JPH09510604A - 乾燥耐性植物の胚様体の製造方法および乾燥耐性胚様体の発芽方法 - Google Patents
乾燥耐性植物の胚様体の製造方法および乾燥耐性胚様体の発芽方法Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、無活動状態を誘発するために使用する量をかなり越える量のアブシシン酸活性の量で胚様体を処理することを特徴とする植物胚様体に実質的に完全な乾燥耐性を誘発する方法に関する。さらに、無活動状態を誘発するために使用する量をかなり越える量のアブシシン酸活性の量で胚様休を処理することを特徴とする実質的に100%が発芽することができる貯蔵可能な植物胚様体を製造する方法を記載する。実質的に100%発芽できる植物胚様体をも開示する。最後に、本発明の胚様体を発芽する方法であって、胚様体を予め加熱する方法について記載する。
Description
【発明の詳細な説明】
乾燥耐性植物の胚様体の製造方法および乾燥耐性胚様体の発芽方法
本発明は、植物胚様体(plant embryoids)において乾燥耐性を誘発する方法に
関する。本発明はまた、乾燥させた胚様体を発芽する方法にも関する。新規な乾
燥胚様体も提供される。
貯蔵可能な胚様体の再生は、数多くの種について記載されている。Redenbaugh
ら(1986年)は、アルギナート・ゲルのビーズ(alginate gel beads)に胚様
体をカプセル化することにより人工種子を初めて造りだした。しかしなお、含水
人工種子は、無活動状態がなく転化率(植物への成長)が低いため、貯蔵するこ
とが難しかった。完全乾燥に対する耐性をもたらす最近の成果(Senaratraら、
1989年a)は、人工種子の技術に新しい機会を与えるものである。乾燥胚様
体は、乾燥種子に匹敵するような無活動状態があり、それゆえ貯蔵特性が一層す
ぐれているために、この技術での使用により適している。Gray(1990年)は
、葡萄の乾燥胚様体が、葡萄の新鮮な胚様体よりも、よく発芽したとさえ述べた
。
ここで、乾燥耐性とは、低湿度条件下(たとえば、乾燥種子に匹敵するような
10%)で2週間の間、25℃で貯蔵後、再成長する能力と定義する。
乾燥耐性胚様体の製造については、次の種について発表されている。アルファ
ルファ(AnandrajahとMcKersie、1990年と1991年;Senaratnaら、19
89年a,b;McKersieら1989年)、げんのしようこ(Marsolaisら、1991
年)、大豆(Parrotら、1988年)、トウヒ(Robertsら、1990年;Attre
eら、1991年)、葡萄(Gray、1990年)と人参(Lecouteuxら、1992
年;Iidaら、1992年)などである。大部分の研究において、無活動状態をも
たらして乾燥耐性を誘発するために使用する量に匹敵する量の植物ホルモンのア
ブシシン酸(ABA)が使用された。成長の適切な段階において、種と遺伝子型
に応じて培養媒体に適切な量のABAを添加することにより、胚様体は(乾燥重
量を基として)水分10%より少なくなるまで水分を除き、生命力を維持した。
ABAの添加により、人参(Nitzsche、1980年)や、Craterostigma planta
gi-neum(Bartelsら、1990年)のカルス培養において、乾燥耐性をもたらす
ことさえ可能であった。Koornneefら(1989年)や、Meursら(1992年)
は、Arabidopsis thalianaの、ABAの欠落したあるいはABAに反応しない変
異体の組換え型を使用することにより、種子生育中の内因性のABAの役割につ
いて明確に示した。
外因的に供給したABAだけでなく、いくつかのストレス処理により、脱水に
耐えて生存する能力を引き出すことができる(Anandrajahと、McKersieら、19
90年と1991年)。熱、あるいはスクロース濃度を高くする浸透圧衝撃によ
るストレス処理によって、外因性のABAの濃度は高くなり(SkriverとMudy、
1990年)、結果として乾燥耐性を誘発されるかもしれない。
胚様体が脱水に耐えて生き延びる能力は、乾燥法によっても決まる。Senaratr
aら(1989年)だけが、乾燥率やアルファルファ胚様体の最終的な水分率を
含めて、乾燥法を明確に記載している。
Hoeskstraら(1989年)は、最初に生き延びた乾燥有機体の再生育が吸水
のダメージのために損なわれることを示した。胚様体における乾燥耐性の誘発に
関する以前のすべて研究において、植物の回復率は常に100%以下であった。
最適でない実験計画のために、胚様体の質が貧弱なこと、あるいは、胚様体の成
長が非同期的であることが、回復率が低い理由になっている。
したがって、問題は、長期に貯蔵した後、実質的に100%発芽することがで
きる乾燥した貯蔵可能な植物の胚様体を提供することとなる。
本発明は、そのような胚様体を提供する。
また実質的にすべての胚様体が発芽するやり方でそのような胚様体を発芽させ
る方法を提供する。
本発明は、植物の胚様体に実質的に完全な乾燥耐性を誘発する方法において、
無活動状態をもたらすために使用する量よりかなり多い量のアブシシン酸活性で
、該胚様体を処理することにより、これに対する解決法を提供する。
アブシシン酸から生じる生理学的な特性は、無活動状態がもたらされる点であ
る。植物の胚様体を、特に魚雷状の段階(torpedo stage)でかなり多量のアブ
シシン酸活性で処埋すると、実質的に完全な乾燥耐性がもたらされることがわか
った。完全な乾燥耐性を有する胚様体に100%発芽させるためには、この処理
法が極めて有利であることが証明された。
アブシシン酸活性は、外因的に加えたアブシシン酸により与えられるが、その
活性も、(部分的に)内部から与えられ得る。内部においてアブシシン酸を誘発
する方法には、温度処理があるが、温度処理に限られるものではない。温度処理
とは、熱衝撃(30℃〜50℃の温度にさらす処理)、冷却衝撃(0℃〜10℃
)、異なった塩、炭水化物、ポリエチレングリコールなどの重合体を用いる浸透
圧衝撃(−0.5〜−2.5mPaの圧力の範囲にさらす処理)などを意昧する。
アブシシン酸の量で示したアブシシン酸活性の適切な量は、無活動状態をもた
らすために必要な量の約110%から、約1000%であり、好ましくは、約1
10〜500%である。最も好ましくは、無活動状態をもたらすために必要な量
の約120〜200%である。人参の場合には、無活動状態をもたらす量は、約
3.8μMである。
アブシシン酸の一部を内部で誘発する、あるいは外因的なアブシシン酸を適用
する代わりに、Walton(アブシシン酸:F.A.Addicott編、アカデミック・プレス
第4章、1983年)などに記載するようなアブシシン酸の類似化合物を使用す
ることも当然可能である。これらの類似化合物は、それ自体が活性度を有するが
、これらの化合物がアブシシン酸に代謝されることも可能である。
乾燥耐性をもたらす方法は、いわゆる魚雷状の段階にある胚様体に適用するこ
とが最も好ましい。不可能ではないが、別段階で乾燥耐性をもたらすことは、効
率が悪くなる。人参について、魚雷状の段階は重要であると思われる。乾燥耐性
を有する胚様体を実質的に100%発芽させるためには、胚様体を吸水以前に予
め含水させることが好ましい。このように予め含水させる(先行含水)ことによ
って、あまりにも急激に水を摂取することから発生するダメージを防止すること
ができる。植物の胚様体を相対湿度が100%の湿った空気に少なくとも2時間
、20℃の温度でさらすことによって、適切な含水をなすことができる。好まし
く
は、この温度で、その処理は約8時間を越えてはならない。なぜなら、いろいろ
な理由から生命力が失われるからである。たとえば、膜の相転移などである。温
度が低ければ、予め含水する処理の時間がより長い場合がある。
予め含水する方法の代案としては、胚様体の燐脂質膜の転移温度(Tm)(2
5〜30℃)以上の温度で、胚様体に吸水させる方法である。転移温度(Tm)
とは、膜の燐脂質がゲル相から液晶相に、あるいは逆に液晶相からゲル相に転移
する温度である。別の方法としては、水の流れを規制することができるコーティ
ングたとえば、パラフィンのような無極性の人工コーティングで胚様体を被包す
る方法がある。コーティングは、少なくとも部分的に水透過性があるだけでなく
、酸素を通すことができ、当然無毒性でなければならない。本発明の発明者らは
、本発明により製造した胚様体用に適切なコーティングを開発した。そのコーテ
ィングは、実質的に100%発芽することができる貯蔵可能な人工種子を製造す
ることを可能にする。コーティングの方法、材料、コーティングした胚様体もま
た本発明の一部である。水を吸収させた場合、胚様体体が確実に遅速再含水する
ためには、コーティングはわずかでも水透過性がなければならない。したがって
、適切なコーティングは、無極性材料、好ましくはワックス状のもの、たとえば
、パラフィン、ステアリンなどのようなものからなる。水透過性を付与するため
には、より極性の材料をワックスのようなものと混合しなければならない。セル
ロース(誘導体)など他の材料も使用することができるが、その物質は粘土ある
いは、軽石などの吸湿性の材料(無機物)であることが好ましい。
膜の相転移は、できればコーティングの一部として、トレハロース、スクロー
ス、ウンベリフェロースなどの三糖類を使用することで防止できる。
本発明の胚様体を生み出す乾燥の処理法にとって重要なことは、脱水率である
。脱水率が余りにも高い場合には、膜に対するダメージ(分離やその他の望まし
くない事態)のため結果的には、発芽できない胚様体ができてしまう。
脱水率が低すぎる場合には、胚様体は、完全に乾燥する前に、茶色に変色して
死滅してしまう。
適切な乾燥率は、胚様体の種によって異なるが、一般的に言えば一時間毎に約
0.01gH2O/gDW(乾燥重量)から1gH2O/gDWであり、1時間毎
に0.01から0.5gH2O/gDWが好ましく、1時間毎に0.01と0.1
gH2O/gDWの間が最も好ましい。人参の場合は、最適の乾燥率は、一時間
毎に約0.03gH2O/gDWであり、当業者であれば、その他の種についても
、適切な乾燥率に行き着くことができるだろう。本方法において使用することが
でき、本発明による製品につながるその他の種は、当業者に知られている。それ
らの種としては、きゅうり、メロン、セロリ、ペラールゴニューム、いんげん豆
、えんどう、アルファルファなどがある。
本発明は、次の実験の部分でより詳細に記載される。
材料と方法
植物材料
全く異なった遺伝的背景のDaucus Carota L.の2つの遺伝子型が使用された。
そのひとつは、商業的な変種CV「トロフィー」で、もうひとつは、育種系「R
S1」である。CV「トロフィー」の種子と細胞の懸濁培養物は、Wageningen農
業大学分子生物学部のS.de Vries博士から提供された。「RS1」の種子は、
オランダ、EnkhuizenのRoyal Sluisから入手した。
媒体の調製と培養の条件
すべての培養媒体は、GamborgのB5基本組成物を基にした(Gamborg、196
8年)。加圧減菌器で処理する前に、pHを5.8に調節した。媒体は121℃
で、20分間殺菌した。しかし、ABAは0.2%のNaHCO3に溶解し、冷却
した媒体に加える前にフィルタ(0.2μm孔サイズの使い捨てフィルタ)で殺
菌した。培養体は、1日16時間の光周期と、25℃の連続温度の温室の中で育
生した。
懸濁培養
2%のNaOCl(20%の市販されている漂白溶液)で表面を殺菌した後、
種子を固形のB5媒体(8g/l寒天培地)で発芽させた。10日の苗の無菌胚
軸の外植片を使用して2.3μM2,4−Dと20g/lスクロース(以後2,
4−D−B5と称する)で補った固形のB−5媒体で生育するカルスをつくった
。
細胞の懸濁培養は、100rpmでロータリー・シェーカーを用い250ml三
角フラスコに入れた50ml2,4−D−B5の媒体ごとに1gのカルスから開
始した。懸濁液は、14日ごとに50mlの新鮮な媒体で2mlのPCV(パッ
クした細胞の容量)を準培養することによって、維持した。リフレッシュした7
日後には、細胞の懸濁液を使用して胚様体を再生した。
胚様体の製造
前胚様体の塊(PEM)を2,4−DのないB5培地に移した後に発生した胚
様体は、低い密度(約30、000細胞/ml)で20g/lのスクロース(0
B5)を使用して再生した(De Vriesら、1988年)。胚様体の生育を同期化
するため、50μmから125μmの直径を持つ細胞懸濁液のPEMフラクショ
ンだけを使用した。このPEMフラクションは、ナイロンのふるいを用いること
で収集した。OB5でPEMが7日間生育した場合、媒体をリフレッシュして、
栄養素の消耗を防止し、胚様体に生育しない単細胞を除去した。またこの生育段
階において、異なった量のABAとスクロースを懸濁液に補った。さらに7日間
の間、ABAを含有する媒体のリフレッシュを繰り返した。18日から20日間
の培養期問の後、500μmのナイロンのふるいで、胚様体(魚雷状段階)を採
取した。
乾燥と発芽
乾燥する前、胚様体は真空状態の中で、ビュヒナー漏斗に入れたOB5で充分
に洗浄した。約1gの新鮮な収穫したばかりの胚様体を、ピンセットで、無菌の
プラスチック製のペトリ皿(9cm)に移した。胚様体は、ペトリ皿の表面に均
等に広げた。ペトリ皿を覆って、調湿器の中に置いた(Weges、1987年)。
25℃で調湿器の中で、括弧内の数字で示すように相対湿度が異なった塩の飽和
溶液のために生じた異なった相対湿度(RH)にさらすことによって、乾燥率を
変化させた:Na2CO3(90%),NaCl(73%),Ca(NO3)2(5
0%),CaCl2(30%),LiCl(13%)。水分含有量が、重量のロ
スで測定するRHと均衡が取れるまで、胚様体は調湿器にとどめた。空気流のキ
ャビネットにコーティングをせずにペトリ皿を置くことで急速に乾燥した。胚様
体のDWは、24時間ドライフリースした後に決定した。水分含有量はgH2O
/gDWと計算された。
胚様体の生命力(乾燥耐性)は、発芽試験で評価した。約100個の乾燥した
胚様体を無菌のペトリ皿(6cm)の中でフィルタ紙上に置いた。閉鎖したペト
リ皿の中の胚様体は、吸水する前に湿気で飽和した空気の中で4時間に渡り予め
湿気を帯びさせて、考えられる吸水のダメージを防止した(Hoekstraら、198
9年)。この処理の後、1mlのOB5培地を胚様体に供給した。ペトリ皿は、
パラフィルムで封印し、25℃、1日16時間の光周期で培養器の中においた。
胚様体は、10日以内に明らかに根が成長した場合に、乾燥耐性があると記録さ
れた。
脱水方法
繰り返し乾燥率を規制しようとして、胚様体は異なった定数RHで乾燥させた
(表I)。急速に乾燥させた胚様体は発芽することができず、飽和Na2CO3溶
液でゆっく脱水した胚様体は、水分含有量の均衡が取れない内に茶色に変色して
死滅した。最大の生存率である49%の発芽が、胚様体を飽和CaCl2溶液で
乾燥した場合に達成された。異なった乾燥処理では、乾燥率が異なるだけでなく
、最終的な水分含有量が異なることになる。結果を最適化するためには、胚様体
は4日ごとに低下させたRHにさらすようにした。この方法は、Senaratraら(
1989年b)の方法にわずかの修正を加えた方法に基づくものである。成熟期
において、ABAの濃度(3.8μM)が準最適であるため、この方法で、発芽
を最大76%に増やすことができるだけである(表I)。
乾燥法を特徴あるものにするため、最適の成熟条件、37.9μM ABA 6
0g/g スクロースで生育した胚様体の水分含有量を測定した。水分の大部分
は最初の4日の内に失われたが、均衡水分含有量である0.05gH2O/gDW
になるには、7日から9日かかった。遅速乾燥する過程の中で、乾燥耐性を決定
するためには、胚様体は断続的に、0.05gH2O/gDWまで急速に脱水した
。少なくとも4日間遅速乾燥処理したことにより、発芽は100%に増えた。(
図1)
吸水と発芽
あまりにも急速に水を摂取することによる吸水のダメージを防止するため、期
間を別々にして、水分が飽和した環境の中で胚様体を処理した。図2は、予めの
含水時間を8時間まで増やすことにより改善した発芽を示す。8時間を越えると
、発芽は減少した。胚様体は、内胚乳が欠けているため、適切に再成長するには
、栄養分を追加する必要がある。表IIにおいて、胚様体は、B5の培地あるい
は水で発芽した。栄養素がなければ、胚様体の発芽は貧弱であった(4〜5%)
。一方、B5の培地の場合は、再成長は最適であった(98%)。カリウム漏出
測定法で、予め4時間含水処理して吸水した胚様体は、B5の培地で吸水した胚
様体よりもかなり高い割合で、水漏れが出た(データを示さず)。
胚様体の成熟
浸透圧とABAは、胚様体の成長において大きな役割を果たす主要なパラメー
ターである。したがって、成熟媒体におけるスクロースとABAの濃度が変化さ
れた。胚様体の成長が始まって一週間後に、ABAが媒体に添加された。
ABAを添加するのが早すぎると、胚様体の成長の妨害となるが、加えるのが
遅すぎても、早熟の妨害にはならない(データを示さず)。添加したABAの濃
度は、乾燥耐性に明かな影響がある。発芽は、19から37.9μMで最大とな
る(図3)。ABAの濃度が高くなっても、乾燥耐性はなお高いが、魚雷状の胚
様体は、初期段階における成長の妨害により、減少する。ABAの濃度がより低
い場合には、乾燥耐性は減少する。吸水の後には、根だけが長くなるが、胚軸や
子葉は茶色に変色する。
残留物の量は、乾燥物の含有量を測定することで推測することができた。AB
Aを加えず生育した胚様体は、ABAを加えて生育した胚様体よりDWのパーセ
ントがはるかに低い。なぜならABAを加えて生育した胚様体はすでに発芽して
おり、すでに根がつき、子葉がついているからである。ABAの濃度を上げると
、乾燥物の蓄積を一層増やすということは、ほとんどない(図4)。スクロース
の濃度は、ABAの最適濃度である37.9μMにおいて乾燥耐性には、あまり
影響がなく、特に遺伝子型の「トロフィー」においてはそうである(表III)。
しか
し、3.8μMのABA濃度では、スクロースの高い濃度(浸透圧)が、発芽に
積極的に影響することになる。スクロースの濃度が高くなれば、胚様体の乾燥物
が増えることになる(図4および図5)。しかし、スクロースの濃度が高くなれ
ば、ABA濃度の上昇と同じように、胚様体の成長を妨げることになった。そし
て胚様体の数が減少した。胚様体の収率と、再成長の能力のための成熟媒体の最
適なスクロースの濃度は、「トロフィー」が60g/lで、RS1が20g/l
であった(データ示さず)。
胚様体の生育
2,4−DのないB5媒体において低い密度で培養することにより、PEMが
球形、心臓形、魚雷状という連続した胎胚成長の段階を経て生育した。未分化し
た成長から分化した成長への移行は、水分の減少に一致していた(図6)。「R
S1」の胚様体は、10日後に魚雷状の段階に達した。魚雷状の胚様体は水分が
、約6gH2O/gDWであった。ABAがない場合、胚様体は、発芽が早すぎ
る。そのため、水分が増えることになった。ABA(37.9μM)を加える場
合、魚雷状の胚様体は、生育を続けるが、水分含有量は3〜4gH2O/gDW
に低下した。ABA処理した胚様体で20日後に水分含有量が減少するのは、飽
和塩溶液で乾燥処理するためである。比較のため、人参の種子の水分も図6に示
しておく。
魚雷状の胚様体を3日間にわたって、ABAにさらせば、遺伝子型の「RS1
」や「トロフィー」に乾燥耐性が生じるのに充分であった(図7および図8)。
両方の遺伝子型について、この期間の間、発芽の割合が100%に増加した。1
0日より若い球形あるいは心臓形の胚様体は、決して再生育することはなかった
。ABAがない場合、0.05gH2O/gDWの水分になるまで遅速脱水する
と、最大で20%の胚様体、45%の「トロフィー」が発芽した。外因性のAB
Aは、重要な要因とは思われないが、外因性のABAは、乾燥耐性をかなり高め
ている。「トロフィー」の胚様体をABAを含有する媒体で11日以上に渡り培
養すると、脱水に耐える能力が減少したが、おそらく、胚軸に二次的な胚様体を
つくりだしているためであろう。
乾燥耐性の人参を製造する間、連続する段階を次のように区別する:胚様体の
生育、成熟、脱水、発芽。本発明において、これらの4つの段階の重要性を認識
した場合にのみ、再含水した胚様体を100%発芽することができるということ
を、示している。Iidaら(1992年)は、ABAの処理をいろいろすることで
成熟段階のみを最適化したから75%発芽を達成した。Lecouteuxら(1992
年)は、4℃でも8カ月生存可能であるとして、人参の胚様体が完全な乾燥耐性
を持つことを主張した。しかし、その人参の胚様体は、なお無活動状態に、水分
が0.35g H2O/gDW(25%)であった。そのような水分は、貯蔵中の
種子の通常の水分(たとえば、乾燥人参の種子の水分は10%)をはるかに上回
るものである。発明者の定義では、これらの胚様体は、「乾燥耐性」ということ
はできない。代謝が大幅に減少する状態である低温度で、部分的に脱水するため
、8カ月の貯蔵期間で生き残ることができたのかもしれない。
胚様体の乾燥耐性については、そのほかの植物の種についても、報告されてき
た。しかし今まで記載してきた方法では、乾燥種の再生育を100%達成するこ
とはできない。AnandrajahおよびMcKersie、1990年と1991年;Senaratn
aら、1989年;a,b;McKersieら1989年、Marsolaisら、1991年;Par
rotら、1988年;Robertsら、1990年;Attreeら、1991年;Gray,1
990年などである。これらの著者は、胚様体成長における4つの連続段階に充
分な注意を払っていなかった。この4つの段階については、後で詳しく述べる。
胚様体の生育
人参の場合、培養を始めて7から10日に形成される魚雷状の胚様体だけが、
乾燥処理に耐えることができるように思われる(図7、図8)。それ以前の胚形
成の段階である球形や心臓形は、乾燥耐性ではなかった。同じように、大麦の胚
芽も、ある生育段階で乾燥耐性を獲得した(授粉後16日)。Arabidopsisの胚
芽は、授粉後12日を経てからであった(Bartels等、1988年;Koornneefら
、1989年)。Senaratnaら(1989aおよびb)は、アルファルファについ
て、魚雷状あるいは、子葉の胚様体だけが、乾燥した後も発芽することを立証し
た。
Iidaらは、人参について同じような結果を得て、魚雷状の胚様体だけが、ABA
に反応すると示唆した。このようなデータから、体内での胚形成は、接合のよる
胚形成を模倣するという考えを支持している。
成熟
組織分化が完了すると同時に、胚様体は成熟し始めた。成熟段階は、脂質、タ
ンパク質、炭水化物(残留物)の沈着(Kermode、1990年)と乾燥耐性の獲
得を特徴としているが、明確な形態上の変化は起こらない。アブジシン酸と浸透
圧は、胚様体の成熟において、重要な役割をはたしているように思われる。その
双方のパラソメーターは、特定の組合わせの遺伝子の発現に関与しており、早熟
な発芽を抑制することができる(Kermode,1990年;SkriverおよびMundy、1
990年;HuetおよびJullien、1992年)。本発明者らの実験から、外因性
のABAは、乾燥耐性を促進することは明かである。しかし、ABAを添加しな
くても、わずかな割合の胚様体は、乾燥処理に耐えることができた。このことか
ら、乾燥耐性を誘発することは、胚様体の生育プログラムの中にあり、外因性の
ABAだけによるものでないことが示されている。胚様体を胚形成のプログラム
(成熟)から発芽のプログラムに早熟に切り換えると、耐性が失われる。そのよ
うな切り換えは、ABAが媒体から取り除かれると発生する。胚様体が早熟な発
芽を開始する直前の小さな時間間隔の間、おそらく、ある程度外因性のABAを
含んでいるため(Iidaら、1992年)乾燥耐性を有する(図7、図8)。また
、Arabidobsis thalianaの二重変異体においては、ABAの合成とABAの感受
性に欠けており、ある程度の乾燥耐性(15%)が、授粉後16日目の胚芽生育
の間観察された(koornneefら、1989年)。遺伝子型「RS1」で脱水した
後、20%が再生育しただけであった。この割合は、非同期的な胚様体の生育の
ため、おそらくかなり低いであろう。まだあまりにも若い(心臓形)のものもあ
れば、すでに発芽段階に進んでいるものもあった。
HuetとJullien(1992年)による実験によれば、浸透圧(成熟媒体の中の
60g/1スクロース)で早熟な発芽を抑制すれば、ABAを添加しない場合、
乾燥耐性を有する「トロフィー」胚様体の割合が45%に増加した(図8)。表
IIIにおいて、ABAの濃度が低いまま、スクロース濃度(80〜120g/l
で、浸透圧−0.6〜−1.1MPa)を高くしても、浸透圧による処理をせず
に、ABA濃度が高い(37.9μM)場合と同じようなな結果を生み出し、浸
透圧がABAに取って代わるものであることが実証された。AnandrajahとMcKers
ie(1990年および1991年)は、スクロースの濃度を上げることで、アル
ファルファの体内胚様体に、乾燥耐性を誘発することもできた。また乾燥アルフ
ァルファ胚様体の活力も引き上げられた。それは、本発明の発明者が、人参の胚
様体について気づかなかった効果である。これらのデータは、外因性のABA濃
度を浸透圧が引き金となって上げることによって、説明できるだろう(Skriver
とMundy、1990年)。しかし、スクロースは、浸透圧として作用するだけで
なく、唯一の炭水化物源としての役割があることを認識すべきである。スクロー
スは、胚様体の乾燥物の含有量に重大な影響を与えた(図4、図5)。最適な成
熟実験計画では、ABAとスクロースの処理の双方が必要なことは明かである。
1週間を経た胚様体を2%のスクロースを含むABA媒体に置いた胚様体は、胚
軸上に二次的な胚様体を生み出すという観察からさらに支持され、結果的に乾燥
耐性を失うこととなる。スクロース濃度が高い中、ABAで生育した胚様体は、
決して二次的な胚形成を見せることはなかった。
脱水
胚様体(McKersieら、1989年、Seneratnaら、1989年aおよびb)にお
いてだけでなく、乾燥耐性のネマトーダ(線虫)(MadinおよびCrowe、1975
年)においても、乾燥耐性を獲得する間、乾燥率は重大な要因と認められてきた
。遅速乾燥させることが、生存のためには重要であるように思われる。人参の胚
様体も同じような様相を見せており、遅速乾燥した胚様体だけが発芽することが
できた(表I、図1)。これらの観察は、遅速乾燥する間、生物の内部では、脱
水の有害の影響から保護する変化が、起こることを暗示している。乾燥耐性のネ
マトーダは、乾燥状態において膜やたんぱくを保護する二糖類のトレハロース大
量につくりだしている(Crowe等、1987年)。また植物においては、大量の
二糖類やオリゴ糖が、乾燥耐性種子(KosterとLeopold、1988年)や花粉(
HoekstraとVan Roekelら、1988年)に見つかっている。脱水の過程のおいて
は、炭水化物の含有量だけでなく、タンパク質の含有量も変化している。Nordin
ら(1991年)とGrossiら(1992年)は、渇水のストレスの間は、特定の
組合わせの遺伝子が発現することを最近実証した。これらの遺伝子の大部分は、
ABAによって誘発されたものであるが、その中にはもっぱら渇水期に出現する
ものもある。結果的に生じるタンパク質は、乾燥のストレスに負けず生存するた
めに重要であると思われる。こうした示唆から、なぜIidaら(1992年)が、
急速乾燥した人参(3時間)で、このように低い発芽率を見い出したかが分かる
。乾燥時間が短い場合には、おそらく、最適な再成長のために充分な量のタンパ
ク質やオリゴ糖が合成されなかったのであろう。
発芽
乾燥耐性を測定する最善の方法は、発芽を測定することである。発芽しない胚
様体は、必ずしも乾燥非耐性とは言えない。なぜなら発芽は、不活動状態や発芽
手順の間違いで妨げられるからである。胚様体はむき出しである、すなわち、種
子の殼や内胚乳で保護されていないのである。したがって、胚様体は吸水による
ダメージや栄養不足の影響を受けやすい。本発明では、予め含水することで、再
成長をかなり高めることができることを実証した(図2)。予めの含水が、発芽
率によい影響を与えていることは、膜を安定することが胚様体の乾燥耐性を高め
ることを示している。乾燥生物の膜のリン脂質がゲル相である。これは乾燥胚様
体にもあてはまるであろう。吸水の間に、膜がゲル相から液晶相に転移する。自
由水を利用して溶質の運搬できる場合には、こうした相転移により、細胞溶質が
漏出する。これは胚様体にとって致命的である。湿った空気中で予め含水してお
けば、そのような細胞溶質の漏出を防止できる。なぜなら、そのような自由水が
ない場合に相転移が起こるからである。B5媒体に比べて、水の中での発芽率が
悪い(表II)のは、栄養分の不足から説明できるかもしれない。しかし、漏出
を測定すれば、ここでも膜の統合性が一役買っているということがわかる。水を
吸収させた乾燥耐性の胚様体は、B5媒体において、乾燥耐性ではない胚様体と
同じ割合で漏出する。
LAB 173−711(ABA類似物)を用いる乾燥耐性の誘発
ABAの代わりにLAB 173−711で、同じような実験を行った。その
結果を、表IIIに示す。
このような再成長のデータは、ABA処理した胚様体のデータに類似している
。
LAB 173−711は、ABAより4倍効力があるが、ABAと同じ濃度
で乾燥耐性を誘発できると結論することができる。
接合による胚形成と、体内胚形成との比較
図6において、水分含有量を基として、種子とDaucus Carotaの胚様体との生
育を示す。曲線は同じように見えるが、2つのタイプの曲線の違いは、胚様体が
水分含有量を3から0.5gH2O/gDWまで減少させる必要がある時間にある
。それは、生育の成熟期に当たるものである。接合よる胚様体は胚様体と比較す
ると、残留物の蓄積が延長された長い成熟段階を有している。データが種子全体
、すなわち内胚乳を持つ胚子から取ったものであるということを考慮しなければ
ならない。胚様体の成熟が圧縮されれば、胚様体は10日から12日の成熟期の
中で、必要なタンパク質、脂質、炭水化物を合成することはできないため、再生
育の可能性が減少するだろう。それに対して、接合による胚子は、40から50
日の成熟期がある。この点について、体内胚形成は接合による胚形成を模倣して
はいない。
結論として、本発明者らのデータでは、人参の異なった遺伝子型の胚様体にお
いて完全な乾燥耐性を誘発できると言うことがはっきり実証されている。
きゅうりにおける耐性の誘発
球形をなすきゅうりの胚様体の2つのロットを、Ahrensburgから獲得したが、
それは、ABAの2つの実験を行うために使用した。生育中の球形をしたきゅう
りの胚様体を有する液体あるいは、準固形のB5媒体に添加したABA(2〜2
0μM)は、人参胚様体のときと同様に早熟な発芽を抑制することができる。A
BAの濃度(0.01 1.0μM)が低すぎると、胚様体は急激に突出し、子葉
が緑になっていることが示されている。それに対して、濃度の高いABA媒体の
上の胚様体は、ある程度魚雷状の段階にまで生育を継続している。固形の媒体で
の胚様体の生育は、液体の媒体よりも優れたものであることは、はっきりしてい
る。懸濁状態では、ほんのわずかな子葉が形成されただけであるが、寒天上の胚
様体は、すばらしい子葉を生育させた。これらのきゅうりの胚様体の内のいくつ
かを脱水することができ、カルスと再生育のデータを、表IIに示す。植物材料は
遅速乾燥し、B5媒体中でも吸水する前に、湿った空気で予め含水した。
これたのデータは、きゅうりも乾燥耐性を獲得することができ、また比較的に
濃度の高いABAが、脱水して水分含有量が減少しても生き延びるため必要であ
ることをはっきり実証している。
コーティング実験
胚様体の再含水における問題、したがって発芽における問題を回避するため、
胚様体の吸水を可能とするコーティングが開発された。
植物材料:材料および方法に記載されているのと同じ植物材料が、用いられた。
この第1の実験において、基本コーティングは、パラフィン4444(Parame
lt Syntac)からなり、添加剤のコーティングは、スクロースからなっている。
コーティングの混合: A:0%スクロース
B:0.5%スクロース
C:1%スクロース
D:5%スクロース
E:10%スクロース
H:50%スクロース
胚様体は、溶解したコーティング混合物で吸水した(65℃の溶融温度)。胚
様体は、エタノールあるいは水で(撹拌しなから)収穫し、冷却した。
胚様体は、(休息時間の後)光の中で25℃で発芽させた。
結果
−アルコールで冷却すると、うまく行かない。なぜなら滴状が丸いピルではなく
、茸形をなすからである。冷却溶剤は、おそらく無極化すぎるのであろう。した
がって、冷却剤としては、水だけを用いた。
−磁気撹拌器を使用すれば、滴が水の中に沈下するときだけピルの形が良くなる
。塩を添加することで冷却剤をより極性とすれば形が一層良くなるかも知れない
。
−スクロースの結晶は、コーティング混合物によく拡散しない。特に大型の結晶
はそうである。したがって、均質的なコーティングを得ることは困難であった。
−カプセル化した後に発芽しない理由は次の通りである。
1.ワックスで水の供給が妨害されている。水を充分に供給するための窓が充
分ではない。
2.酸素の供給が不足している。
3.処理の熱衝撃で、種子がダメージを受けた。
4.ワックスの毒性
結論
使用したコーティングは、水を浸透させず発芽しない。コーティングの水透過
性を良くするために、充填材料をもっと追加するべきである。
充填材料を追加することによる、ワックス層の非水透過性の破壊
以前の実験と同じ植物材料を使用した。同じ基本材料を使用した。添加コーテ
ィングは、スクロース(粉砕機で粉砕)とWimer 130(Ankerpoort)あ
るいはそのいずれかである。コーティング混合物
冷却:水(磁気撹拌器なし)
溶融温度:65℃および95℃
結果
水で冷却した場合、構造はすべて外面が円滑であった。外層にはワックスだけ
しか含まれず、したがってピルはなお水透過性がない。滴をエタノールで冷却す
ると、外側にはある程度の充填材料が含まれるが、吸水後はその結晶をピルから
解放し、スムーズなワックス層が残り、再び水透過性がないものとなった。
HOO2コーティングの粘度を下げるため、溶融温度を95℃に引き上げた。
しかしおそらくは、充填材料の量が多いため、これはそれほどの効果はなかった
。考えられる解決法は、溶媒の追加(例:メタノール)である。
結論
使用したコーティングは、なお水透過性がない。なぜなら、ピルの外側にはあ
まりにも多くのワックスが付いているからである。このような理由から、種子は
カプセル化せず、発芽テストもしなかった。コーティングの水透過性を改善する
ためには、その他のより極性の高い材料を添加することによりワックス量を少な
くしなければならない。
PEGを添加することによるコーティング層の水透過性の取得
前の実験と同じ材料を使用した。
基本コーティングは、パラフィン4444とPEG 3400であった。
添加物のコーティングは、スクロース(粉砕器で粉砕)とWimer 130で
あった。
コーティング混合物
冷却:水(磁気撹拌器なし)
空気
溶融温度:65℃/81℃)
結果
Wimer 130がある場合、PEGとワックスとの混合は、うまく行かな
い。なぜなら、その混合物は均質でなく、上面が滴を形成できるだけの粘度があ
るからである。充填材料がなければ、ワックスとPEGとの混合は、均質的で粘
度があるが、なお滴を形成することができる。しかし水で冷却する間に、材料は
分離する。それによって、ワックスは滴の外側にあって、非水透過性の層を形成
する。内側のPEGは時折、湿っており、それ故水を獲得する。これは、望まし
いことではない。空気で冷却すると、ワックスはPEGの上面に層を形成する。
なぜならPEGはワックスより重いからである。E03およびL03の滴は極性
物質のみを含み、それゆえ水で容易に溶解する。このことは、胚様体の再含水に
問題を生じるものである。これらのコーティングにおいては、水移動が容易すぎ
る。このような水移動を阻止するため、小量のワックス、あるいは、脂肪酸など
両親媒性の化合物を添加すればうまくいくだろう。水による冷却は、望ましいも
のではない。なぜなら、ピルは水透過性がなければならないからである。水で冷
却すると、吸水がすぐに始まる。また水によって、混合物の無極性化合物が外側
に定着し、水分の移動を阻止する。無極性の液体を使用するほうが、はるかによ
い。
混合物によって、要求が満たされないために、カプセル化や発芽のテストは行
わなかった。
結論
PEGは、基本コーティング材料として使用することができる。しかし、ワッ
クスやその他の無極性材料を添加することによって、水の移動を制御しなければ
ならない。ワックスは基本コーティング材料として望ましくない。なぜならそれ
は無極性すぎて水の移動を制限しすぎるためである。
使用したコーティングは、なお水透過性ではない。なぜなら、ピルの外側には
あまりにも多くのワックスがあるからである。それが、種子のカプセル化と発芽
テストをやらなかった理由である。コーティングの水透過性を良くするため、そ
の他のより極性材料をさらに添加してワックスの量を少なくしなければならない
。F 312 ワックス・コーティング(KeyserとMackay)の添加によるPEG
3400に基づくコーティングにおける水移動の抑制
基本コーティング:PEG 3400 (Harb/Heybroek)
添加剤コーティング:F 312ワックス・コーティング(色のために、パラ
フィン4444の代わりに使用する)
コーティング混合物:0.2%、1%、2%、4%、10%、20%と30%
(KO3)基本コーティングへのF312コーティングの添加
冷却:空気、水、ひまわり油
溶融温度:81℃
結果
30%を除くすべての濃度で、ワックスはPEGマトリックスの中に滴を形成
した。PEGの外側により薄いワックス層を得ることが期待された。30%のと
きにのみ、このような層が形成されるが、その層は厚さが厚すぎるのである。水
分の移動はその滴では制限することはできない。なぜならすべてのペレットが極
めて容易に溶解してしまうからである。水は冷却用の液体として使用することは
できなかった。オイルはうまく使用することができた(20%の混合物だけ試験
した)。しかし、凝結するのが遅く、ペレットの全体(内側も外側も)オイルに
浸した。このことは、水分の移動にとっては、有益なことかもしれない。しかし
、
そこに実用上の問題がある。オイルで冷却したペレットは、水に溶解するもので
ある。
結論
PEGとワックスを混合しても、最適な水移動のための解決にはならない。ワ
ックスよりより無極性でない材料、脂肪酸などを用いる方がよいであろう。
この場合、冷却液の極性を変えるとよいかもしれない。
比較的軽い材料を添加することによる、無極性基本コーティングへの水透過性
の窓を設けること。
基本コーティング:パラフィン 4444(0.9 gr/cm2)4gr
添加物のコーティング:
Aerosil 200 (0.05 gr/cm2)0.1 gr:A05
Dicalite 418(0.21gr/cm2)0.4 gr:B05
軽石 0〜90μ(MCA)(0.9gr/cm2)2.7gr:CO5
軽石 40〜250μ(MCA)(0.9gr/cm2)2.7gr:DO
5
冷却:水+トゥイーン(tween)
アルコール+トゥイーン
溶融温度:65℃
結果
軽石0〜90μが最良の充填材料であるようである。ピルの表面での空気の泡
の形成を双眼鏡で観察することによって、これを試験した。なぜなら水はピルに
吸収される一方、空気は押し出されるからである。だからといって、軽石0〜9
0μが種子を備えたピルにも最高ということにはならない。このことは、次の実
験で試験することになる。軽石40〜250μは、密度の高い充填材料としての
作用する。すなわち、底に沈着するということになる。ピルの外側には、窓は設
けられていない。
空気泡試験の問、その他の材料は何の効力も発揮しない。それはおそらく、基
本コーティングに加えた量が少なすぎるためであると思われる。
アルコールも冷却用流体として用いることができる。そしてピルの外側は、滅
菌される利点がある。このことは、胚様体を発芽させるために必要である。より
軽い充填材料を加えることによりコーティング層の水透過性を取得。
基本コーティング:パラフィン 4444
添加コーティング:スクロース (粉砕器で粉砕)
Wimer 130(Ankerpoort)
軽石 0〜90μ
コーティング混合物
冷却:アルコール+トゥイーン20(5.04.012)100mlにつき2
滴
溶融温度:65℃
結果
ピル製造中はコーティング混合物をアセトンで希釈すれば、非常にうまくいく
。ピルは粘度が少なくなるため、よりよい滴となる。アセトンが種子にどのよう
な影響を与えるかは、まだ分かっていない。発芽の数字からは、アセトンの否定
的な影響は実証されていない。アセトンを加えると、レタスの種子の発芽に良い
影響があるとさえ考えられている。なぜなら、アセトンによって、コーティング
が一層開き、水分の移動が促進されてコーティングが破れ安くなり、種子が生育
し易くなるのである。
発芽テスト
温度:25度、光
1.発芽しないと記録されたピルが、発芽した種子を含んでいたが、コーティ
ングの外にでるまで生育していなかった。
2.発芽しないと記録されたピルが、事実発芽しない種子を含んでいた。これ
らのピルは、アセトンを使用しなかったため、固いかもしれない。
最後の4つの処理で種子の吸水が貧弱であることは、はっきり目に見えている
。なぜなら胚芽はなおガラス状であるのに対して、充分に吸水した胚芽は、白色
で
堅いからである。それに対して、これらのピルのコーティング材料は、最初の4
つの実験より多くの水分を含んでいるように思われた。これは、水を引きつける
スクロースのためであり、そのため種子の吸水が抑制されている。澱粉あるいは
タンパク質などのように、胚様体の栄養として役立つ他の非浸透性の材料を探し
たり、スクロースの濃度を低くしなければならないだろう。図9は、種子を含ま
ないA06とD06の水分摂取の過程を示す。この測定は、フィルター用紙上で
吸水させている間の、水の利用と水分の移動についての概念を得るためなされた
ものである。コーティング材料が要求を満たすかどうかについて、この測定法は
、発芽テストより容易な方法になるだろう。
結論
より軽い充填材料を加えることにより、水の透過性をつくり出すことができる
が、水分の移動が人参の胚様体についても充分であるかどうか試験しなけれなら
ない。水分摂取の流れを測定することが、この場合非常に有益である。人参種子
の発芽率が低いのは、コーティングが堅いためであろうが、レタスの種子は、生
育してピルの外にでることができる。
スクロースをコーティングに加えると、両方のタイプの種子の発芽を完全に抑
制することができる。スクロースの浸透圧の作用で吸水は悪くなる。
無極性の脂肪酸を加えることにより、水溶性のワックスに基づくコーティング
混合物の水透過性の低下
水溶性ワックスと冷却液が人参とレタスの種子の発芽に与える影響の観察
基本コーティング:PEG 3400
添加剤コーティング:軽石 0〜90m
Wimer 130
ステアリン酸(Merck)
パルミチン酸(Merck)
冷却剤:ひまわり油+トゥイーン
水+トゥイーン
エタノール+トゥイーン
メタノール+トゥイーン
溶融温度:65℃、75℃、85℃
コーティング混合物
結果
E07は75℃で溶融しなければならない。なぜなら、ステアリン酸だけが、
この高温で混合物に溶解するからである。種子をカプセル化するためには、混合
物を85℃まで加熱しなければならない。なぜなら温度が低ければ、混合物は急
速に凝結し、温度が高ければ、混合物がよい滴を形成することは困難であった。
そのため、将来には、実質的な問題が生じるかもしれない。F07は、75℃で
カプセル化することができるのみであるが、パルミチン酸は、すでに65℃で混
合物の中に溶解する。不溶性のワックスがよりたやすく使える。
いずれの混合物も、4つの冷却液すべてを用いて冷却することができるが、4
つの冷却液は、すべて他の種類のピルを生じていた。特に、表面と形状が変化し
た。空気泡の試験では、冷却液とは無関係にピルが水分を摂取していることが示
された。エタノール中で製造したピルでは一層多くの空気泡が生じたと思われる
が、これは水分摂取の試験で確認しなければならない。水中で製造したF07に
ついてだけ(図10参照)は試験しており、試験の経験があり試験が充分に正確
かどうかを確認した。試験は、非常にうまく行ったが、PEG 3400の基本
コーティングの場合は、水分の摂取は重量の増加で測定することはできない。基
本コーティングは、吸水媒体に溶解するから重量を失う。この場合、ピルが要求
を満たすものかどうか、発芽試験が有効である。
発芽テスト
温度:25℃、光
追加の結果
基本コーティングが水に溶解することによる吸水の間、ピルは分解しない。種
子が発芽すると、ピルは2片に分解した。
結論
表に示した発芽のデータから、次のような結論を下すことができる。
−水溶性のワックスは、基本コーティングとして使用することができる。それに
より、発芽を抑制するわけではない。しかし、よい滴を形成するといった実際的
な問題がそこにある。
−冷却液は種子の塊の発芽エネルギーにはっきり影響している。種子の発芽エネ
ルギーは、水分の摂取を制御することによって、発生するものである。オイルで
冷却すると、ピルは一層無極性的な特性を持つようになるが、それはオイルの中
にはコーティング混合物に吸収されるものがあるからである。したがって、コー
ティングで、水分摂取をさらに抑制できるということである。しかし最後には、
種子は完全に吸水して、発芽することができる。人参の胚様体の場合、どの冷却
液が一番水分の吸収を抑制するかという点について試験しなければならない。ア
ルコールで冷却すると、あまりにも急速に水分を吸収してしまうかもしれない。
−混合物における脂肪酸の影響は小さいが、ステアリン酸の方が結果がいい。
軽石0〜30m(Profiltra)(きめが細かく(0〜25nm)で軽量(0.
9gr/cm3)な充填材料)の、ワックスのコーティングにおける水透過性に
ついて試験(比較例06)
基本コーティング:パラフィン 4444
添加コーティング:軽石0〜30μ
Wimer 130
アセトン
コーティング混合物
すべての混合物の流動性を良くするため、アセトンを加えた。
冷却:エタノール+トゥイーン
溶融温度:65℃
結果
3grあるいはそれ以上の軽石0〜30μを混合物に加えるすることにより、
堅くなりすぎた。混合物の流体をアセトンでつくることはできなかった。そのた
めにパラフィンの量を増やし、さらにアセトンを加えなければならなかった。わ
ずかに、A08とE08だけ使用して、水分摂取のグラフを作成した。そのグラ
フは、40個のビルについて作成した(+1.1gr)。水分吸収のグラフは、
図22に示す。2つのコーティング混合物に大きな違いはない。ピルは11日後
も水分を吸収した。
発芽テスト
温度:25℃、光
両方の種子のロットについて、すべてのコーティング混合物で、発芽の遅延が
見られた。しかし、Z4.8137の場合には、7日後の最終的な発芽率には、
何の影響も見られなかった。一方、Z4.2973の場合には、Wimer 1
30を加えると、最終的な発芽率が減少した。
これは前の実験と対称的であるが、Wimer 130を加えると、発芽が増
えるように思われるからである。Z4.2973の場合、A08とE08との相
違(Wimer 130の量)は、水分の移動で説明することはできない。なぜ
ならE08はA08より多量の水分を吸収するからである(図11参照)。
コートしたZ4.2973の最終的な発芽は、種子の再含水がいいにもかかわ
らず、決してコントロールの発芽レベルには達しない。それは酸素の供給が充分
でないからかもしれない。あるいは、ピルがあまりにも堅すぎるからだろう。
結論
水分吸収のグラフを測定することは、コートした種子の特性を理解する上で、
極めて役に立つ。軽石0〜30μは、ワックス状のコーティングの充填材料に使
用することができる。
パラフィン 4444と比べた、他のワックスのタイプの試験
植物材料:Z4.8137
Z4.2973
基本コーティング:Ozokerite D306(KeyserとMackay)(57〜59℃)
Ciragref 80の平板(KeyserとMackay)(58〜63℃)
パラフィン 2050/vk60(Paramelt Syntac)
(58〜60℃)
添加コーティング:Wimer 130
軽石 0〜90μ
冷却:水+トゥイーン
メタノール+トゥイーン
エタノール+トゥイーン
ヒマワリ油+トゥイーン
溶融温度:75℃
結果
Ciragrefは、要求を満たすことができなかった。75℃では粘度がありすぎた
。その他の2つのワックスは完全であった。あらゆる冷却液において、すばらし
い滴を形成した。泡試験において、エタノールで冷却したピルが最良の試験結果
であった。
コーティングA08での乾燥胚様体のピルの製造
人参の胚様体がコーティングの実験計画で生き残るかどうかに関する試験
植物材料:1993年4月に製造した乾燥人参の胚様体(実験BT9、Wageni
gen)。乾燥胚様体は、1、5年以上に渡り、5℃、相対湿度30%で貯蔵した
。
基本コーティング:パラフィン 4444
添加コーティング:軽石0〜30(A08を混合。前を参照のこと)
アセトン
溶融温度:75℃
冷却液:エタノール+トゥイーン
貯蔵:エタノールで冷却した後、胚様体のピルを無菌のプラスチック製ペトリ
皿に集めて乾燥させた。乾燥すると(少なくとも2時間)、薄層状の空気流のキ
ャビネットに移し、無菌(防菌)処理した状態で吸水し、発芽させた。
発芽:加圧減菌器で処理したフィルター用紙(Whatman 3番)3枚備
えた6mmのペトリ皿と、20gr/lのスクロースを加えた4.5mmのホル
モンのないB5媒体で発芽させた(Gamborgら、1968年)。25℃、光を照
射(細胞2の種子技術)
高い相対湿度で4時間予め含水をせず、発芽させた。このような予めの含水は
吸水によるダメージが生じるために、むき出しの胚様体を吸水させるために必要
である。
結果
種子より胚様体をコートする方が容易である。なぜなら、胚様体は種子よりは
るかに小型だからである。その手順全体の無菌化処理について問題はない。発芽
試験の間、菌類やバクテリの生育が発見できなかったからである。
24時間吸水させると、胚様体はすでにコーティンク材料から外に出てきてい
る(写真1〜4;図12)。これは、胚様体が膨張したためである。このことは
、コーティング材料が、B5媒体を透過するということを示している。コーティ
ング材料があまり堅くないため、胚様体が膨張すると押しやられるのである。
胚様体は充分な力を発揮して、コーティングから外に出るのである。3日間吸
水させると、最初の根の伸長が目に見えるようになる。(写真5〜7;図12)
。
胚様体は、目に見えるようになり、コーティング処理に負けず生き残る。その
翌日には、胚様体の胚軸が緑色に変色し、根は伸長し続ける(写真8〜11;図
12)。一週間もすると、完全な苗木に生育する(写真12〜13;図12)。
一週間後の発芽率は、50%であった(15/30)。
結論
乾燥した人参の胚様体を、生命力を奪うことなく水分のないコーティング層で
カプセル化することは可能である。このコーティング層では、水分の移動が予め
の含水処理が余計なものになるようになされる。
図面の簡単な説明
図1は、遅速乾燥がDaucus Carotaの胚様体(遺伝子型「トロフィー」)の発
芽に与える影響を示す。胚様体は1週間の間、OB5の媒体で培養し、続いて3
7.9μMABAと60g/lのスクロースで4日の間成熟媒体で培養した。遅
速乾燥する間、断続的に胚様体は、無菌の空気の中で4時間かけて0.05gH2
O/gDWまで乾燥した。OB5媒体で吸水する前、胚様体は4時間かけて湿
った空気の中で予め含水した。水分データは、4回繰返し測定した平均値±SD
であり、発芽データは、2回測定した平均値±SDである。
図2は、Daucus carotaの胚様体(遺伝子型「トロフィー」)の発芽に対する
湿った空気による前処理の持続が与える影響を示す。胚様体は1週問の間、OB
5の媒体で培養し、続いて37.9μMABAと60g/lのスクロースで4日
の間成熟媒体で培養した。
胚様体は、それぞれ3日に渡り、75%、50%、30%のRHで水分が0.
05gH2O/gDWになるまで遅速乾燥した。発芽データは、2回測定した平
均値±SDである。
図3は、ABAの濃度が20日培養したDaucus Carotaの胚様体(遺伝子型「
トロフィー」)の乾燥耐性に与える影響を示す。培養7日目に、ABAを加えた
。胚様体は、それぞれ3日に渡り、75%、50%、30%の相対湿度で水分が
0.05gH2O/gDWになるまで継続して乾燥した。OB5の媒体で吸水する
前に、胚様体は4時間に渡り、湿った空気で予め含水した。発芽データは、2回
または4回反復測定の平均値±SDである。
図4は、ABAが20日培養したDaucus Carotaの胚様体(遺伝子型「トロフ
ィー」)の乾燥物の内容に与える影響を示す。胚様体は1週間の間、OB5の媒
体で培養した。7日目には、ABAの濃度が異なり、20g/l(−O−)ある
いは、60g/lのスクロースを含む媒体に移した。データは、3回の反復測定
の平均値±SDである。
図5は、スクロースの濃度が、20日培養したDaucus Carotaの胚様体の乾燥
物の含有量に与える影響を示す。胚様体は1週間の間、OB5の媒体で培養した
。7日目には、ABAの濃度が異なり、20g/l(−O−)あるいは、60g
/lのスクロースを含む媒体に移した。データは、3回の反復測定の平均値±S
Dである。
図6は、ABAを添加した、あるいは添加しないDaucus Carotaの胚様体(遺
伝子型「RS1」)および、同じ種の種子の生育中の水分の変化を示す。ABA
(37.9μM)は、培養7日目に加えた。20日後に、ABAで処理した胚様
体を、図2に示すように、飽和塩溶液で遅速乾燥した。種子の水分データは、Gr
ayとSteckel(1982年)から再び引き出した。
図7は、ABAがDaucus Carotaの胚様体(遺伝子型「RS1」の乾燥耐性の
発展に与える影響を示す。培養全期間中、20g/lのスクロースを有するB5
媒体で生育した。7日目に、胚様体は(−0−)なし、あるいは37.8μMの
ABAを有する新鮮なB5の媒体に移した。胚様体は、示された培養期間の後、
媒体から取り外した。胚様体は発芽する前に、遅速乾燥させた。遅速乾燥し発芽
させる方法についての記載は、図3を参照。
図8は、ABAがDaucus Carotaの胚様体(遺伝子型「トロフィー」)の乾燥
耐性の発展に与える影響を示す。胚様体は最初の一週間は20g/lのスクロー
スを有するB5の媒体、その後には、60g/lのスクロースを有するB5の媒
体で培養した。7日目には、胚様体を(−0−)なし、あるいは37.8μMの
ABAを有する新鮮なB5の媒体に移した。胚様体は示された培養期間の後、媒
体から取り外した。胚様体は発芽する前に、遅速乾燥させた。遅速乾燥し発芽さ
せる方法についての記載は、図3を参照。
図9は、種子を含まないA06とDO6ピルの水摂取の過程を示す。
図10は、実験で記載したコーティングFO7に関する水摂取と吸水時間との
間の関係を示す。
図11は、実験で記載したコーティングAO8とEO8に関する水摂取と吸水
時間との間の関係を示す。
図12は、コーティングの実験の最後で記載した乾燥耐性を誘発された人参胚
様体の膨らみを示す写真1〜13を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,M
X,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,
VN
(72)発明者 レグロ,ロベルト ヤン
オランダ国 1602 デーエン エンクヒュ
ーイゼン デ ゴウウ 6エー
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.無活動状態を誘発するために使用する量をかなり越えるアブシシン酸活性 の量で胚様体を処理することを特徴とする植物の胚様体に実質的に完全な乾燥耐 性を誘発する方法。 2.無活動状態を誘発するために使用する量をかなり越えるアブシシン酸活性 の量で胚様体を処理することを特徴とする実質的に100%発芽することができ る貯蔵可能な植物の胚様体を製造する方法。 3.アブシシン酸活性度で処理した後に、乾燥する段階を含むことを特徴とす る請求項1または2記載の方法。 4.胚様体の乾燥率は、1時間につき0.01gH2O/gDWと1gH2O/ gDWの間であるであることを特徴とする請求項3記載の方法。 5.使用した胚様体は、魚雷状の段階であることを特徴とする前記請求項のい ずれかに記載の方法。 6.アブシシン酸活性は、少なくとも部分的には内部で産生されることを特徴 とする請求項1あるいは2記載の方法。 7.アブシシン酸活性は、ストレスで引き起こされることを特徴とする請求項 6記載の方法。 8.ストレスは、熱衝撃で与えられることを特徴とする請求項7記載の方法。 9.ストレスは、低温処理で与えられることを特徴とする請求項7記載の方法 。 10.ストレスは、浸透圧であることを特徴とする請求項7記載の方法。 11.浸透圧ストレスは、炭水化物あるいは重合体で与えられることを特徴とす る請求項10記載の方法。 12.浸透圧ストレスは、−0.5〜−2.5mPaのレベルで与えられること を特徴とする請求項10記載の方法。 13.外因性のアブシシン酸活性を加えたことを特徴とする前記請求項のいずれ かに記載の方法。 14.総アブシシン酸活性は、無活動状態を誘発するために使用した活性の11 0〜1000%であることを特徴とする請求項13記載の方法。 15.外因性のアブシシン酸活性は、アブシシン酸として与えられることを特徴 とする請求項13または14記載の方法。 16.外因性のアブシシン酸活性は、少なくとも一つのアブシシン酸の類似物で 与えられることを特徴とする請求項13または14記載の方法。 17.処理した胚様体は、人参の胚様体であることを特徴とする前記請求項のい ずれかに記載の方法。 18.実質的に100%発芽できることを特徴とする乾燥胚様体。 19.前記の請求項1〜17のいずれかの方法で得られることを特徴とする乾燥 胚様体体。 20.5%以下の残留H2Oを含むことを特徴とする請求項17または18記載 の方法。 21.胚様体は予め含水することを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記 載の胚様体の発芽方法。 22.100%の相対湿度と常温で2〜8時間、予め含水することを特徴とする 請求項21記載の方法。 23.胚様体は、無極性の人工のコーティングで覆うことを特徴とする請求項1 7〜19のいずれかに記載の胚様体の発芽方法。 24.コーティングは、吸湿性を有する無機材料とともにワックス状の材料から なる請求項33記載の方法。 25.無機材料は、軽石であり、ワックス状の材料はパラフィンであることを特 徴とする請求項24記載の方法。 26.胚様体は、25℃〜50℃の温度範囲で吸水させられることを特徴とする 請求項17〜19のいずれかに記載の方法。 27.胚様体は、二糖類あるいは三糖類を含む媒体中で吸水させられることを特 徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の方法。 28.アブシシン酸活性は、1〜100μMの範囲におけるアブシシン酸の活性 に等しい量存在することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
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