JPH09258804A - 操業条件ガイダンス装置 - Google Patents

操業条件ガイダンス装置

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Publication number
JPH09258804A
JPH09258804A JP6458396A JP6458396A JPH09258804A JP H09258804 A JPH09258804 A JP H09258804A JP 6458396 A JP6458396 A JP 6458396A JP 6458396 A JP6458396 A JP 6458396A JP H09258804 A JPH09258804 A JP H09258804A
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JP
Japan
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operating condition
condition
operating
range
guidance
Prior art date
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Application number
JP6458396A
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English (en)
Inventor
博司 ▲楢▼崎
Hiroshi Narasaki
Toshiharu Iwatani
敏治 岩谷
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最適操業条件の発見,見直しに要するコスト
を低減でき,環境条件の変動のもとでも安定して良好な
操業が実現できる操業条件ガイダンス装置。 【解決手段】 本装置Aは,データベース1に蓄積さ
れ,プロセス運転における運転条件と環境条件との組合
せである操業条件と,この操業条件下での操業状態の実
データとよりなる操業事例を用いて,ニューラルネット
ワークをトレーニングする学習部4と,トレーニング後
のニューラルネットワークの保持データを分析すること
により,所望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を
抽出する標準条件抽出部4aと,操業条件の範囲が1つ
だけ存在するときはそのまま,複数存在するときはさら
にその中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度にもと
づいて1つを選択した上で,その1つの操業条件の範囲
をガイダンスする標準条件抽出部4b及び標準条件ガイ
ダンス部5などを具備してなる。上記構成により,最適
操業条件の発見,見直しに要するコストが低減でき,環
境条件の変動のもとでも,安定して良好な操業が実現で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,操業条件ガイダン
ス装置に係り,例えば圧延などのプロセスの運転におい
て,圧延機運転条件,およびロールやクーラント成分な
どの環境条件といった操業条件の決定および設定におい
て利用される操業条件ガイダンス装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】生産プロセスを高い効率で操業するため
には,優れた設備と優れた操業ノウハウの双方が必要で
ある。この内,操業ノウハウは,生産に従事するオペレ
ータやエンジニアが経験的に蓄積していくものである
が,近年のハードウエア,ソフトウエア両面におけるコ
ンピュータ技術の進歩を背景に, 1.ノウハウの蓄積を支援するシステム 2.ノウハウの保存を支援するシステム の開発が試みられている。ノウハウの保存を支援するシ
ステムは,「知識ベースシステム」あるいは「エキスパ
ートシステム」と呼ばれるシステムである。このシステ
ムは,熟練者へのヒアリングや事例分析を通じてノウハ
ウをコンピュータ内に蓄積していこうとするものであ
り,これまでに様々な分野で数多くのシステムが開発,
実用化されている。これよりもニーズは強いものの開発
が困難であるのが,ノウハウの蓄積を支援するシステム
である。このシステムは,一般に「知識獲得支援システ
ム」あるいは「機械学習システム」と呼ばれ,事例を分
析して,その背後にある原理なり法則を発見する過程
を,コンピュータ上で実現しようとするものである。従
来は,主としてノウハウの保存を支援するシステムによ
り,操業条件ガイダンスを行っていた。具体的には,熟
練者に対して最適な操業条件をヒアリングし,標準操業
条件を決定する。そして,この標準操業条件をマニュア
ル化し,それをオペレータに表示していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
操業条件ガイダンス方法では,熟練者の知識の整理,検
証に多大な時間とコストがかかる上に,実用化およびメ
ンテナンスにもコストがかかる。また,標準操業条件の
前提となる環境の状態と現在の環境の状態との間に差が
ある場合,その差異を考慮して操業条件縮小方法をガイ
ダンスするような機能がないため,実運用において柔軟
性に欠ける。一方,ノウハウの蓄積を支援するシステム
として,特開平7−29006号公報に紹介されたニュ
ーラルネットワークの保持データ分析方法を利用するこ
とが考えられる。本発明は,上記事情に鑑みてなされた
ものであり,その目的とするところは,ノウハウの蓄積
を支援するシステムを具現化し,これにより最適操業条
件の発見,見直しに要するコストを低減するとともに,
さらに環境条件の変動の際にも,安定して良好な操業を
実現し得る操業条件ガイダンス装置を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は,データベースに蓄積され,プロセス運
転における運転条件と環境条件との組合せである操業条
件と,該操業条件下での操業状態の実データとよりなる
操業事例を用いてニューラルネットワークをトレーニン
グするトレーニング手段と,上記トレーニング後のニュ
ーラルネットワークの保持データを分析することにより
所望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を抽出する
抽出手段と,上記抽出された操業条件の範囲が1つだけ
存在するときはそのまま,複数存在するときはさらにそ
の中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度に基づいて
1つを選択した上で,該1つの操業条件の範囲をガイダ
ンスする第1のガイダンス手段とを具備してなる操業条
件ガイダンス装置として構成されている。
【0005】第2の発明は,データベースに蓄積され,
プロセス運転における運転条件と環境条件との組合せで
ある操業条件と,該操業条件下での操業状態の実データ
とよりなる操業事例を用いてニューラルネットワークを
トレーニングするトレーニング手段と,上記トレーニン
グ後のニューラルネットワークの保持データを分析する
ことにより所望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲
を抽出する抽出手段と,ある環境条件が与えられたと
き,上記ある環境条件に対応する運転条件が存在する場
合には,上記抽出された操業条件の範囲の中から,該あ
る環境条件に対応する運転条件をガイダンスし,上記あ
る環境条件に対応する運転条件が存在しない場合には,
環境条件の変更をガイダンスする第2のガイダンス手段
とを具備してなる操業条件ガイダンス装置である。
【0006】第3の発明は,データベースに蓄積され,
プロセス運転における運転条件と環境条件との組合せで
ある操業条件と,該操業条件下での操業状態の実データ
とよりなる操業事例を用いてニューラルネットワークを
トレーニングするトレーニング手段と,上記トレーニン
グ後のニューラルネットワークの保持データを分析する
ことにより所望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲
を抽出する抽出手段と,上記抽出された操業条件の範囲
が1つだけ存在するときはそのまま,複数存在するとき
はさらにその中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度
に基づいて1つを選択した上で,該1つの操業条件の範
囲をガイダンスする第1のガイダンス手段と,ある環境
条件が与えられたとき,上記ある環境条件に対応する運
転条件が存在する場合には,上記抽出された操業条件の
範囲の中から,該ある環境条件に対応する運転条件をガ
イダンスし,上記ある環境条件に対応する運転条件が存
在しない場合には,環境条件の変更をガイダンスする第
2のガイダンス手段とを具備してなる操業条件ガイダン
ス装置である。
【0007】第4の発明は,データベースに蓄積され,
プロセス運転における運転条件と環境条件との組合せで
ある操業条件と,該操業条件下での操業状態の実データ
とよりなる操業事例を用いてニューラルネットワークを
トレーニングするトレーニング手段と,上記トレーニン
グ後のニューラルネットワークの保持データを分析する
ことにより所望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲
を抽出する抽出手段と,上記抽出された操業条件の範囲
が1つだけ存在するときはそのまま,複数存在するとき
はさらにその中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度
に基づいて1つを選択した上で,該1つの操業条件の範
囲をガイダンスする第1のガイダンス手段と,ある環境
条件が与えられたとき,上記ある環境条件に対応する運
転条件が存在する場合には,上記選択された1つの操業
条件の範囲の中から,該ある環境条件に対応する運転条
件をガイダンスし,上記ある環境条件に対応する運転条
件が存在しない場合には,環境条件の変更をガイダンス
する第3のガイダンス手段とを具備してなる操業条件ガ
イダンス装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】及び
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明の実施の形
態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。
尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化し
た一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格の
ものではない。ここに,図1は本発明の実施の形態及び
実施例に係る操業条件ガイダンス装置Aの概略構成を示
す模式図,図2は本装置Aの動作手順を示すフロー図,
図3は操業条件探索例を示す説明図,図4は3層ニュー
ラルネットの一例を示す説明図,図5は標準操業条件探
索手順を示すフロー図,図6は運転条件ガイダンス手順
を示すフロー図である。今,アルミ箔の圧延を例にとっ
て説明する。生産プロセスにおける操業条件は,大きく
分けて環境条件と運転条件との2種類がある。アルミ箔
圧延においては,ロールの研磨状態,クーラント油の成
分などが環境条件であり,プッシュアップ力,前方・後
方張力などが運転条件であると見なされる。運転条件
は,オペレータが随時直接介入できる変数であり,環境
条件は,その背景となるものである。
【0009】圧延速度を最大限に向上させるためには,
次の2つのガイダンス機能が必要である。 1.最適環境条件のガイダンス機能:ロールの研磨仕
様,クーラント成分の標準条件を決定し,また,ロール
替えやクーラント成分計測/添加剤投入サイクルを決定
してオペレータ及びエンジニアにガイダンスする機能。 2.最適運転条件のガイダンス機能:与えられた環境条
件のもとで最大限の速度を出すための圧延機運転条件を
オペレータにガイダンスする機能。 環境条件,運転条件は,操業標準としてマニュアル化
し,それに従って生産が行われるという状態が望ましい
が,後者の機能は,現在の環境条件がマニュアルに指定
されたものと異なる場合において,その条件下で最善の
操業を行うための運転条件を決定する問題をも含んでい
る。従って,このようなマニュアル化がどこまでできる
かが,生産現場の実力を計るための指標となる。
【0010】しかし,実際には次のような困難がある。 1.数多くの変数の値の組合せの中から最も有効なもの
を発見するのは,人手では困難である。 2.定期的に操業標準を見直し,その精度を確認すると
いうマニュアルのメンテナンス作業に多大なコストがか
かる。 本発明は,操業データを収集したデータベースと,それ
を用いた学習プログラムにより,上記の点を解決しよう
とするものである。理論的,解析的な知識が,最適操業
条件を定量的に決定するほどまでには十分には得られて
いないような場合,あるいは操業条件が現場固有のクセ
(設備,環境操業条件上の制約)に依存するような場合
に,とりわけ本発明は有効である。
【0011】図1に示すごとく,本発明(第1〜第4の
発明)の実施の形態及び実施例に係る操業条件ガイダン
ス装置Aは,主としてデータベース1に蓄積され,プロ
セス運転における運転条件と環境条件との組合せである
操業条件と,ガイダンス操業条件下での操業状態の実デ
ータとよりなる操業事例を用いてニューラルネットワー
クをトレーニングする学習部4の図示しないトレーニン
グ部(第1〜第4の発明のトレーニング手段に相当)
と,トレーニング後のニューラルネットワークの保持デ
ータを分析することにより,所望の操業状態を実現可能
な操業条件の範囲を抽出する学習部4の標準操業条件抽
出部4a(第1〜第4の発明の抽出手段に相当)と,こ
の抽出された操業条件の範囲が1つだけ存在するときは
そのまま,複数存在するときはさらにその中から,範囲
の大きさ及び/又は抽出精度に基づいて1つを選択した
上で,その1つの操業条件の範囲をガイダンスする学習
部4の標準操業条件選択部4b及び標準操業条件ガイダ
ンス部5(いずれも第1,第3,第4の発明の第1のガ
イダンス手段に相当)と,ある環境条件が与えられたと
き,ある環境条件に対応する運転条件が存在する場合に
は,上記抽出された操業条件の範囲の中から,ある環境
条件に対応する運転条件をガイダンスし,ある環境条件
に対応する運転条件が存在しないばあいには,環境条件
の変更をガイダンスする運転条件ガイダンス部6(第
2,第3の発明の第2のガイダンス手段に相当),ある
いは,ある環境条件が与えられたとき,ある環境条件に
対応する運転条件が存在する場合には,上記選択された
操業条件の範囲の中から,ある環境条件に対応する運転
条件をガイダンスし,ある環境条件に対応する運転条件
が存在しないばあいには,環境条件の変更をガイダンス
する運転条件ガイダンス部6′(第4の発明の第3のガ
イダンス部に相当)とを具備してなる。尚,学習部4
は,後述するデータ評価部2と共に,操業条件探索処理
用コンピュータ7内に構築される。また,標準操業条件
ガイダンス部5及び運転条件ガイダンス部6(6′)は
同コンピュータ7内に構築されるか,あるいは独立のハ
ードウエアにて構築される。
【0012】以下,図1,図2を参照して本装置Aの動
作をステップS1,S2,…順に説明する。まずデータ
ベース1は,ロールショップOaにおけるロール研磨デ
ータ,圧延機Obのクーラント成分の計測における添加
剤投入データ,操業管理システムOcの各コイルの圧延
実績データ等を蓄積する(S1)。次に,データ評価部
2は,データベース1に蓄積された各データに対して以
下の点に関する評価を行う(S2)。 1.信頼できるデータか? 2.データの良否(見習うべき状態を表すデータかそれ
とも避けるべき状態を表するデータか)?
【0013】最初の評価では,採取されたデータを操業
条件の探索処理に活用するか否かを判断する。ここで
は,「典型的な事例」に基づいて最適操業条件の探索を
行うこととし,例えば,圧延開始直後に箔が破断したよ
うな「特殊事例」は学習用のデータから除去することに
する。具体的には,圧延時間,圧延機稼働に対してしき
い値を設け,そのしきい値以下の時間しか圧延を行わな
かったコイルのデータは用いないことにする。また,オ
ペレータの手入力に依存するデータに関し,入力ミスの
疑いがあるものはこの段階で除去する。即ち,人間によ
る評価,確認,及び実績値と各平均実績値との乖離度合
いの評価に基づいて除去する。2番目の評価では,デー
タをいわゆる「正事例」と「負事例」のいずれかに分類
する。ここでは,高速で圧延できたコイルのデータが正
事例となり,高速で圧延できなかったコイルのデータが
負事例となる。高速圧延であるか否かは,予め高速/低
速の基準速度を指定しておき,圧延速度がそれを上回る
か,下回るかにより決定する。直観的には,正事例に典
型的で,負事例に非典型的な環境条件,および運転条件
が標準操業の候補となる。
【0014】そのような条件を捜し出すために次に学習
部4により,学習処理を行う(S3)。この学習処理に
あたっては,前述した特開平7−29006号公報の方
法を用いる。簡単のため,ここでは図3に示すように操
業条件決定のための変数が2次元である場合を考える。
図中の○印は,高速圧延が実現できた事例,×印は実現
出来なかった事例を示す。まず,図4に示すような多層
ニューラルネットを用いて操業条件変数の値(x1,x
2)とその結果を表す変数zの値(高速圧延ならば1,
そうでなければ0)の対応関係を学習部4のトレーニン
グ部により学習させる。例えば,バックプロパゲーショ
ンと呼ばれる周知のアルゴリズムを用いることにより,
入力操業に図3中の○印,×印に対応する操業条件変数
(x1,x2)の値を入力すると,出力層のニューロン
に変数zの値(1か0か)が現れるようなニューラルネ
ットを生成することができる。前述した特開平7−29
006号公報では,このニューラルネットより,図3中
に示してあるような領域を発見し,「もし(x1,x
2)の値が領域H1またはH2またはH3内にあればz
の値は1」といったようなルールを出力する。
【0015】このように,操業条件変数の値が1,2,
あるいは3個ぐらいまでならば人間の手により,zの値
が1である(即ち高速圧延が実現できる)ような操業条
件の範囲を見つけだすことができる。しかし,操業条件
を決定する変数の値がそれ以上になると人間の手でH
1,H2,H3のような領域を発見することは不可能に
なる。ここでは,学習後のニューラルネットを入力する
と,H1,H2,H3といった領域を自動的に発見する
ことができる。このためには,次のような操作が必要と
なる。即ち,学習用のデータDを生成するデータ生成操
作,ニューラルネットを生成し,バックプロパゲーショ
ンによりニューラルネットの学習を行うニューラルネッ
ト生成操作,ルール抽出操作,生成されたルール例の中
から標準操業の候補を選ぶルール選択操作が必要であ
る。
【0016】以下に図5を参照して,標準操作条件の検
索のための各操作についてステップS11,S12,…
順に詳述する。まず,学習用データ生成操作を行い,学
習用データベース3に蓄積する(S11)。コイルのデ
ータは,シングル圧延かダブリング圧延か,特殊材料か
通常材料か,製品の厚み,パス,幅(パス番号とは,仕
上げ圧延か,仕上げ前の圧延かを区別する番号)により
類別される。各コイルには,(シングル/ダブリング圧
延識別子)−(材料識別子)−(製品厚み識別子)−
(パス番号)−(幅識別子)という分類コードが付与さ
れる。例えばS−HGB−70−50−1651,製品
厚み7μ,幅1651mmクラスのHGB材の仕上げパ
スシングル圧延のコイルである。このデータは,各分類
コードごとに分類されてデータベース1内に格納されて
いる。上記したデータ評価により,典型的な正,負事例
を抽出する。ある分類コードに属する正事例コイルの集
合をP,負事例のコイルの集合をNとする。
【0017】集合PおよびN内のコイルのそれぞれに対
し,コイルデータの中から,環境条件および運転条件に
関連したデータを抽出する。環境条件としては,クーラ
ントにおけるアルコール,エステル,水分の濃度,前回
計測あるいは添加剤投入時点からの経過時間,粘度な
ど,あるいは,ロール研磨における仕上げ粗度,クラウ
ン,径,最終工程での研磨作業時間,ロール研磨後の圧
延使用時間などのクーラント,ロール条件を抽出する。
運転条件としては,プッシュアップ力,前方・後方張
力,クーラントの流量と温度,ベンデイング,VCロー
ル,形状制御パラメータを抽出する。ここで,簡単化の
ために,あるコイルの環境条件ベクトルをx,運転条件
ベクトルをy,正事例/負事例を表す変数をz(正事例
ならば1,負事例ならば0)とする。従って1つのコイ
ルに対して,x,y,zの3つのベクトルが対応する。
【0018】次に,n=1とおいた後(S12),ニュ
ーラルネットの生成操作を行う(S13)。(x,y)
を入力,zを出力の教師データとしてバックプロパゲー
ションによりニューラルネットを学習させるにあたっ
て,ニューラルネットの構造を決定する必要がある。こ
こでは,3層のニューラルネットを用いることにする。
従って,中間層のニューロンの数nがニューラルネット
生成パラメータとなる。具体的に各々のニューラルネッ
トに対して,バックプロパゲーション学習を適用する
(S14)。次にルール抽出操作を行う(S15)。こ
のルールにおいては,高速圧延のために,x,yがとる
べき値の範囲が指定される(以下単に領域と呼ぶ)。中
間層n子のニューラルネットにおいて発見された領域
を,H1(n),H2(n),…,Hmn (n)とす
る。n=n+1とし(S16),nが上限値Nになるま
で上記ステップS13〜S16をくり返す(S17)。
尚,Nは予め設定しておいた値である。
【0019】次に,ルール選択操作を行う(S16)。
標準操業としては,上記ステップS15で発見された領
域{Hi(j)}の中から1つを選べばよい。直観的に
言えば,「典型的かつ高速圧延の再現性の高い領域」を
選びだせばよい。そのために,各領域Hi(j)に対し
て次の評価指標の計算を行う。 1.サイズ:領域Hi(j)に含まれる正事例の数 2.精度:領域Hi(j)に含まれる事例の数(正事例
の数と負事例の数との和)に対する正事例の数の比率 サイズが大きく,精度の高い領域が操業標準の候補とし
て好ましい。とりわけ,ここではサイズの大きい領域を
選ぶことにする。一般的に,サイズの小さい領域の方が
精度が高くなる傾向がある。しかし,サイズの小さい領
域は例外的な領域であることも多く,高速圧延の再現性
の観点から,ここではサイズにより重みを置いて領域の
選択を行う。尚,サイズは抽出された操業条件の範囲の
大きさに,また精度は抽出精度にそれぞれ相当する。
【0020】ここに,領域の具体的な選択方法を述べ
る。領域{Hi(j)}をサイズにより大きい順に並
べ,最大のものをとる。もし,一位,二位のもののサイ
ズが同じであれば,精度の高い方をとる。精度も同じで
あれば,中間層の数の小さい方をとる。それも同じであ
れば,ランダムに選ぶ。今,上記の基準で選択された領
域をH0とし,それを生成したニューラルネットをNN
0で表すことにする。このニューラルネットNN0が,
学習によって得られた知識であり,ガイダンス情報はこ
のニューラルネットNN0から引き出される。操業標準
の候補は,領域H0の中心で与えられることにする。即
ち,領域H0に含まれる正事例の環境の平均,および運
転条件の平均を,環境条件,運転条件の標準とする。そ
して,これを標準操作条件として出力する(S19)。
【0021】次に,図6を参照して,与えられた環境条
件(ある環境条件に相当)のもとでの運転条件の決定を
行う場合について述べる。尚,この場合も上記図5のス
テップS11〜S17については共通であり,これらの
処理が既に行われているものとする。また一般的には,
領域Hの生成元となったニューラルネットNN0を用い
て,入力の環境条件部分xをx′に固定し,出力zを最
大にするような,運転条件yを探索する必要がある。し
かし,ここでは,計算効率を考慮して次のような簡易方
法を用いることにする。まず,環境条件を入力し(S2
1),次にニューラルネットNN0を用いて生成された
領域をH1,H2,…,Hn0で表す。そして,Hi,
i=1,2,…,n0の中でx′に最も近い環境条件を
持つ領域H′を,次の距離関数を用いて探す(S2
2)。
【0022】今,環境条件ベクトルxと領域Hの環境条
件部分Hxとの距離Dist(x,Hx)を次のように
定義する。
【数1】
【0023】即ち,点xの各成分の座標とHxをその成
分の領域に射影して得られる閉区間との距離の和で距離
を定義する。もし,環境条件がx′において,正事例で
ある(高速圧延が実現出来た例がある)ならば,距離D
ist(x,Hi)=0であるような領域Hiが存在す
る。逆に,距離Dist(x,Hi)=0であるような
領域Hiが存在しない場合は,環境条件x′のまわりで
高速圧延が実現できた事例が無いことを意味している。
従って,上記のような領域Hiがある場合には(S2
3),その運転条件(の平均)をガイダンス出力する
(S24)。領域Hiが存在しない場合には(S2
3),参照すべき高速圧延の事例が存在しないこと,お
よび環境条件の改善が必要であることをガイダンス出力
する(S25)。
【0024】上述したような事例にもとづくアプローチ
では,結果の成否は収集されたデータの量と質とに大き
く依存するため,探索された操業条件は必ずしも正しい
とは限らない。ガイダンスの通り実行して高速圧延が実
現できなかった場合は,現在の操業標準条件の「反例」
が得られたことになる。一般的に,反例があってはじめ
て新しい知識が得られたものとなり,その意味では,不
適切な操業は正しい操業条件の標準を求める上でも重要
である。実際には,操業条件に従って圧延を実施し,そ
の有効性(高速圧延ができたか否か)をオペレータに評
価させる。標準操業に従って圧延し,高速圧延が実現で
きた割合を「的中率」と呼ぶ。的中率が,予め与えられ
たしきい値以下の場合には,上述の手順で操業条件の探
索を,(新たに得られたデータを付け加えて)再度行
う。
【0025】このように標準操業条件の精度(即ち的中
率)を観測し,基準値を下回った場合に探索処理を自動
起動することにより,標準の精度向上,維持が可能とな
る。尚,上記した例では,領域内に複数の点が含まれて
いる場合について一般化しているが,1点のみが含まれ
ている場合でもよい。また,運転条件のガイダンスに当
たっては,ある環境条件が与えられたとき,抽出された
操業条件の代わりに,運転条件ガイダンス部6′により
選択された操業条件の中から,対応する運転条件をガイ
ダンスさせてもよい。その場合は,探索範囲が狭くなる
ものの,探索時間が短くてすむ。以上のようにして,本
装置Aでは,ノウハウの蓄積を支援するシステムを具現
化し,これにより最適操業条件の発見,見直しに要する
コストを低減すると共に,環境条件の変動のもとでも安
定して良好な操業が実現できる。
【0026】
【発明の効果】本発明に係る操業条件ガイダンス装置
は,上記したように構成されているため,最適操業条件
の発見,見直しに要するコストが低減できると共に,環
境条件の変動のもとでも,安定して良好な操業が実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態及び実施例に係る操業条
件ガイダンス装置Aの概略構成を示す模式図。
【図2】 本装置Aの動作手順を示すフロー図。
【図3】 操業条件探索例を示す説明図。
【図4】 3層ニューラルネットの一例を示す説明図。
【図5】 標準操業条件探索手順を示すフロー図。
【図6】 運転条件ガイダンス手順を示すフロー図。
【符号の説明】
A…操業条件ガイダンス装置 1…データベース 2…データ評価部 3…学習用データ 4…学習部(トレーニング手段等を具備) 4a…標準操業条件抽出部(抽出手段に相当) 4b…標準操業条件選択部(第1のガイダンス手段の一
部に相当) 5…標準操業条件ガイダンス部(第1のガイダンス手段
の一部に相当) 6…運転条件ガイダンス部(第2のガイダンス手段に相
当) 6′…運転条件ガイダンス部(第3のガイダンス手段に
相当)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データベースに蓄積され,プロセス運転
    における運転条件と環境条件との組合せである操業条件
    と,該操業条件下での操業状態の実データとよりなる操
    業事例を用いてニューラルネットワークをトレーニング
    するトレーニング手段と,上記トレーニング後のニュー
    ラルネットワークの保持データを分析することにより所
    望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を抽出する抽
    出手段と,上記抽出された操業条件の範囲が1つだけ存
    在するときはそのまま,複数存在するときはさらにその
    中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度に基づいて1
    つを選択した上で,該1つの操業条件の範囲をガイダン
    スする第1のガイダンス手段とを具備してなる操業条件
    ガイダンス装置。
  2. 【請求項2】 データベースに蓄積され,プロセス運転
    における運転条件と環境条件との組合せである操業条件
    と,該操業条件下での操業状態の実データとよりなる操
    業事例を用いてニューラルネットワークをトレーニング
    するトレーニング手段と,上記トレーニング後のニュー
    ラルネットワークの保持データを分析することにより所
    望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を抽出する抽
    出手段と,ある環境条件が与えられたとき,上記ある環
    境条件に対応する運転条件が存在する場合には,上記抽
    出された操業条件の範囲の中から,該ある環境条件に対
    応する運転条件をガイダンスし,上記ある環境条件に対
    応する運転条件が存在しない場合には,環境条件の変更
    をガイダンスする第2のガイダンス手段とを具備してな
    る操業条件ガイダンス装置。
  3. 【請求項3】 データベースに蓄積され,プロセス運転
    における運転条件と環境条件との組合せである操業条件
    と,該操業条件下での操業状態の実データとよりなる操
    業事例を用いてニューラルネットワークをトレーニング
    するトレーニング手段と,上記トレーニング後のニュー
    ラルネットワークの保持データを分析することにより所
    望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を抽出する抽
    出手段と,上記抽出された操業条件の範囲が1つだけ存
    在するときはそのまま,複数存在するときはさらにその
    中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度に基づいて1
    つを選択した上で,該1つの操業条件の範囲をガイダン
    スする第1のガイダンス手段と,ある環境条件が与えら
    れたとき,上記ある環境条件に対応する運転条件が存在
    する場合には,上記抽出された操業条件の範囲の中か
    ら,該ある環境条件に対応する運転条件をガイダンス
    し,上記ある環境条件に対応する運転条件が存在しない
    場合には,環境条件の変更をガイダンスする第2のガイ
    ダンス手段とを具備してなる操業条件ガイダンス装置。
  4. 【請求項4】 データベースに蓄積され,プロセス運転
    における運転条件と環境条件との組合せである操業条件
    と,該操業条件下での操業状態の実データとよりなる操
    業事例を用いてニューラルネットワークをトレーニング
    するトレーニング手段と,上記トレーニング後のニュー
    ラルネットワークの保持データを分析することにより所
    望の操業状態を実現可能な操業条件の範囲を抽出する抽
    出手段と,上記抽出された操業条件の範囲が1つだけ存
    在するときはそのまま,複数存在するときはさらにその
    中から,範囲の大きさ及び/又は抽出精度に基づいて1
    つを選択した上で,該1つの操業条件の範囲をガイダン
    スする第1のガイダンス手段と,ある環境条件が与えら
    れたとき,上記ある環境条件に対応する運転条件が存在
    する場合には,上記選択された1つの操業条件の範囲の
    中から,該ある環境条件に対応する運転条件をガイダン
    スし,上記ある環境条件に対応する運転条件が存在しな
    い場合には,環境条件の変更をガイダンスする第3のガ
    イダンス手段とを具備してなる操業条件ガイダンス装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002329187A (ja) * 2001-04-27 2002-11-15 Petroleum Energy Center 石油コンビナートの運転条件の推定方法
JP2011197714A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Toshiba Corp プロセス制御システム
JP2020112882A (ja) * 2019-01-08 2020-07-27 古河電気工業株式会社 金属材料生産システムおよび金属材料生産方法
WO2023079642A1 (ja) * 2021-11-04 2023-05-11 ファナック株式会社 データ切り出しルール作成装置、データ切り出しルール作成方法、及び記憶媒体

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