JPH0927286A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH0927286A
JPH0927286A JP17502695A JP17502695A JPH0927286A JP H0927286 A JPH0927286 A JP H0927286A JP 17502695 A JP17502695 A JP 17502695A JP 17502695 A JP17502695 A JP 17502695A JP H0927286 A JPH0927286 A JP H0927286A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示パネル構成部材の温度が均一化され、長
時間駆動後も画像の劣化や破壊のない軽量で薄型の画像
形成装置を提供する。 【解決手段】 電子源基板2と該電子源基板と対向して
配置されると共に電子の照射により画像が形成される画
像形成部材を搭載したフェースプレート1、前記電子源
基板と前記フェースプレート間の支持枠3からなる表示
パネル5を少なくとも有する画像形成装置において、少
なくとも前記フェースプレートが電子源基板上に形成し
た発熱配線8に通電し、発熱させるための電気供給部1
0を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子放出素子を用い
た画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、熱電子源
と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源
には、電界放出型(以下、FEと略す)、金属/絶縁層
/金属型(以下、MIMと略す)や表面伝導型電子放出
素子等がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an, “Field emission”, Advace in Electron Physici
s, 8 89 (1956)あるいはC.A.Spindt, “Physical Prope
rties of thin-film field emission cathodes with mo
lybdenium ”, J. Appl. Phys., 47 5248 (1976)等が知
られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mead, “The
tunnel-emission amplifier, J. Appl. Phys., 32 646
(1961)等が知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、M.
I.Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10 (1965) 等
がある。表面伝導型電子放出素素は基板上に形成された
小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等による
SnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Di
ttmer:“Thin Solis Films, 9 317 (1972)] 、In2
3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell andC.G.Fons
tad: “IEEE Trans. ED Conf.”,519 (1975)]、カーボ
ン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として、前述のM.ハートウェルの素子構成
を従来図17に示す。同図において61は、基板であ
る。64は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパ
ッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の通
電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部6
5が形成される。なお、図中の素子電極間隔Lは、0.
5〜1.0mm、Wは、0.1mmで設定されている。
なお、電子放出部65の位置及び形状については、不明
であるので模式図として表した。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜64を予め通
電フォーミングと呼ばれる通電処理をすることによって
電子放出部65を形成するのが一般的であった。すなわ
ち、通電フォーミングとは、前記導電性薄膜64の両端
に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例え
ば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破
壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態に
した電子放出部65を形成することである。なお電子放
出部65は導電性薄膜64の一部に亀裂が発生しその亀
裂付近から電子放出が行われる。前記通電フォーミング
処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述導電性薄膜
64に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより上述
の電子放出部65より電子を放出せしめるものである。
【0008】上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で
製造も容易であることから大面積にわたり多数素子を配
列形成できる利点がある。そこでこの特徴を生かせるよ
うないろいろな応用が研究されている。例えば、荷電ビ
ーム源、画像表示装置等の表示装置が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図18は従来の液晶プ
ロジエクタタイプの構成を示す断面図(特開平03−1
96782)である。同図において、5は表示パネルで
ある。21は外囲器背面上に設置される放熱フィン付き
のヒートシンク基板の放熱体である。
【0010】従来の平板型画像形成装置では駆動時に、
電子源基板配線の発熱及び、電子源より発せられた電子
が、フェースプレート上へ衝突することで生じる発熱に
より、発生する不均一温度分布が、画像形成装置の構成
部材に発生させる部分的な熱膨張により、平板型画像形
成装置が変形し、画質低下や、最悪の場合、周辺部に熱
応力が発生し、熱応力による構成部材の破壊に至ること
があり、画質と安全性の確保が困難であった。
【0011】また、前記の現象の対策として従来の表示
パネル背面に取り付けられる放熱体は放熱効率を向上さ
せるために、凹凸を多数設ける等、表面積を増やす工夫
がなされている。しかし、従来図18のような放熱体2
1だけでは表示パネルの大型化に伴い、放熱体21の重
量が非常に大きくなり、画像形成装置の運搬に支障をも
たらし、さらには設置場所や設置方法も限定してしま
う。
【0012】このように、壁に掛けられるような大型画
像形成装置を実現する上で、温度分布を均一化しパネル
の重量を軽減することが大きな課題であり、困難な問題
であった。
【0013】本発明は従来技術の前記の問題点を解決し
た新規の画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の目的は下記の手段
によって達成される。
【0015】すなわち、本発明は、電子放出素子及び該
電子放出素子に接続された配線を搭載した電子源基板
と、該電子源基板と対向して配置されると共に前記電子
放出素子から放出される電子の照射により画像が形成さ
れる画像形成部材を搭載したフェースプレートと、前記
電子源基板と前記フェースプレート間の支持枠とからな
る表示パネルを少なくとも有する画像形成装置におい
て、少なくとも前記フェースプレート上若しくは電子源
基板上に形成した発熱配線に通電し、発熱させるための
電気供給部を設けたことを特徴とする画像形成装置を提
供するものであり、前記フェースプレート及び電子源基
板上に複数の配線部材と該配線部材各々に複数の接続す
る電気供給部を有すること、前記フェースプレート上ま
たは前記画像形成部材上に温度センサーを有し、該温度
センサーより得られる温度情報に基づき、前記電気供給
部の電気供給量を制御すること、前記フェースプレート
上または前記画像形成部材上に温度センサーを有し、該
温度センサーにより得られる温度情報に基づき、前記画
像形成部材の周辺及び前記画像形成部材上に配置された
画像形成部材の空冷装置または、電気冷却素子と、供給
部の電気供給量を制御すること、前記発熱配線への通電
により部分的な熱分布の制御が可能なことを含む。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照してさ
らに詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の一実施態様を示す画像形成
装置の前面図であり、同図において1は、画像形成部材
(不図示)を搭載したフェースプレートであり、2は電
子放出素子群(不図示)を搭載した電子源基板である。
また、3はフェースプレート1と電子源基板2の間に設
置される支持枠であり、それぞれの部材はフリットガラ
ス4によって封着・固着され、表示パネル5を形成して
いる。表示パネル5の底辺、両側壁からは駆動用回路
(不図示)と接続されるグリッド電極6を取り出し、上
面から高圧端子7を取り出している。8はフェースプレ
ートまたは電子源基板上(不図示)に配置された発熱配
線であり、これに接続される配線9により、電気供給部
10から通電し、発熱配線8の金属抵抗による発熱によ
り、その熱をフェースプレートに選択的に供給する。発
熱配線8としては、Agペースト、Cu,Cr,Zn,
Pb,Fe,Sn等の金属合金が挙げられる。
【0018】発熱配線8は画像形成装置の駆動時に発生
する、フェースプレート1または電子源基板2上に高温
部以外に配置され、前記高温部以外のフェースプレート
1及び電子源基板2上の温度を、前記高温部と同等の温
度またはそれ以下の温度まで上昇させる能力をもってお
り、フェースプレート1及び電子源基板2内の温度分布
を、均一化することで、フェースプレート1及び電子源
基板2の熱応力、熱変形を低減することができる。な
お、電子源基板2背面に放熱板を設置した構造としても
よい。
【0019】図2は本発明の別の実施態様を示す画像形
成装置の前面図であり、電子源基板2背面上の高温部に
図2に示すように、放熱フィン21を設置した構造と、
組み合わせて用いることで、電子源基板2の高温部は、
放熱フィン21により冷却し、低温部に配置した前記発
熱配線8、配線9、電気供給部10で加熱することで、
フェースプレート1及び電子源基板2内の温度分布を、
より均一化するようにすることも可能である。
【0020】さらに図3〜5は本発明の別の実施態様を
示すもので、図3に示すように、フェースプレート1及
び電子源基板2上に、発熱配線8、配線9、電気供給部
10を複数配置し、電気供給部10の電力を発熱配線8
毎に、温度分布がより均一化されるように、発熱配線8
毎に加熱量を変化させることで、フェースプレート1及
び電子源基板2内の温度分布を、より均一化することも
できる。この手段の補助装置として、図4に示すよう
な、フェースプレート1及び電子源基板2の温度を測定
する、温度センサー41を配置し、前記温度センサー4
1より得られる温度情報により、発熱配線8毎の電気供
給部10の電力を随時コントロールする、制御装置42
と組み合わせてもよい。
【0021】さらに、能動的にフェースプレート1及び
電子源基板2の温度分布を均一化するために、図5に示
すように、放熱板の代わりに制御装置42にコントロー
ルされる、冷却装置51を組み合わせると、一層効果的
である。
【0022】さらに本発明で用いる冷陰極電子源は、単
純な構成であり、製法が容易な表面伝導型電子放出素子
が好適である。
【0023】本発明に用いることのできる表面伝導型放
出素子は基本的に平面型表面伝導型電子放出素子及び垂
直型表面電導型電子放出素子の2種類が挙げられる。
【0024】図6は基本的な表面伝導型電子放出素子の
構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【0025】図6において61は基板、62,63は素
子電極、64は導電性薄膜、65は電子放出部である。
【0026】基板61としては、石英ガラス、Na等の
不純物含有量を少ないガラス、青板ガラス、SiO2
表面に形成したガラス基板及びアルミナ等のセラミック
ス基板がを用いるられる。
【0027】素子電極62,63の材料としては、一般
的導電体が用いられ、例えばNi,Cr,Au,Mo,
W,Pt,Ti,Al,Cu,Pdなどの金属あるいは
合金及びPd,Ag,Au,RuO2 ,Pd−Ag等の
金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷
導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及びポリシ
リコン等の半導体材料等から適宜選択される。
【0028】素子電極間隔Lは好ましくは、数百オング
ストロームから数百マイクロメートルである。また、素
子電極間に印加する電圧等は低い方が好ましく、再現性
よく作成することが要求されるため好ましい素子電極間
隔は数マイクロメートルより数十マイクロメートルであ
る。
【0029】素子電極長さWは電極の抵抗値、電子放出
特性から数マイクロメートルより数百マイクロメートル
であり、また、素子電極62,63の膜厚は、数百オン
グストロームから数マイクロメートルが好ましい。
【0030】なお、図6に示した構成だけでなく、基板
61上に導電性薄膜64、素子電極62,63の電極を
順に形成させた構成にしてもよい。
【0031】導電性薄膜64は、良好な電子放出特性を
得るために微粒子で構成された微粒子膜が特に好まし
く、その膜厚は、素子電極62,63へのステップカバ
レージ、素子電極62,63間の抵抗値及び後述する通
電フォーミング条件等によって、適宜設定されるが、好
ましくは数オングストロームから数千オングストローム
で、特に好ましくは10オングストロームより500オ
ングストロームである。そのシート抵抗値は103 ない
し107 Ω/□である。
【0032】また、導電性薄膜64を構成する材料は、
Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,C
r,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、Pd
O,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の酸
化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,T
aC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,Hf
N等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等が挙
げられる。
【0033】なお、ここで述べる微粒子膜とは複数の微
粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子
が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに
隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
さしており、微粒子の粒径は数オングストロームから数
千オングストロームであり、好ましくは10オングスト
ロームより200オングストロームである。
【0034】電子放出部65は導電性薄膜64の一部に
形成された高抵抗の亀裂であり、通電フォーミング等に
より形成される。また亀裂内には数オングストロームか
ら数百オングストロームの粒径の導電性微粒子を有する
こともある。この導電性微粒子は導電性薄膜64を構成
する物質の少なくとも一部の元素を含んでいる。
【0035】また電子放出部65及びその近傍の導電性
薄膜64は炭素及び炭素化合物を有することもある。
【0036】図7は基本的な垂直型表面伝導型電子放出
素子の構成を示す模式的図面である。
【0037】図7において図6の同一の部材については
同一符号を付与してある。71は段差形成部である。
【0038】基板61、素子電極62と63、導電性薄
膜64、電子放出部65は前述した平面型表面伝導型電
子放出素子と同様の材料で構成することができ、段差形
成部71は絶縁性材料で構成され、段差形成部71の膜
厚が先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電
極間隔Lに相当する。その間隔は数百オングストローム
より数十マイクロメートルである。またその間隔は段差
形成部の製法及び素子電極間に印加する電圧により制御
することができるが、好ましくは数百オングストローム
より数マイクロメートルである。
【0039】導電性薄膜64は素子電極62,63と段
差形成部71作成後に形成するため、素子電極62,6
3の上に積層される。なお、図7において電子放出部5
は段差形成部71に直線状に形成されているように示さ
れているが、作成条件、通電フォーミング条件等に依存
し、形状、位置ともこれに限るものではない。
【0040】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法が考えられるがその一例を図8に示
す。
【0041】以下、図6及び図8に基づいて電子源基板
の作製方法について説明する。なお、図6と同一の部材
については同一の符号を付与してある。
【0042】1)基板を洗剤、純水及び有機溶剤により
十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電
極材料を堆積する。その後、フォトリソグラフィー技術
により該基板上に素子電極62,63を形成する(図8
(a))。
【0043】2)素子電極62,63を設けた基板61
に、有機金属溶液を塗布し放置することにより有機金属
薄膜を形成する。ここでいう有機金属溶液とは前述の導
電性膜4を形成する金属を主元素とする有機金属化合物
の溶液である。その後、有機金属薄膜を加熱焼成処理
し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、
導電性薄膜64を形成する(図8(b))。なお、ここ
では有機金属溶液の塗布法により説明したが、これに限
るものでなく真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等によ
って形成される場合もある。
【0044】3)続いて、通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を行う。通電フォーミングは素子電極62,6
3間に不図示の電源より通電を行い、導電性薄膜64を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造を変化さ
せて部位を形成させるものである。この局所的に構造変
化させた部位を電子放出部65と呼ぶ(図8(c))。
通電フォーミングの電圧波形の例を図9に示す。
【0045】電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図9a)とパルス波高値を増加させながら、電圧パル
スを印加する場合(図9b)とがある。まず、パルス波
高値の一定電圧とした場合(図9a)について説明す
る。
【0046】図9aにおけるT1及びT2は電圧波形の
パルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒〜1
0ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒とし、
三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は
表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択し、適
当な真空度、例えば10-5torr程度の真空雰囲気下
で、数秒から数十分印加する。なお、素子の電極間に印
加する波形は三角波に限定することはなく、矩形波等所
望の波形を用いてもよい。
【0047】図9bにおけるT1及びT2は図9aと同
様であり、三角波の波高値(通電フォーミング時のピー
ク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させ
て適当な真空雰囲気下で印加する。
【0048】なお、この場合の通電フォーミング処理は
パルス間隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変
形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で、素
子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば1Mオーム以上
の抵抗を示したときに通電フォーミング終了とする。
【0049】4)次に通電フォーミングが終了した素子
に活性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。
【0050】活性化工程とは、例えば10-4〜10-5
orr程度の真空度で、通電フォーミング同様、パルス
波高値が一定の電圧パルスを繰り返し印加する処理のこ
とであり、真空中に存在する有機物質に起因する炭素及
び炭素化合物を導電薄膜上に堆積させ素子電流If、放
出電流Ieを著しく変化させる処理である。活性化工程
は素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、例えば
放出電流Ieが飽和した時点で終了する。また印加する
電圧パルスは動作駆動電圧で行うことが好ましい。
【0051】なお、ここで炭素及び炭素化合物とはグラ
ファイト(単、多結晶双方を指す)、非晶質カーボン
(非晶質カーボン及び多結晶グラファイトとの混合物を
指す)であり、その膜厚は500オングストローム以下
が好ましく、より好ましくは300オングストローム以
下である。
【0052】5)こうして作成した電子放出素子を通電
フォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高
い真空度の雰囲気下において動作駆動させるのがよい。
また、さらに高い真空度の雰囲気下で80℃〜150℃
の加熱後動作駆動させることが望ましい。
【0053】なお、通電フォーミング工程、活性化処理
した真空度より高い真空度とは、例えば約10-6tor
r以上の真空度であり、より好ましくは超高真空系であ
り、新たに炭素及び炭素化合物が導電薄膜上に殆ど堆積
しない真空度である。こうすることによって素子電流I
f、放出電流Ieを安定化させることが可能になる。
【0054】図10は、図6で示した構成を有する素子
の電子放出特性を測定するための測定評価装置の一例を
示す概略構成図である。図10において図6と同様の符
号は、同一のものを示す。また、102は電子放出素子
に素子電圧Vfを印加するための電源、101は素子電
極62,63間の導電性薄膜64を流れる素子電流If
を測定するための電流計、104は素子の電子放出部よ
り放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電
極、103はアノード電極104に電圧を印加するため
の高圧電源、105は素子の電子放出部65より放出さ
れる放出電流Ieを測定するための電流計、106は真
空装置、107は排気ポンプである。
【0055】次に、本発明の画像形成装置について述べ
る。
【0056】画像形成装置に用いられる電子源基板は複
数の表面伝導型電子放出素子を基板上に配列することに
より形成される。
【0057】表面伝導型電子放出素子の配列の方式には
表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素子の
両端を配線で接続するはしご型配置(以下はしご型配置
電子源基板と呼ぶ)や、表面伝導型電子放出素子の一対
の素子電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続し
た単純マトリクス配置(以下マトリクス型配置電子源基
板と呼ぶ)が挙げられる。なお、はしご型配置電子源基
板を有する画像形成装置には電子放出素子からの電子の
飛翔を制御する電極である制御電極(グリッド電極)を
必要とする。
【0058】以下この原理に基づき構成した電子源の構
成について、図11を用いて説明する。2は電子源基
板、111はX方向配線、112はY方向配線、113
は表面伝導型電子放出素子、114は結線である。な
お、表面伝導型電子放出素子113は前述した平面型あ
るいは垂直型どちらであってもよい。
【0059】同図において、電子源基板2に用いる基板
は前述したガラス基板等であり、用途に応じて形状が適
宜設定される。
【0060】m本のX方向配線111は、Dx1,Dx
2,・・・・,Dxmからなり、Y方向配線112は、
Dy1,Dy2,・・・,Dynのn本の配線よりな
る。
【0061】また、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な
電圧が供給されるように材料、膜厚、配線幅が適宜設定
される。これらm本のX方向配線111とn本のY方向
配線112間には、不図示の層間絶縁層により電気的に
分離されてマトリック配線を構成する。(m,nは、共
に正の整数) 不図示の層間絶縁層は、X方向配線111を形成した基
板2の全面あるいは一部に所望の領域で形成される。X
方向配線111とY方向配線112は、それぞれ外部端
子として引き出される。
【0062】さらに、表面伝導型放出素子113の素子
電極(不図示)が、m本のX方向配線111とn本のY
方向配線112と、結線114によって電気的に接続さ
れている。
【0063】また、表面伝導型電子放出素子は基板ある
いは不図示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。
【0064】また詳しくは後述するが前記X方向配線1
11にはX方向に配列する表面伝導型放出素子113の
行を入力信号に応じて走査するための走査信号を印加す
るための不図示の走査信号発生手段と電気的に接続され
れている。
【0065】一方、Y方向配線112にはY方向に配列
する表面伝導型放出素子113の列の各列を入力信号に
応じて、変調するための変調信号を印加するための不図
示の変調信号発生手段を電気的に接続されている。
【0066】さらに表面伝導型電子放出素子に印加され
る駆動電圧は当該素子に印加される走査信号と変調信号
の差電圧として供給されるものである。
【0067】上記構成において、単純なマトリクス配線
だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0068】次に以上のようにして作成したマトリクス
型配置電子源基板を用いた画像形成装置について、図1
2、図13及び図14を用いて説明する。図12は画像
形成装置の基本構成図であり、図13は蛍光膜、図14
はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示をするための
駆動回路ブロック図を示し、その駆動回路を含む画像形
成装置を表わす。
【0069】図12において2は電子放出素子を基板上
に作成した電子源基板、125は電子源基板2を固定し
たリアプレート、1はガラス基板121の内面の蛍光膜
122とメタルバック123等により画像形成部材が形
成されたフェースプレート、3は支持枠、125はリア
プレートであり、これら部材によって外囲器124が構
成される。
【0070】図12において113は図6における電子
放出部に相当する。111,112は表面伝導型電子放
出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY
方向配線である。
【0071】外囲器124は、上述の如くフェースプレ
ート1、支持枠3、リアプレート125で構成したが、
リアプレート125は主に電子源基板2の強度を補強す
る目的で設けられるため、電子源基板2自体で十分な強
度もつ場合は別体のリアプレート125は不要であり、
電子源基板2に直接支持枠3を設け、フェースプレート
1、支持枠3、電子源基板2にて外囲器124を構成し
てもよい。
【0072】図13中11は蛍光体である。蛍光体11
はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラー
の蛍光膜の場合は蛍光体の配列によりブラックストライ
プあるいはブラックマトリクス等と呼ばれる黒色導電材
131と蛍光体11とで構成される。ブラックストライ
プ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表
示の場合に必要となる三原色蛍光体の各蛍光体11間の
塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくするこ
とと、蛍光膜122における外光反射によるコントラス
トの低下を抑制することである。ブラックストライプの
材料としては、通常よく用いられている黒鉛を主成分と
する材料だけなく、導電性があり、光の透過及び反射が
少ない材料であればこれに限るものではない。
【0073】ガラス基板121に蛍光体を塗布する方法
はモノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法が用
いられる。
【0074】また、蛍光膜122(図12)の内面側に
は通常メタルバック123(図12)が設けられる。メ
タルバックの目的は、蛍光体の発光成分のうち内面側へ
向かう光をフェースプレート1側へ鏡面反射することに
より輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加す
るための電極として作用すること、外囲器内で発生した
負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体の保護等で
ある。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側
表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後Al(アルミニウム)を真空蒸着法等で堆積
することにより作製できる。
【0075】フェースプレート1には、さらに蛍光膜1
22の導電性を高めるため蛍光膜122の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。
【0076】外囲器124は不図示の排気管を通じ、1
-7torr程度の真空度にされ、封止が行われる。ま
た、外囲器124の封止後の真空度を維持するためにゲ
ッター処理を行う場合もある。これは外囲器124の封
止を行う直前あるいは封止後の抵抗加熱、あるいは高周
波加熱等の加熱法により、外囲器124内の所定の位置
(不図示)に予め配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜
を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分
であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5
torr乃至は1×10-7torrの真空度を維持する
ものである。なお、表面伝導型電子放出素子のフォーミ
ング以降の工程は適宜設定される。
【0077】次にマトリクス型配置電子源基板を用いて
構成した画像形成装置を、NTSC方式のテレビ信号に
基づきテレビジョン表示を行うための駆動回路の概略構
成を図14のブロック図を用いて説明する。141は前
記表示パネルであり、また142は走査回路、143は
制御回路、144はシフトレジスタ、145はラインメ
モリ、146は同期信号分離回路、147は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0078】以下、各部の機能を説明するがまず表示パ
ネル141は端子Dox1ないしDoxm及び端子Do
y1ないしDoyn及び高圧端子Hvを介して外部の電
気回路と接続している。このうち端子DoxないしDo
xmには前記画像形成装置内に設けられている電子源、
すなわちM行N列の行列状にマトリクス配線された表面
伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動し
てゆくための走査信号が印加される。
【0079】一方、端子Dy1ないしDynには前記走
査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子
の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信号が
印加される。また高圧端子Hvには直流電圧源Vaよ
り、例えば10[kV]の直流電圧が供給されるが、こ
れは表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビーム
に蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与するた
めの加速電圧である。
【0080】次に走査回路142について説明する。同
回路は内部にM個のスイッチング素子を備えるもので
(図中、S1ないしSmで模式的に示している)、各ス
イッチング素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル141の端子Dx1ないしDxmと電気的に接
続するものである。S1ないしSmの各スイッチング素
子は制御回路143が出力する制御信号Tscanに基
づいて動作するものだが実際には例えばFETのような
スイッチング素子を組み合わせることにより構成するこ
とが可能である。
【0081】なお、前記直流電圧電源Vxは前記表面伝
導型放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき
走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出
しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう
に設定されている。
【0082】また制御回路143は、外部より入力する
画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の
動作を整合させる働きをもつものである。次に説明する
同期信号分離回路146より送られる同期信号Tsyn
cに基づいて各部に対してTscan,Tsft及びT
mryの各制御信号を発生する。
【0083】同期信号分離回路146は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で周波数分離(フィ
ルター)回路を用いて構成できるものである。同期信号
分離回路146により分離された同期信号は、よく知ら
れるように垂直同期信号と水平同期信号よりなるが、こ
こでは説明の便宜上、Tsync信号として図示した。
一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成
分は便宜上、DATA信号と表すが、同信号はシフトレ
ジスタ144に入力される。
【0084】シフトレジスタ144は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路143より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジ
スタ144のシフトクロックであると言い換えてもよ
い。)。
【0085】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当する)
のデータは、Id1ないしIdnのN個の並列信号とし
て前記シフトレジスタ144より出力される。
【0086】ラインメモリ145は画像1ライン分のデ
ータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路143より送られる制御信号Tmryにし
たがって、適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。
記憶された内容はId1ないしIdnとして出力され、
変調信号発生器147に入力される。
【0087】変調信号発生器147は、前記画像データ
Id1ないしIdnの各々に応じて表面伝導型電子放出
素子の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その
出力信号は、端子Doy1ないしDoynを通じて表示
パネル141内の表面伝導型電子放出素子に印加され
る。
【0088】本発明に関わる電子放出素子は放出電流I
eに対して以下の基本特性を有している。すなわち、電
子放出には明確な閾値電圧Vthがり、Vth以上の電
圧を印加されたときのみ電子放出が生じる。
【0089】また電子放出閾値以上の電圧に対しては、
素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化してゆ
く。なお、電子放出素子の材料や構成、製造方法を変え
ることにより電子放出閾値電圧Vthの値や印加電圧に
対する放出電流の変化の度合いが変わる場合もあるが、
いずれにしても以下のようなことが言える。
【0090】すなわち、本素子にパネル状の電圧を印加
する場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても
電子放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加
する場合には電子ビームが出力される。その際、第一に
はパルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子
ビームの強度を制御することが可能である。第二には、
パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子
ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0091】したがって、入力信号に応じて、電子放出
素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅
変調方式等が挙げられる。電圧変調方式を実施するには
変調信号発生器147としては一定長さの電圧パルスを
発生するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。
【0092】また、パルス幅変調方式を実施するには変
調信号発生器147としては、一定の波高値の電圧パル
スを発生するが入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用い
るものである。
【0093】以上に説明した一連の動作により本発明の
画造形形成装置は表示パネル141を用いてテレビジョ
ンの表示を行える。なお、上記説明中特に記載になかっ
たがシフトレレジスト144やラインメモリ145はデ
ジタル信号式のものでもアナログ信号式のもでも差し支
えなく、要は画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶
が所定の速度で行われればよい。
【0094】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路146の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには146の出力部にA/D変
換器を備えれば可能である。また、これと関連してライ
ンメモリ145の出力信号がデジタル信号かアナログ信
号かにより、変調信号発生器147に用いられる回路が
若干異なったものとなる。
【0095】まずデジタル信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器147には、例
えばよく知られるD/A変換回路を用い、必要に応じて
増幅回路等を付け加えればよい。
【0096】また、パルス幅変調方式の場合、変調信号
発生器147には、例えば高速の発振器及び発振器の出
力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の
出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパ
レータ)を組み合わせた回路を用いることにより構成で
きる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調さ
れた変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にま
で電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0097】次にアナログ信号場合について述べる。電
圧変調方式においては変調信号発生器147には、例え
ばよく知られるオペアンプ等を用いた増幅回路を用いれ
ばよく、必要に応じてレベルシフト回路等を付け加えて
もよい。またパルス幅変調方式の場合には、例えばよく
知られた電圧制御発振回路(VCO)を用ればよく、必
要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電
圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0098】以上のように完成した画像表示装置におい
て、各電子放出素子に、容器外端子Dox1ないしDo
xm、Doy1ないしDoynを通じ、電圧を印加する
ことにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタ
ルバック123、あるいは透明電極(不図示)に高圧を
印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜122に衝突さ
せ、励起・発光させることで画像を表示することができ
る。
【0099】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう
適宜選択する。また、入力信号として、NTSC方式を
挙げたが、これに限られるものではなく、PAL,SE
CAM方式等の諸方式でもよく、また、これよりも、多
数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式を
はじめとする高品位TV)方式でもよい。
【0100】次に、前述のはしご型配置電子源基板及び
それを用いた画像形成装置について、図15、図16を
用いて説明する。
【0101】図15において、151は電子源基板、1
52は電子放出素子、153のDx1〜Dx10は、前
記電子放出素子に接続する共通配線である。電子放出素
子152は、基板151上に、X方向に並列に複数個配
されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行を複数
個基板上に配置し、はしご型電子源基板となる。各素子
行の共通配線間に適宜駆動電圧を印加することで、各素
子行を独立に駆動することが可能になる。すなわち、電
子ビームを放出させる素子行には、電子放出閾値以上の
電圧を電子ビームを放出させない素子行には、電子放出
閾値以下の電圧を印加すればよい。また、各素子行間の
共通配線Dx2〜Dx9を、例えばDx2,Dx3を同
一配線とするようにしてもよい。
【0102】図16は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置の構造を示すための図である。164はグ
リッド電極、161は電子が通過するための空孔、16
2はDox1,Dox2,・・・,Doxmよりなる容
器外端子で、163はグリッド電極164と接続された
G1,G2,・・・Gnからなる容器外端子、151は
前述のように各素子行間の共通配線を同一配線とした電
子源基板である。なお、図12、611と同一符号は同
一の部材を示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成
装置(図12)との違いは、電子源基板151とフェー
スプレート1の間に、グリッド電極164を備えている
ことである。
【0103】基板151とフェースプレート1の中間に
は、グリッド電極164が設けられている。グリッド電
極164は、表面伝導型放出素子から放出された電子ビ
ームを変調することができるもので、はしご型配置の素
子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子ビ
ームを通過させるため、各素子に対応して1個づつ円形
の空孔161が設けられている。グリッドの形状や設置
位置は必ずしも図16のようなものでなくともよく、開
口としてメッシュ状に多数の通過口を設けることもあ
り、また例えば表面伝導型放出素子の周囲や近傍に設け
てもよい。
【0104】容器外端子162及びグリッド容器外端子
163は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0105】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加することのよ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。
【0106】また、本発明によればテレビジョン放送の
表示装置のみならず、テレビ会議システム、コンピュー
タ等の表示装置に適した画像形成装置を提供することが
できる。さらには、感光性ドラム等で構成された光プリ
ンターとしての画像形成装置としても用いることができ
る。
【0107】また電子放出素子として表面伝導型電子放
出素子ばかりでなく、MIM型電子放出素子、電界放出
型電子放出素子等の冷陰極電子源にも適用可能である。
さらには熱電子源による画像形成装置にも適用すること
ができる。
【0108】
【実施例】
[実施例1]前述のようにして得られた表面伝導型電子
放出素子を有するマトリクス型配置電子源基板(図1)
を用い、表示パネル及び画像形成装置を製作した。
【0109】図1は実施例で制作した画像形成装置の構
成を示す図である。同図において1は画像形成部材(不
図示)を搭載したフェースプレートであり、2は電子放
出素子群(不図示)を搭載した電子源基板である。ま
た、3はフェースプレート1の電子源基板2の間に設置
される支持枠であり、フェースプレート1、電子源基板
2及び支持枠3は青板ガラスを切削加工して製作した。
発熱配線8は本実施例ではAgペーストである。溶融し
たAgペーストを、ディスペンサーまたは印刷ローラー
でフェースプレート1、電子源基板2の上に載せ、焼成
し固着させた後に、発熱配線8に接続される配線9を取
り付けた。
【0110】フリットガラス4によって封着・固定さ
れ、表示パネル5を形成している。表示パネル5の底
辺、両側壁からは駆動用回路(不図示)と接続されるグ
リッド電極6を取り出し、上面からは高圧端子7を取り
出している。8はフェースプレートまたは電子源基板上
に配置(不図示)された発熱配線であり、これに接続さ
れる配線9により、電気供給部10から通電し、発熱配
線8の金属抵抗による発熱により、その熱をフェースプ
レートに選択的に供給する。
【0111】発熱配線8は、画像形成装置の駆動時に発
生する、フェースプレート1及び電子源基板2の高温部
以外に配置され、前記高温部以外のフェースプレート1
及び電源基板2上の温度を、前記高温部と同等の温度ま
たは、それ以下の温度まで上昇させる性能をもってお
り、フェースプレート1及び電子源基板2内の温度分布
を、より均一化することで、フェースプレート1及び電
子源基板2の熱応力・熱変形を低減することができた。
【0112】以下にフェースプレート1、支持枠3、そ
して電子源基板2からなる製作方法を簡単に示す。詳細
は実施態様に示してある。まず、予め前述の方法により
画像形成部材を搭載した前記フェースプレート1にフリ
ットガラス4をディスペンサーで塗布し、前記支持枠3
を所望の位置に合わせた後に仮焼成、本焼成を行った。
次に、前記電子源基板2に、ディスペンサーでフリット
ガラス4を塗布し、さきに製作した支持枠3とフェース
プレート1について、所定の位置合わせを行い、仮焼
成、本焼成を実施して表示パネルを製作した。
【0113】組立工程終了後、上記工程で製作パネル内
を真空状態にするために、排気管(不図示)を介して、
表示パネル内を10-7torrまで真空排気し、排気管
の封止を行った。表示パネルと駆動用回路基板(不図
示)を固定し、最後に、グリッド電極6を駆動用回路基
板(不図示)上のそれぞれ対応する駆動回路と接続し
た。
【0114】このようにして得られた画像形成装置を駆
動回路から電気信号を送って駆動し、画像を表示させた
ところ、電子源基板2の中央部の温度が上昇した。更に
発熱配線8に電気供給部10より通電させ、発熱配線8
に発熱させたところ、電子源基板2の周辺部温度が上昇
した。即ち、本例では部分的な熱分布の制御が可能とな
った。その結果表示パネル構成部材の温度が均一化し、
温度制御装置としての機能が確認できた。そして、長時
間駆動後も画像の劣化や破壊は起こらなかった。
【0115】また、従来例で示した放熱板を使用した場
合に比べ、大幅な軽量化が達成された。
【0116】[実施例2]前述のようにして得られた表
面伝導型電子放出素子を有するはしご型配置電子源基板
(図1)を用い、画像形成装置を作製した。
【0117】図1は実施例で製作した画像形成装置の構
成を示す図である。同図において1は画像形成部材(不
図示)を搭載したフェースプレートであり、2は電子放
出素子群(不図示)を搭載した電子源基板である。ま
た、3はフェースプレート1と電子源基板2の間に設置
される支持枠であり、フェースプレート1、電子源基板
2及び支持枠3は青板ガラスを切削加工して製作した。
発熱配線8は本実施例でAgペーストである。溶融した
Agペーストを、ディスペンサーまたは印刷ローラーで
フェースプレート1、電子源基板2の上に載せ、焼成し
固着させた後に、発熱配線8に接続される配線9を取り
付ける。
【0118】フリットガラス4によって封着・固定さ
れ、表示パネル5を形成している。表示パネル5の底
辺、両側壁からは駆動用回路(不図示)と接続されるグ
リッド電極6を取り出し、上面からは高圧端子7を取り
出している。8はフェースプレートまたは電子源基板上
に配置(不図示)された発熱配線であり、これに接続さ
れる配線9により、電気供給部10から通電し、発熱配
線8の金属抵抗による発熱により熱源となり、その熱を
フェースプレートに選択的に供給する。
【0119】発熱配線8は、画像形成装置の駆動時に発
生する、フェースプレート1及び電子源基板2の高温部
以外に配置され、前記高温部以外のフェースプレート1
及び電源基板2上の温度を、前記高温部と同等の温度ま
たは、それ以下の温度まで上昇させる性能をもってお
り、フェースプレート1及び電子源基板2内の温度分布
を、より均一化することで、フェースプレート1及び電
子源基板2の熱応力・熱変形を低減することができた。
【0120】以下にフェースプレート1、支持枠3、そ
して電子源基板2からなる製作方法を簡単に示す。詳細
は実施態様に示してある。まず、予め前述の方法により
画像形成部材を搭載した前記フェースプレート1にフリ
ットガラス4をディスペンサーで塗布し、前記支持枠3
を所望の位置に合わせた後に仮焼成、本焼成を行った。
次に、前記電源基板2に、ディスペンサーでフリットガ
ラス4を塗布し、さきに製作した支持枠3とフェースプ
レート1について、所定の位置合わせを行い、仮焼成、
本焼成を実施して表示パネルを製作した。
【0121】組立工程終了後、上記工程で試作パネル内
を真空状態にするために、排気管(不図示)を介して、
表示パネル内を10-7torrまで真空排気し、排気管
の封止を行った。表示パネルと駆動用回路基板(不図
示)を固定し、最後に、グリッド電極6を駆動用回路基
板(不図示)上のそれぞれ対応する駆動回路と接続し
た。
【0122】このようにして得られた画像形成装置を駆
動回路から電気信号を送って駆動し、画像を表示させた
ところ、電子源基板2の中央部温度が上昇した。更に発
熱配線8に電源供給部10より通電させ発熱配線8に発
熱させたところ、電子源基板2の周辺部温度が上昇し
た。その結果表示パネル構成部材の温度が均一化し、温
度制御装置としての機能が確認できた。そして、長時間
駆動後も画像の劣化や破壊は起こらなかった。また、従
来例で示した放熱板を使用した場合に比べ、大幅な軽量
化が達成された。
【0123】
【発明の効果】以上の説明からか明らかなように、本発
明によって放熱効果を減少することなく、軽量で薄型の
画像形成装置を提供することが可能となった。これによ
り、設置場所、設置方法に拘束されない多用途な画像形
成装置を製作できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施態様を示す斜視
図である。
【図2】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す斜視
図である。
【図3】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す斜視
図である。
【図4】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す斜視
図である。
【図5】本発明の画像形成装置のさらに他の実施例を示
す斜視図である。
【図6】本発明に使用される基本的な表面伝導型電子放
出素子の構成を示す模式図である。
【図7】本発明に使用される基本的な垂直表面伝導型電
子放出素子の構成を示す模式図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明に使用される表面
伝導型電子放出素子の製造方法の一例を示す工程図であ
る。
【図9】通電フォーミングの電圧波形の一例を示す図で
ある。
【図10】電子放出特性を測定するための測定評価装置
の概略構成図である。
【図11】単純マトリクス配置の電子源の構成図であ
る。
【図12】本発明の画像形成装置の概略構成図である。
【図13】図13(a),(b)はそれぞれ蛍光膜の構
成を示す側面断面図及び上面図である。
【図14】NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
うための駆動回路のブロック図である。
【図15】はしご配置の電子源の構成図である。
【図16】本発明の他の例を示す画像形成装置の概略構
成図である。
【図17】従来の表面伝導型電子放出素子の上面図であ
る。
【図18】従来の平面型画像形成装置の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 フェースプレート 2 電子源基板 3 支持枠 4 フリットガラス 5 表示パネル 6 グリッド電極 7 高圧端子 8 発熱配線 9 配線 10 電気供給部 11 蛍光体 21 放熱フィン 41 温度センサー 42 制御装置 51 冷却装置 61 基板 62,63 素子電極 64 導電性薄膜 65 電子放出部 71 段差形成部 101 素子電極62・63間の導電性薄膜64を流
れる素子電流Ifを測定するための電流計 102 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するため
の電源 103 アノード電極104に電圧を印加するための
高圧電源 104 素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極 105 素子の電子放出部65より放出される放出電
流Ieを測定するための電流計 106 真空装置 107 排気ポンプ 111 X方向配線 112 Y方向配線 113 表面伝導型電子放出素子 114 結線 121 ガラス基板 122 蛍光膜 123 メタルバック 124 外囲器 125 リアプレート 131 黒色導電材 141 表示パネル 142 走査回路 143 制御回路 144 シフトレジスタ 145 ラインメモリ 146 同期信号分離回路 147 変調信号発生器、Vx及びVa:直流電圧源 151 電子源基板 152 電子放出素子 153 Dx1〜Dx10は前記電子放出素子を配線
するための共通配線 161 電子が通過するための空孔 162 Dox1,Dox2・・・・Doxmよりな
る容器外端子 163 グリッド電極6と接続されたG1,G2,・
・・,Gnからなる容器外端子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子及び該電子放出素子に接続
    された配線を搭載した電子源基板と、該電子源基板と対
    向して配置されると共に前記電子放出素子から放出され
    る電子の照射により画像が形成される画像形成部材を搭
    載したフェースプレートと、該フェースプレートと前記
    電子源基板との間の支持枠とからなる表示パネルを少な
    くとも有する画像形成装置において、少なくとも前記フ
    ェースプレート上若しくは前記電子源基板上に形成した
    発熱配線に通電し、発熱させるための電気供給部を設け
    たことを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記フェースプレート及び前記電子源基
    板上に複数の発熱配線部材と該配線部材各々に複数の接
    続する電気供給部を有する請求項1に記載の画像形成装
    置。
  3. 【請求項3】 前記フェスプレート上または前記電子源
    基板上にに温度センサーを有し、該温度センサーより得
    られる温度情報に基づき、前記電気供給部の電気供給量
    を制御するようにしてなる請求項1または2に記載の画
    像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記フェイスプレート上または前記電子
    源基板上に温度センサーを有し、該温度センサーにより
    得られる温度情報に基づき、前記フェイスプレート上ま
    たは前記電子源基板上に配置された画像形成部材の空冷
    装置または、電気冷却素子と、供給部の電気供給量を制
    御するようにした請求項1乃至3のうちいずれか1項に
    記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記発熱配線への通電により部分的な熱
    分布の制御が可能な請求項1に記載の画像形成装置。
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JP2008108726A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Samsung Sdi Co Ltd 発光装置及び表示装置

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