JPH09229769A - 微弱光測定装置および微弱光測定方法 - Google Patents

微弱光測定装置および微弱光測定方法

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JPH09229769A
JPH09229769A JP3223596A JP3223596A JPH09229769A JP H09229769 A JPH09229769 A JP H09229769A JP 3223596 A JP3223596 A JP 3223596A JP 3223596 A JP3223596 A JP 3223596A JP H09229769 A JPH09229769 A JP H09229769A
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正男 牧内
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  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、散乱極微弱光の測定に好適な微弱光
測定装置および微弱光測定方法に関し、同一の波長領域
の背景光成分に埋もれてしまうほどの微弱な信号光であ
っても、その信号光の測定を可能にする。 【解決手段】2つの入力信号端子を有しそれら2つの信
号入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅して
出力する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つの信
号入力端子それぞれに、該2つの信号入力端子それぞれ
から見たときに同一の向きに接続された各フォトダイオ
ードを有する2つの受光回路を備えた微弱光測定装置を
用意し、所定の信号光の発光レベルが相互に異なる被測
定体および参照体それぞれから発せられた第1の光およ
び第2の光を、上記2つの受光回路の各フォトダイオー
ドそれぞれに同時に入射させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、散乱極微弱光の測
定に好適な微弱光測定装置および微弱光測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】極微弱光の検出技術は生物学、医療分
野、天文分野など広範囲な応用が期待され、これを実現
していくための高感度受光素子の開発が進められてい
る。従来、極微弱光の検出には、光電子倍増管(PM
T)が使用されていたが、量子効率が数パーセント以下
と小さく、また電子管であるので寸法も大きく、また冷
却を必要とする用途が多いが、マイナス80度以下に冷
却するのは困難であった。
【0003】このようなことから、最近では量子効率が
容易に90%程度を達成できる半導体受光素子の開発が
重要になっている。一方、例えば生体からでる極微弱光
を検出するような用途では、生体光源は光を特定の方向
にのみ放射することはなく、その表面からあらゆる方向
に放射する。このため、レンズのようなもので集光する
ことが出来ない。従って、高感度化のためには例えば数
十ミリの大口径受光素子を用いることが好ましい。この
ような受光素子では、素子の不完全性のために、光を検
出していない時でも相当な電流(暗電流)が流れる。こ
の暗電流を減少させると同時に、背景光の影響を減らす
ために、素子および装置を冷却することが行われる。こ
のような対策を施した現状であっても、生体からの微弱
光を十分な精度で検出するまでの十分な特性に達してい
ない。また、発光波長が0.5〜1.7μmの光の検出
にはGaAs,InGaAs,InP等の化合物半導体
が使用されることが多いが、現在の段階では、世界的に
見ても直径10mmφ程度の受口径が最大でそれ以上の
素子は作製されていない。
【0004】上記のように受光素子自体の開発も重要で
あるが、一方では、その受光素子の能力を最大限に引き
出すための回路上の工夫も重要である。半導体受光素子
を用いて、その半導体受光素子に入射する入射光を測定
する受光回路として、従来、大別して高抵抗型受光回路
と電荷蓄積型受光回路が知られている。
【0005】図12は、高抵抗型受光回路の原理回路図
(a)、その等価回路図(b)、およびその特性を示す
図(c)である。高抵抗型受光回路は光通信をはじめ多
くの光受信器に採用されているもので、ここではその基
本となるところのみ示されている。図12(a)に示す
ように、フォトダイオード(ここではPINフォトダイ
オードとする)1と直列に、高抵抗(ここでは100M
Ω)の負荷抵抗2を接続し、それらの両端に、バイアス
電源3により、フォトダイオードに対し逆向きにバイア
ス電圧を印加する。こうしておいて、t=0(sec)
よりフォトダイオード1に所定光量を入射し、それによ
ってこの回路にiTなる一定電流が流れたものとする。
【0006】このときの等価回路は図12(b)のよう
に表わされる。すなわち、フォトダイオード1は抵抗1
aと接合容量1bで表わされ、そのフォトダイオード1
(抵抗1aと接合容量1b)に負荷抵抗2が並列に接続
され、それらの並列回路に定電流源3’からt=0を起
点として一定電流iTが流れ込む。このとき、この並列
回路両端の電圧(出力電圧Vout )は図12(c)のグ
ラフのように変化する。出力電圧Vout は、主に、負荷
抵抗2の抵抗値と流れる電流iTで定まる。したがっ
て、立ち上がった後の出力電圧Vout を測定することに
より、フォトダイオード1への入射光量が測定される。
【0007】この高抵抗型受光回路は、以下に説明する
電荷蓄積型受光回路と比べ応答性に優れているという長
所はあるが、負荷抵抗が熱雑音を発生し、ノイズに弱い
という欠点を合わせ持っている。 図13は、電荷蓄積
型受光回路の原理回路図(a)、その等価回路図
(b)、およびその特性を示す図(c)である。図12
に示す高抵抗型受光回路との相違点について説明する。
【0008】この電荷蓄積型受光回路では、フォトダイ
オード1と直列に、図12(b)に示す負荷抵抗2に代
え、負荷容量(ここでは3pF)4が接続されている。
このため、t=0の時点以降一定電流iTが流れたと
き、図13(c)に示すように、出力電圧Vout は高抵
抗型受光回路の場合と比べはるかに大きな値となる。こ
の電荷蓄積型の場合、主に負荷容量4と接合容量1b、
そして電流値iTによって出力電圧Vout の上昇速度が
定まり、したがってこの電荷蓄積型では、積分された電
圧を、t=0以降の、所定の測定時間経過した時点で観
測することにより、フォトダイオード1への入射光量が
測定される。この電荷蓄積型受光回路の場合、高抵抗型
受光回路と比べ応答性は劣るがパルス性ノイズは時間平
均され、したがって微弱光の測定には有利である。
【0009】図14は、電荷蓄積型の受光回路を採用し
た微弱光検出回路の一構成例を示す回路図である。特性
の揃った2つのジャンクションFET21a,21bか
らなるデュアルジャンクションFET21と、それら2
つのジャンクションFET21a,21bの各ソースと
グランドライン5との間に接続された2つの抵抗22
a,22bにより差動増幅器20が構成されている。こ
れら2つのジャンクションFET21a,21bの各ド
レインは互いに接続され、そのドレインとグランドライ
ン5との間に電源6が配置され、所定の電源電圧(ここ
では5V)が印加されている。
【0010】また、この差動増幅器20の一方の信号入
力端子20aであるジャンクションFET21aのゲー
トとグランドライン5との間には、ゲート側がカソー
ド、グランドライン5側がアノードとなる向きにPIN
フォトダイオード1が接続されている。また、このPI
Nフォトダイオード1と並列にMOSFET7が接続さ
れている。このMOSFET7は、PINフォトダイオ
ード1のアノードとカソードとの間を短絡するスイッチ
の役割りを有しており、MOSFET7のゲートにリセ
ット信号が入力されるとPINフォトダイオード1が短
絡され、測定開始時刻t=0でリセット信号が解除さ
れ、その時刻t=0以降、光学フィルタ8を透過してP
INフォトダイオード1に信号光が入射されることによ
る光電流が差動増幅器20の一方の第1の信号入力端子
20aに入力される。また、この差動増幅器20のもう
一方の第2の信号入力端子20bであるジャンクション
FET21bのゲートには、所定の参照信号が入力され
る。差動増幅器20では、2つの信号入力端子20a,
20bから入力された2つの信号の差分が増幅されて出
力される。この出力信号は、例えば図示しない次段の差
動増幅器に入力されてさらに増幅される。
【0011】この図14に示す微弱光検出回路には、P
INフォトダイオード1で発生した光電流を蓄える負荷
容量は図示されていないが、PINフォトダイオード1
の接合容量(図13に示す接合容量1b)、MOSFE
T7のドレイン・ソース間容量、ジャンクションFET
21aのゲート・ソース間容量が、図13に示す負荷容
量4(接合容量1bを含む)に相当する。
【0012】図15は、図14に示すPINフォトダイ
オード1を、互いに直列に接続された複数(ここでは3
個)のPINフォトダイオード1a,1b,1cで構成
した微弱光検出回路を示す回路図、図16は、図14に
PINフォトダイオード1を、互いに並列に接続された
複数(ここでは3個)のPINフォトダイオード1a,
1b,1cで構成した微弱検出回路を示す回路図であ
る。
【0013】図15,図16に示すように、複数のPI
Nフォトダイオードを互いに直列ないし並列に接続する
と、各PINフォトダイオードに同相で入力される信号
光・背景光に対してPINフォトダイオード内で無相関
に発生するパルス性ノイズが相対的に小さくなり、S/
N(信号対雑音比)が向上し、微弱光の検出に有利とな
る。複数のPINフォトダイオードを直列に接続するか
あるいは並列に接続するかは、信号光の性質(高出力・
短時間信号が低出力・長時間信号)によって変化する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】PINフォトダイオー
ド1には、例えば生体サンプル等の被測定体から発せら
れた極微弱な信号光が入射されるが、この被測定体から
は、信号光のみでなく、熱輻射による背景光も発せられ
ており、その背景光もPINフォトダイオード1に入射
する。信号光の波長成分の光のみがPINフォトダイオ
ード1に入射されるよう、PINフォトダイオード1の
前面に光学フィルタ8を備えても、熱輻射による背景光
は広い波長領域に広がっており、背景光のうち、信号光
の波長と同一の波長成分は信号光とともに光学フィルタ
8を通過してPINフォトダイオード1に入射する。こ
のとき、信号光の強度が、光学フィルタ8で除去しきれ
ない背景光の強度と比べ十分大きい場合は問題はない
が、例えば生体サンプルから発せられる極微弱光を信号
光とする場合などは、光学フィルタ8を透過してくる背
景光にすら信号光が埋もれてしまい、信号光を十分な精
度で測定することができないという問題がある。
【0015】本発明は、上記事情に鑑み、上記のよう
な、同一の波長領域の背景光成分に埋もれてしまうほど
の微弱な信号光であっても、その信号光の測定が可能な
微弱光測定装置、およびその微弱光測定装置を用いた微
弱光測定方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の微弱光測定装置は、 (1−1)2つの信号入力端子を有しそれら2つの信号
入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅して出
力する差動増幅器 (1−2)差動増幅器の2つの信号入力端子それぞれ
に、それら2つの信号入力端子それぞれから見たときに
同一の向きに接続された各フォトダイオードを有する2
つの受光回路を備えたことを特徴とする。
【0017】また、上記目的を達成する本発明の第2の
微弱光測定装置は、 (2−1)2つの信号入力端子を有しそれら2つの信号
入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅して出
力する差動増幅器 (2−2)差動増幅器の2つの信号入力端子のうちのい
ずれか一方の信号入力端子に、その一方の信号入力端子
から見て互いに逆向きに接続された2つのダイオードを
有する受光回路を備えたことを特徴とする。
【0018】ここで、上記本発明の第1ないし第2の微
弱光測定装置において、上記受光回路が、その受光回路
に備えられたフォトダイオードに流れる電荷を蓄積して
その電荷の蓄積により発生した電圧を差動増幅回路の信
号入力端子に伝える電荷蓄積型の受光回路であることが
好ましい。微弱光の測定には、ノイズに強い電荷蓄積型
が有利だからである。
【0019】また、上記フォトダイオードとしては、受
光感度が高いことから、典型的には、PINフォトダイ
オードを好適に採用することができる。フォトダイオー
ドとしてPINフォトダイオードを採用した場合、上記
受光回路が、その受光回路に備えられたフォトダイオー
ドに逆バイアス電圧を印加するバイアス回路を備えたも
のであることが好ましい。PINフォトダイオードに逆
バイアスを印加すると、そのi層にp型の不純物もn型
の不純物もほとんど存在しない空乏層が形成され、入射
光に対し一層高感度となるからである。
【0020】尚、上記フォトダイオードそれぞれは、互
いに直列に接続された複数のフォトダイオードからなる
ものであってもよく、あるいは、互いに並列に接続され
た複数のフォトダイオードからなるものであってもよ
い。これらの場合、前述したようにS/N(信号対雑音
比)が向上するからである。また、上記フォトダイオー
ドの受光面前面側に、所望の波長の光を該フォトダイオ
ードに導くとともに該所望の波長以外の波長の光を除去
する光学フィルタを備えることが好ましい。できるだけ
S/Nの良い信号光をフォトダイオードに入射すること
が好ましいからである。
【0021】さらに、上記本発明の第1ないし第2の微
弱光測定装置において、上記受光回路および上記差動増
幅器が、内部が冷却される容器に収納され、その容器
が、その容器外部から、その容器に収納された受光回路
に備えられたフォトダイオードに向けて入射しようとす
る入射光のうち所望の波長の光を入射させるとともにそ
の入射光のうち所望の波長以外の波長の光を吸収ないし
反射する光学フィルタを備えた入射窓を有することが好
ましい。前述したように、フォトダイオード等を冷却す
ることにより暗電流を減らすことができ、S/Nのよい
受光が可能となるからである。
【0022】さらに、上記本発明の第1ないし第2の微
弱光測定装置において、上記受光回路、上記差動増幅
器、および上記光学フィルタが、内部が冷却される容器
に収納され、その容器が、その容器外部から、その容器
に収納された光学フィルタに向けて入射しようとする入
射光のうちの少なくとも信号の波長である所望の波長の
光を入射させる入射窓を有することが好ましい。入射窓
に光学フィルタを用いるのではなく、あるいは入射窓に
光学フィルタを用いるとともに、光学フィルタを容器の
内部に収納して光学フィルタ自身も冷却することによ
り、その光学フィルタ自身から発せられる熱輻射による
背景光を低減することができるからである。
【0023】また、上記本発明の第1ないし第2の微弱
光測定装置において、上記フォトダイオードの、そのフ
ォトダイオードに入射する入射光に対する相対位置を、
フォトダイオードどうしで交互に交代させる位置交代手
段を備えることが好ましい。位置を交代しながら測定す
ることで、フォトダイオード、そのフォトダイオードを
含む受光回路等のばらつきによる誤差を抑えることがで
きるからである。
【0024】また、上記目的を達成する本発明の第1の
微弱光測定方法は、本発明の第1の微弱光測定装置、す
なわち、2つの入力信号端子を有しそれら2つの信号入
力端子から入力された2つの信号の差分を増幅して出力
する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つの信号入
力端子それぞれに、該2つの信号入力端子それぞれから
見たときに同一の向きに接続された各フォトダイオード
を有する2つの受光回路を備えた微弱光測定装置を用意
し、所定の信号光の発光レベルが相互に異なる被測定体
および参照体それぞれから発せられた第1の光および第
2の光を、上記2つの受光回路の各フォトダイオードそ
れぞれに同時に入射させることを特徴とする。
【0025】また、上記目的を達成する本発明の第2の
微弱光測定装置は、本発明の第2の微弱光測定装置、す
なわち、2つの入力信号端子を有しそれら2つの信号入
力端子から入力された2つの信号の差分を増幅して出力
する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つの信号入
力端子のうちのいずれか一方の信号入力端子に、該一方
の信号入力端子から見て互いに逆向きに接続された2つ
のダイオードを有する受光回路を備えた微弱光測定装置
を用意し、所定の信号光の発光レベルが相互に異なる被
測定体および参照体それぞれから発せられた第1の光お
よび第2の光を、上記受光回路の2つの各フォトダイオ
ードそれぞれに同時に入射させることを特徴とする。
【0026】ここで典型的には、被測定体は、自らが測
定の対象となる信号光を発するとともに、所定の光量
(所定の温度)の熱輻射による背景を発するものであ
り、参照体としては、被測定体と比べ熱輻射による背景
光の発光レベルは被測定体と同等であって、信号光は発
しない材料のものが選択される。ここで、上記本発明の
第1ないし第2の微弱光測定方法において、上記第1の
光を入射するフォトダイオードと、上記第2の光を入射
するフォトダイオードを、交互に交代させることが好ま
しい。フォトダイオード等のばらつきによる誤差の低減
化を図るためである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。図1は、本発明の微弱光測定装置の一実施形
態に組み込まれる微弱光測定回路の第1の例を示す回路
図である。前述した従来例(図18、図19参照)との
相違点について説明する。
【0028】図1に示す微弱検出回路では、電源61
は、ジャンクションFET21a,21bのドレイン
と、マイナス電源ライン51との間に配置されており、
抵抗12a,22bは、ジャンクションFET21a,
21bとマイナス電源ライン51との間に配置されてい
る。ジャンクションFET21a,21bからデュアル
ジャンクションFET21が構成されている。
【0029】また、差動増幅器20の第2の信号入力端
子20bにも、この第2の信号入力端子20bから見た
ときに、第1の信号入力端子20aから見たときのPI
Nフォトダイオード1の向きと同じ向きとなるようにP
INフォトダイオード11が接続され、また、このPI
Nフォトダイオード11と並列にMOSFET71が接
続されている。このMOSFET71は、MOSFET
7と同じタイミングでリセット信号が入力される。ま
た、PINフォトダイオード11の前面には、光学フィ
ルタ81が配置されている。この光学フィルタ81は光
学フィルタ8と同一特性のものであり、参照体(後述す
る)から発せられた、背景光が入射し、その背景光のう
ちの、信号光の波長と同一波長成分が透過してPINフ
ォトダイオード11に入射する。この図1に示す微弱光
検出回路には2個のPINフォトダイオード1,11が
備えられており、PINフォトダイオード1には、被測
定体から発せられた背景光と信号光との双方、PINフ
ォトダイオード11には参照体から発せられた背景光の
みが入射させ、差動増幅器20でそれらの差分が増幅さ
れて出力されるため、背景光が存在していてもその背景
光の影響がキャンセルされ、信号光のみを高感度に測定
することができる。
【0030】図2は、PINフォトダイオードを冷却し
ながらその端子電圧を測定した結果を示す図である。図
1に示す微弱光検出回路では、PINフォトダイオード
1,11には、積極的にバイアス電圧を印加していない
が、このPINフォトダイオード1,11を例えば50
Kに冷却すると約0.7Vの電圧が発生しこの電圧でP
INフォトダイオードがバイアスされより高感度の動作
が可能となる。あるいは、後述するように、積極的にバ
イアス電圧を印加する場合であっても、冷却温度を考慮
し、その冷却温度で発生する端子電圧を考慮したバイア
ス電圧が設定される。
【0031】図3は、図1に示す微弱光測定回路を含む
微弱光測定装置の構成構造図である。PINフォトダイ
オード1,11、差動増幅器20、及び光学フィルタ
8,81が容器100内に収納され、その容器100の
内部が例えば50Kにまで冷却される。この容器100
は、入射窓101を有している。また、この容器100
の入射窓101に対向する位置にもう1つの容器110
が配置され、この容器110内には、生体サンプル、例
えば白血球と、その白血球を刺激する薬品等の水溶液か
らなる被測定体120と、ダミー用の参照体130とが
配置される。被測定体120からは、熱輻射による背景
光のほか、刺激された白血球からの信号光も発せられ
る。一方、参照体130からなる温度環境上には被測定
体120と同一の環境に置かれ、被測定体120が発す
る背景光と同一の分光分布、同一の光量レベルの背景光
が発せられる。ただし、参照体130には、ここの例で
は白血球は含まれておらず信号光は発せられない。
【0032】容器110の底部には、信号光および背景
光を透過する光学材料で構成された出射窓111が形成
されており、被測定体120から発せられた信号光およ
び背景光は、容器110の出射窓111を透過し、容器
100の入射窓101から容器100内に入射し、光学
フィルタ8により、信号光はそのまま透過するとともに
背景光は信号光の波長と同一の波長成分のみが透過して
PINフォトダイオード1に入射する。一方参照体13
0から発せられた背景光は出射窓111から出射し入射
窓101から入射し、光学フィルタ81により信号光の
波長と同一の波長成分のみが透過してPINフォトダイ
オード11に入射する。各フォトダイオード1,11に
はそれらのPINフォトダイオード1,11の各入射光
により各光電流が発生しそれら各光電流による信号の差
分に対応する信号が差動増幅器20から出力される。
【0033】ここで、容器100ないし、容器100に
収納された微弱光検出回路(少なくともPINフォトダ
イオード1,11)を回転させてそれらPINフォトダ
イオード1,11の配置位置を交互に交代させ、あるい
は、PINフォトダイオード1,11の位置は固定され
ていても容器110の方を回転させて被測定体120か
ら発せられた信号光および参照光をPINフォトダイオ
ード11に入射するとともに参照体130から発せられ
た背景光をPINフォトダイオード1に入射すると、そ
れらのPINフォトダイオード1,11等のばらつきに
よる誤差をキャンセルし、より高精度の測定を行なうこ
とができる。
【0034】尚、ここでは、出射窓111,入射窓10
1は、信号光だけでなく背景光に関してもフィルタの役
割りはなさず透明であることを前提として説明したが、
背景光をできるだけカットするよう出射窓111ないし
入射窓101として光学フィルタを備えてもよい。その
とき、その出射窓111ないし入射窓101として備え
た光学フィルタで背景光が十分にカットされ、かつその
出射窓111ないし入射窓101自体から発せられる熱
輻射による背景光が問題にならないレベルであれば、図
3に示す光学フィルタ8,81は取り除いてもよい。
【0035】以下、本発明に用い得る微弱光測定回路の
種々の例について説明する。図4,図5は、微弱光測定
回路の、第2の例,第3の例を示す回路図である。図4
に示す回路例では、図1に示す回路例におけるPINフ
ォトダイオード1,11が、それぞれ直列に接続された
複数(ここでは各3個)のPINフォトダイオード1
a,1b,1c;11a,11b,11cで構成されて
おり、図5に示す回路例では、図1に示す回路例におけ
るPINフォトダイオード1,11が、それぞれ並列に
接続された複数(ここでは各3個)のPINフォトダイ
オード1a,1b,1c;11a,11b,11cで構
成されている。前述したように複数のPINフォトダイ
オードを直列ないし並列に接続するとS/Nが向上し一
層高精度の微弱光測定が可能となる。
【0036】図6は、微弱光測定回路の第4の例を示す
回路図である。図1に示す回路例として比べバイアス電
源31,32が付加されている。このようにバイアス電
源31,32を備えPINフォトダイオード1,11に
逆バイアス電源を付加すると、純粋なi層(空乏層)が
形成され一層高感度の測定が可能となる。
【0037】図7,図8は、微弱光測定回路の第5の
例,第6の例を示す回路図である。図1に示す回路例と
比べ、図6に示す回路例と同様にバイアス電源31,3
2を備えるとともに、図4,図5に示す回路例と同様
に、各PINフォトダイオード1,11が、それぞれ、
直列ないし並列に接続された複数のPINフォト1a,
1b,1c;11a,11b,11cで構成されてい
る。
【0038】バイアス電源31,32;31a,31
b,31c;32a,32b,32cを配置したことに
よる作用および各PINフォトダイオード1,11をそ
れぞれ複数のPINフォトダイオード1a,1b,1
c;11a,11b,11cで構成したことによる作用
は、それぞれ前述のとおりであり、重複説明を省略す
る。図9は、微弱光測定回路の第7の例を示す回路図で
ある。
【0039】この回路例では、差動増幅器20の2つの
信号入力端子20a,20bのうちの一方の、第1の信
号入力端子20aに、この第1の信号入力端子20aか
ら見て互いに逆向きに接続された2つのPINフォトダ
イオード1,11が備えられており、もう一方の第2の
信号入力端子20bには参照信号が入力されるよう構成
されている。
【0040】これまでに説明した、図1および図4〜図
8に示す回路例では被測定体から発せられた背景光と信
号光を入射するPINフォトダイオード1と参照体から
発せられた背景光を入射するPINフォトダイオード1
1を、互いに異なる信号入力端子20a,20bに接続
し、差動増幅器20で差分(背景光のキャンセル)を行
なっていたが、この図9に示す回路例では、PINフォ
トダイオード1の入射光のうちの背景光成分とPINフ
ォトダイオード11の入射光、すなわち背景光が差動増
幅器20に入力される前にキャンセルされ、信号光によ
る信号成分のみが差動増幅器20に入力される。
【0041】図10,図11は、微弱光測定回路の第8
の例,第9の例を示す回路図である。それぞれ直列(図
10の場合)ないし並列(図11の場合)に接続された
複数(ここでは3個)のPINフォトダイオード1a,
1b,1c;11a,11b,11cで構成されてい
る。
【0042】これらの回路列に示すように、本発明にお
いては、種々に構成された回路を採用することができ
る。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
微弱な信号光を背景光の影響を排除して高感度に測定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微弱光測定装置の一実施形態に組み込
まれる微弱光測定回路の第1の例を示す回路図である。
【図2】PINフォトダイオードを冷却しながらその端
子電圧を測定した結果を示す図である。
【図3】図1に示す微弱光測定回路を含む微弱光測定装
置の構成構造図である。
【図4】微弱光測定回路の第2の例を示す回路図であ
る。
【図5】微弱光測定回路の第3の例を示す回路図であ
る。
【図6】微弱光測定回路の第4の例を示す回路図であ
る。
【図7】微弱光測定回路の第5の例を示す回路図であ
る。
【図8】微弱光測定回路の第6の例を示す回路図であ
る。
【図9】微弱光測定回路の第7の例を示す回路図であ
る。
【図10】微弱光測定回路の第8の例を示す回路図であ
る。
【図11】微弱光測定回路の第9の例を示す回路図であ
る。
【図12】高抵抗型受光回路の原理回路図(a)、その
等価回路図(b)、およびその特性を示す図(c)であ
る。
【図13】電荷蓄積型受光回路の原理回路図(a)、そ
の等価回路図(b)、およびその特性を示す図(c)で
ある。
【図14】電荷蓄積型の受光回路を採用した微弱光検出
回路の一構成例を示す回路図である。
【図15】図14に示すPINフォトダイオード1を、
互いに直列に接続された複数(ここでは3個)のPIN
フォトダイオード1a,1b,1cで構成した微弱光検
出回路を示す回路図である。
【図16】図14にPINフォトダイオード1を、互い
に並列に接続された複数(ここでは3個)のPINフォ
トダイオード1a,1b,1cで構成した微弱検出回路
を示す回路図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,11,11a,11b,11c
PINフォトダイオード 7,71 MOSFET 8,81 光学フィルタ 20 差動増幅器 20a 第1の信号入力端子 20b 第2の信号入力端子 21 デュアルジャンクションFET 21a,21b ジャンクションFET 22a,22b 抵抗 31,31a,31b,31c,32,32a,32
b,32c バイアス電源 51 マイナス電源ライン 61 電源 100,110 容器 101 入射窓 111 出射窓 120 被測定体 130 参照体

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの信号入力端子を有しそれら2つの
    信号入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅し
    て出力する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つの
    信号入力端子それぞれに、該2つの信号入力端子それぞ
    れから見たときに同一の向きに接続された各フォトダイ
    オードを有する2つの受光回路を備えたことを特徴とす
    る微弱光測定装置。
  2. 【請求項2】 2つの信号入力端子を有しそれら2つの
    信号入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅し
    て出力する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つの
    信号入力端子のうちのいずれか一方の信号入力端子に、
    該一方の信号入力端子から見て互いに逆向きに接続され
    た2つのダイオードを有する受光回路を備えたことを特
    徴とする微弱光測定装置。
  3. 【請求項3】 前記受光回路が、該受光回路に備えられ
    たフォトダイオードに流れる電荷を蓄積して該電荷の蓄
    積により発生した電圧を前記信号入力端子に伝える電荷
    蓄積型の受光回路であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の微弱光測定装置。
  4. 【請求項4】 前記フォトダイオードがPINフォトダ
    イオードであることを特徴とする請求項1又は2記載の
    微弱光測定装置。
  5. 【請求項5】 前記受光回路が、該受光回路に備えられ
    たフォトダイオードに逆バイアス電圧を印加するバイア
    ス回路を備えたことを特徴とする請求項4記載の微弱光
    測定装置。
  6. 【請求項6】 前記フォトダイオードそれぞれが、互い
    に直列に接続された複数のフォトダイオードからなるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の微弱光測定装置。
  7. 【請求項7】 前記フォトダイオードそれぞれが、互い
    に並列に接続された複数のフォトダイオードからなるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の微弱光測定装置。
  8. 【請求項8】 前記フォトダイオードの受光面前面側
    に、所望の波長の光を該フォトダイオードに導くととも
    に該所望の波長以外の波長の光を除去する光学フィルタ
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の微弱光
    測定装置。
  9. 【請求項9】 前記受光回路および前記差動増幅器が、
    内部が冷却される容器に収納され、該容器が、該容器外
    部から、該容器に収納された前記受光回路に備えられた
    前記フォトダイオードに向けて入射しようとする入射光
    のうち所望の波長の光を入射させるとともに該入射光の
    うち該所望の波長以外の波長の光を吸収ないし反射する
    光学フィルタを備えた入射窓を有することを特徴とする
    請求項1又は2記載の微弱光測定装置。
  10. 【請求項10】 前記受光回路、前記差動増幅器、およ
    び前記光学フィルタが、内部が冷却される容器に収納さ
    れ、該容器が、該容器外部から、該容器に収納された前
    記光学フィルタに向けて入射しようとする入射光のうち
    の少なくとも前記所望の波長の光を入射させる入射窓を
    有することを特徴とする請求項8記載の微弱光測定装
    置。
  11. 【請求項11】 前記フォトダイオードの、該フォトダ
    イオードに入射する入射光に対する相対位置を、該フォ
    トダイオードどうしで交互に交代させる位置交代手段を
    備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の微弱光測
    定装置。
  12. 【請求項12】 2つの入力信号端子を有しそれら2つ
    の信号入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅
    して出力する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つ
    の信号入力端子それぞれに、該2つの信号入力端子それ
    ぞれから見たときに同一の向きに接続された各フォトダ
    イオードを有する2つの受光回路を備えた微弱光測定装
    置を用意し、 所定の信号光の発光レベルが相互に異なる被測定体およ
    び参照体それぞれから発せられた第1の光および第2の
    光を、前記2つの受光回路の各フォトダイオードそれぞ
    れに同時に入射させることを特徴とする微弱光測定方
    法。
  13. 【請求項13】 2つの入力信号端子を有しそれら2つ
    の信号入力端子から入力された2つの信号の差分を増幅
    して出力する差動増幅器、および前記差動増幅器の2つ
    の信号入力端子のうちのいずれか一方の信号入力端子
    に、該一方の信号入力端子から見て互いに逆向きに接続
    された2つのダイオードを有する受光回路を備えた微弱
    光測定装置を用意し、 所定の信号光の発光レベルが相互に異なる被測定体およ
    び参照体それぞれから発せられた第1の光および第2の
    光それぞれを、前記受光回路の2つの各フォトダイオー
    ドそれぞれに同時に入射させることを特徴とする微弱光
    測定方法。
  14. 【請求項14】 前記第1の光を入射するフォトダイオ
    ードと、前記第2の光を入射するフォトダイオードを、
    交互に交代させることを特徴とする請求項12又は13
    記載の微弱光測定方法。
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