JPH09143492A - 酸化脂質の確認方法及び酸化脂質の生成方法 - Google Patents

酸化脂質の確認方法及び酸化脂質の生成方法

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JPH09143492A
JPH09143492A JP33386695A JP33386695A JPH09143492A JP H09143492 A JPH09143492 A JP H09143492A JP 33386695 A JP33386695 A JP 33386695A JP 33386695 A JP33386695 A JP 33386695A JP H09143492 A JPH09143492 A JP H09143492A
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oxidized lipid
soluble oxidized
lipid
oxidized
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Katsumasa Koike
克昌 小池
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料が酸化脂質を含んでいることを容易に正
確に確認できる試料中の酸化脂質の確認・測定法、及び
生体に特定の影響を及ぼすハイドロペルオキサイド基を
有する水溶性酸化脂質の生成法の開示。 【解決手段】 試料にランサニドシフト試薬を添加し、
これを分光分析することにより、試料が酸化脂質を含む
ことが確認・測定される。(1)リノール酸又はアラキ
ドン酸を重水素化メチルアルコールに溶解し、この溶液
を攪拌下に重水素化リン酸緩衝液に添加して調製した乳
濁液、或いは(2)重水素化していないリン酸緩衝液で
充分に透析した低密度リポ蛋白溶液に、スーパーオキサ
イドジムスターゼ(SOD)並びにCuSO4を添加
し、長波紫外線を照射することにより酸化脂質が生成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性酸化脂質の
確認方法に関する。この方法は、被検査物が、水溶性酸
化脂質を含んでいることを容易に確認することができ
る。本発明は、更に、水溶性酸化脂質の生成方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】酸化脂質は、生体内において障害作用を
引き起こすと考えられており、動脈硬化、癌、炎症、老
化その他の状態への関与が指摘されている。更に、血液
における脂質の多くを占める低比重リポ蛋白は、前記の
病態に関与していると考えられている。
【0003】一方、生体内酵素によって制御、生産され
たプロスタグラジンやロイコトリエン等の酸化脂質は、
生体に強い影響を有する物質になる。
【0004】安定した酸化脂質又はその最終代謝物を確
認する種々の方法が、開発されているが、それらの方法
の何れも、脂質酸化過程の満足な評価をすることができ
ない。このことは、特定の酸化脂質を、試料中に存在す
るアッセイを阻む他の物質から非破壊的に単離し、識別
することにおける難しさに部分的に起因するものであ
る。これらの方法には、例えば、以下のような、ヨード
を酸化によってイオン化し、イオン化したヨードの発光
スペクトル分光分析を行なうヨード酸化法、過酸化脂質
代謝物であるマロンジアルデヒドと反応させて色素を生
産し、その色素を吸収分光計又は蛍光光度計で測定する
TBARS(チオバルビタール酸反応物質)測定法、不
飽和脂肪酸の過酸化によにより共役ジエンが生成するこ
とに基づいて、共役ジエンを測定する共役ジエン測定
法、過酸化脂質試料を高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)で分離、測定する高速液体クロマトグラフィー
法、及び、過酸化脂質試料をエステル化した後、ガスク
ロマトグラフィーで分離、測定するガスクロマトグラフ
ィー法がある。
【0005】しかしながら、酸化脂質を測定するヨード
酸化法、共役ジエン測定法には、夾雑物が混入している
試料の分析には適していないという欠点がある。また、
ヨード酸化法、TBARS測定法、及び共役ジエン測定
法は、非特異的な測定法である。即ち、これらの方法
は、酸化脂質そのものを直接測定するものではなく、酸
化脂質の生成又は分解によって生成する副次的な産物を
測定することにより間接的に酸化脂質を測定するもので
ある。
【0006】一方、高速液体クロマトグラフィー法、及
びガスクロマトグラフィー法は、酸化脂質そのものを直
接的に測定する特異的な方法であるが、高速液体クロマ
トグラフィー法では、測定を行なうのに長時間かかり、
試料が変性することがある。加えて、エチルエーテル、
エタノール等の溶媒によって酸化脂質自体が変化しやす
い。また、ガスクロマトグラフィー法では、エステル化
処理等によって試料が変化しやすい。
【0007】種々の酸化脂質の生成方法が、従来から報
告されている。それらの方法のなかには、例えば、以下
のような、脂質試料に銅カチオン(Cu+)又は鉄カチ
オン(Fe2+)等の遷移金属イオンを添加し、約37
℃で暗所に20〜30時間放置する方法、感光物質を予
め添加した試料に光を照射する方法、及び、リポキシゲ
ナーゼ又はサイクロペルオキシダーゼ等の酵素で酸化す
る方法が挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、生理的
作用を有する酸化脂質や、体に悪影響を及ぼす不安定な
酸化脂質を正確に確認、分析する方法は、これまで開示
されていなかった。加えて、生体に対して特殊な作用を
有するハイドロペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂
質の生成方法は、未だ開発されていない。また、ハイド
ロペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質を正確に確
認する方法も開発されていないため、特殊な水溶性酸化
脂質の生成を評価することができなかった。ハイドロペ
ルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質は、医薬品又は
その中間体として使用される可能性がある。例えば、水
溶性酸化脂質は、遊離基を与えられると、細胞に損傷を
与えるので、斯かる酸化脂質は、(例えば、注射によっ
て)癌細胞と接触すると、抗発癌性物質として用いるこ
とができる。かかる酸化脂質は、脳梗塞及び心筋梗塞等
の動脈梗塞症の治療のための血管拡張剤としても応用す
ることができる。
【0009】本発明の目的は、上記の問題を解決するこ
とであった。
【0010】本発明の一つの目的は、被検査物が酸化脂
質を含んでいることを容易、且つ、正確に測定すること
のできる酸化脂質の確認方法を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、生体に特殊な作用を
有するハイドロペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂
質の生成方法を提供することである。
【0012】本発明の更に別の目的は、血奨等の生物学
的試料中の酸化脂質を直接確認することの可能な方法を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の及び他の目的を達
成するため、本発明は、被検査物にランサニドシフト試
薬を添加し、この混合物を分光分析することによって、
被検査物中の酸化脂質を確認するものである。例えば、
被検査物として、ダイズリポキシゲナーゼにより酸化さ
せたリノール酸又はアラキドン酸等の遊離酸を用いるこ
とができる。
【0014】ランサニドシフト試薬としては、例えば、
ジスプロシウムカチオンを用いることができる。
【0015】ハイドロペルオキサイド基を含む水溶性酸
化脂質の生成方法として、(1)リノール酸又はアラキ
ドン酸をメチルアルコールに溶解して溶液とし、この溶
液を攪拌しながらリン酸緩衝液に添加して調製した乳濁
液、或いは(2)重水素化していないリン酸緩衝液で充
分に透析した溶解低密度リポ蛋白溶液に、スーパーオキ
サイドジムスターゼ(SOD)並びにCu又はFeカチ
オンを添加し、長波紫外線を照射する。
【0016】更に、(1)リノール酸又はアラキドン酸
を重水素化メチルアルコールに溶解し、この溶液を攪拌
しながら重水素化したリン酸緩衝液に添加して調製した
乳濁液、或いは(2)重水素化していないリン酸緩衝液
で充分に透析した低密度リポ蛋白溶液に、スーパーオキ
サイドジムスターゼ(SOD)並びにCu又はFeカチ
オンを添加すること、長波紫外線照射を行なって酸化脂
質を生成すること、この酸化脂質にジスプロジウムトリ
ポリフォスフェイトアニオンを添加すること、及びこの
混合物を、核磁気共鳴分光計によるプロトン−NMR分
光分析法に供することにより、被検査物中の酸化脂質が
確認される。
【0017】本発明は、一つの特徴において、被検査物
にランサニドシフト試薬を添加し、この混合物を分光分
析することによって、被検査物中における酸化脂質の存
在を確認することを指向するものである。これは、被検
査物にランサニドシフト試薬を添加すると、その物質が
酸化脂質である場合と、その物質が酸化脂質でない場合
とで、プロトンシグナルに違いが認められることに基づ
くものである。そのため、この違いを分光分析により検
知することによって、被検査物中の酸化脂質を確認する
ものである。
【0018】更に、本発明は、低比重リポ蛋白又は脂肪
酸を用いることによって、生体に大きな影響を有するハ
イドロペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質の生成
を指向するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明によれば、被検査物にラン
サニドシフト試薬を添加し、この混合物を分光分析する
ことによって、被検査物中の酸化脂質が確認される。被
検査物としては、例えば、ダイズリポキシゲナーゼによ
って酸化させたリノール酸又はアラキドン酸を用いるこ
とができる。他のリポキシゲナーゼも利用することがで
き、リポキシゲナーゼは、大豆にだけではなく、馬鈴
薯、人、豚、及び兎にも存在する。これらのリポキシゲ
ナーゼには、5−リポキシゲナーゼ(馬鈴薯)、12−
リポキシゲナーゼ(人、豚)、及び15−リポキシゲナ
ーゼ(人、兎)がある。ランサニドシフト試薬の例とし
て、トリポリリン酸ジスプロシウムアニオンが用いられ
る。
【0020】尚、ランサニドシフト試薬としては、ジス
プロジウムカチオンの他、ユウロピウムカチオン(Eu
3+)及びツリウムカチオン(Tm3+)を用いること
ができる。ユウロピウムカチオン又はツリウムカチオン
を用いた場合にも、ジスプロジウムカチオンの場合と同
様の結果が得られる。キレート剤として、トリポリリン
酸塩の他、エチレンジアミン四酢酸等を用いてもよい。
【0021】例えば、斯かるランサニドシフト試薬を用
いる13C−NMR分光分析は、1H−NMR分析のよ
うに酸化脂質に関する重要な情報をもたらすものであ
る。
【0022】生体に対して特殊な作用を有するハイドロ
ペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質は、非常に不
安定なものである。ハイドロペルオキサイド基を有する
水溶性酸化脂質は、高いpH値、特にダイズリポキシゲ
ナーゼ活性の最適pH値を含む約7.2以上のpH値で
は、そのハイドロペルオキサイド基が変化を受けやすい
からである。そのため、ダイズリポキシゲナーゼの活性
によって、ハイドロペルオキサイド基を有する水溶性酸
化脂質が多量に生成しても、例えば、9.0のpH値を
有する反応系では、その殆ど全てが非常に短時間(長く
とも数秒)で変化してしまう。本発明によるハイドロペ
ルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質を、充分な量得
るには、キレート剤(例えば、EDTA)を、反応後、
貯蔵材料に添加するか、又は、貯蔵環境を強酸条件下に
維持することにより、そうしなければ、水溶性酸化脂質
のハイドロペルオキサイド基が、瞬時に変化を受けるの
を防止する。本発明の方法によって生成する水溶性酸化
脂質は、(結合脂肪酸の形態ではなく)遊離脂肪酸の形
態で存在する。
【0023】重水素は、中性子が一つ加わり質量が2で
ある水素原子の形態で自然界に存在している。本明細書
で特定されているような重水(D2O又は2H2O)の
溶液中で行なわれる化学反応と、軽水(1H2O)の溶
液中で行なわれる化学反応との間には、何等差異が無
い。本明細書で開示された重水素化した溶液には、ある
程度の量の水素(1Hプロトン)が含まれている。一
方、通常の溶液には、微量の重水素(2H、自然界の水
素には、0.0015%含まれている)が含まれてい
る。そのため、重水素化は、原子核物理反応は別とし
て、化学反応においては、変化を生じさせない。より詳
細には、化学用語としての「純水」は、何等の不純物を
含まない水を意味するが、純水は、99.985%の1
H2Oと、0.015%の2H2Oとからなっている。
したがって、化学の分野においては、純粋な物質とは、
たとえそれが重水素を含んでいても、純粋で不純物を含
んでいないものであると認識されている。即ち、化学の
分野では、重水と軽水との間には差異が無い。重水の含
有率は、実験のために水の試料を採取する場所によって
異なるが、本願の主題事項が属する有機化学の分野で
は、重水の含有率の違いは、問題とならない。重水素化
は、酸化脂質を製造するのには、必要ではない。
【0024】本明細書で重水素化を行なうのは、水が、
通常の化学的手法における試験溶液の大部分を占めるて
おり、プロトンNMRで脂質に含まれるプロトンシグナ
ルの分光分析をする場合に生じる水のプロトンシグナル
が膨大な量になるため、水のプロトンシグナルが、脂質
のプロトンシグナルと重複するためである。この影響を
減らすため、重水素(2H又はD)を用いるのは、重水
素の共鳴周波数が、脂質中のプロトンシグナルの共鳴周
波数とかなり異なっているとともに、化学反応の特性が
プロトン(1H)の化学反応の特性と同じだからであ
る。
【0025】化学反応(例えば、酸化脂質の生成)に関
しては、水素(プロトン)を用いる実験と、重水素を用
いる実験との間に差異は無いと考えられ、これらの実験
は、同じであるとみなされる。重水素化が、他の多くの
プロトンNMRの実験に用いられていることは、よく知
られた共通の認識である。
【0026】シフト試薬とNMR分光測定との簡単な組
み合せにより、生体内の脂質又は食品若しくは他の工業
製品に用いられた脂質の酸化の度合を評価することがで
きる。
【0027】本明細書で利用されているリノール酸及び
アラキドン酸の代りに、種々の他の物質(例えば、遊離
脂肪酸)を、医薬品に役立つ対応する酸化脂質の製造に
利用することができる。これらの物質には、例えば、α
−リノール酸、γ−リノール酸、エイコサペンタエン酸
(EPA)、エイコサトリエン酸、エイコサジエン酸、
ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサ
テトラエン酸がある。1,4−cis、cis−ペンタ
ジエン構造を有する全てのポリ不飽和脂肪酸は、基本的
に、本明細書に記載の方法によって酸化される。これら
の酸は、生理的刺激物質として、医薬品のそのままの成
分とすることができるか、又は種々の化学的な手法を施
すことによって適用可能な物質に変換することができ
る。
【0028】ダイズリポキシゲナーゼによるリノール酸
及びアラキドン酸の酸化法:
【0029】リノール酸及びアラキドン酸{シグマケミ
カル社(Sigma Chemical Co.)製}
は、被検査物質として用いることができ、以下の方法で
調製する。
【0030】先ず、リノール酸及びアラキドン酸を、別
個に、重水素化したメチルアルコール(メチル−d3
アルコール−d: CD3OD、シグマケミカル社製)
に0.1Mの濃度で溶解する。これらの溶液を、各々、
酸素で飽和した20mM重水素化リン酸緩衝液(pH
7)に乳化させ、4mMリノール酸乳濁液及び2mMア
ラキドン酸乳濁液を調製する。次いで、乳濁液を、スー
パーオキサイドジムスターゼ(SOD)を含まないもの
及びスーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)を0.
1U/mlの濃度で添加したものの2部に分ける。脂肪
酸を酸化させるため、ダイズリポキシゲナーゼを、各々
の乳濁液に、2000U/mlの最終濃度で添加する。
最終容積を1mlに調整し、摂氏0度で酸化を行なう。
【0031】所定時間の経過後、0.1M重水素化塩酸
で、反応液をpH4に酸性化することによってダイズリ
ポキシゲナーゼを失活させる。0.1M重水素化塩酸を
添加する目的は、酸性にすることによってダイズリポキ
シゲナーゼの反応を防止することであり、ダイズリポキ
シゲナーゼを、pH4.0の範囲に酸化することは、酸
化脂質のハイドロペルオキサイド基を安定化するという
追加の利点がある。次いで、反応液に、エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)を1mMの濃度で添加し、重水に
溶解させた0.1M水酸化ナトリウムで、反応液をpH
7.0に調整し、20mM重水素化リン酸緩衝液で、反
応液の容量を最終的に1.5mlに調整する。このED
TAを添加する過程は、pH7.0の重水素化リン酸緩
衝液{反応液は、Dy(ppp)試薬のpHが7.4で
あるため、pH7.0でなければならない。反応液が酸
性の場合には、試薬の析出が生じ、試料はNMR測定に
は使用できなくなる。}中では、ハイドロペルオキサイ
ド基は瞬間的に破壊されてしまうため、必要なのであ
る。
【0032】酸化脂質試料に、グルタチオンを種々の濃
度(0、1、5及び50nM)で、グルタチオンペルオ
キシダーゼを0.2U/mlの濃度で添加し、それによ
り、最終容量を1.5mlに調整する。反応を、30℃
で10分間進行させた後、各試料に、ランサニドシフト
試薬として、ジスプロジウムトリポリフォスフェイトア
ニオンを40mMの濃度で添加する。
【0033】ジスプロジウムトリポリフォスフェイトア
ニオン{Dy(PPP)}溶液の調整法において、20
0mMの塩化ジスプロジウム(DyCl3、Aldri
chchemical Co.製)及び480mMのペ
ンタソジウムトリポリフォスフェイトを、重水中で充分
に攪拌する。試薬は、市販の製品よりも純粋なものが好
ましい。この溶液には、沈渣があるが、この溶液を、重
水素化塩酸でpH7.4に調整することにより、沈渣の
幾分かが溶解する。次いで、溶液を3000gで30分
間遠心分離して残りの沈渣を除去する。この溶液を、被
検査物に添加する200mMジスプロジウムトリポリフ
ォスフェイトアニオン(Dy(PPP
【0034】1H−NMR分光分析法による酸化脂質の
測定:
【0035】本発明によれば、被検査物にランサニドシ
フト試薬としての200mMのジスプロジウムトリポリ
フォスフェイトアニオン溶液を添加し、この混合物を分
光分析することによって、被検査物中の酸化脂質を確認
するものである。この分光分析には、コンピュータ化し
た分析器を備えた360MHzの核磁気共鳴分光計によ
る水素原子核(プロトン)核磁気共鳴分析法(1H−N
MR分光分析法)を用いる。NMRの主磁力(H0)強
度は、少なくとも240MHz以上であることが好まし
い(NMR分解能は、シフト試薬を添加すると、かなり
低下するため、プロトンピークの幅が広くなり、互いに
重複する。そのため、低分解能NMRでは、目的のピー
クの確認は困難となるであろう。)
【0036】プローブ温度35度Cでプロトンスペクト
ルを得、これらのスペクトルを自由誘導減衰(FID)
を512回重積する。H2Oピークは、4秒、200m
Wのゲート連続波単一周波数電波照射(gated,c
ontinuous−wave,single−fre
quency radio wave irradia
tion)により予備飽和(presaturatio
n)させる。スペクトルのパラメータは、8192のデ
ータポイント、7246Hzのスペクトル幅、及び0.
565秒の獲得時間である。試料管の回転速度は15H
zで、周波数を、測定前に重水素でロックする。
【0037】ジスプロジウムカチオン(Dy3+)濃度
の酸化脂質のプロトンシグナルに対する影響:
【0038】本発明によれば、酸化脂質試料に、ジスプ
ロジウムカチオン(Dy3+)を種々の濃度で添加する
と、試料が水溶性酸化脂質である場合と、試料が水溶性
酸化脂質でない場合とでは、プロトンシグナルに差異が
見られることに鑑みて、試料中の水溶性酸化脂質が確認
される。
【0039】したがって、酸化脂質試料に、ジスプロジ
ウムトリポリフォスフェイトアニオ カチオン(Dy3+)のカチオン濃度が、酸化脂質のプ
ロトンシグナルに及ぼす影響が観察される(図1参
照)。図1中の数値は、試料に添加したジスプロジウム
カチオン(Dy3+)の濃度(mM)を示している。図
1中のCH3、(CH2)n、CH2−C=C、及びC
H2COは、既に同定されている脂肪酸分子のプロトン
シグナル、即ち、脂肪酸の上記の位置にあるプロトンシ
グナルを示している。
【0040】シフトの目盛は、基準点(OPPM)とし
てのH2Oピークに基いている。ピーク1は、ジスプロ
ジウムカチオン(Dy3+)の影響によって、CH3ピ
ークから分離したピークである。このピークは、ハイド
ロペルオキサイド基によって影響を受けたプロトンシグ
ナルであることが判明する。ピーク3も、ハイドロペル
オキサイド基によって影響を受けたプロトンシグナルと
考えられるが、ピーク5が何に起因するのかは不明であ
る。
【0041】グルタチオン及びグルタチオンペルオキシ
ダーゼとの反応による酸化脂質のプロトンピークの変
化:
【0042】次に、グルタチオンを種々の濃度で添加
し、グルタチオンペルオキシダーゼを還元のための触媒
として添加した試料を用いて、酸化脂質のプロトンピー
クに対する影響を観察する(図2参照)。図2中の数値
は、試料に添加したグルラチオンの濃度をnMで示すも
のである。図2において、グルタチオンの濃度が高くな
るにつれ、各スペクトルのピーク1が低くなることが認
められる。このことから、ピーク1は、ハイドロペルオ
キサイド基の影響を受けたプロトンシグナルであること
が解る。ピーク1とは対照的に、ピーク2は、グルタチ
オンとの反応によって、よりはっきりと認められる。即
ち、このピークは、グルタチオンによるハイドロペルオ
キサイド基の還元によって生じたハイドロオキサイド基
(−OH)によって影響を受けたものと考えられる。
【0043】ピーク4及び5は、グルタチオンの影響を
受けておらず、それらの由来は不明であるが、それらの
ピークは、リポキシゲナーゼによるリノール酸の酸化に
よって認められるので、エンドペルオキサイド等の酸化
性基によって影響を受けたプロトンシグナルであると考
えられる。
【0044】リノール酸のダイズリポキシゲナーゼによ
る酸化の経時的変化:
【0045】本発明では、ダイズリポキシゲナーゼによ
るリノール酸の酸化の過程が、1H−NMR分光分析法
によって測定される(図3参照)。図3に示す時間
(分)は、ダイズリポキシゲナーゼとの反応時間であ
る。リノール酸がリポキシゲナーゼによって酸化されて
いない状態では、何れのピークも認められない。これ
は、リノール酸が非水溶性であり、リノール酸がジスプ
ロジウムカチオン(Dy3+)によって影響を受けてい
ないためである。これに対し、リノール酸は酸化される
と水溶性になり、酸化脂質がジスプロジウムカチオン
(Dy3+)によって影響を受けるため、酸化されてい
ないリノール酸と酸化されたリノール酸との間で、プロ
トン共鳴周波数に大きな差異が認められる。
【0046】そのため、酸化されたリノール酸のプロト
ンシグナルにスペクトルのウインド(Window)を
あわせると、酸化されていないリノール酸のプロトンシ
グナルは、そのウインドから外れる。その結果、本発明
は、被検査物中の酸化脂質を確認する方法として有効で
あることが立証される。
【0047】スーパーオキサイドジムスターゼ(SO
D)存在下でのリノール酸のダイズリポキシゲナーゼに
よる酸化の経時的変化:
【0048】酸化を0.1U/mlのスーパーオキサイ
ドジムスターゼ(SOD)の存在下で行なう以外は、上
記と同じ条件で、リノール酸をダイズリポキシゲナーゼ
により酸化させる。試料を、1H−NMR分光分析法に
より経時的に測定する(図4参照)。スーパーオキサイ
ドジムスターゼ(SOD)存在下の試料は(図4参
照)、スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)が不
存在の場合(図3参照)のパターンとは、明らかに異な
るパターンを示した。即ち、スーパーオキサイドジムス
ターゼ(SOD)が存在する場合には、脂肪酸内のハイ
ドロペルオキサイド基(−OOH)の存在を示すピーク
1及びピーク3が、酸化の開始から20分後でもなお現
われている。これらの結果は、スーパーオキサイドジム
スターゼ(SOD)が、ハイドロペルオキサイド基(−
OOH)を安定化させていることを示している。従来、
スーパーオキサイドの不均化(除去)が、スーパーオキ
サイドジムスターゼ(SOD)の主な作用と考えられて
きたが、以上の結果により、スーパーオキサイドジムス
ターゼ(SOD)が、酸化脂質に直接影響を及ぼすこと
が証明される。スーパーオキサイドとは関連しないSO
Dの新しい作用である。即ち、SODは、既に酸化され
た脂質のハイドロペルオキサイド基を安定化する作用を
するとともに、酸化脂質の生成を妨げる作用はしない。
【0049】アラキドン酸のダイズリポキシゲナーゼに
よる酸化の経時的変化:
【0050】リノール酸の酸化と同様にして、アラキド
ン酸を、ダイズリポキシゲナーゼにより酸化させた後、
1H−NMR分光分析法により測定する(図5参照)。
図5に示す時間(分)は、ダイズリポキシゲナーゼとの
反応時間を表わしている。リノール酸の場合とは対照的
に、アラキドン酸によるピークが、ダイズリポキシゲナ
ーゼによる酸化の前に、ジスプロジウムカチオン(Dy
3+)の影響の下に、既に現われている。これは、いく
らかのアラキドン酸が、既に酸化されていることを示し
ている。このことは、アラキドン酸が、空気中の酸素に
よって既に自動酸化されているためと考えられる。酸化
パターンもリノール酸のものとは異なり、ハイドロペル
オキサイド基(−OOH)によって影響を受けていると
思われるはっきりしたピークは認められない。
【0051】スーパーオキサイドジムスターゼ(SO
D)存在下でのアラキドン酸のダイズリポキシゲナーゼ
による酸化の経時的変化:
【0052】酸化を0.1U/mlのスーパーオキサイ
ドジムスターゼ(SOD)の存在下で行なう以外は、上
記と同じ条件で、アラキドン酸をダイズリポキシゲナー
ゼにより酸化させる。試料を、1H−NMR分光分析法
により経時的に測定する(図6参照)。スーパーオキサ
イドジムスターゼ(SOD)が存在しない場合における
ハイドロペルオキサイド基に影響を受けたと考えられる
ピークと比較して、酸化開始の5分後には、図6のピー
ク1が明瞭に認められた。この結果からも、スーパーオ
キサイドジムスターゼ(SOD)が、ハイドロペルオキ
サイド基(−OOH)を安定化させていると考えられ
る。更に、スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)
の存在は、酸化過程の間、脂肪酸の骨格を形成するCH
2及びCH3の分解を促進しているものと考えられる。
これは、CH2及びCH3によるプロトンピークが、1
5分間の酸化によってほぼ消失していることによって立
証される。
【0053】酸化脂質の生成方法:
【0054】本発明は、更に、酸化脂質の生成方法であ
って、(1)リノール酸又はアラキドン酸を重水素化メ
チルアルコールに溶解し、この溶液を攪拌しながら重水
素化したリン酸緩衝液に添加して調製した乳濁液、或い
は(2)重水素化していないリン酸緩衝液で充分に透析
した低密度リポ蛋白溶液に、スーパーオキサイドジムス
ターゼ(SOD)並びにCuSO4を添加すること、及
びこの混合物に長波紫外線を照射すること(通常、生成
は1又は2分以内に始まり、2〜10分でそのピークに
達し、その後20分以上続く)、を含んでいることを特
徴とする方法を更に含んでいる。
【0055】ハイドロペルオキサイド基を有する水溶性
酸化脂質を、特に充分な量、得ることができるのは、長
波紫外線の照射と組み合せて、例えば、Cu++を用い
ることによるものである。
【0056】この方法では、脂質試料として、リノール
酸乳濁液又は低密度リポ蛋白溶液を用いる。
【0057】リノール酸乳濁液は、リノール酸を、0.
1M濃度で重水素化メチルアルコールに溶解し、それを
20mM重水素化リン酸緩衝液に攪拌しながら添加する
ことにより調製する。具体的には、4mMリノール酸乳
濁液を調製する。
【0058】低密度リポ蛋白は、超遠心分離によって人
血奨から分離する。この低密度リポ蛋白を、窒素飽和雰
囲気下で重水素化していない20mMリン酸により充分
に透析する。次いで、低密度リポ蛋白を、20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)を用いてローリー(Lowr
y)法によって蛋白濃度が1mg/mlになるような容
量に調節する。
【0059】0.1U/mlのスーパーオキサイドジム
スターゼ(SOD)及び5μMのCuSO4を、脂質試
料を紫外線照射する前に、予め各々の試料に添加する。
【0060】このようにして調製した試料を、珪酸ボロ
ン又は石英等でできた容器に移す。次いで、365nm
にエネルギー最強点を有する長波紫外線で、試料を種々
の時間照射して酸化脂質を生成する。
【0061】これは、以下のことによるものと考えられ
る。長波紫外線によってCu2+の不対電子が励起さ
れ、それらの電子が不飽和脂肪酸の二重結合を有する炭
素に電子を供給し、それにより、炭素原子から水素原子
を引き抜く。次いで、引き抜きが生じた部位に酸素原子
が結合する態様で酸化が生じると考えられる。
【0062】Cu2+含有試料から酸化脂質を生成する
には、約365nmのエネルギー最強点を有する長波紫
外線(即ち、315〜400nm)が最適である。ワッ
ト数を上げれば、蛍光等の400nmを越える可視光を
利用することもできるが、一般には、約320〜約40
0nmの波長範囲を利用することができる。300nm
未満の波長は、ポリ不飽和酸構造を分解するので、使用
することができない。約254nmのエネルギー最強点
を有する短波紫外線で斯かる試料を照射しても、ハイド
ロペルオキサイド基を含む過酸化脂質を生成することが
できない。
【0063】また、Fe3+又はそれと同様なもの(例
えば、FeSO4等のFeカチオン)に関して長波紫外
線を照射することによっても、ハイドロペルオキサイド
基を含む酸化脂質を生成することができる。更に、アラ
キドン酸を上記の方法で酸化しても、生体に重要な作用
を有すると考えられるハイドロペルオキサイド基を含む
水溶性酸化脂質を生成することができる。
【0064】ジスプロジウムトリポリフォスフェイトの
生成方法:
【0065】斯くして生成した酸化脂質に、ランサニド
シフト試薬として、ジスプロジウムトリポリフォスフェ
イトを添加する。
【0066】200mMの塩化ジスプロジウム(DyC
l3)及び480mMのペンタソジウムトリポリフォス
フェイトを、重水中で充分に攪拌する。この溶液には、
沈渣があるが、この溶液を、重水素化塩酸でpH7.4
に調整することにより、沈渣の幾分かが溶解する。次い
で、溶液を3000gで30分間遠心分離して残りの沈
渣を除去する。このジスプロジウムトリポリフォスフェ
イトアニオン(Dy(
【0067】1H−NMR分光分析法による酸化脂質の
測定:
【0068】分光分析には、核磁気共鳴分光計(Bru
ker社製、AM360シリーズ)による水素原子核
(プロトン)NMR分析法(1H−NMR分光分析法)
を用いる。
【0069】NMRは、360MHzの核磁気共鳴分光
計を用いて行なう。quadrature検出モード、
308Kのプローブ温度で、プロトンスペクトルを得
る。スペクトルを、リノール酸試料に関しては、自由誘
導減哀を512回重積し、低密度リポ蛋白試料に関して
は、自由誘導減衰を32回重積する。HDO及びH2O
のプロトンシグナルは、4秒、200mWのゲート連続
波単一周波数照射(gated,continuous
−wave,single−frequencyirr
adiation)により予備飽和(presatur
ation)させる。7246Hzのスペクトル幅、及
び0.565秒の獲得時間を選択する。
【0070】測定結果:
【0071】Cu2+と紫外線照射とを用いるリノール
酸の酸化パターンは、ダイズリポキシゲナーゼを用いる
酸化パターンと、プロトン核磁気共鳴スペクトルに関し
て非常に類似している。
【0072】図7は、上記のようにして既に調製された
リノール酸試料に、スーパーオキサイドジムスターゼ
(SOD)及び5μMのCuSO4を予め添加した後、
長波紫外線を照射することによって調製した酸化試料
を、プロトン核磁気共鳴分光計により経時的に測定した
結果を示す。図7のパターンbは、長波紫外線を5分間
照射した試料のスペクトルである。パターンc、d、及
びeは、長波紫外線を、それぞれ、10、20、及び3
0分間照射した試料のスペクトルである。尚、パターン
aは、長波紫外線を照射していない試料のスペクトルで
ある。
【0073】図7のピーク1は、ハイドロペルオキサイ
ド基(−OOH)によって影響を受けたプロトンシグナ
ルであることが明らかに分る。ピーク2及び3は、各
々、ハイドロペルオキサイド基(−OOH)及び他の酸
化性基に影響を受けたプロトンピークであると考えられ
る(しかしながら、それらがどのような酸化基であるか
は確認されていない)。
【0074】図8は、長波紫外線の照射によって酸化さ
せたリノール酸試料に関し、プロトン核磁気共鳴分光計
によって経時的に測定した結果を示している。下方のス
ペクトルは、何も添加せずに、測定前、10分間放置し
て反応させた酸化脂質試料に由来するものである。上方
のスペクトルは、50nMのグルタチオン及び0.2U
/ml(最終濃度)グルタチオンペルオキシダーゼを添
加し、測定前、10分間放置して反応させた酸化脂質試
料に由来するものである。
【0075】上方のスペクトルでは、グルタチオンの影
響でピーク1が消失している。このことより、ピーク1
は、ハイドロペルオキサイド基によって影響を受けたプ
ロトンピークであることが確認される。これは、グルタ
チオンペルオキシダーゼは、グルタチオンの存在下で
は、そのハイドロペルオキサイド基をハイドロオキサイ
ド基に変換させることが証明されているという根拠に基
づくものである。
【0076】試料中のリノール酸は、生体に対して重要
な作用を有するハイドロペルオキサイド基及びエポキシ
基やエンドペルオキシ基等の極性酸化性基の両方を含む
水溶性リノール酸であることも考えられる。その理由
は、ハイドロペルオキサイド基のみを含む酸化脂質は、
殆ど水に溶解せず、エチルエーテル等の有機溶媒に溶解
するからである。しかしながら、酸化されたリノール酸
に関しては、たとえハイドロペルオキサイド基しか含有
していなくとも、水溶性なのかもしれない。このハイド
ロペルオキサイド基は、スーパーオキサイドジムスター
ゼ(SOD)の存在によって安定化させることができ
る。
【0077】Cu2+と紫外線照射の使用による酸化低
密度リポ蛋白の生成:
【0078】図9は、以下の手順で試料を測定した結果
を示している。スーパーオキサイドジムスターゼ(SO
D)及び5μMのCuSO4を、低密度リポ蛋白溶液に
添加した後、この混合物に長波紫外線を照射して低密度
リポ蛋白を酸化させ、これにジスプロジウムトリポリフ
ォスフェイトアニオン溶液を添加し、得られた試料を、
プロトン核磁気共鳴分光計によって測定する。図9のパ
ターンbは、長波紫外線を30分間照射した試料に由来
するものである。パターンc及びdは、長波紫外線を、
それぞれ60分間及び90分間照射した試料に由来する
ものである。尚、パターンaは、長波紫外線を照射して
いない試料に由来するものである。
【0079】この図中のCH2及びCH3は、それぞ
れ、低密度リポ蛋白溶液中の脂肪酸骨格におけるCH2
及びCH3に相当するプロトンシグナルを示している。
【0080】ピーク1及びピーク2は、それぞれ、シフ
ト試薬の添加によってCH2及びCH3のピークから分
離したものである。これらのピーク1及び2は、脂肪酸
によってエステル化されたコレステロールハイドロペル
オキサイド基により影響を受けたプロトンシグナルであ
る。その理由は、低密度リポ蛋白溶液中に存在する脂質
のなかで、脂肪酸にエステル結合したコレステロール以
外には、量的に図に示すような大きなピークを占めるこ
とのできる脂質は無いからである。
【0081】言い換えれば、これらのピークが認められ
るならば、試料中にコレステロールハイドロペルオキサ
イド基が存在していることが分る。
【0082】溶液の酸性化又はエチレンジアミン四酢酸
(EDTA)の添加による脂質中のハイドロペルオキサ
イド基の安定化:
【0083】図10は、低密度リポ蛋白中のハイドロペ
ルオキサイド基によって影響を受けたピーク位の高さを
測定することにより大まかな定量を行なった結果を示す
トレースである。pH6.6で、低密度リポ蛋白中のハ
イドロペルオキサイドコレステロールの量がピークに達
している。pH6.6以下の酸性下でも、ハイドロペル
オキサイド基は安定化されるトリポリフォスフェイト考
えられる。低密度リポ蛋白等のリポ蛋白の形の蛋白は、
pH6以下の酸性下では変性してしまうので、見かけ
上、ハイドロペルオキサイド基の量は、pH6以下の酸
性下では低下するように測定される。リノール酸を用い
る場合、リノール酸のハイドロペルオキサイド基は、p
H3〜pH4の強酸性下でも安定化される。一方、ED
TA等のキレート剤の添加は、pH7.0付近の中性下
でも上記のハイドロペルオキサイド基を安定化すること
ができることが証明されている。これらの現象は、酸化
脂質の酸性化又はキレート剤の添加は、上記のように調
製した酸化脂質試料を保存できるようにすることを示し
ている。
【0084】上記のように、低密度リポ蛋白(LDL)
における脂肪酸のハイドロペルオキサイド基は、pH
6.6で安定化する。より酸性度が強いと、ハイドロペ
ルオキサイド基の存在を示すプロトンピークは低くな
る。これは、LDLにおける蛋白質の変性が生じるため
であり、ハイドロペルオキサイド基が破壊されるためで
はない。このことは、蛋白質を有しないリノール酸は、
pH4.0の強酸条件で安定化することから明らかであ
る。このため、重水素化リン酸緩衝液における酸性度
が、pH6.6よりも弱い場合には、酸化された遊離脂
肪酸のハイドロペルオキサイド基の安定度が高くなると
いうことができる。中性の重水素化リン酸緩衝液中では
(EDTA又は何等かの類似のキレート剤を添加しなけ
れば)、少量のハイドロペルオキサイド基が、2,3分
〜数時間存在することができるだけである。この方法を
薬剤に応用する場合には、強酸状態をつくるのにキレー
ト剤を用いるのはできるだけ避けるほうがよい。。ED
TAは、医療及び生化学の分野で、抗凝固剤として最も
頻繁に用いられるキレート剤であり、使用量が少なけれ
ば人間に害はないが、全く用いないのが最も良い。
【0085】低密度リポ蛋白を用いるチオバルビタール
酸反応物質測定法と1H−NMR分光分析法との比較:
【0086】図11は、長波紫外線を照射した低密度リ
ポ蛋白の酸化の経時的変化を、従来から広く用いられて
いるチオバルビタール酸反応物質測定法(図11の白抜
き円)及び1H−NMR分光分析法(図11の白抜き三
角)によって測定した結果を示している。尚、長波紫外
線を照射する前に、対照として試料を採取し、暗所に放
置する。対照試料についても、低密度リポ蛋白の酸化の
変化を、チオバルビタール酸反応物質(TBARS)測
定法によって経時的に測定する。結果を図11の黒円で
示す。
【0087】チオバルビタール酸反応物質測定法では、
長波紫外線照射の直後から、累積酸化度を反映するチオ
バルビタール酸反応物質が急速に増加し、その増加率は
30分後には緩やかになる。ピーク1の高さは、照射開
始の20分後に最高値に達する。しかしながら、その
後、チオバルビタール酸反応物質の値は60分経過後も
上昇し続けるにも拘わらず、ピーク1の高さは低下し、
それらの間には差異が認められる。チオバルビタール酸
反応物質は、メチルマロンアルデヒド等の脂質の酸化に
よる分解物を測定するため、その値は、分解物の累積を
表わしている。
【0088】本発明による1H−NMR分光分析法で
は、ハイドロペルオキサイド基を有する水溶性酸化脂質
そのものを測定するため、不安定なハイドロペルオキサ
イド基の消失が生じるにしたがい、ピーク1の高さは、
ハイドロペルオキサイド基の消失を直接反映して低下す
る。
【0089】上記のように、従来のチオバルビタール酸
反応物質測定法は、脂質の酸化が生じていることは検知
することができるが、この方法は、試料中にある種の酸
化脂質が存在していることを証明することはできない。
【0090】本発明は、被検査物にジスプロジウムトリ
ポリフォスフェイトアニオン(Dy 検査物が水溶性酸化脂質を含まない場合との間に認めら
れるプロトンシグナルにおける差異を分光分析によって
分析して被検査物が水溶性酸化脂質を含むことを確認・
測定するものである。したがって、被検査物が水溶性酸
化脂質を含むことを容易、且つ、正確に確認することが
できる。
【0091】即ち、本発明によれば、分光分析法によっ
てプロトンシグナルの違いを分析することで、被検査物
が水溶性酸化脂質を含んでいることを直接的に確認・測
定することができる。
【0092】また、夾雑物が被検査物に含まれていて
も、夾雑物の影響を受けることなく、被検査物が酸化脂
質を含むことを確認・測定することができる。
【0093】更に、被検査物のプロトンシグナルの分光
分析を採用していることから、測定方法が極めて簡単で
あり、短時間で、被検査物が酸化脂質を含むことを確認
・測定することができる。加えて、エステル化等の被検
査物の処理が一切不要であるため、被検査物が変性する
おそれが全くない。
【0094】一方、ジスプロジウムカチオン(Dy3
+)等のランサニドシフト試薬を酸化脂質に添加し、次
いで1H−NMR分光分析をすることにより、酸化脂質
中のハイドロオキサイド基(−OH)の存在を確認する
ことが初めて可能になった。
【0095】また、本発明により、不安定なハイドロペ
ルオキサイド基を含み、生体に著しい影響を及ぼすと考
えられる水溶性酸化脂質を生成することができる。
【0096】加えて、Cu2+と紫外線照射とを用いる
ことによるハイドロペルオキサイド基を有する水溶性酸
化脂質の生成に伴う累加的効果を見出し、この知見に基
づき、1H−NMR分光分析によりハイドロペルオキサ
イド基を含む水溶性酸化脂質を確認・測定することに成
功した。
【0097】更に、人の血奨中の濃度とほぼ同じ又はそ
れよりも低い濃度で低密度リポ蛋白に含まれる酸化コレ
ステロール・脂肪酸エステルの存在を検知することが可
能になる。
【0098】以上の効果より、核磁気共鳴分光計を用い
るプロトン−NMR分光分析は、血奨等の多くの夾雑物
を含む生体材料中の酸化脂質の存在を直接的に検知する
ことのできる方法として有効であると考えられる。
【0099】この水溶性酸化脂質の確認方法は、哺乳類
の身体(例えば、組織又は体液)からの脂質(例えば、
低密度リポ蛋白又は他のリポ蛋白)或いは食品又は工業
製品に用いる脂質の酸化の度合を評価するのに用いるこ
とができる。例えば、食用油の酸化の度合は、油の劣化
に関連している。更に、モーターオイル(及び工業製品
に用いる他のいろいろな種類のオイル)の品質は、酸化
の度合又は酸化の受け易さによって決定される。そのた
め、この酸化脂質の確認方法は、製品の質の検査に有用
である。
【0100】上記の更に別の変更態様が、当業者には自
明であり、斯かる変更態様は、特許請求の範囲によって
包含されるものである。
【0101】1992年6月18日出願の優先権の基礎
となる日本国特許出願平成4年第200082号及び1
993年5月12日出願の優先権の基礎となる日本国特
許出願平成5年144170号は、参照することによっ
て、全体として基礎となり、組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジスプロジウム(Dy)濃度が、酸化リノール
酸のプロトンシグナルに及ぼす影響を示すグラフであ
る。
【図2】グルタチオン及びグルタチオンペルオキサイド
の添加によって生じる酸化リノール酸のプロトンピーク
の変化を示すグラフである。
【図3】ダイズリポキシゲナーゼによるリノール酸の酸
化の経時的変化を示すグラフである。
【図4】スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)存
在下でのダイズリポキシゲナーゼによるリノール酸の酸
化の経時的変化を示すグラフである。
【図5】ダイズリポキシゲナーゼによるアラキドン酸の
酸化の経時的変化を示すグラフである。
【図6】スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)存
在下でのダイズリポキシゲナーゼによるアラキドン酸の
酸化の経時的変化を示すグラフである。
【図7】リノール酸試料に、予めスーパーオキサイドジ
ムスターゼ(SOD)及び5μMのCuSO4を添加し
た後、長波紫外線を照射して酸化させた試料を、プロト
ン核磁気共鳴分光計によって経時的に測定した結果を示
すグラフである。
【図8】長波紫外線を照射して酸化させたリノール酸試
料について、プロトン核磁気共鳴分光計によって経時的
に測定した結果を示すグラフである。
【図9】スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)及
び5μMのCuSO4を、低密度リポ蛋白溶液に添加し
た後、この混合物に長波紫外線を照射して低密度リポ蛋
白を酸化させ、これにジスプロジウムトリポリフォスフ
ェイト溶液を添加し、生じた試料を、プロトン核磁気共
鳴分光計によって測定する手順で試料を測定した結果を
示すグラフである。
【図10】低密度リポ蛋白中のハイドロペルオキサイド
基に影響を受けたピーク1の高さを測定することによる
大まかな定量の結果を示すグラフである。
【図11】長波紫外線を照射した低密度リポ蛋白の酸化
の経時的変化を、チオバルビタール酸反応物質測定法
と、1H−NMR分光分析法とで測定した結果を示すグ
ラフである。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検査物中の水溶性酸化脂質の存在を確
    認する方法であって、被検査物にランサニドシフト試薬
    を添加し、この混合物を分光分析して前記水溶性酸化脂
    質の存在を確認する方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶性酸化脂質が、ハイドロペルオ
    キサイド基を有する水溶性酸化脂質であることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ランサニドシフト試薬が、ジスプロジウ
    ム、ユウロピウム又はツリウムカチオンであることを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ランサニドシフト試薬が、ジスプロジウ
    ム、ユウロピウム又はツリウムトリポリフォスフェイト
    アニオンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記水溶性酸化脂質を強酸条件下に維持
    すること、又は前記水溶性酸化脂質に、ジスプロジウム
    トリポリフォスフェイト、エチレンジアミン四酢酸(E
    DTA)及びスーパーオキサイドジムスターゼ(SO
    D)からなる群から選択されたキレート剤を添加するこ
    とにより前記水溶性酸化脂質を安定化させることを更に
    含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記分光分析法が、13C−NMR分光
    分析法又は1H−NMR分光分析法であることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 水溶性酸化脂質の生成方法であって、 (i)リノール酸又はアラキドン酸を重水素化メチルア
    ルコールに溶解し、この溶液を攪拌しながら重水素化し
    たリン酸緩衝液に添加して調製した乳濁液、或いは(i
    i)重水素化していないリン酸緩衝液で充分に透析した
    低密度リポ蛋白溶液に、スーパーオキサイドジムスター
    ゼ(SOD)並びにCu又はFeカチオンを添加するこ
    と、及びこの混合物に長波紫外線を照射して前記水溶性
    酸化脂質を生成すること、を含んでいることを特徴とす
    る方法。
  8. 【請求項8】 前記水溶性酸化脂質が、ハイドロペルオ
    キサイド基を有する水溶性酸化脂質であることを特徴と
    する請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記CuカチオンがCuSO4であり、
    FeカチオンがFeSO4であることを特徴とする請求
    項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 水溶性酸化脂質の確認方法であって、 (i)リノール酸又はアラキドン酸を重水素化メチルア
    ルコールに溶解して溶液とし、この溶液を攪拌しながら
    重水素化したリン酸緩衝液に添加して調製した乳濁液、
    或いは(ii)重水素化していないリン酸緩衝液で充分
    に透析した低密度リポ蛋白に、スーパーオキサイドジム
    スターゼ(SOD)並びにCu又はFeカチオンを添加
    して混合物とすること、 この混合物に長波紫外線を照射して水溶性酸化脂質を生
    成すること、及びこの水溶性酸化脂質にジスプロジウム
    トリポリフォスフェイトアニオンを添加して核磁気共鳴
    分光計によるプロトン−NMR分光分析法によって前記
    水溶性酸化脂質を確認すること、を含んでいることを特
    徴とする方法。
  11. 【請求項11】 前記水溶性酸化脂質が、ハイドロペル
    オキサイド基を有する水溶性酸化脂質であることを特徴
    とする請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記水溶性酸化脂質を強酸条件下に維
    持すること、又は前記水溶性酸化脂質に、ジスプロジウ
    ムトリポリフォスフェイト、エチレンジアミン四酢酸
    (EDTA)及びスーパーオキサイドジムスターゼ(S
    OD)からなる群から選択されたキレート剤を添加する
    ことにより前記水溶性酸化脂質を安定化させることを更
    に含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記分光分析法が、13C−NMR分
    光分析法又は1H−NMR分光分析法であることを特徴
    とする請求項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記CuカチオンがCuSO4であ
    り、FeカチオンがFeSO4であることを特徴とする
    請求項10記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項7の方法によって製造された水
    溶性酸化脂質。
  16. 【請求項16】 ハイドロペルオキサイド基を有する請
    求項15の水溶性酸化脂質。
  17. 【請求項17】 水溶性酸化脂質の生成方法であって、 (i)リノール酸又はアラキドン酸をメチルアルコール
    に溶解して溶液とし、この溶液を攪拌しながらリン酸緩
    衝液に添加して調製した乳濁液、或いは(ii)重水素
    化していないリン酸緩衝液で充分に透析した低密度リポ
    蛋白に、スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)並
    びにCu又はFeカチオンを添加して混合物とするこ
    と、及びこの混合物に長波紫外線を照射して前記水溶性
    酸化脂質を生成すること、を含んでいることを特徴とす
    る方法。
  18. 【請求項18】 前記水溶性酸化脂質が、ハイドロペル
    オキサイド基を有する水溶性酸化脂質であることを特徴
    とする請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記CuカチオンがCuSO4であ
    り、FeカチオンがFeSO4であることを特徴とする
    請求項17記載の方法。
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