JPH09503427A - 懸濁した粒子を分離するための多層圧電共振器 - Google Patents

懸濁した粒子を分離するための多層圧電共振器

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JPH09503427A JP6525208A JP52520894A JPH09503427A JP H09503427 A JPH09503427 A JP H09503427A JP 6525208 A JP6525208 A JP 6525208A JP 52520894 A JP52520894 A JP 52520894A JP H09503427 A JPH09503427 A JP H09503427A
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Abstract

(57)【要約】 流体内に懸濁している粒状物質を超音波共振波によって分離し、再利用する。好ましい実施例においては、互いに平行な変換器、懸濁媒体及び鏡を含む多層複合共振器シフト内に超音波共振の場が生成される。熱消散を最小にするように、全システムには共振するが変換器及び鏡自体の固有周波数は励振しないような寸法及び周波数が選択される。一般に、このプロセスは全ての種類の粒子(固相、液相、またはガス状分散相)、特にヒドロゾル(水中の粒子)に、及び哺乳類、バクテリア、及び植物細胞のような生物粒子または集合体の分離に適している。哺乳類細胞生物反応器のための音響フィルタ、または生存不能な細胞に対する生存可能な細胞の選択的保持を含む生物工学に限定された応用が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 懸濁した粒子を分離するための多層圧電共振器技術的分野 本発明は液体内に分散している粒子を分離するための方法及び装置に関する。 本発明は特に、変換器及び鏡を有する音響共振器設計に関し、これらの要素は全 て共振器の共振周波数が変換器の固有周波数とは異なるように選択されている。 一般的に本プロセスは、全ての種類の粒子(固相、液相もしくはガス状分散相) 並びに哺乳類、バクテリア及び植物の細胞もしくは集合体のような生物粒子の分 離に適する。発明の背景 近代技術の多くの分野において、流体から粒子を除去することが要求されてい る。このような分離プロセスを用いれば、液相もしくは粒状物質を再利用するこ とができる。生物工学においては、生成物を含む媒体から生物粒子を除去しなけ ればならない。連続攪拌懸濁生物反応器は、新鮮な媒体を絶えず追加し、使用済 の媒体を除去しながら動作させるが、この使用済の媒体の中には所望の生成物が 含まれることが多い。使用済媒体流から細胞を再利用し、これらの生物反応器内 の細胞密度及び生産性を高める多くのシステムが開発されている。これらのシス テムの中では、スピンフィルタが最も広く市販されているものである。生物反応 器内部のこれらの円筒形フィルタのスピニング(回転)が、フィルタ表面の目詰 まりを減少させるのに役立つ。それにも拘わらずこれらの既存システムの有用性 は、蛋白質及び細胞質によるフィルタの漸進的な目詰まりによって制限される。 スピンフィルタ生物反応器においてフィルタが目詰まりし、生存不能な細胞が懸 濁相内に蓄積されると、一般に生産のための動作時間が制限されるようになる。 生物反応器の容積を増加させ、動作を維持するためのフィルタ領域を反応器の内 側に十分にとることが実際的ではないために、スピンフィルタの大規模化は制限 されてきた。交差流沈澱及び遠心分離システムは目詰まり及び規模の柔軟性(ス ケーラビリティ)によって制限される。遠心分離システムは、多分高価格の故に 広く使用されることがなかった。 近年普通の技術に代わるものとして、もしくはそれを増強するものとして、音 響分離方法の開発に多大の努力が払われてきた。流体内に定在波が確立されると 速度に節(ノード)及び腹(アンチノード)が形成され、粒子の圧縮性及び密度 に依存して粒子は放射力によって移動させられる(殆どの固体及び液体粒子は速 度腹に向かって移動する)。節及び腹は音響波の伝播方向に対して直角であり、 隣接する2つの節間は音響波の半波長に等しい距離だけ離間している。これらの 腹内の超音波の集合効果に関しては既に文献に記述されている。E.Skudrzyk, “Die Gru nen der Akustic,”Springer Verlag,Wien,1954,S.202-205,S. 807-825; L.Bergmann,“Der Ultraschall und seine Anwendungen in Wissensc haft und Technik,”Verlag hirzel,Zuerich,1954:並びにK.Asai and N.Sas aki,“Treatment of slick by means of ultrasonics,”Proceedings of the 3r d International Congress on Coal Preparation,Institut National del'Indu strie Charbonniere,Brussels-Liege,1958 から、印加する音響に使用される 周波数は、いわゆる特性周波数f0の大きさの中から最良に選択される。この特 性周波数f0は次式から計算することができる。 f0 =(3η)/ 2πr2 = 0.48 η/ r2 (I) ここに、ηは運動速度であり、rは粒子の半径である。この周波数範囲を使用す ると、放射力の効果及び腹面内に累積的に音響的に誘起されるベルヌーイ力を最 大にすることができる。 米国特許第 4,055,491号によれば、血液もしくは哺乳類細胞のような小さい粒 子を重力によってキャリヤ液外へ沈澱させるように、超音波定在波を使用してこ れらの粒子を音場の速度腹内に凝集させている。しかし超音波源の配置が限定さ れていないこと、従って限定されていない共振境界条件に起因する定在波場の効 率が低いことから、走行波のかなりの部分に起因する高いエネルギ損失がもたら される。上述したプロセスは不連続動作に限られる。上記米国特許第 4,055,491 号に記載されている実施例と比較すると、米国特許第 5,164,094号に開示されて いる装置は主としてジオメトリを変更したものである。しかし分散媒を担持する 容器に印加される音場の周波数が十分に限定された共振境界条件によって制御さ れていないので、それでもエネルギのかなりな部分が失われる。 種々の音響特性を用いて粒子を分離する実施例が米国特許第 4,523,682号に記 載されている。分散媒を収容している容器の一端に取付けられている比較的小さ い変換器によって容器の低い共振モードを励振すると、変換器/容器界面に垂直 な節面及び腹面が発生する。音響点源によって作られた垂直モードは、システム を一次元共振器として記述することはできないことを意味している。長手方向に 減衰した走行波の一部は、横方向定在波場内の累積した音響エネルギに比して高 い。音響の減衰は、流れ方向に沿う分散媒に温度上昇をもたらす。温度変化は音 響速度及び共振周波数に影響を及ぼし、流れ方向に沿って非均質温度分布を生じ させ、それが場の共振の質を低下させる。その結果、所望の分離を達成するのに 必要な処理期間が長くなる。 腹面内に捕捉された粒子を集め、沈澱させるのに必要な音響処理期間が長いた めに、音響力だけを利用することによって直接所望の分離効果を得ようとして、 定在波の腹を分散媒に対して移動させる努力がなされた。米国特許第 4,673,512 号は、同一周波数で励振される対向変換器によって生成される干渉定在波場を導 入した。2つの音響源の電気励振信号間の位相シフトを制御することによって、 分散媒の走行干渉パターンの腹及び節内に捕らわれた粒子を移動させることがで きる。この方法を使用すると比較的短い処理期間を達成することが可能である。 この方法の欠陥は、その本質が非共振であることである。干渉定在波場を維持す るためには、同一振幅の共振定在波場に比して遙かに多くのエネルギが使用され る。その結果、所与の音響粒子速度振幅を発生させるための電力消費及び熱消散 が大きくなる。走行干渉パターンを作成する方法だけが異なる米国特許第 4,759 ,775号においても同じ問題を考慮しなければならない。 米国特許第 4,877,516号は、音響伝播の方向に対して垂直な定在波場の音響振 幅の局部勾配を制御しながら運動させる考えを導入した。従って、上記勾配に直 接関係付けられ、且つ腹面に平行に作用するベルヌーイ力によって、粒子は場の 腹もしくは節内に移動する。この実施例の欠陥は、定在波の局部勾配を望ましく 運動させるために音響の影を発生する機械的に運動するアレイを必要とすること である。 共振器システムの次の共振モードを励振することによって、共振定在波の腹を 段階的に運動させることがPCT Appl.No.PCT/AT89/00098に開示されている。若 干の実施例では共振境界条件が満たされているが、それでも使用される共振器周 波数(従来は、この周波数は常に変換器の固有周波数の極めて近くに選択されて いた)に起因してかなりの音響的に誘起された消散が存在している。発明の概要 本発明の原理によれば、変換器、懸濁媒体、及び鏡を含む多層複合共振器シス テム内に超音波共振場が生成される。懸濁媒体は、分離すべき粒子を含む液体か らなる。音響放射力が、液体内の粒子を定在波の節もしくは腹に向かって運動さ せる。任意選択的に、副次的な横方向音響力が粒子を集め、この集合体が重力に よって液体から沈澱させられる。もし、粒子を分離するのにドリフトする共振波 を使用すれば、粒子を集めるための副次的な横方向力は必要ではないかも知れな い。 本多層複合共振器システムは、共振器が全体として、変換器及び鏡の固有周波 数とは異なる多くの共振周波数を有するように設計されている。変換器の駆動周 波数が液体内に音響定在共振波を生成するのであるが、この周波数は変換器の固 有周波数からずれた周波数を選択することが好ましい。変換器はそれ自体の固有 周波数とは異なる周波数で駆動される。一実施例では、駆動周波数は変換器の隣 接する2つの固有周波数の中間にある。 生物工学においては、薬学的に重要な蛋白質を発生させるために細胞が使用さ れる。これらの蛋白質の殆どは翻訳後変異(post-translational modification )と呼ばれる蛋白質合成中にさらなる段階を必要とする。バクテリアではなく、 哺乳類の細胞は、それらだけがこのような複雑な変異を達成することができるた めにこれらの蛋白質を発生させるのに使用される。殆どの哺乳類細胞の蛋白質生 成物は媒体内に分泌される。バッチ生物反応器の場合には、細胞は運転後に媒体 から分離しなければならない。連続流反応器の場合には、細胞は生産性を向上さ せるために生物反応器へ戻して再利用することができる。超音波的に誘起される 集 合及び沈澱は、連続流懸濁生物反応器及び下流処理の両方に適用できる。従って 哺乳類の細胞はそれらを成長させた液体培養組織から分離され、液体から蛋白質 を収穫することを可能にしながら、生物反応器内に保持される。 本発明と従来技術とを比較する際の誤解を避けるために、本説明を通して厳格 に使用される用語の定義を以下に示す。 “音響粒子”は、単に音響連続体理論のボリューム要素であり、懸濁粒子と混 同してはならない。“音響粒子速度”は、関連音響波によってもたらされる周期 的音響粒子変位の時間導関数である。 複合反応器の“一次元”処理は、全ての量が1方向だけに排他的に依存するよ うな適切なモデルが適用されることを意味する(例えば1991年9月J.Acoust.S oc.Am.90(3),H.Nowotny,E.Benes,and M.Schmid,を参照されたい)。この 方向は、本説明を通して長手方向と一致する。 用語“層”は、極めて一般的に使用される。懸濁粒子を担持している液体でさ え、ある層に関連している。この本質的な共振周波数決定次元は、通常は、しか し必ずしもそうではないが、層の厚み次元である。座標のx軸はこの層次元内に 選択され、流れ方向に対して垂直である。y軸方向は層の深さであり、x軸方向 及び流れ方向に対して垂直である。z軸は流体の流れ方向に平行である。 “能動層”は圧電材料からなり、“受動層”は非圧電材料からなる。 “変換器”は、最も簡単な場合には圧電材料の単一の層である。多くの理由か ら幾つかの圧電板を、受動的で電気絶縁性の担体層の一方の側もしくは両方の側 に接着すると有利である。本発明によれば、付加的な変換(副)層を使用するこ とができる。殆どの一般的な場合変換器・層自体は圧電層を含む複数の固体層か らなり、最も外側の層は周囲空気もしくは1または複数の分散媒と接触する。 “位相シフトφ”は音響粒子速度Vの空間的位相シフトである。 φ=2π・fe(x/v) (II) ここに、feは電気的な駆動周波数であり、xは関連層の共振決定次元であり、 そしてvは関連層の音響(位相)速度である。多層の合計位相シフトは各相の位 相シフトと、異なる特定音響インピーダンスを有する隣接層間の界面における付 加的な位相跳躍との合計である。デルタ位相シフトΔφは、流体を収容している 音響共振室内のその全長にわたる定在波の位相シフト変化である。180°の変化 は位相シフトπであり、波の1つ分の変化は位相シフト2πであり、90°及び45 °の変化はそれぞれ位相シフト変化π/2及びπ/4である。 単一層の“調波固有周波数”もしくは調波共振周波数fiは次のように定義さ れる。 fi =i・(c/ p)1/2/2・x (III) ここに、iは関連調波周波数の数であり、Xは共振決定次元であり、cは実効弾 性定数であり、そしてpは層の質量密度である。 もし層が圧電材料からなっていれば、式(III)内の実効弾性定数cは電極間 の電気負荷に依存する。短絡回路及び開いたループ電極のような制限された場合 には、いわゆる直列もしくは並列固有周波数がそれぞれ決定される。固有周波数 fiの奇数部分集合だけを電気的に励振することができる。 多層(例えば、多層変換器)の“準調波固有周波数”。単一の均質層のオーバ ートーン周波数は基本固有周波数の整数倍であるが、複合共振器のオーバートー ン周波数は一般に平凡に離間していない。この理由から、一次元複合共振器の固 有周波数を“準調波固有周波数”と呼ぶことがある(例えば1984年8月1日のJ .Appl.Phys.56(3)のE.Benesを参照されたい)。しかしながら、支配的な次 元を有する1つの層(分散層)の場合には、第1近似においても高いオーバート ーン複合周波数は等間隔として考えることができる。本発明による変換器は通常 1つの単一層より多くの層からなるので、それ自体多層共振器である。このよう な共振器では、最も外側の面間の変換器の次元xTに沿う音響粒子速度の位相シ フトφTが数πの整数倍nに等しい周波数として固有周波数を定義することがで きる。これらの機械的に可能な共振周波数は全て、圧電的に励振されるのではな い。励振の可能性は能動層のみに沿う変位曲線に依存する。もしこの曲線が対称 的であれば、変換器はその対応周波数で励振することはできない。多層変換器の この電気的に励振可能な固有周波数は、もし変換器が真空(もしくは空気)によ って取り囲まれ、駆動電力発生器の周波数が共振器によって消費される能動電力 の相対最大値に同調されていれば、測定可能な共振周波数に対応する。もし駆動 電力発生器の電圧振幅Ueを一定に保てば(極めて低い電源インピーダンス) 複合構造のいわゆる直列共振周波数が決定される。もし駆動電力発生器の電流振 幅Ieを一定に保てば(極めて高い電源インピーダンス)複合構造のいわゆる並 列共振周波数が決定される。 “縦方向”とは、層の厚み次元の方向を意味する。この縦方向は、変換器層に よって励振された音波の伝播方向に一致する。本発明によれば、複合共振器の共 振モードは縦方向に励振される。従って、定在共振波の方向を縦方向と呼ぶ。 “多層複合共振器の共振周波数fc”は、全ての層を含む複合共振システムの 合計長にまたがる音響定在波の合計位相シフトφCを数πの整数倍にしなければ ならないという縦方向共振の条件によってもたらされる。複合共振器の共振周波 数のこの定義は、もし駆動電力発生器の周波数が共振器によって消費される能動 (二乗平均平方根)電力の相対最大値に同調されていれば、測定可能な共振周波 数に対応する。 “変換器の固有周波数fT”は、変換器層の終端面間の位相シフトφTを数πの 整数倍mにしなければならないという条件によってもたらされる。変換器の固有 周波数のこの定義は、もし変換器が真空(もしくは空気)によって取り囲まれ、 駆動電力発生器の周波数が共振器によって消費される能動電力の相対最大値に同 調されていれば、測定可能な共振周波数に対応する。一般に、変換器は幾つかの 層からなることができる。もし変換器が電極に覆われた単一の圧電層で形成され ていれば固有周波数の条件は次式によって与えられる。 φT = 2π・xT ・fT,m / vT(q,m)=m・π (IV) 但し、mは関連固有周波数fT,mの数であり、xTは共振決定厚みであり、そして vTは変換器の縦方向音響速度であって電極の電荷q及び関連固有周波数の数m に依存する。 “鏡の固有周波数fM”は、反射器層の表面間の位相シフトφMを数πの整数倍 nにしなければならないという条件によってもたらされる。もし鏡が単一の層だ けで形成されていれば、固有周波数の条件は次式によって与えられる。 φM =2π・xM ・fM,n / vM =n・π (V) ここに、nは関連調波固有周波数fM,nの数であり、xMは共振決定厚みであり、 そしてvMは鏡の縦方向音響速度である。 “横方向”は、縦方向に対して垂直の方向である。これらの方向は定在共振波 の粒子速度節及び腹面内に入っている。 “固有音響インピーダンスZ”は、関連材料の断面積当たりの音響インピーダ ンスである。 本発明は懸濁媒体とは異なる音響特性(圧縮性、音響速度)を使用して、分散 した粒子を連続的に分離し、再利用することができる方法及び装置に関する。本 発明の方法は、分散した粒子を保持して集めるために音響的に誘起される力を使 用し、集合体を沈殿させて再利用するためには重力を使用する。 好ましい実施例によれば、多層複合共振器システムは、平らな変換器、分散媒 を収容する容器、及び平らな音響鏡からなる。全て音響的に結合されているこれ らの層は縦方向に配列され、それらの表面は互いに平行である。変換器は、PZ T(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミック、ニオブ酸リチウム単結晶、もしくはP VDF層のような圧電的に能動な層と、この能動層の担体として働く固体受動層 とからなることができる。 全て音響的に結合されているこれらの層は互いに平行である。本発明は10-3乃 至1mmの範囲のサイズの分散した粒子を分離するのに適している。粒子の音響 及び幾何学的特性による好ましい共振周波数は0.1乃至10MHzの範囲である。 本発明は、多層複合音響共振器の変換器と鏡との間に超音波共振場を発生し、 これにより音響的に誘起される消散に起因する何等かの温度上昇の効果を最小に しながら、粒子を流体から分離し、再利用を可能にする。超音波分離プロセスの 多くの潜在的な応用(例えば、生物工学における応用)では、粒子の熱損傷を回 避するために、温度上昇を最低にする分離方法が必要である。更に、確立された 音響共振場の累積されたエネルギ、従って分離を達成するために必要な音響処理 時間は、音響伝播の方向に垂直な流れ方向に沿う均質な温度分布に依存する。音 響波の波長は温度に部分的に依存するから、定在波の縦方向に垂直な、流れ方向 に沿う望ましくない空間的な温度勾配のために、複合共振器の終端面間の音響波 の合計位相シフトが非均質な分布(流れ方向において)になる。複合共振システ ムの横方向の限定された、そして一定の位相の合計シフトは、高い質の共振場を 維持するための境界条件である。従って熱消散を最小にし、懸濁媒体の流れ速度 を最適にしなければならない。 第1の特色の第1の代替実施例を以下に要約する。本発明の1つの特色の第1 の実施例の原理によれば、変換器の固有周波数fTもしくは鏡の固有周波数fMの 何れの範囲内にもない多層複合共振器の縦方向音響共振周波数fCだけを励振す ることによって、複合共振器システム内の変換器及び鏡の音響的に誘起される熱 消散は最小になる。一般的には、変換器をその固有周波数の1つで電気的に励振 する方が、隣接し合う固有周波数の間を電気的に励振するよりも遙かに容易であ る。これが、懸濁媒体内に定在波を生成するために、従来の技術において常にそ の固有周波数の1つの極めて近くを励振していた理由である。そのため、従来技 術では変換器にかなりの熱消散がもたらされていた。 本発明の1つの第1の特色によれば、変換器層もしくは鏡層の固有周波数の何 れかを励振することを回避すると、層の厚み及び変換器を励振する電気信号の周 波数feを選択するのに有用である。もし多層共振器内の共振条件が維持される ならば、この励振周波数において変換器の電気的励振の容易さが低下することは 重要ではなくなる。複合共振器の共振周波数fCは、全ての層を含む複合共振シ ステムの合計長を横切る音響定在波の合計位相シフトφCを数πの整数倍にしな ければならないという縦方向共振の条件によってもたらされる。 変換器の固有周波数の何れもが励振されないようにするために、変換器の厚み xTは、生成される音響波の音響粒子速度振幅の空間的位相シフトφTを数π/2の 奇数倍に近いか、もしくは等しくするような値である。換言すれば、変換器を駆 動する電力発生器の励振周波数feは、変換器の2つの隣接する固有周波数fT,m 、fT,m+1の平均に近い複合共振器の高オーバートーン共振周波数fCに向けて同 調させるのである。 fC ≒(fT,m +fT,m+1)/2 (VI) 変換器は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミック、ニオブ酸リチウム単 結晶、もしくはPVDF層のような能動層と呼ぶ圧電層と、この能動層の担体と して働く受動層と呼ぶ固体非圧電層とからなることができる。担体材料は圧電的 に能動な層ZAの音響インピーダンスの範囲内の固有音響インピーダンスZBを 有している。 鏡は、懸濁媒体の固有音響インピーダンスZSに比して高い固有音響インピー ダンスZMを有する材料からなる。変換器と同様に、鏡の厚みxMは、音響粒子速 度振幅の空間的位相シフトφMを数π/2の奇数倍に近いか、もしくは等しくする ような値である。換言すれば、励振周波数feは、鏡の2つの隣接する固有周波 数fM,m、fM,m+1の平均に近い複合共振器の高オーバートーン共振周波数fCに 向けて同調させるのである。 fC ≒(fM,m +fM,m+1)/2 (VII) 懸濁液は多くの異なる現象によって意図的にではなく加熱され得る。懸濁液が 加熱されると、音響共振定在波に依存するシステムに問題をもたらすことが分か っている。一般に、懸濁媒体内の音響速度vSは懸濁媒体の温度Tに依存する。 従って変換器と鏡との間の音響波の位相シフトφSも温度と共に変化する。 φS (T)=2π・xS ・fe / vS (T) (VIII) ここに、xSは懸濁層の厚みであり、feは励振周波数である。要約すれば、液の 温度変化は音響波に位相シフト変化をもたらす。 流れが存在するシステムの場合には、その流れが音響波の方向xに垂直で、方 向zに平行であるものと定義される。x方向に平均された、方向z内の温度分布 TS(z)は、懸濁層内の音響波の空間的位相シフトに非均質分布ψS(z)をもた らす。この関係は、第1近似では、 ΔφS =φS (T)・α(T)・ΔT (IX) によって最良に表され、式(VIII)から得られる。係数α=−(1/vS)・( ∂vS/∂T)は音響速度vSの温度依存性を記述しており、実験で決定すること ができる。共振器内の温度範囲ΔTは、流入温度マイナス流出温度から計算する ことができる。結果的な位相シフトΔφSの範囲が懸濁層の高い質係数QSを妨げ る(質係数QSは、位相シフトφSが横方向zで一定である場合に限って高くなる )。QSは、 QS =2π・ES / WS (X) によって定義され、それにより、懸濁媒体内の共振場の累積された音響エネルギ ESが、分散した粒子に作用する音響力に影響を及ぼし、それらを集める。WS は、時間1/fC内に懸濁媒体によって減衰される音響エネルギの部分を表してい る。この減衰によって懸濁媒体内に熱消散がもたらされるのである。 その結果、定在波の方向xに垂直な、方向zの流れの温度勾配が質係数QSを 低下させ、従って流体内の共振場の累積音響エネルギESを低下させる。累積音 響エネルギESが低下することは、音響的に誘起される粒子の集合及び分離を達 成するのに必要な処理時間が長くなることを意味している。もし処理時間を長く するために流れ速度を低下させることを決定すれば、これは流れ方向に沿って一 層大きい温度勾配が生じさせることになる。流量が余りにも低過ぎると、最終的 に、質係数QSが消滅し、共振場は完全に衰弱する。 共振室の共振周波数が変換器及び鏡の調波周波数(固有周波数)とは異なるよ うに変換器及び共振室が設計されている実施例に関しては式II、III、IV、V、VI 、VIIに基づいて説明した。本発明の設計は、変換器自体が加熱されることによ って生ずる懸濁液の加熱を最小する。これらの特色を以下に詳述する。 好ましい実施例の一つによれば、多層複合共振器システムは、平らな変換器、 分散媒を収容する容器、及び平らな音響鏡からなる。全て音響的に結合されてい る層は縦方向に配列され、それらの表面は互いに平行である。変換器は、PZT (チタン酸ジルコン酸鉛)セラミック、もしくはニオブ酸リチウム単結晶、もし くはPVDF層のような圧電的に能動な層と、この能動層の担体として働く固体 受動層とからなることができる。本発明は10-3乃至1mmの範囲のサイズの分散 した粒子を分離するのに適している。粒子の音響及び幾何学的特性による好まし い共振周波数は0.1乃至10MHzの範囲である。 本発明の結果として、損失特性数R=We / ES =Pe ・τCj/ ESが最小に なる。損失数Rは、複合共振器システムの(時間τCj=1/fCj当たりの)能動 電気エネルギ消費Weと、流体内の共振場の無効累積音響エネルギESとの比とし て定義され、fCjは複合共振器の励振される準調波共振周波数である。Peは能 動(二乗平均平方根)電力入力、 Pe = 1/2Uee cos Φ (XI) を表している。ここに、Ue、Ieはそれぞれ駆動電圧及び電流の振幅であり、Φ は両者の間の位相である。 累積音響エネルギESは粒子に作用する音響力に直接関連しており、それによ りエネルギ消費Weは熱消散を生じさせる音響場の減衰を補償する。またWeの小 部分は変換器の誘電体損失をも表しているが、本発明には関係がないので説明は 省略する。 合計共振器をその音響準調波複合共振周波数fCjで励振することによって、し かし同時に駆動周波数feを、変換器の準調波固有周波数fTiの何れとも、及び 鏡の準調波固有周波数fMkの何れとも不整合にすることによって、変換器及び鏡 の音響的に誘起される熱消散を最小にすることができる。その結果、特性損失数 Rは大きく減少する。不整合の場合には複合共振器はかなり粗末な電気的挙動を 示すので、従来は駆動周波数と変換器の固有周波数のこの不整合は少なくとも明 らかにされていない。例えば、電気アドミッタンス曲線の軌跡において、円で表 される複合共振を認識することは殆どできない。共振円は極めて小さく表され、 実軸からずれている。これらの特性の故に、一般的な場合には、変換器固有周波 数から離れて共振励振を維持するための電気駆動エレクトロニクスを設計するこ とは極めて困難である。この理由から、従来技術のシステムの複合共振器は、常 に変換器の基本もしくは第3準調波固有周波数の近くで励振されていた。 複合共振周波数fCjは、音響粒子速度振幅の最大値を終端面に一致させなけれ ばならないというある定在波のための複合共振器の終端合計反射表面における境 界条件からもたらされる。従って多層複合共振システムの全ての層を含む縦方向 の合計長xCを横切る合計位相シフトφCは数πの整数倍でなければならない。変 換器の厚みxTと多層共振器内のその相対位置とを適切に選択するか、もしくは 駆動周波数を変換器の励振可能などの固有周波数からも十分にずらした複合共振 周波数に等しく直接選択するかの何れかによって、所与の駆動周波数に対する電 気駆動周波数feと変換器層の固有周波数fTiとの間の不整合を得るとができる 。 本発明の一実施例によれば、もしずれをある最小のずれよりも高く選択すれば このずれは十分である。この最小のずれは10%を変換器の関連固有周波数fTiの 準調波数iによって除した値に等しい。 0<fe <〔0.9 fTi〕; 〔1.1 fTi〕<fe <〔(1−0.1/2)fT2〕; 〔(1+0.1/2)fT2〕<fe <〔(1−0.1/3)fT3〕; 〔(1+0.1/3)fT3〕<fe <〔(1−0.1/4)fT4〕; 〔(1+0.1/4)fT4〕<fe <・・・ (XII) 即ちもし固有周波数の数iが1であればずれは少なくとも10%/1即ち10%で あり、もし数iが2であればずれは少なくとも10%/2即ち5%であり、同様に もし数iが3であればずれは少なくとも10%/3即ち3.33%である、等々である 。この不整合を導入することによって、音響粒子速度振幅の最大値が変換器の両 方の最も外側の面と一致することが避けられる。もし、変換器と分散媒との間の 界面において音響粒子速度振幅Vが消滅するように、駆動周波数feに対する厚 みxT及び変換器層の相対位置を選択すれば、特性損失数Rは最適になる。この 好ましい場合に駆動周波数feと変換器の全ての励振可能な固有周波数fTiとの 間の不整合が最大になり、駆動周波数feは式(XII)に限定されている許容され た間隔の1つのほぼ中央になる。 この規則は鏡層についても有効である。鏡層の固有周波数fMiを励振しないよ うにするためには、鏡層の厚みxMを適切に選択しなければならない。しかしな がら、鏡層の相対位置は多層共振器の終端反射層として固定されている。一般に は鏡も幾つかの層からなることができる。 変換器層は複合共振器の終端層を形成することができる。更に、変換器層は、 PZT(チタン酸ジルコン酸鉛、Pb(Ti,Zr)O3)セラミック、ニオブ酸リチウム (LiNbO3)単結晶、もしくはPVDF(フッ化ポリビニリデン)ポリマ層のよう な圧電的に能動な層と、この能動層の担体として働き、音響的に誘起される熱消 散を低くするように限定された厚みを有する固体受動層とからなることができる 。音響減衰が低く、圧電的に能動な層の固有音響インピーダンスZAの範囲内の 、もしくはそれよりも高い固有音響インピーダンスZBを有する担体材料を使用 することによって最良の結果を得ることができる。能動層の厚みxAは、数πの 奇数倍に近いか、もしくは等しい位相シフトφAを生じさせる値であることが好 ましい。受動層の厚みxBは、数πの半分の奇数倍に近いか、もしくは等しい位 相シフトφBを生じさせる値であることが好ましい。これらの基準を使用すると 、変換器/液体の界面における音響粒子速度振幅は0に近づき、変換器の固有 周波数fTiを励振するための境界条件は最適に回避される。その結果、変換器の エネルギ消散は最小になる。その上、この好ましい配列の場合、駆動周波数が変 換器の固有周波数の1つと整合している場合に比して、励振の容易さが低下する ことはない。 変換器層は2つの分散層の間に位置決めすることもできる。この場合、能動層 の厚みxAは数πの奇数倍mに近いか、もしくは等しい位相シフトφAを生じさせ る値であることが好ましい。変換器の各々の側の受動層の厚みxB、x’B(もし あれば)はそれぞれ、数πの半分の奇数倍n、n’に近いか、もしくは等しい位 相シフトφB、φ’Bを生じさせる値であることが好ましい。更に、変換器の各側 の分散層の厚みxS、x’S、及び鏡層の厚みxM、x’Mは、変換器/液体の両界 面における音響粒子速度振幅が0に近づき、変換器の固有周波数fTiを励振する ための境界条件が最大に回避されるように選択しなければならない。その結果、 変換器のエネルギ消散が最小になる。受動層の厚みxB、x’Bを等しくし、これ らの層を同一の材料で作ることが好ましい。 奇数qの受動的な副層を組合せ、能動層と分散媒との間に配列するとエネルギ 消散を更に減少させるのに有用である。これらの受動的な各副層の厚みxB,k( k=1...q)は単一の受動層の厚みxBについて上述したように位相シフト φB,kを生じさせるようにし、高い(能動層の範囲内で)音響インピーダンスと 低い(分散媒の範囲内で)音響インピーダンスとを交互させるのであるが、高い 音響インピーダンスで始まり、そして終わるようにする。代替として、温度を制 御するために任意選択的に循環される音響減衰が低い液体によって低インピーダ ンス副層を形成させることもできる。 複合システムの共振モードの周波数fCjは液体の温度及び粒子濃度と共に変化 するから、本発明の目的による一定の状態を維持するためには共振周波数ドリフ トに対して励振周波数feを補償することが重要である。これは励振周波数feの 精密同調を自動周波数制御(AFC)によって制御することによって達成するこ とができる。AFCは、複合共振器の能動電力消費Peを共振の基準として相対 最大値に維持する。 励振周波数feを好ましい共振周波数fCjに向けて制御する別の方法は、1つ の付加的な能動層(例えば、PZTセラミック、ニオブ酸リチウム単結晶、もし くはPVDF層)を鏡としてもしくは複合鏡の部分として設け、この能動層の電 極において音響的に誘起される電気信号の振幅を選択された複合共振周波数fCj を維持するための制御基準として利用することである。 複合変換器の層の厚みと同様に、複合鏡の圧電的に能動な層及び受動層の厚み は、鏡/液体の界面における音響粒子速度振幅を0に近づけ、変換器の固有周波 数fTiを励振するための境界条件が最適に回避されるように選択すると有利であ る。その結果、流体内の所与の音響粒子速度振幅に対して鏡のエネルギ消散が最 小になることが分かった。 上述した変換器の副層と同様に、副層を複合鏡層内に導入することができる。 複合鏡層内に奇数qの受動的な副層を用い、変換器について説明したように各副 層の厚みxB,k(k=1...q)は位相シフトφB,kを生じさせるようにし、能 動層と鏡(もしあれば)との間に配列して高い(能動層の範囲内で)音響インピ ーダンスと低い(分散媒の範囲内で)音響インピーダンスとを交互させ、高い音 響インピーダンスで始まり、そして終わるようにすることによって、エネルギ消 散を更に低くすることができる。 本発明のこの応用は請求の範囲に限定されており、上述した変換器設計の好ま しい実施例に限定されるものではない。1993年5月11日にオーストリアに出願さ れた特許出願第A 926/93には本発明の主題が記述されている。1993年7月2日に Felix Trampler、James M.Piert、Stefan A.Sonderhoff及びDouglass G.Kilb urnが本願と同時に関連出願(米国特許出願第 号)を出願している。こ れら2つの出願は1人の共通発明者Felix Tramplerを有し、関連内容をカバーし ている。より完全な理解のために、以下に上記関連出願(米国特許出願第 号)の内容を要約する。 代替実施例は、本発明に従って流れ速度の下限を設定することによって質係数 QSの低下を回避している。下限流れ速度は、πの1/4よりも小さい合計範囲ΔφS を有する懸濁層に、位相シフト分布φS(z)をもたらす値であるように選択さ れる。一般に、もし従来技術だけを使用すれば、この流れ基準では、沈澱を起こ す十分な粒子を集めるには音響共振場の内側に懸濁媒体を保持する時間が短か 過ぎる。本発明の一実施例によれば、流れ方向は重力に抗して配向される。音響 的に誘起された集合が発生すると直ちに、重力が支配的な力になってストークス の引き力(これが流体内に分散した粒子を流れ方向に移動させる)を補償し、粒 子を液体によって前進させなくする。音響的に誘起されたベルヌーイ力は定在波 の方向に対して横方向に作用するために、液体が複合共振器を通過するにつれて 粒子は共振場の腹面内に捕捉される。これにより、流体の保持時間に比して、共 振場の内側に懸濁粒子が実効的に保持される時間はかなり長くなる。更に懸濁媒 体の粒子濃度は、音響共振場増強集合体内で高くなる。集合体が流体引き力及び 音響的に誘起されるベルヌーイ力を打破する程十分に大きくなると、それらは流 れに逆らって重力によって液体から沈澱する。 共振器の流入管も好ましくは沈澱管であり、この沈澱管内の流れ速度を低く保 つために、懸濁層の好ましくは矩形(x,y)断面によってその内側寸法を制限 する。流入/沈澱管の直径を最大にすると、管内の流れ速度は最小になる。 本発明の一実施例によれば、沈澱管内の乱流は少なくとも2組のバッフルによ って最小にされる。このような組の(x,y)断面(流れ方向zに対して垂直) は格子形である。1.5乃至5cm-1の範囲の比較的小さい格子間隔が、沈澱した 集合体の解体を回避する。管の内部に配置された複数組のバッフルは、1組の多 重長よりも効果的に乱流を阻止する。もし必要ならば、1組のバッフルを単一の パスシェル及び管熱交換器に置換し、共振器に入る前の流体を予備冷却する。 更に、本発明は流れ方向に沿う温度勾配によって生じる共振の質の低下を打破 する別の代替方法を提供する。懸濁層は、定在波の方向xに垂直な音響的に透明 な層(フィルム層という)によって少なくとも2つの区分に分割される。本質的 に逆の流れの向きz、−zと複数の流れ速度とをもって区分Siに接して流れる 液体の流れは、関連区分Si内に温度分布Ti(z)を発生させる。これらの温度 分布Ti(z)は、方向z内に、全ての懸濁区分Siを横切る方向xにおいて平均 された温度分布T(z)をもたらす。この温度分布T(z)が、懸濁媒体内の音響波の 空間的位相シフトの非均質分布φS(z)をπの1/4より小さい合計範囲ΔφS以内 にさせる。従って、音響的に誘起される分散によって生じる流れ方向内の温度勾 配の効果は、逆流によって補償される。 更に、本発明の別の代替実施例によれば、変換器の圧電的に能動な層は、少な くとも2つの隣接する圧電板によって形成することができ、従って少なくとも2 つの独立したセグメントに分割することができる。各変換器は、受動層に接着さ れ、個々の電力発生器によって励振される。上記非均質温度分布T(z)は、2つ の分離した変換器によって作られた共振器内の各定在波に個々の共振周波数を生 じさせる。2もしくはそれ以上の変換器を使用することの利点は、各変換器に関 連する共振器の各関連セグメント内だけが流れ速度基準を満たせば、共振器内の 懸濁媒体の流れ経路全体が流れ速度基準を満たす必要がないことである。更に共 振器の関連セグメント内の集合体の制御された沈澱を可能にするために、圧電変 換器の個々の励振時間は、それらの1つが励振されない期間によって中断させる ことができる。1つのセグメントの音響共振場が遮断されている時、隣接するセ グメントの残りの共振場をオンに維持して再混合を阻止する。 本発明の変形は、液体から濃度の低い粒子を分離するために、多分上述した一 次元共振器システムへの付加的な段階として働く、いわゆる二次元共振器システ ムである。二次元共振場の2つの方向は、互いに垂直であることが好ましい。垂 直音響放射力によって、懸濁した粒子は、2つの各一次元共振場の腹面の交差線 に向かって移動する。これらの交差線においては、単一の腹面内よりも高い粒子 濃度を得ることができる。音響的に誘起される集合を達成するためには、最小の 粒子濃度が要求される。従って、二次元場の腹線における高い粒子濃度が流出す る液体内の上清粒子濃度を低くする。 複合システムの共振モードの周波数fCは流体の温度及びその粒子濃度に伴っ て変化するから、共振周波数ドリフトに対して励振周波数feを補償する必要が ある。これは、複合共振器の能動電力消費Pe1の相対最大値を共振の基準として 使用する自動周波数制御(AFC)によって、励振周波数feの微調整を制御す ることによって達成することができる。励振周波数feを好ましい共振周波数fc に向けて制御する別の方法は、鏡として使用される、もしくは複合鏡内に含まれ る圧電能動層(例えば、PZTセラミック、ニオブ酸リチウム単結晶、もしくは PVDF層)内に音響的に誘起される電気信号を最大にすることである。 本発明の一つの応用は、罐流させ攪拌したタンク生物反応器室内で成長させた 培養哺乳類細胞を養分媒体から分離し、再利用するのに使用することである。生 物反応器室内に細胞を保持し、絶えず養分媒体を補給することによって、高い細 胞密度まで成長させることができる。流入管でもあることができる沈澱管を生物 反応器室に直接接続する。共振器室の出口側の後にポンプを選択的に配置し、再 利用される細胞が機械的に損傷されるのを防いでいる。複合共振器の好ましい共 振周波数fCは2乃至4MHzである。もし必要ならば、懸濁媒体の流れ速度を 調整し、生存可能な細胞に、生存不能な細胞よりも十分に高い分離効率が得られ るようにすることができる。この効果は、生存可能な細胞と生存不能な細胞の直 径及び圧縮性が異なることに基づくものであり、生存不能な細胞には生存可能な 細胞よりも弱い音響力が作用するからである。生存可能な細胞の選択性濃度によ り培養生存率が増し、これは、生物反応器室内に生存不能な細胞が累積する傾向 がある既存の細胞再利用技術に優る主な長所である。この例の目的から、ここで は分離効率を、音響的に誘起される集合及び沈澱によって液体から分離される細 胞の数と、同一の時間内に共振器へ入る細胞の数との比と定義する。生存率は、 細胞の合計数に対する生存可能な細胞の比と定義する。細胞懸濁媒体に対面する 材料は、培養細胞と両立可能である。これらの材料には、ステンレス鋼、テフロ ン、ホウ珪酸ガラス、もしくは種々のセラミック(例えば、アルミナ)が含まれ る。ガラス及びセラミックは変換器及び鏡の圧電的に受動の層を形成するのにも 使用することができる。図面の簡単な説明 図1は、多層一次元構造としての複合共振器の断面図と、もし層寸法を本発明 に従って選択すれば得られる音響粒子速度振幅の推移を示す図である。 図2は、変換器が2つの懸濁層内にある図1のバージョンを示す図である。 図3は、単純な共振器例の概要図である。 図4は、導波層を有する複合共振器を示す図である。 図5は、全反射鏡を共振器終端として使用する複合共振器の断面図である。 図6は、図5による共振器の好ましい対称バージョンを示す図である。 図7は、本発明の一実施例による変換器層の例を示す図である。 図8は、本発明の一実施例による装置の一形状を示す断面図である。 図9は、複合鏡のオプションを示す断面図である。 図10は、二次元超音波処理の断面図である。 図11は、共振室内の逆流を示す図である。 図12は、逆流共振室の代替実施例の断面図である。 図13は、図8の13−13矢視断面図である。発明の詳細な説明 実施例の基本的な要素を識別し易くするために層には英文字を付してあり、ま た他の全ての部品には番号を付してある。 図1の下側の区分は、典型的な圧電複合一次元共振器の基本的部分及び寸法を 示している。左側の変換器層Tは、能動的な圧電層Aと、受動的な電気絶縁担体 層Bとからなることが好ましい。対応する層寸法はそれぞれxT、xA及びxBで ある。変換器は分散媒Sに音響的に結合されており、分散層の寸法はxSである 。最後に、共振器は、厚みxMを有する鏡層Mによって完成される。複合共振器 は、如何なる固体ボディの音響インピーダンスの大きさよりある桁数低い固有音 響インピーダンスを有する空気によって取り囲まれているから、最終的な終端反 射面はそれぞれ変換器層及び鏡層の外面11、12である。従って、複合構造の 合計長xCはこれらの終端面の間に限定される。図1の上側区分には音響粒子速 度振幅Vの空間的推移を縦方向xに沿ってプロットした図である。もしこれらの 層の寸法、固有音響インピーダンス、並びに電気的駆動周波数feを本発明に従 って選択すれば、図示のように分散層内の最大振幅は他の層内の最大振幅よりも 遙かに大きくなる。図1はこの振幅関係だけを示している。通常は、分散層内の 定在共振波の最大振幅と、変換器内の最大振幅との定量的な比は、図1に示すよ りは大きい。 図2の下側区分は、右側に寸法xSを有する第1の液体層Sだけではなく、左 側に寸法x’Sを有する第2の液体層S’にも結合されている変換器Tを有する 典型的な一次元圧電複合共振器の基本的部分の概要及び寸法を示してある。第2 の液体層S’は分散媒からなっていても、もしくは懸濁粒子を有していない分散 媒(例えば、水)からなっていてもよい。変換器層Tは、能動的な圧電層A、及 びこの能動層Aの両側の2つの受動的な電気絶縁担体層B及びB’からなること が好ましい。対応する層寸法はそれぞれxT、xA、xB及びx’Bである。変換器 はそれぞれ分散層S、S’に音響的に結合されている。最後に、共振器は、右側 を厚みxMを有する第1の鏡層Mによって、及び左側を厚みx’Mを有する第2の 鏡層M’によって閉じられて完成する。複合共振器は、如何なる固体ボディの音 響インピーダンスの大きさよりある桁数低い固有音響インピーダンスを有する空 気によって取り囲まれているから、最終的な終端反射面はそれぞれ鏡層M、M’ の外面11、12である。従って、複合構造の合計長xCはこれらの終端面11 、12の間に限定される。図2の上側区分には音響粒子速度振幅Vの空間的推移 を縦方向Xに沿ってプロットした図である。もしこれらの層の寸法、固有音響イ ンピーダンス、並びに励振周波数feを本発明に従って選択すれば、図示のよう に分散層内の最大粒子速度振幅は他の層内の最大振幅よりも遙かに大きくなる。 図3に、単純な共振器の概要を示す。この例では、圧電層は、電極が設けられ た同じ厚みxAの3つの圧電板もしくはディスクA1、A2、A3がy方向に並 べて配列されて示されている。板A1、A2、A3は音響的には並列に(同相に 励振されて)動作するが、電気的には直列に接続されている。板A1、A2、A 3は厚みxBを有する担体板B(例えば、ガラスもしくはAl2O3セラミック)に接 着され、厚みxAを有する1つの連続層Aとする良好な近似で扱うことができる 。分散媒Sの流れの方向6、7はy方向である。分散した粒子は音響放射力によ って音響粒子速度の腹面に向かって縦方向に駆動され、分散した粒子は腹面に集 まる。これらの集合体はy方向に下向きに働く重力によって引かれる(音響的に 刺激された凝集によって強制された沈澱)。担体板B及び鏡板Mは、同時に分散 容器の壁として働く。矩形断面の入口管1及び出口管2はそれぞれ、ビトン(Vi ton: 登録商標)ゴム片4及び4’によって担体板B及び鏡板Mとの間に隙間が ないようにされている。距離(xB+xS+xM)は距離棒5及び5’、及びフラ ンジ3、3’によって精密に決定されている。即ち、棒5及び5’、及びフラン ジ3及び3’は、図3、4及び8に示す構造のためのxCと整合するよう に、もしくはxCの正確な所望寸法を与えるように選択されているのである。 以下に説明する若干のシステムにおいては流れに関しては説明せず、また若干 の応用においては流れは必要ないかも知れない。従って、方向zが全ての図にお ける流れ方向を表すものではない。懸濁液の流れが説明されるシステムにおいて は、この流れは一般に方向xに垂直で、方向zに平行であると定義する。方向y は共振室の深さであり、方向x及びzの両方に垂直である。図3の場合、流れ方 向zは、方向yに作用する重力に対して水平である。 例えば、本発明による2つの共振器の好ましい寸法は以下のようである。 10μm程度の直径を有する生物細胞の場合、適切な駆動周波数feは式(I) によれば典型的には2MHz付近である。標準圧電セラミック板として、次のよ うに選択されている。 〈圧電的に能動な層A〉 材料:PZTチタン酸ジルコン酸鉛、Pb(Ti,Zr)O3 圧電セラミック Hoechst Sonox P4 質量密度 : ρA = 7800 kg/ m3 短縮電極の場合の実効音響速度 : vA = 3950 m/ s 固有音響インピーダンス : ZA = 30.8 ×106 kg/ m2 s 厚み : xA = 1mm 層Aの基本直列共振周波数は、式(III)からfA = 1.97MHzと決定するこ とができる。駆動用エレクトロニクスGは源インピーダンスが低い通常の型であ るとしているので、この直列共振周波数は適切である。25mm×25mmの面寸法 を有する6つの(2×3)方形板を受動層Bの上に接着してあり(図7も参照さ れたい)、この受動層の厚み値xBを標準ガラス厚に等しく選択した。 〈圧電的に受動な層〉 材料 : Tempaxガラス 質量密度 : ρB = 2200 kg/ m3 音響速度 : vB = 5430 m/ s 固有音響インピーダンス : ZB = 12 ×106 kg/ m2 s 厚み : xB = 2.8 mm 周囲空気によって囲まれた2層変換器の共振周波数は測定もしくは計算するこ とができる(1984年8月1日、J.Appl.Phys.,Vol.56,No.3,E.Benesを参 照されたい)。最初の4つの準調波周波数は、 fT1= 573500 Hz fT2= 1371400 Hz fT3= 1958120 Hz fT4= 2546390 Hz である。式(XII)によれば、駆動周波数feの有利な間隔は、 0 Hz <fe < 516150 Hz:630850 Hz<fe < 1302830 Hz: 1439970 Hz<fe < 1892849 Hz:2023391 Hz<fe < 2482730 Hz... である。 分散層寸法xSは、例えば要求される流量に依存し、25mmに選択されている 。 〈分散層S〉 材料 : Hydros1 質量密度 : ρS = 1000 kg/ m3 音響速度 : vS = 1500 m/ s 固有音響インピーダンス : ZS = 1.5×106 kg/ m2 s 厚み : xS = 25 mm 〈鏡層M〉 材料 : Tempaxガラス 質量密度 : ρM = 2200 kg/ m3 音響速度 : vM = 5430 m/ s 固有音響インピーダンス : ZM = 12 ×106 kg/ m2 s 厚み : xM = 1.3 mm これらのパラメタにより、距離ΔfCjを有する複合共振器の共振周波数fCjは 約26kHzになる。従って、多くの複合共振周波数がこの有利な間隔内に入るこ とになる。例えば4つの間隔内の第1の共振周波数fCjは2035555 Hzであり 、第2の共振周波数は2061024 Hzであり、第3の共振周波数は2087140 Hzである。従って励振周波数feは、例えば2087140 Hzに等しく選択するこ とができる。鏡の基本固有周波数は2088460 Hzであるから、選択された駆動 周波数は鏡共振に十分に不整合にはならない。その結果、鏡厚を例えば1.8mm に変更しなければならない。 本発明の目的に対する最適の設計は、受動層Bを除き、同じ層を使用する。受 動層Bは厚みxBに作られ、変換器/分散媒の界面に粒子速度振幅Vの節を発生 する。もし駆動周波数feを、複合共振器の最適励振を保証する能動層Aの固有 周波数fAに概ね選択すれば、能動層A内の位相シフトφAはπに等しくなる。能 動層Aと周囲空気との間の界面には腹境界条件が存在し、また能動層A内の位相 シフトφAはπに等しいので、変換器Tと分散媒Sとの間の界面に粒子速度Vの ノードを得るためには、受動層B内の位相シフトφBはπ/2に等しく、もしくは π/2の奇数倍に等しく選択しなければならない。この位相シフトπ/2を式(II)に 導入すると、 φB =2π・fe ・xB / vB =π/2 が得られ、xBを計算することができる。より粗野な応用に対してはxB=1.2m mでは機械的に弱過ぎるので、3倍の値を使用することもできる。 〈圧電的に受動な層〉 材料 : アルミナ(Al2O3)セラミック 質量密度 : ρB = 3780 kg/ m3 音響速度 : vB = 9650 m/ s 固有音響インピーダンス : ZB = 36.5 ×106 kg/ m2 s 厚み : xB = 1.2 mm この変換器の最初の2つの固有周波数は、fT1=1335150 Hz、fT2=28660 80 Hzである。式(III)による計画駆動周波数fe=1.97MHzは、今度は有 利な間隔、即ち1468665 Hz<fe<2722776 Hzのほぼ中央にある。 この例では、鏡の最適の厚みは式(II)、即ち φM =2π・x・fe / vM =π/ 2 からx=0.692mmと決定される。この値は妥当な機械的粗野性に対してはかな り小さ過ぎるから、この値の3倍であるx=2.07mmが選択されている。 複合変換器と同様に鏡Mも能動層A及び受動層Bからなることができ、これら の層の厚みxA及びxBを選択する基準は同一である。鏡の能動層は電気信号を発 生し、この信号は励振周波数feを好ましい複合共振周波数fCjに向けて自動的 に制御するのに使用することができる。 図4に、図3による複合共振器の延長を示す。この例では低損失液体(例えば 蒸留水)が充填された音響的に透明な壁Fによって分散媒Sから分離されている 付加的な導波層Wが挿入されている。励振周波数feに対する壁Fの寸法xFはこ の壁内の波長の1/4に比して小さいか、もしくは半波長または半波長の倍数に等 しいかの何れかであり、また壁材料の固有音響インピーダンスは分散層の固有音 響インピーダンスとほぼ同一である。第1の場合には、例えば厚み10μmのサラ ン(登録商標)またはマイラ(登録商標)の箔を壁Fとして使用している。第2 の場合には、壁Fは事実上どのような材料で作ることもできるが、材料の固有音 響インピーダンスが分散媒Sの固有音響インピーダンスに接近していれば層Fの 寸法はそれ程臨界的ではない。位相的に言えば、音響的に透明な壁Fはπの整数 倍の位相シフトφFを発生する。第3の場合の適切な材料は、例えば、TPX( メチルペステン)もしくはABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)であ る。付加的な導波層Wは高い質係数の共振器部分として役立ち、分離ゾーンSか ら変換器Tの極めて不均質な近場領域を除去し、従って分散媒S内の音響により 誘起される流れの可能性を大幅に減少させる。この共振器設計バージョンによれ ば、導波層Wとサーモスタットとの間に液体を循環させることによって、システ ムの増強された冷却及び温度制御も可能になる。この場合側壁8及び8’にはそ れぞれ入口及び出口管を設けることができる。この共振器設計バージョンは、最 近の特許出願(U.S.Appl.No.474,813及びPCT Appl.No.PCT/AT89/00098)に 開示されているいわゆるドリフト共振場(DRF)の概念に本発明を応用できる ことをも立証するものである。このPCT出願は公開されている。DRF分離手 順の場合には、複合共振器はある1つの調波共振周波数で駆動されるだけではな く、1つの周波数から別の周波数へ繰り返し切り替えられる。例えば、周波数は ある周波数のグループから選択される。例えば、隣接し、極めて接近して離間し た共振準調波周波数fCjの12の周波数の中から5つの周波数が選 択される。分散媒S内に分散した粒子は、周波数が1つの周波数から次の周波数 へ変化した時の腹面の縦方向xへの運動の結果として段階状に移動する。これは 分散出口管2を2つの部分に分割することを可能にする。即ち一方の部分7は浄 化された分散媒のためのものであり、他方の部分7’は分散した粒子が極めて豊 かな分散媒のためのものである。音響的に誘起される分散を最小にするために、 DRF手順の励振周波数は、本発明による好ましい共振周波数fCjの近隣の共振 周波数に向けて同調させなければならない。 図5は、完全に反射する逆反射体Rを、複合共振器を終端するための鏡として 使用する複合共振器の断面図である。この逆反射体Rは、互いに直角の2枚の板 によって形成することが好ましい。分散媒Sの流れの向きは、重力の向きに抗す るように選択することが好ましく、図5ではz軸と一致させている。この共振器 バージョンは係合した側壁が存在しないので特に有利である。側壁は、一次元で 取り扱うには、それらの音響的な影響を無視しなければならないものである。こ れに対して、図3及び図4による共振器では、十分に限定された一次元挙動は、 層の横方向寸法が長手方向の寸法より遙かに大きい場合に限って(そのようなこ とは望ましくないことが多い)得られることが多い。 逆反射体Rの音響材料パラメタは、45°に等しい反射体の傾斜角αに対して分 散媒Sと反射体Rの界面において全反射条件が満たされるような値でなければな らない。分散媒と逆反射体との界面12’、12”が全反射性であれば、反射体 R内の消散は音響的に誘起され得なくなる。もし反射体Rの媒体を、ねじれ波( shear-wave)の音速が分散媒S内の縦波の音速の1.41倍に等しいか、または高い 値を有する等方性に選択すれば、45°に等しい反射体の傾斜角αに対して分散媒 Sと反射体Rとの界面における全反射条件のための限界角を超える。(反射体R が異方性媒体で作られている場合には、2つの考え得るねじれ波の音速の低い方 は、分散媒S内の縦波の音速の1.41倍に等しいか、または高くなければならない 。)即ち、例えば媒体内の損失を無視した場合、励振された音波は分散媒と反射 体との間の界面12’、12”において既に完全に反射されている。この条件は 、例えば水性分散媒及び反射体壁材料(モリブデン、ステンレス鋼、及び壁材料 としてのアルミニウムでさえも)によって満たされる。距離xS12及び xS22に沿う実際の音の経路はy軸に平行になっているが、分散媒内のどのよう な音の経路の合計長も等しい。即ち、 (xS11 +xS12 +xS13)=(xS21 +xS22 +xS22)=2xS である。従って、分散媒Sの実効層厚みxSが横方向y及びzに対して一定であ る等価一次元共振器の実質的全反射面12を限定することができ、全ての層の寸 法を再び本発明により選択することができる。 図6は、図5に示す共振器の好ましい対称型バージョンである。この設計の主 長所は方形断面の管を使用していることであり、管壁は同時に複合共振器の分散 媒のための壁として、及び全反射手段として働く。2つの受動層B及びB’の各 厚みxB及びx’B、並びに能動層Aの厚みxAは本発明により選択される。 図7は、複合変換器をより詳細に示す図である。この図は、本発明による圧電 層Aを含む能動鏡にも適用される。図7に示す例では、圧電的に能動な層Aは6 つの圧電板A1、A2、A3、A4、A5、A6で示されており、これらは同じ 厚みxAを有し、並べて配列され、そして電極が設けられている。板は音響的に は並列に動作する(同相に励振される)が、周波数発生器Gの出力に変換器の電 気インピーダンスを整合させるために電気的には直列に接続されている。上記発 生器Gは周波数feを有する電気励振信号をクランプE1、E2を介して供給す る。板は厚みxBを有する電気的には絶縁性で、圧電的には受動性のガラスもし くはAl2O3セラミックのような担体板B上に接着され、厚みxAを有する1つの連 続層として良好に近似して扱うことができる。圧電板間の電気接続は、発生させ る位相シフトφEが数πの1/16よりも小さい銅フィルムI1、I2、I3、I4 によって、及び厚みxEの電極層J1、J2、J3によってなされている。上記 電極は受動担体層Bの表面上に堆積され、次いで能動層Aに堆積される。厚みxA 及びxBは、音響的に誘起される熱消散を低くするために、本発明に従った限定 された値を有している。もし受動層の固有音響インピーダンスZBを圧電的に能 動な層の固有音響インピーダンスZAに近いか、または高くすれば、最良の結果 を得ることができる。能動層の厚みxAはπの奇数倍mである位相シフトφAを生 じさせる値に近いかまたは等しいことが好ましく、受動層Bの厚みxBはπの半 分の奇数倍nである位相シフトφBを生じさせる値に近いかまたは等し いことが好ましい。単一の受動層Bで説明したように、各々が位相シフトφB,k (k=1...q)を生じさせる厚みxB,kを有する奇数qの受動副層B1、B 2、B3(もしくはそれ以上)もエネルギ消散を低下させるのに有用である。上 記奇数の受動層Bkの固有音響インピーダンスは高(ZB,k≧ZA、k...奇数 )及び低(ZB,k<ZA、k...偶数)が交互しているが、始めと終わりは能動 層AのZAの範囲内の高音響インピーダンスとする。受動副層Bkのこの配列のバ ージョンでは低インピーダンス副層は流体であることもできる。 図8−13は、Felix Trampler、James M.Piret、Stefan A.Sonderhoff及び Douglas G.Kilburnを発明者として1993年7月2日に同時出願された関連出願( 米国特許出願第 号)に詳述されている特色の若干を詳細に示すものであ る。この出願における本発明の付加的な考え得る用途をより完全に理解するため に、この出願に開示されている実施例の若干の特色を以下に説明する。 図8は、本発明の一実施例による方法を遂行するための設計を示す。この実施 例の一つの考え得る応用は、生物反応器21内の媒体内で成長させた哺乳類細胞 から媒体(所望の生成物を含む)を分離することである。複合変換器層T、鏡層 M及び懸濁層Sは、合計長xCを有する多層複合共振器を形成している。複合変 換共振器Tは、電極を有する1または若干の固体の、圧電的に能動の厚みxAの 板A1、A2(もしくはそれ以上)と、厚みxBを有し誘電性で、固体の、圧電 的に受動の層Bとからなる。例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミッ クのような圧電板A1、A2(もしくはそれ以上)は、これらの能動層の固有音 響インピーダンスZAに近い固有音響インピーダンスZBを有する受動層Bに接着 されている。上記層の界面において、受動層Bは厚みxeの薄い接続用電極層で 被膜されており、この電極層が発生させる位相シフトφeは数πの1/16よりも小 さい(図示してない)。鏡M及び受動層Bは、懸濁媒体Sを収容している容器の 壁をも形成している。 変換器Tは、電源31及び32からの周波数feの電気信号によって励振され る。電源31及び32の動作及びタイミングはコントローラ33によって制御さ れる。能動板A1、A2を励振するために2つの独立した電源を使用することは 任意選択であり、代替として図7に示すようにA1及びA2を単一の電源によっ て駆動する。周波数feは複合共振器の縦方向高オーバートーン共振周波数fCの 半値内にあり、そのため本発明によれば、fCは変換共振器の共振周波数fTもし くは鏡単独の共振周波数fMの何れの範囲内にもない。従って、変換器の厚みxT =xA+xBは、数π/2の奇数倍である位相シフトφTを生じさせる値に近いか、 または等しい。また鏡の厚みxMも、数π/2の奇数倍である位相シフトφMを生じ させる値に近いか、または等しい。鏡の固有音響インピーダンスZMは、懸濁媒 体の固有音響インピーダンスZSに比して高い。 共振器は生物反応器22のヘッド板21上に垂直位置zに取付けられている。 本発明によれば懸濁媒体の流れ方向25は音の伝播方向xを横切る方向であり、 重力gに抗するような向きであるので、共振器内の流体の保持時間に比して懸濁 された粒子の保持時間はかなり長くなる。流量は懸濁媒体内でπの1/4の音響波 の熱的に誘起された空間的位相シフトΔφSの増加に相関する値より高く選択さ れる。更に変換器Tの外面、容器の側壁、及び鏡Mの温度は、管29’、29” を通る循環空気もしくは誘電体液体によって制御することができる。 流入管23の直径は、懸濁層Sの方形(x,y)断面の寸法xSにほぼ等しい 。集合体は何等かの突出表面に付着する傾向がある。従って、沈澱管でもある流 入管23には集合体が付着するような突起もしくは棚を有すべきではなく、直径 を大きく、好ましくは共振室の直径にほぼ等しく、またはそれより大きくする。 流入管23の直径を大きくすると流入速度が十分に低くなり、集まった粒子を流 れ方向25に抗して沈澱26させることができるようになる。一実施例では、少 なくとも2組のバッフル28’、28”(もしくはそれ以上)が流入管23内の乱 流もしくは熱的に誘起される流れを減少させている。沈澱する集合体が解体する のを避けるために、図13に示すように各組の(x,y)断面は1.5乃至5cm- 1 の間隔を有する格子である。1組の(zに沿う)長さは典型的には1乃至5c mの範囲であり、2つの隣接するバッフルの組28’及び28”の間隔も同じ範 囲であることが好ましい。もし必要ならば、1組のバッフルを単一のパスシェル 及び管熱交換器(図示してない)に置換して共振器に入る前の流体を予備冷却す る。これもまた多分バッフルを含む(図示してない)円錐形の流出管ポート24 によって層流が援助される。ポンプ27が出口の後に配置され、再利用される細 胞の 機械的な損傷を防いでいる。新鮮な媒体が管210を通して生物反応器に追加さ れて収穫した媒体を補償し、連続的な収穫を可能にする。懸濁媒体に対面する材 料は、例えば、316ステンレス鋼、テフロン、ホウ珪酸ガラス、もしくは種々 のセラミックのような細胞培養材に対して生物学的に両立可能な材料である。 図9は、図8の方形(x,y)複合共振室29の断面図であり、複合鏡Mのオ プションを示している。この複合鏡は、変換器Tの能動層A及び受動層Bと同様 に厚みxA'を有する圧電的に能動な層A’と、厚みxB'を有する圧電的に能動な 層B’とからなる。xM=xA'+xB'によって与えられる複合鏡の長さは数π/2 の奇数倍である位相シフトφMを生じさせる値に近いか、もしくは等しい。鏡の 能動層は、本発明による励振周波数feを好ましい複合共振周波数fCに向けて自 動的に調整するのに使用される電気信号を発生する。 図10は、一次元多層複合共振器29のジオメトリが第1の次元及び流れ方向 zに垂直な第2の次元まで繰り返されている二次元多層複合共振室29を使用し ている代替設計の(x,y)断面図である。複合共振器は、x方向には、変換器 T(x)の圧電的に能動な層A(x)と受動的な層B(x)、懸濁媒体S及び鏡M(x)から なり、y方向には、変換器T(y)の圧電的に能動な層A(y)と受動的な層B(y)、 懸濁媒体S及び鏡M(y)からなっている。全ての厚み寸法は、上述したように本 発明によって選択されている。 図11及び12は、空間的温度勾配対流れ方向の効果を補償するための図8の 変形を示している。フィルム層Fと称する音響的に透明な層が、懸濁層を、音の 伝播方向xに垂直な横切りのz、−zの向きに下向き流区分S’と上向き流区分 S”とに分割している。この層Fの音響インピーダンスZFは、懸濁媒体S’、 S”の音響インピーダンスZSに近いか、もしくは等しい。層Fの厚みxFは、変 換器を駆動する電力発生器の励振周波数feのフィルム材料内の波長の1/4の寸法 に比して小さくするか、もしくは半波長に近いかまたは等しくすることができる 。懸濁媒体は共振器の入口ポート24’から入って室の区分S’を通過してから 変換器Tに達する。出口ポート24”の流出ポンプ27”は、入口ポート24’ の流入ポンプ27’よりも僅かに少ない流量で動作するので、沈澱管23内の正 味の下向きの流れは遅くなる。部分的に浄化された媒体の殆どは、鏡Mに 近い共振室の第2の区分S”へ入ってそれを通過し、一方音響的に集められた粒 子は、正味の下向きの流れによって促進されて室の底の沈澱管23内へ沈澱26 する。音響的に透明な層Fの何れの側の媒体の逆流も、複合共振器の全長にわた る温度を均一に平均させる。これは、音響的に誘起される消散によって生ずる空 間的温度勾配を補償し、膜の何れの側に熱勾配があろうとも均一な共振場を維持 することを可能にする。変換器Tまでの高い流量は、付加的な電気的に誘起され た変換器からの熱消散、並びに下向き区分S’内の(上向き区分S”に比して) より高い濃度の粒子懸濁媒体内に音響的に誘起される大きい熱消散を相殺すべき である。この装置の動作は以下のように変更することができる。流入ポンプ27 ’を省き、室の底において再利用管23を閉塞する。これで再利用システムは半 連続型で動作させることが可能になり、再利用管を定期的に開いて累積した粒子 を一掃して再利用容器へ戻すようにする。 図12は、互いに垂直な2つの層Fを使用している代替実施例を示す。図11 の実施例では、懸濁層を2つの区分に分離する単一の層Fだけが存在している。 この代替実施例では、図12に示すように分離層が4つの区分に分離している。 図12の変更によれば、図10に導入されたような二次元場が使用される。この 場合、容器を2つの上向き流区分及び2つの下向き流区分に分割する互いに垂直 位置にある2つの音響的に透明な層F(x)及びF(y)が必要である。一般に、懸濁 層は、隣接する懸濁層内にその懸濁層の逆流が得られさえすれば、変換器及び鏡 に平行などのような数の懸濁層にも分割することができる。 図13は、図8及び11に示したバッフル格子28を示す図である。詳述すれ ば、バッフル格子は流入管23を完全に横切って伸びる複数の壁を有している。 格子間隔は、流入管23のサイズに依存して、1.5乃至5格子/cmの範囲であ ることができる。円形の流入管23を示しあるが、管は矩形もしくは方形である こともできる。 図8−13に示した実施例による本発明の動作は以下の通りである。好ましく は哺乳類細胞である細胞の培養組織は、攪拌されたタンク生物反応器室22内で 成長させる。室22は、集合体が室22自体の内側で適切に分離されるように混 合する従来技術を使用した攪拌室である。生存可能な細胞は生物反応器室22内 に保持されることが望ましい。生物工学では、これらの細胞は蛋白質もしくは薬 学的に重要な他の分泌物を発生させるのに使用することができる。これらの生成 品は生物反応器室22内の液体媒体内に分泌される。多くの生存可能な細胞を生 物反応器室22内に保ちながら、同時に生存可能な細胞が生成した蛋白質もしく は他の分泌物のような有用な副産物を取り出すことが望ましい。従って、本発明 の原理によれば、生物反応器室22の上に位置決めされた音響共振室39が生存 可能な細胞を濾過する。流入管23が生物反応器室に挿入され、細胞が培養され ていて且つ所望の副産物を含んでいる液体に浸漬されている。音響共振室39の 下流側のポンプ27は、生存可能な細胞及びこれらの細胞の副産物を含む液体媒 体を流入管23及び音響共振室39内へ引き込む。一実施例ではバッフル28’ 及び28”からなるバッフル28が流入管23内に設けられている。 流体が音響共振室39内へ引き込まれると、1もしくはそれ以上の変換器Tは 生物反応器室39内へ音響波を放出する。前述したように、所望の周波数の定在 波が発生し、音響反応室内の生存可能な細胞を捕捉する。音響波は、生存可能な 細胞が出口24から出て行くのを防ぐフィルタとして働く。生存可能な細胞が定 在波の節に集められると、それらは塊になり始める。懸濁媒体内の最大音響粒子 速度振幅は、生存可能な細胞を損傷させない値に維持される。複合共振器の好ま しい周波数fCは2乃至4MHzの範囲であり、上述した原理に基づいて選択さ れる。 生存可能な細胞が集合すると、それらは腹面内に集団(クラスタ)を形成し始 める。これらのクラスタが十分なサイズになるとクラスタは重力によって沈澱し 、ポンプ27が発生する流体の流れの方向に抗して降下する。即ち、細胞のクラ スタはバッフル28’及び28”を通して降下して混合体内へ戻り、攪拌反応器 室22内で解体され、所望の副産物を分泌し続ける。出口24から出て行く液体 内には実質的に生存可能な細胞は無く、しかも生存可能な細胞が生成した所望の 蛋白質及び他の副産物を含んでいる。液体は分離容器内に収容され、所望の副産 物が公知の技術を使用して取り除かれる。 除去された液体に代わる養分及び液体が入口管210を通して生物反応器室2 2内へ入れられる。以上のように、本発明は副産物を含む液体を連続的に取り 除きながら、生存可能な細胞を損傷させない技術を使用して生存可能な細胞を液 体から濾過する技術を提供する。引き続き副産物を生成させるために、生存可能 な細胞は生物反応器室22内に保持され、培養される。 図8に示して説明したように、本発明の代替実施例によれば、変換器Tは2つ の分離した能動層A1及びA2からなる。これらの関連セグメントを単に変換器 A1及びA2と呼ぶ。変換器A1は第1の電源31によって駆動され、変換器A 2は第2の電源32によって駆動される。一実施例ではfe1及びfe2は同一周波 数である。代替としてもし望むならば、異なる周波数を使用することもできる。 コントローラ33は、変換器A1及びA2へ電力を供給する電源31及び32の タイミング及び動作を制御する。 一つの動作モードによれば、コントローラ33は電源31及び32を制御して それらを同時に動作させて1もしくはそれ以上の音響定在波を発生させ、生存可 能な細胞を濾過して除去させ、それらを集めて生物反応器室22へ戻させる。代 替動作モードによれば、電源31及び32は選択された時間にわたって同時に作 動させられる。ある時間動作させた後に、コントローラ33は一方の電源、即ち 電源31もしくは32の何れかへの電力を減少乃至は完全に遮断する。一方の電 源の電力が減少乃至遮断されると、関連変換器A1もしくはA2によって発生さ れる定在波が大幅に減少するか、または消滅する。一方の変換器が生成する音響 波を除去することは、腹面内のクラスタ内に集められた細胞を解放して重力によ ってそれらが生物反応器22内へ戻るまで降下させることを可能にする利点が得 られることが分かった。選択された期間の間一方の電源を遮断した後にその電源 を標準電力の動作に戻すと、音響波は再びフィルタとして動作し始める。次いで 短時間後に、他方の電源がその関連変換器へ供給する電力を大幅に減少乃至は遮 断され、そしてこのパターンが続けられる。 例えば、動作の始めに、両電源31及び32を動作させる。選択された時間の 後に電源32を遮断し、変換器A2によって送信される音響波を中止させる。電 源31はその標準電力で動作し続け、変換器A1が生成する音響波は共振室39 内に残る。従って変換器A2からの定在波の節に集まった細胞が解放される。十 分に重くなった集合体は降下して生物反応器内へ戻る。降下しない細胞の群があ れば、それらは変換器A1によって生成された音響波によって閉塞される。選択 された時間の後に、電源32が再度投入され、変換器A2は再び定在波を発生さ せる。次いで、別の選択された時間の後に、電源31が遮断されて変換器A1が 発生する定在波が除去される。変換器A1によって作られた定在波の腹に集めら れた細胞は降下し始め、反応器22内の媒体へ戻る。選択された時間の後に、電 源31が再び変換器A1へ電力を供給し始める。このパターンを繰り返す。変換 器A1及びA2は、液体が変換器A2を、次いで変換器A1を順次に通過するよ うに、液体の方向性を持った流れに沿って互いに離間して位置決めすることが好 ましい。コントローラ33は、変換器を同時に動作させるか、もしくは交互に遮 断するように、電源31及び32のタイミング及び動作を制御する。変換器への 電力の遮断をこの順番で交互させるこの技術は、運動する液体から哺乳類の細胞 を濾過するのに従来の若干の技術よりも効率的であることが分かった。勿論、2 つより多い変換器を直列に使用することが可能であり、この動作モードは図1及 び2の水平流に使用することができる。代替として、単一の変換器もしくは図7 の複合変換器を使用することもできる。 変換器に電力を印加すると、エネルギの一部は熱に変換される。変換器自体の 加熱は、入口及び出口管29’及び29”を通して冷却材を循環させることによ って最小にされる。前述したように、液体の温度は、その液体を通って走行する 音響波の位相シフトに直接影響を与える。液体が共振室39を通過する際の液体 の温度変化を選択されたレベル以下に維持することが望ましい。共振室39内の 温度変化を低いレベルに保つ一つの技術は、共振室を通る液体の流量を比較的高 く維持することである。従って、液体は短時間の間しか共振室内に留まらず、迅 速に出口ポート24から排出される。もし液体の流量が高過ぎれば、音響波は生 存可能な細胞を望ましい割合で液体から濾過することはできなくなる。従って、 生存可能な細胞の濾過を増すために、流量を低下させることができる。本発明の 原理によれば、もし流量があるレベル以下に低下すれば、それは液体の温度を上 昇させる程低く、共振室の入口における定在波と共振室の出口における定在波と の間に望ましくない位相シフト変化を発生させる。共振室39の入口ポートと、 共振室39の出口ポートとの間の位相シフト変化がπ/2よりも小さくなるように 流量を選択することが好ましい。説明した例における好ましい位相シフト変化は π/4の範囲内にあるか、もしくは僅かに小さい。これは、定在波の入口から定在 波の出口までの約2°Kの温度変化に対応する。従って、入口と出口との間には 非均質な温度変化が存在し、換言すれば、入口の温度と出口の温度とはそれらの 間に温度勾配をもって異なっているのである。温度変化がπの半分より大きい位 相シフトを生じさせる値を超えない限り、非均質な温度分布でも受容され、好ま しい実施例ではπのほぼ1/4より大きい位相シフトを生じさせていない。 1つの特定例を以下に示すが、当分野に精通していれば、本発明の原理を多く の異なるシステムに適用して生存可能な細胞を、共振室39を通過する液体媒体 から良好に濾過できることは容易に理解されよう。 〈例〉 図8に示すような本発明による装置を、媒体から哺乳類細胞を分離し、集めら れた細胞を生物反応器へ戻して再利用する音響フィルタとして使用した。使用し たハイブリドーマ2E11細胞ラインは、5%の新生子牛の血清を用いてDulbec co's Modified Eagle 媒体(DMEM)内で成長させた。 〈寸法〉 変換器の圧電的に能動な層(チタン酸ジルコン酸鉛セラミック)の厚みxAは 1mmであり、受動層(ホウ珪酸ガラス)の厚みxBは3.3mmであった。この複 合変換器の空気中の固有周波数fTは、2.25MHz(φT=4π)及び2.8MHz (φT=5π)と測定された。 鏡層(ホウ珪酸ガラス)の厚みxM=2.7mmは本発明に従って選択された。こ の単層鏡の固有周波数は式(V)から計算され、2MHz(φM=2π)及び3M Hz(φM=3π)と測定された。 変換器と鏡との距離は25mmであった。 これらの寸法により、約28kHzの距離ΔfCを有する複合共振器の共振周波 数fCのスペクトルが得られた。本発明により、変換器もしくは鏡の固有周波数 での励振を避けるために、励振周波数feは約2.4乃至2.5MHzの複合共振器の 共振周波数fCに向けて調整された。その結果、変換器の厚みは、数π/2の9倍 に近い変換器の内側の音響波の位相シフトφTに対応した。鏡の合計厚みは 数π/2の5倍に近い変換器の内側の音響波の位相シフトに対応した。平均活動電 力消費〈Pe1〉は約3.5Wであり、共振器容積は35 mLであった。共振場内の流 路の合計長は5.2cm、流入細胞濃度は約91%の生存率で約5×106細胞/mLで あった。 典型的な生存可能な細胞に対する分離効率ev及び生存不能な細胞に対する分 離効率envを、流れ速度vに依存して監視した。 懸濁媒体内の流路に沿う位相シフトΔφSの増加は、流入及び流出温度の間の 測定された温度差ΔTから式(IX)に従って計算される。本発明によれば、πの 約1/4よりも大きい位相シフトΔφSの増加に相関する流れ速度において、生存可 能な細胞の分離効率evは増加しなかった。また、生存可能な細胞の分離効率ev と生存不能な細胞の分離効率envとの間に重大な差は観測されなかった。一般に 、典型的な流入細胞濃度は0.1乃至25×106細胞/mLの範囲である。 例を含む上表から、最大分離効率evは1.3乃至2.5cm/分の範囲の流量の時に 得られることが分かる。例えば、約1.8cm/分の流量では、フィルタは生存可能 な細胞の98%の分離効率を有している。生存不能な細胞の場合には分離効率は約 80%であり、生存不能な細胞は大きい割合で排出されるが、これは好ましいこと である。共振状態の入口から共振状態の出口までの温度変化は約2°Kである。 これにより約π/4、表には正確に0.26πで示されている位相シフト変化ΔφSが もたらされる。例えば2cm/分乃至2.5cm/分のように僅 かに高い流量も、生存可能な細胞の濾過効率が高く、共振器39内の懸濁媒体内 の音響波の空間的位相シフトの非均質な分布を可能にするので受容できる。異な るサイズの要素を使用する他の実施例では、8−10cm/分の範囲の、もしくは それを超える流量を使用している。サイズが異なる要素の場合、特定の流量を変 化させることができる。 本発明による多層共振器のジオメトリの代替パラメタは、例えば、 変換器の圧電的に能動な層(チタン酸ジルコン酸鉛セラミック)の厚みxAは 1mmであり、受動層(アルミナ(Al2O3)セラミック)の厚みxBは3mmであ った。この例は、アルミナセラミックの固有音響インピーダンスZBが圧電能動 層の固有音響インピーダンスZAより高いので、特に有利である。この複合変換 器の空気中の固有周波数fTは、1.8MHz(φT=2π)及び2.7MHz(φT= 3π)と測定された。従って、本発明によれば、励振周波数feは2.25MHzを 中心とする複合共振器の共振周波数fCの半値帯域幅内に選択しなければならな い。式(V)に従ってこの励振周波数feと、鏡の固有周波数の何れかとの間の不 整合を最適化するためには、鏡層(ホウ珪酸ガラス)の厚みxMを0.6mmまたはそ の奇数倍に選択しなければならない。 本発明の一実施例の基本的特色を要約すれば、多層複合共振器内の共振超音波 音場を印加することによって懸濁した粒子を液体から分離する装置を開示した。 複合共振器は、少なくとも圧電変換器、音響鏡、及びこれらの間に挟まれ濾過す べき粒子を含む懸濁液を含む、音響波の縦方向の伝播方向x内に形成されている 音響的に結合された並列層を備えていることが好ましい。変換器層は多層複合共 振器39の特性高オーバートーン共振周波数(fC)の半値帯域幅の範囲内の高 周波数(fe)を発生する電力発生器によって励振される。変換器の厚み(xT) は、生成周波数(fe)において音響粒子速度振幅の空間的位相シフトφTを生じ させる値であることが好ましく、そのようにすると位相シフトはπ/2の奇数倍に 近いか、もしくは等しくなる。共振室39内の懸濁液の流れ速度は、x方向に共 振室を横切って平均されたz方向の温度分布(Tz)が得られるような値である ことが好ましく、そのようにすると温度分布(Tz)によって、懸濁液内の音響 波の空間的位相シフトの非均質分布(φSz)はπの1/4よりも小さい合計範囲 (ΔφS)を有するようになる。若干の実施例では、0乃至π/2の範囲内の合計 位相シフト範囲が許容されるが、位相シフト変化はほぼπ/4もしくはそれ以下の 範囲であることが好ましい。 一実施例によれば、変換器は電極を有する圧電固体層(能動層という)と、非 圧電固体層(受動層という)とからなり、受動層は固有音響インピーダンス(ZB )が能動層の固有音響インピーダンス(ZA)に近いか、もしくはそれより高い誘 電体材料で作られる。代替として、従来の技術に使用されている型の他のどのよ うな変換器もしくは変換器層も使用できる。 更に、共振室39の反対側には鏡が設けられ、鏡は固有音響インピーダンス( ZM)が懸濁液の固有音響インピーダンス(ZS)に比して高い材料で作られ、鏡 の厚み(xM)は音響粒子速度振幅に数π/2の奇数倍に近いか、もしくは等しい 空間的位相シフト(φM)を生じさせるような値を選択する。 懸濁液の流れの向きzは、−zの向きに作用する重力に抗する向きであること が好ましい。 代替実施例によれば、変換器の圧電的に能動な層は少なくとも2つの隣接する 圧電板によって形成され、各板は単一の受動層上に接着される。各関連変換器セ グメントは個々の電力発生器31及び32によって駆動されるので、複合共振器 39内に個々の共振定在波が発生される。個々の励振時間は、個々の励振されな い時間によって中断することができ、それにより懸濁液の関連部分内の細胞の集 合体の沈澱時間が得られる。 一つの代替実施例では、個々の定在波の少なくとも1つは方向xにあり、別の 変換器が発生するxに垂直な方向yの別の共振定在波が重畳される。この別の定 在波は別の変換器及び鏡によって発生され、これらの変換器及び鏡は互いに平行 であり、また方向xの定在波を発生する変換器のための共振室39の側壁以外の 側壁上に位置決めされている。別の定在波の方向yは流れ方向に対して垂直であ る。 共振室39への流量を制御するポンプを出口管のみに位置決めし、入口管は細 胞を分離すべき懸濁液を含む反応室22に直接接続することが好ましい。 円形の、もしくは代替として矩形状の入口管の内径は、共振室39のための容 器の好ましくは方形の断面の内側寸法に近い、もしくは等しいことが好ましい。 入口管は、分離された粒子の沈澱管でもある。一実施例では、少なくとも2組の バッフルが沈澱管23の内側に配列されている。バッフルの流れ方向に垂直な断 面は1組の格子状であり、一実施例では格子の格子間隔は1.5−5格子/cmの範 囲である。各組の流れ方向の長さは1−5cmの範囲であり、2つの隣接するバ ッフル間の間隔は1−5cmの範囲内にある。 さらなる代替実施例によれば、共振室39内の懸濁液は、定在波の方向xに本 質的に垂直な少なくとも1つの分離層F(フィルム層Fという)によって、懸濁 区分Si(i=1...k、k≧2)と呼ぶ少なくとも2つの区分に分割されて いる。フィルム層Fは、固有音響インピーダンス(ZF)が懸濁液の固有音響イ ンピーダンス(ZS)に近い材料からなることが好ましい。フィルム層の厚み( xF)は、励振周波数(fe)の波長の1/4に比して小さいか、もしくは半波長に 近いか、または等しいの何れかである。懸濁液の流れの方向は、フィルムFの一 方の側では下向きの方向であり、フィルムFの他方の側では重力に抗する上向き の方向であるために関連区分Si内に温度分布(Tiz)が発生し、この温度分布 (Tiz)が全ての懸濁区分Siを横切るx方向において平均されたz方向の上記 温度分布(Tz)をもたらす。即ち、温度はフィルム層Fの両側の液体を横切る x方向において平均されるのである。代替として、2もしくはそれ以上のフィル ム層Fを使用することができ、これらは互いに平行であり、液体のために室22 から出口ポート24まで曲がりくねった経路を作る。例えば、流体は共振室39 の最初の1/3を上向きに走行し、共振室39の中央領域内を下向きに走行し、そ して最後の領域を上向きに走行することができる。 懸濁液は所望の生成物を含む液内に懸濁された生物細胞を含むことが好ましく 、懸濁液内の最大音響粒子速度振幅は生存可能な生物細胞に損傷を与えない値に 選択される。複合反応器39は、所望の生成物を含むことができる養分溶液内に 懸濁された哺乳類細胞を成長させる生物反応器上に取付けることが好ましい。こ の溶液は共振器39内で生存可能な細胞から分離され、共振器39から出口管2 4に達した後に収穫が行われる。生存可能な細胞は沈澱管23を通って降下し、 生物反応器管22内へ戻ることによって再利用される。このような細胞培養組織 と 生物学的に両立可能な材料だけが懸濁液と接触することが好ましい。 反応器室39を通る懸濁液の流れ速度は、生存不能な細胞よりも生存可能な細 胞を十分に高く分離するような値に選択される。従って、分離された細胞の生存 率が増すことになる。分離効率は、音響的に誘起される集まりによって液体から 分離され沈澱する細胞の数と、同一の時間内に共振器へ入る細胞の数との比と定 義される。生存率は、生存可能な細胞の部分と、細胞の合計数との比と定義され る。 以上に幾つかの特定実施例を説明したが、本発明及び請求の範囲はこれらの特 定実施例に限定されるものではない。むしろ、種々構造の発明的な概念を組み込 んだ等価構造及び方法を使用することができる。種々の実施例の特色も、本発明 を実現する多くの異なる方法で組合せることができる。図8−13の実施例は、 変換器の固有周波数の励振を回避するために設計された図1−7の変換器構造を 使用する必要はなく、もし望むならば、従来技術の変換器構造を使用することも できる。同様に、図1−7に関して説明した変換器設計及び駆動周波数の選択は 図8−13の構造の他にも多くの構造に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA, CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG,KP,K R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO ,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ, TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ブルガー ウォルフガング オーストリア アー1190 ウィーン ゼー ヘントホフガッセ 19―1―15 (72)発明者 グロッシル マルチン オーストリア アー1020 ウィーン プラ テルシュトラーモ 35―18

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) 多層複合共振器内に共振超音波音場を印加することによって分散した粒子を 液体から分離する装置において、上記音響的に結合された層は、少なくとも圧電 変換器、分散媒を含む容器、及び音響鏡によって上記音響波の伝播方向に形成さ れ、上記変換器は特性高オーバートーン準調波複合共振周波数の半値帯域幅の範 囲内の高周波数を発生する電力発生器によって駆動され、 上記変換器層の厚み及び相対位置は、上記駆動周波数が、関連する電気的に 励振可能な上記変換器の準調波固有周波数−上記固有周波数÷10倍の準調波数 の比として定義される下限値と、上記固有周波数+上記固有周波数÷10倍の準 調波数の比として定義される上限値との間に限定される何れかの間隔の外側にな るように選択されている ことを特徴とする装置。 (2) 上記変換器層の厚み及び相対位置は、上記変換器と上記分散媒との間の界面 において消滅する音響粒子速度振幅を発生するように上記駆動周波数に関連して 選択されることを特徴とする上記(1)に記載の装置。 (3) 上記変換器は一方の側即ち内側においてのみ上記分散媒と接触し、上記変換 器の外側界面は第1の終端反射面として働き、上記音響鏡の外側界面は第2の終 端反射面として働くことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の装置。 (4) 上記変換器は両側において上記分散媒と接触し、2つの分離した鏡が上記共 振器を終端し、第1の鏡の外側界面は第1の終端反射面として働き、第2の鏡の 外側界面は第2の終端反射面として働くことを特徴とする上記(1)または(2)に記 載の装置。 (5) 上記変換器は、能動層と呼ぶ電極を有する圧電固体層と、受動層と呼ぶ非圧 電層とからなり、 上記能動層は、数Piの奇数倍に等しい空間的位相シフトを上記音響粒子速 度振幅に生じさせるような厚みであり、 上記受動層は、上記数Piの半分の奇数倍に近い、または等しい空間的位相 シフトを上記音響粒子速度振幅に生じさせるような厚みであり、 上記受動層は、上記能動層の固有音響インピーダンスに近い、またはそれよ り高い固有音響インピーダンスを有する材料で作られている ことを特徴とする上記(3)に記載の装置。 (6) 上記変換器は、能動層と呼ぶ電極を有する1つの圧電固体層と、受動層と呼 ぶ2つの非圧電層とからなり、 上記能動層は、上記2つの受動層の間に配置され、 上記能動層は、上記数Piの奇数倍に近い、または等しい空間的位相シフト を上記音響粒子速度振幅に生じさせるような厚みであり、 上記第1の受動層は、上記数Piの半分の奇数倍の第1の位相シフトを生じ させるような厚みであり、上記第2の受動層は、上記数Piの半分の奇数倍の第 2の位相シフトを生じさせるような厚みであり、それによって上記受動層の厚み は好ましくは同一の値を有し、 上記受動層は、上記能動層の固有音響インピーダンスに近い、またはそれよ り高い固有音響インピーダンスを有する材料で作られている ことを特徴とする上記(4)に記載の装置。 (7) 上記変換器の上記受動層は、上記容器の一方の壁を形成していることを特徴 とする上記(5)に記載の装置。 (8) 上記鏡は、上記容器の一方の壁を形成していることを特徴とする上記(3)に 記載の装置。 (9) 上記鏡は、上記容器の対面する壁を形成していることを特徴とする上記(4) に記載の装置。 (10)上記鏡は、能動層と呼ぶ電極を有する圧電固体層を含み、上記能動層の電極 間に生成される電気信号の振幅は、上記電力発生器の励振周波数を、上記電気信 号の振幅が最大値を維持するように準調波複合共振周波数の値に向けて制御する ための基準として使用されることを特徴とする上記(3)に記載の装置。 (11)上記鏡の上記能動層は、上記数Piの奇数倍に近い、または等しい空間的位 相シフトを上記音響粒子速度振幅に生じさせるような厚みであり、 上記鏡の上記能動層は、上記数Piの半分の奇数倍の位相シフトを上記音響 粒子速度振幅に生じさせるような厚みを有する受動層と呼ぶ非圧電層に音響的 に結合されており、 上記受動層は、上記能動層の固有音響インピーダンスに近い、またはそれよ り高い固有音響インピーダンスを有する材料で作られている ことを特徴とする上記(10)に記載の装置。 (12)上記鏡の上記受動層は、上記容器の一方の壁を形成していることを特徴とす る上記(11)に記載の装置。 (13)上記能動層は、上記圧電的に受動の層上に接着された音響的に並列の円形、 矩形もしくは方形の、そして同一の厚みの圧電板のモザイク状構造によって形成 されていることを特徴とする上記(5)、(6)または(11)に記載の装置。 (14)上記圧電板材料は、チタン酸ジルコン酸鉛セラミックまたはニオブ酸リチウ ム単結晶であることを特徴とする上記(5)、(6)または(11)に記載の装置。 (15)上記受動層は電気絶縁性の誘電体層であり、上記圧電板の電極は上記受動層 上に堆積されている接続用電極層によって少なくとも部分的に電気的に直列に接 続され、上記接続用電極層は上記数Piの1/16より小さい音響粒子速度振幅の空 間的位相シフトに対応する厚みに作られていることを特徴とする上記(13)に記載 の装置。 (16)上記圧電的に能動な層は、フッ化ポリビニリデン箔で作られていることを特 徴とする上記(5)、(6)または(11)に記載の装置。 (17)上記圧電的に受動な層は、奇数の受動副層からなり、 上記各副層の厚みは、上記数の半分の奇数倍に近い、または等しい空間的位 相シフトを上記音響粒子速度振幅に生じさせ、 上記奇数の受動層は高音響インピーダンス及び低音響インピーダンスが交互 しているが、上記能動層の固有音響インピーダンスに近い、またはそれより高い 高い値で始まり、そして終わる ことを特徴とする上記(5)、(6)または(11)に記載の装置。 (18)上記電力発生器の励振周波数を上記準調波複合共振周波数に向ける微調整は 、上記複合共振器の二乗平均平方根電力消費を制御の基準として使用し、上記二 乗平均平方根電力消費を相対最大値に維持することを特徴とする上記(1)、(2)、 (5)または(6)に記載の装置。 (19)流体からなる付加的な導波層が上記変換共振器の受動層と分散媒との間に配 置され、上記導波層は音響的に透明な壁によって上記分散媒から分離されている ことを特徴とする上記(7)に記載の装置。 (20)上記導波層の側壁には入口及び出口間が設けられ、上記流体が循環している ことを特徴とする上記(19)に記載の装置。 (21)上記励振周波数の調整は、5乃至12の、隣接した、近接して離間している 複合共振周波数の間で繰り返しスイッチされることを特徴とする上記(19)または (20)に記載の装置。 (22)互いに直角で、音の伝播方向に対して45°だけ傾斜している2つの板によ って形成されている全反射性逆反射体が上記容器の一方の壁を形成し、 上記逆反射体の材料の音響パラメタは、45°に等しい上記反射体板と縦方 向との間の傾斜角について上記分散媒と上記反射体との間の界面における全反射 条件を満たす値であり、 上記分散媒の流れは、上記板に平行であり且つ上記縦方向に垂直に配向され ており、それにより 等価一次元共振器の実質的な全反射面が分散媒の実効層厚みを限定している ことを特徴とする上記(5)に記載の装置。 (23)2つの対称的な全反射性逆反射体が上記容器の対面する壁を形成し、上記逆 反射体の材料の音響パラメタは上記関連分散媒と上記反射体との間の界面におけ る全反射条件を満たす値であり、上記分散媒の流れは上記縦方向に垂直に配向さ れており、それにより等価一次元共振器の実質的な全反射面が分散媒の実効層厚 みを限定していることを特徴とする上記(5)に記載の装置。 (24)上記音響的に透明な壁は、上記励振周波数に対して上記数Piの半分より遙 かに小さい空間位相シフトを上記音響粒子速度振幅に生じさせるような厚みであ ることを特徴とする上記(19)に記載の装置。 (25)上記音響的に透明な壁は、上記励振周波数に対して上記数Piにほぼ等しい 空間位相シフトを上記音響粒子速度振幅に生じさせるような厚みであることを特 徴とする上記(19)に記載の装置。 (26)上記音響的に透明な壁は、上記導波流体の固有音響インピーダンスに極めて 近い固有音響インピーダンスを有する材料で作られていることを特徴とする上位 (19)、(24)または(25)に記載の装置。 (27)共振音響波を使用して分散した粒子を液体から分離する装置において、 それを通って流れる上記液体を有する音響共振室と、 上記共振室の対面する側壁を形成し、且つ互いに平行に位置決めされて上記 音響共振室内に音響定在共振波を生成する音響変換器及び音響鏡と、 上記変換器の電気的に励振可能な固有周波数から上記変換器自体の固有周波 数の10%より大きい値だけずれている選択された周波数で上記変換器を駆動す る電力発生器手段と を備えていることを特徴とする装置。 (28)上記変換器を駆動する周波数は、上記変換器の2つの隣接する固有周波数の はぼ中間であるように選択されることを特徴とする上記(27)に記載の装置。 (29)上記変換器が上記変換器の両側の第1及び第2の液体内に音響定在共振波を 同時に生成するように上記変換器の2つの側を流れる第2の液体をも含むことを 特徴とする上記(27)に記載の装置。 (30)分散した粒子を液体から分離する方法において、 上記粒子を含む上記液体を、音響変換器及び音響鏡を対向する側壁上に含む 音響共振室を通過させる段階と、 上記変換器の電気的に励振可能な固有周波数とは、10%を上記固有周波数 の準調波数で除したずれ値より大きい値だけ異なる選択された周波数を有する音 響定在共振波を上記音響共振室内に生成する段階と を備えていることを特徴とする方法。 (31)上記生成される音響定在共振波は、上記鏡の電気的に励振可能な固有周波数 とは少なくとも10%異なることを特徴とする上記(30)に記載の方法。 (32)上記音響定在共振波の周波数は、上記変換器の2つの隣接する固有周波数の 間のほぼ中間に離間していることを特徴とする上記(30)に記載の方法。 (33)上記準調波の数は2であり、ずれ値は5%である上記(30)に記載の方法。 (34)上記準調波の数は4であり、ずれ値は2.5%である上記(30)に記載の方法 。 (35)上記準調波の数は5であり、ずれ値は2%である上記(30)に記載の方法。
JP6525208A 1993-07-02 1994-05-11 懸濁した粒子を分離するための多層圧電共振器 Ceased JPH09503427A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/086,700 1993-07-02
US08/086,700 US5527460A (en) 1993-05-11 1993-07-02 Multilayered piezoelectric resonator for the separation of suspended particles
PCT/IB1994/000143 WO1994026390A1 (en) 1993-05-11 1994-05-11 Multilayered piezoelectric resonator for the separation of suspended particles

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JPH09503427A true JPH09503427A (ja) 1997-04-08

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ID=22200298

Family Applications (1)

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JP6525208A Ceased JPH09503427A (ja) 1993-07-02 1994-05-11 懸濁した粒子を分離するための多層圧電共振器

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005538830A (ja) * 2002-09-16 2005-12-22 イギリス国 流体中の粒子を誘導するための装置
JP2014531303A (ja) * 2011-08-30 2014-11-27 セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク 音響力場を用いて対象物をハンドリングするための装置
JP2015514516A (ja) * 2012-04-20 2015-05-21 フローデザイン ソニックス, インコーポレイテッド 脂質の赤血球からの音響泳動分離

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