を確保して、LS
Iデバイスより発生する熱を冷却器に効率よく伝達でき
るようにした高信頼性を有する電子回路冷却モジュール
を複数大形プリント配線基板上に実装したコンピュータ
を提供することにある。
【0008】また本発明の他の目的は、長期に亘る伝熱
媒体の使用において、パッケージの構成部材に対して反
応のない高度の化学的安定性を確保して、LSIチップ
より発生する熱を冷却器に効率よく伝達できるようにし
た高信頼性を有するLSIパッケージを提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数のLSIデバイスを実装した配線基
板を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジン
グで覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部
熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであ
って、該モジュール内空隙部に、炭化水素油に酸化防止
剤を添加または含有した伝熱媒体を充填させて、前記各
LSIデバイスより発生する熱を前記伝熱媒体及び前記
内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達するように構成
したことを特徴とする電子回路冷却モジュールである。
また本発明は、複数のLSIデバイスを接合部材で接合
実装した配線基板を、すくなくとも一部が冷却器で形成
されたハウジングで覆い、前記各LSIデバイスと冷却
器との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却
モジュールであって、該モジュール内空隙部に、炭化水
素油に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填
させて、前記各LSIデバイスより発生する熱を前記伝
熱媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達
すると共に前記伝熱媒体による少なくとも前記接合部材
の溶出を防止するように構成したことを特徴とする電子
回路冷却モジュールである。
【0010】また本発明は、複数のLSIデバイスを実
装した配線基板を、すくなくとも一部が冷却器で形成さ
れたハウジングで覆い、前記各LSIデバイスと冷却器
との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却モ
ジュールであって、該モジュール内空隙部に、炭化水素
油に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填さ
せて、前記各LSIデバイスより発生する熱を前記伝熱
媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達す
ると共に前記伝熱媒体の酸化分解を防止するように構成
したことを特徴とする電子回路冷却モジュールである。
また本発明は、複数のLSIデバイスを実装した配線基
板を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジン
グで覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部
熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであ
って、該モジュール内空隙部に、炭化水素化合物である
液体に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填
させて、前記各LSIデバイスより発生する熱を前記伝
熱媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達
すると共に前記伝熱媒体による前記空隙部に面するモジ
ュール構成部材に対する反応を殆どなくして化学的安定
性を維持するように構成したことを特徴とする電子回路
冷却モジュールである。
【0011】また本発明は、複数のLSIデバイスを実
装した配線基板を、すくなくとも一部が冷却器で形成さ
れたハウジングで覆い、前記各LSIデバイスと冷却器
との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却モ
ジュールであって、該モジュール内空隙部に炭化水素油
に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填さ
せ、残余の空隙部に非酸化性気体(N2、He、Ar等
のガス)を充填して、前記各LSIデバイスより発生す
る熱を前記伝熱媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記
冷却器に伝達するように構成したことを特徴とする電子
回路冷却モジュールである。また本発明は、LSIチッ
プを複数実装した配線基板を、すくなくとも一部が冷却
器で形成されたハウジングで覆い、前記LSIデバイス
と冷却器との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子回
路冷却モジュールであって、冷却モジュール内空隙部
に、熱伝導率が約0.8×10~3W/cmK以上で、且
つ電気絶縁抵抗が約108Ω・cm以上の炭化水素化合
物である液体に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒
体を充填させて、前記LSIチップより発生する熱を前
記伝熱媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に
伝達するように構成したことを特徴とする電子回路冷却
モジュールである。
【0012】また本発明は、前記電子回路冷却モジュー
ルにおいて、前記LSIデバイスを、LSIチップで形
成したことを特徴とする。また本発明は、前記電子回路
冷却モジュールにおいて、前記LSIデバイスを、LS
Iチップを小形の配線基板上に実装して封止したパッケ
ージで形成したことを特徴とする。また本発明は、前記
電子回路冷却モジュールにおいて、前記酸化防止剤が、
フェノール系酸化防止剤であることを特徴とする。また
本発明は、前記電子回路冷却モジュールにおいて、前記
酸化防止剤が、モノフェノール系酸化防止剤であること
を特徴とする。また本発明は、前記電子回路冷却モジュ
ールにおける前記伝熱媒体において、前記酸化防止剤
は、0.01〜2重量%含有することを特徴とする。ま
た本発明は、前記電子回路冷却モジュールにおける前記
伝熱媒体において、前記炭化水素油は合成油であること
を特徴とする。また本発明は、前記電子回路冷却モジュ
ールにおける前記伝熱媒体において、前記炭化水素油ま
たは合成油における平均分子量が300〜1000であ
ることを特徴とする。また本発明は、前記電子回路冷却
モジュールにおける前記伝熱媒体において、前記炭化水
素油はポリアルファオレフィンであることを特徴とす
る。
【0013】また本発明は、前記電子回路冷却モジュー
ルにおいて、前記内部熱伝導体を、前記LSIデバイス
面に対して垂直な方向に伸び、かつ、間隙を介して互い
に対向する伝熱面を有する第1及び第2の内部熱伝導体
から構成することを特徴とする。また本発明は、前記電
子回路冷却モジュールにおいて、前記内部熱伝導体を、
LSIデバイス側と冷却器側との間において互いにくし
歯状に咬合する第1および第2の内部熱伝導体とで構成
したことを特徴とする。また本発明は、前記電子回路冷
却モジュールにおいて、前記伝熱媒体の粘度が約40℃
に於いて約400cps以下であることを特徴とする。
また本発明は、配線基板上に実装したLSIデバイスよ
り発生する熱を、内部熱伝導体を介して冷却器に伝達す
る構造を有する電子回路冷却モジュールであって、該モ
ジュール内空隙部に、熱伝導性、電気絶縁性及び化学的
安定性に優れ、炭化水素油に酸化防止剤を添加または含
有した伝熱媒体を充填させたことを特徴とする電子回路
冷却モジュールである。
【0014】また本発明は、前記電子回路冷却モジュー
ルにおいて、前記伝熱媒体に添加または含有する酸化防
止剤がフェノール系酸化防止剤であり、該フェノール系
酸化防止剤を0.01〜2重量%含有することを特徴と
する。また本発明は、配線基板上に実装したLSIデバ
イスより発生する熱を、内部熱伝導体を介して冷却器に
伝達する構造を有する電子回路冷却モジュールであっ
て、該モジュール内空隙部に、熱伝導性、電気絶縁性及
び化学的安定性に優れ、炭化水素油に酸化防止剤を添加
または含有した伝熱媒体を充填させ、該空隙の残余部分
に非酸化性気体(N2、He、Ar等のガス)を充填し
たことを特徴とする電子回路冷却モジュールである。ま
た本発明は、前記電子回路冷却モジュールを複数大形の
プリント配線基板上に実装したことを特徴とするコンピ
ュータである。
【0015】また本発明は、LSIチップの発熱を外部
冷却器に伝熱する構造を有するLSIパッケージであっ
て、該パッケージの空隙部に、炭化水素油に酸化防止剤
を添加または含有した伝熱媒体を充填させたことを特徴
とするLSIパッケージである。また本発明は、前記L
SIパッケージにおいて、前記伝熱媒体に添加または含
有する酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であること
を特徴とする。また本発明は、前記LSIパッケージに
おける前記伝熱媒体において前記フェノール系酸化防止
剤が0.01〜2重量%含有することを特徴とする。
【0016】
【作用】複数のLSIデバイス(LSIチップまたはL
SIチップを小形の配線基板上に実装して封止したパッ
ケージ)を実装した配線基板を、少なくとも一部が冷却
器で形成されたハイジングで覆い、前記各LSIデバイ
スと冷却器との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子
回路冷却モジュールにおいて、該モジュール内空隙部に
充填する伝熱媒体として熱伝導性及び電気絶縁性が優れ
た炭化水素油のみの場合には、図2に比較例として示す
ように、加温、空気存在下で酸化分解を起こし、有機酸
及びアルカン、アルケン、エステル、ケトン等の低分子
量の炭化水素を生成する。即ち、炭化水素油等の有機高
分子化合物中では、熱によってラジカルが発生し、これ
が酸素と結合してペルオキシラジカルを経てヒドロペル
オキシドを生成する。ヒドロペルオキシドはさらなるラ
ジカル解離を引き起こしたりペルオキシラジカルとオキ
シラジカルを再生して熱酸化劣化を連鎖的に進行させ、
その結果有機酸や低分子の炭化水素が生成される。この
内、有機酸はモジュール実装部品のうちの金属材料、即
ちPb,Sn,Zn,Cu等の接合材料(はんだ材料)
や配線材料を溶解しやすく、図3に比較例として示すよ
うに炭化水素油の酸化分解による有機酸の生成と同期し
てPb,Sn,Cu等の溶出が進行する。また、分解に
よって生成した低分子量の炭化水素類は、実装材料のポ
リイミド絶縁膜等の有機物に対して溶解、膨潤等の劣化
を起こし、モジュールの信頼性に悪影響を与えることに
なる。
【0017】そこで、本発明においては、フェノール系
等の酸化防止剤を添加または含有させることによって、
前記ラジカルに水素を与えて安定化して、ラジカル連鎖
反応の進行を阻止するものである。特に本発明は、フェ
ノール系酸化防止剤が伝熱媒体の熱酸化安定性を向上さ
せることを実験により見出したことにある。また本発明
のように、フェノール系酸化防止剤の添加は、電子回路
冷却モジュールとして要求される電気絶縁性(電気絶縁
抵抗が約108Ω・cm以上)及び熱伝導性(熱伝導率
が約0.8×10~3W/cmK以上)を長期(1000
0時間以上)に亘って何ら損なわないことを実験により
見出したことにある。以上説明したように本発明によれ
ば、モジュール内空隙部に充填される伝熱媒体として、
合成油にフェノール系酸化防止剤を添加したことによっ
て、伝熱媒体の電気的特性及び熱的特性やモジュール内
部の実装材料等に悪影響を与えることなく、伝熱媒体の
熱酸化安定性を向上させることができる。
【0018】ところで、本発明において、モジュール内
部においてLSIデバイスの発熱が、LSIデバイス表
面から内部熱伝導体を経て冷却器に伝達される電子回路
冷却モジュールにおいて、モジュール内空隙部に充填さ
れる伝熱媒体は、LSIデバイスと冷却器との間の内部
熱伝導体における微細間隙には毛管現象によって浸入す
ることになる。しかし伝熱媒体が高粘度の液体の場合、
充填に時間を要するうえに、間隙内に気泡がトラップさ
れ、その結果熱抵抗が増大することになる。本発明は、
モジュール内空隙部に充填される伝熱媒体として、低粘
度、即ち400cps以下(約40℃に於いて)の液体
で形成することによって、モジュール内空隙部に瞬時に
充填することができ、しかも微細間隙内に気泡がトラッ
プされることもなく、熱抵抗の増大を防止することがで
きる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図9を用いて詳細に
説明する。図1は本発明に係る電子回路冷却モジュール
の一実施例である縦断面構造を示す図である。図1にお
いて大形コンピュータ及びスーパーコンピュータ等の発
熱密度の高い電子回路に好適な電子回路冷却モジュール
は、配線基板(セラミック多層基板)1、セラミック多
層基板1の配線上に接合材(はんだボール)2で接続さ
れたLSIデバイス(図12及び図13に示すようにL
SIチップ22または図10及び図11に示すようにL
SIチップ22を小形の配線基板21上に接合材24に
より実装して第1の熱伝導体4を一体にしたキャップ2
6で接合材25で気密封止したパッケージ20)3、L
SIデバイス面に対して垂直な方向に伸び、且つ微細な
間隙(例えば5〜25μm程度)を介して互いに対向す
る伝熱面を有する例えばくし歯状に咬合した構造を持つ
第1の熱伝導体4と第2の熱伝導体4’とからなる内部
熱伝導体4、4’、第2の熱伝導体4’が備えられた外
部冷却器5より構成され、多数のLSIデバイス3を接
合材(はんだボール)2で実装した配線基板(セラミッ
ク多層基板)1を、少なくとも一部が外部冷却器5で形
成されたハウジング12で覆い、各LSIデバイス3と
外部冷却器5との間に第1の熱伝導体4と第2の熱伝導
体4’とからなる内部熱伝導体を設けて形成したもので
ある。上記外部冷却器5は、水、空気等の冷却用流体を
流すことによって強制的に冷却されるものとする。11
は配線基板(セラミック多層基板)1に植設されたピン
を示す。
【0020】また上記ハウジング12と配線基板(セラ
ミック多層基板)1との間においては、接合材13によ
り接合されている。またモジュールのシールはO−リン
グ6で行われている。従って、モジュール内に形成され
た空隙部14に、フェノール系酸化防止剤を添加した合
成油からなる伝熱媒体9を注入ポート7、8から注入し
て充填し、残りの空隙10に非酸化性気体(N2,H
e,Ar等のガス)を充填することによって、LSIデ
バイス3で発生した熱を、内部熱伝導体4、4’におけ
る微細な間隙を通して効率良く外部冷却器5に伝達する
ことができる。
【0021】伝熱媒体9として、フェノール系酸化防止
剤(モノフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−ter
t−ブチル−p−クレゾール(2,6-Di-tert-butyl-p-cr
esol)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA:Buty
l hydroxy anisole(a Mixture of 2-t-butyl-4-methoxy
phenol and 3-t-butyl-4-methoxyphenol))、2,6−
ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール(2,6-Di-t-buty
l-4-ethylphenol)等)や、比較的低分子量のビスフェノ
ール系で炭化水素油である合成油に溶解可能なビスフェ
ノール系酸化防止剤(2,2’−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール):2,2'-Methylenebi
s(4-methyl-6-tert-butylphenol)、2,2’−メチレン
ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール):2,2'
-Methylenebis(4-ethyl-6-tert-butylphenol)))を、
0.01〜2重量%範囲の内約0.1重量%添加した合
成油(例えばポリアルファオレフィン)をモジュール内
空隙部14に、図1に示すようにモジュールを立てた
際、液面15が、モジュールの最上部に位置するLSI
デバイス3に固着された第1の熱伝導体4の下側から上
端の間の高さにある(モジュール内空隙部14の容積か
らは概算80〜95%の範囲に相当する。)ように制御
されて充填し、残りの空隙10には非酸化性気体
(N2,He,Ar等のガス)を充填した。使用した合
成油(例えばポリアルファオレフィン)の粘度は、約5
0cps〜100cps(約40℃において)で、粘度
が低いため、注入ポート7,8からの注入が容易で、同
時にLSIチップ22と内部熱伝導体4との間(図12
及び図13に示す実施例の場合)、AlN等の材料から
なる第1の熱伝導体4と第2の熱伝導体4’との間の微
細間隙(咬合したくし歯間の微細間隙)には毛管現象に
より容易に浸入した。即ち、モジュール内空隙部14に
充填される伝熱媒体9として、低粘度、即ち約40℃に
於ける400cps以下の液体で形成することによっ
て、モジュール内空隙部に瞬時に充填することができ、
しかも微細間隙内に気泡がトラップされることもなく、
熱抵抗の増大を防止することができる。
【0022】次に酸化防止剤(特にフェノール系酸化防
止剤)の添加効果に関して、加速試験により確認した結
果について説明する。即ち、モジュール内空隙部に存在
する金属材料を浸漬した試料油(炭化水素油の内不純物
の混入のない合成油)を一定の高温下におき、酸化を促
進させるために空気を吹き込んだ。試験条件の詳細は以
下の通りである。 試料ガラス容器;梨形フラスコ(100ml) 試料油;合成油(平均分子量;300〜1000) 酸化防止剤;フェノール系酸化防止剤(モノフェノール
系酸化防止剤の2,6−ジ−tert−ブチル−p−ク
レゾール) 試料油の量;20ml 試験環境温度;150℃ 空気吹き込み量;200ml/min なお、酸化防止剤(特にフェノール系酸化防止剤)の効
力限界は、有機酸の生成量及び試料油中に溶出した金属
濃度を測定することによって判断した。
【0023】上記酸化防止剤を添加した試料油毎の効力
限界を示したのが図4及び図5である。即ち、図4は、
酸化防止剤無添加の場合と酸化防止剤を0.1〜2重量
%添加した場合とにおける加熱時間(h)と有機酸生成
量(任意目盛)との関係を示したものである。図5は、
酸化防止剤無添加の場合と酸化防止剤を0.01重量
%、0.1〜2重量%添加した場合とにおける加熱時間
(h)と試料油中金属濃度(μg/ml)との関係を示
したものである。これら図4及び図5(図2及び図3)
から酸化防止剤無添加の場合の効力限界時間は8時間以
下であった。これに対して前記酸化防止剤としてフェノ
ール系酸化防止剤を0.1重量%添加した試料油では、
図4においては20時間経過後も有機酸生成が見られ
ず、図5においては20時間経過後も金属濃度が10~2
μg/ml程度で変化が見られず、その効力限界時間は
20時間以上に達し、著しい効果を発揮することが判っ
た。また、図5に示すように、0.01重量%の添加に
おいても相当の効果を示し、酸化防止剤の添加量を2重
量%まで増加することにより効力限界時間は著しく増加
した。また、Siウエハ上に形成したポリイミド膜を合
成油中に浸漬し、上記と同様の試験条件で10時間加速
試験を行ったところ、酸化防止剤無添加の合成油中に浸
漬したポリイミド膜は引張り強度が平均で15%を低下
したのに対して、フェノール系酸化防止剤を0.1〜2
重量%添加した場合は、全く低下が認められなかった。
【0024】一方、酸化防止剤の添加による合成油の電
気絶縁性、熱伝導性の変化を示したのが図6及び図7で
ある。即ち、図6は、合成油への酸化防止剤添加量(重
量%)と電気絶縁性を示す体積抵抗率(Ω・cm)との
関係を示したものである。図7は、合成油への酸化防止
剤添加量(重量%)と熱伝導性を示す熱伝導率λ(×1
0~3W/cmK)との関係を示したものである。これら
図6及び図7から明らかなように、電気絶縁性及び熱伝
導率共に酸化防止剤の添加量を合成油への溶解がほぼ限
界となる2重量%まで変化させてもその体積抵抗率(電
気絶縁性)及び熱伝導性に変化は認められず、電気絶縁
抵抗がマイグレーションの発生をなくするために約10
8Ω・cm以上、熱伝導率が微細間隙における良好な熱
伝導が得られる約0.8×10~3W/cmK以上である
ことが確認できた。
【0025】これにより酸化防止剤であるフェノール系
酸化防止剤の添加は、伝熱媒体としての性能を低下させ
ることなく炭化水素油の酸化分解を防止できることを確
認できた。なお、酸化防止剤であるフェノール系酸化防
止剤としては、モノフェノール系酸化防止剤や、比較的
低分子量のビスフェノール系で炭化水素油である合成油
に溶解可能なビスフェノール系酸化防止剤に関しても、
同様の溶出抑制効果が得られる。
【0026】以上説明したように、電子回路冷却モジュ
ールを用いて、冷却性能の試験を行ったところ、外部冷
却器5における冷却水温度が25℃のとき、LSIデバ
イス3内のLSIチップ22の温度を30〜80℃以下
に冷却することができ、良好な冷却性能を有することが
判った。
【0027】また、不純物の混入がなく、優れた熱伝導
率(熱伝導率が約0.8×10~3W/cmK以上)及び
優れた電気絶縁性(電気絶縁抵抗がマイグレーションの
発生をなくするために約108Ω・cm以上)を有する
合成油に対してフェノール系酸化防止剤としての2,6
−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの添加による
伝熱媒体の酸化防止、即ちモジュール内の構成物質であ
る配線基板(セラミック多層基板)1等におけるCu,
Cr等の配線材料や接合材料(はんだ材料)2、13や
AlN等の材料からなる内部熱伝導体4、4’などの金
属材料の溶出防止及びモジュール内の構成物質である配
線基板(セラミック多層基板)1やLSIデバイス3等
におけるポリイミド絶縁膜などの有機材料の劣化防止効
果に関しては、実モジュールを模した長期密閉試験及び
パワーサイクル試験により確認を行った。
【0028】図8には、実モジュールを模した長期密閉
試験及びパワーサイクル試験における酸化防止剤無添加
の場合と酸化防止剤を0.01重量%、0.01〜2重
量%、0.1〜2重量%添加した場合とにおける加熱時
間(h)と試料油中金属濃度(μg/ml)との関係を
示したものである。試験条件は、試料油;合成油(平均
分子量;300〜1000)、試験環境温度;90℃、
共存金属材料;Pb−Sn系はんだボールである。また
図9には、実モジュールを模した長期密閉試験及びパワ
ーサイクル試験における酸化防止剤無添加の場合と酸化
防止剤を0.01重量%、0.01〜2重量%、0.1
〜2重量%添加した場合とにおける加熱時間(h)と試
料油中金属濃度(μg/ml)との関係を示したもので
ある。試験条件は、試料油;合成油(平均分子量;30
0〜1000)、試験環境温度;150℃、共存金属材
料;Cu金属板、Sn−Ag系はんだボール、Sn−Z
n系はんだボールである。図8に示す如く、Pb−Sn
系接合材料(はんだ材料)に対してPb,Snの溶出を
100〜1000分の1以下に抑制可能であることを確
認した。また図9に示す如く、Sn−Ag系やCu,Z
n,Biを含むPbレスはんだやCu等の配線材料に関
してもSnやCu,Znの溶出防止に著しい効果が認め
られた。
【0029】また、酸化防止剤の添加量は0.01重量
%以上の添加から溶出抑制効果があり、添加量が多いほ
ど金属成分の溶出抑制効果が高かった。炭化水素油であ
る不純物の混入のない合成油(例えばポリアルファオレ
フィン)への溶解がほぼ限界となる2重量%の添加まで
は熱伝導率、電気絶縁性、粘度等伝熱媒体としての性能
を長期(10000時間以上)に亘って悪化させること
なく、伝熱媒体として使用可能であった。酸化防止剤で
あるフェノール系酸化防止剤としては、上記した如く、
モノフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−tert−
ブチル−p−クレゾール(2,6-Di-tert-butyl-p-creso
l)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA:Butyl h
ydroxy anisole(a Mixture of 2-t-butyl-4-methoxyphe
nol and 3-t-butyl-4-methoxyphenol))、2,6−ジ−
t−ブチル−4−エチルフェノール(2,6-Di-t-butyl-4-
ethylphenol)等)や、比較的低分子量のビスフェノール
系で炭化水素油である合成油に溶解可能なビスフェノー
ル系酸化防止剤(2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール):2,2'-Methylenebis(4-
methyl-6-tert-butylphenol)、2,2’−メチレンビス
(4−エチル−6−t−ブチルフェノール):2,2'-Met
hylenebis(4-ethyl-6-tert-butylphenol))に関して
も、同様な溶出抑制効果が得られる。また、残りの空隙
10に充填する非酸化性気体としては、窒素以外にもヘ
リウム、アルゴン等も使用可能である。
【0030】また、上記した如く、LSIデバイス3と
しては、図10及び図11に示すようなLSIチップ2
2を小形の配線基板21上に接合材24により実装して
第1の熱伝導体4を一体にしたキャップ26で接合材2
5で気密封止したパッケージ20であっても良い。図1
0は電子回路冷却モジュールの全体を示す正面断面図で
ある。図11は、図10に示す各LSIデバイス対応部
分を拡大して示す断面図である。即ち、21は小形の配
線基板である。22はLSIチップを示す。23はLS
Iチップ22とキャップ26の第1の熱伝導体4とを高
熱伝導性をもって接合する高熱伝導性ろう材である。2
4はLSIチップ22を小形の配線基板21に接続する
接合材料(はんだ材料)である。25はキャップ26を
小形配線基板21に気密封止する接合材料(ろう材)で
ある。26は上端にフィン状の第1の熱伝導体4を形成
したAlN材からなるキャップである。従って、LSI
デバイス3は、パッケージ20としてLSIチップ22
を小形の配線基板21上に気密封止して実装されたもの
となる。そしてLSIチップ22で発生した熱は、高熱
伝導性ろう材23を通して、フィン状の第1の熱伝導体
4に伝導することになる。また27は第1の熱伝導体4
と外部冷却器側の第2の熱伝導体4’との間に挿着され
た押圧する圧縮ばねである。この圧縮ばね27は押圧で
きるものであればよい。またフィン状の第2の熱伝導体
4’は、図10に示すように外部冷却器5の下面に接触
するように設置されている。そしてフィン状の第1の熱
伝導体4とフィン状の第2の熱伝導体4’との間に形成
される微細間隙(約5〜25μm)に上記した酸化防止
剤であるフェノール系酸化防止剤が0.01〜2重量%
が添加または含有した合成油が充填されることになる。
その結果第1の熱伝導体4と第2の熱伝導体4’との間
において、熱伝導率が約0.8×10~3W/cmK以上
の良好な熱伝導が得られ、LSIデバイス3内のLSI
チップ22の温度を30〜80℃以下に冷却することが
できる。また金属材料の溶出防止及び有機材料の劣化防
止についても同様な効果が得られ、長期に亘って高信頼
性を保つことが可能となる電子回路冷却モジュールを実
現することができる。
【0031】またLSIデバイス3としては、図12及
び図13に示すようにLSIチップ22で構成したもの
でも良い。図12は、第1の熱伝導体4と第2の熱伝導
体4’とを各々くし歯状に形成した場合を示し、図13
は、第1の熱伝導体4をLSIチップ22の上面に接す
る棒状部材で形成し、第2の熱伝導体4’に棒状部材が
遊嵌する溝32を形成した場合を示す。図12におい
て、28は第2の熱伝導体4’の周囲に形成された空隙
である。図12及び図13に示す実施例においても、図
10及び図11の実施例と同様な作用効果が得られる。
なお、図10及び図11に示す実施例において、第1の
熱伝導体4及び第2の熱伝導体4’を各々フィン状に形
成したが、図13に示す形状のものでもよい。何れにし
ても第1の熱伝導体4と第2の熱伝導体4’との間にお
いて対向する伝熱面積を大きくすれば、伝熱効率はよく
なることは明らかである。また第1の熱伝導体4と第2
の熱伝導体4’との間の微細間隙(微小間隙)には、上
記伝熱媒体が浸入可能なできるだけ小さい間隙にするこ
とが望ましい。以上説明したように構成された電子回路
冷却モジュールが複数大形のプリント配線基板(図示せ
ず)上にピン11を差し込むことによって実装すること
によってコンピュータが構成される。
【0032】次に本発明を図14に示すLSIパッケー
ジに適用した実施例について説明する。図14は本発明
を適用したLSIパッケージの縦断面図である。図にお
いてLSIパッケージは配線基板21、配線基板21の
配線上にはんだボール21で接続されたLSIチップ2
2、配線基板上の配線、はんだボール、及び封止キャッ
プ29で構成されている。配線基板21と封止キャップ
29とで囲まれた空隙30の容積の90%には、伝熱媒
体9として、酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤
(例えばモノフェノール系酸化防止剤である2,6−ジ
−tert−ブチル−p−クレゾール)が約0.1重量
%が添加または含有した合成油(例えばポリアルファオ
レフィン)が充填されており、伝熱媒体の熱膨張による
圧力上昇を緩和するための残りの空隙10には非酸化性
気体(例えば窒素)を充填した。この実施例において
も、LSIチップ22の発熱はLSIと封止キャップと
の間の微細間隙を介して封止キャップ29へ伝えられる
ことから、LSIチップ22の背面と封止キャップ29
の間に伝熱ペーストを用いることなくLSIチップを冷
却することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、長期に亘る伝熱媒体の
使用において、モジュールの構成部材に対して反応のな
い高度の化学的安定性を確保して、LSIデバイスより
発生する熱を冷却器に効率よく伝達できるようにした高
信頼性を有する電子回路冷却モジュールを実現すること
ができる効果を奏する。また本発明によれば、長期に亘
る伝熱媒体の使用において、モジュールの構成部材の劣
化を防止して、LSIデバイスより発生する熱を冷却器
に効率よく伝達できるようにした高信頼性を有する電子
回路冷却モジュールを実現することができる効果を奏す
る。
【0034】また本発明によれば、モジュール内空隙へ
の伝熱媒体の充填操作を容易にし、しかも長期に亘る伝
熱媒体の使用において、モジュールの構成部材に対して
反応のない高度の化学的安定性を確保して、LSIデバ
イスより発生する熱を冷却器に効率よく伝達できるよう
にした高信頼性を有する電子回路冷却モジュールを実現
することができる効果を奏する。また本発明によれば、
長期に亘る伝熱媒体の使用において、モジュールの構成
部材に対して反応のない高度の化学的安定性を確保し
て、LSIデバイスより発生する熱を冷却器に効率よく
伝達できるようにした高信頼性を有する電子回路冷却モ
ジュールを複数大形プリント配線基板に実装したコンピ
ュータを実現することができる効果を奏する。
【0035】また本発明によれば、長期に亘る伝熱媒体
の使用において、パッケージの構成部材に対して反応の
ない高度の化学的安定性を確保して、LSIチップより
発生する熱を冷却器に効率よく伝達できるようにした高
信頼性を有するLSIパッケージを実現することができ
る効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施例を示す電子回路冷却
モジュールの縦断面図である。
【図2】伝熱媒体として使用される合成油の酸化分解に
よる有機酸の生成を示した比較例を示す図である。
【図3】伝熱媒体として使用される合成油の酸化分解に
よる金属の溶解を示した比較例を示す図である。
【図4】本発明に係る伝熱媒体として使用される合成油
に酸化防止剤を添加した場合と添加しない場合とにおい
て耐酸化安定性である加熱時間(h)と有機酸生成量
(任意目盛)との関係を示した図である。
【図5】本発明に係る伝熱媒体として使用される合成油
に酸化防止剤を添加した場合と添加しない場合とにおい
て耐酸化安定性である加熱時間(h)と試料油中金属濃
度(μg/ml)との関係を示した図である。
【図6】本発明に係る伝熱媒体における酸化防止剤添加
量(重量%)と電気絶縁性である体積低効率(Ω・c
m)との関係を示した図である。
【図7】本発明に係る伝熱媒体における酸化防止剤添加
量(重量%)と熱伝導性である熱伝導率λ(×10~3
/cmK)との関係を示した図である。
【図8】本発明による伝熱媒体への共存金属材料として
Pb−Sn系はんだボールにおける金属溶出抑制効果を
示した図である。
【図9】本発明による伝熱媒体への共存金属材料として
Cu金属板、Sn−Ag系はんだボール、Sn−Zn系
はんだボールにおける金属溶出抑制効果を示した図であ
る。
【図10】図1に示す電子回路冷却モジュールの具体的
一実施例を示した全体の縦断面図である。
【図11】図10に示す各LSIデバイス対応部分を拡
大して示した断面図である。
【図12】図1に示す電子回路冷却モジュールの具体的
他の一実施例を示した全体の斜視部分断面図である。
【図13】図1に示す電子回路冷却モジュールの具体的
他の一実施例を示した全体の斜視部分断面図である。
【図14】本発明の第二の実施例を示す半導体パッケー
ジの縦断面図である。
【符号の説明】
1…セラミック多層基板(配線基板)、 2…接合材料
(はんだボール) 3…LSIデバイス 4,4’…内部熱伝導体(4…第1の熱伝導体、4’…
第2の熱伝導体) 5…外部冷却装置、 6…O−リング 7,8…注入ポート、 9…伝熱媒体、 10…残りの
空隙、 11…ピン 12…ハウジング、 13…接合材料、 14…モジュ
ール内空隙部 20…LSIパッケージ、 21…小形の配線基板、
22…LSIチップ 23…高熱伝導性ろう材、 24…接合材料(はんだボ
ール) 25…接合材料、 26、29…封止キャップ、 27
…圧縮ばね
フロントページの続き (72)発明者 大黒 崇弘 神奈川県秦野市堀山下1番地株式会社日立 製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 笠井 憲一 神奈川県秦野市堀山下1番地株式会社日立 製作所汎用コンピュータ事業部内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のLSIデバイスを実装した配線基板
    を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジング
    で覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部熱
    伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであっ
    て、該モジュール内空隙部に、炭化水素油に酸化防止剤
    を添加または含有した伝熱媒体を充填させて、前記各L
    SIデバイスより発生する熱を前記伝熱媒体及び前記内
    部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達するように構成し
    たことを特徴とする電子回路冷却モジュール。
  2. 【請求項2】複数のLSIデバイスを接合部材で接合実
    装した配線基板を、すくなくとも一部が冷却器で形成さ
    れたハウジングで覆い、前記各LSIデバイスと冷却器
    との間に内部熱伝導体を設けて形成した電子回路冷却モ
    ジュールであって、該モジュール内空隙部に、炭化水素
    油に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填さ
    せて、前記各LSIデバイスより発生する熱を前記伝熱
    媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達す
    ると共に前記伝熱媒体による少なくとも前記接合部材の
    溶出を防止するように構成したことを特徴とする電子回
    路冷却モジュール。
  3. 【請求項3】複数のLSIデバイスを実装した配線基板
    を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジング
    で覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部熱
    伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであっ
    て、該モジュール内空隙部に、炭化水素油に酸化防止剤
    を添加または含有した伝熱媒体を充填させて、前記各L
    SIデバイスより発生する熱を前記伝熱媒体及び前記内
    部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達すると共に前記伝
    熱媒体の酸化分解を防止するように構成したことを特徴
    とする電子回路冷却モジュール。
  4. 【請求項4】複数のLSIデバイスを実装した配線基板
    を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジング
    で覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部熱
    伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであっ
    て、該モジュール内空隙部に、炭化水素化合物である液
    体に酸化防止剤を添加または含有した伝熱媒体を充填さ
    せて、前記各LSIデバイスより発生する熱を前記伝熱
    媒体及び前記内部熱伝導体を介して前記冷却器に伝達す
    ると共に前記伝熱媒体による前記空隙部に面するモジュ
    ール構成部材に対する反応を殆どなくして化学的安定性
    を維持するように構成したことを特徴とする電子回路冷
    却モジュール。
  5. 【請求項5】複数のLSIデバイスを実装した配線基板
    を、すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジング
    で覆い、前記各LSIデバイスと冷却器との間に内部熱
    伝導体を設けて形成した電子回路冷却モジュールであっ
    て、該モジュール内空隙部に炭化水素油に酸化防止剤を
    添加または含有した伝熱媒体を充填させ、残余の空隙部
    に非酸化性気体を充填して、前記各LSIデバイスより
    発生する熱を前記伝熱媒体及び前記内部熱伝導体を介し
    て前記冷却器に伝達するように構成したことを特徴とす
    る電子回路冷却モジュール。
  6. 【請求項6】LSIチップを複数実装した配線基板を、
    すくなくとも一部が冷却器で形成されたハウジングで覆
    い、前記LSIデバイスと冷却器との間に内部熱伝導体
    を設けて形成した電子回路冷却モジュールであって、該
    モジュール内空隙部に、熱伝導率が約0.8×10~3
    /cmK以上で、且つ電気絶縁抵抗が約108Ω・cm
    以上の炭化水素化合物である液体に酸化防止剤を添加ま
    たは含有した伝熱媒体を充填させて、前記LSIチップ
    より発生する熱を前記伝熱媒体及び前記内部熱伝導体を
    介して前記冷却器に伝達するように構成したことを特徴
    とする電子回路冷却モジュール。
  7. 【請求項7】前記LSIデバイスを、LSIチップで形
    成したことを特徴とする請求項1または2または3また
    は4または5または6記載の電子回路冷却モジュール。
  8. 【請求項8】前記LSIデバイスを、LSIチップを小
    形の配線基板上に実装して封止したパッケージで形成し
    たことを特徴とする請求項1または2または3または4
    または5または6記載の電子回路冷却モジュール。
  9. 【請求項9】前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止
    剤であることを特徴とする請求項1または2または3ま
    たは4または5または6記載の電子回路冷却モジュー
    ル。
  10. 【請求項10】前記酸化防止剤が、モノフェノール系酸
    化防止剤であることを特徴とする請求項1または2また
    は3または4または5または6記載の電子回路冷却モジ
    ュール。
  11. 【請求項11】前記伝熱媒体において、前記酸化防止剤
    は、0.01〜2重量%含有することを特徴とする請求
    項1または2または3または4または5または6記載の
    電子回路冷却モジュール。
  12. 【請求項12】前記伝熱媒体において、前記炭化水素油
    は合成油であることを特徴とする請求項1または2また
    は3または4または5または6記載の電子回路冷却モジ
    ュール。
  13. 【請求項13】前記伝熱媒体において、前記炭化水素油
    における平均分子量が300〜1000であることを特
    徴とする請求項1または2または3または4または5ま
    たは6記載の電子回路冷却モジュール。
  14. 【請求項14】前記伝熱媒体において、前記炭化水素油
    はポリアルファオレフィンであることを特徴とする請求
    項1または2または3または4または5または6記載の
    電子回路冷却モジュール。
  15. 【請求項15】前記内部熱伝導体を、前記LSIデバイ
    ス面に対して垂直な方向に伸び、かつ、間隙を介して互
    いに対向する伝熱面を有する第1及び第2の内部熱伝導
    体から構成することを特徴とする請求項1または2また
    は3または4または5または6記載の電子回路冷却モジ
    ュール。
  16. 【請求項16】前記内部熱伝導体を、LSIデバイス側
    と冷却器側との間において互いにくし歯状に咬合する第
    1および第2の内部熱伝導体とで構成したことを特徴と
    する請求項1または2または3または4または5または
    6記載の電子回路冷却モジュール。
  17. 【請求項17】前記伝熱媒体の粘度が約40℃に於いて
    約400cpsであることを特徴とする請求項1または
    2または3または4または5または6記載の電子回路冷
    却モジュール。
  18. 【請求項18】配線基板上に実装したLSIデバイスよ
    り発生する熱を、内部熱伝導体を介して冷却器に伝達す
    る構造を有する電子回路冷却モジュールであって、該モ
    ジュール内空隙部に、熱伝導性、電気絶縁性及び化学的
    安定性に優れ、炭化水素油に酸化防止剤を添加または含
    有した伝熱媒体を充填させたことを特徴とする電子回路
    冷却モジュール。
  19. 【請求項19】前記伝熱媒体に添加または含有する酸化
    防止剤がフェノール系酸化防止剤であり、該フェノール
    系酸化防止剤を0.01〜2重量%含有することを特徴
    とする請求項17記載の電子回路冷却モジュール。
  20. 【請求項20】配線基板上に実装したLSIデバイスよ
    り発生する熱を、内部熱伝導体を介して冷却器に伝達す
    る構造を有する電子回路冷却モジュールであって、該モ
    ジュール内空隙部に、熱伝導性、電気絶縁性及び化学的
    安定性に優れ、炭化水素油に酸化防止剤を添加または含
    有した伝熱媒体を充填させ、該空隙の残余部分に非酸化
    性気体を充填したことを特徴とする電子回路冷却モジュ
    ール。
  21. 【請求項21】請求項1または2または3または4また
    は5または6または18または20記載の電子回路冷却
    モジュールを複数基板上に実装したことを特徴とするコ
    ンピュータ。
  22. 【請求項22】LSIチップの発熱を外部冷却器に伝熱
    する構造を有するLSIパッケージであって、該パッケ
    ージの空隙部に、炭化水素油に酸化防止剤を添加または
    含有した伝熱媒体を充填させたことを特徴とするLSI
    パッケージ。
  23. 【請求項23】前記伝熱媒体に添加または含有する酸化
    防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とす
    る請求項21記載のLSIパッケージ。
  24. 【請求項24】前記伝熱媒体において前記フェノール系
    酸化防止剤が0.01〜2重量%含有することを特徴と
    する請求項22記載のLSIパッケージ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012527109A (ja) * 2009-05-12 2012-11-01 アイセオトープ リミテッド 冷却される電子システム
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