JPH09125157A - 雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロール - Google Patents

雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロール

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JPH09125157A
JPH09125157A JP28886695A JP28886695A JPH09125157A JP H09125157 A JPH09125157 A JP H09125157A JP 28886695 A JP28886695 A JP 28886695A JP 28886695 A JP28886695 A JP 28886695A JP H09125157 A JPH09125157 A JP H09125157A
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roll
outer tube
heat
temperature
peripheral surface
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JP28886695A
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Hidemi Ishii
秀美 石井
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Chugai Ro Co Ltd
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Praxair ST Technology Inc
Praxair Technology Inc
Original Assignee
Chugai Ro Co Ltd
Nisshin Steel Co Ltd
Praxair ST Technology Inc
Praxair Technology Inc
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内の熱効率の低下を防ぎ、ロール表面のビ
ルドアップ性の向上を図り、ロール表面温度を金属帯の
熱処理に適した温度に維持することができる金属帯を支
持するためのロールを提供する。 【解決手段】 ロール本体22と外套管24との間に断
熱層26を設け、ロール本体22には通水路33を形成
して冷却水を供給する。断熱層26は、熱伝導率が約
0.3kcal/(m・時・℃)の珪砂、鉄粉およびセ
ラミックファイバなどの耐熱性を有する粉粒体によって
構成し、外套管24の外周面には約800℃以上の耐熱
性を有する材料から成る表層27を溶射によって形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、大気開放カテナリ型連
続焼鈍炉などによって代表される加熱炉および均熱炉な
どの雰囲気熱処理炉に通板される金属帯を支持するため
のロールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属帯であるたとえばステンレ
ス鋼帯の製造工程において、熱間圧延または冷間圧延に
よって生じた加工歪のように加工硬化したステンレス鋼
帯の組織を改善するために、焼鈍が行われる。このよう
な焼鈍は、ステンレス鋼帯の種類およびそのステンレス
鋼帯が熱間圧延後か冷間圧延後かの相違によって、焼鈍
条件が異なる。すなわち、熱間圧延後のステンレス鋼帯
の焼鈍の主な目的は、加工性を向上させるために軟化す
ることと、結晶粒を整粒化することである。特にオース
テナイト系ステンレス鋼では、クロム炭化物を固溶さ
せ、耐食性を向上させ、さらに加工歪を除去することを
目的とした溶体化処理が必要である。また冷間圧延後の
ステンレス鋼帯の焼鈍の主な目的は、冷間圧延によって
加工硬化した材料を再結晶させて軟化させることであ
る。またオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、再結
晶させるという目的の他に、冷間圧延によって生じたマ
ルテンサイト相をオーステナイト相に戻すという目的が
ある。
【0003】このような焼鈍は、焼鈍炉の高温の炉内雰
囲気中に金属帯を連続通板して行われる。焼鈍炉には、
基本的に、予熱帯および加熱帯を有し、この加熱帯は横
型焼鈍炉の場合、2〜3室から成り、各室の間には通板
される金属帯に直接接触して支持するハースロールと呼
ばれる支持ロールが設けられる。加熱帯は、その雰囲気
温度が1200〜1300℃程度の高温度であり、その
ため金属帯は同温程度に加熱される。このような高温雰
囲気中では、金属帯に付着して炉内へ持込まれた金属粉
や金属酸化物であるスケールが、図16に示されるよう
に、支持ロール1の表面2上に焼結し、ビルドアップと
呼ばれる隆起物3を形成する。この隆起物3は、大部分
がFe成分であるが、その他にもSi、Mn、Al、C
rなどの酸化物系成分も含まれ、主に金属帯表面に付着
したスケールの炉内への持込みによって、ロール表面の
ビルドアップが成長する。特に還元性雰囲気であるたと
えばN2 雰囲気中においては、Fe成分よりもFe酸化
物がビルドアップ源に成りやすく、還元されていく過程
における活性化が焼結反応を促進し、結合または粒成長
によってビルドアップが発生するものと考えられてい
る。
【0004】このようなロール表面のビルドアップの発
生を防止するために、図5に示されるように、ロール本
体5にその軸線に沿って冷却水の通水路6を形成し、ロ
ール本体5の外周面上には断熱層7を形成し、この断熱
層7上には外筒管8が装着され、この外筒管8の外周面
にはセラミックスから成る厚さ40〜800μm程度の
皮膜9を形成して、ロール本体表面が過冷とならないよ
うにして、炉温に近い温度に保持するようにした技術が
周知である。このような従来の技術は、たとえば特開昭
62−192521号公報に開示されている。
【0005】また他の従来の技術では、耐ビルドアップ
性を向上するために、たとえば特公昭60−25490
号公報に開示される従来の技術では、スリーブの嵌合焼
結あるいは溶射によるSi15%以上の金属層が金属ロ
ール表面に形成され、これによってロール表面にSiO
2 の皮膜を形成して、鉄粉あるいは酸化鉄とロール表面
との反応を抑制し、ビルドアップの生成を防止してい
る。
【0006】さらに特公平5−445号公報に開示され
る他の従来の技術では、金属珪素含有量が1重量%以下
の炭化珪素、窒化珪素あるいはそれらの混合物を30〜
70重量%含み、残部がCo、Cr、Mo、Ni、A
l、W、Yの単体または2種以上の混合物もしくは合金
から成るサーメット層の溶射被覆を、ロール表面に形成
することによって、耐摩耗性および耐ビルドアップ性を
向上している。
【0007】さらに支持ロールの軸線方向の温度分布を
均一化する技術として、特開平6−279836号公報
に開示される従来の技術では、ロールの内面に多硬質物
質を設けてそのロール内を真空にし、かつ内部にナトリ
ウムなどの作動流体を封入し、ロール自体をヒートパイ
プのように構成し、軸線方向の温度分布の均一化を図る
ように構成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような特開昭6
2−192521号公報、特公昭60−25490号公
報、特公平5−445号公報および特開平6−2798
36号公報に示される各従来の技術では、高温雰囲気中
で金属帯を支持するロールの一般的な必要条件である耐
熱性(すなわち高温耐酸化性)、耐磨耗性、耐ビルドア
ップ性、耐高温強度(亀裂、剥離など)、熱伝導性およ
び経済性を満足する必要があり、上記の各従来の技術に
おいてこれらの条件を満足することが可能であるとして
も、前述したように焼鈍炉の予熱帯と加熱帯とは複数の
室に区切られ、各室毎に温度条件が異なり、したがって
各室毎に設けられる支持ロールのロール表面の温度は、
その支持ロールが設けられる位置によって相違する。一
例として、強制対流式予熱帯CWPと放射式予熱帯RW
Pと3室から成る加熱帯とを備える焼鈍炉において、冷
間圧延されたクロム系ステンレス鋼帯を焼鈍処理する場
合について述べると、前記強制対流式予熱帯CWPでは
500℃、放射式予熱帯RWPでは850℃、加熱帯の
各室では通板方向上流側から下流側に向かって925
℃、1080℃、1030℃に設定され、各室によって
雰囲気温度が異なる。しかも通板材をクロム系ステンレ
ス鋼からニッケル系ステンレス鋼に代えると、強制対流
式予熱帯CWPでは780℃、放射式予熱帯RWPでは
950℃、加熱帯の各室では通板方向上流側から下流側
に向かって1000〜1100℃、1200〜1220
℃、1250℃と前記クロム系ステンレス鋼帯の通板時
よりも炉内の雰囲気温度が高くなる。
【0009】このように各雰囲気温度が異なれば、各支
持ロール表面のビルドアップの成長量も相異する。セラ
ミックファイバーロールの使用例では、特に高温域の加
熱帯では支持ロールの磨耗量が大きく、たとえば4日間
で直径が5〜7mm減少するため、前記放射式予熱帯R
WPおよび加熱帯の各室に設けられる支持ロールは4日
毎に新品または研磨して再生された代替ロールに交換し
なければならず、このようなロール交換に要するライン
の停止によって生産性が低下してしまう。また、各支持
ロールの表面温度が低いと、炉内熱効率が低下するとと
もに、通板される金属帯によって炉内に持込まれたスケ
ールがロール表面に付着して焼結し、金属帯の表面に押
込み疵が全長にわたって発生し、金属帯の品質が低下し
てしまう。
【0010】このように炉内に設けられる各支持ロール
は、ロール自体の耐久性を向上し、ロール交換によるラ
インの停止によって生産性の低下を防止するために、低
い温度であることが好ましい。またこれとは逆に、熱処
理される金属帯から見れば、ロール表面へのスケールの
付着による押込み疵が発生して、品質が低下してしまう
ことを防止しなければならない。このように支持ロール
にとって好適とされる条件と、製品である金属帯にとっ
て好適とされる条件とが相反し、このような相反する問
題を同時に解決し得る金属帯の支持ロールが所望されて
いる。
【0011】したがって、本発明の目的は、炉内の熱効
率を低下することなしに耐ビルドアップ性を向上し、ロ
ール表面の温度を金属帯の熱処理に適した温度に正確に
制御することができるようにした雰囲気熱処理炉に用い
られる金属帯の支持ロールを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、軸線方向一端部から他端部にわたって冷却水が供給
される通水路が形成されるロール本体と、ロール本体に
冷却水を供給する冷却水供給源と、ロール本体の外周面
よりも半径方向外方に間隔をあけて前記ロール本体に同
軸に装着される金属製の外套管と、外套管の内周面とロ
ール本体の外周面との間に介在され、断熱性を有する粉
粒体から成る断熱層と、外套管の外周面上に形成され、
耐熱温度が少なくとも700℃以上の耐熱性材料から成
る表層とを含むことを特徴とする雰囲気熱処理炉に用い
られる金属帯の支持ロールである。本発明に従えば、ロ
ール本体と外套管との間には断熱層が介在され、前記ロ
ール本体には冷却水が供給される。外套管の外周面上に
は耐熱性材料から成る表層が形成される。このような構
成によって、雰囲気熱処理炉内のたとえば700〜13
00℃程度の高温雰囲気中において、表層および外套管
が高温となっても、断熱層によって表層および外套管か
らの熱がロール本体に伝達される熱伝達量を少なくし
て、ロール本体だけでなく外套管の内周部も表層および
外套管の外周部に比べて低い温度に維持し、かつロール
表面をできるだけ高い温度に維持して、炉内の熱効率を
低下させることなしに、耐ビルドアップ性を向上させる
ことができる。またロール本体への冷却水の供給量を適
宜調整することによって、ロールの表面温度を金属帯の
熱処理に適した温度に正確に制御することができる。
【0013】請求項2記載の本発明は、前記外套管に設
けられる温度検出器と、前記外套管の温度を検出する手
段と、冷却水供給源からロール本体へ供給される冷却水
の供給量を、前記温度検出器によって検出された外套管
の検出温度に基づいて、その検出温度が予め定める設定
温度に保たれるように制御する流量制御手段とを含むこ
とを特徴とする。本発明に従えば、ロール本体に供給さ
れる冷却水の供給量は、流量制御手段によって温度検出
手段による検出温度が予め定める設定温度を保つように
制御される。このような構成によって、支持ロールの表
面温度を正確に金属帯の熱処理に適した温度に制御する
ことが可能となる。たとえば支持ロールを焼鈍炉の強制
対流式予熱帯、放射式予熱帯および複数の室から成る加
熱帯にそれぞれ設けたとき、各領域での雰囲気温度に応
じたロール表面温度となるように温度管理を行うことが
できる。
【0014】請求項3記載の本発明は、前記表層は、外
套管の外周面に前記耐熱性材料を溶射して形成されるこ
とを特徴とする。本発明に従えば、溶射によって外套管
の外周面に表層が形成されるので、前記表層を大きな密
着強度で外套管の外周面に形成することができ、これに
よって外套管の外周面の高温における酸化による耐剥離
性を向上し、剥離による高温強度の低下を防ぐことがで
きる。
【0015】請求項4記載の本発明は、前記表層は、C
23,Al23を含む前記耐熱性材料から成ることを
特徴とする。本発明に従えば、Cr23の酸化速度の低
減および酸化皮膜の剥離抑制効果によって、外套管の外
周面を保護し、支持ロールの耐磨耗性を向上し、耐久性
を向上することができる。
【0016】請求項5記載の本発明は、前記断熱層は、
約0.3kcal/(m・時・℃)以上の熱伝導率を有
することを特徴とする。本発明に従えば、断熱層の熱伝
導率を約0.3kcal/(m・時・℃)以上とするこ
とによって、支持ロールのロール表面を炉内の高温雰囲
気温度と同程度にして、ロール本体への熱伝達を低減
し、ロール本体を熱から保護するとともに、ロール本体
の熱膨張にする歪や強度の低下を防ぐことができる。
【0017】請求項6記載の本発明は、前記粉粒体は、
ステンレス鋼粉、クロム鋼粉、珪砂、鉄粉、セラミック
ス粉または繊維、および繊維状または糸状のアスベスト
のうちいずれか1つまたは複数から成ることを特徴とす
る。本発明に従えば、上記各種の材料から成る粉粒体が
用いられるので、粉粒体とその粒子間の空隙とによる相
乗効果によって、断熱層の熱伝導率を上記のように約
0.3kcal/(m・時・℃)以上とすることができ
る。
【0018】請求項7記載の本発明は、前記外套管は、
その軸線方向一端部がロール本体に固定され、軸線方向
他端部が耐熱性材料から成る環状の端板によってロール
本体に軸線方向に移動可能に支持されることを特徴とす
る。本発明に従えば、外套管の軸線方向一端部がロール
本体に固定されるとともに、この外套管の軸線方向他端
部が端板によってロール本体に軸線方向に沿って移動可
能に支持されるので、外套管およびロール本体の熱膨張
および熱収縮による軸線方向の相対的なずれを許容する
ことができ、外套管およびロール本体の材質が相互に異
なることによる収縮率または伸び率の相違によって、支
持ロールに歪を生じることが防がれる。
【0019】請求項8記載の本発明は、前記ロール本体
は、中空の内筒管と、この内筒管の外周面に螺旋状に巻
回される長尺のスペーサと、スペーサが巻回された内筒
管が挿入され、熱伝導性を有する材料から成る外筒管と
を含み、内筒管の外周面と外筒管の内周面との間には、
前記スペーサによって螺旋状の通水路が形成され、この
通水路は、ロール本体の軸線方向一端部側で内筒管の内
部空間に連通し、軸線方向他端部側から前記内部空間内
へ冷却水が供給されることを特徴とする。本発明に従え
ば、外筒管の内部空間内に軸線方向一端部側から供給さ
れた冷却水は、内部空間内を軸線方向他端部側へ導か
れ、内筒管の外周面と外筒管の内周面との間にスペーサ
によって形成される通水路内に供給される。このような
通水路内の冷却水によって、外筒管は十分に冷却されて
抜熱され、前記断熱層を介して伝達される熱を吸収し
て、外筒管を適度な温度に冷却することができる。しか
も冷却水は螺旋状の通水路内に供給されるので、冷却水
が外筒管の内周面に接触している時間を十分に確保する
ことができ、これによって冷却水による熱回収を広い温
度範囲で達成し、ロール表面の温度を正確かつ確実に制
御することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
雰囲気熱処理炉に備えられる金属帯の支持ロール21を
示す断面図であり、図2は図1の切断面線II−11か
ら見た拡大断面図である。雰囲気熱処理炉とは、焼鈍酸
洗ラインに設けられるカテナリ型焼鈍炉、光輝焼鈍炉、
普通鋼のめっきラインに設けられる還元焼鈍炉などとし
て用いられる加熱炉および均熱炉ならびにばね材などの
焼入れおよび焼戻しを行う焼入れ焼戻し炉などを含み、
本形態では、大気開放カテナリ型焼鈍炉によって金属帯
であるステンレス鋼帯を通板して焼鈍を行う場合につい
て説明する。
【0021】一般に、ステンレス鋼帯の製造工程におい
ては、熱間圧延または冷間圧延によって生じた加工歪あ
るいは加工硬化したステンレス鋼帯の圧延組織を改善す
る目的で、焼鈍、すなわち焼なましまたは応力除去焼鈍
とも呼ばれる加熱処理を行う必要がある。またステンレ
ス鋼帯の種類によって、焼鈍条件もそれぞれ異なり、さ
らに熱間圧延後の焼鈍と冷間圧延後焼鈍とは目的や設備
も異なっている。熱間圧延後の焼鈍の主な目的は、加工
性を向上させるための軟化、および結晶粒を整粒化する
ことである。特にオーステナイト系ステンレス鋼では、
クロム炭化物を固溶させ、耐食性を増大させるととも
に、加工歪を取除くことを目的とした溶体化処理が必要
である。また冷間圧延後の焼鈍は、冷間圧延によって硬
化した材料を、再結晶させて軟化させることが目的であ
る。特にオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、この
再結晶させるという目的の他に、冷間圧延によって生じ
たマルテンサイト相をオーステナイト相に戻すという目
的がある。
【0022】このような金属帯の材質および冷間圧延後
の焼鈍処理か熱間圧延後の焼鈍処理かによって、上述の
大気開放カテナリ型焼鈍炉の構成が異なる。この焼鈍炉
としては、たとえば1つの強制対流式予熱室と2つの加
熱室から成る冷間圧延後のステンレス鋼帯を焼鈍する焼
鈍炉、1つの放射式予熱室と2つの加熱室とから成る冷
間圧延後のステンレス鋼帯を焼鈍するための焼鈍炉、1
つの強制対流式予熱室と1つの放射式予熱室と3つの加
熱室とから成る焼鈍炉が用いられている。このようなカ
テナリ型焼鈍炉の強制対流式予熱室、放射式予熱室およ
び各加熱室には、通板される金属帯をカテナリ状に支持
する複数の支持ロール21が設けられる。支持ロール2
1は、700℃〜1300℃の高温の大気開放雰囲気化
において、耐熱性、割れおよび剥離などの高温強度、炉
内熱効率の低下およびロール表面温度の低下による金属
帯の品質に影響を及ぼさない程度の熱伝導率を有するこ
と、ロール表面に異物が付着しにくく、耐ビルドアップ
性を有すること、および耐磨耗性を有することなどの各
種の条件を満足しなければならない。
【0023】本形態の支持ロール21は、軸線方向一端
部から他端部にわたって冷却水が供給されるロール本体
22と、ロール本体22に冷却水を供給する冷却水供給
源であるポンプ35と、ロール本体22の外周面23よ
りも半径方向外方に間隔d1をあけて、前記ロール本体
22に同軸に装着される金属製の外套管24と、外套管
24の内周面25とロール本体22の外周面23との間
に介在され、断熱性を有する粉粒体から成る断熱層26
と、外套管24の外周面23上に形成され、耐熱性材料
から成る表層27とを含む。
【0024】前記ロール本体22は、中空の内筒管28
と、この内筒管28の外周面29に螺旋状に巻回される
長尺されるワイヤーロッド30と、ワイヤーロッド30
が巻回された内筒管28が挿入され、熱伝導性を有する
材料から成る外筒管31とを含む。前記内筒管28の外
周面29と外筒管31の内周面32との間には、前記ワ
イヤーロッド30によって螺旋状の通水路33が形成さ
れ、この通水路33は、ロール本体22の軸線方向一端
部側で内筒管28の内部空間34に連通し、軸線方向他
端部側から前記内部空間34内へ冷却水が供給される。
このように本形態では、ロール本体22に金属帯と接触
する外套管24を別途に設け、その外周面23上に表層
27を形成している。外套管24は、耐熱性金属であっ
て、本形態ではSUS310が用いられる。
【0025】このような外套管24の材質は、本件発明
者によって次のようにして決定された。すなわち、焼鈍
炉内の雰囲気温度は700〜1300℃にも達するた
め、外套管24とロール本体22との間隔d1を10m
mとし、空気による断熱層にして、下記の表1に示され
る各種の材料によって外套管24を形成し、炉内で耐酸
化限界温度を測定した。
【0026】
【表1】
【0027】図3は、代表的なステンレス鋼SUS31
0,SUS330,SUS309,SUS347,SU
S304および耐熱鋼25Ni−20Cr,14Ni−
19Crの加熱および冷却の繰返しによる重量変化を示
すグラフである。これらの表1および図3からも明らか
なように、ステンレス鋼SUS310は耐熱鋼の中で高
温での耐酸化性が非常に優れた材料であることが判る。
このようにして外套管24としては、高温での耐酸化性
に優れたSUS310を用いることが好ましい。
【0028】前記外筒管31は、普通鋼、もっと詳しく
はJIS G3445に規定される機械構造用炭素鋼鋼
管STKM13Aが用いられる。また内筒管28は、ス
テンレス鋼SUS316Lから成る。さらにワイヤーロ
ット30は、φ8mmのステンレス鋼線SUS304か
ら成り、内筒管28の外周面29にピッチ64mmで螺
旋状に巻回されて熔接されている。
【0029】次に、前述した表層27について述べる。
本形態では、前記表層27は溶射によって形成されてお
り、表面粗度はRa=0.2〜0.5μmに選ばれる。
この表層27を溶射によって形成する利点は、広範囲に
溶射材料の選定ができることである。700〜1300
℃という高温での耐酸化性を改善する添加元素として
は、クロムが最も広く利用されており、アルミニウムと
シリコンとが補助的に用いられる。クロムやアルミニウ
ムは、本形態のような大気開放型焼鈍炉内の高温雰囲気
などのような高酸化性環境のもとでは、優先酸化して、
それぞれCr23およびAl23を生じ、あるいはNi
O・Cr23のようなスピネル型酸化物となって、安定
な保護皮膜を形成する。Cr23は、酸化速度の低減と
酸化皮膜の剥離抑制効果を有し、Al23は耐剥離性が
著しく改善される。本形態で採用した表層27の溶射仕
様は、表2に示される。
【0030】
【表2】
【0031】溶射材質はCoCrAl−ZrSiO4
サーメットであり、その断面構成を図4に示す。このサ
ーメット層37は、外套管24との結合を強くし、熱膨
張による整合を避けるためにボンド層38を介在してい
る。このボンド層38は、CoCrAlから成る。また
耐ビルドアップ性および耐磨耗性を向上するために、溶
射後に表層27の表面を700℃で1時間、均熱処理
し、表層27の表面にCr23を析出させている。この
ようなサーメット層37およびボンド層38から成る表
層27の厚みは、T1=0.4〜0.5mmである。
【0032】このように表層27の構成を選定した理由
は、700〜950℃の還元雰囲気炉10で普通鋼帯を
焼鈍し、また1150℃の酸化雰囲気炉内で厚板ステン
レス鋼帯を焼鈍処理したとき、3年以上にわたってビル
ドアップが生じないことを本件発明者によって確認した
ためである。溶射法としては、難溶融金属、セラミック
スおよびサーメットなどの溶射材料に適したプラズマ溶
射法が用いられる。このプラズマ溶射は、N2ガス、H2
ガスおよびArガスなどの熱源とし、プラズマ炎は10
000℃前後の高温域となるが、溶射時の表層27の表
面温度は150℃以下に制御することが可能であり、被
溶射物に対して変形、割れおよび強度の劣化などの熱影
響を与えない。このような理由によって、表層27を外
套管24の外周面23上に形成するにあたって、プラズ
マ溶射を用いることが好ましい。
【0033】このような溶射によって表層27が形成さ
れた支持ロール26を焼鈍炉の加熱帯に設置し、複数回
にわたってテストを行った結果、通板した金属帯に押込
み疵が発見されたため、ロール表面に異物が付着してい
ると判断し、ビルドアップの生成形態を解析するため
に、表層27から採取した異物の微細構造を調査し、成
分を分析した。その結果、表層27の表面とビルドアッ
プ部分との境界では、溶射金属とビルドアップ部分の金
属とが相互に反応して、一体化しているように観察され
た。またビルドアップ部分は積層構造を成していること
から、最初に生成したビルドアップ部分の表面に新たな
酸化スケールなどが付着して成長したものと判断され
る。このビルドアップ部分の成分は、分析の結果、Fe
分が86%を占め、Crが約11%、その他微量のN
i,Si,Coなどが含まれていることが確認された。
これらの金属は、ステンレス鋼の含有成分である。しか
しCoはステンレス鋼に含有しているもののスケール中
には発生しないと考えられるため、ビルドアップ部分の
中にCoが分布していることが、溶射材料に含まれるC
oとFeとの反応によってビルドアップが生成すると考
えられる。ビルドアップの生成は、低温域で使用するロ
ールには発生しにくい現象であるため、高温域で使用す
る場合にロール表面と金属帯表面の酸化物との固相反応
によって発生することが確認された。そこで、次のよう
に溶射材質および断面構成を変更する。
【0034】
【表3】
【0035】耐ビルドアップ性を向上するためには、溶
射層37を上述のサーメットCoCrAl−ZrSiO
4 系からセラミックCr23−Al23−TiO2 系に
変更した。Cr23は、鉄系材料との反応性が悪いため
に耐ビルドアップ性に優れた材料であるけれども、単独
で使用した場合には、高温での密着力が劣るため、剥離
しやすい。そこでAl23およびTiO2を添加するこ
とによって、密着力が向上されることが確認されたけれ
ども、セラミック溶射の欠点は膜厚を厚くすると剥離し
やすいため、本件発明者はセラミックスの膜厚を図5に
示されるように、T2=30〜50μmとして、焼鈍炉
内にロールを設置し、炉内雰囲気温度を860℃として
金属帯を18m/分の通板速度で焼鈍した結果、金属帯
に押込み傷を発見した。しかもロールの表面粗度が平均
1.11μm、最大でも10μ以下にする必要があるた
め、溶射材料としてセラミックスを用いることが困難で
あることが確認された。
【0036】以上の実験結果から、支持ロール21を炉
温880℃以上とし、金属帯の温度を炉温に近い状態と
した高温域で使用すれば、ビルドアップが生じることが
確認された。したがって、表層27の材質などの選択に
よって耐ビルドアップ性を向上することが不可能である
ため、表層27については耐熱性(高温耐酸化性)、耐
磨耗性、耐高温強度(亀裂、剥離の防止)および熱伝導
性が各条件を満足すれば良いものとし、耐ビルドアップ
性については水冷ロールを前提として断熱層26の熱伝
導率の調整によってロール表面温度をビルドアップを生
成しない所望温度と成るように温度制御することについ
て検討を行った。
【0037】図6は、断熱層26の熱伝導率を求めるた
めの熱計算に用いられる諸元を示す支持ロール21の模
式的な断面図である。熱計算の条件は次のとおりであ
る。
【0038】 外套管24の外径 D1=220mm 外套管24の内径 D2=190mm 外筒管31の外径 D3=170mm 外筒管31の内径 D4=130mm 炉内雰囲気温度 tm1=1200℃ 冷却水の平均温度 tm2=30℃ 外套管24の外周面23における熱伝達係数 α=45kcal/(m2・時・℃) 外套管24の熱伝導率 λ1=15kcal/(m・時・℃) 外筒管31の熱伝導率 λ2=40kcal/(m・時・℃) (a)炉内雰囲気からロール表面への伝熱量Q Q=π・D1・α・(tm1−t1) =π×0.22×45×(1200−800) ≒12434 kcal/(m2・時) (b)外套管24と断熱層26との境界面の温度t2、
外套管24を厚肉管とすると、 Q=π・{(D1+D2)/2}・λ1・(t1−t2)/{(D1−D2)/2} =π×{(0.22+0.19)/2}×15×(800−t2)/{(0.22−0.19)/2} ∴t2≒781℃ (c)断熱層26と外筒管31との境界面の温度t3 外套管31と冷却水との熱伝達は無視してt3=tm2
とすると、 Q=π・{(D3+D4)/2}・λ2・(t3−t4)/{(D3−D4)/2} =π×{(0.17+0.13)/2}×40×(t3−30)/{(0.17−0.13)/2} ∴t3≒43℃ (d)断熱層26の熱伝導率λ Q=π・{(D2+D3)/2}・λ・(t2−t3)/{(D2−D3)/2} =π×{(0.19+0.17)/2}×λ×(781−43)/{(0.19−0.17)/2} ∴λ≒0.3 kcal/(m・時・℃) すなわち断熱層26の熱伝導率λ、λ≧0.3kcal
/m・時・℃の断熱材を用いることによって、ロール表
面温度を800℃以下にすることができる。このような
熱伝導率λ≧0.3kcal/m・時・℃に相当する材
料としては、珪砂、鋳物砂、火山灰および粘土質土など
が掲げられ、これらの各材料の充填密度と熱伝導率とを
表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】上記の表4において、鋳物砂および火山灰
は、粒度が小さいため、充填後のシールが困難であり、
流出する危険性が高い。また粘土質土等は、ロール本体
22が膨張すれば空隙が生じ、冷却効果が低減する恐れ
がある。したがって断熱層26を構成する材料として
は、珪砂が用いられる。この珪砂は、SiO2 とAl2
3 が主成分であり、粒度がメッシュ8〜14(1.1
9〜2.38mm)が99%と比較的粗く、ロール表面
上にたとえ強熱減量または砂粒子の相互運動による磨滅
によって、断熱層26に空隙が生じても、珪砂の流動に
よって冷却効果を達成することができるため、断熱層2
6を構成する材料として上記の珪砂が好ましい。次に珪
砂を外套管24と外筒管31との間に封止するための構
造について説明する。
【0041】図7は、外套管24の固定側となる軸線方
向一端部付近の一部の拡大断面図であり、図8は外套管
24の可動側となる軸線方向他端部付近の一部の拡大断
面図である。前記外套管24は、前述したようにステン
レス鋼SUS310から成り、その厚みは、約28mm
である。外套管24の軸線方向一端部は、ステンレス鋼
またはクロム鋼から成る固定リング41に熔接して固定
され、この固定リング41は外筒管31に熔接によって
固定される。このような外套管24の軸線方向一端部に
おいて、前記固定リング41よりも軸線方向他端部寄り
には前記断熱層26を構成する粉粒体42を充填するた
めの充填孔43が形成される。この充填孔43の内周面
には内ねじが刻設され、ビス44が螺着されて粉粒体4
2が外套管24と外筒管31との間の充填空間45内に
封止される。
【0042】外套管24の軸線方向他端部は、図9に部
分的に拡大して示されるように、凹所46と凸部47と
が周方向全周にわたって等間隔に形成される。凹所46
には可動リング48の各嵌合突部50が嵌まり込み、各
凸部47は可動リング48の嵌合凹所51にそれぞれ嵌
まり込む。可動リング48は、大略的に直円筒状のスリ
ーブ52と、前記嵌合突部50および嵌合凹所51が櫛
歯状に形成され、スリーブ52にボルト53によって固
定される歯状リング54とを有する。このような可動リ
ング48上には断熱材55が設けられ、その上部をステ
レンス鋼から成るカバー体56によって覆われている。
可動リング48よりも軸線方向他端部寄り、すなわち図
8の右寄りには耐熱性材料から成るシール材57が設け
られ、このシール材57もまた、前記カバー体56によ
って覆われている。カバー体56の軸線方向一端部ビス
58によって固定リング41に固定され、カバー体56
の軸線方向他端部は外筒管31に熔接によって固定され
たスリーブ59に熔接によって固定される。このような
構成によって、外套管24の軸線方向の熱膨張および熱
収縮を許容することができる。
【0043】図10は、支持ロール21の軸線方向一端
部付近の拡大断面図である。前記ロール本体22におい
て、外筒管31にはジャーナル61が同軸に嵌着されて
熔接によって固定される。このジャーナル61の軸部6
2は、JIS B1557に規定されるような転がり軸
受ユニット63によって、支持ロール21の軸線が金属
帯を支持したときに湾曲することを許容し得るように、
軸支される。ジャーナル61には軸孔64が形成され、
この軸孔64内には通水管65が挿通される。この状態
で通水管65の外周面と軸孔64の内周面との間には環
状の排水流路66が形成される。通水管65の軸線方向
一端部には、前記排水流路66に連通する排水口67
と、前記通水管65に連通する冷却水の供給口68とを
有するロータリジョイント74が接続される。通水管6
5の軸線方向他端部には、金属製のたとえばステンレス
鋼から成る直円筒状のジャケット69が装着され、この
ジャケット69は端板70によって内筒管28に支持さ
れる。内筒管28とジャケット69との間の開口はゴム
などの可撓性および弾発性材料から成る環状のシール材
71によって塞がれる。シール材71の外周面と外筒管
31の内周面32との間には隙間72が形成され、この
隙間72を介して外筒管31内においてシール材71と
ジャーナル61との間に形成される空間73と、外筒管
31と内筒管28との間に形成される通水路33とが連
通する。したがってロータリジョイント74の供給口6
8から供給された冷却水は、通水管65およびジャケッ
ト69を経て内筒管28の内部空間34内に供給され、
支持ロール21の軸線方向他端部を経由して通水路33
内に導かれ、螺旋状に回転しながら外筒管31を冷却
し、隙間72および空間73を経て排水流路66を通過
し、ロータリジョイント74の排水口67から排出され
る。
【0044】図11は、支持ロール21の軸線方向他端
部付近の拡大断面図であり、図12は図11の切断面線
XI−XIから見た断面図である。前記ロール本体22
の軸線方向他端部において、外筒管31には、ジャーナ
ル81が装着され、熔接によって固定される。このジャ
ーナル81の軸部82は、前述の転がり軸受ユニット6
3と同様な構成を有するもう一つの転がり軸受ユニット
83によって軸支される。内筒管28の軸線方向他端部
は、円錐台状に形成される縮径部分84を有し、この縮
径部分84は複数(本形態では4)のリブ85a〜85
dによって外筒管31に支持される。
【0045】前記ロータリジョイント74の供給口68
から供給された冷却水は、内筒管28内を軸線方向一端
部から他端部側に向けて通過し、前記縮径部分84の開
口86から内筒管28内における各リブ85a〜85d
とジャーナル81との間の空間87に吐出され、図11
の矢印で示されるように各リブ85a〜85d間を通っ
て、内筒管28と外筒管31との間の通水路33内へ供
給される。このようにして通水路33に軸線方向他端部
側から供給された冷却水は、ワイヤロッド30に沿って
螺旋状に通水路33内を流過し、前記表層27、断熱層
26、外套管24を経て伝わってきた熱を回収して、前
記排水口67から排出され、図6に関連して述べたよう
に、外筒管31の内周面32を約30℃に維持すること
ができる。したがって焼鈍炉内が約1300℃程度に高
温となっても、ロール表面をビルドアップが成長しない
温度を、たとえば約700℃に保ち、かつ支持ロール2
1の熱による強度の低下および磨滅を防ぎ、耐久性を向
上することができる。
【0046】本発明の他の形態として、図1に示される
ように、断熱層26に複数の温度検出器39を設けて外
套管24の内面温度を検出し、この検出温度に基づいて
電磁弁40を冷却水流量制御手段60によって制御し、
冷却水の供給量を調整するようにしてもよい。
【0047】以上のような本発明に従う支持ロールは、
カテナリ型焼鈍炉などの横型加熱炉だけでなく、光輝焼
鈍炉などによって代表される縦型焼鈍炉のトップロール
として用いることも可能である。
【0048】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、ロール
本体と外套管との間には断熱層が介在され、前記ロール
本体には冷却水が供給される。外套管の外周面上には耐
熱性材料から成る表層が形成される。このような構成に
よって、雰囲気熱処理炉内のたとえば700〜1300
℃程度の高温雰囲気中において、表層および外套管が高
温となっても、断熱層によって表層および外套管からの
熱がロール本体に伝達される熱伝達量を少なくして、ロ
ール本体だけでなく外套管の内周部も表層および外套管
の外周部に比べて低い温度に維持し、かつロール表面を
できるだけ高い温度に維持して、炉内の熱効率を低下さ
せることなしに、耐ビルドアップ性を向上させることが
できる。またロール本体への冷却水の供給量を適宜調整
することによって、ロールの表面温度を金属帯の熱処理
に適した温度に正確に制御することができる。
【0049】請求項2記載の本発明によれば、ロール本
体に供給される冷却水の供給量は、流量制御手段によっ
て温度検出手段による検出温度が予め定める設定温度を
保つように制御される。このような構成によって、支持
ロールの表面温度を正確に金属帯の熱処理に適した温度
に制御することが可能となる。たとえば支持ロールを焼
鈍炉の強制対流式予熱帯、放射式予熱帯および複数の室
から成る加熱帯にそれぞれ設けたとき、各領域での雰囲
気温度に応じたロール表面温度となるように温度管理を
行うことができる。
【0050】請求項3記載の本発明によれば、溶射によ
って外套管の外周面に表層が形成されるので、前記表層
を大きな密着強度で外套管の外周面に形成することがで
き、これによって外套管の外周面の高温における酸化に
よる耐剥離性を向上し、剥離による高温強度の低下を防
ぐことができる。
【0051】請求項4記載の本発明によれば、Cr23
の酸化速度の低減および酸化皮膜の剥離抑制効果によっ
て、外套管の外周面を保護し、支持ロールの耐磨耗性を
向上し、耐久性を向上することができる。
【0052】請求項5記載の本発明によれば、断熱層の
熱伝導率を約0.3kcal/(m・時・℃)以上とす
ることによって、支持ロールのロール表面を炉内の高温
雰囲気温度と同程度にして、ロール本体への熱伝達を低
減し、ロール本体を熱から保護するとともに、ロール本
体の熱膨張にする歪や強度の低下を防ぐことができる。
【0053】請求項6記載の本発明によれば、上記各種
の材料から成る粉粒体が用いられるので、粉粒体とその
粒子間の空隙とによる相乗効果によって、断熱層の熱伝
導率を上記のように約0.3kcal/(m・時・℃)
以上とすることができる。
【0054】請求項7記載の本発明によれば、外套管の
軸線方向一端部がロール本体に固定されるとともに、こ
の外套管の軸線方向他端部が端板によってロール本体に
軸線方向に沿って移動可能に支持されるので、外套管お
よびロール本体の熱膨張および熱収縮による軸線方向の
相対的なずれを許容することができ、外套管およびロー
ル本体の材質が相互に異なることによる収縮率または伸
び率の相違によって、支持ロールに歪を生じることが防
がれる。
【0055】請求項8記載の本発明によれば、外筒管の
内部空間内に軸線方向一端部側から供給された冷却水
は、内部空間内を軸線方向他端部側へ導かれ、内筒管の
外周面と外筒管の内周面との間にスペーサによって形成
される通水路内に供給される。このような通水路内の冷
却水によって、外筒管は十分に冷却されて抜熱され、前
記断熱層を介して伝達される熱を吸収して、外筒管を適
度な温度に冷却することができる。しかも冷却水は螺旋
状の通水路内に供給されるので、冷却水が外筒管の内周
面に接触している時間を十分に確保することができ、こ
れによって冷却水による熱回収を広い温度範囲で達成
し、ロール表面の温度を正確かつ確実に制御することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の支持ロール21を示す
断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た拡大断面図
である。
【図3】各種耐熱材料の加熱による時間経過に伴う重量
変化を示すグラフである。
【図4】表層27の構成を示す一部の拡大断面図であ
る。
【図5】表層27の他の構成を示す一部の拡大断面図で
ある。
【図6】支持ロール21の断熱層26による熱伝達量を
求めるための模式化した断面図である。
【図7】断熱層26の軸線方向一端部付近の一部の拡大
断面図である。
【図8】断熱層26の軸線方向他端部付近の一部の拡大
断面図である。
【図9】固定リング41および可動リング48の一部を
拡大して示す斜視図である。
【図10】支持ロール21の軸線方向一端部付近の拡大
断面図である。
【図11】支持ロール21の軸線方向他端部付近の拡大
断面図である。
【図12】図11の切断面線XI−XIから見た断面図
である。
【図13】従来の支持ロール1において異物の付着によ
るビルドアップ層の形成状態を示す一部の拡大断面図で
ある。
【図14】従来の支持ロール1の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
21 支持ロール 22 ロール本体 24 外套管 26 断熱層 27 表層 28 内筒管 30 ワイヤロッド 31 外筒管 33 通水路 34 内部空間 42 粉粒体 65 通水管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 秀美 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社周南製鋼所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線方向一端部から他端部にわたって冷
    却水が供給される通水路が形成されるロール本体と、 ロール本体に冷却水を供給する冷却水供給源と、 ロール本体の外周面よりも半径方向外方に間隔をあけて
    前記ロール本体に同軸に装着される金属製の外套管と、 外套管の内周面とロール本体の外周面との間に介在さ
    れ、断熱性を有する粉粒体から成る断熱層と、 外套管の外周面上に形成され、耐熱温度が少なくとも7
    00℃以上の耐熱性材料から成る表層とを含むことを特
    徴とする雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロー
    ル。
  2. 【請求項2】 前記外套管に設けられる温度検出器と、 前記外套管の温度を検出する手段と、 冷却水供給源からロール本体へ供給される冷却水の供給
    量を、前記温度検出器によって検出された外套管の検出
    温度に基づいて、その検出温度が予め定める設定温度に
    保たれるように制御する流量制御手段とを含むことを特
    徴とする請求項1記載の雰囲気熱処理炉に用いられる金
    属帯の支持ロール。
  3. 【請求項3】 前記表層は、外套管の外周面に前記耐熱
    性材料を溶射して形成されることを特徴とする請求項1
    または2記載の雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支
    持ロール。
  4. 【請求項4】 前記表層は、Cr23,Al23を含む
    耐熱性材料から成ることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支
    持ロール。
  5. 【請求項5】 前記断熱層は、約0.3kcal/(m
    ・時・℃)以上の熱伝導率を有することを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の雰囲気熱処理炉に用いら
    れる金属帯の支持ロール。
  6. 【請求項6】 前記粉粒体は、ステンレス鋼粉、クロム
    鋼粉、珪砂、鉄粉、セラミックス粉または繊維、および
    繊維状または糸状のアスベストのうちいずれか1つまた
    は複数から成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロ
    ール。
  7. 【請求項7】 前記外套管は、その軸線方向一端部がロ
    ール本体に固定され、軸線方向他端部が耐熱性材料から
    成る環状の端板によってロール本体に軸線方向に移動可
    能に支持されることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載の雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロ
    ール。
  8. 【請求項8】 前記ロール本体は、中空の内筒管と、こ
    の内筒管の外周面に螺旋状に巻回される長尺のスペーサ
    と、スペーサが巻回された内筒管が挿入され、熱伝導性
    を有する材料から成る外筒管とを含み、内筒管の外周面
    と外筒管の内周面との間には、前記スペーサによって螺
    旋状の通水路が形成され、この通水路は、ロール本体の
    軸線方向一端部側で内筒管の内部空間に連通し、軸線方
    向他端部側から前記内部空間内へ冷却水が供給されるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の雰囲気
    熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロール。
JP28886695A 1995-11-07 1995-11-07 雰囲気熱処理炉に用いられる金属帯の支持ロール Withdrawn JPH09125157A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005200763A (ja) * 2003-12-19 2005-07-28 Nippon Steel Corp 連続焼鈍炉用ハースロールの管理方法
KR100861944B1 (ko) * 2007-05-14 2008-10-09 주식회사 성진이앤아이 후판 이송용 테이블 롤러
JP2009508007A (ja) * 2005-09-13 2009-02-26 ポスコ 焼鈍炉のハースロール装置

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