JPH09110716A - 抗癌剤 - Google Patents

抗癌剤

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JPH09110716A
JPH09110716A JP7300728A JP30072895A JPH09110716A JP H09110716 A JPH09110716 A JP H09110716A JP 7300728 A JP7300728 A JP 7300728A JP 30072895 A JP30072895 A JP 30072895A JP H09110716 A JPH09110716 A JP H09110716A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な抗癌剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の抗癌剤は特定の理化学的性質及
び生理活性を有する蛋白質(HGFα鎖)を有効成分と
する。本発明の抗癌剤の有効成分であるHGFα鎖は、
細胞のc−Met/HGFリセプターのアンタゴニスト
活性を有し、癌細胞の浸潤・転移を誘導するシグナルを
その上流で遮断する作用を有し、本発明の抗癌剤は全く
新しいタイプの抗癌剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗癌剤に関する。よ
り詳細には、HGFのα鎖を有効成分とし、そのc−M
et/HGFレセプターアンタゴニスト活性に基づき、
制癌、特に癌浸潤・転移抑制を可能とする新しい抗癌剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】癌制圧は、言うまでもなく今日の医療に
おける最大の課題であり、また新規癌治療法あるいは新
抗癌剤は医療・医薬研究者の最大の関心事である。現在
のわが国の死因の第1位は癌であり、毎年多くの新しい
患者が発生している。化学療法に用いられる抗癌剤とし
て、従来のアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質のほか
に、ピシバニール(商品名、中外製薬社製)やクレスチ
ン(商品名、三共製薬社製)を初めとする微生物由来の
生体反応修飾物質が全盛を極めた。従来のアルキル化剤
を初めとする化合物は本来、細胞毒性を利用するもので
あり、少なからぬ副作用のために使用がかなり限定され
たのに比べ、その後のピシバニールなどの生体反応修飾
物質は生体の免疫機能を高め、癌細胞を駆逐するという
作用を有する。しかし、その限界が明らかになると共
に、インターフェロンやインターロイキン−2やTNF
(腫瘍壊死因子)など、高等動物由来の生理活性蛋白に
重点が置かれるようになった。しかしながら、これらも
作用スペクトルが発見当初予想されたものよりはるかに
広範囲であったため、副作用を示さないという認識も覆
されてしまった。このような状況のなかで。癌治療が単
なる癌病巣の撃退をもって評価するだけではなく、生体
のトータルな機能の改善の中での治療を考える「クオリ
ティ・オブ・ライフ」に焦点が移りつつあることは間違
いなく、本発明者が発見したHGFが抗癌剤の有効成分
であることはすでに報告済みである(特開平6-25010号
公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、既成の
抗癌剤がその副作用や、あるいは抗癌作用そのものへの
疑問から、決定的な治療薬とはいいがたく、さらに次世
代を担う生理活性蛋白質もこれまで開発されたものは主
に免疫系にかかわる因子であり、必ずしも究極の抗癌剤
として広く利用されることを期待できない状況にある。
そこで、同じく生体が本来持っている生理活性蛋白質の
中でもその生理作用が明解で、しかも活性のスペクトル
がよく研究されているものの中から、真の抗癌剤を見い
だすことが重要になってくる。特に、従来開発されてき
た生理活性蛋白質、インターフェロンあるいはインター
ロイキン等はほとんど免疫系にかかわる因子であること
から、全く異なる作用を有する生体因子がこれからの抗
癌剤として重要であると考えらえれる。
【0004】ところで、癌が国内の死因のトップを占め
ていることは前述の通りであるが、その危険性は癌細胞
の浸潤・転移能に依存しているといっても過言ではな
い。いくつかの増殖因子が癌細胞の浸潤・転移能に関与
することが報告されているが、最近HGFが種々の癌細
胞に対し、その浸潤、転移能を強力に誘導する因子であ
ることが明らかにされた(H. Shimura et al. J. Jap. C
ancer Res. 86, 662-669, 1995)。実際に極めて悪性度
が高いとされている肺癌や胆嚢癌の浸潤能はHGFに依
存して誘導され、また肺癌原発組織中のHGFレベルは
肺癌の悪性度、致死率とよく相関するリスクファクター
であることが確認されている。上記のHGFは肝実質細
胞を in vitro で増殖させる因子として見出された蛋白
質である(Biochem Biophys Res Commun, 122, 1450, 1
984、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 6489, 1986、
FEBS Letter, 22, 311, 1987、Nature, 342, 440, 198
9、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 3200, 1990)。
肝実質細胞を特異的に増殖させる因子として発見された
HGFは、本発明者らをはじめとする多くの研究者によ
る最近の研究成果によって、生体内で組織傷害治癒など
の種々の活性を示している事が明らかとなり、研究対象
としてのみならずヒトや動物の治療薬などへの応用に期
待が集まっている。このようなHGFの受容体(レセプ
ター)に関して、最近の研究から、c−Met原腫瘍遺
伝子がHGF受容体をコードしていることが確定的にな
った(Bottaro et al., Science 251, 802-804, 1991;Na
ldini et al., Oncogene 6, 501-504, 1991)。
【0005】上述のように、HGFが種々の癌細胞に対
し、その浸潤、転移能を強力に誘導する因子であること
が明らかになってきており、HGFによる癌細胞の浸潤
・転移能を特異的にブロックするアンタゴニストならび
にインヒビターの開発は制癌という観点で極めて重要な
研究課題であると考えられる。本発明者はかかる観点か
ら鋭意検討を行った結果、HGFの有する癌細胞の浸潤
・転移能を抑制する活性、すなわち、細胞のc−Met
/HGFリセプターに対するアンタゴニスト活性を有す
る物質を見出し、当該物質が癌細胞の浸潤、転移能を抑
制し、抗癌剤として極めて有用であるという知見を得て
本発明を完成するに至った。従って、本発明の目的は、
細胞のc−Met/HGFリセプターのアンタゴニスト
活性に基づく抗癌剤として極めて有用な医薬品を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明は、下記の理化学的性質および生理活
性を有する蛋白質(以下、便宜上、α−フラグメントと
称する)を有効成分として含有する抗癌剤である。 a)HGFのα鎖からなる; b)分子量が約55−69kDaである; c)c−Met/HGFレセプターのアンタゴニスト活性
を有する。
【0007】前述のように、本発明者は、年余にわたり
肝実質細胞の増殖因子を研究し、その結果HGFを単離
精製することに成功した。HGFは元来、肝実質細胞増
殖を促進する因子として発見されたポリペプチドである
が、細胞増殖制御に加え、細胞運動(cell motility)
を促進するモトゲン(motogen)として働く(T. Nakamur
a, Prog. Growth Factor Res., 3, 67-85, 1991)こと
は発明者によってもとより見いだされた事実である。H
GFによる細胞の運動性亢進には、β−カテニンのりん
酸化によるカドヘリンを介した細胞間接着の減少、rho
small Gタンパク質の活性化を介する情報伝達系が関与
している。さらに最近、rhoの下流にp125FAK(focal adh
esion kinase)が位置し、HGFによって一過的なp125F
AKのりん酸化が起こることが明らかになった(K. Matsu
moto et al. J.Biol.Chem. 269, 31807-31813, 1994)。
HGFの刺激後、初期の焦点接着(focal adhesion)の形
成、細胞骨格の再構成にp125FAKのりん酸化が関与して
おり、HGFによる細胞の運動性亢進において細胞−マ
トリックスとの相互作用はp125FAKを介して調節されて
いると考えられる。
【0008】癌細胞の増殖能や浸潤・転移能は、癌細胞
をとりまく間質細胞との相互作用を介して大きく影響さ
れることが古くから知られている(tumor-host relation
ship)。発明者は宿主間質に由来するHGF、ならびに
癌細胞に由来するHGF誘導因子(インジュリン)が癌
の悪性化(増殖能や浸潤・転移能)に関与することを明
らかにした(K. Matsumoto et al. Gann Monograph No.
42: Growth Factors:Cell growth, Morphogenesis and
Transformation, CRC press 92-112, 1994; K. Rygaard
et al. Intern. J. Oncology, 2, 991-996, 1993; W.
G. Jiang et al. Clin. & Exp. Metastasis, 11, 235-2
42, 1993; S.P. Seslar et al. Cancerres., 58, 1233-
1238, 1993; N. Rahimi et al. DNA and Cell Biol., 1
3, 1189-1197, 1994; S. Bellusci et al. Oncogene,
9, 1091-1099, 1994)。
【0009】胆嚢癌は一般に高転移性で致死率の高い悪
性癌である。ヒト胆嚢癌細胞は宿主間質組織内では高い
浸潤能を有するが、in vitroのコラーゲンゲル上での培
養下では自らゲル内に浸潤することはない。ところが、
正常間質線維芽細胞とコラーゲンゲルをはさんで共培養
すると胆嚢癌細胞はゲル内に活発に浸潤し、液性因子を
介した間質細胞との相互作用により胆嚢癌細胞の浸潤能
が誘導される。しかも、共培養下での癌細胞の浸潤は抗
HGF抗体の添加により完全に阻害され、間質由来の浸
潤因子(invasion factor)がHGFであることが明らか
になった。この胆嚢癌細胞のゲル内浸潤は代表的な増殖
因子であるEGF、TGF−β、PDGF、bFGFな
どでは誘導されず、HGFに特異的である。一方、胆嚢
癌細胞は間質線維芽細胞のHGF産生を誘導する因子を
産生分泌し、このHGFインデューサーの実体がIL-1β
であることが明らかになった。ヒト胆嚢癌細胞に限らず
多くのカルシノマ(carcinoma)、例えば口腔粘膜上皮癌
細胞などの間質由来浸潤因子(stromal-derived invasio
n factor)の実体がHGFであることも明らかになった
(K. Rygaard et al. Intrn. J. Oncology, 2, 991-99
6, 1993; W.G. Jianget al. Clin. & Exp. Metastasis,
11, 235-242, 1993; S.P.Seslar et al. Cancer Res.,
58, 1233-1238, 1993; N. Rahimi et al. DNA and Cel
l Biol., 13,1189-1197, 1994)。癌細胞の浸潤・転移
を防ぐことができれば癌による死亡率は著しく減少する
といわれている。しかも癌の80%以上がカルシノマで
あり、これらのほとんどはc−Met/HGFレセプタ
ーを発現するHGF標的細胞である。このことから、H
GFによる癌細胞の浸潤・転移能をブロックするアンタ
ゴニストの開発は重要である。
【0010】しかるに本発明者らはHGFの引き続く研
究において以下の点を明らかにした。HGFは約69k
Daのα鎖と約34kDaのβ鎖からなるヘテロダイマ
ーである。HGFのα鎖にはN末端ヘアピンドメインと
4個のクリングルドメインが存在し、β鎖にはセリンプ
ロテアーゼ様ドメインが存在しており、HGFは非常に
ユニークなドメイン構造を有する増殖因子である。本発
明者らは既にHGF分子内のドメイン構造を欠失した種
々の変異HGFを遺伝子工学的に作製し、α鎖内のN末
端ヘアピンならびに第一、第二クリングルドメインがc
−Met/HGFレセプターに結合する最小ドメインで
あることを明らかにした。したがってこの最小レセプタ
ー結合ドメイン内に遺伝子工学的に変異を導入すること
によりHGFレセプター−アンタゴニストの作製も可能
になると考えられる。従来、癌細胞の浸潤・転移を抑制
する因子の解明はそのほとんどが癌細胞に由来するマト
リックスプロテアーゼを標的としたものであるが癌細胞
の浸潤・転移をブロックする有効な物質は解明されてい
ない。それに対し、本発明は癌細胞の浸潤・転移を誘導
するシグナルをその上流で遮断することを目的としてお
り、全く新しい戦略に基づいている点が大きな特色であ
り、先駆的な発明である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の抗癌剤は、前述の理化学
的性質及び生理活性を有する蛋白質(α−フラグメン
ト)を有効成分とすることからなり、当該蛋白質は、例
えば、HGFを酵素的に分解する方法、遺伝子工学的技
術を用いて調製する方法、化学的に調製する方法などに
より得ることができる。上記の酵素的分解法に用いられ
るHGFとしては、種々の方法で調製されたものを用い
ることができる。すなわち、HGFの調製方法として
は、各種の方法が知られている。例えば、ラット、ウ
シ、ヒツジなどの哺乳動物の肝臓、脾臓、肺臓、骨髄、
脳、腎臓、胎盤などの臓器、血小板、白血球等の血液細
胞や血漿、血清などから抽出、精製して得ることができ
る(FEBS Letters, 224, 312, 1987;Proc. Acad. Sci.
USA, 86, 5844, 1989など参照)。また、HGFを産生
する初代培養細胞や株化細胞を培養し、培養物(培養上
清、培養細胞等)から分離精製してHGFを得ることも
できる。あるいは遺伝子工学的手法によりHGFをコー
ドする遺伝子を適切なベクターに組み込み、これを適当
な宿主細胞に挿入して形質転換し、この形質転換体の培
養上清から目的とする組換えHGFを得ることができる
(例えば、Nature, 342, 440, 1989; 特開平5-111383号
公報; 特開平3-255096号公報; Biochem. Biophys. Res.
Commun., 163, 967, 1989など参照)。上記の宿主細胞
は特に限定されず、従来から遺伝子工学的手法で用いら
れている各種の宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、酵
母、糸状菌、植物または動物細胞などを用いることがで
きる。
【0012】より具体的には、HGFを生体組織から抽
出精製する方法としては、例えば、ラットに四塩化炭素
を腹腔内投与し、肝炎状態にしたラットの肝臓を抽出し
て粉砕し、S-セファロース、ヘパリンセファロースなど
のゲルカラムクロマトグラフィー、HPLCなどの通常の蛋
白質精製法にて精製することができる。また、HGFの
アミノ酸配列をコードする遺伝子を通常の遺伝子工学的
な手法により動物細胞、例えば、チャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞、マウスC127細胞、サルCOS細胞、Sf
(Spodoptera frugiperda)細胞などに形質転換し、その
培養上清より得ることができる。HGFはヒト由来のも
のでも、哺乳動物由来のものでも用いることができる
が、好ましくはヒト由来のものがよく、更に好ましく
は、ヒト由来の組換えHGF(特開平5-111383号公報)
がよい。かくして得られたHGFはHGFと実質的に同
効である限り、そのアミノ酸配列の一部が欠失または他
のアミノ酸に置換されていたり、他のアミノ酸配列が一
部挿入されていたり、N末端および/またはC末端に1また
は2以上のアミノ酸が結合していたり、あるいは糖鎖が
同様に欠失または置換されてもよい。
【0013】HGFの酵素的分解は、例えば、エラスタ
ーゼ等の酵素を用いてHGFを消化することにより行な
うことができる。ついで、高速液体クロマトグラフィー
等の慣用の蛋白精製法を用いて消化生成物を精製し、α
鎖が含まれるフラグメントが約55−69kDaからな
る低分子HGFを単離することにより、前記の理化学的
性質及び生理活性を有する蛋白質(α−フラグメント)を
得ることができる。
【0014】本発明のα−フラグメントは、上記の方法
により得られたものに限定されるものではなく、慣用の
ペプチド合成法に準じて化学的に調製したものでもよ
く、またα−フラグメントのアミノ酸配列をコードする
遺伝子を調製し、それを用いて前記の遺伝子工学的な手
法により産生させたものであってもよい。後記実施例に
示されるように、α−フラグメントはHGFのマイトゲ
ン(mitogen)およびモトゲン活性を阻害するなどc−M
et/HGFリセプターのアンタゴニスト活性を有し、
癌細胞の浸潤を抑制することが判明した。従って、α−
フラグメントを有効成分とする本発明の薬剤は、抗癌
剤、特に癌細胞の浸潤抑制剤、転移抑制剤として有用で
ある。
【0015】本発明の抗癌剤は種々の製剤形態(例え
ば、液剤、固形剤、カプセル剤など)をとりうるが、一
般的には有効成分であるα−フラグメントのみまたはそ
れと慣用の担体と共に注射剤とされるか、または慣用の
担体と共に経口剤とされる。当該注射剤は常法により調
製することができ、例えば、α−フラグメントを適切な
溶媒(例えば、滅菌水、緩衝液、生理食塩水等)に溶解
した後、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで無菌的
な容器に充填することにより調製することができる。注
射剤中のα−フラグメント含量としては、通常0.0002-
0.2(w/v%)程度、好ましくは0.001-0.1(w/v%)程度に調整
される。また、経口薬としては、例えば、錠剤、顆粒
剤、細粒剤、散剤、軟または硬カプセル剤、液剤、乳
剤、懸濁剤、シロップ剤などの剤形に製剤化され、これ
らの製剤は製剤化の常法に準じて調製することができ
る。製剤中のα−フラグメント含量は、剤形、適用疾患
などに応じて適宜調整することができる。
【0016】製剤化に際して、好ましくは安定化剤が添
加され、安定化剤としては、例えば、アルブミン、グロ
ブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキス
トラン、エチレングリコールなどが挙げられる。さら
に、本発明の製剤は製剤化に必要な添加物、例えば、賦
形剤、溶解補助剤、酸化防止剤、無痛化剤、等張化剤等
を含んでいてもよい。液状製剤とした場合は凍結保存、
または凍結乾燥等により水分を除去して保存するのが望
ましい。凍結乾燥剤は、用時に注射用蒸留水などを加
え、再溶解して使用される。本発明の製剤は、該製剤の
形態に応じた適当な投与経路により投与され得る。例え
ば、注射剤の形態にして静脈、動脈、皮下、筋肉内等に
投与することができる。その投与量は、患者の症状、年
齢、体重などにより適宜調整されるが、通常α−フラグ
メントとして0.01mg-100mgであり、これを1日1回ないし
数回に分けて投与するのが適当である。
【0017】
【発明の効果】本発明の治療剤において、有効成分であ
るα−フラグメントは、高転移性で致死率の高い胆嚢癌
や肺癌を初めとする癌細胞に対して特異的な癌浸潤・転
移抑制効果を有する。従って、本発明の薬剤は、抗癌剤
としての癌の治療、予防などに用いられ、臨床上極めて
有用である。
【0018】
【実施例】以下に実施例および試験例を示し、本発明を
より具体的に述べるが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。 実施例1HGFのα−フラグメントの単離精製 遺伝子組換えHGF900mgをエラスターゼで1時間消化
し、これを逆相HPLC(C4)で精製した。そのクロマトグラ
ムを図1に示す。図1に示されるように、4個のピーク
が得られ、第一のピークがα−フラグメント、第二のピ
ークが未消化のHGF、第三と第四のピークがβ1、β2
であることが同定された。さらに、凍結乾燥システムで
溶媒を除去し、それぞれの分画を集めて再蒸留水で再懸
濁した。そうして得られた物質がα、β−フラグメント
であることをSDS-PAGEでさらに確認した(図2参照)。
蛋白定量の結果、α−フラグメントは178mg取得され
た。
【0019】実施例2MDCK細胞を用いたモトゲンとしての作用の解析 MDCK細胞を10%FBS加DMEM培地で2X104細胞/mlに調製
し、48ウェルプレートに250ml/ウェルでまきこんだ。
α−フラグメントを単独で10ng/mlから10μg/ml加えて
24時間培養し、位相差顕微鏡で観察した。その結果を
図3に示す。図3に示されるように、α−フラグメント
にはスキャタリング(scattering)作用は認められなかっ
た。続いて、HGF2ng/mlと同時に添加してHGFに対
する阻害効果を調べた。その結果を図4に示す(図中、
αの表示は、HGFに対するα−フラグメント濃度(倍
率)を示す。以下同様)。図4に示すように、1000
倍濃度をこえるとスキャタリングの抑制が濃度依存的に
観察された。よって、α−フラグメントはHGFのアン
タゴニストであることが強く示唆された。
【0020】実施例3ラット肝細胞を用いたマイトゲンとしての作用の解析 ラット肝細胞を48ウェルプレートで約50%面積を占め
るように培養し、HGF、EGF、α−フラグメントを
添加して22時間培養した。125I-BrdU(0.15mCi/ウェ
ル)で4時間ラベルし、活性をシンチレーションカウン
ターで測定した。その結果を図5に示す。α−フラグメ
ントには102ng/mlから104ng/mlの範囲でDNA合成促進
作用は認められなかった。そして、HGF5ng/mlと同時
に加えるとHGFのマイトゲン活性を濃度依存的に抑制
することが明らかとなった(図5c参照)。ゆえに、α
−フラグメントはHGFのマイトゲン、モトゲン活性に
対してアンタゴニストであることが示された。
【0021】実施例4α−フラグメントのHGF誘導癌細胞浸潤に対する作用 定量的であるマトリゲル インベイション チャンバー(M
atrigel invasion chamber, 24ウェル)を用いた基底膜
浸潤モデルでHGFの癌細胞浸潤誘導作用に対するα−
フラグメントの効果を検討した。GB-d1細胞を1.5X104
胞/200ml/ウェルに調整して、アッパー チャンバー(upp
er chamber)にまきこんだ。ロワー チャンバー(lower c
hamber)の培地500mlにはHGF2ng/mlとα−フラグメン
トを加えて24時間培養し、固定後H&Eで染色した。顕
微鏡下に任意の10視野(8.4mm2)を観察し、フィルター
下面に浸潤してきた細胞数で浸潤能を評価した。HGF
は濃度依存的にGB-d1細胞の浸潤を促進した(図6参
照)。HGF3ng/mlに対するα−フラグメントの作用を
検討したところ、α−フラグメントはHGF3ng/mlの1
30倍、400倍、4000倍、13000倍と濃度依
存的にHGFの作用を阻害した(図7参照)。なお、図
8に、図6及び図7の結果を図表化したものを示す。上
記の結果からして、α−フラグメントは、HGFに誘導
される癌細胞の浸潤を抑制する作用を有することが明ら
かになった。
【0022】製剤例1 生理食塩水100ml中にα−フラグメント1mg、マ
ンニトール1g及びポリソルベート80 10mgを含
む溶液を無菌的に調製し、1mlずつバイアルに分注し
た後、凍結乾燥して密封することにより凍結乾燥製剤を
得た。
【0023】製剤例2 0.02Mリン酸緩衝液(0.15M NaCl及び
0.01%ポリソルベート80含有、pH7.4)10
0ml中にα−フラグメント1mgとヒト血清アルブミ
ン100mgを含む水溶液を無菌的に調製し、1mlず
つバイアルに分注した後、凍結乾燥して密封することに
より凍結乾燥製剤を得た。
【0024】製剤例3 注射用蒸留水100ml中にα−フラグメント1mg、
ソルビトール2g、グリシン2g及びポリソルベート8
0 10mgを含む溶液を無菌的に調製し、1mlずつ
バイアルに分注した後、凍結乾燥して密封することによ
り凍結乾燥製剤を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】HGF−酵素消化物を逆層HPLCで精製した
ときのクロマトグラムである。
【図2】逆層HPLCで精製したHGF−酵素消化物を
電気泳動(SDS−PAGE、還元条件下)に付した結
果を示す電気泳動写真である。
【図3】MDCK細胞に対するα−フラグメントのスキ
ャタリング効果を示す写真(生物の形態)である。
【図4】HGFの共存下におけるMDCK細胞に対する
α−フラグメントのスキャタリング効果を示す写真(生
物の形態)である。
【図5】ラット肝細胞のDNA合成に対するHGF、E
GF、α−フラグメントの効果を示す図である。図中、
(a)はHGFを添加した系、(b)はα−フラグメン
トを添加した系、(c)は5ng/mlのHGF共存下
にα−フラグメントを添加した系、(d)は10ng/
mlのEGF共存下にα−フラグメントを添加した系で
ある。
【図6】GB−d1細胞の浸潤に対するα−フラグメン
トの効果を示す写真(生物の形態)である。
【図7】HGFの共存下におけるGB−d1細胞の浸潤
に対するα−フラグメントの効果を示す写真(生物の形
態)である。
【図8】図6及び図7の結果を図表化したものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質および生理活性
    を有する蛋白質を有効成分として含有する抗癌剤。 a)HGF(Hepatocyte growth factor)のα鎖からなる; b)分子量が約55−69kDaである; c)c−Met/HGFレセプターのアンタゴニスト(an
    tagonist)活性を有する。
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