JPH0921810A - 脂質単分子膜によるペプチド認識方法 - Google Patents

脂質単分子膜によるペプチド認識方法

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JPH0921810A
JPH0921810A JP17117295A JP17117295A JPH0921810A JP H0921810 A JPH0921810 A JP H0921810A JP 17117295 A JP17117295 A JP 17117295A JP 17117295 A JP17117295 A JP 17117295A JP H0921810 A JPH0921810 A JP H0921810A
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克彦 有賀
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】汎用性のある、簡便で安価な手段としての新し
いペプチド認識の方法を提供する。 【解決手段】ペプチドユニットを親水頭部に持つ脂質の
単分子膜表面で水溶性のペプチド分子を選択的に認識す
る方法、またこのような単分子膜を他の脂質で希釈した
単分子膜表面でペプチド分子を異なる選択性で認識する
方法、さらにこのようにして作成した単分子膜を固体基
板上にうつしとって特定のペプチド分子を分離・固定化
する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脂質単分子膜に
よってペプチド分子を選択的に認識する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】多くのペプチドはホルモンな
どの生理活性物質として知られている。これらは、多く
の生体機構の制御に重要な役割を果たしており、特有な
ペプチド認識がそれらの系の特異性の源となっている。
そのような観点から、所望のペプチドを認識する系を人
工的に構築することは、新規のバイオセンサーや薬剤な
どの開発において、極めて重要であるといえる。
【0003】しかしながら、一般にペプチド認識系を人
工的に作りだすことは困難なことが知られている。その
大きな原因は、ペプチドの持つ構造多様性である。それ
と言うのも、ペプチドはアミノ酸の重合体であるが、天
然のアミノ酸に限っても、その種類は約20種にもなる
からである。そして、それらが結合してできるペプチド
の組み合わせは、数量体に限ったとしても膨大な数にな
るからである。また、それぞれのアミノ酸残基はそれぞ
れに安定なコンホメーションをとり、それはアミノ酸残
基の結合順序にも依存する。さらに、ペプチドがある程
度の長さになると、分子間および分子内で水素結合をつ
くり、シークエンスに特有な二次構造を形成する。この
ように、ペプチド類においては、その化学構造ならびに
それらに誘起される立体構造が極めて多様であり、それ
らに対応する認識システムを開発するのは極めて困難で
ある。
【0004】それに対して、実際に行われているこれま
でのペプチド認識法としては、以下のような手法があ
る。まず、既知の天然のペプチドレセプター分子をその
まま用いたり、そのX線結晶構造解析データに基づいて
人工レセプターを合成するという方法が挙げられる。天
然のレセプターをそのまま用いる方法では、レセプター
の抽出精製に労力を要し、また、それらのレセプターの
生体外での安定性や長期安定性などが問題となる。天然
レセプターに類似のレセプターを人工的に合成する方法
では、天然レセプターの構造解析およびそれに基づく合
成などに、さらに多くの時間と費用を要する。これらの
方法は各々のペプチドに対して独立に行われるので、新
しいペプチドに対しては新たなレセプターの発見および
類似人工レセプターの開発を一からやり直さねばならな
いことになる。この点から考えると、この手法は系統的
にペプチド認識系を見いだす手法ではなく、全てのペプ
チドに対して適用されうる一般的技術とはいいがたい。
【0005】また、この問題点を改善し、特定のペプチ
ドに対する適当なレセプターを系統的にスクリーニング
する方法として、ペプチドライブラリーによる方法が考
案されている。この方法では、いろいろな種類の短いペ
プチド鎖を担体等に固定化し、注目するペプチド鎖に結
合するレセプターを系統的にスクリーニングすることが
できる。この方法は、多くのペプチドに対して広く適用
できるという一般性をもつ。しかしながら、全体の工程
において多くの労力、時間、費用が費されるという欠点
は解消されておらず、生産性に劣る。また、ペプチドラ
イブラリー作成には、高価で特殊な装置が必要である。
【0006】一方、天然のペプチドが安定性に欠けてい
る点を考慮して、ペプチド認識能をもつホスト分子を有
機化学的に合成するという方法が研究されている。しか
しながら、多くの研究例が、有機溶媒中において行われ
ており、本来水溶性のペプチドに対して広く適用されう
る方法ではない。この原因は、ホスト化合物が水溶性に
劣ること、および、ペプチド結合の拠り所となる静電相
互作用や水素結合が有機溶媒中でしか十分な効力を持た
ないことがあげられる。また、特定のペプチドに対して
適当なホスト分子が開発されたからといって、その技術
が別種のペプチドに対して同様に適用されるとは限らな
い。つまり、それぞれのペプチドに対して特異的なホス
ト分子を合成する必要があり、これもペプチド類に対し
て広く一般的適用できる方法とはいいがたい。
【0007】以上のとおり、ペプチドは構造が極めて多
様であり、それぞれを認識する人工ホスト分子を開発し
てゆくのは、従来の方法では不可能に近い。人工的に合
成される安定な分子を用いて、種々のホスト構造を自由
に作り出せるような系を構築するためには、分子集合体
のような構造多様性に富む分子システムを用いるのが適
当である。
【0008】そこで、この発明は、従来方法の欠点を克
服し、汎用性のある、簡便で安価な手段としての新しい
ペプチド認識の方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ペプチドユニットを親水頭部に
持つ脂質の単分子膜表面に形成されたペプチド鎖の特異
配列でペプチド分子を選択的に認識する脂質単分子膜に
よるペプチド認識方法(請求項1)を提供する。
【0010】また、この発明は、ペプチドユニットを親
水頭部に持ち、かつ、立体的にかさ高い疎水部を持つ脂
質の単分子膜表面に形成されたペプチド鎖の特異配列に
より水溶性ペプチド分子を選択的に認識する方法(請求
項2)をも提供する。そして、さらにこの発明は、上記
の方法において、他の脂質で希釈した単分子膜表面でペ
プチド認識する方法(請求項5)、さらには、これらの
脂質単分子膜を固体基板上にうつしとって特定のペプチ
ド分子を固定化する方法(請求項6)をも提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】さらに詳しく説明すると、この発
明の方法では、上記の通り、脂質単分子膜を用いている
が、この脂質単分子膜はラングミュア・プロジェット法
(LB法)として知られる方法で、水面上から固体基板
上へと任意の量だけ移しとることができる。したがっ
て、本方法で単分子膜表面に結合したペプチド分子を選
択的に固体基板上へと固定化することができる。
【0012】具体的には、まず、この発明で使用する単
分子膜形成能をもった脂質としては、配向性に優れかつ
充分な水不溶性を持った疎水鎖、たとえば、モノアルキ
ル、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルなどの
長鎖などを有し、かつ、適度な親水性を有するオリゴペ
プチド鎖等を親水性頭部に持つ脂質分子が挙げられる。
また、混合単分子膜を作成する場合に用いる脂質(以
下、マトリックス脂質と呼ぶ)としては、同様な疎水部
と適度な親水性の頭部を有する脂質分子を一般的に用い
ることができる。混合することによって充分な単分子膜
形成能が得られるのならば、それぞれの成分は単独で単
分子膜形成能を有する必要はない。
【0013】具体的にはオリゴペプチド脂質としては、
次式の(1)〜(53)が、混合単分子膜をつくる場合
にオリゴペプチド脂質に加えられるマトリックス脂質と
しては(54)〜(70)が例として挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】ここに示したのは用いることのできる脂質
の一例であり、同様の構造を持ち、異なる長さの疎水部
や異なる種類のオリゴペプチド鎖を親水頭部に有するも
のも同様に用いられる。また、一般に用いられている単
分子膜形成脂質分子も広くマトリックス脂質として用い
ることもできる。そして、この発明の方法でペプチドの
認識に用いられる脂質単分子膜は、基本的にはLB法に
基づいて、たとえば、「新実験化学講座18界面とコロ
イド、6章薄膜」(昭和52年10月20日、丸善株式
会社発行、福田清成、石井淑夫著)に詳細が示されてい
るような常法に従うことができる。
【0019】この発明においては、まず脂質分子をベン
ゼン、クロロホルムなどの有機溶媒に溶かしたストック
溶液を作成する。なお、脂質の溶解度が高くない場合に
は、必要に応じて、エタノール、ジメチルスルホキシド
などの極性溶媒を少量加える。また、混合単分子膜を作
成するときには、これらのストック溶液を適当な比率で
混合して、任意の組成の溶液を作成する。
【0020】次に、水溶性基質を超純水に適当な濃度
(0.001−10mM)溶解させた溶液を約200m
L調製し、それをLBトラフに満たす。LBトラフの温
度は水の蒸発が著しくない範囲に設定する。一般に5−
40℃が適当である。一定の性質の単分子膜を得るため
には、水温を一定に保つことが望ましい。この水面上に
適当量の脂質溶液を展開し、適当な時間放置することに
よって脂質単分子膜を得る。単分子膜の表面圧−面積曲
線の測定は、この後ゆっくりと単分子膜を圧縮すること
によって行う。累積膜の作成は、以下のようにして行
う。同様に作成した脂質単分子膜を所定の圧力までゆっ
くりと圧縮する。単分子膜の緩和挙動が平衡に達し、単
分子膜が安定になった後、固体基板をゆっくりと水中に
浸漬し、そのあとでゆっくりと引き上げ、単分子膜を基
板上に固定化する。この固体基板としては、一般にはス
ライドガラス板などの平滑な基板を用いる。このほかに
も、シリコンウエハーやグラファイトあるいはこれらの
基板の上に金属薄膜を蒸着したものやこれらの表面を修
飾したものを広く基板として用いることができる。
【0021】この発明においては、上記の方法によっ
て、単分子膜表面でペプチドを選択的に認識する。この
発明の方法では、脂質分子として親水頭部にオリゴペプ
チド鎖等を持つペプチド型脂質を用いるので、単分子膜
の水側表面にはオリゴペプチド鎖が様々に配列すること
になる。元来、生体系におけるペプチドの認識は他の複
数のペプチド鎖との水素結合形成によって行われている
ことが多く、それらのペプチド鎖の配列状態の差によっ
て選択性を得ている。したがって、この発明で得られる
単分子膜表面のオリゴペプチド鎖等の配列は、生体にお
けるペプチド認識場と類似の環境を提供することにな
る。
【0022】また、この発明で用いる脂質単分子膜は脂
質分子が集合してできたものであり、その脂質分子間に
は化学結合のような強い結合力は存在しない。その結
果、外部条件を変えることにより、脂質分子の配列を様
々に変化させることができる。また、他のオリゴペプチ
ド脂質等との混合も自由に行えるので、単分子膜表面に
種々の組み合わせのオリゴペプチド鎖を配列させること
ができる。さらに、オリゴペプチド鎖を持たない脂質分
子と混合させることによって、オリゴペプチド鎖の間隔
を変えることもできる。以上のように、この発明の方法
では、種々のペプチド鎖配列を持つ表面を多様に形成す
ることができ、構造多様性に富むペプチドの認識に適し
た系である。
【0023】さらに、この方法では、人工的に合成され
る脂質分子を用いるため、天然物を用いた場合に危惧さ
れる変性や不安定性などの問題を避けられる。また、こ
の発明の方法で用いられる脂質分子は簡便な有機化学的
な合成によって大量に得ることができ、希少で高価な天
然物を用いる方法に比べて、コスト、時間、労力を大幅
に削減できる。しかも、本法では脂質分子を気−水界面
に展開させているため、ペプチド分子を認識する親水頭
部のオリゴペプチド鎖が水相に接している。したがっ
て、本来水溶性のペプチド分子のほとんどをゲスト分子
として選ぶことができる。この点は、人工ホスト分子を
用いた従来の系が有機溶媒を認識場として用いるために
限られたペプチドの認識にしか用いられないのとは、対
照的である。本法で用いる気−水界面という場では静電
相互作用や水素結合などのペプチド選択認識に必要な相
互作用が水中に比べて増幅されることが知られており、
ペプチド認識に有利である。
【0024】以上の通りのこの発明について、次に実施
例を示し、さらに詳しく説明する。
【0025】
【実施例】実施例1〜9 実施例1〜9として前掲の脂質(1)〜(5)、(2
3)、(16)、(40)の単分子膜を純水上に作成
し、それを金を蒸着したスライドガラス板上に累積し、
赤外反射スペクトルによって分析した。スペクトルにお
いて親水頭部のオリゴペプチド部のNH伸縮振動の吸収
ピークの位置を測定し、表1にまとめた。
【0026】
【表1】
【0027】この表1においては、この吸収ピークの波
数が低いほど、ペプチド鎖は強い水素結合を形成してい
ることを示している。実施例1〜5のモノアルキル型の
脂質(1)〜(5)の結果を比較すると、グリシン残基
が1の場合(実施例1、脂質(1))を除いて、この波
数の値が3300cm-1以下であり、脂質間で強い水素
結合が形成されていることがわかる。この脂質間の強い
水素結合は、ゲスト分子としてのペプチド分子が外部か
ら結合するときの障害となる可能性がある。実施例6の
ジアルキル型脂質(17)の場合にも、波数の値は33
00cm-1以下であり、脂質間の強い水素結合形成が認
められる。一方、脂質(23)や(16)(実施例7、
8)のようにジアルキル型でグリシン残基が2つの場合
や、脂質(40)のようにジアルキル型でグリシン残基
の他にフェニルアラニン残基のような大きな側鎖をもつ
残基を含む脂質の場合(実施例9)には、この波数の値
が3300cm-1以上である。これらの場合には、脂質
間の水素結合形成が顕著ではなく、外部からのゲストペ
プチドの結合に適当な構造を取っていることがわかる。
つまり、この結果は、アルキル鎖部分、親水頭部のオリ
ゴペプチド鎖部分の構造を変えることにより、脂質間に
形成される水素結合の強度をコントロールし、外部から
のゲストペプチドの結合に適当な構造の単分子膜を作る
ことができることを示している。実施例10〜12 実施例10〜12として脂質(23)の単分子膜の純水
上(実施例10)、10mM LeuGly(ロイシル
グリシン)上(実施例11)、10mM GlyLeu
(グリシルロイシン)上(実施例11)でπ−A曲線を
測定した(図1)。図1に見られるように、純水上に比
べて、10mM LeuGly上や10mM GlyL
eu上の場合の方が分子占有面積が大きく、脂質(2
3)の単分子膜にこれらのペプチドが結合していること
がわかる。しかも、そのときの分子占有面積の増大の程
度は、ペプチドの種類によって異なっており、この脂質
単分子膜がここで示した2種類の水溶性ペプチドを選択
的に結合していることがわかる。実施例13 実施例13として脂質(23)の単分子膜を10mM
GlyLeu水溶液上から累積し、赤外反射スペクトル
を検討した。まず、実施例7の脂質(23)の単分子膜
を純水上から累積した膜のスペクトルを図2に示した。
10mM GlyLeu水溶液上から累積した膜の場合
には、1629cm-1と1440cm-1に、新たに吸収
ピークが認められた。これは、GlyLeu結合に基づ
くものであり脂質(23)の単分子膜へのGlyLeu
の結合を確証するものである。このように、水面上でゲ
ストペプチドと結合した単分子膜を固体基板上にうつし
とることによって、ゲストペプチドを選択的に固定化す
ることができる。実施例14〜20 実施例14〜20として、脂質(23)の単分子膜を、
0、5、10、20、40、60、80mMのGlyL
eu水溶液上から累積し、X線光電子スペクトル法によ
って元素分析した。炭素原子と窒素原子の存在比から脂
質(23)に対するゲスト分子GlyLeuの結合量を
求め、水相中の濃度に対してプロットした(図3)。図
3に見られる吸着等温線は飽和型となった。この結果
は、GlyLeu分子は脂質(23)の単分子膜に非特
異的に吸着しているのではなく、特定のサイトに結合し
ていることを示したものである。この実験結果から求め
られた、脂質(23)の単分子膜とGlyLeuの間の
結合定数は約35M-1であった。また、ホスト(脂質
(23))とゲスト(GlyLeu)の間の飽和結合比
は1:1であった。これらの情報から推測される脂質
(23)の単分子膜に対するGlyLeuの結合様式を
図4に示した。実施例21〜29 実施例21〜29として、脂質(23)の単分子膜を、
10mMのGlyLeu(グリシルロイシン、実施例2
1)、LeuGly(ロイシルグリシン、実施例2
2)、GlyPhe(グリシルフェニルアラニン、実施
例23)、PheGly(フェニルアラニルグリシン、
実施例24)、GlyPro(グリシルプロリン、実施
例25)、GlyAla(グリシルアラニン、実施例2
6)、HisLeu(ヒスチジルロイシン、実施例2
7)、AlaAla(アラニルアラニン、実施例2
8)、LeuLeu(ロイシルロイシン、実施例29)
の水溶液上から累積し、X線光電子スペクトル法によっ
てホスト(脂質(23))とゲストジペプチドの間の結
合比を求めた。図5には、その比較を示した。グラフか
ら、この単分子膜は、GlyLeuやGlyPheに対
して強い結合特性を示し、GlyProやGlyAla
に対しては弱い結合特性を、他のジペプチドに対しては
ほとんど結合特性を示さないことがわかった。すなわ
ち、この単分子膜はアミノ末端にGlyが存在するジペ
プチドにのみ結合した。しかも、カルボキシ末端のアミ
ノ酸残基がLeuやPheのように疎水的なジペプチド
に対して強い特異性を示した。これは、単分子膜表面に
脂質(23)のオリゴペプチド鎖が適当な間隔で配列す
ることによって、ジペプチドに対する選択的認識が行わ
れていることを示すものである。実施例30〜33 実施例30、31として脂質(23)とマトリックスで
ある脂質(56)を1:1の割合で混合した単分子膜を
作成し、純水上(実施例30)と5mM LeuLeu
(実施例31)水溶液上から累積して、赤外反射スペク
トルによって分析した。図6には、実施例30と実施例
31のスペクトルの比較を示した。図6中に矢印で示し
たように、実施例31の場合にLeuLeu結合に基づ
く新たな吸収ピークが見られた。実施例29で示したよ
うに脂質(23)単独の単分子膜に対してはLeuLe
uはほとんど結合しないこと、および、予備実験でマト
リックス脂質(56)の単分子膜へはLeuLeuはほ
とんど結合しないことが確認されていることより、実施
例31の結果は脂質(23)とマトリックス(56)の
混合単分子膜へLeuLeuが特異的に結合しているこ
とを示すものである。同様に、実施例32、33として
脂質(23)とマトリックス脂質(62)を1:1の割
合で混合した単分子膜を作成し、純水上(実施例32)
と5mM HisLeu(実施例33)水溶液上から累
積して、赤外反射スペクトルによって分析した。図7に
実施例32と実施例33のスペクトルの比較を示した
が、実施例33の混合単分子膜に対してHisLeuが
特異的に結合していることがわかる。以上の例では、脂
質(23)単独の単分子膜へは結合しえなかったLeu
LeuやHisLeuなどの大きな置換基を持つジペプ
チドが、この単分子膜を適当なマトリックス脂質で希釈
された単分子膜へ結合することを示されている。これら
の例は、マトリックス脂質を加えて脂質(23)の単分
子膜の表面のオリゴペプチド鎖の配列間隔を変えること
によって、結合するゲストジペプチドの選択性をコント
ロールすることができることを実証したものである。
【0028】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、この発明
においては、オリゴペプチド鎖を親水頭部に持つ脂質の
単分子膜表面において、種々のペプチドが選択的に認識
される。また、この発明の方法によって、特定のペプチ
ドを選択的に基板上に分離・固定化することもできる。
この発明と同様な脂質単分子膜系を、電極などの各種の
デバイス上に作成することは容易であり、この発明の方
法の原理に基づくセンサーの開発などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例10〜12で作成された単分子膜のπ−
A曲線を示す図である。
【図2】実施例7、13で作成された累積膜の赤外反射
スペクトル図である。
【図3】実施例14〜20で得られた累積膜中のゲスト
ペプチドの結合量の濃度依存性を示した図である。
【図4】実施例14〜20で得られた累積膜中のゲスト
ペプチドと脂質単分子膜の結合を示した模式図である。
【図5】実施例21〜29で得られた累積膜中のゲスト
ペプチド量を示す図である。
【図6】実施例30、31で得られた累積膜の赤外反射
スペクトル図である。
【図7】実施例32、33で得られた累積膜の赤外反射
スペクトル図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチドユニットを親水頭部に持つ脂質
    の単分子膜表面に形成されたペプチド鎖の特異配列によ
    り水溶性のペプチド分子を選択的に認識することを特徴
    とする脂質単分子層によるペプチド認識方法。
  2. 【請求項2】 ペプチドユニットを親水頭部に持ち、立
    体的にかさ高い疎水部を持つ脂質の単分子膜表面に形成
    されたペプチド鎖の特異配列より水溶性のペプチド分子
    を選択的に認識することを特徴とする脂質単分子層によ
    るペプチド認識方法。
  3. 【請求項3】 立体的にかさ高い疎水部がジアルキルま
    たトリアルキル基により構成されている請求項2の方
    法。
  4. 【請求項4】 ペプチドユニットがオリゴグリシン基に
    より構成されている請求項1ないし3のいずれかの方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの単分子膜
    を他の脂質で希釈した単分子膜表面でペプチド分子を選
    択的に認識することを特徴とする脂質単分子層によるペ
    プチド認識方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの方法で作
    成し、溶液中のペプチドを選択的に認識・結合した単分
    子膜を固体基板上にうつしとって、特定のペプチド分子
    を固定化する方法。
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JP2003522961A (ja) * 2000-02-16 2003-07-29 ペプスカン・システムズ・ベー・ブイ セグメント合成

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