JPH09130805A - 動きベクトル検出方法及びその装置 - Google Patents

動きベクトル検出方法及びその装置

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JPH09130805A
JPH09130805A JP27953695A JP27953695A JPH09130805A JP H09130805 A JPH09130805 A JP H09130805A JP 27953695 A JP27953695 A JP 27953695A JP 27953695 A JP27953695 A JP 27953695A JP H09130805 A JPH09130805 A JP H09130805A
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JP27953695A
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Takeshi Hanamura
剛 花村
Koichi Oyama
公一 大山
Maki Sato
真樹 佐藤
Kazuhiko Morita
一彦 森田
Yasuhiro Yamada
恭裕 山田
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GRAPHICS COMMUN LAB KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハード規模や処理時間の増大を抑えつつ、フ
ェード画像にも適用できる動きベクトル検出方法及び装
置の提供。 【解決手段】 原画像と同一または近い解像度を有する
最下位の第1階層画像と、この第1階層画像の解像度に
対して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階
層画像とを用い、上位側の任意階層で検出された親ブロ
ックの動きベクトルを初期偏位ベクトルとして、該任意
階層の一つ下位の階層の注目ブロックの動きベクトルを
検出する動きベクトル検出方法において、前記第2〜第
m階層画像の少なくとも一つの階層画像を構成する各画
素値から、該一つの階層画像の1画面内画素値の平均値
を減算処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画圧縮の中核技
術の一つである「動きベクトル」の検出方法に関し、と
くに、フェードインやフェードアウトのようにフレーム
毎の平均輝度レベルが変化する動画像にも適用できる動
きベクトル検出方法及びその装置の改良に関する。
【0002】
【背景説明】「動画像圧縮」一般に、動画像の情報量
は、静止画像に比べてはるかに膨大であり、情報伝達メ
ディアや蓄積メディアへの利用に際して静止画以上に効
率の高い圧縮技術が求められる。たとえば、画像圧縮の
国際標準化委員会の一つであるMPEG(Moving Pictu
re Experts Group)によって制定された動画像符号化/
復号方式(MPEG1及びMPEG2;以下これらを総
称して「MPEG」と言う)は、こうした用途に好まし
い圧縮技術である。「時間的冗長性と予測誤差」静止画
像では、主に「空間的冗長性」を使って圧縮を実現して
いる。一方、動画像圧縮でも空間的冗長性を利用するが
「時間的冗長性」の利用がより重要になる。時間的冗長
性とは、動画像を構成する多数のフレームのうち、時間
的に近いフレーム同士は非常に似通った画像になるとい
う性質のことをいう。たとえば、アニメーションでは、
この性質を利用して連続する絵を少しずつ変化させるこ
とにより、違和感のないスムーズな動きを出している。
この場合、時間的に隣り合うフレーム同士には、程度の
差こそあれほとんど違いがないことが多い。したがっ
て、時間的に近いフレームの“異なる部分”(予測誤差
と呼ばれる)だけを伝送または蓄積すれば(言い換えれ
ば、同一の部分を伝送または蓄積しないようにすれ
ば)、結果として相当に高い圧縮率を得ることができ
る。「フレーム間予測符号化」予測誤差を得るために、
いわゆる「フレーム間予測符号化」が行なわれる。これ
は、圧縮したいフレームが持つ画像情報を他のフレーム
から予測するという方式であり、MPEGでは、「片方
向予測(順方向予測/逆方向予測)」と「双方向予測」
が行なわれる。片方向予測は時間的に近い“過去または
未来のフレーム”(順方向予測では過去、逆方向予測で
は未来)と圧縮したい“現在のフレーム”との間の予測
誤差を得るというものであり、双方向予測は“過去のフ
レーム”と“未来のフレーム”との平均値と“現在のフ
レーム”との間の予測誤差を得るというものである。
【0003】なお、MPEGでは、I、P及びBといっ
た3種類の画像タイプ(ピクチャ・タイプとも言う)を
規定する。Iピクチャはフレーム間予測を行わず(参照
フレームを必要とせず)に生成される画像、Pピクチャ
は順方向予測によって(過去の1枚のフレームを参照フ
レームとして)生成される画像、Bピクチャは順方向予
測や逆方向予測若しくは双方向予測によって(過去と未
来の2枚のフレームを参照フレームとして)生成される
画像であり、それぞれ、Intra-Picture、Predictive-Pi
cture、Bidirectionally Predictive-Pictureの頭文字
をとったものである。 「動きベクトルと動き補償」動画像における動き部分、
たとえば疾走する車両を考えると、時間的に隣り合うフ
レーム間では、車両だけが平行移動し、背景はほとんど
変化しない。このため、動き部分(車両)の画像を画素
値……画像を構成する点(画素)の情報を数値で表した
もの……で見た場合には、時間的に隣り合うフレーム
(便宜的にnフレームとn−1フレーム)同士で異なる
のは、位置の情報(座標情報)だけで、他の情報(たと
えば色情報や輝度情報)にはほとんど変化が見られな
い。したがって、n−1フレームの動き部分(車両)の
画素に、直線的な移動情報である「動きベクトル」を与
えれば、動きベクトル情報のみを送り、予測誤差情報を
ほとんど送る必要がなくなる。動きベクトルを利用して
画像信号をずらす方法を「動き補償」という。単純にフ
レーム間予測符号化を利用するのに比べて伝送情報量を
大幅に減らすことができ、圧縮効率をさらに高めること
ができる。 「ブロック・マッチング法による動きベクトル検出の基
本原理」図7〜図9を用いて、動きベクトル検出の基本
原理を説明する。図7において、100は現在のフレー
ムの画像(上述のnフレームに相当する画像;以下「現
画像」)であり、この現画像100は、所定サイズ(た
とえば16×16画素)のブロックに分割されている。
図7では、そのうちの一つのブロック101を、動きベ
クトルの検出対象ブロック(本明細書中では「注目ブロ
ック」と呼称する)として代表的に示してある。図8に
おいて、102は時間的に一つ前のフレームの画像(上
述のn−1フレームに相当する画像;以下「参照画
像」)であり、この参照画像102には、動きベクトル
探索のための領域(以下「探索領域」)103が設定さ
れている。探索領域103のサイズは、注目ブロック1
01と同一サイズの、動きベクトルの検出参照ブロック
101′(本明細書中では「参照ブロック」と呼称す
る)よりも大きく、たとえば、参照ブロック101′の
縦と横のマイナス方向(横では左方向、縦では下方向)
に16画素を加えるとともにプラス方向に15画素を加
えた47×47画素の大きさを有している。
【0004】図9は図7と図8を1枚の図面にまとめた
ものである。いま、探索領域103内で、参照ブロック
101′を水平/垂直方向に所定画素数(一般には1画
素)ずつずらしながら、重なり合う画素間の画素値の差
分を順次に求めていくと、探索領域103の内部を一巡
した段階で、すべての画素の差分値の合計を表す値(た
とえば、差分値の絶対値の和や差分値の自乗の和)が最
小となる部分領域104が見つかる。この部分領域10
4は、注目ブロック101とそのときの参照ブロック1
01′との相関性が最も高い領域であり、その大きさは
注目ブロック101と同一(ここでは16×16画素)
である。したがって、二つのブロック101、104が
マッチングしているから、注目ブロック101の中心か
ら部分領域ブロック104の中心へと向かうベクトル1
05を求め、このベクトル105を注目ブロック101
の「動きベクトル」とすればよい。 「フェード画像とブロック・マッチング法」番組制作等
で多用される画面効果の一つにフェードインやフェード
アウトがある。この手法は、画面を切り換える際に、元
の画面と次の画面の平均輝度レベルをゆっくりと変化さ
せながら両者をオーバーラップさせることによって、滑
らかな切換効果を出すというものである。たとえば、番
組制作では、映像副調整卓のフェーダーレバーをゆっく
りと動かすことにより、切換ユニット内のM−Eアンプ
(mix and effect AMP)の利得が0−100%の間で変
化し、上記の効果が得られる。
【0005】ところで、フェードインやフェードアウト
を行なった画像(以下「フェード画像」と言う)に上述
のブロック・マッチング法を適用して動きベクトル検出
を行なうと、誤検出がきわめて多くなり、実用に耐えな
くなるという欠点がある。フェード画像では、時間差の
ある2枚の画像(参照画像と現画像)の平均輝度レベル
が異なるために、ブロック・マッチング法で、すべての
画素の差分値の合計を表す値が最小となる部分領域(図
8の符号104参照)が見つかったとしても、その部分
領域は、必ずしも注目ブロック(図7の符号101)と
相関性が高い領域とは言えないからである。
【0006】
【従来の技術】そこで、本出願人は先に、フェード画像
にも適用できる「動画像の動ベクトル検出方法と装置」
を提案している(特願平6−219456号 平成6年
8月22日出願)。この既出願の技術(以下「先願技
術」と言う)は、要するに、参照画像と現画像から不都
合の原因となる平均輝度レベルを取り除き(以下、この
除去処理を「平均値分離処理」と言う)、動きベクトル
検出を行うというものである(詳細は後述の実施例で説
明する)。
【0007】これによれば、参照画像や現画像の各画素
値が、平均輝度レベルを除外した値(アナログ信号の交
流成分に相当する値)を持つことになるから、フェード
画像であっても、正確な動きベクトルを検出できるよう
になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
先願技術にあっては、フェード画像に対しても動きベク
トル検出を行うことができるというメリットがある反
面、ベクトル検出に用いられる参照画像と現画像の画素
密度が原画像と変わらないため、平均値分離処理の際
に、画素密度に応じた大容量のフレームメモリが必要と
なり、ハード規模の増大が避けられないという不都合が
ある。しかも、平均値分離の処理量も画素密度に応じて
大幅に増えるという不都合もある。したがって、特に、
画素数のきわめて多いHD/UD(High Definition/U
ltra Definition )画像に適用した場合には、装置コス
トが大幅にアップしたり、また、所要の時間内に処理を
終了できなくなったりするという問題点がある。
【0009】そこで、本発明は、ハード規模や処理時間
の増大を抑えつつ、フェード画像にも適用できる動きベ
クトル検出方法及び装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の方法発明
は、原画像と同一または近い解像度を有する最下位の第
1階層画像と、この第1階層画像の解像度に対して段階
的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層画像とを
用い、上位側の任意階層で検出された親ブロックの動き
ベクトルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ
下位の階層の注目ブロックの動きベクトルを検出する動
きベクトル検出方法において、前記第2〜第m階層画像
の少なくとも一つの階層画像を構成する各画素値から、
該一つの階層画像の1画面内画素値の平均値を減算処理
することを特徴とする。
【0011】請求項2記載の方法発明は、原画像と同一
または近い解像度を有する最下位の第1階層画像と、こ
の第1階層画像の解像度に対して段階的に解像度が低下
する上位側の第2〜第m階層画像とを用い、上位側の任
意階層で検出された親ブロックの動きベクトルを初期偏
位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の階層の注目
ブロックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出方
法において、前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つ
の階層画像のブロックを構成する各画素値から、該ブロ
ック内画素値の平均値を減算処理することを特徴とす
る。
【0012】請求項3記載の装置発明は、原画像と同一
または近い解像度を有する最下位の第1階層画像を格納
する第1階層メモリと、この第1階層画像の解像度に対
して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
画像を格納する第2〜第m階層メモリと、前記第2〜第
m階層画像の少なくとも一つの階層画像の1画面内画素
値の平均値を演算する演算手段と、該一つの階層画像を
構成する各画素の値から前記平均値を減算して各画素の
値を減算後の値に置換する置換手段と、上位側の任意階
層で検出された親ブロックの動きベクトルを初期偏位ベ
クトルとして、該任意階層の一つ下位の階層の注目ブロ
ックの動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段
と、を備えたことを特徴とする。
【0013】請求項4記載の装置発明は、原画像と同一
または近い解像度を有する最下位の第1階層画像を格納
する第1階層メモリと、この第1階層画像の解像度に対
して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
画像を格納する第2〜第m階層メモリと、前記第2〜第
m階層画像の少なくとも一つの階層画像のブロック内画
素値の平均値を演算する演算手段と、該ブロックを構成
する各画素の値から前記平均値を減算して各画素の値を
減算後の値に置換する置換手段と、上位側の任意階層で
検出された親ブロックの動きベクトルを初期偏位ベクト
ルとして、該任意階層の一つ下位の階層の注目ブロック
の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、を
備えたことを特徴とする。
【0014】請求項5記載の装置発明は、原画像と同一
または近い解像度を有する最下位の第1階層画像を格納
する第1階層メモリと、この第1階層画像の解像度に対
して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
画像を格納する第2〜第m階層メモリと、前記第2〜第
m階層画像の少なくとも一つの階層画像の1画面内画素
値の平均値を演算する演算手段と、該一つの階層画像を
構成する各画素の値から前記平均値を減算する減算手段
と、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動き
ベクトルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ
下位の階層の注目ブロックの動きベクトルを検出すると
ともに、該任意階層が前記一つの階層画像の場合には、
該一つの階層画像の代わりに前記減算手段の出力画像を
用いる動きベクトル検出手段と、を備えたことを特徴と
する。
【0015】請求項6記載の装置発明は、原画像と同一
または近い解像度を有する最下位の第1階層画像を格納
する第1階層メモリと、この第1階層画像の解像度に対
して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
画像を格納する第2〜第m階層メモリと、前記第2〜第
m階層画像の少なくとも一つの階層画像のブロック内画
素値の平均値を演算する演算手段と、該ブロックを構成
する各画素の値から前記平均値を減算する減算手段と、
上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
階層の注目ブロックの動きベクトルを検出するととも
に、該任意階層が前記一つの階層画像の場合には、該一
つの階層画像の代わりに前記減算手段の出力画像を用い
る動きベクトル検出手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0016】請求項7記載の方法発明は、請求項1また
は2記載の方法発明において、前記平均値は、一つの階
層画像またはブロックを構成するすべての画素値の単純
平均に、所定のオフセット値を加えた値であることを特
徴とする。請求項8記載の装置発明は、請求項3、4、
5または6記載の装置発明において、前記平均値は、一
つの階層画像またはブロックを構成するすべての画素値
の単純平均に、所定のオフセット値を加えた値であるこ
とを特徴とする。
【0017】
【作用】階層型画像の各画像のうち上位側の第2〜第m
階層画像は、最下位の第1階層画像よりも画素密度が低
い。したがって、この第2〜第m階層画像のうちの少な
くとも一つの階層画像(または同階層画像を構成する各
ブロック)に対して平均値分離処理を施せば、ハード規
模や処理量を増大せずに、フェード画像に対する動きベ
クトルの検出が可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明するが、その前に「階層型画像とブロックマ
ッチング法」について概説する。電子情報通信学会論文
誌(D−II Vol.J72−D−II No.3 pp.395−403 1
989年3月)には、階層画素情報にブロック・マッチング
法を適用した「動きベクトル検出方式」が記載されてい
る。
【0019】図10は、上記論文に記載された階層型画
像の模式図である。図10において、「0」、「h」及
び「h+1」は代表的に示す三つの階層画像であり、0
は最下層の画像、hは任意の中位層の画像、h+1は画
像hの一つ上層の画像である。画像0を原画像とする
と、画像hの画素密度は画像0の画素密度よりも少な
く、画像h+1の画素密度はさらに少なくなるように設
定されている。好ましい例によれば、画像h+1の画素
密度は画像hの画素密度の1/2である。これは、画像
hの周波数帯域とサンプリング周波数を1/2にして得
られた画像に相当する。
【0020】このような階層画像においては、上位層の
画像の空間解像度が下位層に比べて劣化するため、上位
層と下位層では相反する性質を持つことになる。すなわ
ち、上位層では被写体の動きを大局的に捉えることがで
き(言い換えれば、上位層では被写体の動きを詳細に捉
えることができない)、一方、下位層ではこの逆に被写
体の動きを詳細に捉えることができる(言い換えれば、
下位層では被写体の動きを局所的にしか捉えることがで
きない)。
【0021】したがって、上位層で検出された動きベク
トルを初期偏位ベクトルにして、下位層の動きベクトル
を逐次検出すれば、被写体の動きを効率よく、しかも高
い精度で検出することが可能となる。画像hの階層(以
下「第h階層」)におけるブロック・マッチングの探索
は、一つ上の画像h+1の階層(以下「第h+1階
層」)の被従属ブロック200(以下「親ブロック」)
の検出結果Vh+1を2倍したもの(2Vh+1)を、第h階
層の注目ブロック201の初期偏位ベクトルとして行な
う。たとえば、次式で定義するマッチング評価関数
「S(uh′,vh′)」が最小となるVh′を探索して
検出する。このとき、注目ブロック201の動きベクト
ルVhは、図11(a)に示すように、Vh=Vh′+2
h+1で与えられる。また、マッチングの探索範囲は、
階層画像の各層間の対応を考慮し、親ブロック200の
検出結果2Vh+ 1=(2uh+1,2vh+1)を中心に、た
とえば5×5の範囲に設定する。
【0022】
【数1】
【0023】 但し、初期偏位点:2Vh+1=(2uh+1,2vh+1) 探索点:Vh′=(uh′,vh′) 前フレームの画像h:ft-1,h(x,y) 現フレームの画像h:ft,h(x,y) 検出動きベクトル:Vh=(uh,vh =(2uh+1+uh′,2vh+1+vh′) なお、前出図10の階層画像では、画像h+1の解像度
が画像hと比べて1/2になっている。このため、初期
偏位ベクトルとして用いる親ブロック200の検出結果
h+1も、検出対象の動きベクトルVhの1/2の解像度
でしかないから、親ブロック200の検出結果を2倍
し、画像hの解像度に合わせた後、これを初期偏位ベク
トルとして設定する必要がある。たとえば、Vhmax=0
とおくと、各階層のマッチングによって検出される動き
ベクトルVhは、次式のようになる(図11(b)参
照)。 (以下余白)
【0024】
【数2】
【0025】本実施例では、以上の技術に、平均値分離
処理(参照画像及び現画像を構成する各画素値から1画
面内平均値またはブロック内平均値を減算する処理)を
適用する。図1〜図5は本発明に係る動きベクトル検出
装置の一実施例の原理構成図である。なお、以下の説明
では、3層の階層型画像を例とするが、この層数に限定
されないことは言うまでもない。
【0026】図1において、10〜30は、階層毎に設
けられた動きベクトル検出部である。図面下側の動きベ
クトル検出部30は、3階層型画像の第1層目の画像
(下位層画像)に対応する。また、図面中央の動きベク
トル検出部20は、同画像の第2層目の画像(中位層画
像)に対応する。さらに、図面上側の動きベクトル検出
部10は、同画像の第3層目の画像(上位層画像)に対
応する。
【0027】以下、説明の都合上、図面上側の動きベク
トル検出部10を「上位層動きベクトル検出部」、図面
中央の動きベクトル検出部20を「中位層動きベクトル
検出部」、さらに、図面下側の動きベクトル検出部30
を「下位層動きベクトル検出部」と呼称する。各部の構
成は、下位層動きベクトル検出部30と中位層動きベク
トル検出部20についてはほとんど類似の構成である
が、上位層動きベクトル検出部10については以下のと
おり相違している。
【0028】すなわち、中位層動きベクトル検出部20
(下位層動きベクトル検出部30)は、二つの画像メモ
リ20a、20b(30a、30b)と、動きベクトル
/評価値メモリ20c(30c)と、動きベクトル評価
器20d(30d)と、動きベクトル伸長器20e(3
0e)とを含む。一方、上位層動きベクトル検出部10
は、二つの画像メモリ10a、10bと、動きベクトル
/評価値メモリ10cと、動きベクトル評価器10dと
を含むとともに、平均値分離回路10eと、平均値演算
回路10fと、平均値バッファ10gとを含む。
【0029】動きベクトル検出部10(20または3
0)に含まれる二つの画像メモリ10a、10b(20
a、20bまたは30a、30b)の一方は、現フレー
ムの画像信号(以下、単に「現画像」と言う)の格納
用、他方は参照フレーム(たとえば、時間的に一つ前の
フレーム)の画像信号(以下、単に「参照画像」と言
う)の格納用であり、特に限定しないが、図では、左側
の画像メモリ10a(20aまたは30a)を現画像格
納用、右側の画像メモリ10b(20bまたは30b)
を参照画像格納用としている。
【0030】ここで、画像メモリ10a、10b、20
a、20b、30a、30bの解像度(画素密度)は、
下位側から上位側へといくにつれて段階的に低くなって
いる。すなわち、下位層動きベクトル検出部30の画像
メモリ30a、30bに格納された画像は「高解像度画
像」であり、また、中位層動きベクトル検出部20の画
像メモリ20a、20bに格納された画像は「中解像度
画像」であり、さらに、上位層動きベクトル検出部10
の画像メモリ10a、10bに格納された画像は「低解
像度画像」である。
【0031】したがって、高解像度画像を格納する画像
メモリ10a、10bは、発明の要旨に記載の「第1階
層メモリ」として機能し、中解像度画像と低解像度画像
を格納する残りの画像メモリ20a、20b、30a、
30bは、発明の要旨に記載の「第2〜第m階層メモ
リ」としての機能を有している。各画像の画素密度は、
「高」、「中」、「低」の順に段階的に低くなるように
設定すればよいが、設計容易性の点で、一定の倍率で変
化するようにした方が望ましい。たとえば、高解像度画
像の画素密度を原画像と同一の(または近い)解像度に
するとともに、この高解像度画像の画素を1/4間引い
たものを中解像度画像とし、さらに、中解像度画像の画
素を1/4間引いたものを低解像度画像としてもよい。
この場合、低解像度画像の画素密度は、高解像度画像の
1/16になる。
【0032】次に、画像メモリ以外の各部の機能を説明
するが、上位層動きベクトル検出部10は、平均値分離
処理を行う点で中位層動きベクトル検出部20や下位層
動きベクトル検出部30と異なるため、後でまとめて説
明する。中位層動きベクトル検出部20の動きベクトル
評価器20d(または下位層動きベクトル検出部30の
動きベクトル評価器30d)は、一方の画像メモリ20
a(30a)から読み出した現画像の注目ブロック(図
7の符号101参照)の画像と、他方の画像メモリ20
b(30b)から読み出した参照画像の探索領域(図8
の符号103参照)の画像とに基づき、前述のブロック
・マッチング法によって、注目ブロックの動きベクトル
(図8の符号105参照)を検出する。
【0033】ここで、中位層動きベクトル検出部20の
動きベクトル評価器20d(または下位層動きベクトル
検出部30の動きベクトル評価器30d)には、動きベ
クトル伸長器20e(30e)によって所定の伸長処理
を施された一つ上の階層の親ブロックの動きベクトル1
0h(20h)……10h′または20h′は伸長処理
後の動きベクトル……が入力している。
【0034】動きベクトル評価器20d(30d)は、
親ブロックの動きベクトル10h′(20h′)を初期
偏位ベクトルとし、その初期偏位ベクトルで示された位
置を中心に必要最小限の大きさの探索領域(x)を設定
して、この探索領域(x)内の画像を画像メモリ20b
(30b)から読み込み、探索領域(x)の中で評価が
最も高いベクトルVxを探し出し、その探索結果のベク
トルVxと評価値xとを動きベクトル/評価値メモリ2
0c(30c)に書き込む。
【0035】したがって、中位層と最下位層の動きベク
トル評価器20d、30dは、上位側の階層で検出され
た親ブロックの動きベクトルを初期偏位ベクトルとし
て、一つ下位の階層の注目ブロックの動きベクトルを検
出する「動きベクトル検出手段」として機能する。な
お、中位層動きベクトル検出部20の動きベクトル評価
器20d(または下位層動きベクトル検出部30の動き
ベクトル評価器30d)で、同一階層内の周辺ブロック
の動きベクトルを参照するようにしてもよい。
【0036】たとえば、動きベクトル/評価値メモリ2
0c(30c)にすでに書き込まれている周辺ブロック
の動きベクトルを、参照動きベクトル20g(30g)
として少なくとも一つ読み出し、この参照動きベクトル
20g(30g)に対応した探索領域(Yi)(iは参
照動きベクトルの識別番号)の画像を、画像メモリ20
b(30b)から読み出す。そして、領域(Yi)の中
で最も評価の高いベクトルVyを探し出し、その探索結
果の動きベクトルVyiと評価値yiとを動きベクトル/
評価値メモリ20c(30c)に書き込み、最後に、親
ブロックの動きベクトルを参照したときの評価値xと、
周辺ブロックの動きベクトルを参照したときの評価値y
i(たとえば二つの周辺ブロックを参照した場合には
1、y2)との中で最も評価の高いベクトルVzを当該
階層画像の注目ブロックにおける動きベクトル20h
(30h)として確定し、一つ下の階層へ出力するとと
もに、動きベクトル/評価値メモリ20c(30c)に
書き込むようにしてもよい。
【0037】次に、本実施例の特徴的な構成を含む上位
層動きベクトル検出部10について説明する。上位層動
きベクトル検出部10は、参照画像と現画像から注目ブ
ロックの動きベクトルを検出する点で、上述の中位層及
び下位層動きベクトル検出部20、30と類似するが、
参照画像及び現画像に対して、「平均値分離処理」を施
す点で相違する。
【0038】ここで、本実施例の平均値分離処理は、左
側の画像メモリ10aに格納された現画像に対して行わ
れるものと、右側の画像メモリ10bに格納された参照
画像に対して行われるものとに分けられる。以下、前者
を「現画像平均値分離処理」、後者を「参照画像平均値
分離処理」と呼ぶことにする。なお、単に「平均値分離
処理」と言う場合には両者を指すものとする。 「現画像平均値分離処理」平均値分離回路10eは、左
側の画像メモリ10aから現画像の注目ブロックを読み
込み、その注目ブロックのすべての画素値の平均値を分
離して出力するものである。たとえば、注目ブロックが
16×16画素のサイズであるとすると、16×16画
素すべての値を加算し、それを16×16で除して平均
値を求め、この平均値を各画素の値から減算するような
手法で行ってもよい。平均値は注目ブロックの画像をア
ナログ的に見た場合の直流成分に相当する値であるか
ら、平均値を分離した後の注目ブロックの画像は、同じ
くアナログ的に見た場合の交流成分のみの値(言い換え
れば直流成分をカットした値)に相当する。
【0039】ここで、現画像平均値分離処理における処
理量は、ブロック内の画素値の加算処理と、その平均値
処理とをブロック数倍した量で与えられるが、本実施例
では、かかる処理を階層型画像の最上層画像、言い換え
れば最も画素数の少ない画像で行っているため、現画像
平均値分離処理の処理量を大幅に削減できるというメリ
ットがある。 「参照画像平均値分離処理」上位層動きベクトル検出部
10の平均値演算回路10fと平均値バッファ10g
は、以下に示す手順を逐次に実行することにより、右側
の画像メモリ10bから読み出した参照画像の探索領域
について、該領域内のすべての画素値の平均値を求め、
その平均値を保持するという機能を実現する。 「水平方向加算手順」この手順は、後述の垂直方向加算
/平均値演算処理で、適宜に用いられるが、ここでまと
めて説明しておく。
【0040】図2には、水平方向加算手順を説明するた
めの概念図が示されている。同図(a)において、40
は参照画像、41は参照画像40中のy座標(yi)に
位置する任意の1ライン(以下、単に「ライン」)、4
2はライン41上を1画素ずつ所定方向(図では左から
右)へスライドする仮想のウィンドウである。このウィ
ンドウ42の横方向(x座標方向)の長さは、探索領域
のx座標幅と同じに設定されている。なお、43はウィ
ンドウ42を1画素右にスライドした後の状態を表して
いる。但し、図では、スライド後のウィンドウ43が上
下方向(y座標方向)にも若干ずれているが、これは図
示の都合上であり、実際には上下方向のずれはない。
【0041】以下の手順A1〜A7を行うために、同図
(b)に示すようなラインバッファ44を準備する。こ
のラインバッファ44は、平均値演算回路10fの構成
要素の一つであり、その容量は、少なくとも参照画像4
0のx座標上の画素数(すなわちライン41の画素数)
と同等である。なお、45は代表的に示すそのうちの一
つの記憶要素である。 (A1) まず、ウィンドウ42を画面の左端に置き、
ウィンドウ42内の画素値frをすべて加算して、 (A2) その加算結果Snをラインバッファ44の左
端の記憶要素(図示略)に格納する。 (A3) 次いで、ウィンドウ42を右方向へ1画素ス
ライドする。ここでは、まだ、ライン41上を1画素し
かスライドしていないが、スライド前後のウィンドウを
便宜的にウィンドウ42、43とすると、スライドによ
って、スライド前のウィンドウ42から1画素46が消
えるとともに、スライド後のウィンドウ42に1画素4
7が追加される。以下、消えた画素を「消滅画素」、付
け加えられた画素を「新出画素」と呼ぶことにする。
【0042】ここで、消滅画素46のx座標の値をxo
ld、新出画素47のx座標の値をxnewとし、スラ
イド後のウィンドウ43の左端の画素(以下「代表画
素」)48のx座標の値をxcとする。 (A4) A2で求めた加算結果Snから消滅画素46
の画素値fr(xold,yc)を減算し、 (A5) その減算結果に新出画素47の画素値fr
(xnew,yc)を加算して、 (A6) その加算結果Snを、ラインバッファ44の
座標xcに保存する。 (A7) 手順A3〜A6を繰り返し、ウィンドウ43
がライン41の右端に到達したら終了する。 「垂直方向加算/平均値演算手順」図3には、垂直方向
の加算と探索領域毎の平均値を算出する概念図が示され
ている。図3(a)において、50は比較のための参照
画像、51は仮想のウィンドウである。ウィンドウ51
の横幅(図面左右方向の幅)は、参照画像50のx座標
の幅と同じであり、また、縦幅(図面上下方向の幅)
は、図示を略した探索領域のy座標の幅と同じである。
ウィンドウ51は参照画像50の1ラインに相当する単
位で画面の上から下に逐次にスライドが可能であり、ス
ライド後のウィンドウを符号52で示してある。なお、
図では、二つのウィンドウ51、52がx座標方向にも
ずれているが、これは図示の都合上であり、実際にはx
座標方向へのずれはない。
【0043】ウィンドウ51がスライドすると、スライ
ド前のウィンドウ51の最上部の1ライン(以下「消滅
ライン」)53が消え、スライド後のウィンドウ52に
1ライン(以下「新出ライン」)54が追加される。図
3(b)、図3(c)において、55は平均値演算回路
10fの構成要素に含まれるスライスバッファである。
図3(b)では、消滅ライン53に対応するラインのス
ライストップライン56の各画素値が一時的に保存され
る様子が示されている。57は各画素値のうちの一つの
画素である。ウィンドウ52がスライドするにつれて、
スライスバッファ55に保存されているハッチング部分
の各画素は、図3(c)のように移動し、スライスボト
ムライン58には、新出ライン54の1ライン分の各画
素値が一時的に保存される。59は各画素値のうちの一
つの画素である。
【0044】図3(d)において、60は平均値演算回
路10fの構成要素に含まれる総計バッファであり、総
計バッファ60は参照画像のx座標幅と同じ記憶容量を
持ち、各記憶要素には、探索領域の画素値の総計値が一
時的に格納される。図3(e)には、平均値バッファ1
0gの内容が模式的に示されており、平均値バッファ1
0gの着目ライン61の各点での平均値を計算するため
に、総計バッファ60の1ライン分の総計が格納され
る。なお、62は着目ライン61上の一つの画素であ
り、この画素62は総計バッファ60の一つの画素63
の位置に対応している。
【0045】次に、総計バッファ60の保存している各
ブロックの画素値の総合計をSt、スライスバッファ5
5中に蓄えている座標(x,y)における画素値の合計
をS1(x,y)とし、以下の手順で平均値Mfを計算
する。 (B1) 図3(a)において、ウィンドウ52が最も
画面の上部にある場合、すなわち、ウィンドウ52がウ
ィンドウ51に重なっている場合、ウィンドウ52中の
各ライン毎に、前述した手順A1〜A7により、水平方
向の加算を行い、その結果を、ライン毎に対応するスラ
イスバッファ55に蓄える。 (B2) スライスバッファ55の値を用いて、すべて
の画素位置のx座標(x)に対し、総計バッファ60の
保有している各ブロックの画素値の総合計St(x)の
初期値St0(x)を、次のようにして計算する。
【0046】S1=S1(x,y)とし、 St0(x)=ΣS1 ここで、Σは、スライスバッファ55中のスライストッ
プライン56からスライスボトムライン58まで、y座
標の値を変化させた累計をあらわす。 (B3) すべての画素位置のx座標(x)に対して、
初期値St0(x)の値から平均値Mfを計算し、画面
最上ラインに相当するy座標(yf)の位置の平均値バ
ッファ10gの値Mf(x,yf)とする。ここで、 (ブロックの横幅)×(ブロックの縦長)=ブロックの
面積 とおくと、 Mf(x,yf)=St0(x)/(ブロックの面積) (B4) 画素57を左から右へ移動して各x座標にお
いて総計バッファ60の保存している各ブロックの画素
値の総合計St(x)(初期値はSt0(x))からス
ライストップライン56の対応するx座標における水平
方向合計値S1の値を減算する。 (B5) スライスバッファ55の中のデータを上方向
にシフトする。 (B6) ウィンドウ52を画面の下方へ1ライン分だ
けスライドする。ウィンドウ52に新しく現れる新出ラ
イン54について、前述の手順A1〜A7により、水平
方向の加算を行い、その結果をスライスバッファ55の
スライスボトムライン58に入れる。 (B7) スライスバッファ55に新たに加わった新出
ライン54のデータを利用し、画素59を左から右に移
動して各x座標において、総計バッファ60の保有して
いる各ブロックの画素値の総合計St(x)に、スライ
スボトムライン58の1ライン分のラインバッファの各
xにおける水平方向合計値S1(ys1b)の値を加算
する。 (B8) すべてのxに対して、総計バッファ60の保
有している各ブロックの画素値の総合計St(x)の値
から平均値Mf(x,yc)を計算し、着目ライン61
のy座標値ycに相当する位置の平均値バッファ10g
の値Mf(x,yc)とする。ここで、 (ブックの横幅)×(ブロックの縦長)=ブロックの面
積 とおくと、 Mf(x,yc)=St(x)/(ブロックの面積) (B9) ウィンドウ52が参照画像50の下端に達し
たら終了し、それ以外は、ウィンドウ52を1ライン分
ずらした後、手順B4〜B8を繰り返す。
【0047】そして、各ブロック位置で平均値Mft−
1(x,y)が得られたら、各々のブロック位置に対応
するあらかじめ定められた平均値バッファ10gの対応
する位置に、そのブロックでの平均値Mft−1(x,
y)を入力する。以上の方法により、最終的に、各点で
の平均値Mft−1(x,y)を計算し、その結果が平
均値バッファ10gに蓄えられる。
【0048】図4には、平均値バッファ10gの内部構
造が示されている。平均値バッファ10gは、二次元構
造を持っている。参照画像の中で、たとえば座標(x
b,yb)を左上の点とする注目ブロック70におい
て、上述した方法や各ブロック毎に独立に平均値を算出
する方法を用いて、平均値(すなわちアナログ信号にお
ける直流成分)Mft−1(x,y)を求め、平均値バ
ッファ10g中のブロックの平均値を保存する位置71
(座標位置xb,tb)に書き込む。
【0049】図4中で、ブロック70は検出対象ブロッ
クの位置に対応するブロックであり、そのブロック70
に対する平均値を保存しておく場所は、そのブロック7
0の左上の位置71である。また、72は探索領域であ
り、探索領域72はブロック70をずらした場合に、こ
のブロック70の平均値を保存する位置71が移動する
可能性のある範囲に設定する。なお、位置71は、ブロ
ック70の左上に限らない。ブロック70の位置から特
定できればよく、たとえばブロック70の中心や左下な
どであってもよい。
【0050】図5(a)、図5(b)には、平均値バッ
ファ10gに必要なサイズを示している。図5(b)に
おいて、平均値バッファ10gのサイズは、画像バッフ
ァ中にある検出のための参照画像80の中で、ブロック
をずらし得るすべての範囲でその時の探索ブロック81
の左上の画素82が移動する範囲のすべてを網羅するよ
うに準備した場合に最も大きくなる。その大きさは、参
照画像80の中で画面の外を指す動きベクトルによって
ブロック81をずらすことができない部分、すなわち斜
線を施した探索不可部分83を除外した大きさである。
したがって、必要な平均値バッファ10gのサイズは、
図5(b)に示すように、ブロック81の縦と横の値か
らそれぞれ1引いた値だけ、参照画像80の横および縦
のサイズを小さくしたサイズに一致する。
【0051】しかしながら、平均値バッファ10gの所
要サイズが小さくなるといっても、そのサイズは参照画
像80の画素数で決まるから、特に、HD/UD画像の
ように、画素数が多い場合には平均値バッファ10gの
規模増大が避けられない。本実施例では、かかる課題を
解決するために、平均値分離処理を施す参照画像80を
階層型画像の最上層画像にした。この最上層画像の画素
密度は、原画像のそれに比べてはるかに小さいからであ
る。たとえば、好ましい階層型画像の例によれば、原画
像の1/16もの少ない画素数になる。したがって、平
均値バッファ10gの所要サイズを同比率分だけさらに
削減することができるから、ハード規模の増大を抑えつ
つ、たとえば、HD/UD画像にも適用可能な、フェー
ド画像対応の動きベクトル検出技術を提供できる。
【0052】また、階層型画像の最上層画像に対して平
均値分離処理を行うということは、その分離処理に必要
な様々な処理量を、少ない画素数に対応させて大幅に削
減できることを意味しており、処理効率のよいフェード
画像対応の動きベクトル検出技術を提供できる。なお、
上記実施例では、動きベクトル評価器10dにおいて、
画像メモリ10bから読み出した参照画像を、平均値バ
ッファ10gから読み出した平均値で減算処理し、その
減算後の参照画像を用いて動きベクトル検出を行ってい
るが、これに限るものではない。たとえば、減算後の参
照画像で画像メモリ10bの内容を書き換えてもよい。
前者の場合には、動きベクトル評価器10dは、減算手
段として機能し、後者の場合には、置換手段として機能
することになる。
【0053】図6は本発明に係る動きベクトル検出装置
の他の実施例の概念的な要部全体構成図である。なお、
図6において、図1と共通する構成要素には同一の符号
を付すと共にその説明を省略する。本実施例と前記実施
例(図1)との相違は、参照画像メモリ10bからのデ
ータを平均値分離10iを通して動きベクトル評価器1
0dに出力するようにした点にある。すなわち、前記実
施例(図1)では、平均値バッファ10gに平均値を蓄
えるが、本実施例ではそのような蓄積動作を行わず、動
きベクトル評価のためのブロックマッチングの度に平均
値を分離する点で相違する。これによれば、平均値分離
のための演算量が増大するものの、平均値バッファが不
要になるため、回路規模を削減できるという大きなメリ
ットがある。このことは、特に動きベクトル検出装置の
集積化に有利である。なお、ブロックマッチングを行う
度に平均値を分離せずに、参照画像メモリ10bのすべ
ての画素値を求めておき、その平均値を分離するように
すれば、演算量の削減も図れるので好ましい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、階層型画像の上位側の
第2〜第m階層画像のうち少なくとも一つの階層画像
(または同階層画像を構成する各ブロック)に対して平
均値分離処理を施すので、同一つの階層画像(または同
階層画像を構成する各ブロック)の画素密度は、原画像
よりもはるかに小さいから、ハード規模や処理量の増大
を抑えつつ、フェード画像に対する動きベクトル検出を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の概念的な要部全体構成図である。
【図2】一実施例の水平方向加算処理の概念図である。
【図3】一実施例の垂直方向加算処理及び平均値演算処
理の概念図である。
【図4】一実施例の平均値バッファの概念図である。
【図5】一実施例の平均値バッファの所要サイズを説明
するための概念図である。
【図6】他の実施例の概念的な要部全体構成図である。
【図7】動きベクトル検出の基本原理図(その1)であ
る。
【図8】動きベクトル検出の基本原理図(その2)であ
る。
【図9】動きベクトル検出の基本原理図(その3)であ
る。
【図10】階層型画像の模式図である。
【図11】階層型画像における動きベクトル検出の概念
図である。
【符号の説明】
10a、10b:画像メモリ(第1階層メモリ) 10f:平均値演算回路(演算手段) 20a、20b、30a、30b:画像メモリ(第2〜
第m階層メモリ) 20d、30d:動きベクトル評価器(動きベクトル検
出手段、減算手段、置換手段)
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 真樹 東京都渋谷区代々木4丁目36番19号 株式 会社グラフィックス・コミュニケーショ ン・ラボラトリーズ内 (72)発明者 森田 一彦 東京都渋谷区代々木4丁目36番19号 株式 会社グラフィックス・コミュニケーショ ン・ラボラトリーズ内 (72)発明者 山田 恭裕 東京都渋谷区代々木4丁目36番19号 株式 会社グラフィックス・コミュニケーショ ン・ラボラトリーズ内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像と、この第1階層画像の解像度に対
    して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
    画像とを用い、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出する動きベク
    トル検出方法において、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像を
    構成する各画素値から、該一つの階層画像の1画面内画
    素値の平均値を減算処理することを特徴とする動きベク
    トル検出方法。
  2. 【請求項2】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像と、この第1階層画像の解像度に対
    して段階的に解像度が低下する上位側の第2〜第m階層
    画像とを用い、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出する動きベク
    トル検出方法において、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像の
    ブロックを構成する各画素値から、該ブロック内画素値
    の平均値を減算処理することを特徴とする動きベクトル
    検出方法。
  3. 【請求項3】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像を格納する第1階層メモリと、 この第1階層画像の解像度に対して段階的に解像度が低
    下する上位側の第2〜第m階層画像を格納する第2〜第
    m階層メモリと、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像の
    1画面内画素値の平均値を演算する演算手段と、 該一つの階層画像を構成する各画素の値から前記平均値
    を減算して各画素の値を減算後の値に置換する置換手段
    と、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出する動きベク
    トル検出手段と、を備えたことを特徴とする動きベクト
    ル検出装置。
  4. 【請求項4】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像を格納する第1階層メモリと、 この第1階層画像の解像度に対して段階的に解像度が低
    下する上位側の第2〜第m階層画像を格納する第2〜第
    m階層メモリと、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像の
    ブロック内画素値の平均値を演算する演算手段と、 該ブロックを構成する各画素の値から前記平均値を減算
    して各画素の値を減算後の値に置換する置換手段と、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出する動きベク
    トル検出手段と、を備えたことを特徴とする動きベクト
    ル検出装置。
  5. 【請求項5】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像を格納する第1階層メモリと、 この第1階層画像の解像度に対して段階的に解像度が低
    下する上位側の第2〜第m階層画像を格納する第2〜第
    m階層メモリと、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像の
    1画面内画素値の平均値を演算する演算手段と、 該一つの階層画像を構成する各画素の値から前記平均値
    を減算する減算手段と、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出するととも
    に、 該任意階層が前記一つの階層画像の場合には、該一つの
    階層画像の代わりに前記減算手段の出力画像を用いる動
    きベクトル検出手段と、を備えたことを特徴とする動き
    ベクトル検出装置。
  6. 【請求項6】原画像と同一または近い解像度を有する最
    下位の第1階層画像を格納する第1階層メモリと、 この第1階層画像の解像度に対して段階的に解像度が低
    下する上位側の第2〜第m階層画像を格納する第2〜第
    m階層メモリと、 前記第2〜第m階層画像の少なくとも一つの階層画像の
    ブロック内画素値の平均値を演算する演算手段と、 該ブロックを構成する各画素の値から前記平均値を減算
    する減算手段と、 上位側の任意階層で検出された親ブロックの動きベクト
    ルを初期偏位ベクトルとして、該任意階層の一つ下位の
    階層の注目ブロックの動きベクトルを検出するととも
    に、 該任意階層が前記一つの階層画像の場合には、該一つの
    階層画像の代わりに前記減算手段の出力画像を用いる動
    きベクトル検出手段と、を備えたことを特徴とする動き
    ベクトル検出装置。
  7. 【請求項7】前記平均値は、一つの階層画像またはブロ
    ックを構成するすべての画素値の単純平均に、所定のオ
    フセット値を加えた値であることを特徴とする請求項1
    または2記載の動きベクトル検出方法。
  8. 【請求項8】前記平均値は、一つの階層画像またはブロ
    ックを構成するすべての画素値の単純平均に、所定のオ
    フセット値を加えた値であることを特徴とする請求項
    3、4、5または6記載の動きベクトル検出装置。
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CN108810317A (zh) * 2017-05-05 2018-11-13 展讯通信(上海)有限公司 真实运动估计方法及装置、计算机可读存储介质、终端
CN108810317B (zh) * 2017-05-05 2021-03-09 展讯通信(上海)有限公司 真实运动估计方法及装置、计算机可读存储介质、终端

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