JPH09224669A - ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系 - Google Patents

ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系

Info

Publication number
JPH09224669A
JPH09224669A JP3237696A JP3237696A JPH09224669A JP H09224669 A JPH09224669 A JP H09224669A JP 3237696 A JP3237696 A JP 3237696A JP 3237696 A JP3237696 A JP 3237696A JP H09224669 A JPH09224669 A JP H09224669A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vector
bacterium
plasmid
nitrosomonas
host
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3237696A
Other languages
English (en)
Inventor
Taro Iiizumi
太郎 飯泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Water Industries Ltd filed Critical Kurita Water Industries Ltd
Priority to JP3237696A priority Critical patent/JPH09224669A/ja
Publication of JPH09224669A publication Critical patent/JPH09224669A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニトロソモナス属細菌に遺伝子を導入するこ
とができるベクターを提供し、ニトロソモナス属細菌を
形質転換する。 【解決方法】 IncQ系のプラスミドをベクターとし
て使用して遺伝子を導入し、ニトロソモナス属細菌を形
質転換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニトロソモナス属
細菌用ベクター、およびニトロソモナス属細菌の宿主−
ベクター系に関する。
【0002】
【従来の技術】アンモニア酸化細菌はアンモニアを酸化
して亜硝酸を生成する化学反応を通じてエネルギーを獲
得する独立栄養細菌であり、この菌によるアンモニア酸
化は自然環境中の窒素循環において重要な役割を持って
いる。ニトロソモナス属細菌はこのようなアンモニア酸
化細菌に属する細菌であり、土壌、水中、廃水プラント
等の環境中に広範囲に生息することが知られている。
【0003】環境浄化における排水中の窒素除去は自然
環境中の窒素循環を模擬したプロセスによって行われて
いる。すなわち、排水中のアンモニアをアンモニア酸化
細菌および亜硝酸酸化細菌を用いて硝酸に酸化し、さら
に窒素呼吸能を持つ細菌によって硝酸を還元し、窒素ガ
スとして空気中に放出する。このようなプロセスのアン
モニア酸化過程において、アンモニア酸化細菌は必要不
可欠な微生物であり、ニトロソモナス属細菌の研究が最
も進んでいる。
【0004】ニトロソモナス属細菌を遺伝子工学的手法
を用いた育種によって機能改変することにより、新たな
機能が付与された菌株、例えばアンモニア酸化効率の高
い菌株、アンモニア・亜硝酸両方を酸化できる菌株、硝
化・脱窒能を両方兼ね備えた菌株などを構築することが
可能になる。
【0005】現在、宿主となる微生物細胞への外来遺伝
子の導入には、プラスミドまたはファージをベクターと
して利用して導入する遺伝子工学的手法が一般的に用い
られている。具体的な方法としては、接合伝達法、陽イ
オン処理法、プロトプラスト法、エレクトロポレーショ
ン法などが知られている。ベクターとして用いられるプ
ラスミド、ファージは通常宿主または宿主が属する細菌
群の別株から見出されるが、宿主の種類に対して幅広い
対応を持つプラスミドの存在も知られており、進化学的
に極めて遠縁の微生物から分離されたプラスミドでもベ
クターとして利用できる場合もある。このようなベクタ
ーに外来DNAを連結し、このベクターを宿主に導入し
て形質転換することにより、宿主に新たな形質を付与す
ることが可能になる。
【0006】しかしながら、ニトロソモナス属細菌内に
存在するプラスミドは知られておらず、またニトロソモ
ナス属細菌用のベクターとして利用することができる異
種微生物のプラスミドやニトロソモナス属細菌に感染す
るファージも知られていない。このためニトロソモナス
属細菌にベクターを用いて外来遺伝子を導入することは
できないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ニト
ロソモナス属細菌に遺伝子を効率よく導入することがで
きるニトロソモナス属細菌用ベクター、およびこれを用
いたニトロソモナス属細菌の宿主−ベクター系を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次のニトロソモ
ナス属細菌用のベクターおよび宿主−ベクター系であ
る。 (1)ニトロソモナス(Nitorosomonas)属細菌を宿主
とするベクターにおいて、IncQ系のプラスミドから
なることを特徴とするニトロソモナス属細菌用ベクタ
ー。 (2)ニトロソモナス(Nitorosomonas)属細菌を宿主
とし、IncQ系のプラスミドをベクターとすることを
特徴とするニトロソモナス属細菌の宿主−ベクター系。
【0009】本発明において宿主として使用するニトロ
ソモナス(Nitorosomonas)属細菌はアンモニアを酸化
して亜硝酸を生成し、このとき得られるエネルギーを用
いて二酸化炭素の同化を行う独立栄養細菌であり、具体
的にはNitorosomonas europaeaなどが使用できる。ニト
ロソモナス属細菌はATCC(American Type Culture
Collection)、IFO(Institute for Fermentation, O
saka)などの公的微生物保存機関から入手可能であり、
これらの機関から分譲されたものを使用することができ
る。具体的には、Nitorosomonas europaea IFO14298株
などがあげられる。またニトロソモナス属細菌は土壌、
海水、廃水処理プラントなどの環境中に広範囲に生息し
ており、これらの環境中から分離した菌株を使用するこ
ともできる。
【0010】ニトロソモナス属細菌を生育させる培地と
しては、エネルギー源としてアンモニアまたはアンモニ
ウム塩を含み、さらに無機塩としてカリウム、ナトリウ
ム、リン酸、マグネシウム、カルシウム等の各種塩類を
含む培地を使用することができる。培養温度はニトロソ
モナス属細菌が良好に生育する温度、好ましくは25〜
30℃がよい。培地pHは6.5〜8.5、好ましくは
7.5〜8.0の範囲に保つことが望ましい。培養中、
亜硝酸の生成によってpHが低下するので、pH計やフ
ェノールレッド、クレゾールレッド等のpHインディケ
ーターを用いて培地pHをモニターし、pH低下が観察
された時点でアルカリ性の溶液を培地中に添加してpH
を前記値に保つことが好ましい。振盪または通気によっ
て好気的に暗所で培養を行い、菌体が対数増殖期にあり
菌体濃度が高まった時点、好ましくは菌体濃度として1
5〜107cells/mlとなった時点で集菌するの
が好ましい。増殖した菌体は遠心分離、膜濃縮などの方
法を用いて集菌することができる。
【0011】一般に複製機構や分配機構が同じである類
縁の2種プラスミドを同一宿主に導入した場合、これら
は安定に共存することができない。この現象は不和合性
(incompatibility)と呼ばれている。プラスミドの分
類には不和合性を利用した分類法が提唱されており、不
和合性を示すプラスミドはひとつの不和合性グループと
してグループ化される。現在、30程度のグループ(例
えば、IncA、IncB・・・・)が知られている。
【0012】本発明のニトロソモナス属細菌用ベクター
はIncQ系の不和合性グループに属するプラスミドか
らなる。IncQ系のプラスミドは、通常グラム陰性細
菌の広宿主域プラスミドであり、公知であるが、ニトロ
ソモナス属細菌用のベクターとして使用された例はな
い。
【0013】本発明におけるIncQ系のプラスミドの
具体的なものとしては、RSF1010(J. Bacterio
l., 117, 619(1974))、pKT240(Gene, 26, 273(1
983))、pKT230(Gene 16, 237(1981))、およびこ
れらのプラスミドから派生したものなどがあげられる。
なお、RSF1010の全塩基配列はGene, 75(1989)27
1-288に記載されている。
【0014】本発明におけるIncQ系のプラスミドは
プラスミドが導入された細胞を選択するためのマーカー
遺伝子を有している必要がある。マーカー遺伝子として
は、宿主の遺伝的形質を変化させるものがよい。例え
ば、β−ガラクトシダーゼ遺伝子やルシフェラーゼ遺伝
子のように発色基質、発光基質等の存在で宿主に発色・
発光等の表現形質を与えるもの;アミノ酸合成系の遺伝
子のように宿主の栄養要求性を相補できるもの;カナマ
イシンやアンピシリン等の抗生物質に対する耐性遺伝子
のように薬剤に対する耐性を宿主に与えるものなどが適
当であるが、スクリーニングの容易さから抗生物質耐性
を宿主に与えるマーカー遺伝子が適している。具体的な
抗生物質耐性遺伝子としては、アミノグルコシド 3′
−ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(カナマイシン耐性
遺伝子)などがあげられる。
【0015】前記pKT240は前記RSF1010に
由来するプラスミドであって、アンピシリン耐性遺伝
子、およびカナマイシン耐性遺伝子などを有する12.
9kbのプラスミドである。pKT240はEco
I、HpaI、SstI、BamHI、HindIII、
ClaI、XhoI、BstEIIなどの制限酵素切断部
位を有しており、この部位をクローニングサイトとして
外来遺伝子を連結することができる。pKT240はA
TCCから入手できる(ATCC No.37258; ATCC Catalogu
e of Recombinant DNA Materials 2nd edition, 199
1)。
【0016】前記pKT230は前記RSF1010に
由来するプラスミドであって、カナマイシン耐性遺伝
子、およびストレプトマイシン遺伝子などを有する1
1.9kbのプラスミドである。pKT230はHin
dIII、BamHI、XmaI、XhoI、Eco
I、SstI、BstEIIなどの制限酵素切断部位を有
しており、この部位をクローニングサイトとして外来遺
伝子を連結することができる。pKT230はATCC
から入手できる(ATCC No.37294; 前記ATCCのカタ
ログ)。
【0017】本発明におけるIncQ系のプラスミドは
必ずしもニトロソモナス属細菌を宿主とする組換体から
抽出・調製する必要はなく、大腸菌等のグラム陰性細菌
を宿主とする組換体から抽出・調製することができる。
【0018】本発明のニトロソモナス属細菌の宿主−ベ
クター系は、前記ニトロソモナス属細菌を宿主とし、前
記IncQ系のプラスミドをベクターとする宿主−ベク
ター系であり、この宿主−ベクター系を用いることによ
り、発現させようとするタンパク質をコードするDNA
をベクターに連結して宿主となるニトロソモナス属細菌
に導入することで、ニトロソモナス属細菌を遺伝子工学
的に育種することが可能である。
【0019】宿主となるニトロソモナス属細菌にInc
Q系のプラスミドを導入する方法としては、エレクトロ
ポレーション法、接合伝達法、カルシウム処理法、プロ
トプラスト法など、公知の宿主へのプラスミド(ベクタ
ー)の導入法が採用できる。
【0020】エレクトロポレーション法によりニトロソ
モナス属細菌にIncQ系のプラスミドを導入する場
合、ニトロソモナス属細菌の菌体懸濁液にIncQ系の
プラスミド溶液を混合し、この宿主−ベクター混合液に
5〜25kV/cm、好ましくは12.5kV/cm以
上の電気パルスを1〜15msec、好ましくは約5m
sec与えるのが望ましい。具体的な操作としては、宿
主−ベクター混合液を電極と連結可能な構造を持つ容器
に移し、陰陽両電極を介してパルス発生装置と連結し、
電気パルスを負荷する。電気パルスの瞬間的な負荷によ
って、宿主の細胞膜・内細胞膜・細胞壁に孔があき、こ
の孔からベクターが細胞内に導入される。
【0021】上記ニトロソモナス属細菌の菌体懸濁液と
しては、前述のような方法で集菌した菌体を、例えば次
のような方法により懸濁して形質転換に使用する。すな
わち、氷中で冷却した後、予め冷却しておいた10%グ
リセリン溶液または10%ショ糖溶液などの高張緩衝液
を用いて洗浄する。この高張緩衝液は無機塩、金属イオ
ン等をほとんど含まない低イオン濃度の溶液であること
が好ましい。さらに同じ緩衝液を用いて高菌体濃度、好
ましくは終濃度108〜1010cells/mlになる
ように懸濁する。この懸濁液は数分ないし1時間程度の
短時間であれば氷中で保存しておいても差支えない。
【0022】前記プラスミド溶液としては、前記Inc
Q系のプラスミドを適当な水性媒体に溶解して用いるこ
とができるが、水またはTE(10mM Tris−H
Cl(pH7.5)、1mM EDTA)緩衝液などの
低塩濃度の水溶液に溶解して用いるのが好ましい。
【0023】接合伝達法によりニトロソモナス属細菌に
IncQ系のプラスミドを導入する場合、IncQ系の
プラスミドは単独では伝達能力を持たないので供与菌と
してはIncQ系のプラスミドの伝達に必要なtra
伝子群をプラスミド上または染色体上に内在するグラム
陰性細菌を用いることが望ましい。このような供与菌を
用いることによって、可動化(mobilization)により、
高頻度にニトロソモナス属細菌にIncQ系のプラスミ
ドを導入することができる。
【0024】IncQ系のプラスミドは、前述の供与菌
にエレクトロポレーション、カルシウム処理法等の方法
により、あらかじめ導入しておかなければならない。得
られたIncQ系のプラスミドを含む供与菌と受容菌で
あるニトロソモナス属細菌とを混合して培養することに
よって、供与菌から受容菌へのIncQ系のプラスミド
の移行が起こる。
【0025】この場合、生育培地としては、供与菌、受
容菌がともに生育可能な培地を用いる必要があり、また
両者がともに生育可能な温度下で培養しなければならな
い。また、接合伝達に必要な時間は数分〜数時間である
が、伝達後プラスミド上のマーカー遺伝子が充分発現す
る時間、好ましくは1〜4日程度培養することが望まし
い。
【0026】IncQ系のプラスミドの導入後は、プラ
スミド導入時の菌体損傷の回復、およびプラスミドにコ
ードされた遺伝子の発現を行うための培養を行う。菌体
を生育させる培地としては、エネルギー源としてアンモ
ニアまたはアンモニウム塩を含み、さらに無機塩として
カリウム、ナトリウム、リン酸、マグネシウム、カルシ
ウム等の各種塩類を含む培地を使用することができる。
培養温度はニトロソモナス属細菌が良好に生育する温
度、好ましくは25〜30℃がよい。初発培地pHは8
前後が好ましい。このような条件で、暗所で振盪または
通気によって好気的に培養を行うのが好ましい。培養期
間は菌体損傷が充分回復し、マーカー遺伝子が充分発現
する期間、例えば1〜5日間の培養を行えばよい。
【0027】培養後の菌体は選択培地に移して、プラス
ミドが導入された細胞だけを選別するための培養を行
う。培地としては、エネルギー源としてアンモニアまた
はアンモニウム塩を含み、さらに無機塩としてカリウ
ム、ナトリウム、リン酸、マグネシウム、カルシウム等
の各種塩類を含む培地が好ましい。そしてプラスミドが
導入された細胞だけを選別できるように培養条件を設定
する必要があり、例えばマーカー遺伝子として抗生物質
耐性遺伝子を用いている場合は、培地中に選択圧として
抗生物質を添加する。接合伝達法を採用した場合は、供
与菌の生育を抑えるための選択圧も加える必要があり、
例えば宿主(受容菌)は耐性を持つが、供与菌は感受性
を持つ薬剤を培地中に添加する。培地の形状としては、
寒天、ゲランガム、シリカゲル等のゲル化剤を用いて固
化させたものが好ましい。
【0028】培養温度は25〜30℃、初発培地pHは
8前後が好ましい。このような条件のもとに、暗所で2
〜4週間、菌体が充分生育するまで培養を行い、マーカ
ー遺伝子が発現した細胞をプラスミドが導入された細胞
として分離することができる。
【0029】以上のような方法によりニトロソモナス属
細菌にベクターを導入できるので、本発明のIncQ系
のプラスミドに目的とする遺伝子を連結して導入するこ
とにより、例えばアンモニア酸化効率の高いニトロソモ
ナス属細菌、アンモニアおよび亜硝酸の両方を酸化でき
るニトロソモナス属細菌、硝化および脱窒能の両方を兼
ね備えたニトロソモナス属細菌などを構築することが可
能である。そしてこのような菌株は環境浄化における排
水中の窒素除去プロセスに好適に利用することができ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明のニトロソモナス属細菌用ベクタ
ーは、従来ベクターが知られていないニトロソモナス属
細菌用のベクターであり、本発明のニトロソモナス属細
菌用ベクターを用いることにより、宿主となるニトロソ
モナス属細菌に効率よく遺伝子を導入することができ
る。本発明のニトロソモナス属細菌の宿主−ベクター系
は、上記ベクターを使用しているので、宿主となるニト
ロソモナス属細菌に効率よく遺伝子を導入することがで
きる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。実施例で使用したプラスミド、微生物などは次の
通りである。 《Nitrosomonas europaea IFO14298株》IFO発行の
「LIST OF CULTURES 1992 MICROORGANISMS NINTH EDITI
ON」に記載されている。
【0032】《pKT240》IncQ系のプラスミ
ド。ATCCから入手できる。ATCC No.372
58(Catalogue of Recombinant DNA Materials 2nd e
dition, 1991)。 《Escherichia coli S17-1》IncP系プラスミドRP
4を染色体上に内在する大腸菌であって、作成方法はBI
O/TECHNOLOGY 1, 784-791(1983)に記載されており、ま
たUS. Department ofAgriculture, Northern Regional
Research Centerに寄託されている(Accession No.B-15
483, US. Patent 4,680,264)。
【0033】《P培地》(NH42SO4=2.5g/
l、KH2PO4=0.7g/l、Na2HPO4=13.
5g/l、NaHCO3=0.5g/l、MgSO4・7
2O=0.1g/l、CaCl2・2H2O=5mg/
l、Fe−EDTA=1mg/l、pH8.0 《LB培地》バクト−トリプトン(ディフコ社)=10
g/l、バクト−イーストエキストラクト(ディフコ
社)=5g/l、NaCl=5g/l、pH7.0 《メイティング用培地》バクト−トリプトン(ディフコ
社)=1.0g/l、バクト−イーストエキストラクト
(ディフコ社)=5g/l、(NH42SO4=2.5
g/l、KH2PO4=0.7g/l、Na2HPO4=1
3.5g/l、NaHCO3=0.5g/l、MgSO4
・7H2O=0.1g/l、CaCl2・2H2O=5m
g/l、Fe−EDTA=1mg/l、ゲランガム=1
0g/l、pH7.5
【0034】実施例1Nitrosomonas europaea IFO14298株を100mlのP培
地を含む培養用フラスコに植菌して、暗所で30℃、1
4日間の振盪培養を行い、前培養とした。この前培養液
30mlを、3 literのP培地を含む5 liter容発酵槽
に植種し、通気量0.5vvm、攪拌数250rpm、
30℃の条件で10日間暗所で培養した。培地pHは
8.0を保つようにpH電極とNaOHの添加を連動さ
せて調整した。培養終了時の菌濃度は7×105cel
ls/mlであった。
【0035】上記培養液2.5 literをただちに氷中で
冷却し、遠心分離(8000g、15分間)によって菌
体を集菌した。集菌した菌体は氷冷しておいた10%グ
リセリン水溶液50mlに懸濁して洗浄した後、遠心分
離によって回収した。回収した菌体は、さらに氷冷10
%グリセリン水溶液1mlに懸濁し、氷中に10分間置
いた。この時点で菌濃度は1.8×109cells/
mlであった。
【0036】上記懸濁液を40μlずつ、予め氷冷して
おいた1.5ml容量の微量遠沈管に分注した後、プラ
スミドpKT240を100ng/μlの濃度で含む水
溶液5μlを混合し、さらに1分間氷冷した。この菌体
−プラスミド混合液を下記のようにして処理し、エレク
トロポレーション法により形質転換を行った。なお装置
としてはバイオラッド社(Bio−Rad社)製のジー
ンパルサーおよびキュベットを使用した。すなわち、菌
体−プラスミド混合液40μlを氷冷しておいたキュベ
ット(電極間隔0.2cm)に移し、ただちにジーンパ
ルサー・キュベットチャンバーに装着して電気パルスを
かけた。パルスの設定条件は、5〜12.5kV/c
m、5.0msecとした。
【0037】パルス後、ただちにキュベットに1mlの
新鮮なP培地を添加し、パスツールピペットを用いて菌
体−プラスミド混合液とよく混和した後、その全量を4
mlのP培地を分注しておいた培養用試験管に移した。
培養用試験管より0.1mlを生菌数測定用の試料とし
て分取した後、残りを30℃で4日間、暗所で振盪培養
した。
【0038】上記培養液を遠心分離(10,000g×
10分間)して菌体を回収し、0.1mlの50mMリ
ン酸緩衝液(pH8.0)に懸濁した。懸濁液全量を、
25μg/mlのカナマイシンを含有したP平板培地
(1%(w/v)ゲランガムで固化したP培地)に塗布
し、30℃で3週間培養した。形質転換された細胞は本
培地上で生育可能なカナマイシン耐性コロニーとして分
離された。
【0039】表1に各設定電位における細胞生存率と形
質転換率を示す。
【表1】
【0040】実施例2Nitrosomonas europaea IFO14298株を100mlのP培
地を含む培養用フラスコに植菌して、暗所で30℃、1
4日間の振盪培養を行い、前培養とした。この前培養液
30mlを、3 literのP培地を含む5 liter容発酵槽
に植種し、通気量0.5vvm、攪拌数250rpm、
30℃の条件で7日間暗所で培養した。培地pHは8.
0を保つようにpH電極とNaOHの添加を連動させて
調整した。培養終了時の菌濃度は6×104cells
/mlであった。
【0041】上記培養液2 literをただちに氷中で冷却
し、遠心分離(8000g、15分間)によって菌体を
集菌した。集菌した菌体は氷冷しておいた50mMリン
酸緩衝液(pH7.5)に懸濁して洗浄した後、遠心分
離によって回収した。回収した菌体は、さらに氷冷した
50mMリン酸緩衝液50μlに懸濁し、氷中に10分
間置いた。この時点で菌濃度は2.4×109cell
s/mlであった(以下、N. europaea懸濁液とい
う)。
【0042】上記操作とは別に、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA., 69, 2110 (1972)記載の方法により、Escheri
chia coli S17-1株にpKT240を導入し、Escherich
iacoli S17-1(pKT240)株を得た。この菌株を、
25μg/mlのカナマイシンを含有するLB培地50
mlを入れた培養用フラスコに植菌し、37℃で16時
間の振盪培養を行った。
【0043】上記培養液約20mlをただちに氷中で冷
却し、遠心分離(8000g、15分間)によって菌体
を集菌した。集菌した菌体は氷冷しておいた50mMリ
ン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁して洗浄した後、遠心
分離によって回収した。同様の洗浄をさらに2回繰返し
た後、菌体を氷冷した50mMリン酸緩衝液(pH8.
0)1mlに懸濁し、氷中に10分間置いた。この時点
で菌濃度は1.0×1010cells/mlであった
(以下、E. coli(pKT240)懸濁液という)。
【0044】前記N. europaea懸濁液25μlとE. co
li(pKT240)懸濁液10μlとを、予めメイティ
ング用培地上に置いた0.22μmのポアサイズのミリ
ポアフィルター上に滴下し、マイクロピペットを用いて
よく混合した。この混合物を30℃で4日間暗所にて培
養した。
【0045】上記培養液をフィルターごと氷冷しておい
た50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に移し、よく懸
濁した後、同緩衝液を用いて10倍の希釈系列を作成し
た。懸濁液および希釈液各0.1mlを、5μg/ml
のテトラサイクリンおよび25μg/mlのカナマイシ
ンを含有するP平板培地に塗布し、30℃で3週間暗所
にて培養した。プラスミドが伝達された細胞(トランス
コンジュガント:transconjugant)は上記培地上で生育
可能なカナマイシン耐性コロニーとして分離された。伝
達頻度(全トランスコンジュガント/全受容菌)は1.
7×10-5であった。
【0046】トランスコンジュガントは5μg/mlの
テトラサイクリンおよび25μg/mlのカナマイシン
を含有するP培地で30℃、2週間暗所で振盪培養し
た。再度、10μg/mlのテトラサイクリンおよび2
5μg/mlのカナマイシンを含有するP平板培地に塗
布し、30℃で3週間培養してコロニーを純化し、トラ
ンスコンジュガントを得た。
【0047】実施例3 実施例1、2で得られた形質転換体およびトランスコン
ジュガントを、25μg/mlのカナマイシンを含有す
る100mlのP培地で2週間振盪培養を行い、次のよ
うにしてプラスミドの分離を行った。すなわち、培養液
50mlを氷冷後、遠心分離(12,000g×10分
間)によって菌体を回収し、100μlの50mMグル
コース、25mM Tris−HCl(pH8.0)、
10mMEDTA溶液に懸濁し、1.5ml容量の微量
遠心管に移した。室温に10分間置いた後、200μl
の0.2N NaOH、1%SDS溶液を加え、菌体を
溶菌させた。さらに、室温で10分間置いた後、150
μlの3M酢酸緩衝液(pH4.8)を加え、氷中に3
0分間放置した。
【0048】次に、遠心分離(10,000g×5分
間)によって上澄液を分画し、これを新たな微量遠心管
に移した。さらに、400μlのTE飽和、フェノール
・クロロホルム・イソアミルアルコール混液(25:2
4:1)を加え、激しく攪拌した。遠心分離(10,0
00g×5分間)によって水層を分画した後、これを注
意深く分取し、新たな微量遠心管に移した。1mlの氷
冷エタノールを加えてよく混合した後、−80℃で30
分間冷却した。遠心分離(10,000g×10分間)
によって得られた沈澱物を70%エタノール水溶液でリ
ンスし、デシケーター中で減圧乾燥した。
【0049】得られた乾燥物を10μg/mlのRNa
seIを含むTE溶液10μlに懸濁して試料とした。
この試料を1%アガロースゲル電気泳動にかけた後、エ
チジウムブロミド染色によってDNAのバンドを検出し
た。結果を図1に示す。また試料を制限酵素で処理した
後、上記と同様にしてDNAバンドを検出した。結果を
図2に示す。
【0050】図1において、レーン1はラムダファージ
DNAのHindIII消化物、レーン2は宿主由来の抽
出物、レーン3は実施例1で得られた形質転換体由来の
抽出物、レーン4は実施例2で得られたトランスコンジ
ュガント由来の抽出物を示す。図の左側の数字はラムダ
ファージDNAのHindIII消化物の鎖長(kb)を
表す。なおレーン2は、宿主細胞をカナマイシンを含ま
ないP培地で培養して得た抽出物である。
【0051】図2において、レーン1はラムダファージ
DNAのHindIII消化物、レーン2はpKT240
EcoRIおよびBamHI消化物、レーン3はpK
T240のPstI消化物、レーン4は実施例1で得ら
れた形質転換体より抽出したプラスミドのEcoRIお
よびBamHI消化物、レーン5は実施例1で得られた
形質転換体より抽出したプラスミドのPstI消化物、
レーン6は実施例2で得られたトランスコンジュガント
より抽出したプラスミドのEcoRIおよびBamHI
消化物、レーン7は実施例2で得られたトランスコンジ
ュガントより抽出したプラスミドのPstI消化物を示
す。図の左側の数字はラムダファージDNAのHin
III消化物の鎖長(kb)を表す。
【0052】図1から明らかなように、宿主はプラスミ
ドDNAを保持しないが(レーン2)、形質転換体およ
びトランスコンジュガント細胞内にはプラスミドDNA
の存在が確認された(レーン3、4)。また図2から明
らかなように、レーン4、5およびレーン6、7の分解
パターンはpKT240の分解パターン(レーン2、
3)と一致しているので、実施例1で得られた形質転換
体および実施例2で得られたトランスコンジュガントか
ら抽出したプラスミドはpKT240であることが確認
された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた形質転換体(レーン3)お
よび実施例2で得られたトランスコンジュガント(レー
ン4)のDNAの電気泳動パターンを示す図である。
【図2】実施例1で得られた形質転換体(レーン4、
5)および実施例2で得られたトランスコンジュガント
(レーン6、7)のDNAの制限酵素消化物の電気泳動
パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトロソモナス(Nitorosomonas)属細
    菌を宿主とするベクターにおいて、IncQ系のプラス
    ミドからなることを特徴とするニトロソモナス属細菌用
    ベクター。
  2. 【請求項2】 ニトロソモナス(Nitorosomonas)属細
    菌を宿主とし、IncQ系のプラスミドをベクターとす
    ることを特徴とするニトロソモナス属細菌の宿主−ベク
    ター系。
JP3237696A 1996-02-20 1996-02-20 ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系 Pending JPH09224669A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3237696A JPH09224669A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3237696A JPH09224669A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09224669A true JPH09224669A (ja) 1997-09-02

Family

ID=12357244

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3237696A Pending JPH09224669A (ja) 1996-02-20 1996-02-20 ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09224669A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998035050A1 (fr) * 1997-02-07 1998-08-13 Sumitomo Chemical Company, Limited Plasmides tires de bacteries oxydant le gaz ammoniaque et leur utilisation

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998035050A1 (fr) * 1997-02-07 1998-08-13 Sumitomo Chemical Company, Limited Plasmides tires de bacteries oxydant le gaz ammoniaque et leur utilisation
US6350577B1 (en) 1997-02-07 2002-02-26 Sumitomo Chemical Co., Ltd. Plasmids originating in ammonia oxidizing bacteria and use of the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Selvaraj et al. Suicide plasmid vehicles for insertion mutagenesis in Rhizobium meliloti and related bacteria
Nies et al. Cloning of plasmid genes encoding resistance to cadmium, zinc, and cobalt in Alcaligenes eutrophus CH34
Lundquist et al. Transitory derepression and the maintenance of conjugative plasmids
Cohen et al. Transposon mutagenesis of Nostoc sp. strain ATCC 29133, a filamentous cyanobacterium with multiple cellular differentiation alternatives
JP5048605B2 (ja) アシディチオバチルス属の細菌をトランスフォームするためのプラスミド、及びトランスフォーメーション法
Lyras et al. Conjugative Transfer of RP4-oriTShuttle Vectors fromEscherichia colitoClostridium perfringens
US4626504A (en) DNA transfer vector for gram-negative bacteria
Breton et al. Transfer of plasmid RP4 to Myxococcus xanthus and evidence for its integration into the chromosome
Gowland et al. Transfer and stability of drug resistance plasmids in Escherichia coli K12
CN108384812B (zh) 一种酵母基因组编辑载体及其构建方法和应用
US20220056457A1 (en) Cis conjugative plasmid system
JPH0353912B2 (ja)
Paget et al. Development of engineered genomic DNA to monitor the natural transformation of Pseudomonas stutzeri in soil-like microcosms
EP0091723B1 (en) Vector system
JPS62155081A (ja) 新規微生物およびそれを用いる醗酵法によるビオチンの製造法
US3923603A (en) Discrete plasmid construction from chromosomal genes in pseudomonas
IL167067A (en) Plasmid-free clone of e. coli strain dsm 6601
JPH09224669A (ja) ニトロソモナス属細菌用ベクターおよび宿主−ベクター系
US4686184A (en) Gene transfer vector
Weaver et al. Complementation of a Rhodopseudomonas sphaeroides ribulose bisphosphate carboxylase-oxygenase regulatory mutant from a genomic library
Pischl et al. Transposon-facilitated chromosome mobilization in Agrobacterium tumefaciens
Atkins et al. Transformation of Xanthomonas campestris pathovar campestris with plasmid DNA
Noti et al. [12] Site-directed Tn5 and transplacement mutagenesis: Methods to identify symbiotic nitrogen fixation genes in slow-growing Rhizobium
Strzelecki et al. Behavior of the IncW plasmid Sa in Zymomonas mobilis
WO1990015138A1 (en) Recombinant rhizobium bacteria inoculants