JPH09276677A - 無機酸化物粉体スラリーの製造方法 - Google Patents

無機酸化物粉体スラリーの製造方法

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JPH09276677A
JPH09276677A JP12106496A JP12106496A JPH09276677A JP H09276677 A JPH09276677 A JP H09276677A JP 12106496 A JP12106496 A JP 12106496A JP 12106496 A JP12106496 A JP 12106496A JP H09276677 A JPH09276677 A JP H09276677A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】二酸化チタン製造において、高温度の四塩化チ
タンガスと酸素ガスとを高圧下で気相反応させた場合
は、反応後の二酸化チタンを含有する懸濁ガス中には、
強毒性で強腐食性の副生塩素ガスが多量含まれており、
攪拌機を設けた密閉式のタンクに、このような二酸化チ
タン懸濁ガスを供給し、水と混合すると、該塩素ガスに
より攪拌機の回転軸シール部の材料が腐食されて塩素ガ
スが漏洩する問題がある。 【解決手段】内部が高圧力下に保持され、下部が円錐形
の円筒竪形タンク内の液を強制循環し、この循環液を利
用して二酸化チタン懸濁ガスを液状媒体と混合し、粉体
粒子をタンク内の液中に分散混合させる。 【効果】攪拌機を使用することなく、工業的且つ効率的
にスラリー化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧系の気相反応
で生成する無機酸化物粉体粒子を、密閉式タンク内で水
などの液状媒体に混合、分散させてスラリーとして回収
する方法に関し、特に、高圧下で四塩化チタンを気相酸
化して得られる酸化チタン粒子の製造法において、該酸
化チタン粒子を水に混合し、分散させてスラリーとして
回収すると共に、副生する塩素ガスを系外に排出するこ
となく有効に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、無機酸化物等の粉体粒子を水な
どの液状媒体に混合し分散させる場合、液体に粉体を供
給し、一定の接触時間を保ちながら強制混合する方法、
或いは液体の吸引作用により粉体を吸い込ませ、強制混
合する方法などがある。これらの方法は、一般的に常圧
系で適用される方法であり、生成する粉体のスラリー
(細かい固体粒子が液体の中に懸濁している流動性のあ
る泥状混合物をいう)は、比較的低濃度の場合が多い。
【0003】一方、これらを高圧系で操作する場合は、
攪拌機を取り付けた密閉式のタンクに液状媒体を入れて
おき、攪拌しながらタンク中に粉体を連続的に混合し、
分散させる方法もある。しかしながら、例えば二酸化チ
タン製造において、高温度の四塩化チタンガスと酸素ガ
スとを高圧下の気相で反応させる場合は、反応後の二酸
化チタン懸濁ガスには、強毒性で強腐食性の副生塩素ガ
スが多量含まれており、このような二酸化チタン懸濁ガ
スを密閉式のタンクに供給すると、該塩素ガスにより攪
拌機の回転軸シール部の材料が腐食されて塩素ガスが漏
洩する問題がある。このため、ガスの漏洩を防止し、長
期に渡り安定してスラリー化を行うことは、回転軸シー
ル部に使用する材質の選定、耐久性の保持の面などから
困難である。
【0004】密閉式タンクに液体を張り、粉体と液体を
ポンプで強制吸引混合する方法もあるが、スラリー濃度
が高くなると、粉体と液体との馴染みが悪くなり、粉体
の堆積が始まって、均一分散、混合が非常に困難とな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】通常、四塩化チタンを
高圧系で気相酸化して得られる酸化チタン粉体粒子に
は、副生する塩素ガスが多量に付着、含有されている
が、酸化チタン粉体粒子は固気分離装置で分離回収する
のが一般的である。この分離された粉体粒子は、塩素分
が完全には脱離しておらず、そのまま取り扱うことは困
難であり、一般的には水に懸濁させてスラリーとして取
り扱い、その後の処理をしている。
【0006】高圧系で気相酸化して得られる無機酸化物
粉体粒子は、通常、気相酸化装置に接続している降下管
を通過して、液体を張ったタンク内に連続的に雪が降る
如く落下させるか、またはホッパーのような一時的な滞
留場所を経由して、断続的に多量落下させるか、などの
方法で水と混合し、懸濁させてスラリーとする。前者の
場合、落下してきた粉体が連続的に液界面で接触して馴
染んでいかないと、スムースに分散、混合しなくなり、
最終的には粉体が界面上に層状となって“堆積”してく
る。また、後者の場合、水面に大量落下すると水との馴
染みが悪くなり、所謂“ダマ”(未分散の塊)が発生し
易くなり、均一なスラリーにするのが困難となる。
【0007】このような現象を防止するため、一般的に
は強制混合を行う目的で攪拌機が設置されるが、大気圧
下の操作で、且つ槽内の充満ガスが無害であるなら問題
ないが、高圧でしかも塩素ガスのような有毒ガスを取り
扱うような系では、使用する装置材料の選定およびガス
漏洩防止の対策等を十分に施す必要がある。
【0008】また、粉体粒子を液中に分散させる場合、
液状媒体を強制的に攪拌したり、系内に流動を起こして
やらないと均一に分散させることができない。特に、ス
ラリーの濃度や粘度が高くなるに従い、その分散能力は
低下し、多大な動力を消費する。特に、前記のように高
圧反応系で有毒ガス含有の粉体を液中に分散せしめる系
においては、攪拌機のような付帯設備を用いると、回転
軸シール部等からのガス漏洩などを完全に防止するのが
極めて困難である。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、高圧下の
密閉式タンク内で有毒ガス含有の無機酸化物粉体をスラ
リー化する方法について種々検討を重ねた結果、タンク
内の液をポンプで強制循環することとし、この循環液を
利用して粉体粒子をタンク内の液中に分散混合させるこ
とにより、回転軸シール部等からのガス漏洩を惹起し易
い攪拌機を使用することなく、密閉式タンク内で無機酸
化物粉体を効率的且つ工業的にスラリー化する方法を見
出したものである。すなわち、本発明は、高圧力下の気
相反応で生成する無機酸化物粉体粒子を、内部が高圧力
下に保持され、下部が円錐形の円筒竪形タンク内に、タ
ンク頂上部の供給口から導入し、該供給口とは別に設け
たタンク頂上部の少なくとも一つの循環液噴霧口からタ
ンク内の液状媒体を循環噴霧して該粉体粒子をスラリー
化することを特徴とする無機酸化物粉体スラリーの製造
方法である。
【0010】本発明においては、円筒竪形の密閉式タン
クの頂上部の無機酸化物粉体粒子の供給口から粉体を加
圧下に導入し、該供給口とは別に設けたタンク頂上部の
少なくとも一つの循環液噴霧口からタンク内の液状媒体
を加圧下で循環噴霧する。下部が円錐形である円筒竪形
のタンクを用いることにより、循環噴霧液と粉体との混
合をタンク内全域で均一に行うことができる。タンク内
の圧力は通常、2〜10kg/cm2 G(ゲージ圧)であ
る。タンク内の液状媒体をポンプで強制循環し、この循
環液をタンク頂上部より強制噴霧することにより、液面
上部のガス相で循環噴霧液と粉体を接触させて湿潤さ
せ、且つ、落下する循環噴霧液の作用で液界面を激しく
攪拌させることができる。したがって、本発明において
は、より速く且つ、スムースに粉体を循環噴霧液になじ
ませる効果をもたらし、効率よく粉体を循環液に分散さ
せて目的のスラリーとすることができる。
【00011】本発明において用いる無機酸化物粉体と
しては、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム等が
あげられる。この中でも高温度の四塩化チタンガスと酸
素ガスとを高圧下の気相で反応させて得られ、塩素ガス
などの有毒ガスに懸濁されている酸化チタンは、本発明
のスラリー化法を適用するのに最適のものである。な
お、酸化チタン粉体粒子は20〜180℃の温度に冷却
された後、液状媒体と混合するのが望ましい。
【00012】循環噴霧液の供給は、タンク頂上部や液
面上部付近等から行うことが考えられ、また、液面上部
付近から供給する場合は、タンクの接線方向に、或いは
タンク中心方向に導入する方法等が考えられる。本発明
においては、タンク頂上部に少なくとも一箇所設けた供
給口から導入するのが必須であり、必要に応じて液面上
部付近等から導入する方法も組み合わせることができ
る。循環噴霧液がタンク内の液面全体に拡がるように、
噴霧液の供給口を種々の形状に変えることができる。
【00013】本発明の液状媒体としては水が適当であ
り、工業用水、純水等を使用することができる。本発明
において、スラリー化操作の開始時にはタンク内に水を
張り、この水をポンプで強制循環し、この循環液をタン
ク頂上部より強制噴霧しながら無機酸化物粉体粒子供給
口から導入される粉体をスラリーとし、以後は得られた
スラリーを連続的に強制循環し、噴霧する。タンク内の
液状媒体の循環噴霧量は、タンクの断面積当たり30〜
60m3 /時・m2 とするのが望ましい。また、無機酸
化物粉体粒子供給口の断面積は、粉体と液状媒体との接
触度合いの関係から、タンクの断面積の1/20〜1/
30とするのが望ましい。スラリー化の連続的操作によ
って、スラリー濃度が徐々に高くなっていくが、適宜、
液状媒体を別の供給口から補充してスラリー濃度を20
0〜700g/lに維持しながら行う。
【00014】本発明においては、無機酸化物粉体が浮
遊降下している間に、タンク頂上部より循環液を強制噴
霧して該粉体粒子と接触させるので、粉体粒子が液界面
に落下する前に湿潤される。また、噴霧液が液面に落下
すると該液面が激しく攪拌され、液界面積が増大すると
同時に粉体粒子との接触も向上し、分散、混合が速やか
に進行する。
【00015】
【実施例】次に、本発明に係る実施例を図面に基づいて
説明する。 実施例1 図1に示した、内部がテフロン系樹脂でライニングされ
た円筒竪形タンクを使用した。無機酸化物粉体粒子供給
口(1)から連続的に酸化チタン粉末を導入し、ポンプ
(3)を用いてタンク(2)内の酸化チタンスラリーを
強制的に循環して循環液噴霧口(A)からタンク内の液
面に噴霧した。この噴霧により、酸化チタン粉末を湿潤
しながら混合してスラリーとし、且つタンク内の全域を
攪拌することができた。この間、スラリー濃度が36.
2重量%になるように水補給用パイプ(4)から水を供
給し、一方、タンクの液レベルを一定に保持する目的で
排出パイプ(5)からタンク内のスラリーを排出した。
タンク内のスラリーを1時間当たり43回循環噴霧する
条件で、スラリー濃度36.2重量%の状態に到達した
後も、連続的に導入した酸化チタン粉末を問題なくスラ
リー化できた。なお、タンク内の圧力は、4kg/cm2
G(ゲージ圧)であった。
【00016】次に、前記と同様にスラリー濃度が所定
値に到達した後、タンク内のスラリーを1時間当たり3
2回及び22回と循環噴霧回数を少なくしたが、それぞ
れ問題なく、良好なスラリーが得られた。
【00017】比較例1 実施例1において、スラリー濃度が36.2重量%の状
態に到達した後、循環液噴霧口(B)からタンク内の酸
化チタンスラリーをタンクの接線方向に1時間当たり4
3回の循環回数で導入した。その結果、途中の段階から
混合、分散不良の現象が認められ、液面に粉体が堆積す
る現象が発生し、これ以上のスラリー化操作が困難であ
った。そこで、酸化チタンスラリーの循環回数を1時間
当たり54回と増やして導入したところ、やはり混合、
分散不良のため、良好なスラリーは得られなかった。
【00018】比較例2 実施例1において、スラリー濃度が36.2重量%の状
態に到達した後、循環液噴霧口(C)からタンク内の酸
化チタンスラリーをタンクの中心方向に1時間当たり4
3回の循環回数で導入した。その結果、途中の段階から
混合、分散不良の現象が認められ、液面に粉体が堆積す
る現象が発生し、これ以上の操作が困難であった。次
に、酸化チタンスラリーの循環回数を1時間当たり54
回と増やして導入したところ、粉体の堆積現象の発生も
なく、良好なスラリーが得られた。
【00019】実施例2 実施例1において、スラリー濃度が41.2重量%の状
態に到達するように調節すること以外は同様に操作し
た。その結果、タンク内のスラリーを1時間当たり43
回及び32回循環噴霧したが、連続的に導入した酸化チ
タン粉末を問題なくスラリー化できた。
【00020】比較例3 実施例2において、スラリー濃度が41.2重量%の状
態に到達した後、循環液噴霧口(C)からタンク内の酸
化チタンスラリーをタンクの中心方向に1時間当たり4
3回の循環回数で導入した。その結果、途中の段階から
混合、分散不良の現象が認められ、液面に粉体が堆積す
る現象が発生し、これ以上の操作が困難であった。そこ
で、酸化チタンスラリーの循環回数を1時間当たり54
回と増やして導入したところ、やはり混合、分散不良の
ため、良好なスラリーは得られなかった。
【00021】
【発明の効果】本発明においては、高圧力下の気相反応
で生成する無機酸化物粉体粒子を、内部が高圧力下に保
持され、下部が円錐形の円筒竪形タンク内で液状媒体と
混合し、分散させることにより、攪拌機を使用すること
なく、工業的且つ効率的にスラリー化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で使用した下部が円錐形の円
筒竪形タンクの模式図を示す。
【図2】図1の平面図を示す。
【符号の説明】
1 無機酸化物粉体粒子供給口 2 円筒竪形タンク 3 ポンプ 4 水補給用パイプ 5 排出パイプ A 循環液噴霧口 B 循環液噴霧口 C 循環液噴霧口
フロントページの続き (72)発明者 市田 裕司 三重県四日市市石原町1番地 石原産業株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 清水 直 三重県四日市市石原町1番地 石原産業株 式会社四日市事業所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧力下の気相反応で生成する無機酸化
    物粉体粒子を、内部が高圧力下に保持され、下部が円錐
    形の円筒竪形タンク内に、タンク頂上部の供給口から導
    入し、該供給口とは別に設けたタンク頂上部の少なくと
    も一つの循環液噴霧口からタンク内の液状媒体を循環噴
    霧して該粉体粒子をスラリー化することを特徴とする無
    機酸化物粉体スラリーの製造方法。
  2. 【請求項2】 無機酸化物粉体粒子が、高圧力下で酸素
    ガスと四塩化チタンガスを気相で反応させて得られる二
    酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1記載の
    無機酸化物粉体スラリーの製造方法。
  3. 【請求項3】 液状媒体が水であることを特徴とする請
    求項1記載の無機酸化物粉体スラリーの製造方法。
  4. 【請求項4】 タンク内の液状媒体の循環噴霧量がタン
    クの断面積当たり30〜60m3 /時・m2 であること
    を特徴とする請求項1記載の無機酸化物粉体スラリーの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 無機酸化物粉体粒子供給口の断面積がタ
    ンクの断面積の1/20〜1/30であることを特徴と
    する請求項1記載の無機酸化物粉体スラリーの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 スラリー濃度が200〜700g/lで
    あることを特徴とする請求項1記載の無機酸化物粉体ス
    ラリーの製造方法。
  7. 【請求項7】 無機酸化物粉体粒子が塩素イオンを吸着
    していることを特徴とする請求項1記載の無機酸化物粉
    体スラリーの製造方法。
  8. 【請求項8】 円筒竪形タンク内の圧力が2〜10kg
    /cm2 G(ゲージ圧)であることを特徴とする請求項1
    記載の無機酸化物粉体スラリーの製造方法。
  9. 【請求項9】 無機酸化物粉体粒子の温度が20〜18
    0℃であることを特徴とする請求項1記載の無機酸化物
    粉体スラリーの製造方法。
  10. 【請求項10】 円筒竪形タンク内がテフロン系樹脂で
    ライニングされていることを特徴とする請求項1記載の
    無機酸化物粉体スラリーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100503524B1 (ko) * 1998-07-16 2005-10-24 삼성전자주식회사 반도체 장치 제조용 케미컬 혼합 용기 및 케미컬 혼합 공급장치
CN112958032A (zh) * 2021-02-22 2021-06-15 安徽英特力工业工程技术有限公司 一种无机化工颜料生产用多功效晶种水解槽

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