JPH09298320A - 酸化物超電導コイル用永久電流スイッチおよびそれを用いたスイッチ装置並びにスイッチング方法 - Google Patents

酸化物超電導コイル用永久電流スイッチおよびそれを用いたスイッチ装置並びにスイッチング方法

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JPH09298320A
JPH09298320A JP8115006A JP11500696A JPH09298320A JP H09298320 A JPH09298320 A JP H09298320A JP 8115006 A JP8115006 A JP 8115006A JP 11500696 A JP11500696 A JP 11500696A JP H09298320 A JPH09298320 A JP H09298320A
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oxide superconducting
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oxide
coil
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JP8115006A
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Takashi Hase
隆司 長谷
Seiji Hayashi
征治 林
Kazuyuki Shibuya
和幸 渋谷
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超電導接続が容易であり、液体ヘリウムの蒸
発量を抑制した状態で確実なスイッチング動作を得るこ
とのできる酸化物超電導コイル用永久電流スイッチ及び
それを用いたスイッチ装置並びにスイッチング方法を提
供する。 【解決手段】 高周波コイルに通電を行わず、永久電流
スイッチの最外周部材であるFRP材19の細孔18か
ら液体ヘリウムを供給し、高周波コイル16とそのFR
P材19との空隙部17を液体ヘリウムで満たせば、酸
化物超電導線材が効率よく冷却され、永久電流スイッチ
がON動作する。一方、高周波コイル16に通電する
と、温度が上昇して上記空隙部内の液体ヘリウムが蒸発
してヘリウムガスとなり、その空隙部の熱伝導率が低下
するため、永久電流スイッチ外部へ伝導する熱量を抑制
することができるとともに、永久電流スイッチがOFF
動作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導線材
を用いた超電導マグネットを永久電流モードで動作させ
る場合に不可欠な酸化物超電導コイル用永久電流スイッ
チ及びそれを用いたスイッチ装置並びにスイッチング方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、従来の金属系超電導
体に比較して超電導遷移温度(以下Tcと記す)と上部
臨界磁場(以下Hc2 と記す)が高いという特長を有す
るため、様々な分野への応用が期待されている。酸化物
超電導体の中でもBi系酸化物超電導体は、Tcが80
K程度の低Tc相と110K程度の高Tc相が存在し、
共にHc2 は100Tを超えることが予想されている。
前者はBi,Sr,Ca,Cuのモル比が2:2:1:
2であるので、一般にBi−2212相と呼ばれてい
る。一方、後者はモル比が2:2:2:3(但し、Bi
の一部がPbにより置換されている)であるので、Bi
−2223相と呼ばれている。
【0003】これらの酸化物超電導体を用いて酸化物超
電導線材が作製されるが、これは一般に次の方法で作製
される。まず、Bi23 ・SrCO3 ・CaCO3
CuO等の原料粉末を秤量して粉砕混合し、熱処理を行
って仮焼する。次に、銀パイプや銀ビレット等にこれら
を充填し、伸線・圧延して線材形状に成形する。成形し
た線材を熱処理し、超電導体を結晶化させる。この作製
方法を用いることにより、臨界電流(以下Icと記す)
が高い、良好な超電導線材が得られる。
【0004】前述したように、酸化物超電導体のHc2
は金属系超電導体のそれを大きく凌駕している。液体窒
素の77.3Kにおいては、応用上の特性として重要な
酸化物超電導体の臨界電流密度(以下Jcと記す)は、
残念ながらまだ低い値に留まっている。しかし、金属系
超電導線材が冷却される液体ヘリウム温度の4.2Kに
おいては、金属系超電導体のHc2 を超える磁場領域で
も、酸化物超電導体のJcは実用レベルの値に達してい
る。この特性を利用することにより、従来の金属系超電
導マグネット(金属系超電導コイル、永久電流スイッチ
とそれらの冷却容器であるクライオスタットから主とし
て構成される)では発生することのできなかった強磁場
を発生させることが可能となる。
【0005】例えば、タンパク質等の高分子化合物の分
子構造を決定する際に大きな威力を発揮する高分解能N
MR(核磁気共鳴)分析装置においては、試料に印加す
る磁場が強いほど、得られる情報量が増大し、より詳細
に分子構造が決定される。このNMR分析装置では、磁
場の強度の他にその値が時間的に変動しないという高度
な磁場安定性が要求される。このため、NMR分析装置
に用いられる従来の金属系超電導マグネットは、高い磁
場安定性が得られる永久電流モードで運転されている。
酸化物超電導マグネットをNMR分析装置に応用する際
も、この永久電流モードで運転することが必要となる。
その際、電源から供給される電流により酸化物超電導コ
イルを励磁するドライブモードと永久電流モードとを切
り換える、永久電流スイッチを製作することが必須とな
る。
【0006】通常、金属系超電導マグネットの永久電流
スイッチ1は、図5(OFF状態を示す)および図6
(ON状態を示す)に示すような回路構成であり、超電
導コイル2や電源3と結線されている。この永久電流ス
イッチ1は、超電導コイル2と共にクライオスタット内
部(図1及び図2の破線枠内部)に配置されるようにな
っている。
【0007】図5において、電源3に電流を流し、永久
電流スイッチ1には電流を流さない状態(OFF状態)
では、酸化物超電導体を常電導状態に転移させ、永久電
流スイッチ1の電気抵抗を超電導コイル2の保護抵抗4
やその励減磁中の抵抗よりも充分に高く(通常数Ω程
度)しておく。これに対し、図6に示すように永久電流
モードで永久電流スイッチ1の方に電流を流す状態(O
N状態)では、酸化物超電導体を超電導状態に転移さ
せ、永久電流スイッチ1の電気抵抗をゼロにする。この
ように、永久電流スイッチ1は、対象とする超電導コイ
ル2と並列に超電導接続する必要がある。また、永久電
流スイッチの切り換え、すなわち常電導状態と超電導状
態の転移が完全に終了するまでは、電源電流を変化させ
る等の次の作業に移れない。しかもその間、冷媒である
液体ヘリウムは継続的に蒸発しているため、速いスイッ
チング速度が要求される。このような要求を満たすこと
のできる酸化物超電導コイル用永久電流スイッチの作製
は容易でなく、未だに学会発表すらなされていないのが
現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】超電導体を超電導状態
から常電導状態に転移させる方法としては、超電導体の
温度や磁場をそれぞれTcやHc2 より高くするという
方法が一般的であり、実際に金属系超電導マグネットの
永久電流スイッチの場合では、これらのうちのどちらか
の方法でスイッチングが行われている。この手法を酸化
物超電導コイル用永久電流スイッチにあてはめようとす
ると、酸化物超電導体のHc2 が一般には100T以上
にも及ぶため(現時点での最高性能の機種である750
MHzNMRマグネットでさえ、最高発生磁場は17.
6T)、磁場によりスイッチングを行うのは極めて難し
く現実的でない。一方、温度を変化させる方法の場合、
酸化物超電導体のTcは金属系超電導体のそれよりも極
めて高いため、4.2Kで使用する際の温度上昇幅は数
10Kに達し、金属系超電導体を使用する場合と比較し
て、制御しなければならない温度幅は10倍以上に及
ぶ。
【0009】また、従来の永久電流スイッチでは、図7
(a)及び(b)に示すように、超電導線材16とヒー
ター線17を平行して(図7(b)のA−A方向矢視図
参照)巻枠7上に巻線し、これらを外部の液体ヘリウム
と熱的に絶縁するために、全体をエポキシ樹脂6で真空
含浸し、外周カバー8で被覆する構成となっている。と
ころが、この構成では、ヒーターからの発熱の一部しか
超電導体の温度上昇に寄与しないことになる。従って、
このような構成の永久電流スイッチを酸化物超電導体の
永久電流スイッチに適用しようとすると、液体ヘリウム
の蒸発量が膨大となり、液体ヘリウム貯蔵量が減少した
場合の超電導コイル2自体の温度上昇が問題となってく
る。また、その超電導コイルの温度を4.2Kに保つた
めには、クライオスタット内部に液体ヘリウムを継続し
て供給しなければならず、経済的にも問題がある。
【0010】以上のような課題を解決するために、酸化
物超電導コイル用永久電流スイッチとして、次の様なも
のが提案されている。即ち、( 1) 熱的なスイッチとし
て、ヒーターの役割を有する高電気抵抗線材を酸化物超
電導線材に埋設し、ヒーターからの発熱を直接、酸化物
超電導線材の加熱に用いる方法(例えば特開平3 −1966
85号、特開平5 −235423号)、( 2) 比較的低い磁場で
も動作できる磁場スイッチとして、臨界電流密度Jcが
強い磁場依存性を示すように、液体窒素温度において酸
化物超電導体(バルク材)を用いる方法(例えば特開平
1 −217902号)等である。
【0011】しかしながら、これらの方法においてもな
お、以下の問題が生じる。まず、(1) の方法の場合、
酸化物超電導コイルを形成する酸化物超電導体の内部に
ヒーター線を埋め込もうとすると、酸化物超電導体の断
面積が減少するため、線材全体の臨界電流が低下してし
まう。また、臨界電流の低下を防ぐため、永久電流スイ
ッチ部分のみを線材形状ではなくバルク形状に変え、ヒ
ーター線埋め込みに便利な構造とすると、今度は超電導
コイルを形成する酸化物超電導線材との超電導接続が大
きな問題となる。さらに、これらに共通する問題とし
て、酸素雰囲気中において酸化物超電導体の熱処理温度
である900℃に耐え、且つ酸化物超電導体と化学反応
しない特殊なヒーター線材料の開発が強いられる。
【0012】次に、( 2) の方法では、永久電流スイッ
チ部分の形状がバルクであり、酸化物超電導線材と異な
るため、やはり超電導接続が大きな問題となる。また、
永久電流スイッチを液体窒素温度以上で動作させようと
すると、液体ヘリウム槽の外側にある液体窒素槽まで酸
化物超電導線材を配線するか、もしくは液体ヘリウム槽
の内側に新たに液体窒素槽を設ける必要がある。ところ
が、酸化物超電導線材は一般に曲げ歪みに弱いため、そ
のような複雑な配線は線材の特性劣化をもたらすだけで
なく、装置としても複雑且つ大型化してしまうことにな
る。
【0013】本発明は以上のような従来の永久電流スイ
ッチにおける課題を考慮してなされたものであり、超電
導接続が容易であり、液体ヘリウムの蒸発量を抑制した
状態で確実なスイッチング動作を得ることのできる酸化
物超電導コイル用永久電流スイッチ及びそれを用いたス
イッチ装置並びにスイッチング方法を提供するものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化物超電導コ
イル用永久電流スイッチは、酸化物超電導コイルと並列
接続される永久電流スイッチにおいて、該永久電流スイ
ッチが、酸化物超電導線材の周囲に高周波コイルを配設
してなることを要旨とするものである。
【0015】本発明の酸化物超電導コイル用永久電流ス
イッチのスイッチング方法は、酸化物超電導線材の周囲
に配した高周波コイルに高周波電流を通電または通電停
止することにより、常電導状態と超電導状態とを切り換
えることを要旨とする。
【0016】本発明の酸化物超電導コイル用永久電流ス
イッチ(以下永久電流スイッチと略称する)は、酸化物
超電導コイルを形成する超電導線材と同一の形状を有す
る酸化物超電導線材と、その周囲に配設された高周波コ
イルとを有し、その高周波コイルに高周波電流を印加し
酸化物超電導線材を加熱することによりOFF動作さ
せ、また、高周波電流の印加を停止することによりON
動作するように構成したものである。
【0017】本発明の永久電流スイッチの一具体例とし
ては、熱伝導率が低くしかも耐熱性の高いセラミックス
製巻枠の周囲に、スイッチOFF状態である90Kにお
ける比抵抗が6×10-9Ωm以上である銀基合金から成
る被覆材で被覆した酸化物超電導線材を無誘導巻に巻回
し、それを低損失軟磁性粒子を分散した熱不良導体で固
定し、さらにその周囲に高周波コイルをソレノイド状に
巻回したものが示される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施例に基づ
いて本発明を詳細に説明する。本発明は、永久電流スイ
ッチを構成する超電導線材として、酸化物超電導コイル
を形成する超電導線材と同一形状の線材を用い、既に開
発した技術(特願平7−231731号,特願平7 −231732
号)を用いることにより、線材同士の超電導接続を容易
に行なうようにしたものである。
【0019】酸化物超電導線材に高周波磁場を印加すれ
ば、酸化物超電導体はヒステリシス損失を発生する。さ
らに、シース材部分では渦電流損失が発生する。従っ
て、酸化物超電導線材をヒーターなどによって間接加熱
するのではなく、直接加熱で昇温することが可能にな
る。さらに、従来の永久電流スイッチではヒーターを含
めて被加熱物の熱容量が大きかったが、本発明ではヒー
ターを省くことができるため、熱容量を極力小さく抑え
ることが可能になる。これらのことから、本発明では、
加熱のための供給エネルギーを低い値に抑えながら、酸
化物超電導線材の温度を上昇させることが可能となる。
それにより、液体ヘリウムの蒸発量を抑制した状態での
スイッチング動作が可能となる。
【0020】永久電流スイッチにおいては、酸化物超電
導線材をセラミックス製の巻枠に巻線することによっ
て、酸化物超電導体から巻枠内部への熱伝導を小さく抑
えることができる。また、酸化物超電導線材のシース材
として、純AgにSn、NiおよびMg等の元素を微量
に添加したものを用いることで、酸化物超電導体と化学
反応せず、しかもOFF動作時に電気抵抗が大である酸
化物超電導線材が得られる。このように、シース材の電
気抵抗を増大させることにより、永久電流スイッチをO
FFした状態でのリーク電流を低減することができる。
【0021】また、高周波コイルで発生する高周波電磁
波が、高周波コイルを形成するリード線に印加される
と、シース材と同様に渦電流損失が発生する。この渦電
流損失は、印加される交流磁場のピーク値の2乗に比例
するために、リード線に印加されるピーク磁場値を低減
できれば、それに発生する渦電流損失を小さい値に抑制
することが可能となる。その方法として、酸化物超電導
線材の周囲に低損失軟磁性材料を配設すれば、発生交流
磁力線をその低損失軟磁性材料の方に導くことができ、
それにより、高周波コイルに印加される磁場値を低減し
て、高周波コイルの温度上昇を最小限にとどめることが
できる。
【0022】本発明の永久電流スイッチ装置に従えば、
高周波コイルに通電を行わない場合、永久電流スイッチ
の最外周部材であるFRP材に穿設した細孔から、高周
波コイルとそのFRP材との空隙部に液体ヘリウムが浸
入される。次に、高周波コイルに通電してOFF状態に
すると、温度が上昇し上記浸入した液体ヘリウムが蒸発
してヘリウムガスとなり、その空隙部の熱伝導率が低下
する。そのため、永久電流スイッチ外部へ伝導しようと
する熱量を抑制することができる。これとは逆に、ON
状態では、空隙部分が液体ヘリウムで満たされているた
め、効率よく酸化物超電導線材を冷却することができ
る。
【0023】
【実施例】実施例1 図1( a) は永久電流スイッチの断面構造を示し、図1
( b) は要部正面図である。同図において、純Agをシ
ース材とするBi−2212酸化物超電導体(91芯)
線材10を円筒状のAl23 製セラミックス巻枠11
胴部上に巻回し、ピン12に掛けて折り返すことにより
無誘導巻きしたものを、同一線材で形成される酸化物超
電導コイル13と結線し、酸素雰囲気中で熱処理して、
酸化物超電導線材10と酸化物超電導コイル13とをそ
れぞれ結晶化させると同時に、結線部分14を超電導接
続した。
【0024】その後、無誘導巻きした酸化物超電導線材
10に熱電対を取付け、エポキシ樹脂15で真空含浸し
た。さらに、エポキシ樹脂15の外側に高周波コイル1
6をソレノイド巻きした後、その外側に空隙部17を設
けて、細孔18が穿設されたFRP材19を配設し、永
久電流スイッチを作製した。また、酸化物超電導コイル
13のボア部分に発生磁場測定用のホール素子を取付け
た。これらを液体ヘリウムに浸漬した後、スイッチ動作
特性を評価した。なお、図中、符号20は電源を示して
いる。
【0025】まず、高周波コイル16に1.0MHzの
高周波電流を20分間通電し、その間に酸化物超電導コ
イル電源の電流値を30Aまで上昇させ、その後25分
間高周波通電を停止している間に、酸化物超電導コイル
用電源の電流値を0Aまで低下させ、その後再び30A
まで上昇させ、次に20分間高周波電流を通電するとい
うシーケンスを繰り返し行なった。
【0026】その最初の60分間の各測定結果を図2に
示す。同図において、高周波電流を通電する以前は、酸
化物超電導線材10の温度は4.2Kであるが、高周波
電流を通電開始して約2分(測定開始後12分)で90
Kに達し、常電導に転移してスイッチはOFF状態にな
った。
【0027】酸化物超電導コイル用電源の電流上昇と共
に、酸化物超電導コイル13によって発生する磁場の値
も上昇し、最高4000gauss に達した。その後、高周
波電流の通電停止後約2分(測定開始後32分)で、酸
化物超電導線材10の温度は4.2Kに復帰し、スイッ
チはON状態に転移した。酸化物超電導コイル用電源の
電流値が0AのON状態の時に、発生磁場値が4000
gauss で変化していないことから、永久電流スイッチに
超電導電流が流れていることが確認された。その後、再
び高周波電流を通電した時も、発生磁場は4000gaus
s を保持していることから、永久電流スイッチがスムー
ズにOFF状態に転移したことが確認された。この永久
電源スイッチのON/OFF切り換え操作を往復10回
連続して行なった結果、何ら支障のないことが確認され
た。なお、この実験とは別に、参考例として高周波電流
の通電を3時間連続して行なった時の液体ヘリウムの蒸
発量を測定したところ300cc/hr であった。
【0028】本実施例では、高周波の周波数として1.
0MHzを用いた。しかし、他の例として、0.1MH
z〜20MHzの周波数を有する高周波を用いても、本
実施例と同様の結果が得られることが確認された。
【0029】本実施例では、酸化物超電導コイル13を
構成する酸化物超電導線材のシース材として純Agを用
いたが、酸化物超電導コイル13を高磁場中で用いるた
めに、シース材を強化する目的でNi,Mn等の微量元
素を添加しても同様の効果が得られる。
【0030】実施例2 図1に示した永久電流スイッチの構造において、高周波
コイルを用いず、酸化物超電導線材10とヒーター線を
平行してセラミックス巻枠11上に巻線し、その後熱処
理してエポキシ樹脂15で真空含浸したものを比較例と
して作製した。この比較例の永久電流スイッチにヒータ
ー電流20Aを通電したところ、酸化物超電導線材10
の温度が90Kに達してOFF状態が得られたものの、
液体ヘリウムの蒸発が激しく生じてすべて気化してしま
い、酸化物超電導コイル13の温度が50Kに上昇し
た。そして12A以上の電源電流を通電させることが不
可能となった。その時の酸化物超電導コイル13の発生
磁場は最高400gauss であり、上述した実施例1の1
/10に留まった。
【0031】実施例3 図1に示した永久電流スイッチの構造において、酸化物
超電導線材10を酸化物超電導コイル13と結線した
後、酸素雰囲気中で熱処理を施した。その後、低損失軟
磁性材料であるスーパーマロイ粒子(粒径5μm)を分
散したエポキシ樹脂15aで真空含浸し、以後は実施例
1と同様にして、図3に示す断面構造を有する永久電流
スイッチを作製した。
【0032】この永久電流スイッチを用い、図2に示し
たシーケンス、すなわちON/OFF切り換え操作を往
復10回連続して行ないスイッチング特性を評価したと
ころ、実施例1と同様に、問題なく行なうことができ
た。この実験とは別に、参考例として高周波電流の通電
を3時間連続して行なった時の液体ヘリウムの蒸発量を
測定したところ100cc/hr であり、実施例1に比較し
て冷媒の蒸発量を1/3に低減することができた。
【0033】本実施例では、低損失軟磁性材料として、
周波数が1MHzでピーク磁場が0.1Tの時、損失が
2.8×106 W/m3 であるスーパーマロイ粒子を用
いたが、これに限らず、同一の条件で損失が1×107
W/m3 以下の材料(例えばパーマロイ粒子や、Co基
アモルファス合金リボン等)を用いても、同様の効果が
期待できる。
【0034】実施例4 図3に示した永久電流スイッチの構造において、純Ag
にSn、NiおよびMgを微量添加して各種シース材を
作製し、それを用いて作製した酸化物超電導線材10を
酸化物超電導コイル13と結線した後、酸素雰囲気中で
熱処理を施した。
【0035】以後は上述した実施例3と同様の手順に
て、図3に示される断面構造を有する永久電流スイッチ
を製作した。これらの永久電流スイッチを用い、図2の
シーケンスにて上記実施例1と同様に、ON/OFF切
り換え操作を往復10回連続してスイッチング特性を評
価したところ、すべての永久電流スイッチについて問題
なくスイッチング動作を行なうことができた。
【0036】例えば、Snを0.7at. %、Niおよび
Mgを各0.1at. %添加したシース材を用いた場合、
電源電流は図2のシーケンスと同様に120Aまで通電
したが、発生磁場は上述した実施例1よりも1000ga
uss 多い5000gauss に達した。これは、酸化物超電
導線材9のシース材として銀基合金を用いたため、熱処
理中に酸化物が生成し、電気抵抗値が上昇したため(O
FF時90Kにおける純Agの比抵抗値が3×10-9Ω
mであるのに対し、本シース材の比抵抗値は90Kにお
いて6×10-9Ωm)、スイッチOFF時にリーク電流
が流れなかったためである。
【0037】この実験とは別に、各種シース材を用いた
永久電流スイッチに、高周波電流の通電を3時間連続し
て行なった時の液体ヘリウムの蒸発量と、シース材の9
0Kにおける比抵抗との関係を図4に示す。同図から明
らかなように、90Kの比抵抗を6×10-9Ωm以上に
した場合、従来から主に用いられている純Agシースを
用いた場合(比抵抗3×10-9Ωm)に比較して、液体
ヘリウムの蒸発量を半分以下に低減させることが可能に
なっている。これは、シース部分の電気抵抗が増加し、
そこでの渦電流損失が低減できたためである。なお、本
実施例では、シース材として純AgにSn、Niおよび
Mgを微量添加したものを用いたが、酸化後のシース材
の比抵抗値が90Kで6×10-9Ωm以上であれば、銀
基合金としてCuやSbなど他の元素を添加してもよ
い。
【0038】
【発明の効果】以上に述べた如く、本発明によれば、良
好にスイッチング動作することができ、且つ液体ヘリウ
ムの蒸発量を抑制することができる、酸化物超電導線コ
イル用永久電流スイッチを提供することができる。従っ
て、本発明を適用すれば、酸化物超電導コイルを永久電
流モードで運転することができ、酸化物超電導コイルの
応用範囲が格段に広がり極めて有利となる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る永久電流スイッチの一実施例の構
成を示す説明図である。
【図2】実施例の動作特性を示す説明図である。
【図3】他の実施例に係る永久電流スイッチの構成を示
す説明図である。
【図4】図3に示す構成において冷媒蒸発量とシース材
の比抵抗との関係を示すグラフである。
【図5】従来の永久電流スイッチのOFF動作を説明す
る回路図である。
【図6】従来の永久電流スイッチのON動作を説明する
回路図である。
【図7】従来の金属系超電導コイル用永久電流スイッチ
の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 酸化物超電導線材 11 セラミックス巻枠 12 ピン 13 酸化物超電導コイル 14 結線部分 15 エポキシ樹脂 16 高周波コイル 17 空隙部 18 細孔 19 FRP材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導コイルと並列接続される永
    久電流スイッチにおいて、 該永久電流スイッチが、酸化物超電導線材の周囲に高周
    波コイルを配設してなることを特徴とする酸化物超電導
    コイル用永久電流スイッチ。
  2. 【請求項2】 前記酸化物超電導線材が、90Kにおけ
    る比抵抗が6×10 -9Ωm以上である銀基合金からなる
    被覆材で被覆されている請求項1記載の永久電流スイッ
    チ。
  3. 【請求項3】 前記酸化物超電導線材が巻枠上に巻回さ
    れたものであり、その上に低損失軟磁性材料が積層され
    ている請求項1または2に記載の永久電流スイッチ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の永久電流スイッチを、空
    隙部を設けて容器内に収容保持し、該空隙部内に冷媒を
    供給し得るように構成したことを特徴とする酸化物超電
    導コイル用永久電流スイッチ装置。
  5. 【請求項5】 酸化物超電導線材の周囲に配した高周波
    コイルに高周波電流を通電または通電停止することによ
    り、常電導状態と超電導状態とを切り換えることを特徴
    とする酸化物超電導コイル用永久電流スイッチのスイッ
    チング方法。
JP8115006A 1996-05-09 1996-05-09 酸化物超電導コイル用永久電流スイッチおよびそれを用いたスイッチ装置並びにスイッチング方法 Withdrawn JPH09298320A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002937A (ja) * 1999-04-09 2009-01-08 Cambridge Enterprise Ltd センサ素子
US8077001B2 (en) 2008-04-28 2011-12-13 Hitachi, Ltd. Superconducting magnet
US8922308B2 (en) 2011-10-31 2014-12-30 General Electric Company Systems and methods for alternatingly switching a persistent current switch between a first mode and a second mode

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